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平成27年度 道徳教育総合支援事業 道徳教育地区別推進協議会 道徳教育指導者養成研修 (中央指導者研修)報告 平成27年8月19日(水) 県南教育事務所

道徳教育指導者養成研修 (中央指導者研修)報告平成27年度 道徳教育総合支援事業 道徳教育地区別推進協議会 道徳教育指導者養成研修

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  • 平成27年度

    道徳教育総合支援事業 道徳教育地区別推進協議会

    道徳教育指導者養成研修(中央指導者研修)報告

    平成27年8月19日(水) 県南教育事務所

  • ○ 「道徳の時間」は、各教科等に比べて軽

    視されがち

    ○ 読み物の登場人物の心情理解のみに

    偏った形式的な指導

    ○ 発達の段階などを十分に踏まえず、児童 生徒に望ましいと思われるわかりきったこと を言わせたり書かせたりする授業

  • 規範意識・マナーの希薄傾向

    地域・家庭の教育力の低下

    現代社会の課題:コミュニケーション不足

    異質な存在への寛容さの減少

    教科ではないため、道徳の授業が形骸化

    生き方の指導、いじめ対策等

    学校や教員によって指導の格差が大きい

  • 「道徳に係る教育課程の改善等について」 答申の概要

    ○ 人格の基盤である道徳性を育てることが使命である。

    1 道徳教育の改善の方向性

    ○ 自立した一人の人間として人生を他者と ともにより よく生きる人格を形成することを目指すもの

    (1) 道徳教育の使命

    (2) 道徳教育のねらいを実現するための教育 課程の改善

    平成26年 10月21日 中央教育審議会 「道徳に係る教育課程の改善等について」答申

  • 「道徳に係る教育課程の改善等について」 答申の概要

    2 道徳に係る教育課程の改善方策

    (1) 道徳の時間を「特別の教科道徳(仮称)」 として位置付ける

    (2) 目標を明確で理解しやすいものに改善す る

    ○ 教科と共通する側面 ・学習指導要領に示された内容を体系的に学ぶ

    ○ 教科にはない側面 ・原則として学級担任が担当することが望ましい ・数値などによる評価はなじまない

  • 「道徳に係る教育課程の改善等について」 答申の概要

    2 道徳に係る教育課程の改善方策

    (3) 道徳の内容をより発達の段階を踏まえた 体系的なものに改善する

    ○ 四つの視点の順序等を見直す

    ○ 内容項目をキーワードなども活用して示す ・例 「正直、誠実」 「公正、公平、社会正義」など

    ○ 情報モラルや生命倫理など現代的な課題の扱いを 充実する

  • 「道徳に係る教育課程の改善等について」 答申の概要

    2 道徳に係る教育課程の改善方策

    (4) 多様で効果的な道徳教育の指導法へと 改善する

    ○ 多様で効果的な指導を柔軟に取り入れる ・対話や討論など言語活動を重視した指導 ・道徳的習慣や道徳的行為に関する指導

    ・問題解決的な学習を重視した指導 など

    ○ 授業公開、家庭や地域の人々も参加できる授業の工夫

    ○ 全体計画・年間指導計画が実質的なものとして機能するものとなるよう改善する

  • 「道徳に係る教育課程の改善等について」 答申の概要

    2 道徳に係る教育課程の改善方策

    (5) 「特別の教科道徳(仮称)」に検定教科書 を導入する

    (6) 一人一人のよさを伸ばし成長を促すため の評価を充実する

    ○ 数値などによる評価は不適切

    ○ 児童生徒の評価については、多面的、継続的に把握し、総合的に評価する

    ※ 指導要録の様式の具体的な改善案等については今後検討

  • 「道徳に係る教育課程の改善等について」 答申の概要

    3 その他改善が求められる事項

    (1) 教員の指導力向上

    (2) 教員免許や大学の教員養成課程の改善

    (3) 幼稚園、高等学校、特別支援学校におけ る道徳教育の充実

  • 「道徳の時間」(小・中学校で週1時間)

    「特別の教科 道徳」(引き続き週1時間)

  • 学習指導要領等

    30年度~

    (2018~)

    28年度

    (2016)

    27年度

    (2015)

    26年度

    (2014)

    現時点での予定(平成26年12月25日現在)

    29年度

    (2017)

