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岩見沢市下水道中期ビジョン 岩見沢市水道部下水道課

岩見沢市下水道中期ビジョン 概 要 書 · 2017-08-10 · 年9 月に「下水道ビジョン21001」を策定、平成19 年6 月には「下水道中期ビジョ ン2」を策定し、下水道政策の基本的な方向と具体的な施策の考え方を示している。

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岩見沢市下水道中期ビジョン

概 要 書

岩 見 沢 市 水 道 部 下 水 道 課

Page 2: 岩見沢市下水道中期ビジョン 概 要 書 · 2017-08-10 · 年9 月に「下水道ビジョン21001」を策定、平成19 年6 月には「下水道中期ビジョ ン2」を策定し、下水道政策の基本的な方向と具体的な施策の考え方を示している。

目 次

1 策定にあたって ................................................................................................ 1

1.1 下水道中期ビジョンとは ................................................................................ 1

1.2 上位計画との関連 ............................................................................................ 3

1.3 計画期間 ............................................................................................................ 6

2 下水道事業の概要 ............................................................................................ 6

2.1 下水道事業の概要 ............................................................................................ 6

2.2 下水道事業を取り巻く状況 ............................................................................ 7

3 下水道事業の現状と課題 .............................................................................. 10

3.1 下水道経営 ...................................................................................................... 10

3.2 下水道ストック .............................................................................................. 13

3.3 汚水処理 .......................................................................................................... 16

3.4 地震対策 .......................................................................................................... 18

3.5 浸水対策 .......................................................................................................... 20

3.6 水環境 .............................................................................................................. 21

3.7 下水道資源・資産の利活用 .......................................................................... 24

4 下水道施策のあり方 ...................................................................................... 26

4.1 基本理念 .......................................................................................................... 26

4.2 基本方針と具体的な施策 .............................................................................. 26

5 具体的な施策計画と整備目標 ...................................................................... 28

6 管理・経営計画 .............................................................................................. 31

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1

1 策定にあたって 我が国の下水道は、都市の雨水排除、汚水処理の普及、さらには水質汚濁への対

応など、時代のニーズに応じた整備を進めてきており、平成 20 年度末の下水道処理

人口普及率は 72.7%に達し、一定の進捗が図られてきたところである。 しかし、急速な人口減少と少子高齢化社会の進展や経済成長の鈍化は、財政基盤

を支える使用料収入の減少を招くなど、下水道事業のあり方に大きな影響を及ぼす

ことが予想される。一方、急速に整備が進捗した結果として増大した下水道施設の

ストックは、老朽化による道路陥没の発生、維持管理・改築への投資の増大を招く

恐れがある。 また、温暖化をはじめとする地球規模の環境問題、水、資源・エネルギー問題の

深刻化により、環境負荷の少ない社会の構築が重要な課題となっている。 こうした現下の下水道が直面している課題の解消に役立てるため、国は平成 17

年 9 月に「下水道ビジョン 21001」を策定、平成 19 年 6 月には「下水道中期ビジョ

ン2」を策定し、下水道政策の基本的な方向と具体的な施策の考え方を示している。 平成 21 年 3 月には「北海道地方下水道ビジョン3」も改訂され、各自治体は、地

域特性を考慮し、住民の意見等を反映した具体的な事業計画の方向性を定めた下水

道中期ビジョンの策定が求められている。 本市の下水道事業計画としては、将来(概ね 10~20 年後)の計画区域、施設規

模等を定める岩見沢市公共下水道事業基本計画があるが、下水道の将来像や具体的

な施策展開等を示すまでには至っていない。 また、平成 18 年 3 月の市町村合併による栗沢処理区の追加や財政環境の悪化な

ど、下水道事業を取り巻く状況が変化する中、下水道の将来像及び具体的な施策展

開等を改めて整理する時期にきている。 そこで、これまでの取り組みを見つめ直し、今後 10 年間の本市の下水道が目指

すべき方向性と事業展開を示した「岩見沢市下水道中期ビジョン」を策定するもの

である。

1.1 下水道中期ビジョンとは 下水道中期ビジョンは、下水道の目指すべき方向性を示し、それに向けた具体的

な事業展開を示すものである。 岩見沢市下水道中期ビジョンは、「基本理念」、「基本方針」、「具体的な施策」、

「アウトカム指標」で構成されており、「基本理念」では下水道のあるべき姿、目指

1 国土交通省都市・地域整備局下水道部、(社)日本下水道協会(平成 17 年 9 月) 2 国土交通省都市・地域整備局下水道部、(社)日本下水道協会(平成 19 年 6 月) 3 国土交通省北海道開発局事業振興部都市住宅課、北海道建設部まちづくり局都市環境課、札幌市建設局下水道河川部下水道計画課(平成 21 年 3 月)

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す目標像を、「基本方針」では「基本理念」の実現に向けた施策の方向性を示して

いる。そして、「基本方針」に沿った具体的な施策を緊急度、事業効果を勘案しな

がら決定し、各施策毎に第三者が評価可能な目標値「アウトカム指標」を設定する。

図 1.1 に岩見沢市下水道中期ビジョンの概念図を示す。

図 1.1 岩見沢市下水道中期ビジョンの概念図

各施策の展開にあたっては、アクションプログラムの策定に加え、PDCA サイク

ル4を積極的に活用し、本ビジョンの確実な実行を目指す。 参考までに、国及び北海道の下水道ビジョンの概要を以下にまとめる。

【国の下水道ビジョン】 平成 17 年 9 月に「下水道ビジョン 2100」が策定され、この中で今後 100 年の

長期的なビジョンが示されている。基本コンセプトは、「循環のみち― 地域の持

4 PDCA サイクル:事業活動などを計画通りスムーズに進めるためのマネジメント行動の一つ。Plan(計画)→

Do(実行)→Check(点検・評価)→Action(処置・改善)→Plan のサイクルで進める。PDCA は、各ステップの頭文字をとったもの。

基本理念(目標像)

基本方針

具体的な施策

アウトカム指標

岩見沢市下水道中期ビジョン

現状と課題の整理

アクションプログラム 概ね 5 ヶ年のビジョン達成に向けた実施計画

プランの評価 ・内部評価 ・外部意見の反映

プランの見直し ・アウトカム指標の見直し

PDCAサイクル

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続的な発展を支える 21 世紀型下水道の実現 ―」であり、これまでの下水道機能

