4
2.分析手法の作成 Adobe Photoshop5.5 研究の位置づけ 2 * 1 * 2 * 3 * 4 1.はじめに 1 1 1 解像度を指標とした空間記述に関する研究 多重解像度画像を用いた景観分析 指導教員 吉松秀樹助教授                         0ACAM025 番場俊宏 Research on Space Notation by the Resolution

多重解像度画像 - eb.u-tokai.ac.jp•ª場.梗概.pdf · *4. 近藤裕幸他:コンピュータ画像処理による都市的景観の研究-街路景観 の水平垂直強度について,日本建築学会学術講演慨集1992年8月

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①多重解像度画像の作成

 図3は、多重解像度画像の作成および、多重解像度画像

を適応された解像度ごとに分解するために用いた画像処

理の課程を示している。以下に図3内のⅰ~ⅳの各画像を

得るための操作について具体的に述べる。

ⅰ)記述の対象である景観画像をデジタルカメラで撮影し、

 コンピュータに取り込む。コンピュータに取り込んだ

 画像は、72dpi24bitのカラー画像となるが、ピクセルの

 輝度値およびその分布のみに着目するため8bit256階調

 の白黒濃淡画像とし、64dpiに設定する。この画像を画

 像処理の元となる原画像とする【図4】。

ⅱ)原画像を元に1dpi、2dpi、4dpi、8dpi、16dpi、32dpiの

 画像を作成する。ここで作成する1から32dpiの画像は

 64dpiから解像度を下げる際に画像サイズが縮小される

 が以降の処理において、画像同士の演算を行うには各

 画像が同一の画像サイズの必要があるため解像度設定

 によって再び64dpiとし、画像サイズを戻している。た

 だしこの画像は、解像度を下げた段階での各画像のピ

 クセルの輝度値の画像全体に占める割合を保ったまま

 単純に拡大した状態で、部分ごとの輝度値の分布は解

 像度を下げた状態と等しいため本文中では32dpi、16dpi、

 8dpi、4dpi、2dpi、1dpiと表記している。

ⅲ)作成した1dpiから64dpiの画像を、解像度の低い方から

 順に2枚ずつ、対応すピクセルの輝度値の差の絶対値を

 演算する。結果得られる画像は、差が大きい部分ほど、

 明るく表示された画像となる。この操作をすべての解

 像度の画像に対して行う。

ⅳ)差の絶対値によって表された画像を、解像度の低い方

 から順に比較し、画像中の部分ごとに、各解像度の画

 像の中で、最も明るいものを採用した一枚の画像を合

 成する。ここで採用された各部分における最も明るく

 表示された解像度は、異なる解像度の画像同士の比較

 において最も明確に変化が見られた段階であり、その

 部分における情報密度を示すのに適した解像度だと考

 えられる。

この合成画像が、複数の異なる解像度によって構成され

2.分析手法の作成

 デジタル画像は一定のサイズの中に均質に配置された

ピクセルによって示されており、一枚の画像の解像度は

均一である。そこで、ここでは複数の画像処理を併用す

ることで、画像中の各部分において情報密度ごとに異な

る解像度を適応し、複数の解像度が同時に存在する多重

解像度画像の作成を行う。一般的に、解析を目的とした

画像処理には、専用のソフトウエアやコンピュータ言語

によるプログラムが用いられるが、本研究では市販の画

像処理ソフト(Adobe Photoshop5.5)を用いることで、簡

便で汎用性のある手法の提案を試みる。

研究の位置づけ 

 記述は物事の様相を、ある構造を持った図や文章に還

元することで、抽象化をおこなったものとして、旧来よ

り建築学の分野では、主に都市空間を対象に、目的に応

じて様々な形で行われている【図2】。多様な要素で構成

されている都市景観の分析において、記述を行い着目す

る要素の抽出を行う事は有効な手段の一つであり、多く

の場面で用いられてきた。景観の特徴を定量化し、記述

することを目的とした研究として、代表的なものに樋口*1)

による一連の景観構造に関する研究がある。またフラク

タル理論の応用*2)や、エッジ検出による景観の線要素の

抽出*3)*4)などコンピュータ画像処理技術を援用し、他分

野での成果を取り入れた研究も見られる。本研究は景観

の特性を定量的に記述する研究に属するものであり、デ

ジタル画像を元に、画像処理技法を援用した景観の記述

およびその分析と位置づけられるが、解像度という尺度

指標に着目したという点で既往の研究と異なるものである。

補注1.対象は、東京都渋谷区内において代表的な5本の街路を選定し、各街路 で 無作為に選択した2箇所からそれぞれ10mずつ移動し10枚(100m)街路に 対して平行に撮影おこなった計100枚の画像とする。

参考文献*1.樋口忠彦:景観の構造,技報堂出版 ,1975年10月*2.伊藤恭行 他:画像データにおける動的エッジ検出法, 日本建築 学会計画   系論文報告集, 1993年11月.*3.奥俊信:フラクタル理論に基づいた建物の集合形態の特徴分析, 日本建築  学会情報システム技術委員会 弟20回情報システム利用技術シンポジウム,   pp.181-185,1997年.*4. 近藤裕幸他:コンピュータ画像処理による都市的景観の研究-街路景観   の水平垂直強度について,日本建築学会学術講演慨集1992年8月*  飯塚拓生:コンピュータ画像処理による都市的景観の研究-1-日本建築学   会学術講演梗概集F,1991年*  木多道宏 他:都市景観における色彩の評価構造に関する研究, 日本建築   学会計画系論文集, pp.147-154, 1997年12月.*  矢野隆次郎 他:画像としての都市景観のゆらぎの解析,  日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.379-380, 1999年9月.

