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乳酸菌の細胞外多糖 誌名 誌名 応用糖質科学 ISSN ISSN 21856427 著者 著者 福田, 健二 巻/号 巻/号 5巻1号 掲載ページ 掲載ページ p. 31-37 発行年月 発行年月 2015年2月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

乳酸菌の細胞外多糖応用糖質科学第5巻第1号(2015) +31・, 、乳に係わる 4【特集》糖鎖研究の、, 最前線 乳酸菌の細胞外多糖 1. はじめに

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  • 乳酸菌の細胞外多糖

    誌名誌名 応用糖質科学

    ISSNISSN 21856427

    著者著者 福田, 健二

    巻/号巻/号 5巻1号

    掲載ページ掲載ページ p. 31-37

    発行年月発行年月 2015年2月

    農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

  • 応用糖質科学第 5巻第 1号 (2015) +31・, 、乳に係わる4【特集》糖鎖研究の、, 最前線 乳酸菌の細胞外多糖

    1. はじめに

    乳酸菌は梓状または球状のグラム陽性菌であり,カタ

    ラーゼ陰性を示す。内生胞子は形成せず,運動性を示すも

    のもある。また,その名の示す通り,取り込んだ炭素源を

    代謝しそ の 50%以上を乳酸として分泌する。現在. Fir-

    micutes門Lactobacillus属など28菌属,およぴAcωcti“inoωoba飢c-t旬en巾a門Bi♂;戸fid,ゐ'obωact的er加 n属に系統分類されるパクテリアが乳酸菌と呼ばれている。人類にとって最も身近な微生物の

    lつであり. generally recognized as safe (GRAS)という概

    念が適用されるように,安全で有益なものと一般に見なさ

    れている。古来,人類は微生物の力を借りて食品を変化さ

    せ,保存性と風味を高める努力をしてきた。いわゆる発酵

    であり,その過程で乳酸菌が生産する乳酸は食品の pHを

    低下させ,食品を汚染する微生物の生育を抑制すると共

    に,爽やかな酸味を与える。乳酸菌による有害微生物の生

    育阻害には抗菌活性を有する環状ペプチド,パクテリオシ

    ンも貢献している。とりわけ,ナイシンは既に食品添加物

    として指定されており,安全性の高い抗菌剤として幅広い

    産業利用が期待されている。一方,食品の風味やテクス

    チャーに影響を与える代謝産物として,細胞外多糖

    (exopolysaccharide, EPS)が挙げられる。例えば,発酵過程

    で分泌された粘性EPSは 食品成分や食品中に存在する

    微生物と相互作用し,発酵食品に粘性を賦与することで,

    口当たりを良くする。さらに 一部の EPSは免疫調節作

    用など健康機能性を有することが示唆されており,その安

    全性も含め関心を集めている。

    本稿では,乳酸菌が生産する EPSに関して,最近 5年

    間の研究動向を中心に概説する。それ以前について多くの

    優れた総説1

    総説として拙著6)唯をf併井せてご参考いただだ、ければ幸いでで、ある。

    2. EPSの構造的特徴

    EPSには,細胞膜外膜やペプチドグリカン層に共有結合

    した英膜多糖 (capsularpolysaccharide, CPS)と,菌体から

    遊離しだスライム多糖がある。また,化学構造上の特徴か

    ら,構成単糖が単一のホモ多糖と,複数のヘテロ多糖に分

    類される。デキストラン門)やレパン 10)に代表されるホモ多

    糖は,グjレカンスクラーゼの働きによりスクロースを基質

    として菌体外で合成される。また. s・グルカンを産生する乳酸菌も存在オる 11.12)。一方,ヘテロ多糖は,まず糖転移

    酵素群の働きにより菌体内で 3単糖またはそれ以上からな

    福田健二(ふくだけんじ)