    学教法施行規則改正・学習指導要領改訂

    答申

    検定 採択・ 供給

    中教審

    審議

    検定教科書 検定教科書 使用開始

    「心のノート」

    全面改訂

    作業

    原稿 校了

    ※事前に約一か月のパブコメを実施

    学習指導要領解説 刊行

    10月 年度内

    著作・編集

    評価に係る検討

    ※ 新学習指導要領に関する教師用資料の作成・活用

    「特別の教科 道徳」(仮称) による

    教育課程編成等

    27~29年度 移行期間

    新学習指導要領の総則、「特別の教科 道徳」(仮称)の

    趣旨・内容を踏まえた取組が可能

  • 第1章 総則 第2章 各教科 第1節 国語 第2節 社会 第3節 算数 第4節 理科 第5節 生活 第6節 音楽 第7節 図画工作 第8節 家庭 第9節 体育 第3章 道徳 第4章 外国語活動 第5章 総合的な学習の時間 第6章 特別活動

    第1章 総則 第2章 各教科 第1節 国語 第2節 社会 第3節 算数 第4節 理科 第5節 生活 第6節 音楽 第7節 図画工作 第8節 家庭 第9節 体育 第3章 特別の教科道徳 第4章 外国語活動 第5章 総合的な学習の時間 第6章 特別活動

  • ○ 学校教育全体としての道徳教育の目標 ◆ 児童生徒の道徳性を養うという趣旨が明確と

    なるように記載

  • 道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛し,個性豊かな文化の創造を図るとともに,公共の精神を尊び,民主的な社会及び国家の発展に努め,他国を尊重し,国際社会の平和と発展や環境の保全に貢献し未来を拓く主体性のある日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。

    道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,自己の生き方を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養うことを目標とする。

    目標

  • 道徳性を養う指導

    学校の教育活動全体を通して

    ■各教科 総合的な学習の時間 特別活動で

    ■日常の生徒指導を通して

    ●週1時間の授業で

    ●意図的・計画的に

    ●将来、様々な場面で 主体的に 道徳的な行為が できるように

    道徳の時間で

    道徳的実践の指導 道徳的実践力の育成

  • ○ 学校教育全体としての道徳教育の目標 ◆ 児童生徒の道徳性を養うという趣旨が明確と

    なるように記載

    ○ 道徳教育の要である道徳科の目標 ◇ 道徳的実践力を育成する。

    ◆ 道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を 育てる。

  • 道徳教育の目標は,第1章総則の第1の2に示すところにより,学校の教育活動全体を通じて,道徳的な心情,判断力,実践意欲と態度などの道徳性を養うこととする。 道徳の時間においては,以上の道徳教育の目標に基づき,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育と密接な関連を図りながら,計画的,発展的な指導によってこれを補充,深化,統合し,道徳的価値の自覚及び自己の生き方についての考えを深め,道徳的実践力を育成するものとする。

    第1章総則の第1の2に示す道徳教育の目標に基づき,よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てる。

    目標

  • 内容について

    ○ より体系的なものとする観点から、現行の3の

    視点と4の視点の順序を入れ替える。

    ○ それぞれの視点の下に内容項目に応じた

    キーワードを併せて示す。

    ○ いじめ問題への対応 ・「善悪の判断、自律、自由と責任」 「正直、誠実」 「親切、思いやり」「感謝」の内容項目をそれぞれ視点 の前半に位置づける。 ・「公正・公平、社会正義」の内容項目を小学校低学年・ 中学年にも追加

  • 1.主として自分自身に関すること

    2.主として他の人とのかかわりに関すること

    3.主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること

    4.主として集団や社会とのかかわりに関すること

    A 主として自分自身に関すること

    B 主として人との関わりに関すること

    C 主として集団や社会との関わりに関すること

    D 主として生命や自然,崇高なものとの関わりに関すること

    内容 現行

    改正後

  • 指導に当たっての配慮事項について

    ○ いじめ防止の関連としての配慮事項を新た

    に記載

    ○ 指導方法のほか、情報モラル、環境、科学技

    術と生命倫理等に関する事柄を追加

    ○ 教材についての配慮事項を新たに追加

    ○ 評価については、児童生徒の成長の様子を 把握することを基本。数値評価を行わないこと は従前と同様。 (指導要録の様式等の具体的な改善方策は今後検討)

  • その他

    ○ 道徳科に検定教科書を導入

    ○ 一部改正学習指導要領は、

    小学校が平成30年度、中学校は平成31年度

    から施行。

    検定教科書を導入して「道徳科」を実施

    ※ 平成27年度から、一部改正学習指導要領の

    趣旨を踏まえた取組可能

  • 「読み取る道徳」

    「考え、議論する道徳」

  • 「道徳教育の全体計画」 学校における道徳教育の基本的な方針を示すと

    ともに、学校の教育活動全体を通して道徳教育

    の目標を達成するための方策を総合的に示した

    教育計画

  • 道徳教育の全体計画(例)

