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蛍光ガラス線量計 環境モニタリングシステム 平成 26 年 7 月 総販売元 株式会社千代田テクノル 製造元 A G C テク ノ グラ ス株式会社 ガラス線量計リーダー FGD-200シリーズ ガラス線量計 SC-1 ガラス線量計リーダー FGD-250シリーズ

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蛍光ガラス線量計

環境モニタリングシステム

説 明 資 料

平成 26 年 7 月

総販売元 株式会社千代田テクノル

製 造 元 A G Cテクノ グラ ス株式会社

ガラス線量計リーダー FGD-200シリーズ

ガラス線量計SC-1

ガラス線量計リーダー FGD-250シリーズ

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蛍光ガラス線量計・環境モニタリングシステム

説明資料

<目次>

1.概要

2.RPL蛍光発光原理

3.パルス励起による蛍光読取原理 (連続パルス励起法)

4.環境モニタリングシステムの特徴

4.1 ガラス線量計(SC-1)の特徴

4.2 ガラス線量計リーダー(FGD-200/FGD-250)の特徴

5.旧ガラス線量計との相違点 (改良のポイント)

6.システム構成

7.環境モニタリングシステム製品仕様

7.1 ガラス線量計 SC-1

7.2 ガラス線量計リーダー FGD-200シリーズ

7.3 ガラス線量計リーダー FGD-250シリーズ

8.本製品についてのお問い合わせ先

123555678891113

[付録]

◆ 環境モニタリングシステム基本特性データ

◆ TLD との比較資料

◆ FGD-202(FGD-252)エネルギー推定機能 解説

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1.概要

蛍光ガラス線量計は、放射線が照射されたガラス*)が、紫外線励起によってオレンジ色の蛍光を

発する現象(ラジオホトルミネセンス:RPL)に基づく固体線量計です。放射線の照射によって生じ

たRPL中心は、読取操作によって消滅することがなく、何度でも繰返し読取りができる真の積算型

固体線量計です。

AGCテクノ グラス株式会社 の蛍光ガラス線量計システムは、パルスレーザー読取方式によ

り、自然放射線レベルの低線量域から、高線量域(10Gy/Sv)までの広範囲を高精度で測定でき、

幅広い用途に使用できます。 AGCテクノ グラス株式会社 の蛍光ガラス線量計による環境モニタリングシステムは、γ線及

びX線を精度よく測定できるシステムです。原子力施設周辺の環境γ線モニタリング、RI室および

X線室などの作業環境線量モニタリング、各施設管理区域境界の空間線量モニタリングなど、さま

ざまな用途に適用できます。線量読取には、専用のガラス線量計リーダーが使用され、全て自動

測定にて線量測定値が算出されます。また、線量計のIDも自動読取されますので管理が容易にな

っています。 本資料では、測定原理、特徴、旧ガラス線量計からの技術的改良点、システム構成、製品仕様な

どを説明いたします。 *) 銀活性リン酸塩ガラスを使用。

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2.RPL蛍光発光原理

銀活性リン酸塩ガラスに電離放射線を照射し、その後紫外線で励起するとオレンジ色の蛍光を

発します。この現象はラジオホトルミネセンス(RPL)と呼ばれ、蛍光量が放射線量に比例すること

から、線量計に応用されています(図2.1)。

電離放射線が銀活性リン酸塩ガラスに照射されると、電子および正孔(ホール)が叩き出され、

電子はガラス構造中の Ag+に捕獲され、Ag0となります。一方、正孔は一旦PO4四面体に捕らえら

れますが、時間の経過とともにAg+へ移行し、より安定なAg++を形成します(図2.2)。 これらの

Ag0及びAg++が共にガラス中でRPL中心(蛍光中心)となります。

銀活性リン酸塩ガラス放射線

(紫外線)励起光

RPL(発光)

図 2.1 RPLの原理

Ag + hPO = Ag (正孔捕獲)

Ag + e = Ag (電子捕獲)

+4

+

++

0

e

正孔Ag+

h Ag+

電子

放射線

Ag++

Ag0

図 2.2 RPL中心の形成

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3.パルス励起による蛍光読取原理 (連続パルス励起法)