    る「繰り返し単位」が合成され これが菌体外へ輸送され

    たのち重合し生成する。既知のヘテロ多糖で繰り返し単位

    の構成単糖数が最も多いのは • Lactobacillus rhamnosus KL

    37Bの9糖であるヘヘテロ多糖の構成単糖は主にグル

    コース,ガラクトース,およびラムノースであるが.N-

    アセチ jレグルコサミン • N-アセチルガラクトサミン,フ

    コース,マンノース同 18) アラピノース 17)が見出された例

    もある。ピラノース環だけでなくフラノース環の構成単糖

    を有する場合や,種々の官能基による修飾を受ける場合も

    あり 19) その構造多様性がヘテロ多糖の特徴となってい

    る。

    3. EPSの役割

    3.1菌体の防御

    微生物がEPSを生産する理由はいくつか推定されてい

    るが(図 1).まず周囲からの環境ストレスに対する防御が

    挙げられる。乳酸菌が晒されるストレスは,乾燥や浸透

    圧,エタノール却)など物理化学的なものからファージなど

    生物学的なものまで様々である。この点において,低pH

    や胆汁酸に対するストレス耐性と EPSの関連が近年報告

    されており I州 日 日5) EPS生産能の有無がプロバイオテイク

    ス乳酸菌を選抜する指標の 1つになっている。

    3.2宿主との関わり合い

    乳酸菌の EPSは宿主への接着に寄与すると予想され,

    これを支持する研究結果が報告されている。 EPS生産能の

    高いBifidobacteriumbreve A28はEPS生産能の低いB.breve

    A 10よりも強く凝集体を形成し,ヒト結腸がん由来 Caco・

    2細胞にも強く結合することから,乳酸菌の EPSが宿主と

    の接着に関与することが示唆された均。また. Simsらは体

    内にラクトバチルス属細菌を持たないマウスに Lactobaci/-

    /us reuteri 100-23を強制経口投与したところ,フルクトー

    ス転移酵素的η遺伝子を欠損した変異株はレパン合成能

    を失うも単独で前胃上皮にコロニーを形成したが,野生株

    との共存下ではコロニー形成が阻害されることを見出し

    たヘ一方. EPS繰り返し単位の生合成を開始するプライ

    ミング糖転移酵素の推定遺伝子(申sE)を欠損した Lacto-

    bacillus johnsonii FI 10844変異株は予想に反して EPS生産

    能を失わず, しかもヒト結腸腺がん由来細胞株HT-29に

    対する接着性が野生株の約1.6倍に向上した2九これらの

    結果から,同一菌株の乳酸菌により生産される EPSが2

    種以上存在する場合があり それぞれ宿主接着への寄与が

  • +32+ 応用糖質科学第 5巻第 1号 (2015)