    法的根拠

    教職員の願い

    学校教育の教育目標

    地域・保護者、 子どもの願い・実態

    道徳教育の重点目標

    各学年の重点目標

    道徳の時間の 指導の方針 各教科、

    総合的な学習の時間、 特別活動における 指導の方針 生徒指導

    特色ある教育活動、 豊かな体験活動、 環境整備、 家庭・地域との連携における指導の方針

    指導の内容・時期

    別葉で

  • 本校の道徳の時間以外の道徳教育の指導の内容及び時期が明らかになりました。

    思いやりにかかわる指導

    規範意識にかかわる指導

    これは正に、 全体計画の別葉ですね!

    第2学年

  • 校長の方針の下に「道徳教育推進教師」を中心として全校の力で道徳教育を進める

    道徳教育推進教師(ナビゲーター)は、道徳教育の ① プロモーター(推進役) 企画し、提案して進行方向に舵をとる

    ② コーディネーター(調整役)

    各教師の力を生かすための環境づくりをする

    ③ アドバイザー(助言役)

    共に考え、情報提供をし、支援をする

  • ア 道徳教育の指導計画の作成に関すること

    イ 全教育活動における道徳教育の推進、充実に関すること

    ウ 道徳の時間の充実と指導体制に関すること

    エ 道徳教材の整備・充実・活用に関すること

    オ 道徳教育の情報提供や情報交換に関すること

    カ 授業の公開など家庭や地域社会との連携に関すること

    キ 道徳教育の研修の充実に関すること

    ク 道徳教育における評価に関すること など

    道徳推進教師が全体を把握しながら、全教師の参画、分担、協力の下に道徳教育が円滑に推進され、充実していくように働きかけていくことが望まれる

  • 【小学校5・6年】道徳の時間

    ①東日本大震災についての事実を確認する。

    ②資料「命てんでんこ」を読んで、命の尊さについて家庭や地域の人と話し合う。 ○「命てんでんこ」に込められている思いは、 どのようなことだと思うか。

    ・家族や地域の人とグループになって話し合う。 ・各グループから発表する。

    ○命の大切さを感じた経験には、どのようなこと があるか。

    ③命のかけがえのなさについて、例えば、特別救助隊員や医師、助産師などを招いて話を聞き、感想を述べ合う。

    ◆参観日などに、家庭や地域の人と共に考える学習を行って、多様な立場や視点から意見交流を行い、考えを深める。

  • 人間としての在り方生き方に関する教育

    ○ 公民科やホームルーム活動を中心に各教科・ 科目等の特質に応じ、学校の教育活動全体を 通じて適切な指導をを行う。

    ○ 生徒が人間としての在り方生き方を主体的に 探求し、豊かな自己形成ができるよう適切に指 導を行う。

    高等学校における道徳教育の考え方

  • 高等学校における道徳教育の考え方

    ■ 高等学校においては、小・中学校における 道徳教育も踏まえつつ、生徒の発達の段階に 対応した指導の工夫が求められる。

    ■ 小・中学校と異なり、道徳の時間が設けら れていない。 → 学校の教育活動全体を通じて行う道徳 教育の指導のための配慮が必要である。

  • 人間としての在り方生き方に関する教育の趣旨

    ■ 高等学校段階の生徒 ○ 自分の人生をどう生きればよいか、生きる ことの意味は何かについて思い悩む時期 ○ 自分自身や自己と他者との関係、広く国家 や社会について関心をもつ時期

    ◆ それらを模索する中で、生きる主体として の自己を確立し、自らの人生観・世界観ない し価値観を形成し、主体性をもって生きたい という意欲を高めていく。

  • 人間としての在り方生き方に関する教育の趣旨

    ■ 社会の変化に対応して主体的に判断し行動しうるためには ○ 選択可能ないくつかの生き方の中から自分 にふさわしい、しかもよりよい生き方を選ぶ 上で必要な、自分自身に固有な選択基準ない し判断基準をもたなければならない。