連続パルス励起法は、ガラス素子の固有の蛍光成分であるプレドーズや汚れによる蛍光の影響

を除去するために開発された蛍光読取技術です。RPLとプレドーズの蛍光の減衰時間が異なるこ

とを利用しています。 パルス励起光源としては、紫外線パルスレーザーを使用しています。パルス状のレーザー光を

ガラス素子に照射すると、蛍光が発生しますがこれは時間とともに減衰します。 図3.1は、その蛍光減衰の様子を示しています。蛍光は主に3つの成分に分けられます。

① 汚れとプレドーズによる蛍光 (約1μsまでに減衰) ② RPLによる蛍光 (約40μsまでに減衰) ③プレドーズによる蛍光で減衰の遅いもの (約1msまで延びている)

この中から、②のRPLだけを選択的に取出して、汚れやプレドーズの影響を除去しています。

3

2

プレドーズ

0μs

RPL

蛍 光 波 形

1

プレドーズ汚れ +

ms

時 間

50μs 2

1

2

3

図 3.1 ガラス素子の蛍光成分

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図3.2は、RPLに比例した信号を得るために、ガラス素子の蛍光信号を時間分割した様子と、

演算式を示したものです。 t1(①の蛍光が減衰した後)から t2(RPLの減衰途中)までの間の信号F1(積分値)を測定します。

さらに、t3(RPLが減衰した後)から t4 までの間(t1 からt2 までと同じ時間幅)の信号F2(積分値)

を測定します。このF2に一定の係数fpsをかけてF1から差引けば、RPLに比例した信号(RPL´)

が得られます。 なお、レーザー光を照射した時に発生する蛍光は、レーザー光を照射するたびに発生しますの

で、一つのガラス素子にレーザー光を繰返して照射し、多数回測定することができます。従って、

連続パルス発振の紫外線レーザを使用して、短時間内に繰返し測定(例:20パルス/1秒間)を行

ない、平均値を求めることで統計学的にも再現性を向上させています。

図 3.2 蛍光信号の時間分割

時 間

fps×F

1

RPL'

1t 2t

t1 t 2

F①

t3 t 4

2F2

2FRPL' = fps×F-1

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4.環境モニタリングシステムの特徴

4.1 ガラス線量計(SC-1)の特徴

ガラス線量計の特徴は、以下の3つのポイントで表すことができます。

① 繰返し読取りが可能。

読取り操作によって信号が消滅しません(TLDと異なります。)。 貴重なデータの再現が何度でも可能です。

② 素子間のばらつきが小さい。 ガラスの均一性が素子間のばらつきを小さくしています。 1mGyで変動係数2%以下です。注1)

③ フェーディングがほとんどない。 RPL中心は安定性が高く、フェーディングはほとんどありません。 環境温度の影響もほとんどありません。

注1) 弊社実測値です。付録の「基本特性データ」をご参照ください。

ガラス線量計SC-1の製品仕様は以下の通りです。

変動係数 4.5%以内(200μGy、137Cs-γ線)

4.2 ガラス線量計リーダー(FGD-200/FGD-250)の特徴 ガラス線量計の特徴を生かした読取システムを実用化しました。

① パルス励起法による低線量測定 紫外線パルスレーザー式リーダーにより、自然放射線レベルの低線量を精度よく測定でき

ます。読取再現性は1mGyで変動係数1%以下です。注2) ② 自動読取システム

ガラス線量計をリーダーにセットする簡単な操作で連続自動読取ができます。 (連続自動読取数:FGD-200シリーズは20個/FGD-250シリーズは100個)

③ ID自動読取 線量計に付与されるIDはリーダーで自動読取されますので、ID管理を簡単に行うことがで

きます。

注2) 弊社実測値です。付録の「基本特性データ」をご参照ください。

リーダー(FGD-200/FGD-250)の製品仕様は以下の通りです。

変動係数 5%以内(0.1mGy/mSv、137Cs-γ線)

2%以内( 1mGy/mSv、137Cs-γ線)

1%以内(10mGy/mSv、137Cs-γ線)

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5.旧ガラス線量計との相違点 (改良のポイント)

蛍光ガラス線量計は、昭和30年代に(株)東芝で商品化され、昭和50年代前半まで、広く使用さ

れていた時期がありました。しかし、当時のものは、実用上さまざまな欠点があり、次第に使用さ

れなくなり、(株)東芝も製造・販売を中止せざるを得ませんでした。 その後、東芝硝子(株)[現在:AGCテクノグラス(株)]が、技術的改良を加え、新しく蘇らせたの

が現在の蛍光ガラス線量計システムです。 旧ガラス線量計との相違点

項 目 改 良 内 容

1.ガラス組成の改良

・ プレドーズの低減 ・ フェーディング、耐候性、感度などの特性改良 フェーディングはほとんどありません。

2.蛍光読取技術の改良

・ 連続パルス励起法の開発 読取前の超音波洗浄が不要になりました。 プレドーズの分離測定が実現できました。 ・ 低線量測定精度の向上 自然放射線が測定可能になりました。