に加え、持続可能な循環型社会の構築を図るため、健全な水循環及び資源循環を

創出する新たな下水道を目指すとしている。 また、「下水道ビジョン 2100」に示された姿を現実のものとすべく、中期(概

ね 10 年程度)の下水道施策のあり方及びその具体的施策について「下水道中期ビ

ジョン ~「循環のみち」の実現に向けた 10 年間の取り組み~」がまとめられた。 この中では、下水道の課題と下水道を取り巻く状況を整理したうえで、現下の

課題を解決しつつ、循環のみちを実現するための基本的な考え方を提示している。

【北海道の下水道ビジョン】 これからの北海道地方の下水道事業のあり方などを地方から考え、発信するた

め、平成 21 年 3 月に「北海道地方下水道ビジョン」を改訂している。基本理念は、

「北の大地を支える持続可能な下水道」であり、今後の北海道地方の下水道が目指

す 3 つの目標像(暮らし・自然・地域活力)を実現するために取り組むべき方向

性を示している。

1.2 上位計画との関連 図 1.2 に岩見沢市下水道中期ビジョンの位置付けを示す。 本市の下水道事業計画は、上位計画である総合計画、流域別下水道整備総合計画

と整合を図り、都市計画マスタープランや各種都市計画と連携しながら策定してき

た。しかし、人口減少や厳しい財政状況など下水道事業を取り巻く社会情勢が大き

く変化する中、本市独自の下水道事業におけるビジョンの策定が新たに必要になっ

てきたところである。 そこで、岩見沢市下水道中期ビジョンは、本市の上位計画である新岩見沢市総合

計画、石狩川流域別下水道整備総合計画と整合を図りながら、国等で定めた下水道

中期ビジョン、北海道等で定めた北海道地方下水道ビジョンを参考にして、概ね 10年間の本市の下水道が取り組むべき方向性を示すものである。

また、岩見沢市下水道中期ビジョンの目標を確実に達成するために、概ね 5 年間

の実施計画であるアクションプログラムを策定し、適宜プランの評価・見直しを行

う。 今後は、岩見沢市下水道中期ビジョンの内容を踏まえて岩見沢市公共下水道事業

基本計画、岩見沢市公共下水道事業認可計画を策定し、事業を実施していくことと

する。

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図 1.2 岩見沢市下水道中期ビジョンの位置付け

上 位 計 画

新岩見沢市総合計画

岩見沢市都市計画マスタープラン

上 位 計 画

石狩川流域別下水道整備総合計画

(見直し中)

岩見沢市公共下水道事業基本計画

個別の都市計画

岩見沢市公共下水道事業認可計画

北海道地方 下水道ビジョン

「北の大地を支える 持続可能な下水道」

地域からの意見等

【岩見沢市 下水道中期ビジョン】

概ね 10 年間の下水道が 取り組むべき方向性を策定

下水道ビジョン 2100

下水道中期ビジョン ~「循環のみち」の実現に

向けた 10 年間の取り組み~

施策の実施

評 価

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以下に岩見沢市下水道中期ビジョンに関連する各計画の概要について述べる。 【新岩見沢市総合計画】 総合計画は、地方自治法に基づく「基本構想5」と「基本計画6」で構成され、

市が取り組むいろいろな施策や行政分野ごとのすべての個別計画の上位に位置

し、これからのまちづくりの方向性を定める重要な指針となるものである。よっ

て、岩見沢市下水道中期ビジョンは、上位計画である新岩見沢市総合計画と整合

を図る必要がある。 本市では、平成 20 年 3 月に「新岩見沢市総合計画」を策定し、計画期間は平成

20~29 年度までの 10 年間と設定している。 基本構想では、まちづくりの将来都市像を「人・地域が輝く緑と活力に満ちた

文化都市」とし、将来都市像を実現するための基本方向として、「環境・生活」、

「健康・福祉」、「教育・文化」、「産業・経済」の 4 つを示し、それらが総合的・体

系的に均衡のとれたまちづくりを進めるとしている。 基本計画では、基本方向に沿った施策を明らかにしており、下水道に関しては

『下水道施設の計画的な整備と更新を進め、公衆衛生の向上と公共用水域の水質保

全を図るとともに、大雨による浸水を防ぐなど、市民生活の安全と安心を高めま

す。』と示されている。 【石狩川流域別下水道整備総合計画】 流域別下水道整備総合計画(以下「流総計画」という。)は、環境基本法に基

づく水質環境基準の類型指定がなされている水域について、下水道法に基づいて

策定される当該水域に係る下水道整備に関する総合的な基本計画であり、河川、

湖沼、海域等の公共用水域の水質環境基準を達成維持するために必要な下水道の

整備を も効果的に実施するため、当該流域における個別の下水道事業計画の上

位計画として策定するものである。 本市の下水処理場の放流先は石狩川流域に属するため、石狩川流総計画が岩見

沢市公共下水道事業計画の上位計画となる。なお、石狩川流総計画は現在見直し

中である。

5 基本構想:市のまちづくりの基本理念と都市像を定め、その実現に向けた施策の大綱を示すもの。 6 基本計画:基本構想で定めたまちづくりの目標を達成するため、必要な施策を具体的に示すもの。

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1.3 計画期間 本市の下水道中期ビジョンについては、概ね 10 年間の下水道が取り組むべき方

向性を策定することとしており、目標年度を平成 31 年度とする。 また、アクションプログラムの計画期間は、概ね 5 ヶ年のビジョンの達成に向け

た実施計画となっていることから、平成 22~26 年度の 5 ヶ年とする。 計画期間

岩見沢市下水道中期ビジョン : 平成 22 年度~平成 31 年度

アクションプログラム : 平成 22 年度~平成 26 年度

2 下水道事業の概要

2.1 下水道事業の概要 本市では、昭和 25 年度に公共下水道事業の初回認可を受け、昭和 26 年度より事

業に着手、市内中心部の雨水排除を主目的として JR 岩見沢駅周辺から段階的に排

水管渠を整備し、昭和 48 年度には南光園処理場にて汚水処理施設の運転開始と同時

に市内の水洗化がスタートした。 平成 11 年度には幌向地区の人口増加による汚水量増に対応するため、幌向ポンプ

場及び幌向終末処理場を供用開始し、本市の下水道事業は 2 処理区での運用となっ

た。 平成 18 年 3 月には、岩見沢市、栗沢町及び北村が合併して新しい岩見沢市となり、

新たに栗沢処理区が追加され、本市の下水道事業は 3 処理区での運用となっている。 本市は、生活環境の改善、公共用水域の水質保全、浸水防除のため、下水道整備

を継続的に進めてきており、平成 20 年度末の普及率は 85.1%(公共下水道)で、全

国平均値(平成 20 年度末:72.7%)を上回っている。

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図 2.1 岩見沢市汚水処理一般平面図

2.2 下水道事業を取り巻く状況 我が国の総人口は、平成 20 年度末で 1 億 2,708 万人であり、平成 18 年に戦後初

めて減少に転じたが、その後は 2 年連続増加を続けている。しかし、少子高齢化が

昭和 40 年代より進行し始め、平成 20 年の合計特殊出生率(1 人の女性が生涯に産

む子供の平均数)は 1.37 となっている。長期的に人口を維持できる水準の 2.07 より

かなり低く、このままでは我が国の総人口は減少を始め、少子高齢化が進行すると

予想される。 本市の行政人口は、91,335 人(平成 21 年 3 月末:住民基本台帳人口+外国人登録者

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数)であり、平成 8 年頃をピークに減少に転じている。国立社会保障・人口問題研

