11
無線応用システムの進展と多様化を支えるアンテナ・伝搬の設計・解析・測定技術論文特集 におけるアンテナ a) †† b) Overview on Vehicle Antenna Systems Junzo OOE a) and Kunitoshi NISHIKAWA †† b) あらまし ITSIntelligent Transport Systemsされるように ある「 る」「 がる」「 まる」 らず, するため められ, げている.そ いわゆる IT Information TechnologyITS するため して位 づけられ, 4 して「つ がる」 されるま っている.また,移 ある あり, して アンテナ 「つ がる」 える している. アンテナ について に, がらアンテナ める いった がら,そ について てみたい. キーワード ,アンテナ, ITS,テレマティクス 1. まえがき ある において, ある「 る」「 がる」「 まる」に えて, IT Information Technology)す わち によって 「つ がる」 されつつ ある.こ 「つ がる」 により, より, する りが り,ITS Intelligent Transport Systemsせられる 学一体 った いる. IT/ITS によって する ・安 において, たす ます ます っている. よう らず,ミリ レーダ トヨタ TOYOTA MOTOR CORPORATION, 1 Toyota-cho, Toyota- shi, 471–8572 Japan †† (株) ,愛 TOYOTA Central R&D Labs., Nagakute-cho, Aichi-gun, Aichi-ken, 480–1192 Japan a) E-mail: [email protected] b) E-mail: [email protected] かした いアプリケーション されてきている [1][3]アンテナ を一 アンテ して ,移 ガラスによる影 るこ られる. しい IT/ITS に対 するアンテナ みが されている. アンテナ について てみたい. 2. 自動車の電波応用機器 がら するニーズ くか らあり,1955 されたトヨペットクラ AM ラジオ モノポールアンテ ナが される [4]してきた. IT した システ ITS に対 した運 援システム み, IT/ITS によって らされる安 ・安 える してきている. されている を, 電子情報通信学会論文誌 B Vol. J89–B No. 9 pp. 1569–1579 c (社)電子情報通信学会 2006 1569

自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

解説論文 無線応用システムの進展と多様化を支えるアンテナ・伝搬の設計・解析・測定技術論文特集

自動車におけるアンテナ技術

大江 準三†a) 西川 訓利††b)

Overview on Vehicle Antenna Systems

Junzo OOE†a) and Kunitoshi NISHIKAWA††b)

あらまし 最近の自動車開発では,ITS(Intelligent Transport Systems)技術と総称されるように自動車の基本機能である「走る」「曲がる」「止まる」の高度化のみならず,環境適応性能や安全性能などの社会と高度に共存するための技術開発が進められ,更なる機能の進化を遂げている.その中でも情報通信技術いわゆる IT

(Information Technology)は,ITS 技術を実現するための不可欠な中核技術として位置づけられ,今や自動車の 4 番目の基本機能として「つながる」機能が定義されるまでに至っている.また,移動体である自動車での情報通信は無線が主体であり,情報の取込み口としての車載アンテナ技術は「つながる」機能を支える重要な中核要素をなしている.本論文では,車載アンテナ技術の変遷や動向について述べるとともに,自動車の意匠との整合性を保ちながらアンテナ性能を高めるといった特徴的な性能課題への取組み状況などにも触れながら,その技術概略についても述べてみたい.

キーワード 自動車,アンテナ,情報通信,ITS,テレマティクス

1. ま え が き

移動体である自動車において,自動車の基本機能で

ある「走る」「曲がる」「止まる」に加えて,昨今の IT

(Information Technology)すなわち情報通信技術の

進化によって新たな「つながる」機能が形成されつつ

ある.この「つながる」機能により,自動車の利便性向

上はもとより,交通事故低減など社会と自動車が高度

に共存する仕組み作りが可能となり,ITS(Intelligent

Transport Systems)技術と称せられる産官学一体と

なった新たな枠組みでの技術研究や商品開発も様々な

分野で進んでいる.

IT/ITS技術によって実現する自動車の安全・安心・

快適機能において,電波利用機器の果たす役割はます

ます重要になっている.放送受信や路車間通信のよう

な情報通信技術の開発のみならず,ミリ波レーダでの

†トヨタ自動車株式会社,豊田市TOYOTA MOTOR CORPORATION, 1 Toyota-cho, Toyota-

shi, 471–8572 Japan††(株)豊田中央研究所,愛知県

TOYOTA Central R&D Labs., Nagakute-cho, Aichi-gun,

Aichi-ken, 480–1192 Japan

a) E-mail: [email protected]

b) E-mail: [email protected]

車間制御や衝突回避などの電波の特徴を生かした新し

いアプリケーション開発もなされてきている [1]~[3].

一方で,車載アンテナの特徴を一般の固定局アンテ

ナとの差異として表すと,移動に伴う信号強度変動へ

の適応性能や,自動車の意匠との整合性,及び金属車

体やガラスによる影響との両立を図ることなどが挙げ

られる.進展著しい IT/ITS技術に対応するアンテナ

開発とともに様々な取組みがなされている.

本論文では,車載アンテナ技術の変遷や技術領域の

概略について述べてみたい.