    酋lIIIiii①菌体の防御

    ② 他の腸内細菌との相互作用

    ⑦ 宿主免疫系への{動きかけ

    /

    異なる可能性があること,また 宿主細胞および微生物表

    面の疎水性領域や表層タンパク質をはじめとする細胞膜

    (壁)構成成分も接着に関与しており ,EPSがこれらを被

    覆し接着を阻害する可能性が考えられ,EPSを介した宿主

    接着メカニズムの一端が伺える (図 1)。

    また, EPSが乳酸菌と宿主との共生関係成立に重要な働

    きをしている可能性が示された。Remusらは Lactobacillus

    plantarum WCFS 1が有する 4つの CPS関連遺伝子クラス

    ターについて欠損変異株を作製し, Toll様受容体 2(TLR

    2)を発現するヒト胎児腎臓由来 HEK293細胞株に対する

    影響を調べた18)0 TLR 2はリポタンパク質やペプチド脂質

    などグラム陽性菌のペプチドグリカン構成成分を認識し,

    NF-KBの活性化を介して炎症応答や免疫応答を誘導する。

    解析の結果, 4つの CPS関連遺伝子クラスターはいずれ

    も正常な CPSの合成に必須であり,各欠損株の中では四

    重欠損株が最も強く NF-KBを活性化 したことから,同菌

    株の CPSはTLR2のリガンドとなり得る菌体表層成分と

    TLR2との相互作用を物理的に妨げ,同菌株に対する獲得

    免疫の樹立を回避していることが推定された。

    以上の事例から, EPSは本来,菌体を防御するために必

    要なものと考えられるが,乳酸菌などでは動物の消化管内

    で生き残りをかけた競争を繰り広げる過程で,宿主との接

    着や宿主免疫機構への働きかけを担うようになった可能性

    が推察される。

    回有層

    3.3他の微生物との関わり合い

    一部の乳酸菌が生産する EPSは,周囲に存在する他の

    微生物に対して生育抑制効果を示す可能性がある。B.lon-

    gum BCRC 14634の粗 EPSは,培地に 80μg/mLで添加し

    た場合,食品汚染菌 Escherichiacoli BCRC 10239, Staphy-

    lococcus typhimurium BCRC 10747 (ATCC 14028), Pseudo-

    monas aeruginosa BCRC 10261 (IFO 3898), Vibrio para-

    haemolyticus ATCC 17802, Staphylococcus aureus BCRC

    10451 (ATCC 6538 P), Bacillus subtilis BCRC 10029, Baci/

    lus cereus ATCC 10361の増殖を抑制する効果がみられ

    た判。 特に, V parahaemolyticus ATCC 17802に良く作用

    し, 7時間培養後,EPS非添加の約 30%まで増殖を抑制

    した。しかしながら,乳酸菌の培養液中には乳酸やパクテ

    リオシンなど抗菌活性成分が複数含まれており,これらは

    グラム陽性,陰性問わず幅広い抗菌活性を示すことが多

    く,完全に精製した EPSを用いた検証が望まれる。

    マウスを用いた invivo実思決において,Pediococcus par-

    vulus 2.6が生産する EPS(2位置換 s-1,3-グルカン)の精

    製標品と生菌の経口投与では,腸内細菌叢に与える影響が

    著しく異なっていた 12)。低密度リボタンパク質受容体欠損

    (LDLr-一)マウスに 2%のEPSを含む食餌あるいは 10'