究所によると少子化の進展により、本市の行政人口は平成 47 年には平成 20 年の 7割程度まで減少するとされている。 また、将来の 5 歳階級別人口割合をみると年数が重なるごとに少子高齢化が進む

予想であり、本市においても、人口減少、少子高齢化が進行すると予想される。 少子高齢化等に伴う人口減少は、下水道事業の財源である下水道使用料収入の減

少につながり、現状においても平成 17 年度をピークに収入の前提条件となる水洗化

人口は減少に転じている。一方、下水道に求められる役割は、災害対応、環境対応

等、事業開始当初よりも高度化してきており、施設の整備費・維持管理費の高コス

ト化を招いている。近年、地域経済の低迷等により市の財政状況が厳しい中、下水

道事業に対する財政的制約が強まっている。 また、人口減少や少子高齢化は下水道の財政的制約を強めるだけでなく、下水道

事業に携わる人材不足を招き、持続的な下水道サービスの提供が難しくなる恐れも

ある。

96,176 95,902 95,436 94,762 94,198 93,768 93,704 92,937 92,049 91,335

81,383

65,370

75,646 76,143 76,445 76,338 76,864 76,945 77,366 77,052 76,461 76,096

60000

65000

70000

75000

80000

85000

90000

95000

100000

H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H32 H47

年度

人口

(人

行政人口 水洗化人口

将来予測

※出典:実績・・・「住民基本台帳」、「下水道統計」、将来・・・「国立社会保障・人口問題研究所」

図 2.2 行政人口、水洗化人口の推移

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9

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000

0~4歳

5~9歳

10~14歳

15~19歳

20~24歳

25~29歳

30~34歳

35~39歳

40~44歳

45~49歳

50~54歳

55~59歳

60~64歳

65~69歳

70~74歳

75~79歳

80~84歳

85歳~

H17(2005)年

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000

H32(2020)年

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000

H47(2035)年

※出典:「国立社会保障・人口問題研究所」

図 2.3 5 歳階級別人口の推移

12 9 8

6456

52

2435 40

0%

20%

40%

60%

80%

100%

H17(2005)年 H32(2020)年 H47(2035)年

0-14歳(年少人口) 15-64歳(生産年齢人口) 65歳以上(老齢人口)

※出典:「国立社会保障・人口問題研究所」

図 2.4 年齢 3区分別人口割合の推移

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10

3 下水道事業の現状と課題

3.1 下水道経営 【現状】

・下水道使用料の改定や下水処理施設の民間委託などの取り組みにより、

経営状況は一定の好転化がみられる。

・人口減少、低迷する経済情勢を反映し、下水道使用料は減収傾向を示し

ている。

・一般会計が負担すべき経費は、適切に所要額を繰入している。

・企業債残高は減少傾向を示しているものの、引き続き多額の残高を償還

し続けていく必要があり、厳しい財政状況が続いている。

・下水道財政の健全化に向けた取り組みを引き続き行う必要がある。 下水道事業の経費は、国・地方公共団体・使用者等の適正な費用負担が必要とさ

れている。下水道施設の新増設又は改築に係る建設費は、国庫補助金・企業債・受

益者負担金・一般会計繰入金等が財源となっている。一方、管理運営費は「雨水公

費・汚水私費」の原則に基づき、汚水処理に係る経費(起債の元利償還金と維持管

理費)は、公費で負担すべき費用を除き使用料により賄うこととされている。 下水道事業の経営にあたっては、下水道使用料や市税等が財源となっているた

め、効率的な事業運営を行う必要がある。 本市では、下水道使用料の改定や下水処理施設の民間委託などの取り組みによ

り、経営状況は一定の好転化がみられる。しかし、近年の人口減少や低迷する経済

情勢による下水道使用料の減収をはじめ、これまでの下水道施設整備のために借り

入れた企業債の償還などから、厳しい財政状況が続いている。

《汚水処理水量7・有収水量8・下水道使用料の状況》 図 3.1 に過去 10 年間の汚水処理水量、有収水量及び下水道使用料の推移を示

す。近年の人口減少や低迷する経済情勢を反映し、減少傾向にある。

7 汚水処理水量:下水処理場にて処理する年間水量 8 有収水量:下水道使用料徴収の対象となる水量

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11

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20

年度

水量

(千m

3/年

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

2,200

下水

道使

用料

(百万

円/年

)

汚水処理水量 有収水量 下水道使用料

図 3.1 汚水処理水量・有収水量・下水道使用料の推移

《有収率9、水洗化率10及び経費回収率11の状況》

図 3.2 に過去 10 年間の有収率、水洗化率及び経費回収率の推移を示す。 類似団体12と比較して、施設の効率性を表す有収率は低いが、投資の効率性を

表す水洗化率、経営の効率性を表す経費回収率は高く、経営健全化対策による経

営面の改善がみられる。なお、有収率が低いのは、合流区域から晴天時汚水量の

2 倍量の雨水や不明水が汚水として処理場に流入するためである。

50%

60%

70%

80%

90%

100%

110%

H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20年度

有収率(岩見沢市) 水洗化率(岩見沢市) 経費回収率(岩見沢市)

有収率(類似団体) 水洗化率(類似団体) 経費回収率(類似団体)

※出典:類似団体・・・「総務省下水道事業経営指標」

図 3.2 有収率、水洗化率及び経費回収率の推移

9 有収率:汚水処理水量に対する有収水量の割合(有収水量/汚水処理水量×100)。有収率が高いほど下水道

使用料の対象とならない地下水や雨水などの不明水が少なく、施設稼動が効率的ということになる。 10 水洗化率:公共下水道に接続可能な区域内人口に対する実際に接続している人口の割合(水洗化人口/処理

区域内人口×100)。水洗化率が高いほど投資の効率性が高いということになる。 11 経費回収率:汚水処理に要した費用(維持管理費+資本費)に対する下水道使用料の割合(下水道使用料/汚

水処理費×100)。経費回収率が高いほど経営の効率性が高いということになる。 12 類似団体:処理区域内人口区分 5 万人以上 10 万人未満、有収水量密度別区分 2.5 千 m3/ha 以上 5 千 m3/ha

