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【重要ポイント】
• 「目標とする被験者数」の確保の責任は治験責任医師にありますが、担当スタッフ全員(治験担当医師、CRCなど)で取り組むことが必要です。
• 以前のGCPでは契約書中に、治験依頼者と治験責任医師間で事前に合意した「目標とする被験者数」にて、契約を交わしていましたが、GCP改訂(平成24年12月28日)により、契約書中への記載は不要となりました。ただし、治験中の手続きの簡素化のために契約書からの記載が削除されたのみであり、目標被験者数の合意の重要性は変わっていません。
• 「目標とする被験者数」を、治験依頼者と合意する必要があるため、お互いに何らかの形で契約書とは別に記録に残しておく必要があります。
• 治験の実施可能性を治験依頼者に示すために、実施件数や登録達成状況をHP上に、公開している医療機関が増えています。
<関連する治験119>
• 質問番号:2013-12 目標とする被験者数の合意記録<参考資料>
• GCP 第42条• 薬事法施行規則等の一部を改正する省令(案)に関する意見募集の結果について(平成21年2月6日)
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【重要ポイント】
• 主に3つのステップを経ることにより、被験者登録を計画通りすすめることが可能となります。
• 被験者候補リストを作成して、どのタイミングでどの患者に、治験説明・同意・投薬するかなどを決めて実行します。
• 実施中には登録実績を把握して、必要であれば対策を講じます。• 各ステップで、被験者募集・適切な同意説明で誤解による脱落を防ぐ工夫を取り入れることも有用です。
各ステップについては、次のスライドから説明します。
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【重要ポイント】
• 被験者候補リストを利用することで、治験中、被験者登録のためにチェックする患者を最小限に抑えることができます。
• 一方、被験者候補リストを作成しないと、カルテを一から閲覧して被験者を見つける必要があるため、大きな労力を費やすことになります。
• 被験者候補リストの作成を手間と考えるかもしれませんが、被験者集積全体を見ると、効率化につながるステップの1つとなります。
• さらに、行き当たりばったりの被験者登録にならないため、無理なく、より治験に適した被験者を見出すことが期待できます。
次スライドで、被験者候補リストの具体的な作成手順を説明します。
<参考資料>
• 医療機関におけるマネジメント業務の検討 2014 年 4 月版 日本製薬工業協会
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【重要ポイント】
一次から三次スクリーニングの手順をふむことで、精度の高い「被験者候補リスト」を作成することができます。
治験依頼者と相談して、被験者候補リストの作成手順を確認することも重要です(一次スクリーニングで利用する項目の決定など)。
①一次スクリーニング
• 例えば糖尿病患者を対象とした治験の場合、登録に必要なHbA1cが未測定であっても、空腹時血糖又は併用薬から類推可能です。(未測定患者が除外されないように注意。)
• この段階で十分な被験者数の獲得が見込めない場合、当該治験の受託を困難と判断し、それ以降の作業を中止することも検討します。
②二次スクリーニング
• 患者に関する情報を同時に記録することで、三次スクリーニングでの順位付けがしやすくなります(次スライド参照)。
③三次スクリーニング
• 機械的な目線ではなく、より治験参加を意識して順位付けします。• 同意取得率向上のため、上位の患者から同意説明を開始します。
<参考資料>
• 医療機関におけるマネジメント業務の検討 2014 年 4 月版 日本製薬工業協会
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【重要ポイント】
定期的に更新することで、より有用なデータベースとなります。
被験者候補リストの備考に、治験参加を意識した以下の情報を載せることも、順位付けする際などに有用です。
・選択除外基準と関連した情報:
検査値の基準があれば、直近の推移を記録しておくことで順位付けの参考にできます。
かろうじて基準を満たす被験者候補が、同意取得後にスクリーニングで脱落することを避けられます。
・次回の来院日:
説明・同意時期が予測できます。
・治験参加経験:
参加経験があれば,治験に理解があるため、同意取得しやすいことが予想できます。
・患者の日常生活や性格:
特に、来院が頻回のケース、検査が絶食下又は午前中などの治験の場合は参考になります。
・エンドポイントと関連した情報:
治験依頼者からの要望があれば、関連情報を記録しておきます。より当該治験に適した被験者をリストアップできます。
