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Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism 平成29年8月31日 国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部 下水道企画課 安田将広 下水道における資源・エネルギー 利用の取組について 講義1

下水道における資源・エネルギー 利用の取組について...Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism 平成29年8月31日 国土交通省 水管理・国土保全局

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Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

平成29年8月31日

国土交通省 水管理・国土保全局

下水道部 下水道企画課

安田将広

下水道における資源・エネルギー 利用の取組について

講義1

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下水道の資源・エネルギー利用について

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下水処理フローとエネルギー消費等

○下水道では毎年東京ドーム約12,000杯分(約146億m3)の下水を処理。その過程で多くのエネルギーを使用。

○下水道では、全国の電力消費量の約0.7%(約70億kWh)の電力を消費し、日本の温室効果ガスの約0.5%(約621万t-CO2)を排出。

○電力購入費は、年間約1100億円に上り、維持管理費の約10%を占める。

出典:国土交通省調査

下水処理のフロー

微生物による汚れの除去

送風

最初 沈殿池

最終 沈殿池

固形物を沈降 微生物を沈降

汚泥の処理

下水

下水汚泥

再生水

送風

約621万 t-CO2

(平成26年度)

■下水道における電力消費の内訳

■下水道からの温室効果ガス排出量

電力(処理場)

57%

電力(ポンプ場) 7%

燃料 5%

水処理

(CH4) 5%

水処理

(N2O) 7%

汚泥焼却

(N2O)

19%

その他

0.4%

年間電力費

約1,100億円

2

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下水道からの温室効果ガス排出量の推移

出典:国土交通省調査

下水道からの温室効果ガス排出量の割合*

出典:国土交通省調査

下水道施設における温室効果ガスの排出実態

○下水道は処理過程において多くの温室効果ガスを排出しており、日本全体のGHG排出量の約0.5%に相当。

○下水道からの温室効果ガス排出量は、下水道の普及に伴い1990年から2013年の間に約40%増加しているが2005年以降では減少傾向。

○処理水量の伸びと比較した場合GHG排出量の増加率の方が大きく、処理水量あたりのGHG排出量も増加。

○内訳は処理場及びポンプ場の電力消費に伴うCO2排出量が約6割、汚泥焼却に伴うN2O排出量が約2割。

電力(処理場)

55.6%

電力(ポンプ

場) 6.5%

燃料 5.2%

水処理(CH4)

4.9%

水処理(N2O)

7.4%

汚泥焼却

(N2O) 20.0%

その他 0.4%

合計

約632万t-CO2

(2013年度)

* 2013年データより集計方法の一部を変更(汚泥焼却の分類を追加)

116173 184

42

77 8195

133 129

45

44 33

85

163127

49

50

47

21

32

33

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

0

100

200

300

400

500

600

700

800

1990 2005 2013

年間

処理

水量

(百

万m

3)

温室

効果

ガス

排出

量(万

t-C

O2)

水処理電力 汚泥処理電力 その他電力

燃料 汚泥焼却 水処理N2O

その他 処理水量

+34%

+38%

+49%+40%

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生物反応槽 最初沈殿池 最終沈殿池

汚泥濃縮槽

メタン発酵槽

汚泥脱水機

焼却炉

下水 処理水

建設資材等 炭化燃料

コンポスト化施設 炭化炉

生汚泥 余剰汚泥

上澄みや搾り水

水処理プロセス

汚泥処理プロセス

消化ガス

(バイオガス)

下水汚泥の処理プロセスと資源・エネルギー利用

下水汚泥は水分を多く含み、濃縮、消化、脱水、焼却等の工程により水分を減らし、減容化される

濃縮

消化

脱水 焼却

コンポスト (緑農地利用)

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下水処理場

コンポスト化・ リン回収施設

下水管渠

リン等資源 供給事業

バイオガス発電施設

下水熱 供給事業

発電所等

肥料

会社等

オフィス

ビル等

再生水 供給事業

公共施設

オフィスビル等

地域バイオマスの集約

間伐材 等 生ゴミ 等

固形燃料化(広島市)

リン回収(岐阜市)

バイオガス発電(佐賀市)

下水熱や再生水を利用した

商業施設(堺市)

電力供給事業

下水

処理水

電力会社等

固形燃料 供給事業

下水汚泥

ガス事業者等

バイオガス化

固形燃料化 施設

下水道が有する多様な資源・エネルギー

バイオガスステーション(神戸市)

バイオガス 供給事業

水素製造

バイオガスから製造した水素を供給(福岡市)

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下水道の資源・エネルギー利用

○下水道資源の有効活用用途は、以下のとおり。

水処理 再生水 環境用水

トイレの洗浄水・雑用水

下水熱 空調熱源・給湯・融雪

乾燥・炭化 固形燃料(石炭代替燃料)

汚泥処理 汚泥 焼却等 建設資材利用

消化 セメント原料

リン回収 緑農地利用

コンポスト等 緑農地利用

ガス発電燃料

ガス精製 天然ガス自動車燃料

都市ガス

ガス改質 燃料電池自動車燃料

緑農地利用

下水

複合バイオマス受入 バイオガス

工程下水道が有する資源・エネルギー

エネルギー化技術区分(製品)

利用用途

(固形燃料)

(焼却灰)

(リン)

(肥料)

(メタン)

(水素)

(CO2)

(メタン)

(CO2)

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◎下水汚泥の持つエネルギーを全量発電に用いた場合

年間約600億円分の電力(約110万世帯分)

■ 下水汚泥のポテンシャル

◎下水処理場に流入するリン全量を農業利用すれば、

海外から輸入するリンの

年間約120億円分(約10%)に相当

■ 下水汚泥のエネルギー利用状況(平成27年度)

※化学肥料の原料になるリン鉱石は現在、全量を輸入に依存

○下水処理から発生する下水汚泥は燃料・肥料として高いポテンシャルを有している。

バイオガスや固形燃料としてエネルギー利用が可能

リンを含む肥料を製造し、農業等において有効活用が可能

バイオマスとして未利用

75%

緑農地利用

10%

汚泥燃料等

3%

バイオガス

13% エネルギー

利用

16%

※小数点以下1桁を四捨五入した結果、

合計が100%となっていない。

下水汚泥のエネルギーポテンシャル

下水汚泥中の固形物

有機分 無機分

8割 2割

建設資材利用緑農地利用エネルギー利用

●セメント原料●レンガ・骨材等

●肥料●土壌改良材等

●下水道バイオガス●下水汚泥固形燃料等

○平成27年9月に閣議決定した第4次社会資本整備重点計画において、下水汚泥エネルギー化率を指標に設定。 ※下水汚泥エネルギー化率とは下水汚泥中の有機物のうち、

ガス発電等エネルギー用途に有効利用された割合

第4次社会資本整備重点計画(平成27年9月閣議決定)

におけるエネルギー化の実績と目標

平成25年度 → 平成32年度

約15% → 約30%

○下水汚泥は約8割がバイオマス(有機分)であることから、バイオマスとしての特性を活かしたエネルギー利用を推進。

○2014年の利用率は約15%にとどまっており、一層の利活用の推進が必要。

<下水汚泥エネルギー化率>

7

◎下水汚泥の持つエネルギーを全量発電に用いた場合

年間約600億円分の電力(約110万世帯分)