未満、供用開始後年数 25 年以上の類型区分(Bc1)を適用する団体で、全国に 46 団体ある。

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12

《一般会計繰入金の状況》 一般会計繰入金は、国が定める繰出基準に基づき、雨水処理に要する経費や不

明水の処理に要する経費のほか、公共用水域の水質保全に寄与する分流式下水道

等に要する経費(汚水処理に係る資本費の一部)が主なものになっているが、こ

れら一般会計が負担すべき経費については、適切に所要額を繰入している。 図 3.3 に過去 10 年間の一般会計繰入金の推移を示す。

0

200

400

600

800

1,000

1,200

H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20

年度

金額

(百

万円

/年

一般会計繰入金

図 3.3 一般会計繰入金の推移

《企業債残高の状況》

図 3.4 に過去 10 年間の企業債残高の推移を示す。過去 10 年間では平成 11 年

度の約 214億円より毎年減少しており、平成 20年度では約 148億円となっている。 事業費の抑制や繰上償還等の経営健全化対策により企業債残高は減少傾向を

示しているものの、いまだに多額の企業債が残っており、財政状況としては厳し

い状況である。

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20

年度

金額

(百

万円

/年

企業債残高

図 3.4 企業債残高の推移

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13

【課題】 今後も下水道サービスを安定的・継続的に提供していくためには、施設の整備や

改築を適切に行うことが不可欠であり、緊急性の高い事業を優先するとともに、事

業費の平準化を図るなど財政状況に応じた計画的な整備を行う必要がある。 また、本市の厳しい財政状況や下水道使用料の増加が見込めない中で、下水道事

業の財政を運営していくには、より一層の維持管理の効率化などの経営努力と経営

基盤の強化に努めていく必要がある。このような状況を踏まえ、次のような取り組

みが必要である。

1 中長期経営計画の策定

2 人口減少等による地域の実情の変化を踏まえた事業計画の立案

3 使用料の適正化(人口減少に伴う使用料収入の減少等に対する負担

構造の検討)

4 合流区域の不明水対策(長寿命化、改築)による有収率の改善

5 接続の徹底(水洗化率の向上)

6 維持管理費の効率化と質的向上(包括的民間委託13、新技術の導入等)

3.2 下水道ストック 【現状】

1) 管渠

・下水道管渠ストックは約 485km となっている。

・施工から 50 年以上が経過している管渠延長は全体の 1.2%である。

・管渠の長寿命化、改築に必要な情報整理が進んでおらず、老朽度、重要

度の把握が必要である。

表 3.1、図 3.5 に本市の下水道管渠ストックの推移を示す。平成 20 年度末の下水

道管渠(合流、汚水、雨水)のストックは、岩見沢処理区で約 423km、幌向処理区

13包括的民間委託:処理場・ポンプ場の運転管理の民間委託の手法で、民間事業者に対して施設管理に一定の性能の確保を条件として課しつつ、運転方法等の詳細については民間に任せる、いわゆる性能発注方式(複数年契約)のこと

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で約 33km、栗沢処理区で約 29km、合計で約 485km となっている。中でも、岩見沢

処理区は事業開始が昭和 26 年からであり、事業開始当初に整備した合流区域内の合

流管渠の一部(約 6km)は施工から 50 年以上が経過していることから、今後長寿

命化あるいは改築が必要になると予想される。 また、合流区域では交通に支障がない程度であるものの、管渠の破損等による道

路陥没が年間数件発生しており、現在はパトロールなどで発見し修復するという事

後対応であるが、今後は長寿命化計画の下で予防保全型の管理が必要である。 本市においては、普及率向上のため昭和 50 年代から平成当初にかけて積極投資を

行ってきており、この間の管渠ストックは膨大な量である。このまま耐用年数によ

る改築、事後対応を続けた場合、年次によって改築事業費が著しく増大する可能性

があるため、長寿命化計画の策定による改築事業費の平準化も併せて検討していく

必要がある。 長寿命化を絡めた効率的な改築を行っていくためには、地盤条件、管渠の状態、

修繕履歴等の情報の収集・整理が必要であり、このような情報を参考に長寿命化計

画を策定していくことになるが、今後は管渠内調査等による詳細な情報の収集・整

理が必要である。

表 3.1 下水道管渠ストックの推移 単位:m

H15 H16 H17 H18 H19 H20

412,521.40 414,210.80 416,268.62 417,760.46 420,082.45 422,251.14

32,929.10 32,929.10 33,004.24 33,159.54 33,159.54 33,159.64

445,450.50 447,139.90 449,272.86 450,920.00 453,241.99 455,410.78

28,850.42 29,083.05 29,083.05 29,172.06 29,172.06 29,172.06

474,300.92 476,222.95 478,355.91 480,092.06 482,414.05 484,582.84

備 考

昭和26年事業開始

平成元年事業開始

昭和60年事業開始

項  目

岩見沢処理区

幌向処理区

岩見沢地区計

栗沢処理区

合 計

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

S26

S27

S28

S29

S30

S31

S32

S33

S34

S35

S36

S37

S38

S39

S40

S41

S42

S43

S44

S45

S46

S47

S48

S49

S50

S51

S52

S53

S54

S55

S56

S57

S58

S59

S60

S61

S62

S63

H01

H02

H03

H04

H05

H06

H07

H08

H09

H10

H11

H12

H13

H14

H15

H16

H17

H18

H19

H20

年度

年度

別延

長(k

m)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

累積

延長

(km

)

合流 汚水 雨水 累計(雨水) 累計(合流) 累計(汚水) 累計(合+汚+雨)

耐用年数50年を経過した管渠の延長比率 1.2%

このままでは改築事業費の増加が予想される。

図 3.5 下水道管渠ストックの推移

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2) ポンプ場・処理場施設

・各ポンプ場・処理場施設の躯体は耐用年数を過ぎていない。 ・岩見沢処理区・栗沢処理区の機械・電気設備は耐用年数を超えている。 ・機械・電気設備の長寿命化、改築に必要な情報整理が進んでおらず、設

備の老朽度、重要度の把握が必要である。

表 3.2、表 3.3 に各処理区のポンプ場・処理場施設の稼動年月・処理開始年月及

び経過年数を示す。処理施設の耐用年数は躯体が 50 年、機械・電気設備は 7~15年が一般的である。 施設の躯体の経過年数は岩見沢処理区の 36 年が 大であり、全ポンプ場・処理場