*  番場俊宏他:解像度を指標とした空間記述に関する研究 その1多重解像度  画像を用いた景観分析手法.日本建築学会情報システム利用技術シンポジ  ウム

 上記2枚のb-1、b-2は、共に各画像の主体要素を変化

させた際の推測される点に

ついて本手法の再現性を確

認することを目的に、それ

ぞれ樹木、壁面の構成に着

目し、他の要素が類似する

ようにして比較を行った。

a-1,b-1は、同じ視点から撮影した季節の違う景観であ

り、a-2,b-2は共に画面全体を壁面が覆っている画像で

ある。また、手法開発に用

いた画像とa-3の比較から、距離によって解像度の適応

のされ方に変化があること

も確認された。

図10.街路ごとの解像度の変化

多重解像度画像との比較より、その明るさから表参道02、道玄坂01は情

報の分布状況が異なる事がわかる。旧山手の特性については、解像度の

適応のされかたより景観中の平滑な建築壁面および空の量が要因である。

②解像度の面積配分比較

ⅴ)多重解像度画像から抽出したい解像度より低い解像

度の部分の合成画像を減算し、得られる画像から閾値を1

とした2値画像を作成する。ここで、抽出したい解像度よ

り高い解像度の部分は当該解像度のピクセルより小さく

白く表示される。次にⅱ)と同じ解像度操作により、そ

れらを含むピクセルは完全な黒ではなくグレーで表示さ

れる。この画像を、再び閾値1の2値画像とすることで、

高解像度のピクセルを含む部分は消去される。この操作

をすべての解像度に行い、抽出したい解像度及び低い解

像度の部分が黒で表示された仮画像を作成する。次に仮

画像の低解像度から順に2枚ずつ、高い方から低い方を減

算することで、結果黒く表示された部分が各解像度に相

応する部分となる【図6】。この画像を解像度設定で1ピ

クセルで表示させた際、表示されるグレーの濃度値が多

重解像度画像中の各解像度の割合である【図7】。

3.手法の有意性の検証

ここでは、2章で示した多重解像度画像の記述としての

構造の検証を行い、分析の予備的段階としての本手法の

有意性について考察する。

① パターン画像による記述の構造の検証

 情報密度の定義は画像サイズが一定の場合、「画像中

がいくつの異なる情報によって分割されているか」と換

言できる。そこで均質に複数に分割したパターン画像に

適用することで、多重解像度画像おける解像度と情報密

度の相関関係の分析を行った。結果、高解像度は隣り合

うピクセルの輝度値に差のある部分に適応されており、

こうしたエッジを多く含む細かく分割された画像ほど高

解像度で表示される事が確認された。

②景観への適応 

 都市景観の典型的な事例として、図9に示す景観画像に

適用する事で、本手法の特徴について考察する。各景観

画像の多重解像度画像において複数の異なる解像度が適

応されていることがわかる。また、樹木や看板は高解像

度で、空や建築壁面における平滑で広い面は低解像度で

表示されており、原画像との比較より、景観の情報密度

に相応しい解像度によって表示された画像だと考えられる。

個別に特徴を述べると、a-1は部分ごとの解像度および明

るさの変化が少ないことから、情報の変化が少なくほぼ

均質な情報密度の景観だと考えられ、a-2は、景観の主要

素が建築であり、すべての解像度が離散的に分布している。

a-3に関しては、画像内が高解像度と低解像度の領域に分

かれており、建築のスカイラインに対応している。a-4で

も同様の事が言えるが、樹木部分以外はa-2に比べ低解像

度で明るく表示されており、単純な形態の明確な境界で

あることがわかる。各解像度の面積配分に着目すると、a-

3を除き64dpiが最も多いが、これはパターン画像による検

証の結果から、輪郭への適応が大きな要因だと考えられる。

た多重解像度画像である

【図5】。多重解像度画像

では、どのピクセルに相

当するまとまりで表示さ

れているかによってそれ

ぞれの部分がどの解像度

の段階で最も大きく変化

したかを示し、明るさは

その変化の大きさを示す。

1.はじめに

研究の背景と目的

 近年、建築設計、計画においてもデジタル画像を扱う

機会が増え、デジタルカメラ、プリンタ等の入出力装置

は日常的に用いられている。デジタル画像は、一般的に

機器の解像度に影響され、画質とデータ容量が決定され

ることから、画像の種類、用途に応じた解像度を設定す

る必要がある。

 解像度は、画像処理ソフトにより操作する事が可能で

ある。その際、均質で広い面は解像度を下げても変化し

ないが、細かく分節された箇所では情報が破棄され平滑

化される。これは、画像の総ピクセル数が減少し、本来

の密度で情報を構成できなくなったためである。したがっ

て、一枚の画像中には、異なる密度で情報が分布しており、

高い解像度を要する部分は情報密度が高く、低い解像度

でも対応できる部分は情報密度が低いと考えられる。本

研究における情報とは、白黒濃淡のデジタル画像に反映

された、景観を構成する要素の外形の細かさや色の濃淡

であり、情報密度はそうした情報の反映された、ピクセ

ルの輝度値の変化および、その分布状況を示す。都市景

観を考えたとき、たとえば建築ファサードにおいて平滑

で広い面をもった部分と細かく分節された部分では異なっ

た情報密度をもっている【図1】。ここでは、こうしたデ

ジタル画像と解像度の特性に着目し解像度操作を行い、

各部分ごとに元の画像から情報がおおむね変化しない解

像度の中で、最も低いものを、その部分に適した解像度

として採用して1枚の画像に再合成する。この「情報に適

した異なる解像度が1つの画像の中に複数含まれる画像」

を多重解像度画像と呼ぶことにする。

 本研究は、都市景観がもつ情報密度を明らかにし、そ

の階層性やテクスチャを把握する事を目的に、多重解像

度画像を用いた分析手法の提案を行う。

明治02-B

旧山手01-J解像度を指標とした空間記述に関する研究

多重解像度画像を用いた景観分析

      指導教員 吉松秀樹助教授                         0ACAM025 番場俊宏

  

Research on Space Notation by the Resolution                       Toshihiro Banba

The method of urban scene analysis by using multi-resolution image

2001年度修士論文 梗概集 東海大学工学研究科建築学専攻

 以上の結果から、多重解像度画像は要素の種類に関係な

く、外形の細かさや色の濃度変化といった景観全体におけ

る情報の分布状況を示すことが可能だと考えられる。グラ

フとの併用により、画像同士の情報密度の相対的な比較も

可能であるが、建築等スケールを持った要素を定量的に扱

う際は、撮影の距離および原画像のサイズが一定の必要が

ある。また画像中の明るさに着目することで、解像度の変

化に伴う周辺との関係性を知ることが可能である。本手法

は原画像および原画像よりも低解像度で、多重解像度画像

を作成するため景観画像を正方形によって粗視化したもの

で詳細な要素の判別は、原画像との比較が必要であるが景

観の大きな構造に着目するのに適した記述だと考えられる。

4.多重解像度画像によって示される街路景観の特性

 本章では都市の街路景観を対象に本手法の景観分析へ

の適用の可能性を複数の視点から検討する【注1】。

①街路ごとの情報密度の推移:

 図10は、街路ごとに撮影地点の解像度の変化を示して

いる。このグラフから「高解像度で連続している」(表

参道02、道玄坂02)「段階的に変化する」(代々木02)

といった街路全体における情報密度の傾向を把握する事

ができる。また、今回対象とした景観の多くが、64dpiを

中心に構成されているのに対し【図11】、旧山手02ではa

以外bからfまで32dpi、16dpiを主体としている。

②街路内の特徴点:

 図10において、隣り合う画像との変化の顕著な部分に

ついては、その要因として樹木(旧山手01-J)や、特異な

建築ファサード(明治02-B)、建築壁面の高さの変化に

よる、遠景の見え方の変化といったものがあげられ街路

内の特徴点を現していると推測される。

③景観要素抽出:

 図12は、多重解像度画像から抽出した各解像度の画像

を原画像に重ねる事で要素の抽出をおこなったものである。

5.まとめ

 本研究は、解像度を指標とする事で、都市景観に見ら

れる不均質な情報の分布状況を記述するために、コンピ

ュータ画像処理によって、情報密度ごとに異なる解像度

が適応された多重解像度画像の作成手法を提案した。ま

た適用例から、多重解像度画像が景観全体における情報

の分布状況を示すことが可能であると確認された。具体

的な分析には、評価特性との対応が必要ではあるが、本

論においては、複数の街路景観への適応によって多重解

像度画像の景観分析への活用の可能性を示した。また本

論では、都市の街路景観への適用に止まったが、今後は

その主体としての建築を中心に分析を進めることで、フ

ァサードデザイン等設計活動へ新たな指標となることも

視野に入れた研究に対しても意義があると考えられる。

a-3渋谷駅前交差

図6.多重解像度画像に適応   された64dpiの領域

パターン画像は、白(輝度値255)と黒(輝度値

0)が交互に並ぶように1(1×1)から65526

(256×256)に分割した9枚の2値画像とする。

p-04:16×16(256分割)

p-09:256×256(65526分割)

図8.パターン画像とその多重解像度画像中の解像度ごとの面積配分

図4.原画像

図1.景観中の建築ファサードにおける情報密度の差異

32dpi64dpi

細かく分節された開口部周辺:高情報密度解像度操作に伴う変化が顕著に見られる

広く平滑な壁面:低情報密度解像度の操作に伴う変化が少ない

図5.多重解像度画像

B

D

A

C

a-2道玄坂

areaA:低解像度・低輝度:情報の量が少なく含まれる情報に明確な差異がない

areaB:高解像度・高輝度:情報の量が多く含まれる情報に明確な差異があるareaC:低解像度・高輝度:情報の量は少ないが含まれる情報に明確な差異あるareaD:高解像度・低輝度:情報の量は多いが含まれる情報に明確な差異がない

A B C D E F G H I J

0

50%

A B C D E F G H I J

旧山手01

旧山手02

明治01

明治02

表参道01

表参道02

代々木01

代々木02

道玄坂01

道玄坂02

図11.各画像中に最も多く適応された解像度

64dpi32dpi16dpi 8dpi 4dpi 2dpi

6715164 4

a-1表参道(夏期)

b-2丸の内

b-1表参道(冬期)

a-4代々木

表参道02-B

旧山手01-J

道玄坂02-H

代々木02-C

明治02-B

図2.都市空間を対象とした記述の目的による分類

 ユークリッド距離に基づく地図を、あるパラ

メーターを用いて変形したものを中心に、物理

的な特徴だけでなく、人の認知特性など実際に

は目に見ることのできない要素を扱ったものも

多い。

 ダイアグラムやチャートなど抽象図式を持っ

たドローイングとして示したものが多く。アク

ティビティや、プログラムの関係性など、具体

的な形態のデザインに至る前の段階が記述の対

象となっている。

イメージとして想起する空間や、現実としては

存在しない想像・空想の中の空間、抽象的な空

間が対象となっている。

都市を分析可能にするための予備的段階

計画の段階で用いられるもの

記述自体を目的としたもの

コンピュータによる記述の実例 目的と特徴

集落のアクソノメ

トリック表現

都市シミュレーショ

ン(流体都市)

データタウン

%0 20 40 8060 100

64dpi

16dpi

08dpi

04dpi

32dpi

02dpi

pー01

pー02

pー03

pー04

pー05

pー06

pー07

pー08

pー09

図9.検証に用いた景観の多重解像度画像および数値化の結果

図7.各解像度の面積配分を示すグラフ

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

図12.解像度ごとの景観要素64dpi

32dpi

16dpi

8dpi

4dpi

2dpi

64dpi32dpi16dpi 8dpi 4dpi 2dpidpi

立体看板

看板照明

カーテンウォール

壁タイル

広告看板

避雷針

乗用車

窓ガラス

マリオン

街灯

景観要素

カーテン

樹木

植木

換気口

サッシ

非常階段

貯水タンク

ビルエントランステレビアンテナ

64 32 16 8 4 2dpi

number = total

window---- window glass

---- window frame

fence ---- panel (white)

road-------- asphalt-------- white line

outside stairs

guardrail

--- mirrored image

---- handrail

---- stone

marion

treepeople

-------------

-- concretewall -- brick-------

carsky

traffic light

omotesando 02

1 11 12 23

6 5 27 6 38 7 4 6 5

2 13 2

14 35 4

4 35 4

9 8 5 7 68 7

6 9 810 911 10 7 10

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50 a-4

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50a-3

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

a-1

b-1

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

a-1

b-1

ⅰ)原画像(64dpi)

ⅱ)解像度の異なる画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi,1dpi)

ⅲ)変化領域を示した画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi)

ⅳ)多重解像度画像(64dpi)

ⅴ)各解像度の分布を示した画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi)

2 1

32

バイキュービック法によって解像度を下げニアレストネイバー法によってピクセル寸法を戻す

11

4 2

1

1 5

解像度操作

2 1

32

2 3

21

2 2

3 1

演算の元となる画像の輝度値

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

0 1

01

0

00

1 10 0

1 1

0

2 2

演算:差の絶対値

各解像度の画像のピクセルの輝度値の差の絶対値を演算

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

演算の元となる画像の輝度値

2 3

22

11

4 32 2

3 2

1

3 5

演算:比較(明)