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【重要ポイント】
適切な被験者登録プランを作成して上手に運用することで、無理無駄のないリソースで治験を実施することができます。
以下も参考にして、被験者登録プランを作成します。
• 季節による対象疾患の病勢変動• 競合する治験• 祝日治験が開始され、被験者登録プランとの乖離がでた場合には、対策を講じる必要があります。
「遅延」のみならず、「予想外に早い組み入れ」も試算との乖離として扱います。
<参考資料>
• 医療機関におけるマネジメント業務の検討 2014 年 4 月版 日本製薬工業協会
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【重要ポイント】
•なくせる誤差とは、同意取得率が試算と比べて低い(高い)場合などを指します。この場合は、説明する被験者候補数を増減させたり、説明内容を再検討したりすることで、プランからの乖離を改善することができます。
•誤差の原因を特定して対策を講じるとともに、被験者登録プランを更新して、試算精度を向上させることが重要です。
<参考資料>
•医療機関におけるマネジメント業務の検討 2014 年 4 月版 日本製薬工業協会
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【重要ポイント】
登録プランを作成する際は、試算との乖離を防ぐために、被験者登録の支障となり得る要因を考慮しておくことが重要です。
【必要な人数の被験者候補を集めるために】
• 治験実施計画書を十分に理解した上で被験者候補リストを作成することにより、事前の想定よりも患者が少なくなる事態を防ぐことができます。
• 患者の背景、特徴を把握することで、治験での規定を遵守し、登録可能な患者を選定することができます。
• 他科・他院からの紹介患者を想定する場合、過不足のない適切な患者数を見積もってください。
【適切な同意説明で誤解による脱落を防ぐ工夫】(対策はスライド20~22を参考にしてください)
• 治験に参加する患者さんに治験について適切に理解頂き誤解による不参加を防ぐことも重要ですので、同意説明に工夫が必要です。
【同意取得後のスクリーニング脱落を最小限にするために】
• スクリーニング期間に、検査結果等が基準に抵触して事前の想定よりも登録可能な患者が少なくなることがありますので、注意が必要です。
<参考資料>
• 医療機関におけるマネジメント業務の検討 2014 年 4 月版 日本製薬工業協会
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【GCP 第32条第1項第2号(ガイダンス)とは?】
IRBの審査対象が規定されていて、その中には以下が含まれます。
•被験者の募集手順(広告等)に関する資料
【被験者の募集手順(広告等)に関する資料とは?】
•ポスター、新聞、雑誌、チラシ、テレビ、ラジオ、ホームページなど
※情報提供に際しては、ブログやtwitterなどの形態の違いを問いません。
【重要ポイント】
•情報提供に関する手段や内容(表現)については、関連規制に従う必要があります。(詳細は、“治験に係わる被験者募集のための情報提供要領”参照。)
•当該治験の被験者募集を目的とした情報提供は、「被験者の募集手順(広告等)に関する資料」に該当するため、実施医療機関でのIRB審査が必要です。(ただし、当該治験の被験者募集を目的とした情報提供であっても情報内容・量及び提供先での使用方法によっては、必ずしもIRB審査が必要ではないことがあります。一律に判断することが難しいため、適宜、治験依頼者、治験責任医師及び治験事務局等関係者で方向性を相談して進めましょう。)
<関連する治験119>
•質問番号:2008-31 治験審査委員会による被験者紹介依頼状審査の必要性
•質問番号:2012-47 治験審査委員会による被験者紹介依頼電子メール審査の必要性
•質問番号:2014-43 他院治験の被験者募集ポスターに対する自院治験審査委員会の審査
<参考資料>
•GCP 第32条
•治験に係わる被験者募集のための情報提供要領 ‒ 改訂版(平成20年11月)日本製薬工業協会(http://www.jpma.or.jp/about/basis/guide/information.html)
•医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)(平成20年4月1日付 医政発0401040号)(www.jsphcs.jp/senmon-g/cont/koukoku2.pdf)
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【重要ポイント】
• 基本的には、治験を受けた実施医療機関の実施診療科で被験者を募集します。• 被験者集積性が悪いなど、被験者登録プラン通りに進まない場合は、実施診療科以外からも被験者を募集します。