施設の躯体は耐用年数を過ぎていない。しかし、機械・電気設備は、岩見沢処理区・

栗沢処理区で耐用年数を経過しているものが多く存在し、今後は設備の老朽度・重

要度を把握し、効率的な長寿命化及び改築を行っていく必要がある。

表 3.2 各ポンプ場の稼動年月及び経過年数

処理区 ポンプ場名 稼動年月 経過年数

岩見沢処理区 第1中継ポンプ場 昭和 48 年 11 月 36 年経過

岩見沢処理区 上幌向ポンプ場 平成 3 年 4 月 18 年経過

幌向処理区 幌向ポンプ場 平成 11 年 4 月 10 年経過

表 3.3 各処理場の処理開始年月及び経過年数

処理区 処理場名 処理開始年月 経過年数

岩見沢処理区 南光園処理場 昭和 48 年 11 月 36 年経過

幌向処理区 幌向終末処理場 平成 11 年 4 月 10 年経過

栗沢処理区 栗沢下水道管理センター 平成 4 年 10 月 17 年経過

【課題】

耐用年数を超える管渠、ポンプ場・処理場施設の設備が年々増加傾向にあり、施

設が機能不全に陥る可能性が高まっている。このような中、下水道の維持管理水準

を確保しつつ、維持管理の効率化を実現し、下水道サービスを持続的に提供してい

くことが課題である。このような状況を踏まえ、次のような取り組みが必要である。

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1 定期的な調査(点検、診断)、延命化を含めた維持修繕・改築等の計 画的な実施

2 ライフサイクルコスト14の 小化の観点を踏まえた長寿命化計画15に

よる改築及び維持管理(ストックマネジメント手法16の導入)

3 下水道管理者の技術力、維持管理体制の確保 3.3 汚水処理 【現状】

・集合処理による汚水処理整備は未利用地を除き一定の整備が図られて

いる。

・集合処理による水洗化率は 98%と高い数値である。

・郊外地区で汚水処理ができていない地域がある。 本市の集合処理については、公共下水道事業が3処理区、農業集落排水事業では

2事業区を有しており、その他の区域は個別処理の合併浄化槽により汚水処理を行

っている。 平成 20 年度末時点の集合処理による汚水処理整備率は、公共下水道事業全体では

74%、農業集落排水事業全体では 80%となっており、いずれも未整備区域が 20~30%程度存在するが、未整備区域の現状は未利用地であり、汚水処理整備としては一定

の整備が完了している状況である。未整備区域については、開発行為などで宅地化

された時点で民間事業者等と連携し順次整備を図っていくことが必要である。 平成 20 年度末時点の水洗化率は、公共下水道事業、農業集落排水事業ともに 98%となっており、集合処理による水洗化は進んでいる。しかし、個別処理が必要なそ

の他の区域では、合併浄化槽処理人口設置率が 28%となっており、いまだ汚水処理

ができていない地域が多く存在している。

14 ライフサイクルコスト:施設における新規整備・維持修繕・改築・処分を含めた生涯費用の総計 15 長寿命化計画:施設のライフサイクルコスト 小化を目的とした計画的な改築計画

16 ストックマネジメント:施設の健全度や重要度を考慮した効果的な点検・調査を実施し、安全性を確保するための適切な維持修繕・改築など計画的かつ効率的に施設管理を行うこと

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表 3.4 集合処理による汚水処理整備面積及び率(平成 20 年度末) 単位:ha・%

処理区等 全体計画面積 整備面積 未整備面積 整備率

岩見沢処理区 2,756.00 2,024.10 731.90 73.4

幌向処理区 196.00 153.80 42.20 78.5

栗沢処理区 235.00 173.87 61.13 74.0

公共下水道小計 3,187.00 2,351.77 835.23 73.8

幌向事業区 87.00 59.00 28.00 67.8

北村事業区 55.00 55.00 0.00 100.0

農業集落排水小計 142.00 114.00 28.00 80.3

合 計 3,329.00 2,465.77 863.23 74.1

※公共下水道幌向処理区の全体計画面積は、農業集落排水区域と重複する区域(61ha)を除く。

【課題】 北海道地方の汚水処理人口普及率は、全国に比べ高い水準(平成 20 年度末:

93.1%)である。 本市の平成 20 年度末の汚水処理人口普及率は 91.3%(公共下水道 85.1%・農業集

落排水 2.9%・合併浄化槽 3.3%)であり、全国平均 84.8%を上回っているものの、一

部ではまだ汚水処理ができていない地域も存在するため、今後、農業集落排水事業

などの他事業と連携した汚水処理普及率の一層の向上が必要である。 また、幌向処理区には農業集落排水事業が存在し、現在は 2 事業それぞれで管理

している状態であるが、将来的には幌向処理区全域を公共下水道事業として管理し

ていくことが望ましい。 このような状況を踏まえ、次のような取り組みが必要である。

1 地域の実情に応じた計画的、効率的な汚水処理施設整備の推進(農業

集落排水、合併浄化槽等他の汚水処理関連事業との連携)

2 未利用地区を対象にした民間事業者による汚水整備の推進

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3.4 地震対策 【現状】

1) 管渠

・地震対策ができていない管渠が多く存在する。(全延長の 86%) ・地震対策を効率的に進めていくための未対策管渠の耐震化、重要な幹線

の設定ができていない。

耐震設計基準は、大きな被害が生じた過去の地震で得られた知見を踏まえて改正

が重ねられており、年代を追うごとに必要な耐震性能は高まっている。現在の 新

の耐震設計基準は、平成 7 年に発生した兵庫県南部地震(M7.3)後の平成 8 年に改

正されたものであるため、平成 9 年度以降に施工した施設については地震対策済と

なる。 平成 9 年度よりも前に施工された管渠については、現耐震設計基準での再計算に

より地震対策の有無を評価し、必要に応じて所要の耐震化を図る必要がある。 図 3.6 に耐震設計基準による管渠の地震対策比率を示す。本市の対策済管渠延長

は総延長の 14%であり、未対策の管渠が 86%となっている。処理区別に未対策管渠

の比率をみると、岩見沢処理区で 92%、幌向処理区で 8%、栗沢処理区で 24%であ

り、古くから事業を行っている岩見沢処理区に未対策管渠が多く存在する。 本市においては、処理場設備の改築や合流改善をはじめとする多様な事業を抱え

ており、限られた予算の中では、通常問題なく使用できる管渠を地震対策として全

てを布設替えすることは現実的に困難である。このような状況の中で地震対策を効

率的に進めていくためには、調査による未対策管渠の耐震化の検討、路線ごとの地

震対策上の重要度の設定が必要である。

未対策86%

対策済14%

図 3.6 耐震設計基準による管渠の地震対策比率(平成 20 年度末)