各部分で最も変化の大い解像度を採用した画像の合成

図3.多重解像度画像の作成過程における各画像と画像処理の関係

演算の元となる画像の輝度値

11

4 2

1

1 5

2 1

32

0 1

00

0

00

1 00 0

0

0

0 21

演算:減算

多重解像度画像を各解像度へ分解

2 3

21

2 2

3 1

①多重解像度画像の作成

 図3は、多重解像度画像の作成および、多重解像度画像

を適応された解像度ごとに分解するために用いた画像処

理の課程を示している。以下に図3内のⅰ~ⅳの各画像を

得るための操作について具体的に述べる。

ⅰ)記述の対象である景観画像をデジタルカメラで撮影し、

 コンピュータに取り込む。コンピュータに取り込んだ

 画像は、72dpi24bitのカラー画像となるが、ピクセルの

 輝度値およびその分布のみに着目するため8bit256階調

 の白黒濃淡画像とし、64dpiに設定する。この画像を画

 像処理の元となる原画像とする【図4】。

ⅱ)原画像を元に1dpi、2dpi、4dpi、8dpi、16dpi、32dpiの

 画像を作成する。ここで作成する1から32dpiの画像は

 64dpiから解像度を下げる際に画像サイズが縮小される

 が以降の処理において、画像同士の演算を行うには各

 画像が同一の画像サイズの必要があるため解像度設定

 によって再び64dpiとし、画像サイズを戻している。た

 だしこの画像は、解像度を下げた段階での各画像のピ

 クセルの輝度値の画像全体に占める割合を保ったまま

 単純に拡大した状態で、部分ごとの輝度値の分布は解

 像度を下げた状態と等しいため本文中では32dpi、16dpi、

 8dpi、4dpi、2dpi、1dpiと表記している。

ⅲ)作成した1dpiから64dpiの画像を、解像度の低い方から

 順に2枚ずつ、対応すピクセルの輝度値の差の絶対値を

 演算する。結果得られる画像は、差が大きい部分ほど、

 明るく表示された画像となる。この操作をすべての解

 像度の画像に対して行う。

ⅳ)差の絶対値によって表された画像を、解像度の低い方

 から順に比較し、画像中の部分ごとに、各解像度の画

 像の中で、最も明るいものを採用した一枚の画像を合

 成する。ここで採用された各部分における最も明るく

 表示された解像度は、異なる解像度の画像同士の比較

 において最も明確に変化が見られた段階であり、その

 部分における情報密度を示すのに適した解像度だと考

 えられる。

この合成画像が、複数の異なる解像度によって構成され

2.分析手法の作成

 デジタル画像は一定のサイズの中に均質に配置された

ピクセルによって示されており、一枚の画像の解像度は

均一である。そこで、ここでは複数の画像処理を併用す

ることで、画像中の各部分において情報密度ごとに異な

る解像度を適応し、複数の解像度が同時に存在する多重

解像度画像の作成を行う。一般的に、解析を目的とした

画像処理には、専用のソフトウエアやコンピュータ言語

によるプログラムが用いられるが、本研究では市販の画

像処理ソフト(Adobe Photoshop5.5)を用いることで、簡

便で汎用性のある手法の提案を試みる。

研究の位置づけ 

 記述は物事の様相を、ある構造を持った図や文章に還

元することで、抽象化をおこなったものとして、旧来よ

り建築学の分野では、主に都市空間を対象に、目的に応

じて様々な形で行われている【図2】。多様な要素で構成

されている都市景観の分析において、記述を行い着目す

る要素の抽出を行う事は有効な手段の一つであり、多く

の場面で用いられてきた。景観の特徴を定量化し、記述

することを目的とした研究として、代表的なものに樋口*1)

による一連の景観構造に関する研究がある。またフラク

タル理論の応用*2)や、エッジ検出による景観の線要素の

抽出*3)*4)などコンピュータ画像処理技術を援用し、他分

野での成果を取り入れた研究も見られる。本研究は景観

の特性を定量的に記述する研究に属するものであり、デ

ジタル画像を元に、画像処理技法を援用した景観の記述

およびその分析と位置づけられるが、解像度という尺度

指標に着目したという点で既往の研究と異なるものである。

補注1.対象は、東京都渋谷区内において代表的な5本の街路を選定し、各街路 で 無作為に選択した2箇所からそれぞれ10mずつ移動し10枚(100m)街路に 対して平行に撮影おこなった計100枚の画像とする。

参考文献*1.樋口忠彦:景観の構造,技報堂出版 ,1975年10月*2.伊藤恭行 他:画像データにおける動的エッジ検出法, 日本建築 学会計画   系論文報告集, 1993年11月.*3.奥俊信:フラクタル理論に基づいた建物の集合形態の特徴分析, 日本建築  学会情報システム技術委員会 弟20回情報システム利用技術シンポジウム,   pp.181-185,1997年.*4. 近藤裕幸他:コンピュータ画像処理による都市的景観の研究-街路景観   の水平垂直強度について,日本建築学会学術講演慨集1992年8月*  飯塚拓生:コンピュータ画像処理による都市的景観の研究-1-日本建築学   会学術講演梗概集F,1991年*  木多道宏 他:都市景観における色彩の評価構造に関する研究, 日本建築   学会計画系論文集, pp.147-154, 1997年12月.*  矢野隆次郎 他:画像としての都市景観のゆらぎの解析,  日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.379-380, 1999年9月.