2. 自動車の電波応用機器

自動車で移動しながら情報取得するニーズは古くか

らあり,1955年に販売開始されたトヨペットクラウン

には真空管式AMラジオと伸縮式のモノポールアンテ

ナが搭載されるなど [4],放送受信は自動車の商品性確

保に不可欠な機能の一部を形成してきた.

一方,近年の IT技術の進展に同期した車載システ

ムや,ITS技術に対応した運転操作支援システムの開

発が進み,電波応用機器は IT/ITS技術によってもた

らされる安全・安心・快適性能を支える基盤技術へと

進展してきている.現在製品化されている電波応用機

器を,放送受信系,車内外の無線通信系,車両制御系

電子情報通信学会論文誌 B Vol. J89–B No. 9 pp. 1569–1579 c©(社)電子情報通信学会 2006 1569

Page 2: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

電子情報通信学会論文誌 2006/9 Vol. J89–B No. 9

図 1 自動車の電波応用機器の例Fig. 1 Mobile radio and communication systems.

に分けてその代表例を図 1 に示すとともに,以下に概

略を紹介する.

放送受信系としては,広域の情報提供を目的とする

放送サービスの動向に応じて,AM/FM 放送やテレ

ビ放送あるいは衛星放送系の受信機能に限らず,道路

渋滞などの交通情報を配信する VICS(Vehicle Infor-

mation & Communication System)[5] の FM 多重

放送による情報配信サービス受信機能などが導入され

ている.

車内外との無線通信系には,今や運行支援の中核を

成すカーナビゲーション(以下,カーナビ)に欠かせな

い GPS(Global Positioning System)受信機,携帯

電話網を利用した通信システム,2.5GHz利用のVICS

情報用の電波ビーコン,5.8 GHz利用の ETC(Elec-

tronic Toll Collection System)[6] や DSRC(Dedi-

cated Short Range Communication system)などが

ある.

特に携帯電話網を用いた各種のサービス技術は,

Telecommunication(通信)と Informatics(情報科

学)と組み合わせた造語であるテレマティクス技術と

呼ばれ,トヨタのG-BOOKや日産のカーウイングス,

ホンダのインターナビなどをはじめとする様々なサー

ビスが開始している [7].

車両制御系では,UHF帯の電波を用いたドア鍵の

遠隔開閉操作システムや,タイヤ空気圧情報を伝送す

るシステムなどがある.また,狭帯域の 24GHzを用

いた盗難防止用の侵入者検知センサ,76 GHz のミリ

波レーダによる追従走行や衝突回避を行うシステムが

搭載されてきており,利便性向上に加えて安全・安心

機能の高性能化を図っている.

以上を電波の利用目的別に層別すると次のようにな

図 2 車載アンテナとして考慮すべき項目Fig. 2 Characteristics of vehicular antenna systems.

り,電波応用機器並びに要素技術としてのアンテナは,

安全・安心・快適性能を支える基盤技術として位置づ

けられている.

(a) 安全支援:接近検知による事故回避

(b) 安心提供:異常検知と通知,盗難防止

(c) 快適機能:利便機能の実現,新鮮情報の取得

次章以降では,これらの電波応用機器に用いられて

いる車載アンテナの特徴や変遷を述べる.

3. 車載アンテナの特徴

3. 1 車載アンテナに求められるもの

車載アンテナを設計する際の要件として,厳しい温

湿度環境への適応性や振動耐久性などの信頼性確保は

いうに及ばず,電波環境に対する整合手段を備えてお

くことも重要である.図 2 は車載アンテナの設計にお

いて考慮すべきいくつかの課題 [8] を表したものであ

り,以下のような点を満足することが必要である.

( 1) 電波環境への適応性

移動通信や放送系の車載アンテナは,自動車の回転

に伴う受信信号強度の変動を避けるため無指向性にな

るように設計される.しかし,一般的に自動車が走行

する電波環境はマルチパス環境であることから,無指

向性アンテナの場合では走行移動に伴いフェージング

が発生する.高品位な通信性能を得るにはダイバーシ

チやアダプティブ受信などのフェージング対策が必要

になる.一方,衛星放送の受信では高いアンテナ利得

が必要であることと鋭い指向性のアンテナが要求され

るため,衛星の追尾機構が不可欠である.

( 2) 車体や部材の影響との整合性

金属体である車体の反射や回折はいうに及ばず,ガ

1570

Page 3: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

解説論文/自動車におけるアンテナ技術

ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ

特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

ナの場合は車体の影響のみを考慮すればよいことから,

車体のエッジ付近に搭載する場合を除き比較的設計は

容易である.一方,車内に設置する場合は,アンテナ

素子に近接する材料の影響により入力インピーダンス

や放射特性が大きく変動する.このため,アンテナ素

子の最適な配置とこれらの影響を事前に考慮した設計

が不可欠になる.

( 3) 車両意匠との整合性

種々の機能に対応したアンテナの林立の回避や,折

損や汚損の機会を低減するため,アンテナの低背化や

機能集約化,更に自動車部品への組込みなどを図る必

要がある.

