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身体拘束廃止への取り組み
医療法人社団 紫蘭会
富山県光ヶ丘病院2N病棟
古岡・鍋田・坂上・土田・堀田
はじめに
当病棟は、60床中約半数が経管栄養患
者様であり、チューブ自己抜去のリスクが高い患者様に「仕方がない」とミトン着用などの拘束を行いやすい現状にある。身体拘束防止に取り組んだ結果、5名のうち4名に終日拘束解除に成功したので事例を報告する。
NPO法人全国抑制廃止研究会による、身
体拘束廃止のために ~標準ケアマニュアル
チェックシート~「解決策を考えるシート
」点滴・チューブ類 抜去の項目を参考に
した
方法
対象者
数回にわたるチューブ類の自己抜去歴が
あったためミトン装着していた方5名
項目①見守りの強化と
精神心理的な働きかけの検討
• スタッフの頻回訪室
• コミュニケーション機会の増加を図る
• 処置前の説明、また自己抜去時の
説明を繰り返し行う
方法
項目②散歩・レクリエーションなどの気分転換や刺激の増減
• レクリエーションに参加
• レクリエーション日以外にも1時間程度
ホールにて過ごす
方法
項目③-1本人に不快を与えない穏やかな管理
• 経鼻経管栄養チューブは
従来のものより細い
ニューエンテラルフィーディングチューブ
(以後フィーディングチューブと呼称)を使用する
• 経鼻経管栄養の患者様は経管栄養終了後にFDチューブを抜去する
方法
項目③-2本人に不快を与えない穏やかな管理
• 胃瘻チューブは気になりにくいように
栄養チューブを足元から出す
• オムツの不快の軽減を図る
• 身体の痒みの軽減を図る
方法
拘束解除に至った方A.B.C.D 氏について
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 胃ろう ガストロストミーチューブ 高研カニューレ
A氏について 男性 72歳
項目① 見守りの強化と精神心理的働きかけの検討
• 手を握る、声掛けによって発声が聞かれるようになった
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 胃ろう ガストロストミーチューブ 高研カニューレ
A氏について 男性 72歳
項目② 散歩、レクリエーションなどの気分転換や刺激の増減
• ラジオやCD(演歌)を表情穏やかに聞き入っておられる様子であった
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 胃ろう ガストロストミーチューブ 高研カニューレ
A氏について 男性 72歳
項目③ 本人に不快を与えない穏やかな管理
• 胃瘻チューブを足元から出した• オムツさわりと同時にチューブを触るため、オムツ交換の頻度を上げることで触らなくなった
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 胃ろう ガストロストミーチューブ 高研カニューレ
B氏について 男性 82歳
項目① 見守りの強化と精神心理的働きかけの検討
• スキンシップの繰り返しによって頷きや笑顔が 見られるようになった
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 胃ろう ガストロストミーチューブ 高研カニューレ
B氏について 男性 82歳
項目② 散歩、レクリエーションなどの気分転換や刺激の増減
• 人が動いている様子を目で追ったりしておられた
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 胃ろう ガストロストミーチューブ 高研カニューレ
B氏について 男性 82歳
項目③ 本人に不快を与えない穏やかな管理
• 胃瘻チューブを足元から出した• 身体を掻かれるため、保湿剤を塗布することで触らなくなった
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 経鼻 フィーディングチューブ 気切なし
C氏について 女性 95歳
項目① 見守りの強化と精神心理的働きかけの検討
• 不規則な睡眠のサイクルがあり、活動的な時はヌイグルミを持っていただいた
• ヌイグルミに話しかけをしていた
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 経鼻 フィーディングチューブ 気切なし
C氏について 女性 95歳
項目② 散歩、レクリエーションなどの気分転換や刺激の増減
• 話しかけに笑顔があり、表情も活き活きとされていた
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 経鼻 フィーディングチューブ 気切なし
C氏について 女性 95歳
項目③ 本人に不快を与えない穏やかな管理
• チューブを細いタイプに変更した(16Fr胃管カテーテル→12Frフィーディングチューブへ)
• 食事の形態を変更し、ミキサー食をチューブより注入した
• チューブ挿入による強い拒否のため注入後の抜去を中止した
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C1 経鼻 フィーディングチューブ 気切なし
D氏について 男性 78歳
項目① 見守りの強化と精神心理的働きかけの検討
• ミトンと管を外してほしいという意思を 確認出来る様になった
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C1 経鼻 フィーディングチューブ 気切なし
D氏について 男性 78歳
項目② 散歩、レクリエーションなどの気分転換や刺激の増減
• 趣味、興味がはっきりしてきた• チューブを触っている回数が減った• 家族との会話の時間が増えた
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C1 経鼻 フィーディングチューブ 気切なし
D氏について 男性 78歳
項目③ 本人に不快を与えない穏やかな管理
• チューブ抜去により痰の噴出量軽減、夜間良眠が 得られた
結果
拘束解除に至らなかった方
E 氏について
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 経鼻 フィーディングチューブコーケン
ネオブレス11㎜
E氏について 男性 76歳
項目① 見守りの強化と精神心理的働きかけの検討
• 反応が乏しく、意思表示の疎通困難な状態は変わらなかった
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 経鼻 フィーディングチューブコーケン
ネオブレス11㎜
E氏について 男性 76歳
項目② 散歩、レクリエーションなどの気分転換や刺激の増減
• 楽しいという意思表示はあったが、気分転換には繋がらなかった
結果
認知症高齢者の日常生活自立度
障害高齢者の日常生活自立度
経管の種類 チューブの種類気切カニューレの
種類
Ⅳ C2 経鼻 フィーディングチューブコーケン
ネオブレス11㎜
E氏について 男性 76歳
項目③ 本人に不快を与えない穏やかな管理
• 痰の噴出量や気切カニューレ自己抜去は、 フィーディングチューブの有り無しに関わらず変化が なかった• チューブ再挿入は苦痛、拒否が見られたため中止した
結果
考察 拘束解除に至ったABCD氏
項目① 生活リズムを把握し、情報を共有し個々の 変化に応じた対応ができた
項目② 気分転換はチューブへの関心を和らげた
項目③ 経鼻経管栄養終了後のフィーディング
チューブ抜去やチューブが気にならない
環境づくりはチューブの違和感を軽減した
考察 拘束解除に至らなかったE氏
項目①② 対話以外での反応が不十分であった
反応の表出を促す努力が必要
項目③ フィーディングチューブ抜去による反応は個人差があるため患者様の反応を見ながら解決策を求めていくことが必要
おわりに