■ 下水汚泥のポテンシャル

◎下水処理場に流入するリン全量を農業利用すれば、

海外から輸入するリンの

年間約120億円分(約10%)に相当

■ 下水熱のポテンシャル

◎都市を流れる下水のうち、熱需要の高い商工業地域において下水熱を活用することで、

年間約33億円分の電力費削減 (年間約80万世帯分の冷暖房需要に相当) 7

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背景・国の動向

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方向性

民間事業者でも熱交換器を設置できるようにし、下水熱活用を促進

下水道法改正の概要

課 題 下水熱には、高いエネルギーポテンシャルがあるが、民間事業者による熱交換器の下水道暗渠内の設置を禁止しているため、その活用が不十分

◇ 民間事業者が、下水道管理者の許可を受けて、熱交換器を下水道暗渠内に設置できるよう規制緩和

◇下水道管理者に対し、下水汚泥を燃料や肥料として再生利用するよう、努力義務を課す

下水汚泥のエネルギー・肥料としての活用を促進

再生可能エネルギーの活用促進に向けた下水道法改正

(平成27年5月20日公布)

下水汚泥は、マテリアルとしての利用は進んでいるが、エネルギー・肥料としての高いポテンシャルの活用は不十分

エネルギー利用 : 約13%

肥料利用 : 約11%

※平成25年時点

下水汚泥 下水熱

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製造した水素

バイオガスから水素製造 (福岡市)

下水汚泥由来の肥料 (岐阜市・佐賀市など)

■ 下水汚泥の徹底的な活用例

◎約110万世帯分の電力(名古屋市の全世帯数

(約106万世帯※)に相当)を発電するエネルギーを保有

リン資源等の農業利用

10%

汚泥燃料等

3%

バイオガス

13% エネルギー利用

16%

○ 下水汚泥は、従来は廃棄物として埋立などで処分されてきたが、近年は技術の進歩等により、

バイオガス、汚泥燃料、肥料等の多様な資源として活用できる「日本産資源」。

○ 現状、75%の下水汚泥がバイオマスとして未利用。

○ 下水汚泥を徹底的に活用し、輸入に頼るエネルギーの地産地消や、農業の生産性向上に大きく貢献。

■ 下水汚泥のポテンシャル

◎下水処理場に流入するリン全量を農業利用

すれば、海外から輸入するリンの約10%

(約120億円/年)相当の削減に貢献

■ 日本の下水汚泥の利用状況(2015年度末)

バイオマスとして未利用

75%

【目標】①徹底的な活用で、下水汚泥のエネルギー・農業利用率を、約25%(現状)から約40%(2020年)に向上

②年間約200億円相当のエネルギーを、化石燃料に代わって下水汚泥から生産

※化学肥料の原料になるリン鉱石は現在、全量を輸入に依存

※全市区町村中第3位(H27総務省住民基本台帳に基づく)

下水処理場

処理水 下水 発電した電力

農家等

電力会社等

発電所等

燃料電池車

下水汚泥

肥料化

固形燃料化

バイオガス化

11/17修正

※小数点以下1桁を四捨五入した結果、合計が100%となっていない。

国土交通省生産性革命プロジェクト~下水道イノベーション①~

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【取組①】汚泥利用事業におけるPPP/PFIの導入検討の促進 ⇒ 民間投資の拡大

【取組②】汚泥の集約利用に関する案件形成を支援 ⇒ ビジネスモデルを全国展開

【取組③】社会資本整備総合交付金の重点配分 ⇒ 汚泥利用事業の一層の推進

○ 下水汚泥は発生量が安定的。固定価格買取制度(FIT)の活用等官民連携により発電施設を普及。

○ 単独で採算が取れない中小規模の処理場では、集約化でスケールメリットを発現し、採算性を向上。

⇒官民連携とスケールメリットの発現により、日本産エネルギーの創出を推進

●民間主導のバイオガス発電等を促進

消化槽

(下水汚泥をガス化)

【自治体が保有】

バイオガス発電機

【民間が保有】

ガスを

発電機へ

●地域のバイオマスを集約し、スケールメリットを生かした効率的な汚泥利用事業を実施

(滋賀県と大津市の事例)

大津市の処理場で発生する汚泥を滋賀県の処理場に運搬し、汚泥をまとめて燃料化

汚泥を運搬

小規模処理場 大規模処理場

複数処理場の汚泥をまとめて有効利用

■ 創エネルギー分野における徹底活用戦略

(佐野市の事例)

PFI(独立採算型)を活用したバイオガス発電等の再生可能

エネルギー事業を実施

自治体 ガスの供給 電気の売却 民間

(発電主体)

電力 会社

利用加速に向けた国の取組

国土交通省生産性革命プロジェクト~下水道イノベーション②~

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太陽熱、地中熱、雪氷熱、温泉熱、海水熱、河川熱、下水熱等の再生可能エネルギー熱について、熱供給設備の導入支援を図るとともに、複数の再生可能エネルギー熱や蓄熱槽源の複数熱利用形態の実証を行うことで、再生可能エネルギー熱の導入拡大を目指す。

下水熱

下水汚泥、食品廃棄物などによる都市型バイオマスや(中略)の利用を進める。

下水汚泥

エネルギー基本計画における下水道関係

○第4次「エネルギー基本計画」(平成26年4月11日閣議決定)では、再生可能エネルギーについて、「2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進」。

○再生可能エネルギーの1つとして、下水道資源も多くの記載。

再生可能エネルギー電気と並んで重要な地域性の高いエネルギーである再生可能エネルギー熱を中心として、下水汚泥・廃材によるバイオマス熱などの利用や、(中略)経済性や地域の特性に応じて進めていくことも重要である。

海外の未利用の褐炭や原油随伴ガスを水素化し、国内に輸送することや、さらに、将来的には国内外の太陽光、風力、バイオマス等の再生可能エネルギーを活用して水素を製造することなども重要となる。

第4次「エネルギー基本計画」における下水道資源の位置づけ

(第3章 エネルギーの需給に関する長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策)

排熱回収

水素利用

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地球温暖化対策計画における下水道の対策

エネルギー多消費型の事業である下水道においては、省エネ化の推進が重要といえる。具体的には下水処理場における設備の運転改善、エネルギー効率の良い散気装置や汚泥脱水機等の導入などにより、下水処理の省エネ化を図る。また、下水処理の過程で発生するバイオマス資源である下水汚泥については、バイオガスや固形燃料として発電等への利用を図る。 また、家庭や商業施設からの温排水等を含む下水は、一年を通じて比較的暖かいという特

徴があることから、この熱(下水熱)の有効活用によっても、下水道施設のみならず都市全体の温室効果ガス排出の抑制を図ることが可能であり、積極的に推進する。

下水汚泥の焼却に伴うN2OはCO2の298倍の温室効果を持つ気体であることから、下水汚泥焼却施設における燃焼温度の高度化や、一酸化二窒素の排出の少ない焼却炉及び下水汚泥固形燃料化施設の普及により、汚泥焼却に伴う一酸化二窒素の排出を削減する。

○下水道における省エネ・創エネ対策の推進 ⇒排出削減見込量(2030年):2013年に対して、134万t-CO2の削減

○下水汚泥焼却施設における焼却の高度化等 ⇒排出削減見込量(2030年):2013年に対して、78万t-CO2の削減

○平成28年5月に「地球温暖化対策計画」を閣議決定。

○温室効果ガスの排出抑制及び吸収の目標、事業者、国民等が講ずべき措置に関する基本的事項、目標達成のために国、地方公共団体が講ずべき施策等について記載。

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バイオマス活用推進基本計画における下水道関係 ※平成28年9月16日にバイオマス活用推進基本計画の改定を閣議決定

○目標値:2025年に下水汚泥の85%が利用されることを目標に設定(現行計画の目標値を維持)

⇒東日本大震災の影響により平成23年度に再生利用率が低下したが、その後は着実に回復

(H22年度 78%⇒H23年度 55%⇒H26年度 63%)