( 4) 車内電波環境の整備

良好な無線通信や放送受信を機能させるため,隣接

した周波数を用いる電波応用機器同士の電磁干渉の

抑制や,車載電子システムから放射される妨害電波

を抑制しなければならない.後者は EMC(Electro-

Magnetic Compatibility)設計の観点での対応でもあ

り,開発初期からの作り込みが重要である [9].

3. 2 構造体としての自動車の影響

アンテナ単体の指向性や周波数特性が,搭載車両の

形状や搭載位置によって影響されることはよく知られ

ている [10].例えばアンテナ単体の特性として十分広

い帯域幅をもっていることも必要であるが,車体や構

成部品がアンテナ特性に及ぼす影響も抑えておき,あ

らかじめ搭載要件や性能設計要件に組み込んでおくこ

とも必要である.ここで,車体鋼板に次いで占有面積

が大きい風防ガラスでの解析例を紹介する.

ガラスは,車室内に搭載されたアンテナへの電波伝

搬経路であるのみならず,アンテナが貼付されたり近

接配置される部品でもあるため,筆者らは風防ガラス

の比誘電率の周波数特性の調査を試みた [8].図 3 は,

同軸線路法と空間定在波法 [11]での実験的手法で求め

た結果であり,比誘電率 εr は約 6.5前後であることを

見出した.これにより,無線回線設計でのガラスの厚

みをパラメータにした電波透過率の設定,ガラス面に

印刷したアンテナの場合の波長短縮率を考慮した最適

アンテナ長の設定,そしてガラス面にアンテナを近接

配した場合の共振周波数偏移などの特性設計に関する

検討を可能にした.

図 3 自動車用ガラスの比誘電率特性Fig. 3 Relative permittivity characteristics of

automobile sheet glass.

4. 車載アンテナ技術

2.で紹介した電波応用機器に用いられる車載アンテ

ナの一例をもとに,機能の変遷や成立ちについて 3.

の内容も踏まえながら述べてみたい.

4. 1 放送受信系アンテナの実現技術

前述のように,1955 年には早くも AMラジオが搭

載されるなど,ラジオ放送受信機能は新鮮な情報の入

手方法として自動車に不可欠な商品機能の一部を成

してきた.ラジオ受信用のアンテナとしては,フェン

ダーと呼ばれる車体前方側部に搭載する伸縮式のモノ

ポールアンテナが長らく用いられていた.1/4 波長の

モノポールアンテナを基調としたアンテナのエレメン

ト長は,日本仕様の 76~90 MHzの FM放送受信では

約 900 mm長であった.必然的にAM放送受信におい

ては容量性領域で作用していたため,AMラジオ受信

機の同調回路との整合性の規定が必要となり,アンテ

ナ系としての静電容量を 80 pFとする自動車技術会の

規定である JASOD501が 1968年に制定された [12].

一方,低背型や無突起型アンテナによる車両意匠と

の整合要求が次第に高まり,1970 年後半にはトラン

クの蓋構造をアンテナとして用いたシステムや,後方

のガラス面に線状のアンテナ素子を構成したシステム

(以下,ガラスアンテナ)[13]が登場した.図 4 は基本

的なガラスアンテナの例を示したものである.AMラ

ジオ帯用には主にデフォッガーと称する後方ガラスの

曇り取り熱線の一部をアンテナ素子として使っている.

また FM ラジオ帯用には二つのアンテナ素子がガラ

ス面上に構成され,これらを用いてダイバーシチ受信

を行っている [14], [15].ガラスアンテナは,デフォッ

1571

Page 4: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

電子情報通信学会論文誌 2006/9 Vol. J89–B No. 9

図 4 ガラスアンテナの例Fig. 4 Printed on glass antenna.

ガーの一部をアンテナ素子部として形成されたのが始

まりで,1970 年代後半からは改良技術に関連するた

くさんの特許が国内外で出願されている.ガラスアン

テナの主な構成上の特徴は以下の点である [8].

( 1) 複数のエレメントを組み合わせて低仰角方向

での FM帯の無指向性化と周波数特性の調整を図る.

( 2) 発電装置から供給される電源に重畳した高周

波雑音の混入を抑制するための電源フィルタを装てん.

( 3) AMラジオ帯では 10~数十 pFの容量性,一

方の FMラジオ帯では広帯域受信のために VSWRの

変動がある状態でアンテナを機能させているため,ラ

ジオ受信機へ信号伝送する同軸線との整合を図って帯

域内の受信感度の安定化を行うためのインピーダンス

変換回路を用いる.

( 4) AM 受信信号と FM 受信信号を 1 系統の同

軸線で多重伝送するための混合回路を有する.

一方,アンテナとしての基準グランドの取り方や給

電線の作用も含め,扱う周波数領域での性能安定性を

考慮した最適設計や,テレビ受信機能などの新機能

採用に伴って増加する給電端子の最適配置も不可欠に

なってきている.図 5 はガラスアンテナと給電用同軸

線とのインピーダンス変換・給電回路の例であるが,

図 5 (a)に示される一般的なリード線によるインピー

ダンス変換・給電方式では,リード線の長さや配置に

よるアンテナ特性への影響があった.これに対して,

スプリング接点式のものではこの点が大きく改善され,

給電部での受信感度変化を抑制することと,組付け作

業性の向上及び機能の集約の両立が図られている.