*  番場俊宏他:解像度を指標とした空間記述に関する研究 その1多重解像度  画像を用いた景観分析手法.日本建築学会情報システム利用技術シンポジ  ウム

 上記2枚のb-1、b-2は、共に各画像の主体要素を変化

させた際の推測される点に

ついて本手法の再現性を確

認することを目的に、それ

ぞれ樹木、壁面の構成に着

目し、他の要素が類似する

ようにして比較を行った。

a-1,b-1は、同じ視点から撮影した季節の違う景観であ

り、a-2,b-2は共に画面全体を壁面が覆っている画像で

ある。また、手法開発に用

いた画像とa-3の比較から、距離によって解像度の適応

のされ方に変化があること

も確認された。

図10.街路ごとの解像度の変化

多重解像度画像との比較より、その明るさから表参道02、道玄坂01は情

報の分布状況が異なる事がわかる。旧山手の特性については、解像度の

適応のされかたより景観中の平滑な建築壁面および空の量が要因である。

②解像度の面積配分比較

ⅴ)多重解像度画像から抽出したい解像度より低い解像

度の部分の合成画像を減算し、得られる画像から閾値を1

とした2値画像を作成する。ここで、抽出したい解像度よ

り高い解像度の部分は当該解像度のピクセルより小さく

白く表示される。次にⅱ)と同じ解像度操作により、そ

れらを含むピクセルは完全な黒ではなくグレーで表示さ

れる。この画像を、再び閾値1の2値画像とすることで、

高解像度のピクセルを含む部分は消去される。この操作

をすべての解像度に行い、抽出したい解像度及び低い解

像度の部分が黒で表示された仮画像を作成する。次に仮

画像の低解像度から順に2枚ずつ、高い方から低い方を減

算することで、結果黒く表示された部分が各解像度に相

応する部分となる【図6】。この画像を解像度設定で1ピ

クセルで表示させた際、表示されるグレーの濃度値が多

重解像度画像中の各解像度の割合である【図7】。

3.手法の有意性の検証

ここでは、2章で示した多重解像度画像の記述としての

構造の検証を行い、分析の予備的段階としての本手法の

有意性について考察する。

① パターン画像による記述の構造の検証

 情報密度の定義は画像サイズが一定の場合、「画像中

がいくつの異なる情報によって分割されているか」と換

言できる。そこで均質に複数に分割したパターン画像に

適用することで、多重解像度画像おける解像度と情報密

度の相関関係の分析を行った。結果、高解像度は隣り合

うピクセルの輝度値に差のある部分に適応されており、

こうしたエッジを多く含む細かく分割された画像ほど高

解像度で表示される事が確認された。

②景観への適応 

 都市景観の典型的な事例として、図9に示す景観画像に

適用する事で、本手法の特徴について考察する。各景観

画像の多重解像度画像において複数の異なる解像度が適

応されていることがわかる。また、樹木や看板は高解像

度で、空や建築壁面における平滑で広い面は低解像度で

表示されており、原画像との比較より、景観の情報密度

に相応しい解像度によって表示された画像だと考えられる。

個別に特徴を述べると、a-1は部分ごとの解像度および明

るさの変化が少ないことから、情報の変化が少なくほぼ

均質な情報密度の景観だと考えられ、a-2は、景観の主要

素が建築であり、すべての解像度が離散的に分布している。

a-3に関しては、画像内が高解像度と低解像度の領域に分

かれており、建築のスカイラインに対応している。a-4で

も同様の事が言えるが、樹木部分以外はa-2に比べ低解像

度で明るく表示されており、単純な形態の明確な境界で

あることがわかる。各解像度の面積配分に着目すると、a-

3を除き64dpiが最も多いが、これはパターン画像による検

証の結果から、輪郭への適応が大きな要因だと考えられる。

た多重解像度画像である

【図5】。多重解像度画像

では、どのピクセルに相

当するまとまりで表示さ

れているかによってそれ

ぞれの部分がどの解像度

の段階で最も大きく変化

したかを示し、明るさは

その変化の大きさを示す。

1.はじめに

研究の背景と目的

 近年、建築設計、計画においてもデジタル画像を扱う

機会が増え、デジタルカメラ、プリンタ等の入出力装置

は日常的に用いられている。デジタル画像は、一般的に

機器の解像度に影響され、画質とデータ容量が決定され

ることから、画像の種類、用途に応じた解像度を設定す

る必要がある。

 解像度は、画像処理ソフトにより操作する事が可能で

ある。その際、均質で広い面は解像度を下げても変化し

ないが、細かく分節された箇所では情報が破棄され平滑

化される。これは、画像の総ピクセル数が減少し、本来

の密度で情報を構成できなくなったためである。したがっ

て、一枚の画像中には、異なる密度で情報が分布しており、

高い解像度を要する部分は情報密度が高く、低い解像度

でも対応できる部分は情報密度が低いと考えられる。本

研究における情報とは、白黒濃淡のデジタル画像に反映

された、景観を構成する要素の外形の細かさや色の濃淡

であり、情報密度はそうした情報の反映された、ピクセ

ルの輝度値の変化および、その分布状況を示す。都市景

観を考えたとき、たとえば建築ファサードにおいて平滑

で広い面をもった部分と細かく分節された部分では異なっ

た情報密度をもっている【図1】。ここでは、こうしたデ

ジタル画像と解像度の特性に着目し解像度操作を行い、

各部分ごとに元の画像から情報がおおむね変化しない解

像度の中で、最も低いものを、その部分に適した解像度

として採用して1枚の画像に再合成する。この「情報に適

した異なる解像度が1つの画像の中に複数含まれる画像」

を多重解像度画像と呼ぶことにする。

 本研究は、都市景観がもつ情報密度を明らかにし、そ

の階層性やテクスチャを把握する事を目的に、多重解像

度画像を用いた分析手法の提案を行う。

明治02-B

旧山手01-J解像度を指標とした空間記述に関する研究

多重解像度画像を用いた景観分析

      指導教員 吉松秀樹助教授                         0ACAM025 番場俊宏

  

Research on Space Notation by the Resolution                       Toshihiro Banba

The method of urban scene analysis by using multi-resolution image

2001年度修士論文 梗概集 東海大学工学研究科建築学専攻

 以上の結果から、多重解像度画像は要素の種類に関係な

く、外形の細かさや色の濃度変化といった景観全体におけ

る情報の分布状況を示すことが可能だと考えられる。グラ

フとの併用により、画像同士の情報密度の相対的な比較も

可能であるが、建築等スケールを持った要素を定量的に扱

う際は、撮影の距離および原画像のサイズが一定の必要が

ある。また画像中の明るさに着目することで、解像度の変

化に伴う周辺との関係性を知ることが可能である。本手法

は原画像および原画像よりも低解像度で、多重解像度画像

を作成するため景観画像を正方形によって粗視化したもの

で詳細な要素の判別は、原画像との比較が必要であるが景

観の大きな構造に着目するのに適した記述だと考えられる。

4.多重解像度画像によって示される街路景観の特性

 本章では都市の街路景観を対象に本手法の景観分析へ

の適用の可能性を複数の視点から検討する【注1】。

①街路ごとの情報密度の推移:

 図10は、街路ごとに撮影地点の解像度の変化を示して

いる。このグラフから「高解像度で連続している」(表

参道02、道玄坂02)「段階的に変化する」(代々木02)

といった街路全体における情報密度の傾向を把握する事

ができる。また、今回対象とした景観の多くが、64dpiを

中心に構成されているのに対し【図11】、旧山手02ではa

以外bからfまで32dpi、16dpiを主体としている。

②街路内の特徴点:

 図10において、隣り合う画像との変化の顕著な部分に

ついては、その要因として樹木(旧山手01-J)や、特異な

建築ファサード(明治02-B)、建築壁面の高さの変化に

よる、遠景の見え方の変化といったものがあげられ街路

内の特徴点を現していると推測される。

③景観要素抽出:

 図12は、多重解像度画像から抽出した各解像度の画像

を原画像に重ねる事で要素の抽出をおこなったものである。

5.まとめ

 本研究は、解像度を指標とする事で、都市景観に見ら

れる不均質な情報の分布状況を記述するために、コンピ

ュータ画像処理によって、情報密度ごとに異なる解像度

が適応された多重解像度画像の作成手法を提案した。ま

た適用例から、多重解像度画像が景観全体における情報

の分布状況を示すことが可能であると確認された。具体

的な分析には、評価特性との対応が必要ではあるが、本

論においては、複数の街路景観への適応によって多重解

像度画像の景観分析への活用の可能性を示した。また本

論では、都市の街路景観への適用に止まったが、今後は

その主体としての建築を中心に分析を進めることで、フ

ァサードデザイン等設計活動へ新たな指標となることも

視野に入れた研究に対しても意義があると考えられる。

a-3渋谷駅前交差

図6.多重解像度画像に適応   された64dpiの領域

パターン画像は、白(輝度値255)と黒(輝度値

0)が交互に並ぶように1(1×1)から65526

(256×256)に分割した9枚の2値画像とする。

p-04:16×16(256分割)

p-09:256×256(65526分割)

図8.パターン画像とその多重解像度画像中の解像度ごとの面積配分

図4.原画像

図1.景観中の建築ファサードにおける情報密度の差異

32dpi64dpi

細かく分節された開口部周辺:高情報密度解像度操作に伴う変化が顕著に見られる

広く平滑な壁面:低情報密度解像度の操作に伴う変化が少ない

図5.多重解像度画像

B

D

A

C

a-2道玄坂

areaA:低解像度・低輝度:情報の量が少なく含まれる情報に明確な差異がない

areaB:高解像度・高輝度:情報の量が多く含まれる情報に明確な差異があるareaC:低解像度・高輝度:情報の量は少ないが含まれる情報に明確な差異あるareaD:高解像度・低輝度:情報の量は多いが含まれる情報に明確な差異がない

A B C D E F G H I J

0

50%

A B C D E F G H I J

旧山手01

旧山手02

明治01

明治02

表参道01

表参道02

代々木01

代々木02

道玄坂01

道玄坂02

図11.各画像中に最も多く適応された解像度

64dpi32dpi16dpi 8dpi 4dpi 2dpi

6715164 4

a-1表参道(夏期)

b-2丸の内

b-1表参道(冬期)

a-4代々木

表参道02-B

旧山手01-J

道玄坂02-H

代々木02-C

明治02-B

図2.都市空間を対象とした記述の目的による分類

 ユークリッド距離に基づく地図を、あるパラ

メーターを用いて変形したものを中心に、物理

的な特徴だけでなく、人の認知特性など実際に

は目に見ることのできない要素を扱ったものも

多い。

 ダイアグラムやチャートなど抽象図式を持っ

たドローイングとして示したものが多く。アク

ティビティや、プログラムの関係性など、具体

的な形態のデザインに至る前の段階が記述の対

象となっている。

イメージとして想起する空間や、現実としては

存在しない想像・空想の中の空間、抽象的な空

間が対象となっている。

都市を分析可能にするための予備的段階

計画の段階で用いられるもの

記述自体を目的としたもの

コンピュータによる記述の実例 目的と特徴

集落のアクソノメ

トリック表現

都市シミュレーショ

ン(流体都市)

データタウン

%0 20 40 8060 100

64dpi

16dpi

08dpi

04dpi

32dpi

02dpi

pー01

pー02

pー03

pー04

pー05

pー06

pー07

pー08

pー09

図9.検証に用いた景観の多重解像度画像および数値化の結果

図7.各解像度の面積配分を示すグラフ

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

図12.解像度ごとの景観要素64dpi

32dpi

16dpi

8dpi

4dpi

2dpi

64dpi32dpi16dpi 8dpi 4dpi 2dpidpi

立体看板

看板照明

カーテンウォール

壁タイル

広告看板

避雷針

乗用車

窓ガラス

マリオン

街灯

景観要素

カーテン

樹木

植木

換気口

サッシ

非常階段

貯水タンク

ビルエントランステレビアンテナ

64 32 16 8 4 2dpi

number = total

window---- window glass

---- window frame

fence ---- panel (white)

road-------- asphalt-------- white line

outside stairs

guardrail

--- mirrored image

---- handrail

---- stone

marion

treepeople

-------------

-- concretewall -- brick-------

carsky

traffic light

omotesando 02

1 11 12 23

6 5 27 6 38 7 4 6 5

2 13 2

14 35 4

4 35 4

9 8 5 7 68 7

6 9 810 911 10 7 10

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50 a-4

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50a-3

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

a-1

b-1

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

a-1

b-1

ⅰ)原画像(64dpi)

ⅱ)解像度の異なる画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi,1dpi)

ⅲ)変化領域を示した画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi)

ⅳ)多重解像度画像(64dpi)

ⅴ)各解像度の分布を示した画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi)

2 1

32

バイキュービック法によって解像度を下げニアレストネイバー法によってピクセル寸法を戻す

11

4 2

1

1 5

解像度操作

2 1

32

2 3

21

2 2

3 1

演算の元となる画像の輝度値

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

0 1

01

0

00

1 10 0

1 1

0

2 2

演算:差の絶対値

各解像度の画像のピクセルの輝度値の差の絶対値を演算

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

演算の元となる画像の輝度値

2 3

22

11

4 32 2

3 2

1

3 5

演算:比較(明)