    CFU/gの生菌を含む食餌を与え 6週間飼育した後,盲腸

    内細菌叢を terminalrestriction fragment length polymorphism

    法により解析したところ, EPS投与群では総菌数には変化

    がないものの Simpsonの多様度指数およびShannonの多様

    度指数においてコン トロールよりも有意に低い値を示し,

  • 観鯵乳に係わる糖鎖研究の最前線

    LDLr-1 マウス盲腸内細菌叢の多様性が減少することが示

    された。また,EPS投与により Bifidobacteriaの占める割

    合が大きく減少し, Akkermansia, Bacteroid,ω斤'agilisgroup の占める割合が有意に増加した。 EPSが高い選択圧として

    作用する細菌が存在するのは確かだが,その原因が, EPS

    が炭素源として利用されるからなのか,あるいは EPSの

    物理化学的特性が細菌の定着や増殖に何らかの影響を及ぼ

    すのか,依然として不明で、ある。一方,生菌投与群におけ

    る盲腸内菌叢の多様性減少の程度は僅かであったが, Bifi-

    dobacteriaおよびBacteroidesfragilis groupが減少し Akker-

    manszaは増加したのに加え,最も顕著な変化として En-

    terobacteriaceaeが検出限界未満に減少した。

    腸管接着に関わる K88線毛抗原を有する腸管毒素原性

    大腸菌 (enteroxigenicE. coli, ETEC)は,同抗原による接

    着を介してブタ赤血球の凝集を引き起こす瑚。 L.reuteriが

    生産する EPSはETECにより誘導されるブタ赤血球の凝

    集反応を回害したことから, ETECの腸管接着を阻止する

    ことが示唆された31)。また メカニズムの詳細は不明であ

    るがEnterococcusfaecium MC 13およびStreptococcuspho-

    cae PI80の生産する EPSは食品汚染菌のバイオフィルム

    形成を阻害し,特に Listeria monocyω'genesでは 60%以上

    の阻害が観察されたことから 同EPSが食品汚染菌の宿

    主定着を阻止する可能性が示された山功。ケフィアヨーグ

    ルトに含まれるケフィ-)レ粒は EPSの一種ケフイランと

    乳タンパク質の複合体であり,そこでは乳酸菌と酵母が共

    存している。しかしながら,動物の消化管内では生存競争

    が激しいため,他の微生物との環境ニッチの奪い合いに積

    極的に EPSが利用されているのかもしれない。

    4. EPSの健康機能性

    乳酸菌がGRASとして認識されていることから,その

    代謝産物である EPSも食品素材あるいは食品添加剤とし

    て産業利用が期待される。特に,ヒトに対する健康機能性

    を有する EPSは消費者にとって有益であり,これまで主

    に免疫調節作用を中心に研究が進められてきた。この傾向

    は現在も続いているが,他に抗がん作用,コレステロール

    低減作用,抗糖尿病作用,抗酸化作用に関する報告も見受

    けられる。以下,最近の研究事例をいくつか紹介したい。

    4.1免疫調節作用

    分泌型 IgAは,ウイルスや病原性細菌の侵入を防ぐ腸

    管バリアの最前線に位置するだけでなく,腸内細菌叢の多

    様性を確保し健全なバランスを維持することで全身免疫系

    に影響を及ぼす。また,バランスの取れた腸内細菌叢は腸

    管免疫系の発達を促し, IgA産生能を高めるという双方向

    制御の存在が明らかとなっている刊。 Matsuzakiらは,マ

    ウス由来バイエル板初代培養系を用いて Leuconostoc mω-