また,1990年代後半には図 6 に示すヘリカルロッド

エレメントを用いて低背化したモノポールアンテナが

開発され,現在ではガラスアンテナとともにAM/FM

図 5 ガラスアンテナ用インピーダンス変換回路の例Fig. 5 Impedance transform circuits. (a) Lead line

feeding type. (b) Point feeding type.

図 6 低背型モノポールアンテナの例Fig. 6 Low profile monopole antenna. (a) Exter-

nal appearance. (b) Impedance transform cir-

cuits.

1572

Page 5: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

解説論文/自動車におけるアンテナ技術

ラジオ放送受信用として多くの車両に搭載されてき

ている.ヘリカル構造エレメント単体の FM 放送帯

(76~90MHz)の特性は,VSWR6.0以下の周波数幅

が約 6 MHzと従来の 1/4 波長モノポールアンテナに

比べて 50%程度狭いため,図 6 (b)に示す能動型のイ

ンピーダンス変換回路を用いて帯域内感度の安定化を

図っている.

自動車でのテレビ放送受信機能に話題を変えると,

1984 年にはトヨタソアラが工場装着での純正対応を

行い,1986 年にはテレビ受信用のダイバーシチアン

テナをガラス面に構成している [16], [17].以降,カー

ナビの普及により,今やアナログ地上波テレビ受信機

能は当然の機能のようになってきている.更には,後

付け用品のカーナビ市場においても,テレビ受信用の

ガラス貼付型テレビアンテナシステムなども登場して

いる.

1990年代後半には高品位な BSアナログ放送を受信

するシステムが開発され,衛星追尾機能を備えたアン

テナシステムが観光バスや列車などに搭載され [18]~

[20],移動中でも安定で高品位な画像や音声受信を提

供した.図 7 はその例である.図 7 (a)は,マイクロ

ストリップアンテナ(以下,MSA.)素子での平面ア

レーアンテナを四つのサブアレーで構成して低背化し

たもので [18],最大利得は 34 dBic 程度である.Sub

array A出力と Sub array B出力の間の位相比較に基

づきアジマス角が機械的に追尾制御されている.また,

Sub array A+Bと Sub array C+D の合成には電子

的な同相合成回路が取り入れられている.寸法は直径

862 mm,高さ 350 mm,重量 50 kgである.図 7 (b)

では,環状リングMSA素子をラジアル導波路上に放

射状に配置したアレー方式で,フロントエンドアンプ

の雑音指数やアンテナの放射効率が改善され,大幅な

小型化と低背化(400 mmφ×29mmh)が達成された.

垂直面内指向性は扇状ビームパターンとなっており,

アジマス角のみ機械式制御で追尾させている.最大利

得は 25 dBicである [20].

現在では,ディジタル放送技術の進展に伴って,地

上波ディジタルテレビや衛星ディジタルラジオへの対

応が進められ [21],移動中でも後席乗員などが高品位

な HDTV 受信に享受できる時代が来たことは,アナ

ログテレビのゴーストやフレームずれなどをいかにし

て極小にするかを真剣に取り組んでいた約 20~15年

前の苦労を思うと,非常に感慨深い.

図 7 BS アナログ放送受信用アンテナの例Fig. 7 BS reception antenna systems. (a) MSA array

type. (b) Annular ring MSA array type.

4. 2 通信系アンテナの実現技術

4. 2. 1 GPS アンテナ

1980 年代後半に登場したカーナビは,今や日本で

の総市場として 2003 年には年間販売台数が優に 250

万台を超える市場規模になっている.機能も現在地表

示の機能のみならず,テレマティクス技術での情報提

供のハブ機能を備えるに至り,外部との接続による安

全・安心・快適な運転支援技術の中核をなしている.

カーナビの機能に欠かせない自車位置の特定手段に

おいて,開発初期ではデッカーやロランといった長波

を用いた海洋航法利用などが試みられていた.ところ

が,軍事用として開発されていた GPS システムを利

用した車載システムが 1990 年代初期に登場するに至

り,カーナビは位置精度の画期的な向上を獲得しただ

けでなく,車載機器としての商品価値を確固たるもの

にした.

GPS 受信アンテナは,初期の軍事用は立体型のク

ワッド方式で体積は 1500 cc 程度であったが,MSA

の進展により,車載用に限らず今やその体積は 10 cc

以下になっている.図 8 は,GPS アンテナの例であ

1573

Page 6: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

電子情報通信学会論文誌 2006/9 Vol. J89–B No. 9

図 8 車載 GPS アンテナの例Fig. 8 GPS antenna for automobile.

る.アンテナの低背化と小型化のために比誘電率約 20

の誘電体上にMSA素子を形成し,単体での天頂方向

感度は 0~2 dBic 前後,1.57542 GHz±10MHz での

VSWRが 2.0以下の特性を実現している.