3.自動測定技術の改良

・ 全自動測定システムの開発 線量計からガラス素子の取出しは全て自動です。 ・ 自動線量演算システムの開発 モニタリング線量が自動算出されます。

技術改良とともにJISが改訂され*1)、文部科学省マニュアルが発行されています*2)。 *1) JIS Z 4314 「蛍光ガラス線量計測装置」 (平成14年3月改正) 。 *2) 「蛍光ガラス線量計を用いた環境γ線量測定法」 (平成14年7月発行)。

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6.システム構成

蛍光ガラス線量計システムは、基本的にガラス線量計と専用のガラス線量計リーダーから構成

されます。また、周辺機器として、アニール(再生処理)用電気炉、プレヒート用恒温器およびアニ

ール用マガジン(再生処理用容器)などが必要となります。

写真6.2 ガラス線量計リーダー FGD-201

写真6.1 ガラス線量計 SC-1

品名 型名 備考

連続読取数量20個標準タイプ連続読取数量20個実効エネルギー推定機能付(<150keV)連続読取数量100個標準タイプ連続読取数量100個実効エネルギー推定機能付(<150keV)

(周辺機器)

SC-1 100個処理可能(DKN-402の場合)

 FGD-251

γ・X線測定用 ガラス線量計  SC-1

ガラス線量計リーダー  FGD-201

 FGD-202

アニール用電気炉

プレヒート用恒温器

アニール用マガジン

 DKN-402 他

 FGD-C503

 FGD-C503A2

アニール用マガジン1個収納可能

ガラスカード100個詰めタイプ

ガラスカード200個詰めタイプ

 FGD-252

 NHK-210 他

写真6.1 ガラス線量計 SC-1 写真6.1 ガラス線量計 SC-1

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インナーフレーム

カードNo.

(ホールコード) アウターフレーム

ガラス

ロワーハウジング

カラスカード

フィルタ

アッパーハウジング

板バネ

フィルタ

7.1 ガラス線量計 SC-1 (1) 構造

SC-1はガラスカード(ガラス素子と保持するフレーム)およびプラスチック製(ABS樹脂)の

カプセルから構成されています。 ガラスカードには、ガラス素子IDとしてカード No.(ホールコードまたはバイナリーコードとも呼

ぶ)が付与されています。 また、カプセルには、線量計IDとしてバーコードラベルが付与され、いずれもリーダーで自動

読取が可能です。 カプセルは板バネを強力磁石を用いて開錠するとスライド式に分割する構造であり、内側に

は全方向に対してエネルギー補償用フィルタが配置されています。 (2) 製品仕様

項 目 仕 様

型名 SC-1

測定線種 測定エネルギー範囲 γ・X線 30keV~3MeV

測定線量範囲 10μGy ~ 10Gy / 10μSv ~ 10Sv

線量計間の感度ばらつき 変動係数 4.5%以下 (137Cs-γ線 200μGy)

エネルギー特性 ±20%以内 (32keV ~ 1.25MeV)

寸法 30mm×40mm×9mm

重量 約15g

7.環境モニタリングシステム製品仕様

図 7.1 ガラス線量計 SC-1の構造

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モータドライバ

MPUユニット

RS-232Cケーブル

プリンタ コントローラ

電源表示LED

電源スイッチ

電源ユニット

リーダ

バーコードリーダ

フォトマル

光学ユニット

レーザ

カプセルタワー

7.2 ガラス線量計リーダー FGD-200シリーズ

FGD-200シリーズは、ガラス線量計SC-1専用のリーダーです。 1回のセットでSC-1を最大20個まで連続読取することが可能です。 線量表示単位は、空気吸収線量(μGy)と1cm線量当量(μSv)から選択できます。