    enteroid,ωNTM,048由来 EPSの影響を調べ, 100陪 /mL以

    上の添加区で濃度依存的な IgA生産量の増加を認めた均。

    +33+

    EPSを含む凍結乾燥菌体のマウスへの経口投与においても

    糞便中 IgA濃度の増加が認められたことから,有力なプ

    ロバイオティクス候補と期待される。

    運悪く細菌が感染し生体組織内へ侵入した際,食作用に

    よりこれを排除するのがマクロファージである。しかし,

    ただ異物を取り込み消化するだけでなく,ヘルパー T細

    胞への抗原提示を行い,サイトカインを介した免疫応答に

    も深く関与する。乳酸菌の EPSにはマクロファージを刺

    激しサイトカイン産生に影響を及ぼすものがあり,その効

    果は一様ではない。例えば L.rhamnosus KL 37由来 EPS

    は 3~30μg/mL でマウス腹膜マクロファージを刺激し,

    炎症性サイトカイン (TNF-α,IL・6,IL-12)と抗炎症性サ

    イトカイン(IL-I0)両方の産生を促したが, TNF -a/IL-l 0

    バランスに着目すると結果的に炎症誘導に傾くことが推定

    された36)。一方,Bifidobacterium longum BCRC 14634の

    EPSは,精製度にやや疑問が残るものの 5μg/mLでマウ

    ス単球由来マクロファージ J774 A.lを刺激し TNF-aおよ

    びIL-I0両方の産生を促すと共に, 100 ng/mLのリポ多糖

    により誘導された TNF-α 産生を抑制する効果も併せて示

    したことから,結果として炎症の抑制が期待された問。

    EPSの重合度が免疫調節作用に影響を及ぼす場合があ

    る。 Lactobacillusco柄。usTISTR 1498はデキストラン様構

    造をもっ EPSを生産するがマウス由来マクロファージ

    RAW264.7に作用させたところ 非断片化EPSはサイト

    カイン産生を誘導しなかったが,部分酸加水分解により得

    られた分子量 70X 103以下の断片化EPSは炎症性および

    抗炎症性サイトカイン両方の産生を促した3九また,L

    rhamnosus RW-9595 MのEPSは分子量が5.261X 105であ

    り,部分酸加水分解により反応時間に応じて平均分子量

    1.041 X 104から 3.416x 10'の断片化EPSを生成する明。

    非断片化EPSは, EPS生産能の低い L. rhamnosus RW-

    9595に24時間暴露されたマウス腹膜マクロファージの炎

    症性サイトカイン産生を抑制する一方,抗炎症性サイトカ

    イン産生を促進した。これに対し1.25μg/mL以上の断片

    化 EPSでは非断片化 EPSよりも有意に低い IL-6産生量を

    与えた。また,平均分子量1.868 X 104よりも大きな断片

    化 EPSは, 2.5~20 f.lg/mLの範囲で添加した場合,非断片

    化 EPS添加よりもわずかに IL-I0産生量が増加した。すな

    わち, EPSを断片化することで抗炎症作用の増加が期待さ

    れた。しかしながら,断片化EPSを40陪/mL添加した場

    合では,非断片化EPS添加よりも有意に IL-I0産生量が低

    下した。このように, EPSの重合度だけでなく濃度も免疫

    調節作用に影響を与えることが示唆された。

    乳酸菌の EPSが単核細胞に作用し, Th l/Th2バランス

    に影響を及ぼす可能性が報告された。 Ghadimiらはヒトの

    末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cells,

    PBMCs)に乳酸菌共存下でブドウ球菌腸毒素を添加し,