アンテナの搭載位置に言及すると,初期の GPS シ

ステムでは測位に必要な衛星数が捕そくできる仰角や

時間帯が限定されていたため,アンテナ搭載はルーフ

トップが最適とされていた.しかし,捕そくに必要な

GPS 衛星数が十分である今日では,インストルメン

トパネル(以下,インパネ)と呼ばれる車室内前方の

樹脂パネルの直下でも無線回線設計的に成立すれば十

分機能できるようになり,アンテナの小型化と相まっ

て搭載方法の自由度が増えてきている.

4. 2. 2 VICS,ETCアンテナ

道路渋滞情報や交通情報の配信として運用されてい

る VICSと,高速道路の通行料を無線通信によって課

金処理する ETC に用いられているアンテナについて

紹介する.

1996 年に開始された VICS 情報サービスは,広域

の情報提供には FM多重放送が,狭域での情報提供に

は路上に設置された電波式と赤外光式のビーコンが用

いられている [22].2.4497 GHz を用いる電波ビーコ

ンは主に高速道路に設置され,850 nm 波長の近赤外

光を用いる光ビーコンは主要幹線道路に設置され,詳

細な近隣道路の状況データを提供している.図 9 は,

インパネ搭載用の VICS電波ビーコン受信用アンテナ

(MSA)の例で,GPS アンテナと同様に比誘電率約

20の誘電体上にMSA素子を形成されており,垂直偏

波に対応した単体利得は 4 dBi 程度,2.4997±3 MHz

での VSWRは 2.5以下の特性を有している.

一方,ETC(Electronic Toll Collection System)

は 2001 年に運用開始され [23],最近では装着率が飛

図 9 VICS アンテナの例Fig. 9 VICS antenna.

躍的に増加している.この技術は狭域通信の DSRC

(Dedicated Short Range Communication)技術とし

て位置づけられ,世界各国でもいろいろな応用技術が

検討されている [24].

日本における ETC通信には 5.8 GHzの周波数が用

いられ,ETCカードに登録された情報と通過データや

課金情報を送受信して通信を完結させている.車載シ

ステムにおいては規定の通信性能を確実にする性能設

計が重要である.(社)電波産業会が定める規格 ARIB

STD-T75では,高さ 5mの路上アンテナを想定した

タイプ 1 の場合では,約 4m の走行範囲内で通信が

可能なことと規定され,車載アンテナ仕様に対しても

5.785~5.855 GHz におけるボアサイト方向のアンテ

ナ利得は 10 dBic以下と規定されている.

一方,ETC アンテナの車両搭載にあっては,車両

意匠との整合性やシステム保護のために車室内搭載が

必須となっている.したがって,金属構造物である車

体からの反射はもとより,誘電体であるガラスによる

損失,あるいは結合による共振周波数の偏移が発生す

ることを考慮して設計する必要がある.

図 10 に示したルームミラーの根元に取り付けた例

では,アンテナ単体利得 5 dBicのMSAアンテナの特

性が保たれるように,図 3 に示したガラスの誘電率に

よる影響を考慮し,空間定在波の影響や共振周波数の

偏移が極小となる位置を選定して装着している.

図 11 は,ゲート通過時の車載システムの通信電波強

度を計測した例である.図のように,ゲート手前の約

4mの限られた領域での通信強度が確保され,DSRC

としての狭域通信が成立しているのが分かる.ゲート

通過後はルーフによる回折波主体の受信特性,ゲート

の手前遠方ではアンテナの仰角特性や路面反射などに

よる受信特性が現れているのが分かる.

1574

Page 7: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

解説論文/自動車におけるアンテナ技術

図 10 ETC 車載システムの例(ミラーベース取付けアンテナ方式)

Fig. 10 ETC system with inner mirror base mounted

type antenna.

図 11 ETC の通信特性の例Fig. 11 Received power chart of ETC.

ETC での課金情報通信を確実に行うための路上機

設計においては,電波の反射による干渉や該当しない

レーンへの漏えい電波の抑制として,ゲートなどの路

上構造体や路面に電波吸収体を敷設するなどのインフ

ラ側でも確実な無線回線確保がなされている [25], [26].

4. 2. 3 機能の集合化

各種の車載電波応用機器の新規開発に伴い,必要と

なるアンテナの機能数も増加の一途をたどっている.

その一方で,増加するアンテナの林立の回避や搭載性

の向上,あるいはシステムコストの最適化などへの課

題対応も必要となってきている.放送受信系でのガラ

スアンテナが AM受信機能と FM やテレビ受信機能

の集合化を実現しているように,通信系においても以

下のような機能集合化の取組みがなされている.

図 12 GPS/VICS/ETC を集結したアンテナの例Fig. 12 3 media integrated antenna. (a) Instrument

panel embedded type. (b) Influence of cou-

pled current radiation.

前述のように,VICSや ETC アンテナは車両前方

からの到来電波に対応するためインパネに搭載され,

GPSアンテナもインパネ搭載でも十分な衛星捕そくが

可能になった背景を踏まえ,機能の集合化が図られた.