第3 バイオマスの活用の推進に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策

2.バイオマス又はバイオマス製品等を供給する事業の創出等 “地域の実情に応じてメタン発酵ガス・下水汚泥固形燃料等によるエネルギー利用の推進や、肥料化・リン回収等の取組を通じた緑農地利用の促進を図る。また、地域における資源循環及び地方創生の観点から、下水処理場や廃棄物処理施設において、下水汚泥に加えて生ごみなどの食品廃棄物やし尿・浄化槽汚泥等の地域で発生するバイオマスを受け入れ、有効活用を推進していく。”

5.バイオマス製品等の利用の促進 “家畜排せつ物や下水汚泥、食品廃棄物などの・・メタン発酵によって発生するバイオガスについては、・・自立・分散型のエネルギー源として積極的に利用するための取組を推進していく。”

“下水汚泥から製造したバイオガス由来の水素について、自動車燃料等への供給拡大に向けた取組を推進する。”

第4 バイオマスの活用に関する技術の研究開発に関する事項

2.実用化を促進する技術の研究開発

“下水汚泥由来の水素ガスの製造・利用方法の確立など、付加価値の高い製品や燃料の製造技術に関する革新的な研究開発を推進する。”

“家畜排せつ物や下水汚泥、食品廃棄物等の組合せによるメタン発酵の促進や、・・地域の実情に応じた多様なバイオマスの混合利用を進めていく ”

3.バイオ燃料の普及拡大に結び付く技術の研究開発

“微細藻類は二酸化炭素の回収・再利用や下水浄化などの観点からも注目を集めており、バイオ燃料の製造技術と併せて、これらの実用化に向けた研究を進めていく。 ”

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背 景 具体的取組

現状の課題

新産業・経済成長戦略の牽引等のため、概ね20年での電力消費量半減の実現等、下水道における省エネ・創エネの取組を進める「下水道エネルギー・イノベーション」を推進

○生産性革命、イノベーションの促進等により、GDP600兆円経済の実現を目指す

○下水道では、

①全国の電力消費量の約0.7%を消費・電力購入費は年間約1100億円

②温室効果ガスの約0.5%を排出

③省エネ・創エネの推進が重要

○下水汚泥からのバイオガス活用のさらなる普及のため、発生するバイオマスの集約化を進めることが必要

○安定的な下水道からのリン資源回収に取り組むことが重要

○民間事業者による下水管渠等からの採熱の普及が必要

○電力消費量を半減する技術は海外輸出戦略としても重要

○下水汚泥のエネルギー化事業ではPFI

等事業のさらなる導入推進が重要

(1)下水道施設のエネルギー拠点化 ①下水処理場を地域のバイオマスステーションとするため、集約・再

編等の広域化に向けた取組への支援を強化 ②生ゴミのディスポーザーの活用による下水道への投入は、高齢化

社会における住民サービスも向上させることから、集約ポテンシャルが見込まれる地域を支援

③改築更新等のタイミングにあわせた省エネ・創エネ技術の導入を促進

(2)持続可能な下水道を実現するための省エネ・創エネによる電力消費量半減

①省エネ・創エネ技術の国内での普及により、エネルギーの地産地消を進め、電力自立可能で持続的な下水道システムを実現

②上記の技術を活用した海外への輸出拡大

(3)民間活力の導入による下水道関連産業の成長市場化 ①PFI等により民間の創意工夫を最大限に活用 ②技術・研究開発及び新技術導入への支援を強化し、関連市場の活

性化

(4)下水道エネルギー・イノベーションに係わる推進体制の強化 ①地方公共団体への普及啓発・人材育成 ②技術・研究開発支援などの国の支援体制を強化

下水道エネルギー・イノベーションの推進に向けて(提言) 自民党下水道・浄化槽特委

平成29年5月提言概要資料

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関連市場の

維持・拡大

新下水道ビジョン加速戦略(H29.8策定)の概要

8つの重点項目と施策例

・ 新下水道ビジョンの実現加速のため、選択と集中により国が5年程度で実施すべき8つの重点項目 及び基本的な施策をとりまとめ

・概ね3年後を目途に見直し、さらなるスパイラルアップを推進

◇ トップセールス

◎ リスク分担や地方公共団体の関与のあり方の整理

◎ 上水道等、他のインフラとの連携の促進

◎広域化目標の設定、重点支援

◎複数施設の集中管理のためのICT活用促進

◎広域化等を促進する新たな流総計画制度

◇複数市町村による維持管理等の一括発注推進

◎維持管理起点のマネジメントサイクルの標準化

○維持管理情報の分析、点検等の具体的基準等策定

◇PPP/PFI、広域化等を通じたコスト縮減、受益者負担の原則に基づく 適切な使用料設定

○下水道の公共的役割、国の責務等を踏まえた財政支援のあり方の整理

○ディスポーザーの活用及びオムツの受入れ可能性検討

◎処理場等の地域バイオマスステーション化

○BISTRO下水道 の優良取組み等の発信、 農業関係者との連携促進

◎日本下水道事業団の国際業務の拡充検討

◎本邦技術の海外実証、現地基準組入れ

◎浄化槽等、関連分野とパッケージ化した案件提案

○民間企業の事業参画判断に資する情報提供

○適切なPPP/PFIスキームの提案

○ICT等労働生産性向上に資する技術開発

下水道産業を活性化

◇下水道の戦略的広報の実施

○学校の先生等、キーパーソンを通じた下水道の価値の発信

◎広報効果の評価と活動のレベルアップ

◎SNS、防犯カメラ等を活用した浸水情報の収集及び水位周知の仕組みの導入

○まちづくりと連携した効率的な浸水対策

◇施設の耐震化・耐津波化の推進

◇下水道BCP(業務改善計画)の見直し

関連施策の総力による

下水道のスパイラルアップ

取組みを加速すべき項目

官民連携、ストックマネジメント、

水インフラ輸出等、各施策のさらなる拡大

国民理解による各施策の円滑な推進

新たに推進すべき項目

各施策の連携と『実践』、『発信』を通じ、産業の活性化、国民生活の安定、向上につなげるスパイラルアップを形成

国民生活の安定、向上へ

・新下水道ビジョン策定(H26.7)から3年が経過、人口減少等に伴う厳しい経営環境、施設の老朽化等は引き続き進行

・一方、官民連携や国際展開など、新たな動き

背景

下水道事業の持続性確保

海外案件の受注拡大

民間投資の誘発

より生産性の高い産業への転換

◎ :直ちに着手する新規施策

○ :逐次着手する新規施策

◇ :強化・推進すべき継続施策

新下水道ビジョンの実現加速

重点項目Ⅰ 官民連携の推進

重点項目Ⅱ 下水道の活用による 付加価値向上

重点項目Ⅲ 汚水処理システムの最適化

重点項目Ⅳ マネジメントサイクルの確立

重点項目Ⅴ 水インフラ輸出の促進

重点項目Ⅵ 防災・減災の推進

重点項目Ⅶ ニーズに適合した下水道産業の育成

重点項目Ⅷ 国民への発信

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下水汚泥のエネルギー化

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バイオガスの利用の推移

○下水汚泥の減容化等のために設置された消化タンクから発生するバイオガスについては、従来から消化槽の加温等に活用されてきたが、余剰となるガスは焼却処分されてきた。

○近年はFIT(固定価格買取制度)の活用等により、消化ガス発電の事例が急増。(平成28年度末で94件)

○平成27年度は、バイオガスの78%(約2.6億m3)が有効利用されており、うち33%(約109百万m3)はガス発電、25%(約83百万m3)は消化槽の加温に利用。残り22%(約0.7億m3)は焼却処分。