各部分で最も変化の大い解像度を採用した画像の合成

図3.多重解像度画像の作成過程における各画像と画像処理の関係

演算の元となる画像の輝度値

11

4 2

1

1 5

2 1

32

0 1

00

0

00

1 00 0

0

0

0 21

演算:減算

多重解像度画像を各解像度へ分解

2 3

21

2 2

3 1

①多重解像度画像の作成

 図3は、多重解像度画像の作成および、多重解像度画像

を適応された解像度ごとに分解するために用いた画像処

理の課程を示している。以下に図3内のⅰ~ⅳの各画像を

得るための操作について具体的に述べる。

ⅰ)記述の対象である景観画像をデジタルカメラで撮影し、

 コンピュータに取り込む。コンピュータに取り込んだ

 画像は、72dpi24bitのカラー画像となるが、ピクセルの

 輝度値およびその分布のみに着目するため8bit256階調

 の白黒濃淡画像とし、64dpiに設定する。この画像を画

 像処理の元となる原画像とする【図4】。

ⅱ)原画像を元に1dpi、2dpi、4dpi、8dpi、16dpi、32dpiの

 画像を作成する。ここで作成する1から32dpiの画像は

 64dpiから解像度を下げる際に画像サイズが縮小される

 が以降の処理において、画像同士の演算を行うには各

 画像が同一の画像サイズの必要があるため解像度設定

 によって再び64dpiとし、画像サイズを戻している。た

 だしこの画像は、解像度を下げた段階での各画像のピ

 クセルの輝度値の画像全体に占める割合を保ったまま

 単純に拡大した状態で、部分ごとの輝度値の分布は解

 像度を下げた状態と等しいため本文中では32dpi、16dpi、

 8dpi、4dpi、2dpi、1dpiと表記している。

ⅲ)作成した1dpiから64dpiの画像を、解像度の低い方から

 順に2枚ずつ、対応すピクセルの輝度値の差の絶対値を

 演算する。結果得られる画像は、差が大きい部分ほど、

 明るく表示された画像となる。この操作をすべての解

 像度の画像に対して行う。

ⅳ)差の絶対値によって表された画像を、解像度の低い方

 から順に比較し、画像中の部分ごとに、各解像度の画

 像の中で、最も明るいものを採用した一枚の画像を合

 成する。ここで採用された各部分における最も明るく

 表示された解像度は、異なる解像度の画像同士の比較

 において最も明確に変化が見られた段階であり、その

 部分における情報密度を示すのに適した解像度だと考

 えられる。

この合成画像が、複数の異なる解像度によって構成され

2.分析手法の作成

 デジタル画像は一定のサイズの中に均質に配置された

ピクセルによって示されており、一枚の画像の解像度は

均一である。そこで、ここでは複数の画像処理を併用す

ることで、画像中の各部分において情報密度ごとに異な

る解像度を適応し、複数の解像度が同時に存在する多重

解像度画像の作成を行う。一般的に、解析を目的とした

画像処理には、専用のソフトウエアやコンピュータ言語

によるプログラムが用いられるが、本研究では市販の画

像処理ソフト(Adobe Photoshop5.5)を用いることで、簡

便で汎用性のある手法の提案を試みる。

研究の位置づけ 

 記述は物事の様相を、ある構造を持った図や文章に還

元することで、抽象化をおこなったものとして、旧来よ

り建築学の分野では、主に都市空間を対象に、目的に応

じて様々な形で行われている【図2】。多様な要素で構成

されている都市景観の分析において、記述を行い着目す

る要素の抽出を行う事は有効な手段の一つであり、多く

の場面で用いられてきた。景観の特徴を定量化し、記述

することを目的とした研究として、代表的なものに樋口*1)

による一連の景観構造に関する研究がある。またフラク

タル理論の応用*2)や、エッジ検出による景観の線要素の

抽出*3)*4)などコンピュータ画像処理技術を援用し、他分

野での成果を取り入れた研究も見られる。本研究は景観

の特性を定量的に記述する研究に属するものであり、デ

ジタル画像を元に、画像処理技法を援用した景観の記述

およびその分析と位置づけられるが、解像度という尺度

指標に着目したという点で既往の研究と異なるものである。

補注1.対象は、東京都渋谷区内において代表的な5本の街路を選定し、各街路 で 無作為に選択した2箇所からそれぞれ10mずつ移動し10枚(100m)街路に 対して平行に撮影おこなった計100枚の画像とする。

参考文献*1.樋口忠彦:景観の構造,技報堂出版 ,1975年10月*2.伊藤恭行 他:画像データにおける動的エッジ検出法, 日本建築 学会計画   系論文報告集, 1993年11月.*3.奥俊信:フラクタル理論に基づいた建物の集合形態の特徴分析, 日本建築  学会情報システム技術委員会 弟20回情報システム利用技術シンポジウム,   pp.181-185,1997年.*4. 近藤裕幸他:コンピュータ画像処理による都市的景観の研究-街路景観   の水平垂直強度について,日本建築学会学術講演慨集1992年8月*  飯塚拓生:コンピュータ画像処理による都市的景観の研究-1-日本建築学   会学術講演梗概集F,1991年*  木多道宏 他:都市景観における色彩の評価構造に関する研究, 日本建築   学会計画系論文集, pp.147-154, 1997年12月.*  矢野隆次郎 他:画像としての都市景観のゆらぎの解析,  日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.379-380, 1999年9月.