図 12 (a)は 2003年に市場投入された GPS,ETC及

び VICS対応アンテナを集結したアンテナモジュール

で,インパネ内部に設置されている [27].このモジュー

ルには高誘電率セラミック基板を用いた三つの MSA

が使われている.アンテナ素子や同軸線との結合によ

る特性変化や相互干渉などの排除のため,高誘電率基

板の採用による小型化と素子の適正配置,地板サイ

ズの適正化,ダイプレクサのアイソレーション確保な

どを行っている.図 12 の例では,アンテナ間アイソ

レーションは 10 dB以上,ダイプレクサのアイソレー

ションは 20 dB以上で設計されている.ここで,GPS

アンテナに近接配置された同軸線への結合による指向

性変化の例を図 12 (b)に紹介する.LNA(Low noise

amplifier)を含めた GPSアンテナの指向性において,

ETC 用の同軸線のグラウンド処理が不十分なために

結合を引き起こし,結合成分による二次ふく射との干

渉によるヌルの発生を招いた例である.図の例では,

1575

Page 8: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

電子情報通信学会論文誌 2006/9 Vol. J89–B No. 9

同軸線を地板に密着配線して結合を抑制し,225 deg

方向に発生したヌルを抑制している.

4. 3 車両制御系アンテナの実現技術

4. 3. 1 予防安全システム:ミリ波レーダ

自動車における大きな課題は,社会との共存であり,

環境汚染の低減と交通事故及び事故による死傷者低減

に向けての研究開発が積極的に進められている.

この状況に対応する ITS技術のうち,事故に至る直

前の予防安全や事故防止・回避技術として注目されて

いるのがプリクラッシュセーフティである [28].車両

前方の接近検知や監視を行う方法として可視光カメラ

や赤外光センサを用いるシステムもあるが,76GHz

のミリ波を用いた種々のレーダ方式も開発されてきた.

走査ビームのスキャニング技術には機械式と電子

式があるが,奥行寸法を小さくできる電子スキャン方

式が多く採用されている.電子スキャン方式では,ア

レーアンテナの給電信号の位相と振幅を制御して所望

の指向性を得る DBF(Digital Beam Forming)方式

などの指向性制御技術が用いられている.

図 13 (a) は 76~77GHz を用いた車載ミリ波レー

ダの代表例である.変調方式には FM-CW 方式を用

い,ビーム走査には 9 chアレーでの DBFで電子走査

を実現している [29], [30].ビームアジマス角は 0.5度,

ビーム走査角は ±10度,速度解像度は 2.7 km/hであ

る.技術適合要件の ARIB規格 STD T48-2に適合さ

せている.このシステムでは図 13 (b)に示されるトリ

プレート型のパッチアンテナ [31] が使われているが,

より高効率な平行平板スロットアレーアンテナ [32]や,

より薄型のシリアル給電型MSAアレーアンテナ [33]

なども報告されている.

4. 3. 2 新しい電波応用機器

スマートエントリシステムと称する機能は,暗号化

された登録データの送受信によって登録照合判定を行

い,メカニカルな鍵を操作しなくてもドア開閉錠やエ

ンジンスタート操作が行えるシステムである.利便

性やセキュリティの向上に貢献でき,キーレスゴーや

キーフリーシステムなどの名称で各社が製品化してき

ている.

電波による登録データの通信には,図 14 のような

アップリンクとダウンリンク機能を二つの周波数の電

波を用いて機能させている.

134 kHz電波のダウンリンク信号には暗号化された

照合信号が搬送され,図 15 (a)に示すようなドアハン

ドル内蔵の発信アンテナから定期送信される.

図 13 自動車用ミリ波レーダの例Fig. 13 Millimeter-wave radar system. (a) External

appearance. (b) Tri-plate type patch an-

tenna.

図 14 スマートエントリシステムFig. 14 Smart entry system.

1576

Page 9: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

解説論文/自動車におけるアンテナ技術

図 15 スマートエントリシステム用の送受信機Fig. 15 Transmitter and receiver. (a) Ferrite bar an-

tenna for security code transmission. (b)

Key-fob circuit with embedded TX & RX an-

tennas. (c) UHF band receiver with inverted

F type antenna.

一方,キーフォブと呼ばれる携帯機には図 15 (b)の

ような 134 kHz の電波を受信する小型のフェライト

バーアンテナが内蔵されており,ダウンリンク信号が

検知できる規定の信号強度エリアに入ると信号の識別

とデータの照合を行う.登録されたデータとの一致を

確認した場合には,アップリンク信号としてキーフォ

ブに内蔵された 312 MHz帯の送信機能とループアン

テナを用いて一連の登録データを送信する.

アップリンク信号は図 15 (c) に示す車載受信機で

検出され,登録されたデータとのセキュリティ照合が

完結すると,目的とする機能動作の準備が整う.最終

的なドアの開閉錠及びエンジンスタート動作の主体は

ドライバーであるので,ドアハンドルを持つことやス

イッチ操作で目的を達成させるよう設計されている.

図 16 TPMS 送信機Fig. 16 Transmitter for Tire Pressure Monitoring

System.