○平成26年度は消化ガス発電施設の発電により、1.8億kWhを発電(2012年の下水道施設の総電力消費量の約2%に相当)。

バイオガスの発生量と利用内訳

※その他有効利用としては、焼却補助燃料、汚泥乾燥、場内冷暖房利用等含む。

バイオガス発電の発電電力量と処理場数 22%が未利用

18 0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27

下水

道バ

イオ

ガス

の利

用率

下水

道バ

イオ

ガス

の発

生量

(万m

3 /年

年度

ガス発電

消化槽加温

その他有効利用

未利用

下水道バイオガスの 利用率

27 28 28 28 31 33

41 47

55

64

79

94

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

200

5

200

6

200

7

200

8

200

9

201

0

201

1

201

2

201

3

201

4

201

5

201

6

発電

設備

設置

処理

場数

[箇所

] 発

電電

力量

[百

万kW

h]

発電電力量

箇所数

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○消化工程から生じるバイオガスは、発電、都市ガス原料、天然ガス自動車等への利用が可能。

精製バイオガスの 都市ガス導管への直接注入

バイオガス発電 天然ガス自動車への供給

全国94箇所で実施

神戸市で実施 長岡市、金沢市で実施

神戸市、上田市で実施

都市ガス原料としての利用

<精製ガス供給量>

神戸市:125万Nm3/年 ※約3,000世帯の都市ガス使用量に相当

<精製ガス供給量>

全国:110万Nm3/年

うち、長岡市:56万Nm3/年

うち、金沢市:54万Nm3/年 ※約2,500世帯の都市ガス使用量に相当

<発電電力量>

全国:1.8億kWh ※約4.4万世帯の使用電力量に相当

<精製ガス供給量>

全国:33万Nm3/年

うち、神戸市:33万Nm3/年

うち、上田市:0.1万Nm3/年 ※約7000台の自動車充填量に相当

バイオガス利用(個別技術)

19

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国土交通省の下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)として平成26年度より実証実施 実証事業実施者 三菱化工機㈱・福岡市・九州大学・豊田通商㈱ 共同研究体 実証フィールド 福岡市中部水処理センター 実証の概要 下水汚泥をメタン発酵して得られる下水道バイオガスから水素を

製造するシステムを構築し、効率性、安定性等について実証

バイオガスからの水素製造・供給

下水道バイオガス2,400m3/日

→ 水素 3,300m3/日(燃料電池車 約65台分)

①膜分離装置によりCO2を除去し、高濃度メタンガスを回収

②水蒸気とメタンの反応(水蒸気改質反応)により水素を製造

CH4 + 2H2O → 4H2 + CO2 ③吸着材でCO2を吸着し、高純度水素を精製

膜分離装置

水蒸気H2O

CO2

CH4 6割CO2 4割

CH4:97%

水素製造装置

下水道バイオガス メタンガス

高純度水素

吸着

① ②

水素製造装置(H26.10.29撮影)

水素供給

水素製造装置(H26.10.29撮影)

20

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炭化

■脱水汚泥を乾燥後、低酸素もしくは無酸素状態で蒸焼くことにより炭化。発熱量は工程の温度により異なる。

■発熱量:約3,300~5,000kcal/kg-DS (約14~21MJ/kg-DS)

油温減圧乾燥

■脱水汚泥を廃食用油等に投入し、減圧・加熱の条件下で水分を蒸発させ乾燥。

■製造される汚泥燃料化物は油分を約30%含む

■発熱量:約5,000kcal/kg-DS(約21MJ/kg-DS)

造粒乾燥

■脱水汚泥を造粒装置で5mm程度の粒状に整形し、熱を加えて乾燥。

■発熱量:約3,800kcal/kg-DS(約16MJ/kg-DS)

(参考)石炭の発熱量 約6,100kcal/kg-dry (25.7MJ/kg-dry )

【炭化】 広島市西部水資源再生センター

(平成24年度より稼働) 炭化した汚泥燃料を、電源開発㈱

竹原火力発電所に供給。 (100t-wet/日)

【油温減圧乾燥】 福岡県御笠川浄化センター

(平成12年度より稼働) 油温減圧乾燥した汚泥燃料を電源

開発㈱松浦火力発電所に供給。 (30t-wet/日)

【造粒乾燥】 宮城県県南浄化センター (平成21年度より稼働)

造粒乾燥物を製造し、隣接する日本製紙㈱製紙工場へ石炭代替燃料とし

て供給。(50t-wet/日)

下水汚泥の固形燃料化

21

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下水汚泥固形燃料の実施状況

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【固形燃料化施設:17箇所】 (H28年度末時点)

事業主体 処理場名 1 宮城県阿武隈川下流流域 県南浄化センター(DBO)

2 群馬県前橋市 前橋水質浄化センター

3 埼玉県荒川右岸流域 新河岸川水循環センター(DBO)

4 東京都東京都区部 東部スラッジプラント(DBO)

5 神奈川県横浜市 南部汚泥資源化センター(PFI)

6 新潟県信濃川下流流域 中越流泥処理センター

7 富山県黒部市 黒部浄化センター(PFI)

8 静岡県静岡市 中島浄化センター(DBO)

9 愛知県矢作川・境川流域 衣浦東部浄化センター(DBO)

10 滋賀県琵琶湖流域 湖西浄化センター(DBO)

11 大阪府大阪市 平野下水処理場(PFI)

12 広島県芦田川流域 芦田川浄化センター(DBO)

13 広島県広島市 西部水資源再生センター(DBO)

14 福岡県北九州市 日明浄化センター(DBO)

15 福岡県御笠川那珂川流域 御笠川浄化センター

16 長崎県西海市 大串浄化センター・瀬戸浄化センター(西海市炭化センター)(DBO)

17 熊本県熊本市 南部浄化センター(DBO)

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平成28年度に稼働したバイオガス発電・固形燃料化施設

【固形燃料】静岡市(中島浄化センタ-)※DBO

【ガス発電】愛知県(豊川浄化センタ-)※PFI

【固形燃料】広島県(芦田川浄化センター)※DBO 【ガス発電】室蘭市

(蘭東下水処理場)※民設民営

【ガス発電】佐野市

(佐野市水処理センター)※PFI

【ガス発電】宇都宮市(川田水再生センター)

【ガス発電】新潟市

(中部下水処理場)

【ガス発電】新潟県

(西川浄化センターほか1箇所)

【ガス発電】上越市

(上越市下水道センター)

【ガス発電】大阪市(大野下水処理場ほか2箇所)※民設民営

【ガス発電】宇部市(東部浄化センター)

【ガス発電】宗像市(宗像終末処理場)

【ガス発電】佐世保市(中部下水処理場)

【ガス発電】熊本市(東部浄化センター)※民設民営

【ガス発電】沖縄県

(宜野湾浄化センターほか1箇所) ※民設民営

平成28年度には、

21施設が稼働開始 (うちPFI:3施設、DBO:2施設、民設民営:8施設)

●バイオガス発電:18施設

●固形燃料化施設:3施設 静岡市中島浄化センター固形燃料化施設

【固形燃料】横浜市

(南部汚泥資源化センター)※PFI

【ガス発電】福岡市

(中部水処理センター) ※民設民営

23

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地域バイオマスの受入れ

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下水処理場における他バイオマスの受入れ

○下水処理場における他バイオマスの受入れの事例 供用開始 実施個所 処理場名 受け入れている他のバイオマス

平成27年 新潟県新潟市 中部下水処理場 刈草

平成25年 北海道恵庭市 恵庭下水終末処理場 家庭系生ごみ、し尿、浄化槽汚泥

平成23年 富山県黒部市 黒部浄化センター 浄化槽汚泥、農業集落排水汚泥、

コーヒー粕、生ごみ(ディスポーザー経由)

平成23年 北海道北広島市 北広島市下水処理センター し尿、浄化槽汚泥、家庭系・事業系生ごみ

平成23年 兵庫県神戸市 東灘処理場 木くず、事業系食品廃棄物

平成19年 石川県珠洲市 珠洲市浄化センター 浄化槽汚泥、農業集落排水汚泥、

し尿、事業系食品廃棄物

ひがしなだ

すず

えにわ

○下水処理場においては、他のバイオマス(食品廃棄物等)を受け入れ、下水汚泥と併せてメタン発酵すること等により、スケールメリットを創出し、地域全体で効率的にエネルギー利用することが可能。