*  番場俊宏他:解像度を指標とした空間記述に関する研究 その1多重解像度  画像を用いた景観分析手法.日本建築学会情報システム利用技術シンポジ  ウム

 上記2枚のb-1、b-2は、共に各画像の主体要素を変化

させた際の推測される点に

ついて本手法の再現性を確

認することを目的に、それ

ぞれ樹木、壁面の構成に着

目し、他の要素が類似する

ようにして比較を行った。

a-1,b-1は、同じ視点から撮影した季節の違う景観であ

り、a-2,b-2は共に画面全体を壁面が覆っている画像で

ある。また、手法開発に用

いた画像とa-3の比較から、距離によって解像度の適応

のされ方に変化があること

も確認された。

図10.街路ごとの解像度の変化

多重解像度画像との比較より、その明るさから表参道02、道玄坂01は情

報の分布状況が異なる事がわかる。旧山手の特性については、解像度の

適応のされかたより景観中の平滑な建築壁面および空の量が要因である。

②解像度の面積配分比較

ⅴ)多重解像度画像から抽出したい解像度より低い解像

度の部分の合成画像を減算し、得られる画像から閾値を1

とした2値画像を作成する。ここで、抽出したい解像度よ

り高い解像度の部分は当該解像度のピクセルより小さく

白く表示される。次にⅱ)と同じ解像度操作により、そ

れらを含むピクセルは完全な黒ではなくグレーで表示さ

れる。この画像を、再び閾値1の2値画像とすることで、

高解像度のピクセルを含む部分は消去される。この操作

をすべての解像度に行い、抽出したい解像度及び低い解

像度の部分が黒で表示された仮画像を作成する。次に仮

画像の低解像度から順に2枚ずつ、高い方から低い方を減

算することで、結果黒く表示された部分が各解像度に相

応する部分となる【図6】。この画像を解像度設定で1ピ

クセルで表示させた際、表示されるグレーの濃度値が多

重解像度画像中の各解像度の割合である【図7】。

3.手法の有意性の検証

ここでは、2章で示した多重解像度画像の記述としての

構造の検証を行い、分析の予備的段階としての本手法の

有意性について考察する。

① パターン画像による記述の構造の検証

 情報密度の定義は画像サイズが一定の場合、「画像中

がいくつの異なる情報によって分割されているか」と換

言できる。そこで均質に複数に分割したパターン画像に

適用することで、多重解像度画像おける解像度と情報密

度の相関関係の分析を行った。結果、高解像度は隣り合

うピクセルの輝度値に差のある部分に適応されており、

こうしたエッジを多く含む細かく分割された画像ほど高

解像度で表示される事が確認された。

②景観への適応 

 都市景観の典型的な事例として、図9に示す景観画像に

適用する事で、本手法の特徴について考察する。各景観

画像の多重解像度画像において複数の異なる解像度が適

応されていることがわかる。また、樹木や看板は高解像

度で、空や建築壁面における平滑で広い面は低解像度で

表示されており、原画像との比較より、景観の情報密度

に相応しい解像度によって表示された画像だと考えられる。

個別に特徴を述べると、a-1は部分ごとの解像度および明

るさの変化が少ないことから、情報の変化が少なくほぼ

均質な情報密度の景観だと考えられ、a-2は、景観の主要

素が建築であり、すべての解像度が離散的に分布している。

a-3に関しては、画像内が高解像度と低解像度の領域に分

かれており、建築のスカイラインに対応している。a-4で

も同様の事が言えるが、樹木部分以外はa-2に比べ低解像

度で明るく表示されており、単純な形態の明確な境界で

あることがわかる。各解像度の面積配分に着目すると、a-

3を除き64dpiが最も多いが、これはパターン画像による検

証の結果から、輪郭への適応が大きな要因だと考えられる。

た多重解像度画像である

【図5】。多重解像度画像

では、どのピクセルに相

当するまとまりで表示さ

れているかによってそれ

ぞれの部分がどの解像度

の段階で最も大きく変化

したかを示し、明るさは

その変化の大きさを示す。

1.はじめに

研究の背景と目的

 近年、建築設計、計画においてもデジタル画像を扱う

機会が増え、デジタルカメラ、プリンタ等の入出力装置

は日常的に用いられている。デジタル画像は、一般的に

機器の解像度に影響され、画質とデータ容量が決定され

ることから、画像の種類、用途に応じた解像度を設定す

る必要がある。

 解像度は、画像処理ソフトにより操作する事が可能で

ある。その際、均質で広い面は解像度を下げても変化し

ないが、細かく分節された箇所では情報が破棄され平滑

化される。これは、画像の総ピクセル数が減少し、本来

の密度で情報を構成できなくなったためである。したがっ

て、一枚の画像中には、異なる密度で情報が分布しており、

高い解像度を要する部分は情報密度が高く、低い解像度

でも対応できる部分は情報密度が低いと考えられる。本

研究における情報とは、白黒濃淡のデジタル画像に反映

された、景観を構成する要素の外形の細かさや色の濃淡

であり、情報密度はそうした情報の反映された、ピクセ

ルの輝度値の変化および、その分布状況を示す。都市景

観を考えたとき、たとえば建築ファサードにおいて平滑

で広い面をもった部分と細かく分節された部分では異なっ

た情報密度をもっている【図1】。ここでは、こうしたデ

ジタル画像と解像度の特性に着目し解像度操作を行い、

各部分ごとに元の画像から情報がおおむね変化しない解

像度の中で、最も低いものを、その部分に適した解像度

として採用して1枚の画像に再合成する。この「情報に適

した異なる解像度が1つの画像の中に複数含まれる画像」

を多重解像度画像と呼ぶことにする。

 本研究は、都市景観がもつ情報密度を明らかにし、そ

の階層性やテクスチャを把握する事を目的に、多重解像

度画像を用いた分析手法の提案を行う。

明治02-B

旧山手01-J解像度を指標とした空間記述に関する研究

多重解像度画像を用いた景観分析

      指導教員 吉松秀樹助教授                         0ACAM025 番場俊宏

  

Research on Space Notation by the Resolution                       Toshihiro Banba

The method of urban scene analysis by using multi-resolution image

2001年度修士論文 梗概集 東海大学工学研究科建築学専攻

 以上の結果から、多重解像度画像は要素の種類に関係な

く、外形の細かさや色の濃度変化といった景観全体におけ

る情報の分布状況を示すことが可能だと考えられる。グラ

フとの併用により、画像同士の情報密度の相対的な比較も

可能であるが、建築等スケールを持った要素を定量的に扱

う際は、撮影の距離および原画像のサイズが一定の必要が

ある。また画像中の明るさに着目することで、解像度の変

化に伴う周辺との関係性を知ることが可能である。本手法

は原画像および原画像よりも低解像度で、多重解像度画像

を作成するため景観画像を正方形によって粗視化したもの

で詳細な要素の判別は、原画像との比較が必要であるが景

観の大きな構造に着目するのに適した記述だと考えられる。

4.多重解像度画像によって示される街路景観の特性

 本章では都市の街路景観を対象に本手法の景観分析へ

の適用の可能性を複数の視点から検討する【注1】。

①街路ごとの情報密度の推移:

 図10は、街路ごとに撮影地点の解像度の変化を示して

いる。このグラフから「高解像度で連続している」(表

参道02、道玄坂02)「段階的に変化する」(代々木02)

といった街路全体における情報密度の傾向を把握する事

ができる。また、今回対象とした景観の多くが、64dpiを

中心に構成されているのに対し【図11】、旧山手02ではa

以外bからfまで32dpi、16dpiを主体としている。

②街路内の特徴点:

 図10において、隣り合う画像との変化の顕著な部分に

ついては、その要因として樹木(旧山手01-J)や、特異な

建築ファサード(明治02-B)、建築壁面の高さの変化に

よる、遠景の見え方の変化といったものがあげられ街路

内の特徴点を現していると推測される。

③景観要素抽出:

 図12は、多重解像度画像から抽出した各解像度の画像

を原画像に重ねる事で要素の抽出をおこなったものである。

5.まとめ

 本研究は、解像度を指標とする事で、都市景観に見ら

れる不均質な情報の分布状況を記述するために、コンピ

ュータ画像処理によって、情報密度ごとに異なる解像度

が適応された多重解像度画像の作成手法を提案した。ま

た適用例から、多重解像度画像が景観全体における情報

の分布状況を示すことが可能であると確認された。具体

的な分析には、評価特性との対応が必要ではあるが、本

論においては、複数の街路景観への適応によって多重解

像度画像の景観分析への活用の可能性を示した。また本

論では、都市の街路景観への適用に止まったが、今後は

その主体としての建築を中心に分析を進めることで、フ

ァサードデザイン等設計活動へ新たな指標となることも

視野に入れた研究に対しても意義があると考えられる。

a-3渋谷駅前交差

図6.多重解像度画像に適応   された64dpiの領域

パターン画像は、白(輝度値255)と黒(輝度値

0)が交互に並ぶように1(1×1)から65526

(256×256)に分割した9枚の2値画像とする。

p-04:16×16(256分割)

p-09:256×256(65526分割)

図8.パターン画像とその多重解像度画像中の解像度ごとの面積配分

図4.原画像

図1.景観中の建築ファサードにおける情報密度の差異

32dpi64dpi

細かく分節された開口部周辺:高情報密度解像度操作に伴う変化が顕著に見られる

広く平滑な壁面:低情報密度解像度の操作に伴う変化が少ない

図5.多重解像度画像

B

D

A

C

a-2道玄坂

areaA:低解像度・低輝度:情報の量が少なく含まれる情報に明確な差異がない

areaB:高解像度・高輝度:情報の量が多く含まれる情報に明確な差異があるareaC:低解像度・高輝度:情報の量は少ないが含まれる情報に明確な差異あるareaD:高解像度・低輝度:情報の量は多いが含まれる情報に明確な差異がない

A B C D E F G H I J

0

50%

A B C D E F G H I J

旧山手01

旧山手02

明治01

明治02

表参道01

表参道02

代々木01

代々木02

道玄坂01

道玄坂02

図11.各画像中に最も多く適応された解像度

64dpi32dpi16dpi 8dpi 4dpi 2dpi

6715164 4

a-1表参道(夏期)

b-2丸の内

b-1表参道(冬期)

a-4代々木

表参道02-B

旧山手01-J

道玄坂02-H

代々木02-C

明治02-B

図2.都市空間を対象とした記述の目的による分類

 ユークリッド距離に基づく地図を、あるパラ

メーターを用いて変形したものを中心に、物理

的な特徴だけでなく、人の認知特性など実際に

は目に見ることのできない要素を扱ったものも

多い。

 ダイアグラムやチャートなど抽象図式を持っ

たドローイングとして示したものが多く。アク

ティビティや、プログラムの関係性など、具体

的な形態のデザインに至る前の段階が記述の対

象となっている。

イメージとして想起する空間や、現実としては

存在しない想像・空想の中の空間、抽象的な空

間が対象となっている。

都市を分析可能にするための予備的段階

計画の段階で用いられるもの

記述自体を目的としたもの

コンピュータによる記述の実例 目的と特徴

集落のアクソノメ

トリック表現

都市シミュレーショ

ン(流体都市)

データタウン

%0 20 40 8060 100

64dpi

16dpi

08dpi

04dpi

32dpi

02dpi

pー01

pー02

pー03

pー04

pー05

pー06

pー07

pー08

pー09

図9.検証に用いた景観の多重解像度画像および数値化の結果

図7.各解像度の面積配分を示すグラフ

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

図12.解像度ごとの景観要素64dpi

32dpi

16dpi

8dpi

4dpi

2dpi

64dpi32dpi16dpi 8dpi 4dpi 2dpidpi

立体看板

看板照明

カーテンウォール

壁タイル

広告看板

避雷針

乗用車

窓ガラス

マリオン

街灯

景観要素

カーテン

樹木

植木

換気口

サッシ

非常階段

貯水タンク

ビルエントランステレビアンテナ

64 32 16 8 4 2dpi

number = total

window---- window glass

---- window frame

fence ---- panel (white)

road-------- asphalt-------- white line

outside stairs

guardrail

--- mirrored image

---- handrail

---- stone

marion

treepeople

-------------

-- concretewall -- brick-------

carsky

traffic light

omotesando 02

1 11 12 23

6 5 27 6 38 7 4 6 5

2 13 2

14 35 4

4 35 4

9 8 5 7 68 7

6 9 810 911 10 7 10

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50 a-4

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50a-3

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

a-1

b-1

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

a-1

b-1

ⅰ)原画像(64dpi)

ⅱ)解像度の異なる画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi,1dpi)

ⅲ)変化領域を示した画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi)

ⅳ)多重解像度画像(64dpi)

ⅴ)各解像度の分布を示した画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi)

2 1

32

バイキュービック法によって解像度を下げニアレストネイバー法によってピクセル寸法を戻す

11

4 2

1

1 5

解像度操作

2 1

32

2 3

21

2 2

3 1

演算の元となる画像の輝度値

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

0 1

01

0

00

1 10 0

1 1

0

2 2

演算:差の絶対値

各解像度の画像のピクセルの輝度値の差の絶対値を演算

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

演算の元となる画像の輝度値

2 3

22

11

4 32 2

3 2

1

3 5

演算:比較(明)

