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すざく衛 データを いた X Holmberg IX X-1 X-ray study of Ultra Luminous X-ray Source Holmberg IX X-1 with Suzaku BP12127 員: 1 背景と目的 ブラックホール(以 BH10M (M ) BH 10 6 M BH している。しかしこれら BH があるか うか ある。 、2 BH BH して X (ULX:Ultra Luminous cmpact X-Ray source[1]) されている。大 して じる BH ある、 20M エディントン えて 体コ ンパクト X ある。またエディントン BH あり、これ ガスが BH する する 圧が BH い、 それ以 ガスが ある。エディントン L Edd ように M する。 L Edd =1.5 × 10 31 M M [J/s] (1) すざく された ULX:HolmbergIX X-1 し、そ 体に る。 HolmbergIX X-1 BH ある 、2 BH する がかりに る。 2 すざく衛星による HolmbergIX X-1 の観測 HolmbergIX X-1 から 1200 にある M81 ある HolmbergIX する ULX ある [2]扱う「すざく」衛 [3] 2005 7 に打ち げられた 5 X あり、5 X (XRT:X-ray telescope) 5 されている。X に対する 1 よりわずかに さい いう っているため、 すれすれ に対して させ けれ い。 ために けれ く、こ XRT された [4]。こ XRT すパラ メータ して角 [HPD] いう がある。角 れだけ えられるかを した HPD X 50 %が められる円 ある。つまりこ HPD さいほ されている。こ XRT 2.0[HPD] ある [5]4 X CCD カメラから され XIS[6] X HXD[7] から る。HolmbergIX X-1 、こ すざく衛 により 2012 4 13 から 4 17 および 2012 10 21 から 10 28 って された。 まず すざく された HolmbergIX X-1 データ めた。 3 データリダクション 3 XIS から られた HolmbergIX X-1 X イメー ある。 さい円 囲われた HolmbergIX X-1 ある。 2つ をバックグ ンドノイズ (BGD) してスペクトルを る。こ データを いて めていく。データからスペク トルを するために heasoft[8] いう X データ フトを した。 1 3 から BGD ソース ペクトルを す。 がソース スペクトル がバッ クグラ ンドノイズ スペクトル ある。こ ソースから バックグラ ンドノイズ スペクトルを し引くこ HolmbergIX X みを るこ る。 1: XIS から X イメージ ! " # !$ !% $&$! $&! ’()*+,-./0 2(3’45 5 !! 6/7 !! 8’/)9: ;6/7< 2: ソーススペクトル ( ) BGD スペクトル ( ) 4 スペクトル解析 4.1 応答関数の作成 する。データをより する為に によるスペクトル変 する がある。 為に ARF RMF する [9]3に した ARF すグラフを す。 1 10 0.5 2 5 0 100 200 300 Effective Area (cm 2 ) Energy (keV) 3: ARF すグラフ 4.2 スペクトル解析に使用する放射モデル ここま られたスペクトルを する モデルを、 χ 2 する。 diskbb モデルに をかけ たモデル power-law モデルに をかけたモデル いてフィッティングを った。diskbb モデル ブラックホール 囲に するガス [10] から すモデル ある [11]high/soft 態に れる。 する ガスが運 エネルギー して宇 する した モデル あり、エネルギー

すざく衛星の観測データを用いた超光度X Holmberg IX X-1...すざく衛星の観測データを用いた超光度X線源Holmberg IX X-1の 解析 X-ray study of Ultra

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  • すざく衛星の観測データを用いた超光度X線源Holmberg IX X-1の解析

    X-ray study of Ultra Luminous X-ray Source Holmberg IX X-1 with Suzaku

    宇宙情報解析研究室 BP12127 吉岡 鉄平 指導教員:久保田 あや 准教授

    1 背景と目的

    ブラックホール(以後BH)は 10M⊙程度 (M⊙は太陽質量)の恒星 BHと 106M⊙ 以上の大質量 BHの2種類の存在が確立している。しかしこれら BHの間には関係があるかどうか未だ不明である。近年、2種の BHの中間の質量をもつBHの候補として超光度X線天体 (ULX:Ultra Luminouscmpact X-Ray source[1])が発見されている。大質量星の重力崩壊の結果として生じるBHの質量の理論的上限である、20M⊙ のエディントン限界光度を超えて輝く超光度天体コンパクト X線源である。またエディントン限界光度とは質量降着で輝く BHの最大光度であり、これはガスが BHに降着すると発生する光の放射圧が BH の重力と釣り合い、それ以上ガスが降着しなくなる光度である。エディントン限界光度 LEddは次式のように天体の質量M に比例する。

    LEdd = 1.5× 1031M

    M⊙[J/s] (1)

    本研究ではすざくで観測されたULX:HolmbergIX X-1を解析し、その放射機構を決定し天体の正体に迫る。HolmbergIXX-1が中間質量 BHである場合、2種 BH間の関係を解明する手がかりになる。