○平成28年度には、「下水処理場における総合バイオマス利活用検討委員会」を設置。長井市・秦野市・藤枝市・玉名市の下水処理場を対象として実現可能性調査を実施。事業化にあたり必要となる関係者との調整・手続き等の情報、既往の実施事例等を併せて、「下水処理場における地域バイオマス利活用マニュアル」として公表(H29.3)。

えにわ

メタン発酵施設

下水処理場

固形燃料化施設

家畜 排せつ物

剪定枝 生ごみ

し尿・ 浄化槽汚泥

下水処理場に

集約化 PPP/PFI活用

下水処理場におけるバイオマス集約とエネルギー化のイメージ

ディスポーザー

25

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固定価格買取制度(FIT)

26

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○「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(平成24年7月1日施行)

再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、国が定める一定の期間・価格で電気事業者が買い取ることを義務付け。

○下水道関係の認定は、平成28年度末現在で89件(国交省受付分)。

○下水道管理者による取組以外にも、民間事業者が下水処理場内に設備を設置して運営する「民設民営方式」が増加。

下水道事業における固定価格買取制度(FIT)の活用

バイオガス発電 廃棄物発電 計

うち民間主体 うち民間主体

平成24年度 7 3 15 10 22

平成25年度 8 4 5 4 13

平成26年度 22 15 7 4 29

平成27年度 9 7 1 0 10

平成28年度 14 12 1 1 15

計 60 41 29 19 89 固定価格買取制度(FIT)を活用した消化ガス発電事業

(鹿沼市)

27

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再生可能エネルギーの固定価格買取制度における買取価格

【バイオマス発電に係る調達価格・調達期間(H29年度上半期) 】

バイオマス メタン発酵ガス (バイオマス由来)

間伐材等由来の

木質バイオマス

一般木質バイオマス

・農作物残さ

一般廃棄物その他

のバイオマス 建設資材廃棄物

調達価格

(税抜) 39円

40円(2,000kW未満)

32円(2,000kW以上) 24円 17円 13円

調達期間 20年間 20年間 20年間 20年間 20年間

【メタン発酵ガス】下水汚泥・家畜糞尿・食品残さ由来のメタンガス 【間伐材等由来の木質バイオマス】間伐材、主伐材 【一般木質バイオマス・農作物残さ】製材端材、輸入材、パーム椰子殻、もみ殻、稲わら 【一般廃棄物その他のバイオマス】剪定枝・木くず、紙、食品残さ、廃食用油、汚泥、家畜糞尿、黒液 【建設資材廃棄物】建設資材廃棄物、その他木材

28

○バイオガス発電のFIT買取価格は39円/kWhを維持。

なお、太陽光発電(10kW以上)は40円/kWh (平成24年)から24円/kWh (平成28年現在)に見直し。

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PPP/PFIを活用したエネルギー化事業

29

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下水道事業におけるPPP/PFIの実施状況

※1包括的民間委託:複数業務をパッケージ化した複数年契約

※2 DBO:設計・施工・管理一括発注 Design Build Operate

PFI・DBO(※2)事業

32件

包括的民間委託

(管渠)

17団体

処理施設(全国約2,200箇所)

汚泥処理施設 (24箇所)

管渠等 (全国約47万km)

下水道施設

包括的民間委託

(処理施設)

約410件

(件数はH29.4月時点 国土交通省調査による)

水処理+汚泥処理施設 (2,139箇所)

下水汚泥

有効利用施設

○管路施設や下水処理施設の管理については9割以上が民間委託を導入済み。

○包括的民間委託※1は約430件導入されており、件数は近年増加中。

○下水汚泥を利用してガス発電や固形燃料化を行うPFI事業等は32件実施・予定されている。

○新たなPFI方式であるコンセッションについては、浜松市が優先交渉権者を選定し、大阪市、奈良市、三浦市、須崎市、宇部市、宮城県、村田町、小松市、大分市、大牟田市が導入検討中。具体的検討を進める都市に対して、 国土交通省より実施方針や契約関係書類の作成等について支援。

30

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下水汚泥の有効利用に関するPFI/DBOの実施状況

<PFI >

表内の年月は供用開始時期

<DBO※> 11件 21件 ※設計・施工・管理一括発注(DB+O含む)

地方公共団体 事業名

東京都(H19.11) 東部スラッジプラント汚泥炭化事業

佐賀市(H21.10) 佐賀市下水浄化センター汚泥堆肥化事業

東京都(H22.7) 清瀬水再生センター汚泥ガス化炉事業

兵庫県(H23.4) 兵庫西流域下水汚泥処理場 1・2系溶融炉改築工事

愛知県(H24.4) 衣浦東部浄化センター下水汚泥燃料化事業

広島市(H24.4) 西部水資源再生センター下水汚泥燃料化事業

薩摩川内市(H24.4) 汚泥再生処理センター施設整備運営事業

熊本市(H25.4) 下水汚泥固形燃料化事業

東京都(H25.7) 東部スラッジプラント汚泥炭化事業(その2)

埼玉県(H27.3) 新河岸川水循環センター下水汚泥固形燃料化事業

西海市(H27.7) 西海市エネルギー回収推進施設整備・運営事業

北九州市(H27.10) 日明浄化センター下水汚泥固形燃料化事業

滋賀県(H28.1) 湖西浄化センター下水汚泥燃料化事業

広島県(H29.1) 芦田川浄化センター下水汚泥固形燃料化事業

静岡市(H29.1) 中島浄化センター汚泥燃料化事業

京都府(H29.4) 洛西浄化センター下水汚泥固形燃料化事業

福岡県

(H31.4 予定) 御笠川浄化センター下水汚泥固形燃料化事業

秋田県

(H32.4 予定) 県北地区広域汚泥資源化事業(米代川流域下水道・

大館処理センター)

名古屋市

(H32 予定) 空見スラッジリサイクルセンター下水汚泥固形燃料化

事業

福岡市

(H32 予定) 西部水処理センター下水汚泥燃料化事業

京都市

(H33.4 予定) 鳥羽水環境保全センター下水汚泥固形燃料化事業

地方公共団体 事業名

横浜市(H16.1) 改良土プラント増設・運営事業

東京都(H16.4) 森ヶ崎水再生センター常用発電設備整備事業

大阪市(H19.9) 津守下水処理場消化ガス発電設備整備事業

横浜市(H21.12) 北部汚泥資源化センター消化ガス発電設備整備

事業

黒部市(H23.5) 下水道バイオマスエネルギー利活用施設整備運

営事業

大阪市(H26.4) 平野下水処理場汚泥固形燃料化事業

横浜市(H28.4) 横浜市南部汚泥資源化センター下水汚泥燃料

化事業

佐野市(H28.4) 佐野市水処理センター再生可能エネルギー発電

事業

愛知県(H28.10) 豊川浄化センター汚泥処理施設等整備・運営事業

横浜市(H29.4) 横浜市北部汚泥資源化センター汚泥処理・有効

利用事業

豊橋市

(H29.10予定) 豊橋市バイオマス資源利活用施設整備・運営事業

(件数はH29.4月時点 国土交通省調査による)

表内の年月は供用開始時期

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事業方式 BOT方式 (独立採算型)

事業期間 H27.3~H48.3

供用開始 H28.4

事業箇所 佐野市水処理センター(栃木県)

受注者 (SPC)