    Th 1サイトカイン (IFN-y)とTh2サイトカイン(IL・4)の

    産生量を見積もり, Th 1誘導性の Lactobacillus fermentum

    K l-Lb 1とThI/Th 2抑制性の L.fermentum K 8-Lb 1を見

  • +34+

    出した39)。両者の cDNAライブラリを元に suppressionsub-

    仕activehybridization法により菌株特異的に発現する遺伝子

    を探索したところ, K 1-Lb1株から EPS生合成に関連する

    糖転移酵素遺伝子が見出された。また,同 EPSが菌体表

    面の疎水性領域を被覆し乳酸菌と PBMCsとの相互作用に

    影響を与えることが予想された。乳酸菌の EPSが血液中

    でPBMCsの細胞表層レセプターと相互作用するとは考え

    にくいが,母体では腸内細菌がPBMCsに取り込まれ乳中

    へ移行する可能性も示唆されており 40) 今後の検証が必要

    である。

    4.2抗がん作用

    培養細胞を用いた in vitroの研究のみだが,乳酸菌由来

    EPSの抗がん作用について以下のような報告がある。 Lac-

    tobacillus helveticus MB 2-1 は3種類の EPSを生産しな

    かでもグルコース,ガラクトース,およびマンノースを構

    成単糖とする LHEPS-2が最も強くヒト胃がん由来BGC-

    823細胞株の増殖を阻害した17)。また,L. plantarum 70810

    はガラクトースのみを構成単糖とする CPSを生産し,同

    CPSはBCG-823,HT-29,およびヒト肝がん由来HepG・2

    細胞株の増殖をそれぞれ阻害じた41)0 L. plantarum MTCC

    9510のEPSはヒト乳腺がん由来細胞株MCF-7の増殖を阻

    害し, IC拍値は 10mg/mLで、あった明。 Lαctobacillus acido嗣

    philus 606が生産する CPSはHT-29の増殖を阻害し, 10

    mg/mLで添加した場合,アポトーシス関連因子 Bcl-2の

    発現量がコントロールの半分程度に減少し同じく Bak

    の発現量が1.5倍程度に増加したことから,メカニズムの

    詳細は不明であるが, CPSによるアポトーシス誘導が示

    唆された明。

    4.3コレステロール低減作用

    コレステロール低減作用について,精製した EPSを用

    いた直接的な証拠は未だ示されていないが, EPSを生産す

    る乳酸菌の菌体を用いた以下のような研究がある。 Lacto-

    bacillus delbrueckii subsp. bulgaricusについて, EPS生産能

    の異なる数菌株を用いて培養液中のコレステロール減少量

    を比較したところ, EPS生産量が多いものほど培地中のコ

    レステロール残存量がより顕著に減少した叫。培地中のコ

    レステロール低減作用は,小児糞便から単離された EPS

    生産能を有する複数のラクトバチルス属細菌にも見出され

    ている明。

    4.4抗糖原病作用

    マツコリは米を主原料とし,乳酸発酵により得られるア

    jレコール飲料である。 Songらはマツコリから EPS生産菌

    として Pediococcus acidiZ,αctici M 76を単離しその EPS

    がグルコースのみを構成単糖とするデキストラン様構造で

    あると明らかにしたへまた,ラット醇戸細胞株RIN-m5F

    を用い,アロキサンの細胞毒性に対する同 EPSの影響を

    調べたところ, 10μg/mLで最も高い細胞保護効果を示し

    応用糖質科学第 5巻 第 1号 (2015)