• その1つとしては、他科及び関連病院・クリニックなどの協力を得て、そこへ受診している患者を被験者候補とします。
• 対象疾患や治験依頼者の方針によっては、マスメディア(新聞広告、TV、市民公開講座など)を通じて広く被験者を募集し、近隣の実施医療機関を紹介して治験に参加してもらうこともあります。
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【重要ポイント】
• 他科に被験者候補がいる場合、他科からも円滑に被験者登録できるような工夫も必要です。
• 場合によっては、他科の先生が治験へ参画することを検討します。• 主治医が治験業務を開始するためには、「治験分担医師・治験協力者リスト」を変更して、「治験分担医師となるべきものの氏名を記載した文書」がIRBで審査される必要があります。
• 主治医が治験担当医師になれない場合は、同意説明の時点から、被験者の担当を治験担当医師へ変更する必要があります。
• また、当該治験について理解し、被験者候補を紹介してもらうために、他科の先生のスタートアップミーティングへの参加を検討します。
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【ポスター利用の効果とは?】
被験者登録が進まない場合は、来院されるすべての患者を対象に治験を広告・募集する方法が有用です。ポスターやパンフレットに簡単な選択除外基準を記載しておくと、患者がどのような治験かイメージしやすく効果的と考えられます。
ポスターを利用するメリットとしては、以下が考えられます。
• 治験責任医師等が自分から被験者候補を探す手間が省ける• 治験参加に興味を持ち、自ら申し出たため、同意取得につなげやすい【ポスターなどで情報提供してはいけない項目とは?】
• 国内外での販売名(商品名)• 具体的な治療効果(「○○の疾患に効果あり」、「△△の症状を改善する」など)ただし、治験の対象となる疾患名は記載可能
• その他(詳細は、“治験に係わる被験者募集のための情報提供要領”参照。)
<関連する治験119>
• 質問番号:2008-51 被験者募集広告の掲示場所• 質問番号:2012-49 被験者募集広告における治験薬の治療効果の掲載<参考資料>
• 治験に係わる被験者募集のための情報提供要領 ‒ 改訂版(平成20年11月)日本製薬工業協会
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スライド14(留意点)も参考にしてください。
<参考資料>
• 医療機関におけるマネジメント業務の検討 2014 年 4 月版 日本製薬工業協会
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【重要ポイント】
被験者登録が進まない場合、治験依頼者によってはマスメディアを通じた広告をとおして被験者募集戦略をとることもあります。
コールセンターを利用した流れについて、以下に例示します。
1.(被験者候補⇒コールセンター) 媒体を見て、参加の連絡
2.(コールセンター⇒被験者候補) 治験の説明と簡単なスクリーニング
3.(コールセンター⇒実施医療機関) 予約時間の調整
4.(コールセンター⇒被験者候補) 受診手順の説明
5.(コールセンター⇒実施医療機関) 被験者情報の共有
6.(被験者候補⇒実施医療機関) 来院、受診
7.(実施医療機関⇒コールセンター) 来院の報告
<関連する治験119>
•質問番号:2005-08 被験者募集広告の街頭配布
•質問番号:2009-58 患者団体での被験者募集広告
•質問番号:2011-41 インターネットでの被験者募集
•質問番号:2011-42 インターネットでの被験者募集(その2)
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【同意説明文書の補助資料の作成の意義は?】
被験者の理解に合わせた治験の説明を実施することで、下記のような効果が期待でき、被験者登録促進に繋がると考えられます。
• 被験者が当該治験内容を十分に理解した上での自主的な同意を促せること• 当該治験に対する不明点を取り除くことによる心理的負担を軽減できる点
<参考資料>
• 医療機関におけるマネジメント業務の検討 2014 年 4 月版 日本製薬工業協会
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【重要ポイント】
補助資料としては、来院・検査スケジュールの説明にあたり、実際に患者が治験に参加した場合が想定できるような具体的なシミュレーション(実際の受診日、受診日における投与・検査等のタイムスケジュール)を説明するための図やイラストなどが考えられます。
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