佐野ハイブリッド発電㈱

構成員 ㈱大原鉄工所 ㈱西原環境

事業概要 ○佐野市水処理センターの敷地内に「佐野ハイブリッド発電所」をPFIで整備。

○消化ガス発電設備と下水処理場内の敷地を有効活用する太陽光発電設備により年間約263万kWを発電し、東京電力㈱へ供給。

○佐野市は、受注者より250万円(税抜)/年を収受。

施設概要 ○消化ガス発電設備 250kW (マイクロガスエンジン50kW×5台) ○太陽光発電設備 940kW (太陽光パネル0.26kW×3,616枚)

■事業対象施設(消化ガス発電)

■事業スキーム

売電契約 佐野ハイブリッド発電㈱ (SPC)

東京電力㈱

佐野市 (2015/3末までは栃木県)

事業契約

㈱大原鉄工所 (消化ガス発電設備整備)

㈱西原環境 (太陽光発電設備整備

消化ガス発電設備維持管理 太陽光発電設備維持管理)

北越銀行 足利銀行

PFI推進機構

融資

業務委託

㈱大原鉄工所 ㈱西原環境

出資

下水汚泥の有効利用に関するPFI等の事例 (1)佐野市

○佐野市における再生可能エネルギー発電事業では、消化ガス等による発電設備をPFIで整備・運営。PFI推進機構が案件組成及び財政面で支援。

32

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事業方式 DBO方式

契約期間 H21.12~H44.3 設計・建設:H21.12~H24.3 運転・維持管理:H24.4~H44.3

供用開始 H24.4

事業箇所 愛知県碧南市

受注者 (SPC)

愛知衣浦バイオ㈱

メタウォーター㈱、中部電力㈱

事業費 約129億円

事業概要 下水汚泥を下水汚泥燃料化施設において炭化処理し、下水汚泥炭化燃料(炭化物)を製造後、全量を中部電力㈱碧南火力発電所で石炭と混焼利用する。

施設概要 ○汚泥処理能力 100t/日×1系列 ○汚泥処理量 33,000t/年(約100t/日) ○下水汚泥炭化燃料(炭化物)製造量

2,700t/年(8t/日) 33

衣浦東部浄化センター下水汚泥固形燃料化事業

■事業対象施設外観

愛知県HPより

炭化炉

■事業スキーム

下水汚泥の有効利用に関するPFI等の事例 (2)愛知県

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下水道バイオマスエネルギー利活用施設整備運営事業

下水汚泥・食品残渣等のバイオマス資源を循環利用する施設をPFIで整備・運営。

事業方式 BTO方式 (サービス購入型)

契約期間 H21.4~H38.4

供用開始 H23.5

事業箇所 富山県黒部市

受注者 (SPC)

黒部Eサービス㈱

水ing㈱、㈱荏原製作所

事業費 約36億円

事業概要 下水汚泥や事業系食品系残渣等を受け入れ、安定的かつ適正な処理を行うとともに、バイオマスに潜在するエネルギーを効果的に回収し、有効活用を行う。

バイオマス 受入量

○下水汚泥 24,346m3/年 ○農業集落排水汚泥 1,080m3/年 ○浄化槽汚泥 134m3/年 ○ディスポーザー生ゴミ 688m3/年 ○事業系食品残渣(コーヒー粕) 2,884m3/年

■事業スキーム

■事業対象施設外観

① ガスホルダ・メタン発酵設備

② マイクロガスタービン発電機

③ 汚泥乾燥機

34

下水汚泥の有効利用に関するPFI等の事例 (3)黒部市

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リン資源利用とBISTRO下水道

35

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下水道からのリン等肥料利用

○農業・食品に関わるリンの輸入量の約40万トン/年のうち1割強が下水処理場に流入。肥料としての有効利用はそのうち約1割。

○リンを輸入に頼る我が国においては、下水道からの安定的なリン資源回収が重要な課題。

単位:万トン-P/年

(平成26年)

天然リン鉱石 約4.1 食糧・飼料

約17

肥料 約17

下水道 約5

下水汚泥 約4

輸入量:約40

≪国内のリンのフロー≫

リン肥料、燐安 約13.3

黄燐、1次製品 約5.5

農地・牧場 食料

人間

公共用水域 約1

汚泥焼却灰(約64%)

リンアトラス研究所資料より、

国土交通省作成

脱水汚泥(約21%)

溶融スラグ(約9%)

下水汚泥肥料 約0.5

※下水汚泥からの移行率は平成18年度の数字

埋立等 約3.5

リン回収施設及び回収したリン(神戸市)

36

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

0

40

80

120

160

200

1988

1990

1992

1994

1996

1998

2000

2002

2004

2006

2008

2010

2012

2014

万t

リン鉱石輸入数量と価格の推移

数量(t)

単価(円/t)

(円/t) (万t)

※数量はリン純分ではなく、輸入量ベース。

2009年 42,733円/t

2015年 26,148円/t

2000年 9,453円/t

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○地域資源と下水汚泥を用いて肥料を製造するとともに、海苔が生長する冬季に栄養塩を多く含んだ処理水を供給する季別運転を実施。

アスパラについて、うま味・甘み(アミノ酸)等の成分が増加傾向との報告が有

汚泥の活用(肥効特性)

処理水の活用

海苔養殖に配慮し、成長期の冬に栄養塩を多く供給

うまみ酸味

甘み

佐賀市資料

アスパラのアミノ酸含量(mg/dl)

ちゃんとした野菜の味がする、甘い、調理後もしっかり形が残ると、好評(イタリア料理店マスター)

害虫からの免疫力が向上した、農薬

の使用量が半分以下に減った(農家コ

メント)

佐賀市の取り組み概要

汚泥

処理水 処理水

堆肥

作物等供給 生活排水等 下水

処理場

下水汚泥の 堆肥化施設

消費者

生産者 (農家・漁業等)

地域の食品工場で発生する副産物を混合し発酵促進を図ることで、堆

肥の品質が向上

高温発酵

地域の資源循環 地産地消に貢献

堆肥

次世代を担う地域の子供達と

栽培・収穫

定期的な農業勉強会の開催

スッポン 海苔

アスパラ キャベツ 玉葱

ジャガ

イモ

丸ごとローストした玉ねぎは「一回使うと他の食材が使えないほど甘い」。 イタリアンレストラン “ピッツェリアロータス“ (福岡市中央区)

レストランオーナー

生産者

大きく育って驚いた。甘くておいしい健康野菜を食べてみて下さい。

(佐賀市資料より)

バイオガス中のCO2等を活用したミドリムシの培養実証

下水道資源の有効利用による地域の資源循環(佐賀市の事例)

37

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食と下水道の連携’BISTRO下水道’

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省エネの取組

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○エネルギー消費効率の高い設備の導入により、下水処理場における省エネ・省CO2対策を推進。

○当該技術がODA案件として、ベトナム国ホイアン市の処理場に導入。

下水処理場における省エネ・省CO2対策の推進

ろ過施設を設置し、

固形物等を除去

下水中に酸素を供給するための動力をほとんど使用しない水処理技術。

無曝気循環式水処理技術(高知市)

送風機により空気を送ることが不要となり、

消費電力量半減を実現 ろ過施設を設置し、

固形物を除去

消費電力量削減効果の試算結果

kWh/m3

削減率53%

本技術により、本邦企業が海外での下水処理場建設を受注(ベトナム国ホイアン市)

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下水熱利用

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下水熱の効果と特長

【下水水温と気温との比較】

0

5

10

15

20

25

30

35

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

温度[℃]

下水水温

気温

温度差エネルギーを利用できる差分

冷暖房等

に利用

○下水は大気に比べ冬は暖かく、夏は冷たい特質を有するとともに、安定的かつ豊富に存在。

○この温度差エネルギーを活用することにより、ヒートポンプを用いて冷暖房・給湯(又は温水利用等)を行うことで省エネ・省CO2化を図ることが可能。また、下水の熱を融雪等に直接利用することも可能。