(1) 構造

リーダー本体、コントローラーおよびプリンターから構成されます。 線量計挿入部(カプセルタワー)に線量計をセットするだけで、線量計カプセルの開閉、ID読取

および線量読取を全て自動的に行ないます。測定結果は、画面に表示されるとともに、データフ

ァイルとして保存され、プリンターにて印字可能です。また、リーダーの校正は、内部キャリブレ

ーションガラスにより自動的に実行されます。

リーダーの自動読取機構を図7.3に 図示します。

線量計は、カプセルタワー挿入口か ら開錠装置に自動供給された後、線量 計カプセル内のガラスカードはRPL検

出位置に搬送され、線量読取が行なわ れます。 この搬送の途中でカード No.が自動 読取されます。

線量読取を終えたカードは線量計カ プセル内に戻った後、カプセルタワー 排出口に搬送されます。

図 7.3 FGD-200シリーズ自動読取機構

図 7.2 ガラス線量計リーダー FGD-200シリーズの構造

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(2) 製品仕様

項 目 仕 様

線量計 SC-1 (測定線量範囲 10μGy~10Gy /10μSv~10Sv)

測定線種 γ・X線

線量表示単位 μGy / μSv(オンファントム) / μSv(フリーエア) から選択

線量表示範囲 1μGy ~ 10Gy / 1μSv ~ 10Sv

読取再現性 変動係数 5%以内 (137Cs-γ線 0.1mGy/ mSv) 2%以内 (137Cs-γ線 1mGy/ mSv) 1%以内 (137Cs-γ線 10mGy/ mSv)

ID No.読取機能 自動読取 カプセルID : バーコード(8桁) カードNo. : ホールコード(20ビット)

読取時間 1測定データあたり 10秒以内 (レーザパルス 20 パルス, エネルギー 推定なしの場合)

連続読取能力 20個

校正方法 ・スタンダード線量計による自動線量校正 ・内部キャリブレーションガラスによる自動感度校正

主な表示項目 カプセルID、カードNo.、登録日、期間、登録値、 線量測定値(増量値)、測定値の平均値、 エネルギー推定値(FGD-202 のみ) など

データ記憶容量 ・登録データ ・1測定データ数

:50,000件 :最大999個

寸法 400(W)×570(D)×415(H) mm

重量 約35kg

電源 AC100V(50/60Hz) Max200W

標準付属品 スタンダード線量計、カプセルオープナー など

図 7.4 FGD-200シリーズ ブロックダイアグラム

サンプルガラス

紫外線カットフィルタ赤色透過フィルタ干渉フィルタ

ダイアフラム

プリアンプ

開錠装置

光電子増倍管(フォトマル)

紫外線カットフィルタ

プリアンプ

リファレンスガラス

トリガ回路

赤色透過フィルタ

タイミング回路

内部キャリブレーションガラス

半透鏡紫外線透過フィルタ

ダイアフラム

フォトダイオード

窒素ガスレーザ

ガラスカードNo.読取

A/D変換積分回路

高圧回路

線量計カプセル挿入口

マイクロプロセッサ

カプセルID読取

上位コンピュータ

プリンタ

パソコン

紫 外 線

パルスレーザ

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7.3 ガラス線量計リーダ ―FGD-250シリーズ FGD-250シリーズは、ガラス線量計SC-1専用のリーダーです。 1回のセットでSC-1を最大100個まで連続測定することが可能です。 線量表示単位は、空気吸収線量(μGy)と1cm線量当量(μSv)から選択できます。

(1) 構造

リーダー本体、コントローラーおよびプリンターから構成されます。 線量計を一旦カートリッジに収納し、測定するときにカートリッジをリーダーにセットするだけで、

線量計カプセルの開閉、ID読取および線量読取を全て自動的に行ないます。 測定結果は、画面に表示されるとともに、データファイルに保存され、プリンターにて印字可能

です。また、リーダーの校正は、内部キャリブレーションガラスにより自動的に実行されます。

モータドライバ

RS-232Cケーブル

プリンタ コントローラ

レーザ 光学ユニット

フォトマル

バーコードリーダ

Power LED

リーダ

電源スイッチ

電源ユニットMPUユニット

図 7.5 ガラス線量計リーダ FGD-250シリーズ の構造

写真7.1 ガラス線量計リーダー FGD-251

※リーダー本体にカートリッジ(SC-1 を 100 個詰)が装着された状態

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(2) 製品仕様

項 目 仕 様

線量計 SC-1 (測定線量範囲 10μGy~10Gy /10μSv~10Sv)

測定線種 γ・X線

線量表示単位 μGy / μSv(オンファントム) / μSv(フリーエア) から選択

線量表示範囲 1μGy ~ 10Gy / 1μSv ~ 10Sv

読取再現性 変動係数 5%以内 (137Cs-γ線 0.1mGy/ mSv) 2%以内 (137Cs-γ線 1mGy/ mSv) 1%以内 (137Cs-γ線 10mGy/ mSv)