    たことから,インスリン分泌細胞の保護による抗糖尿病作

    用の可能性が示唆された。しかしながら,摂食による生体

    への効果は不明で、ある。

    4.5抗酸化作用

    酸化ストレスは,タイトジヤンクションを形成するタン

    パク質の発現量低下を引き起こすなどペ様々なメカニズ

    ムで、腸管バリア機能を低下させる。これが引き金となって

    炎症性腸疾患を発症する,あるいは病状の悪化することが

    知られており,乳酸菌 EPSの示す抗酸化作用がプロバイ

    オテイクス機能として注目されている。 Liらは酸化スト

    レス感受性のモデル細胞としてラット副腎髄質クロム親和

    性細胞腫由来 PC12細胞株を用い,L. planterum LP 6の生

    産する EPSの抗酸化活性を調べた明。同菌株は中性EPS

    として EPS-1とEPS-2を酸性EPSとして EPS-3を生産

    するが,詳細な化学構造は明らかではない。全EPSの約 7

    割を占める EPS-3を完全に精製し, 1,1-dipheny1-2・picrylhy-

    drazy1 (DPPH)ラジカル消去能,過酸化ラジカル消去能,

    ヒドロキシラジカル消去能,および還元力について測定し

    たところ,アスコルビン酸とほぼ同程度の抗酸化力を示し

    た。なお, DPPHラジカル消去能は P.αcidilacticiM 7646),

    L. plantarum C 8849),および、Bifidobacteriumanimalis RH50)

    由来 EPSでも報告されている。 Liらはさらに,過酸化水

    素による PC12細胞の酸化障害を形態、変化と生残率により

    評価したところ, EPS幽3の添加により形態変化が抑制さ

    れ,また,生残率は有意に増加した。その際,過酸化水素

    添加区と比較して,細胞の総抗酸化能,カタラーゼ活性,

    スーパーオキシドジスムターゼ活性の減少は抑制され,マ

    ロンジアルデヒドの増加が抑制されたことから, EPS・3は

    PC 12細胞の抗酸化酵素発現量を増加させることが示唆さ

    れた。これとほぼ同様の結果がCaco・2細胞を用いて L

    plantarum C 88のEPSでも報告されている叫。

    抗酸化作用を invivoで検証した例もある。 B.animalis

    RHは中性EPSとして EPSa,酸性EPSとして EPSbを生

    産する問。 Xuらは D開ガラクトースで誘導したE急性老化

    モデルマウスに EPSaおよびEPSbを30日間経口投与し,

    アスコルピン酸を対照として各種抗酸化活性の測定を行っ

    た。その結果,両投与群で血清中の総抗酸化能,カタラー

    ゼ活性,スーパーオキシドジスムターゼ活性および肝臓中

    のグルタチオンーS-トランスフエラーゼ活性の減少がアス

    コルビン酸とほぼ同程度に抑制されており,さらに血清お

    よび肝臓中のマロンジアルデヒド生成が有意に抑制され

    た。脳組織では加齢性色素リポフスチンの蓄積が抑制さ

    れ,また,加齢に伴う発現量の上昇が知られているモノア

    ミン酸化酵素の活性が減少した。これらの作用は, EPSb

    でより顕著で、あった。 EPSbは分子量が21,300であり,主

    主長は D-グルコピラノシド, D-マンノフラノシド, D-ラム

    ノース, D-マンノフラノシド,およびD-ガラクトフラノ

    シドがこの順に α・1,4結合し分岐鎖として両マンノース

    残基に Dーガラクトピラノシドがα-1,3結合した 7糖繰り返

  • 命運静手Lに係わる糖鎖研究の最前線

    し単位で構成されるが, EPSbに負電荷を賦与する化学修

    飾は不明である 1め。他にも,精製した EPSを用いた実験で

    はないが,酢酸の結腸内投与により炎症を誘発したラット

    に対し EPS高生産菌 L. delbrueckii subsp. bulgaric山 B3

    (EPS生産量 211mg/L)または EPS低生産菌L. delbruecki

    subsp. bu~伊ricus A l3 (EPS生産量 27mg/L)を7日間強制

    胃内投与したところ, B3株投与群で遠位結腸組織におけ

    る抗酸化酵素活性の減少に対し抑制効果が認められた刊。

    5. EPS生合成関連遺伝子のゲノミクス

    ゲノム解析技術の進展に伴い 乳酸菌の EPS生合成関

    連遺伝子に関して多くの知見が得られている。ワイン製造

    においてマロラクティック発酵を担う Oenococcusoeniは,

    14菌株のパンゲノムを解析した結果 3つの EPS遺伝子座

    を有することが知られていたが52) 50菌株を用いた比較ゲ

    ノム解析により,ヘテロ多糖の生合成に関わる 2つの遺伝

    子クラスター (eps1, eps 2), s・グルカンを合成する糖転

    移酵素遺伝子 (gtf,it 3 , it 4),およびホモ多糖の生合成

    に関与し GHfamily 68または family70に属するグルカン

    スクラーゼ遺伝子 (dsrO,ゐrV,levO)が見出され53) よ

    り詳細な EPS関連遺伝子の分布が明らかとなった。比較

    ゲノム解析の結果によると, gザ遺伝子は 2つの遺伝子座

    のいずれかに,それ以外の遺伝子はどの菌株でもゲノム中

    の同じ位置に存在した。 2つの遺伝子クラスターのうち

    eps 1は全ての菌株に存在し構成遺伝子のパターンの違

    いから 3タイプに分類されたが,いずれも EPS生合成に