○下水熱は、約80万世帯の熱利用量に相当する大きなポテンシャルを有する。

B-DASH プロジェクト ガイドラインより抜粋

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下水熱の利用の取組状況

供用開始 所在地 熱利用先

① 平成2 千葉県千葉市 幕張新都心ハイテク・ビジネス地区

② 平成6 東京都文京区 後楽一丁目地区

③ 平成6 北海道北見市 バス停(待合所)

④ 平成9 岩手県盛岡市 盛岡駅西口地区

⑤ 平成9 神奈川県横浜市 横浜国際総合競技場(日産スタジアム)

⑥ 平成9 富山県魚津市 魚津市営体育施設「ありそドーム」

⑦ 平成10 大阪府枚方市 枚方市営総合福祉会館

「ラポールひらかた」

⑧ 平成11 愛知県小牧市 公民館(処理場敷地内)

⑨ 平成11 富山県射水市 射水市営体育施設「海竜スポーツランド」

⑩ 平成18 東京都港区 ソニーシティ(ソニー本社)

⑪ 平成19 北海道札幌市 西区民・保健センター

⑫ 平成20 東京都江東区 新砂三丁目地区の医療福祉施設

⑬ 平成23 富山県射水市 神通川左岸流域 神通川左岸浄化センター

⑭ 平成25 宮城県仙台市 食品スーパー(ヨークベニマル)

⑮ 平成26 新潟県十日町市 市立西保育園

⑯ 平成27 東京都港区 品川シーズンテラス

⑰ 平成27 新潟県新潟市 市役所前バスターミナル歩道部(融雪)

⑱ 平成28 大阪府堺市 鉄砲町地区大型商業施設(イオンモール)

⑲ 平成28 新潟県新潟市 農業施設「うららこすど」

⑳ 平成28 愛知県豊橋市 次世代園芸施設

所在地 事業概要

愛知県名古屋市 ささしまライブ24地区における下水再生水利用と併せた下水熱利用

長野県小諸市 小諸厚生総合病院への下水道管渠からの下水熱利用

愛知県豊田市 豊田市駅前再開発地区における高齢者施設への熱供給

今後導入が予定されている案件の例

○下水熱の利用は、全国で20件実施(平成28年度末)。近年増加傾向。

○当初は処理場等周辺での利用が多かったが、下水道法改正等も受けて管渠からの採熱が増加。

下水管内への熱交換器設置事例(愛知県豊田市)

③熱輸送管

①更生管

②熱交換管

下水熱による地域熱供給

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下水熱利用の類型①

類型と事例

下水熱利用規模

地域熱供給施設への熱供給

個別施設への熱供給

下水熱供給元

下水処理場

又は

ポンプ場

再生水利用なし

「後楽一丁目地区」における地域冷暖房への下水熱利用(未処理下水)

「ソニーシティ(ソニー本社)」に

おける下水熱利用

再生水利用あり

「ささしまライブ24地区」

におけるまちづくりと下水熱利用のパッケージ化※

「堺市の大型商業施設」における

下水熱利用、下水再生水利用の

パッケージ化

下水管路 国内での実施例はないが、

今後導入の可能性

・「小諸市厚生総合病院」の給湯における利用※ ・「豊田市高齢者施設」における利用※ ・「新潟市バスターミナル」の歩道部融雪における利用

・「仙台市のスーパーマーケット」における給湯向け下水熱利用

「ドイツ:ボーフム市」における

管路内採熱による公営温水

プールへの下水熱供給

※は今後実施予定

○国内外における下水熱利用の既存事例は、下水熱供給元の種類、下水熱利用の規模及び再生水利用とのパッケージの有無により、以下のように類型化される。

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下水熱利用の類型②

○また、下水熱利用システムの構成は以下のように類型化できる。

システム構成 採熱方法 実施例

① 下水処理場から処理水を取水して採熱

•堺市 鉄砲町イオンモール •千葉県 幕張新都心地区 •港区 ソニーシティ

② ポンプ場から 未処理下水を 取水して採熱

•盛岡市 盛岡駅西口地区 •文京区 後楽一丁目

③ 下水管渠から 未処理下水を 取水して採熱

•NEDOプロジェクト*(実証)

*次世代型ヒートポンプシステム研究開発「都市域における下水管路網を活用した下水熱利用・熱融通技術」

④ 下水管渠内に設置した熱交換器で採熱

•小諸市 厚生総合病院 •豊田市 高齢者施設 •新潟市 バスターミナル歩道部 •仙台市 ヨークベニマル店舗(実証) •十日町市 西保育園(実証)

ヒートポンプ熱交換器未処理下水 ・・・

ポンプ所流入

自動除塵機

ポンプ所 流砂地

下流水下水処理場へ

下水処理場ヒートポンプ熱交換器

処理水 ・・・

放流

ヒートポンプ熱交換器未処理下水 ・・・

自動除塵機

下水管渠

ヒートポンプ熱源水

下水管渠

貯湯槽熱交換器

熱交換器

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堺市鉄砲町地区(平成28年)

大型商業施設内の給湯・空調用熱源の一部として処理水を利用(1,500m3/日) 高度処理を行い、環豪(内

川せせらぎ等)へ放流し水質浄化に活用するととも

に、大型商業施設内のトイレ洗浄等への使用も検討

(1,500m3/日)

せせらぎ用水への活用

環濠を活用した観光

環境モデル都市

• 下水処理場からの下水処理水(再生水)を、地域の活性化の観点から、環濠に送水するのと併せ、その途上の大型商業施設の熱源用水として供給。

• 大型商業施設では、給湯用の温熱利用を行った後、空調用で冷熱利用をする日本初の下水熱「カスケード利用方式」を採用。

• 熱利用後は、高度処理を行った再生水は大型商業施設内のトイレ洗浄等へ再利用し再び処理場へ、再利用されない再生水は内川緑地のせせらぎ用水として活用。

年間で省エネ効果3.5%

CO2削減効果7.5t

給湯用途で温熱利用し、その後空調用途で冷熱利用する日本初の下水熱“カスケード利用方式”

下水熱と再生水とのパッケージ利用(大阪府堺市)

下水道事業者 熱需要家

内川

熱交換器

三宝下水処理場

再生水

トイレ洗浄水

憩いの場せせらぎ

内川緑地内せせらぎ水路

給湯熱源空調利用

外気余熱

膜処理システム

水の循環の創出

下水道事業者 熱需要家

内川

熱交換器 三宝下水処理場

再生水

トイレ 洗浄水

憩いの場せせらぎ

内川緑地内

せせらぎ水路

【通期】

温熱(給湯)

【冬期】

温熱(暖房)

膜処理システム

水の循環の創出

【夏期】

冷熱(冷房)

下水道事業者 熱需要家

内川

熱交換器三宝下水処理場

再生水

トイレ洗浄水

憩いの場せせらぎ

内川緑地内せせらぎ水路

【通期】温熱(給湯)

【冬期】温熱(暖房)

膜処理システム

水の循環の創出

【夏期】冷熱(冷房)

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下水管路から採熱する下水熱利用(長野県小諸市)

小諸市厚生総合病院の事例 (平成29年供用開始予定、下水熱設備施工済)

•小諸市庁舎等と小諸厚生総合病院の共同事業により、エネルギーの相互利用の実施と、下水熱を利用した熱回収ヒートポンプを使って病院給湯へ熱供給。 •採熱マット方式を採用し、採熱量は病院の給湯負荷ピーク日(2月)の約10,000MJ/日の約10%に相当。 •平成27年度に下水道条例を改正し、民間事業者による下水道管渠への初の熱交換器設置を実現。

採熱マット方式

対応口径 Φ200~800mm (Φ250の為、採熱マット 方式採用)