各部分で最も変化の大い解像度を採用した画像の合成

図3.多重解像度画像の作成過程における各画像と画像処理の関係

演算の元となる画像の輝度値

11

4 2

1

1 5

2 1

32

0 1

00

0

00

1 00 0

0

0

0 21

演算:減算

多重解像度画像を各解像度へ分解

2 3

21

2 2

3 1

①多重解像度画像の作成

 図3は、多重解像度画像の作成および、多重解像度画像

を適応された解像度ごとに分解するために用いた画像処

理の課程を示している。以下に図3内のⅰ~ⅳの各画像を

得るための操作について具体的に述べる。

ⅰ)記述の対象である景観画像をデジタルカメラで撮影し、

 コンピュータに取り込む。コンピュータに取り込んだ

 画像は、72dpi24bitのカラー画像となるが、ピクセルの

 輝度値およびその分布のみに着目するため8bit256階調

 の白黒濃淡画像とし、64dpiに設定する。この画像を画

 像処理の元となる原画像とする【図4】。

ⅱ)原画像を元に1dpi、2dpi、4dpi、8dpi、16dpi、32dpiの

 画像を作成する。ここで作成する1から32dpiの画像は

 64dpiから解像度を下げる際に画像サイズが縮小される

 が以降の処理において、画像同士の演算を行うには各

 画像が同一の画像サイズの必要があるため解像度設定

 によって再び64dpiとし、画像サイズを戻している。た

 だしこの画像は、解像度を下げた段階での各画像のピ

 クセルの輝度値の画像全体に占める割合を保ったまま

 単純に拡大した状態で、部分ごとの輝度値の分布は解

 像度を下げた状態と等しいため本文中では32dpi、16dpi、

 8dpi、4dpi、2dpi、1dpiと表記している。

ⅲ)作成した1dpiから64dpiの画像を、解像度の低い方から

 順に2枚ずつ、対応すピクセルの輝度値の差の絶対値を

 演算する。結果得られる画像は、差が大きい部分ほど、

 明るく表示された画像となる。この操作をすべての解

 像度の画像に対して行う。

ⅳ)差の絶対値によって表された画像を、解像度の低い方

 から順に比較し、画像中の部分ごとに、各解像度の画

 像の中で、最も明るいものを採用した一枚の画像を合

 成する。ここで採用された各部分における最も明るく

 表示された解像度は、異なる解像度の画像同士の比較

 において最も明確に変化が見られた段階であり、その

 部分における情報密度を示すのに適した解像度だと考

 えられる。

この合成画像が、複数の異なる解像度によって構成され

2.分析手法の作成

 デジタル画像は一定のサイズの中に均質に配置された

ピクセルによって示されており、一枚の画像の解像度は

均一である。そこで、ここでは複数の画像処理を併用す

ることで、画像中の各部分において情報密度ごとに異な

る解像度を適応し、複数の解像度が同時に存在する多重

解像度画像の作成を行う。一般的に、解析を目的とした

画像処理には、専用のソフトウエアやコンピュータ言語

によるプログラムが用いられるが、本研究では市販の画

像処理ソフト(Adobe Photoshop5.5)を用いることで、簡

便で汎用性のある手法の提案を試みる。

研究の位置づけ 

 記述は物事の様相を、ある構造を持った図や文章に還

元することで、抽象化をおこなったものとして、旧来よ

り建築学の分野では、主に都市空間を対象に、目的に応

じて様々な形で行われている【図2】。多様な要素で構成

されている都市景観の分析において、記述を行い着目す

る要素の抽出を行う事は有効な手段の一つであり、多く

の場面で用いられてきた。景観の特徴を定量化し、記述

することを目的とした研究として、代表的なものに樋口*1)

による一連の景観構造に関する研究がある。またフラク

タル理論の応用*2)や、エッジ検出による景観の線要素の

抽出*3)*4)などコンピュータ画像処理技術を援用し、他分

野での成果を取り入れた研究も見られる。本研究は景観

の特性を定量的に記述する研究に属するものであり、デ

ジタル画像を元に、画像処理技法を援用した景観の記述

およびその分析と位置づけられるが、解像度という尺度

指標に着目したという点で既往の研究と異なるものである。

補注1.対象は、東京都渋谷区内において代表的な5本の街路を選定し、各街路 で 無作為に選択した2箇所からそれぞれ10mずつ移動し10枚(100m)街路に 対して平行に撮影おこなった計100枚の画像とする。

参考文献*1.樋口忠彦:景観の構造,技報堂出版 ,1975年10月*2.伊藤恭行 他:画像データにおける動的エッジ検出法, 日本建築 学会計画   系論文報告集, 1993年11月.*3.奥俊信:フラクタル理論に基づいた建物の集合形態の特徴分析, 日本建築  学会情報システム技術委員会 弟20回情報システム利用技術シンポジウム,   pp.181-185,1997年.*4. 近藤裕幸他:コンピュータ画像処理による都市的景観の研究-街路景観   の水平垂直強度について,日本建築学会学術講演慨集1992年8月*  飯塚拓生:コンピュータ画像処理による都市的景観の研究-1-日本建築学   会学術講演梗概集F,1991年*  木多道宏 他:都市景観における色彩の評価構造に関する研究, 日本建築   学会計画系論文集, pp.147-154, 1997年12月.*  矢野隆次郎 他:画像としての都市景観のゆらぎの解析,  日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.379-380, 1999年9月.