図に示す受信機では,低背化のために逆 F型アンテ

ナが使われており,車室内への搭載性を向上させてい

る.一方,車体の影響による指向性や周波数特性の変

化に対応した車両適合要素を備えていることが必要で

ある.受信機は車内に設置されるため設置場所,設置

の向きなどを適正化することによってできる限り不感

帯が少なくなる指向性を実現している.

一方,キーフォブ送信機は手持ち操作または携帯所

持などの形態での UHF電波送信をするため,人体と

の接近度合の影響 [34]や,体高などによって共振周波

数が変動する.このため,人体の接近による周波数の

変動が比較的少ないループアンテナを用いると同時に,

あらかじめ変動分を考慮して共振周波数の設計がなさ

れている.

ここで用いられている 134 kHz での照合の仕組み

は,イモビライザーシステムと呼ばれる盗難防止装置

として,一方の 312 MHz 帯の UHF での照合データ

伝送を用いたドア開閉錠の仕組みは,キーレスエント

リなどの名称で実用化されて久しい.

最後に,上記の UHF帯でのデータ伝送と同様な仕

組みを使い,タイヤ内の空気圧データの伝送により安

心な運行支援に貢献している TPMS(Tire Pressure

Monitoring System)を紹介して本論文を閉じたい.

空気圧力センサを組み込んだ送信機を図 16 のよう

にタイヤリムに装着し,観測されたタイヤ内部の空気

圧データを 315 MHz帯の電波で搬送し,図 15 (c)と

同様な受信機での復調を通して空気圧情報を提供する

システムである.TPMS 送信機に用いられているア

ンテナとしてはループアンテナが主に使われている.

タイヤでの電波の減衰やリム形状による放射特性の影

響 [35]などを踏まえた上で,種々のタイヤとの整合性

や適合最適化が行われている.

1577

Page 10: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

電子情報通信学会論文誌 2006/9 Vol. J89–B No. 9

5. む す び

自動車における新たな機能軸である「つながる」技

術は,自動車の電子装置の相互連携や社会インフラと

の連携を促し,高度な運転支援の実現や安全・安心・

快適なクルマ社会の実現に向けて進化してきている.

「いつでも・どこでも・だれとでも」のように情報通信

技術は,自動車に限らず広範な領域での多様な目的を

達成する手段として発展し続け,特にアンテナ技術は

それを支える基盤技術として重要な役割を果たしてき

ている.ただし,自動車のアンテナ技術にはまだ多く

の課題が残っているため,自動車業界のみならず幅広

い領域での研究開発と課題解決が必要である.多様な

業界との連携を密にした「つながる」技術がこれから

の自動車開発を行う上でも肝要である.

謝辞 写真提供頂いた関係諸兄に感謝するとともに,

日ごろから電波利用機器開発に真摯に対応頂いている

関係会社の皆様並びに社内諸兄に深謝致します.

文 献

[1] K. Nishikawa, “Land vehicle antennas,” IEICE

Trans. Commun., vol.E86-B, no.3, pp.993–1004,

March 2003.

[2] 大江準三,“自動車における情報通信技術の流れ,”(社)自動車技術会中部支部 2003年度技術講演会予稿集,pp.1–22,2003.

[3] 大江準三,“自動車における情報通信技術の動向,” 信学技報,PRMU2005-6, May 2005.

[4] “オートテクノロジー 2006,” (社)自動車技術会,Jan.

2006.

[5] http://www.vics.or.jp

[6] 電波産業会規格 ARIB STD-T75.

[7] 大江準三,“自動車における情報通信技術の流れ(後編),”情報処理,vol.45, no.10, pp.1050–1055, 2005.

[8] 大江準三,“車載ガラスアンテナの特性に関する実験的考察,” 電気関係学会東海支部連合大会講演論文集,S3-6,

pp.S-35–36, 1992.

[9] 大江準三,“自動車における EMC の動向,” (社)日本能率協会 EMC・ノイズ対策技術シンポジューム予稿集,pp.B6-2-1-9 2002.

[10] K. Nishikawa, “Effect of automobile body and earth

on radiation patterns of antennas for FM radio,” IE-

ICE Trans., vol.E67, no.10, pp.555–562, Oct. 1984.

[11] W. Burnside and K. Burgener, “High frequency scat-

tering by a thin lossless dielectric slab,” IEEE Trans.

Antennas Propag., vol.31, pp.104–110, 1983.

[12] “自動車用受信アンテナの標準化調査報告書 2001,” (社)自動車技術会,http://www.jsae.or.jp

[13] 特許公開 52-4451(出願 50-120918)[14] H. Fukuhara, “Space diversity FM radio system for

automobiles,” IEICE Technical Report, SANE82-20,

1982.

[15] K. Ito, H. Kondo, and H. Toriyama, “Development

of automobile diversity antenna,” Toyota Technical

Review, vol.34-1, pp.81–88, 1984.

[16] H. Toriyama, J. Ohe, H. Kondo, and H. Yotsuya,

“Development of printed-on glass TV antenna system

for car,” Proc. IEEE Vehiclar Tech. Conf., pp.334–

342, 1987.