技術概要

• 老朽化した下水道管路の 管更生工法に熱交換パイプ を搭載したもの

• 下水管路 下面 に熱交換 パイプ敷設

小諸厚生総合病院

延床面積:21,272㎡

階 数:地上7階

小諸市庁舎・市立図書館・交流センター

延床面積:19,945㎡

階 数:地上4階、地下2階

下水道管理者

下水熱利用に関する協定

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下水熱利用アドバイザー派遣事業

「下水熱利用アドバイザー派遣等支援事業」とは下水熱利用事業の導入を検討する地方公共団体等に対し、アドバイザーを派遣し、個別事案に関する課題整理と助言を実施すること等により、下水熱利用事業の導入支援を行うものであり、平成27年度より実施。

平成27年度には、全国18の地方公共団体(小諸市など)を対象にアドバイザー派遣を実施。

平成28年度には、全国10の地方公共団体(長野県など)を対象に実施。

平成29年度についても、現在派遣先を募集中(9月8日募集〆切)。

Phase1

下水熱利用に関する 基礎情報の収集

Phase2

下水熱供給可能箇所に 関する情報の整理・発信

Phase3

熱需要箇所に関する 情報の収集

アドバイス 内容

派遣自治体の検討状況

適用可能な下水熱利用

技術・システムと選定方法

下水熱ポテンシャルの推計方法、ポテンシャルマップの作成方法

下水熱利用の基礎情報

(下水熱の仕組み、メリット、先行取組事例 等)

下水熱利用の検討手順

熱需要家候補の見つけ方、必要とされる環境整備

採算性評価の考え方やそのポイント

関係者間における事業スキームの考え方

(責任分界、費用負担、料金設定等)

必要となる条例整備・改正

12自治体 8自治体 4自治体 4自治体

Phase4

関係者間における 事業スキームの協議・検討

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技術開発とB-DASHプロジェクト

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実施設への技術導入

実証段階 (パイロット プラント)

実証段階 (実規模)

水平展開

水平

展開

研究段階

開発段階

採択

独自に技術の

発展・導入

※一定水準に達した技術については、

所定のプロセスを経て移行可能

応用研究 【最長2年】

B-DASH(FS調査)

【最長2年】

B-DASH(実規模実証)

【最長2年】

GAIA 【最長3年】

展 発

特性や必要に応じてB-DASHに発展 又は 独自に展開

・実規模で実証できる段階にある技術の実証

・実施設を対象とした実証に限定

・開発段階をほぼ終えており、実施後に審査を行い、実規模実証に移行する技術の調査

・大学等によるラボレベルの研究を終え、企業による応用化に向けた開発段階にある研究

・処理場や管渠などの実規模施設を必要としない技術も対象

・民間企業(大学との共同研究も可)を対象

・大学、若手研究者との連携、地域の活力向上、10年先を見据えたシーズの形成を目的

・研究代表者を若手に限定(50歳未満)

・大学(民間企業との共同研究も可)を対象

下水道における技術開発に対する支援制度

○下水道における技術開発は、研究段階から実規模施設を用いた水平展開までの段階的な支援を実施

○平成29年度からは開発段階の支援制度として「下水道応用研究」を創設。

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○エネルギー需給の逼迫等の社会情勢の変化を踏まえ、下水道事業においても、革新的技術による創エネルギー化、省エネルギー化、浸水対策、老朽化対策等を推進する必要がある。

○下水道における革新的な技術について、国が主体となって実規模レベルの施設を設置して技術的な検証を実施。ガイドラインを作成し、全国展開を図る。

○平成29年度までに、34の技術(実規模実証)を採択。16のガイドラインを国土技術政策総合研究所のHPに公表済。

下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)

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下水管渠 M M

最初沈殿池 反応タンク 最終沈殿池

下水処理場

下水 汚泥

汚泥処理施設

管渠における技術

水処理における技術

汚泥処理における技術

㉗ ㉓

下水熱回収技術

管きょマネジメント技術

ICT活用浸水対策技術

空洞探査技術

固液分離技術

省エネ水処理技術 ICT活用戦略的維持管理技術

ダウンサイジング技術 バイオガス回収・発電・活用技術

窒素・リン除去技術 固形燃料化技術

バイオマス発電技術

水素創出技術

下水汚泥の有効利用技術

バイオガス集約・活用技術 CO2分離・回収・活用技術

㉗ 設備劣化診断技術

㉗ 降雨・浸水予測技術

浸水対策における技術

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下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト) * Breakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Project

採択年度 テーマ

H23 超高効率固液分離技術を用いたエネルギーマネジメントシステム

H23 再生可能エネルギー生産・革新的技術

H24 温室効果ガスを排出しない次世代型下水汚泥固形燃料化技術

H24 廃熱利用型 低コスト下水汚泥固形燃料化技術

H24 栄養塩除去と資源再生(リン)革新的技術

H24 管路内設置型熱回収技術を用いた下水熱利用

H25 下水道バイオマスからの電力創造システム

H25 脱水・燃焼・発電を全体最適化した革新的下水汚泥エネルギー転換システム

H26 水素リーダー都市プロジェクト~下水バイオガス原料による水素創エネ技術~

H27 複数の下水処理場からバイオガスを効率的に集約・活用する技術

H27 バイオガス中のCO2分離・回収と微細藻類培養への利用技術

H28 脱水乾燥システムによる下水汚泥の肥料化、燃料化技術

H28 自己熱再生型ヒートポンプ式高効率下水汚泥乾燥技術

H29 高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術

H29 温室効果ガス削減を考慮した発電型汚泥焼却技術の実用化技術

これまでに採択した下水道資源・エネルギー利用関係技術(実規模実証のみ、省エネ技術は除く)

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提案技術の革新性等の特徴

高効率消化システムによる地産地消エネルギー活用技術の実用化に関する実証事業

(事業実施者) 三菱化工機・九州大学・日本下水道事業団・唐津市共同研究体

(実証フィールド) 佐賀県唐津市浄水センター

(実証概要)

生ごみ等の未利用バイオマスの活用、無動力の消化槽撹拌装置、バイオガス発生量を増加させる可溶化装置、高い発電効率を有する燃料電池を組み合わせた高効率消化システムについて、処理性能や、エネルギー回収率の向上効果等を実証する。

提案技術の概要

①無動力撹拌式消化槽

・消化槽内の撹拌は、発生するバイオガスの圧力を利用するため、無動力

・消化槽内部に機械設備を有しない構造であるため、メンテナンス性の向上とランニングコストの低減が期待される。

水処理 設備

濃縮設備

放流

消化設備

発電設備

搬出

A:処理場全体のエネルギー消費量

バイオガス

B:創エネルギー量

エネルギー自給率の定義 : B÷A(%)

ポンプ 設備

水処理施設 ①無動力撹拌式 消化槽

脱水機 (既設)

加温装置

蒸気

②高効率加温設備 (可溶化装置)

③固体酸化物形 燃料電池 (SOFC)

場外搬出

濃縮汚泥

発電効率上昇

バイオガス増量

消化率改善

撹拌動力削減

含水率削減

:実証範囲

地域バイオマス

(食品廃棄物(生ゴミ)等)

②高効率加温設備(可溶化装置)

・熱可溶化による熱加水分解作用により、消化日数の短縮が期待される。

・消化率が上昇し、バイオガスの増量が期待される。

・汚泥が改質され脱水汚泥の含水率の低減が期待

される。

→脱水汚泥の搬出量を削減

③固体酸化物形燃料電池(SOFC)

・ガスエンジンと比べ発電効率向上が期待される。

・電極触媒として、貴金属不要

未利用バイオマス

脱水設備

搬出汚泥量を削減

提案技術によりエネルギー自給率を向上させる

外部汚泥(OD汚泥)

(周辺小規模処理場より)

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H29採択