    2 すざく衛星によるHolmbergIX X-1の観測

    HolmbergIX X-1は地球から 1200万光年先にあるM81渦巻銀河の伴銀河である HolmbergIX不規則矮小銀河に付随する ULXである [2]。本研究で扱う「すざく」衛星 [3]は、2005年 7月に打ち上げられた日本で 5番目のX線天文衛星であり、5つの X線反射鏡 (XRT:X-ray telescope)と 5つの焦点面検出器が搭載されている。X線は金属に対する屈折率が 1よりわずかに小さいという特徴を持っているため、鏡面すれすれの角度に対して全反射させなければならない。そのためには特殊な全反射鏡を用いなければならなく、このXRTが開発された [4]。このXRTの結像性能を表すパラメータとして角分解能 [HPD]というものがある。角分解能とはどれだけ微小な空間を捉えられるかを表した視野角の角度で、HPDは X線の全光量の 50%が集められる円の直径である。つまりこのHPDの値が小さいほど結像性能が良いとされている。このXRTの角分解能は 2.0[HPD]である[5]。焦点面検出器は 4台の X線 CCDカメラから構成される XIS[6]と硬 X線検出器 HXD[7]からなる。HolmbergIXX-1は、このすざく衛星により 2012年 4月 13日から 4月17日および 2012年 10月 21日から 10月 28日に渡って観測された。今回まずはこのすざくで観測された HolmbergIXX-1のデータ解析を始めた。

    3 データリダクション

    図 3は XISから得られた HolmbergIX X-1の X線イメージ画像である。中心の一番小さい円で囲われた黒い部分が

    HolmbergIX X-1である。外側の2つの円の間をバックグラウンドノイズ (BGD)としてスペクトルを取る。この2つのデータを用いて解析を進めていく。データからスペクトルを抽出するために heasoft[8]という X線データ解析ソフトを使用した。図 1に図 3から得た BGDとソースのスペクトルを示す。黒色がソースのスペクトルで赤色がバックグラウンドノイズのスペクトルである。このソースからバックグラウンドノイズのスペクトルを差し引くことで、HolmbergIXの X線のみを得ることが出来る。

    図 1: XISから見た X線   イメージ

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    図 2: ソーススペクトル (黒)   とBGDスペクトル (赤)

    4 スペクトル解析

    4.1 応答関数の作成

    次に応答関数を作成する。データをより再現する為には、望遠鏡や検出器によるスペクトル変化を考慮する必要がある。その為に応答関数 ARFと RMFを作成する [9]。図3に作成した ARFを表すグラフを示す。

    1 100.5 2 5

    01

    00

    20

    03

    00

    Eff

    ective

    Are

    a (

    cm

    2)

    Energy (keV)

    図 3: ARFを表すグラフ

    4.2 スペクトル解析に使用する放射モデル

    ここまでで得られたスペクトルを再現する放射モデルを、χ2検定で検証する。今回は diskbbモデルに星間吸収をかけたモデルと、power-lawモデルに星間吸収をかけたモデルの2種類を用いてフィッティングを行った。diskbbモデルは、ブラックホールの周囲に存在するガスで出来た光学的に厚い標準降着円盤 [10]からの多温度黒体放射を表すモデルである [11]。降着率の高い high/soft状態に表れる。降着するガスが運動エネルギーの半量を黒体放射として宇宙空間に開放すると仮定した理論モデルであり、エネルギー解放を

  • 解くことにより、ブラックホールから距離 rにおける円盤の局所温度 T (r)が T (r) ∝r−4/3と得られる。スペクトルを記述する物理量は円盤の最内縁の半径 rinとその位置での温度Tinのみである。一方、降着率の低いBH(low/hard状態)では、円盤のガスは光学的に薄くなり、スペクトルはベキ関数(power-law)となることが知らされている。E−Γで表されるスペクトルの光子指数 (ベキ Γ)は、典型的に Γ ∼ 1.4− 1.6程度であり [12]、これは低いエネルギーの光子が高エネルギーの電子によって逆コンプトン散乱されたスペクトルとしてよく説明できる。面白いことに、high/soft 状態よりさらに光度の高い veryhigh state(VHS)では Γがより大きな(ソフトな)power-lawで表されることが多い。逆コンプトン散乱を表すモデルとして、より正確なモデルに nthcompがある。これは光子指数 Γと normalizationの他に、低エネルギーの温度 kTbb、高エネルギー電子の温度 kTe をパラメータに持つ。

    10−5

    10−4

    10−3

    Pho

    tons

    (cm

    −2 s

    −1 k

    eV−

    1 )

    1 2 5−5

    0

    5

    χ

    Energy (keV)

    図 4: diskbb

    10−5

    10−4

    10−3

    Pho

    tons

    (cm

    −2 s

    −1 k

    eV−

    1 )

    1 2 5

    −4

    −2

    0

    2

    χ

    Energy (keV)

    図 5: powerlaw

    10−4

    10−3

    Pho

    tons

    (cm

    −2 s

    −1 k

    eV−

    1 )

    1 2 5

    −4

    −2

    0

    2

    χ

    Energy (keV)