    人間としての在り方を問うことを通して形成される

  • 豊かな道徳的学びを生む柔軟な授業を造る

    東京学芸大学教授 永田繁雄先生 の講演より

    ○ 道徳の時間の「生活習慣病」(?)について考える

    ア 道徳授業の最初に「課題」や「問題」はおかない

    イ 結論のないオープンな資料は使わない

    ウ 資料では2人の人物の心情を追うことはしない

    エ 資料で「もしも自分だったら」とは問わない

    オ 資料を分けて与える(分断する?)ことはしない

    はい - いいえ

  • 豊かな道徳的学びを生む柔軟な授業を造る

    東京学芸大学教授 永田繁雄先生 「福島県指導担当者研究協議会」(H27.4.17)の講演より

    ○ 道徳の時間の「生活習慣病」(?)について考える

    カ 道徳の時間は常に展開前段と後段を分けている

    キ 展開の後半(後段)などで、決意を語らせない

    ク 写真や図などのストーリーのない資料は中心資料にしない

    ケ エンカウンターなどの社会性プログラムは使わない

    コ 道徳の時間は常に1時間で完結するように計画する

    はい - いいえ

    「はい」が多いほど道徳の授業が硬直化する

  • 豊かな道徳的学びを生む柔軟な授業を造る

    ○ 活力のある道徳授業にするために

    ① 「場面発問」と「テーマ発問」

    「場面発問」 「テーマ発問」

    資料中のある場面に即して、そこでの登場人物の心情や判断、行為の理由などを問うたり気付きを明らかにしたりする発問

    資料の主題やテーマそのもののにかかわって、それを掘り下げたり、追求したりする発問。 「主題発問ともいえる。

    ・~のとき○○の気持ちはどんなだろう。 ・~のところで○○はどう思っただろう。 ・~するときの心の中はどんなか。 など

    ・~にはどんな意味があるのか。 ・○○が大切にしていることは何だろう。 ・~はどんなことが問題なのか。 など

    「安全・安心運転」型の授業が多くなる

    「冒険運転」型の授業が多くなる

  • 価値を問う (主題となる価値 や内容など)

    資料を問う (資料の意味や 持ち味など)

    豊かな道徳的学びを生む柔軟な授業を造る

    ○ 活力のある道徳授業にするために

    ② 発問の大きさ ・ 4区分

    主として「場面発問」

    人物を問う (主人公の生き 方など)

    主として「テーマ発問」

    場面を問う (人物の気持ちや行為の理由など)

    小 大

  • 豊かな道徳的学びを生む柔軟な授業を造る

    ○ 活力のある道徳授業にするために

    ③ 発問の立ち位置 ・ 4区分

    主として「場面発問」

    主人公の心情や 考えを明らかにする

    主として「テーマ発問」

    主人公に 自分を重ねる

    A (共感的)

    主人公を 客観的にみる

    自分自身の気持ちや 考えをもち意識する

    C D (投影的・

    自己置換的)

    (分析的)

    (批判的)

  • 豊かな道徳的学びを生む柔軟な授業を造る

    ○ 発達に伴う道徳の学びの変化

    ◇ 学年段階に伴う学びの質の変化

    低学年的な傾向 高学年・中学年の傾向

    ○ 感性を生かした共感的な話合い ○ 客観的、批判的な見方も含んだ話合い

    ○ 発問をていねいに刻む話合い

    ○ 考えの違いを見付け合う話し合い

    ○ 教師のリード性が強い話し合い

    ○ 発問をより絞った自由度の高い話合い

    ○ 意見が鮮明に対立する話合い

    ○ 子どもの考えがつくる話合い

  • 豊かな道徳的学びを生む柔軟な授業を造る

    ○ 実話と創作の生かし方の区別

    ☆ 実話のリアリティと、創作のイメージを使い分けているか。

    実話資料(事実としての資料) 創作資料(創作に基づく資料)

    ノンフィクション ニュース報道 伝記 スポーツ等の実録 など

    フィクション 架空のストーリー 多くの童話・寓話や物語、小説 など

    ◆例:リアリティや迫真性を生かす

    ○ 写真や映像、年表などを用いる ○ 主人公の思いが表れた言葉、 作品、インタビュー ○ 主人公の考えや行為の意味

    ◆例:自由な意見交流のステージにする

    ○ 架空の世界としてのイメージを 膨らませる(資料提示の重視) ○ 一人一人の自由な発想、考えの 違いが生かされる議論の場の設定 ○ 「考えさせる」仕掛け

    事実の迫力を「認識する力」 創作の感動性を「想像する力」

  • 豊かな道徳的学びを生む柔軟な授業を造る

    ◇ 道徳教育の今までとこれから

    ○ 今までの積み上げを生かして、プラス思考と 未来志向の道徳教育を作りだそう。

    ○ 大切にすべきもの(不易)を守るために、常に 新しさ(流行)を求めよう

    ○ 柔軟でバランスのとれた指導方法の開発・実 践に努める。今がそのチャンス!