*  番場俊宏他:解像度を指標とした空間記述に関する研究 その1多重解像度  画像を用いた景観分析手法.日本建築学会情報システム利用技術シンポジ  ウム

 上記2枚のb-1、b-2は、共に各画像の主体要素を変化

させた際の推測される点に

ついて本手法の再現性を確

認することを目的に、それ

ぞれ樹木、壁面の構成に着

目し、他の要素が類似する

ようにして比較を行った。

a-1,b-1は、同じ視点から撮影した季節の違う景観であ

り、a-2,b-2は共に画面全体を壁面が覆っている画像で

ある。また、手法開発に用

いた画像とa-3の比較から、距離によって解像度の適応

のされ方に変化があること

も確認された。

図10.街路ごとの解像度の変化

多重解像度画像との比較より、その明るさから表参道02、道玄坂01は情

報の分布状況が異なる事がわかる。旧山手の特性については、解像度の

適応のされかたより景観中の平滑な建築壁面および空の量が要因である。

②解像度の面積配分比較

ⅴ)多重解像度画像から抽出したい解像度より低い解像

度の部分の合成画像を減算し、得られる画像から閾値を1

とした2値画像を作成する。ここで、抽出したい解像度よ

り高い解像度の部分は当該解像度のピクセルより小さく

白く表示される。次にⅱ)と同じ解像度操作により、そ

れらを含むピクセルは完全な黒ではなくグレーで表示さ

れる。この画像を、再び閾値1の2値画像とすることで、

高解像度のピクセルを含む部分は消去される。この操作

をすべての解像度に行い、抽出したい解像度及び低い解

像度の部分が黒で表示された仮画像を作成する。次に仮

画像の低解像度から順に2枚ずつ、高い方から低い方を減

算することで、結果黒く表示された部分が各解像度に相

応する部分となる【図6】。この画像を解像度設定で1ピ

クセルで表示させた際、表示されるグレーの濃度値が多

重解像度画像中の各解像度の割合である【図7】。

3.手法の有意性の検証

ここでは、2章で示した多重解像度画像の記述としての

構造の検証を行い、分析の予備的段階としての本手法の

有意性について考察する。

① パターン画像による記述の構造の検証

 情報密度の定義は画像サイズが一定の場合、「画像中

がいくつの異なる情報によって分割されているか」と換

言できる。そこで均質に複数に分割したパターン画像に

適用することで、多重解像度画像おける解像度と情報密

度の相関関係の分析を行った。結果、高解像度は隣り合

うピクセルの輝度値に差のある部分に適応されており、

こうしたエッジを多く含む細かく分割された画像ほど高

解像度で表示される事が確認された。

②景観への適応 

 都市景観の典型的な事例として、図9に示す景観画像に

適用する事で、本手法の特徴について考察する。各景観

画像の多重解像度画像において複数の異なる解像度が適

応されていることがわかる。また、樹木や看板は高解像

度で、空や建築壁面における平滑で広い面は低解像度で

表示されており、原画像との比較より、景観の情報密度

に相応しい解像度によって表示された画像だと考えられる。

個別に特徴を述べると、a-1は部分ごとの解像度および明

るさの変化が少ないことから、情報の変化が少なくほぼ

均質な情報密度の景観だと考えられ、a-2は、景観の主要

素が建築であり、すべての解像度が離散的に分布している。

a-3に関しては、画像内が高解像度と低解像度の領域に分

かれており、建築のスカイラインに対応している。a-4で

も同様の事が言えるが、樹木部分以外はa-2に比べ低解像

度で明るく表示されており、単純な形態の明確な境界で

あることがわかる。各解像度の面積配分に着目すると、a-

3を除き64dpiが最も多いが、これはパターン画像による検

証の結果から、輪郭への適応が大きな要因だと考えられる。

た多重解像度画像である

【図5】。多重解像度画像

では、どのピクセルに相

当するまとまりで表示さ

れているかによってそれ

ぞれの部分がどの解像度

の段階で最も大きく変化

したかを示し、明るさは

その変化の大きさを示す。

1.はじめに

研究の背景と目的

 近年、建築設計、計画においてもデジタル画像を扱う

機会が増え、デジタルカメラ、プリンタ等の入出力装置

は日常的に用いられている。デジタル画像は、一般的に

機器の解像度に影響され、画質とデータ容量が決定され

ることから、画像の種類、用途に応じた解像度を設定す

る必要がある。

 解像度は、画像処理ソフトにより操作する事が可能で

ある。その際、均質で広い面は解像度を下げても変化し

ないが、細かく分節された箇所では情報が破棄され平滑

化される。これは、画像の総ピクセル数が減少し、本来

の密度で情報を構成できなくなったためである。したがっ

て、一枚の画像中には、異なる密度で情報が分布しており、

高い解像度を要する部分は情報密度が高く、低い解像度

でも対応できる部分は情報密度が低いと考えられる。本

研究における情報とは、白黒濃淡のデジタル画像に反映

された、景観を構成する要素の外形の細かさや色の濃淡

であり、情報密度はそうした情報の反映された、ピクセ

ルの輝度値の変化および、その分布状況を示す。都市景

観を考えたとき、たとえば建築ファサードにおいて平滑

で広い面をもった部分と細かく分節された部分では異なっ

た情報密度をもっている【図1】。ここでは、こうしたデ

ジタル画像と解像度の特性に着目し解像度操作を行い、

各部分ごとに元の画像から情報がおおむね変化しない解

像度の中で、最も低いものを、その部分に適した解像度

として採用して1枚の画像に再合成する。この「情報に適

した異なる解像度が1つの画像の中に複数含まれる画像」

を多重解像度画像と呼ぶことにする。

 本研究は、都市景観がもつ情報密度を明らかにし、そ

の階層性やテクスチャを把握する事を目的に、多重解像

度画像を用いた分析手法の提案を行う。

明治02-B

旧山手01-J解像度を指標とした空間記述に関する研究

多重解像度画像を用いた景観分析

      指導教員 吉松秀樹助教授                         0ACAM025 番場俊宏

  

Research on Space Notation by the Resolution                       Toshihiro Banba

The method of urban scene analysis by using multi-resolution image

2001年度修士論文 梗概集 東海大学工学研究科建築学専攻

 以上の結果から、多重解像度画像は要素の種類に関係な

く、外形の細かさや色の濃度変化といった景観全体におけ

る情報の分布状況を示すことが可能だと考えられる。グラ

フとの併用により、画像同士の情報密度の相対的な比較も

可能であるが、建築等スケールを持った要素を定量的に扱

う際は、撮影の距離および原画像のサイズが一定の必要が

ある。また画像中の明るさに着目することで、解像度の変

化に伴う周辺との関係性を知ることが可能である。本手法

は原画像および原画像よりも低解像度で、多重解像度画像

を作成するため景観画像を正方形によって粗視化したもの

で詳細な要素の判別は、原画像との比較が必要であるが景

観の大きな構造に着目するのに適した記述だと考えられる。

4.多重解像度画像によって示される街路景観の特性

 本章では都市の街路景観を対象に本手法の景観分析へ

の適用の可能性を複数の視点から検討する【注1】。

①街路ごとの情報密度の推移:

 図10は、街路ごとに撮影地点の解像度の変化を示して

いる。このグラフから「高解像度で連続している」(表

参道02、道玄坂02)「段階的に変化する」(代々木02)

といった街路全体における情報密度の傾向を把握する事

ができる。また、今回対象とした景観の多くが、64dpiを

中心に構成されているのに対し【図11】、旧山手02ではa

以外bからfまで32dpi、16dpiを主体としている。

②街路内の特徴点:

 図10において、隣り合う画像との変化の顕著な部分に

ついては、その要因として樹木(旧山手01-J)や、特異な

建築ファサード(明治02-B)、建築壁面の高さの変化に

よる、遠景の見え方の変化といったものがあげられ街路

内の特徴点を現していると推測される。

③景観要素抽出:

 図12は、多重解像度画像から抽出した各解像度の画像

を原画像に重ねる事で要素の抽出をおこなったものである。

5.まとめ

 本研究は、解像度を指標とする事で、都市景観に見ら

れる不均質な情報の分布状況を記述するために、コンピ

ュータ画像処理によって、情報密度ごとに異なる解像度

が適応された多重解像度画像の作成手法を提案した。ま

た適用例から、多重解像度画像が景観全体における情報

の分布状況を示すことが可能であると確認された。具体

的な分析には、評価特性との対応が必要ではあるが、本

論においては、複数の街路景観への適応によって多重解

像度画像の景観分析への活用の可能性を示した。また本

論では、都市の街路景観への適用に止まったが、今後は

その主体としての建築を中心に分析を進めることで、フ

ァサードデザイン等設計活動へ新たな指標となることも

視野に入れた研究に対しても意義があると考えられる。

a-3渋谷駅前交差

図6.多重解像度画像に適応   された64dpiの領域

パターン画像は、白(輝度値255)と黒(輝度値

0)が交互に並ぶように1(1×1)から65526

(256×256)に分割した9枚の2値画像とする。

p-04:16×16(256分割)

p-09:256×256(65526分割)

図8.パターン画像とその多重解像度画像中の解像度ごとの面積配分

図4.原画像

図1.景観中の建築ファサードにおける情報密度の差異

32dpi64dpi

細かく分節された開口部周辺:高情報密度解像度操作に伴う変化が顕著に見られる

広く平滑な壁面:低情報密度解像度の操作に伴う変化が少ない

図5.多重解像度画像

B

D

A

C

a-2道玄坂

areaA:低解像度・低輝度:情報の量が少なく含まれる情報に明確な差異がない

areaB:高解像度・高輝度:情報の量が多く含まれる情報に明確な差異があるareaC:低解像度・高輝度:情報の量は少ないが含まれる情報に明確な差異あるareaD:高解像度・低輝度:情報の量は多いが含まれる情報に明確な差異がない

A B C D E F G H I J

0

50%

A B C D E F G H I J

旧山手01

旧山手02

明治01

明治02

表参道01

表参道02

代々木01

代々木02

道玄坂01

道玄坂02

図11.各画像中に最も多く適応された解像度

64dpi32dpi16dpi 8dpi 4dpi 2dpi

6715164 4

a-1表参道(夏期)

b-2丸の内

b-1表参道(冬期)

a-4代々木

表参道02-B

旧山手01-J

道玄坂02-H

代々木02-C

明治02-B

図2.都市空間を対象とした記述の目的による分類

 ユークリッド距離に基づく地図を、あるパラ

メーターを用いて変形したものを中心に、物理

的な特徴だけでなく、人の認知特性など実際に

は目に見ることのできない要素を扱ったものも

多い。

 ダイアグラムやチャートなど抽象図式を持っ

たドローイングとして示したものが多く。アク

ティビティや、プログラムの関係性など、具体

的な形態のデザインに至る前の段階が記述の対

象となっている。

イメージとして想起する空間や、現実としては

存在しない想像・空想の中の空間、抽象的な空

間が対象となっている。

都市を分析可能にするための予備的段階

計画の段階で用いられるもの

記述自体を目的としたもの

コンピュータによる記述の実例 目的と特徴

集落のアクソノメ

トリック表現

都市シミュレーショ

ン(流体都市)

データタウン

%0 20 40 8060 100

64dpi

16dpi

08dpi

04dpi

32dpi

02dpi

pー01

pー02

pー03

pー04

pー05

pー06

pー07

pー08

pー09

図9.検証に用いた景観の多重解像度画像および数値化の結果

図7.各解像度の面積配分を示すグラフ

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

図12.解像度ごとの景観要素64dpi

32dpi

16dpi

8dpi

4dpi

2dpi

64dpi32dpi16dpi 8dpi 4dpi 2dpidpi

立体看板

看板照明

カーテンウォール

壁タイル

広告看板

避雷針

乗用車

窓ガラス

マリオン

街灯

景観要素

カーテン

樹木

植木

換気口

サッシ

非常階段

貯水タンク

ビルエントランステレビアンテナ

64 32 16 8 4 2dpi

number = total

window---- window glass

---- window frame

fence ---- panel (white)

road-------- asphalt-------- white line

outside stairs

guardrail

--- mirrored image

---- handrail

---- stone

marion

treepeople

-------------

-- concretewall -- brick-------

carsky

traffic light

omotesando 02

1 11 12 23

6 5 27 6 38 7 4 6 5

2 13 2

14 35 4

4 35 4

9 8 5 7 68 7

6 9 810 911 10 7 10

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50 a-4

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50a-3

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

a-1

b-1

解像度 (dpi)

各解像度が画像中で占める割合 (%)

2 4 8 16 32 64

10

0

20

30

40

50

a-1

b-1

ⅰ)原画像(64dpi)

ⅱ)解像度の異なる画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi,1dpi)

ⅲ)変化領域を示した画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi)

ⅳ)多重解像度画像(64dpi)

ⅴ)各解像度の分布を示した画像(64dpi,32dpi,16dpi,8dpi,4dpi,2dpi)

2 1

32

バイキュービック法によって解像度を下げニアレストネイバー法によってピクセル寸法を戻す

11

4 2

1

1 5

解像度操作

2 1

32

2 3

21

2 2

3 1

演算の元となる画像の輝度値

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

0 1

01

0

00

1 10 0

1 1

0

2 2

演算:差の絶対値

各解像度の画像のピクセルの輝度値の差の絶対値を演算

2 3

21

11

4 22 2

3 1

1

1 5

2 1

32

演算の元となる画像の輝度値

2 3

22

11

4 32 2

3 2

1

3 5

演算:比較(明)

各部分で最も変化の大い解像度を採用した画像の合成

図3.多重解像度画像の作成過程における各画像と画像処理の関係

演算の元となる画像の輝度値

11

4 2

1

1 5

2 1

32

0 1

00

0

00

1 00 0

0

0

0 21

演算:減算

多重解像度画像を各解像度へ分解

2 3

21

2 2

3 1