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2) ポンプ場・処理場施設

・施工年度が平成 9年度以降である幌向ポンプ場、幌向終末処理場は地震 対策済である。

・第 1中継ポンプ場、上幌向ポンプ場、南光園処理場及び栗沢下水道管理

センターは平成 8年度以前に整備されているため、地震対策の有無の評

価が必要である。

・地震発生時の対応策、発生後の復旧策が求められている。

供用開始年月によれば、幌向ポンプ場、幌向終末処理場は地震対策済み(L217対

応)と判断できる。第 1 中継ポンプ場、上幌向ポンプ場、南光園処理場及び栗沢下

水道管理センターは、現耐震設計基準による地震対策の有無の評価が必要である。

施設の地震対策を効率的に行うためには、地震発生時の下水処理の対応策、地震発

生後の通常状態への 1 日も早い復旧策をあらかじめ計画しておくことが必要とな

る。 【課題】

厳しい財政状況の中で、まだ地震対策は十分に進んでいないのが実状である。こ

のような状況を踏まえ、次のような取り組みが必要である。

1 災害時における下水道が 低限保有すべき機能の確保

2 施設の重要度に応じた計画的、段階的な地震対策の実施

3 重要路線の耐震化に加え、災害規模に応じた減災対策及び情報発信

による周知

4 下水道施設が被災した場合でも復旧するまでの間において代替手段

により同様の機能を提供する等の応急対応(下水道BCP18)・復旧

策の確立

17 L2:レベル 2(または、レベル 2 地震動)のこと。陸地近傍に発生する大規模なプレート境界地震や、直下

型地震による地震動のように、供用期間内に発生する確率は低いが大きな強度を持つ地震動をいう。 18 下水道 BCP:下水道における業務継続計画(Business Continuity Plan)のこと。被災を想定した上で、従来よ

りも速やかに、かつ高いレベルで下水道が果たすべき機能を確保するための計画

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3.5 浸水対策 【現状】

・本市の雨水整備率は 43%であり、浸水対策としてはいまだ不十分である。

図 3.7 に本市の平成 20 年度末における雨水整備面積・未整備面積の比率を示す。 本市においては、浸水対策を下水道事業の重要課題の一つと捉え、毎年計画的に

整備を進めている。しかし、雨水管渠は浸水を防除するために大量の雨水を流下さ

せる必要があることから、汚水管渠と比較して口径が大きくなり、その分事業費も

高くなる。そのため、単年度で整備できる面積は一定の制限を受けることとなり、

平成 20 年度末の本市における雨水整備率19は約 43%(雨水整備面積:約 843ha、未

整備面積は約 1,118ha)であり、いまだ十分な整備率とは言えない状況である。

雨水整備面積43%

雨水未整備面積57%

図 3.7 雨水整備面積・未整備面積の比率(平成 20 年度末)

【課題】

近年の都市化の進展による雨水流出形態の変化も考慮し、内水氾濫による浸水被

害の発生を防ぐとともに、人命・財産の保護と都市機能を確保するため、浸水によ

る被害を 小化することを目的とした安全性の向上を図る必要がある。 また、限られた財源の中で、浸水対策を進めるためには被害の大きさを踏まえ、

重要度に応じた雨水管渠整備等によるハード対策に加え、被害を 小化するための

民間事業者や住民等の自助・共助を支援するソフト対策を行うことが重要である。

このような状況を踏まえ、次のような取り組みが必要である。

1 浸水による社会的・経済的な被害の大きさ等を踏まえて地域ごとに

目標水準を定め、重点区域を設定した段階的な雨水管渠等の整備の

推進(ハード対策)

19 雨水整備率:雨水整備面積/雨水整備対象区域面積(1,961ha)×100(%)

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2 民間事業者や住民自身および地域コミュニティによる災害対応(自

助・共助)を支援するために降雨情報の提供、内水ハザードマップ

の公表、土のう配布等を行う総合的な浸水対策の推進(ソフト対策)

3.6 水環境 【現状】

・下水処理場の放流先河川の水環境を守るために、適切な管理により放流 水質を良好に保っている。

・合流区域周辺の河川水質を改善するために、合流式下水道緊急改善事業

を実施中である。

本市には、南光園処理場、幌向終末処理場及び栗沢下水道管理センターの 3 箇所

の処理場があり、各処理場にて汚水処理を行った後河川へ放流している。良好な水

環境を保全するためには、処理場における下水処理機能を適正に維持し、処理水の

水質悪化を未然に防ぐことが重要である。 各処理場の当初の処理水 BOD20水質の基準値は 20mg/L であった。しかし、平成

16 年 4 月 1 日に施行された下水道法施行令21の規定に基づき、本市では処理水 BOD水質を 15mg/L に変更し、供用開始当初よりも厳しい水質基準を自ら設け、より一

層の水環境保全に取り組んでいる。

表 3.5 各処理場の放流水 BOD 水質

処理区 処理場名 放流先 放流水の BOD 水質

岩見沢処理区 南光園処理場 利根別川 当初 20mg/L

現状 15mg/L

幌向処理区 幌向終末処理場 旧石狩川

栗沢処理区 栗沢下水道管理センター 清真布川

また、本市は、JR 岩見沢駅前の市街地 185.6ha を合流式下水道で整備している。

合流区域の汚水は、 下流にある第 1 中継ポンプ場に一旦集められポンプによっ

て南光園処理場まで圧送しているが、合流式下水道は雨天時に晴天時汚水量の 3 倍

20 BOD:生物化学的酸素要求量。水の汚濁の成分が微生物の働きによって分解されるときに消費される酸素の

量。水の汚濁状態を表す指標の一つであり、値が大きいほど汚れていること表す。 21 下水道法施行令(平成 16 年 4 月 1 日施行):下水の放流先の状況等から判断して下水道管理者が自ら計画放

流水質を定め、これに応じた適切な処理方法を選択することとし、併せて計画放流水質を処理場からの放流水質基準として適用することにより、自ら定めた基準について自ら遵守することとなった。

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以上になった段階で、3 箇所の雨水吐室などから未処理汚水が公共用水域へ流出す

る構造のままとなっていた。 その後、平成 15 年 9 月には下水道法施行令が一部改正され、合流式下水道は「改

善しなければならないもの」として位置づけられたことから、全国の合流式下水道

採用都市は、以下の 3 つの目標を達成しなければならず、本市においても目標の達

成が必要となった。

表 3.6 合流式下水道緊急改善事業の目標

項 目 目 標

①汚濁負荷量 の削減

当該合流式下水道を分流式下水道と置き換えた場合において排

出する汚濁負荷量と同程度以下となることを目標とする。

②公衆衛生上の 安全確保

原則として、合流式下水道の全ての吐口からの未処理下水の放流

回数を少なくとも半減させることを目標とする。

③きょう雑物の 削減

原則として、合流式下水道の全ての吐口において、きょう雑物の

流出を極力防止することを目標とする。

本市では、平成 16 年度に合流式下水道緊急改善計画を策定し、平成 17 年度より

合流式下水道緊急改善事業を開始し、現在も実施中である。

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23

図 3.8 岩見沢市中央地区合流式下水道緊急改善計画図

23

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【課題】 本市の汚水処理は高普及となっているが、一部ではまだ汚水処理ができていない