    必要な遺伝子を備えていた。これに対し,eps 2は43菌株

    に存在し同様に 15タイプに分類され,サイズも 5.4kb

    から 20.6kbまで幅広く ,eps 1と比較して菌株間の差異が

    大きかった。遺伝子型と発現型の比較から, 0. oeniの曳

    糸性は戸ーグルカンによるものと再確認され,また, CPS

    の有無は eps2に依存することが明らかとなった。さら

    に,it 4, gtf,およびdsrVはファージによる遺伝子の水

    平伝播で獲得したことが示された。なお,ウシまたはヒト

    の腸管から単離された Lactobacil!us ruminisのEPS遺伝子

    クラスターも他の腸内細菌から水平伝播したことが示唆さ

    れている向。一方, levO, dsrO,およびeps1は進化過程

    の早期に獲得され, eps 2は染色体の度重なる変異の結果,

    多様化したと推定された。ヘテロ多糖の多様性について既

    に述べたが,eps 2には 5種の rhamnosyl仕組sferase,4種の

    galactosyltransferase, 3種 の cl叫 ine phosphotransferase, 1

    種の glucosyltransfera民 53種の glycosyl岡田ferase,4種の

    acetyl仕ansferase,2干重の pyruηrltransferase,3手重の UDP-glu・

    cose-dehydrogenase, 2種の glycerol-3-P-cytidyltransferase, 1

    種の nucleotidyltransferase,および l種の epimeraseをコー

    ドする遺伝子が見出されており これを裏付ける結果と

    なった。糖転移酵素遺伝子の多様性は Streptococcus ther-

    mophilus臼可旬。obacillussalivarius町でも執告されている。

    L. rhamnosus LRHMDP 2およびLRHMDP3は,虫歯の

    +35+

    初期段階において生活歯髄組織へ侵襲する細菌として単離

    された5乃。プロバイオテイクス乳酸菌 L. rhamnosus GG

    ATCC 53103との比較ゲノム解析の結果, GGでは 2つの

    EPS遺伝子クラスター (SpaCBム SpaFED)を有するのに

    対し, LRHMDP2およびL悶弘tIDP3はdTDP-ラムノース

    生合成関連遺伝子を欠いた lつの EPS遺伝子クラスター

    (SpaFED)のみ有することが明らかとなったが, EPSと歯

    髄組織への接着性の関連は不明で、ある。 Lactococcus gar-

    vieaeは魚類において致死性の出血性敗血症を引き起こす

    原因菌である。病原性株L.garvieae Lg 2と非病原性株L.

    garvieae ATCC 49156のゲノムを比較したところ, Lg2は

    16.5 kbから成る CPS関連遺伝子クラスターを有するが,

    ATCC 49156には同クラスターが存在しなかった問。また,

    Lg2由来低病原性株L. garvieae Lg 2-Sでは, CPS関連遺

    伝子クラスター中で高度に保存された遺伝子2個が一塩基

    欠失により破壊されていたことから, CPSが病原性の発

    現に関与することが強く示唆された。

    ゲノム解析により, EPSの多様性は糖転移酵素遺伝子の

    多様性で説明され,また,単一の菌株が複数種の EPSを

    生産することが遺伝子レベルで裏付けられた。 EPS遺伝子

    がゲノムの比較的大きな領域を占めるのは,刻々と変化す

    る周辺環境の中で他の微生物と競合し生存するための,環

    境ニッチへの適応戦略と推定される。これらの特徴は菌株

    により大きく異なるため,菌株ごとに遺伝型と表現型,つ

    まり EPS遺伝子クラスターと EPSの化学構造,物理化学

    的特性,さらに健康機能性とを関連付けた詳細な解析が今

    後の課題であり,乳酸菌由来 EPSの幅広い産業利用を実

    現するために必須と考えられる。

    6. おわりに

    本稿では紙幅の都合上割愛したが,培養条件を最適化

    し, EPS生産性を向上させる試みもいくつか報告されてい

    る。特に低収量が問題となっているヘテロ多糖に関して注

    目してみると,残念ながら 2009年以前の報告を超えるも

    のはなく, 70から 1,080mg/Lの範囲であり町0) 培養法の

    改良による収量増加の困難さが改めて認識された。一方,

    EPS生産性乳酸菌の食品への応用は盛んに研究されてお

    り,チーズ,ヨーグルト,サワードゥの物性や官能特性に

    及ぼす影響に関する報告が数多く見受けられ, EPS利用へ

    の期待の高さが伺える。 EPSは元来,菌体防御のために生

    産されると考えられてきた。もちろんこれは間違いではな

    いが,最近の報告によると周囲の微生物や宿主との相互作

    用に重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。乳

    酸菌が自身のために作り出す EPSの特性を明らかにし,

    特にヒトへの健康機能性および安全性という観点から有益

    なものを選抜することで これまでにない,付加価値の高

    いEPSを産業利用することが可能になると期待している。

  • +36+

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