    図 6: nthcomp

    4.3 diskbbモデルによる解析

    図 4は 4月 13日に観測されたデータ及びベストフィットモデル(実線)とデータとモデルのズレを χ2値で示したもので、モデルはデータを再現していない。実際 χ2値は自由度2108に対し χ2 = 2.389であった。これが 1に近いほどモデルがデータをよく再現できているということになる。1より大きい場合は、モデルがデータを再現できていないことを意味し、1よりはるかに小さい場合はモデルのパラメータが多すぎる、または誤差が大きすぎるということになる。

    4.4 power-lawモデルによる解析

    図 5は図 4と同じデータを使い wabs×powerlawモデルでフィッティングしたデータとベストフィットモデル(実線)、及びデータとモデルのズレを χ2値で表したものである。また表 1には 10/21、10/24、10/26の分も含めたベストフィットパラメータを示す。4/13の reduced χ2(χ2/dof)の値を見てみると、1.05となり、モデルが再現出来ている事がわかる。

    4.5 nthcompモデルによる解析

    図 6 は図 4 と同じデータを使い wabs×nthcomp モデルでフィッティングしたデータとベストフィットモデル(実線)、及びデータとモデルのズレを χ2値で表したものである。表2にそのベストフィットパラメータを示す。kTe の値は 30で固定されている。χ2 の値を見てみると χ2=1.09となり、こちらも powerlaw同様モデルが再現出来ている事がわかる。powerlawに比べると少し X線光度の値が小さい。

    5 まとめと考察

    4/13、10/21、10/24、10/26のデータをそれぞれモデルフィットした。その結果を図 7に示す。パラメータは上からX線光度、光子指数、円盤温度、内縁半径 rin である。グラフを見ると4回の観測では時間の経過と共に光度 Lxが高くなっており、光子指数は大きくなっている。円盤温度が高くなるほど内縁半径が小さくなっていることもわかる。これより、明るくなるにつれて降着円盤が内側まで発達してくると考えられる。すなわち、Holmberg IX X-1 は質量117M⊙以上の大質量ブラックホールが明るく輝く VHSとして矛盾なく説明できる。

    モデル パラメータ ベストフィット観測日 (2012) 4/13 10/21 10/24 10/26

    wabs 10−2NH 9.73 9.5 12.01 11.65±0.730.72 ±0.83 ±0.810.80 ±0.790.78

    power-law Γ 1.65 1.65 1.72 1.72±0.013 ±0.014 ±0.013 ±0.013

    power-law 10−3×norm 1.64 1.63 1.91 1.96±0.027 ±0.029 ±0.0330.032 ±0.0330.032

    χ2/dof 1.05 1.05 0.99 1.01dof 2148 2108 2157 2184

    flux(10−18J/(s×cm2)) NH=free 0.961 0.960 1.019 1.0510.7-10keV

    X線光度 (1033W ) NH=free 1.593 1.593 1.689 1.742

    表 1: power-lawでフィットしたベストフィットパラメータ

    モデル パラメータ ベストフィット観測日 (2012) 4/13 10/21 10/24 10/26

    wabs 10−2NH 6.46 7.35 10.42 10.16±0.02 ±0.020.03 ±0.020.04 ±0.020.03

    nthComp Gamma 1.64 1.66 1.72 1.73±0.0130.006 ±0.015 ±0.0120.019 ±0.0160.017

    nthComp kTe(keV) 30 30 30 30nthComp kTbb(keV) 0.147 0.148 0.137 0.133

    ±0.0260.027 ±0.0340.032 ±0.0430.031 ±0.0350.039nthComp 10−5×norm 1.376 1.565 1.844 1.903

    ±5.1096.582 ±6.92410.29 ±7.53715.49 ±7.25211.62x2/dof 1.09 1.05 0.98 1.01dof 2588 2107 2156 2183

    flux(10−19J/(s×cm2)) Nh=free 8.684 9.630 10.21 10.530.7-10keV

    X線光度 (1033W ) Nh=free 1.439 1.596 1.692 1.744

    表 2: nthcompでフィットしたベストフィットパラメータ

    1.41.51.61.71.8

    (103

    3 W)

    Lx

    1.661.681.7

    1.72

    Γ

    0.10.120.140.16

    kTbb

    50 100 150 2003000

    4000

    5000

    6000

    Rin[k

    m]

    MJD−56000

    図 7: 4つのデータの時間変化

    References[1] Makishima, K. et al, 2000, ApJ, 535, 1[2] Miyawaki, R. et al, 2009, PASJ, 61, 263[3] Mituda, K. et al. 2007, PASJ, 59, 1[4] Serlemitsos P. J., et al., 2007, PASJ, 59, 9[5] すざくヘルプ編「すざく解析マニュアル」[6] Koyama, K. et al. 2007, PASJ, 59, 23[7] Takahashi, T. et al. 2007, PASJ, 59, 35[8] Nasa’s HEASARC:Software

    http://heasarc.gsfc.nasa.gov/lheasoft/[9] すざくヘルプ編 「すざく解析マニュアル」

    [10] Shakura Sunyaev, 1973, AA, 24, 337[11] Mitsuda, K. et al. 1984, PASJ, 36, 741[12] Done, C. et al. 2007, AandARv,17