地域が存在する。水環境保全のためには、汚水処理機能の継続的確保、さらなる汚

水処理の普及が必要である。そのためには、下水道ストック、汚水処理の項で述べ

たように、汚水処理施設の適切な維持管理、汚水処理施設の整備推進のための他事

業との連携が重要である。 また、本市は、合流式下水道緊急改善計画に基づき対策を実施中であり、平成 25

年度に事業を完了し目標を達成する予定である。今後は、合流式下水道緊急改善計

画に基づいた確実な事業の執行が課題である。 このような状況を踏まえ、次のような取り組みが必要である。

1 汚水処理施設の適切な維持管理、汚水処理施設の整備推進のための

他事業との連携(3.2 下水道ストック、3.3 汚水処理参照)

2 合流式下水道緊急改善計画に基づいた確実な事業の実施

3.7 下水道資源・資産の利活用

【現状】

・南光園処理場では、処理水の融雪利用、消化ガス加温・発電への利用脱

水汚泥の緑農地利用を行っている。

下水道は、下水を収集・処理する過程で多くのエネルギーを消費している一方で、

収集・処理した水や汚泥等の貴重な資源を有しており、積極的に省エネルギー対策

に取り組むとともに、下水道資源の利活用を推進することで、今後のエネルギー問

題の解決、地球環境問題への対応において大きな可能性を有している。 本市は、南光園処理場、幌向終末処理場、栗沢下水道管理センターの 3 つの処理

場を有しているが、中でも南光園処理場では下水道資源の有効活用を図るため、排

出される脱水汚泥について、年間排出量 5 ヶ年平均約 3,300t/年のうち 1,400t/年を緑

農地利用している。 また、南光園処理場は、高度な汚泥処理機能として消化タンクを有し、消化工程

にて発生した消化ガスを消化槽の加温、発電に利用しており、重油、電気の使用量

を抑え、地球温暖化防止に寄与している。 さらに、処理水については、南光園処理場の汚水流量調整池を冬季に融雪槽とし

て活用し、汚水流量調整池の完成以来、毎年融雪への利用を行っている。 なお、各処理場とも施設空間や処理場空用地の一般開放等は行っていない。

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【課題】 下水処理場の使用エネルギーについては電力が多くの割合を占め、地球温暖化へ

の影響が大きい。地球温暖化抑制のためには、下水道事業における電力を中心とし

たエネルギー利用の効率化を図り、CO2 等温室効果ガス排出の抑制に努めなければ

ならない。 また、処理水、汚泥、施設などの下水道資源には有効活用が可能となるものが多

い。たとえば、処理水は冬期間では 15℃と安定した熱エネルギーを有しているほか、

下水道汚泥についてもリンや窒素を含み、いずれもできる限り再利用することが望

ましい。 一方、下水道施設については、人口減少等による汚水量の減少により、下水道施

設に一定の余力が発生する可能性が高いため、これまで以上に施設の有効利用に向

けた検討が必要である。 このような状況を踏まえ、次のような取り組みが必要である。

1 地球温暖化抑制のため、省エネルギー型の設備や運転管理システム

を導入するなどの省エネルギー化の推進、バイオガスによる発電や

下水汚泥の固形燃料化等の創エネルギーの推進

2 流雪、融雪、暖房等、下水処理水の有効利用の促進

3 施設空間、空用地の有効利用の促進

4 循環型社会に資するため、安全性を考慮した一層の緑農地利用の促進

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4 下水道施策のあり方

4.1 基本理念

基本理念には、岩見沢市の下水道が、今後、維持管理の時代を迎えるにあたり、

財政悪化や施設の老朽化等の要因による様々な下水道事業上の課題を解決しつつ、

市民生活、自然環境、地域産業に密接に関わる下水道のサービスを将来にわたって

絶えることなく提供しなければならないという意味を込めた。

4.2 基本方針と具体的な施策

基本方針としては、基本理念を踏まえ、以下に示す 4 つの視点から下水道におけ

る目標と展望、その方向性などを設定した。 基本方針をもとに、本市における下水道事業の中期的な課題に対する施策を体系

化すると図 4.1 のとおりとなる。また、各施策と基本方針との関連性を表 4.1 に整

理する。

「地域を支える持続可能な下水道」

岩見沢市下水道事業における基本理念

1 「安全・安心の確保」

汚水処理・雨水処理に関する適切な施設の整備と管理の継続により、公衆

衛生の向上と浸水被害の軽減を図り、安全・安心を確保する。

2 「良好な自然環境の創造」

既存の下水道資源を利活用することで循環型社会の形成に寄与し、良好な

自然環境を創造する。

3 「快適で活力ある暮らしの実現」

汚水処理整備率・水洗化率の向上、処理水有効利用の促進により、生活環

境の向上や社会活動の活性化を図り、快適で活力ある暮らしを実現する。

4 「開かれた事業運営」

持続可能な下水道事業を目指し、事業経営の安定と透明性を確保するなど、

開かれた事業運営を行う。

岩見沢市下水道事業における基本方針

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基本理念 

 「地域を支える持続可能な下水道」

基本方針

安全・安心の確保

良好な自然環境の創造

快適で活力ある暮らしの実現

開かれた事業運営

1 2 3 4

具体的な施策

①浸水被害の軽減

②地震対策

③合流改善(水質改善)

④資源・エネルギー循環形成

⑤民間開発・他事業を活用した汚水処理整備の促進

⑧長寿命化計画(耐震計画)

⑥水洗化の促進

⑨長寿命化、改築(耐震化)

⑩包括的民間委託の導入

⑪処理施設の合理化、統合化

⑦処理水再利用の促進

図 4.1 岩見沢市下水道中期ビジョンの体系

表 4.1 基本方針と具体的な施策の関連

基本方針

施策

★ ○

★ ○

○ ★

○ ★ ○

○ ★

○ ★

○ ★

★※★:主(直接的)に関連、○:副次的(間接的)に関連

安全・安心の確保

良好な自然環境の創造

快適で活力ある暮らしの実現

開かれた事業運営

①浸水被害の軽減

②地震対策

③合流改善(水質改善)