[17] 大江準三,“車載 TV 受信用クォータガラスアンテナシステムの開発,” ITEJ Technical Report, vol.13, no.26,

pp.19–24, May 1989.

[18] Y. Ito, K. Ohmaru, S. Yamazaki, M. Uematsu, T.

Harakawa, and R. Hiratsuka, “A mobile receiving sys-

tem for satellite broadcasting,” ITEJ Technical Re-

port, vol.12, no.23, pp.44–52, June 1988.

[19] J. Hirokawa, M. Ando, N. Goto, N. Takahashi, T.

Ojima, and M. Uematsu, “A single-layer slotted leaky

waveguide array antenna for mobile reception of di-

rect broadcast from satellite,” IEEE Trans. Veh.

Technol. vol.44, no.4, pp.749–755, Nov. 1995.

[20] M. Ogawa, T. Watanabe, K. Nishikawa, T. Harada,

E. Teramoto, and M. Morita, “Mobile antenna sys-

tem for direct broadcasting satellite,” Proc. ISAP’96,

pp.1197–1200, Chiba, Japan, 1996.

[21] 伊藤修朗,“自動車における地上ディジタル放送の高速移動受信技術,” 調査研究 D-PA, 2005-1, no.5, pp.24–27,

2005.

[22] M. Ohta and N. Mitsuno, “Technical innovations of

navigation antenna for GPS and VICS,” Monthly

Electronics Magazine, pp.40–42, Feb. 1999.

[23] K. Sakai, K. Aoki, Y. Kamei, S. Hirai, T. Shimura, H.

Harada, K. Toyoshima, and M. Akita, “An automo-

bile antenna for the ETC system,” Furukawa Electric

Review, no.108, pp.7–10, June 2001.

[24] Y. Shindo, H. Arai, and M. Fujita, “Antenna tech-

nology for DSRC system,” Monthly Electronics Mag-

azine, pp.43–46, Feb. 1999.

[25] 三ツ井孝偵,芦田哲哉,細谷勝宣,工藤敏夫,柏原一之,“ETC 用電波吸収体の開発,” 三菱電線工業時報,Oct.

2001.

[26] 東 哲平,増田欽司,小林昭則,佐藤篤樹,橋本 修,“電波吸収機能を有する舗装材に関する実験的基礎検討,” 信学論(B),vol.J88-B, no.2, pp.485–488, Feb. 2005.

[27] 半仁田徳満,加藤芳隆,山崎 徹,林 昭彦,“統合アンテナの開発,” 自動車技術会学術講演会前刷集,no.103-04,pp.9–12, Oct. 2004.

[28] K. Fujita, et.al, “Development of pre-crash safety sys-

tem,” The 18th ESV Conf., no.544-W, 2003.

[29] K. Fujita and J. Ohe, “Millimeter wave radar system

for automobiles,” MWE2005, Microwave Workshop

Digest, PS2-3, p.312, 2005.

[30] 富岡範之,“車載ミリ波レーダの動向と EMC,” (社)日本能率協会 EMC ノイズ対策技術シンポジューム予稿集,pp.H4-1-1, 2005.

[31] 太田雅彦,石坂祐宣,涌嶋重遠,上里良英,羽石 操,

1578

Page 11: 自動車におけるアンテナ技術解説論文/自動車におけるアンテナ技術 ラスや内装材などが与える影響をも考慮したアンテナ 特性の最適化が必要である.車外に設置されたアンテ

解説論文/自動車におけるアンテナ技術

“60GHz 帯トリプレート給電型パッチアンテナの放射特性,” 信学’93 秋大,B–114, Sept. 1993.

[32] J. Hirokawa and M. Ando, “Efficiency of 76GHz post-

wall waveguide-fed parallel plate slot arrays,” IEEE

Trans. Antennas Propag., vol.48, no.11, pp.1727–

1732, Nov. 2000.

[33] H. Iizuka, T. Watanabe, K. Sato, and K. Nishikawa,

“Millimeter-wave microstrip array antenna for auto-

mobile radar systems,” Proc. ISAP2000, pp.465–468,

Fukuoka, Japan, 2000.

[34] 佐藤和夫,西川訓利,鈴木徳祥,小川 明,“人体近傍に置かれた携帯無線機用アンテナの特性解析,” 信学論(B-II),vol.J79-B-II, no.11, pp.892–900, Nov. 1996.

[35] 広瀬英治,天間徳一,道下尚文,山田吉英,“タイヤ内無線機からの電波放射特性,” 信学技報,A・P2005-149, Jan.2006.

(平成 18 年 2 月 9 日受付,4 月 10 日再受付)

大江 準三 (正員)

昭 54 名工大・工・電子卒.昭 56 同大大学院修士課程了.同年(株)トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社.以来,車載アンテナ,オーディオシステム開発,電磁界解析,EMC 解析などに従事.

西川 訓利 (正員)

昭 51 名大・工・電子卒.昭 53 同大大学院修士課程了.同年(株)豊田中央研究所入社.以来,EMC,車載アンテナ,電磁界解析,車載レーダシステムなどに関する研究に従事.現在,同所取締役.1984 年度IEEE VTS 論文賞受賞.工博.

1579