④資源・エネルギー循環形成

⑩包括的民間委託の導入

⑪処理施設の合理化、統合化

⑤民間開発・他事業を活用した汚水処理整備の促進

⑥水洗化の促進

⑧長寿命化計画(耐震計画)

⑨長寿命化、改築(耐震化)

⑦処理水再利用の促進

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5 具体的な施策計画と整備目標

表 5.1 に具体的な施策の内容を、表 5.2 に具体的な施策の年次計画を示す。 計画期間の前半 5 年間(平成 26 年度まで)に施策が完了する、あるいは途中経

過を評価できる具体的な施策をアクションプログラムとして策定する。

表 5.1 具体的な施策内容

基本方針(施策の方向性)

具体的な施策 施策の内容

浸水被害の軽減 浸水被害が想定されるところを重点的に雨水整備する。

地震対策 重要な幹線を設定し、耐震化を推進する。(ただし、耐震化は改築に合わせて行うものとし、重要な幹線の設定についても、長寿命化計画の策定の中で行うものとする。)

合流改善(水質改善)

平成25年度までに合流式下水道の改善を達成する。

良好な自然環境の創造

資源・エネルギー循環形成

他事業との連携を図りながら、資源・エネルギー循環の形成について検討する。

民間開発・他事業を活用した汚水処理整備の促進

民間開発、他事業を活用し、汚水処理整備の向上を図る。(民間開発計画が発生した段階で適宜整備を図る。他事業活用については検討を行う。)

水洗化の促進 水洗化率の向上を図る。

処理水再利用の促進

処理水の融雪利用を検討する。

長寿命化計画(耐震計画)

処理場・管渠施設の長寿命化計画を策定する。また、耐震上の重要な幹線の設定を行う。

長寿命化、改築(耐震化)

処理場・管渠施設について長寿命化計画をもとに、長寿命化、改築を行う。また、管渠の適正な管理により道路陥没事故を未然に防止するとともに、耐震化を順次進めていく。

包括的民間委託の導入

包括的民間委託を導入し、維持管理費の低減を図る。

処理施設の合理化、統合化

処理施設の合理化、農業集落排水事業との統合化を検討する。

安全・安心の確保

開かれた事業運営

快適で活力ある暮らしの実現

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表 5.2 具体的な施策の年次計画

具体的な施策 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31

:整備実施時期が明確 :実施時期が流動的、不明確

処理施設の合理化、統合化

水洗化の促進

長寿命化、改築(耐震化)

包括的民間委託の導入

民間開発、他事業を活用した汚水処理整備の促進

処理水再利用の促進

浸水被害の軽減

合流改善(水質改善)

資源・エネルギー循環形成

長寿命化計画(耐震計画) アクションプログラム(H22~H26)

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表 5.3 に具体的な施策の目標値(アウトカム指標)を示す。今後は、アクション

プログラムの目標値を 5 年毎に評価し、適宜指標、目標値の見直しを行っていく。

また、社会情勢の大きな変化時には、指標、目標値だけでなく、施策についても見

直しを図っていく。

表 5.3 施策別目標値(アウトカム指標) 現況

(H20末)アクションプログラム

(H22~H26)

岩見沢市下水道中期ビジョン

(~H31)浸水被害の軽減 浸水被害が想定されるところを重点的に整

備する。雨水整備率

43.0%雨水整備率46%以上

雨水整備率49%以上

地震対策 重要な幹線を設定し、耐震化を推進する。(ただし、耐震化は改築に合わせて行うものとし、重要な幹線の設定についても、長寿命化計画の策定の中で行うものとする。)

0%8.9%

(長寿命化計画管路と同値)

8.9%(長寿命化計画管路と同値)

合流改善(水質改善)

平成25年度までに合流式下水道の改善を達成する。

達成率 0% 達成率100% 達成率100%

良好な自然環境の創造

資源・エネルギー循環形成

他事業との連携を図りながら、資源・エネルギー循環の形成について検討する。

- - 検討する

民間開発・他事業を活用した汚水処理整備の促進

民間開発、他事業を活用し、汚水処理整備の向上を図る。(民間開発計画が発生した段階で適宜整備を図る。他事業活用については今後検討を行う。)

整備率74.0%

整備率 整備率

水洗化の促進 水洗化率の向上を図る。

水洗化率97.9%

水洗化率98.4%以上

水洗化率98.9%以上

処理水再利用の促進

処理水の融雪利用を検討する。

- - 検討する

長寿命化計画(耐震計画)

処理場・管渠施設の長寿命化計画を策定する。また、耐震上の重要な幹線の設定を行う。

管路 :0%※1

処理場:0%※1

管路 :8.9%※1

処理場:100%※1

管路 :8.9%※1

処理場:100%※1

長寿命化・改築(耐震化)

処理場・管渠施設について長寿命化計画をもとに、長寿命化、改築を行う。また、管渠の適正な管理により道路陥没事故を未然に防止するとともに、耐震化を順次進めていく。

管路 :0%

処理場:0%

 管路 :

 処理場:

 管路 :

 処理場:

包括的民間委託の導入

包括的民間委託を導入し、維持管理費の低減を図る。

- 検討する 検討済

処理施設の合理化、統合化

処理施設の合理化、農業集落排水事業との統合化を検討する。

- - 検討する

※1:長寿命化計画の達成率は以下のとおりとする。

    管路達成率=合流管渠延長(43.0km)/総管渠延長(484.6km)

   処理場達成率=長寿命化計画策定済み処理場施設数/標準耐用年数を経過した処理場施設数

安全・安心の確保

開かれた事業運営

快適で活力ある暮らしの実現

目標値(アウトカム指標)基本方針(施策の方向性)

具体的な施策 施策の内容

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6 管理・経営計画

下水道事業は、公営企業として自立した安定的な事業運営が求められるため、中

長期的な視点に立ち、経営の健全化を図る取り組みが必要である。 本市の下水道の財政状況については、下水道使用料の改定、下水処理施設の民間

委託等による維持管理費の節減、高金利債の借換え、繰上償還による支払利息の軽

減などの取り組みにより、経営状況に好転化がみられる。しかし、一般会計の厳し

い財務状況や下水道使用料による増収が見込まれない中、依然として厳しい財政状

況が続くものと思われる。 このため、さらなる民間的経営手法(包括的民間委託)の導入、適正な職員数管

理、下水道資源の有効利用、使用料収入の向上などへの取り組みにより、経営基盤

の一層の確立・強化を図るものとする。 また、下水道は市民生活にとって重要な施設であり、受益者負担を伴う下水道事

業の推進には、事業の透明性の確保と市民の理解が不可欠である。このため、経営

状況の積極的な情報提供と下水道施設の役割を周知する啓蒙啓発活動などを推進

し、市民に開かれた事業運営を行うものである。