ID No.読取機能 自動読取 カプセルID : バーコード(8桁) カードNo. : ホールコード(20ビット)

読取時間 1測定データあたり 10秒以内 (レーザパルス 20 パルス, エネルギー 推定なしの場合)

連続読取能力 100個

校正方法 ・スタンダード線量計による自動線量校正 ・内部キャリブレーションガラスによる自動感度校正

主な表示項目 カプセルID、カードNo.、登録日、期間、登録値、 線量測定値(増量値)、測定値の平均値、 エネルギー推定値(FGD-252 のみ) など

データ記憶容量 ・登録データ ・1測定データ数

:50,000件 :最大999個

寸法 445(W)×660(D)×505(H) mm

重量 約50kg

電源 AC100V(50/60Hz) Max200W

標準付属品 カートリッジ、スタンダード線量計、カプセルオープナーなど

図 7.6 FGD-250シリーズ ブロックダイアグラム

サンプルガラス

紫外線カット フィ ルタ赤色透過フィ ルタ干渉フィ ルタ

ダイアフラム

プリアンプ

開錠

装置

光電子増倍管

( フォト マル)

紫外線カット

フィ ルタ

プリアンプ

リファレンス

ガラス

ト リガ回路

赤色透過

フィ ルタ

タイミ ング回路

内部キャリブレ

ーショ ンガラス

半透鏡

紫外線透過

フィ ルタ

ダイアフラム

フォト

ダイオード

窒素ガス

レーザ

ガラスカード

No . 読取

A/D変換積分回路

高圧回路

カート リッジ

マイクロ

プロセッサ

カプセルI D

読取

上位コンピュータ

プリンタ

パソコン

紫 外 線

パルスレーザ

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AGCテクノ グラス株式会社 が製造する蛍光ガラス線量計システムの総販売元は

株式会社千代田テクノル になります。

本製品については、以下へお問い合わせ下さい。 [蛍光ガラス線量計システム 総販売元]

株式会社 千代田テクノル 本社

〒113-8681 東京都文京区湯島1-7-12 千代田御茶ノ水ビル 営業所・事務所 東京 03 (3816) 2931 大阪 06 (6369) 1565 名古屋 052 (220) 6720

福岡 092 (262) 2233 札幌 011 (206) 1291 仙台 022 (727) 9571 青森 0175 (71) 0711 福島 0246 (45) 3881 茨城 029 (266) 3111 横浜 045 (821) 6031 柏崎刈羽 0257(22)3334 金沢 076 (225) 7381 敦賀 0770 (23) 3466 浜岡 0537 (35) 8566 島根 0852 (22) 0291

広島 082 (261) 8401 伊方 0894 (24) 4072 泊(事) 0135 (65) 2820 女川(事) 0225 (50) 2377 高崎(事) 027 (310) 7080 筑波(事) 029 (875) 5849 千葉(事) 043 (241) 9261 四国(事) 087 (813) 1511 玄海(事) 0955 (79) 5436 川内(事) 0996 (27) 7047

[蛍光ガラス線量計システム 製造元]

AGCテクノ グラス株式会社 コンシューマ本部 サイテック事業部 線量計グループ 〒136-0071 東京都江東区亀戸1-42-20 TEL 03 (5627) 3835 FAX 03 (5627) 3837 静岡工場 コンシューマ製造部 〒421-0302 静岡県榛原郡吉田町川尻 3583-5 TEL 0548 (32) 8170 FAX 0548 (32) 9602

8.本製品についてのお問合わせ先

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◆ 環境モニタリングシステム 基本特性データ

1.線量計間の感度ばらつき

10個の線量計に、137Cs-γ線を各線量照射した時の、線量計間の感度ばらつきを図1

に示します。変動係数は、0.1mGy で3%以下、1mGy 以上では 2%以下であることが確

認されています。

【製品仕様】 変動係数 4.5%以内(200μGy、137Cs-γ線)

2.線量直線性

図2に137Cs-γ線 空気吸収線量に対する10μGy から 500mGy の線量範囲での直

線性を示します。1mGy でのレスポンスを基準 (1.0) とした時の相対レスポンスは±5%

以内であることが確認されています。

図1 線量計間の感度ばらつき(変動係数)

図2 線 量 直 線 性

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3.リーダー指示値の再現性 137Cs-γ線 空気吸収線量を0.02mGy ~100mGy まで照射した、各線量計について、

同一の線量計を10回繰り返して読取った時の、リーダー指示値と変動係数の関係を

図3に示します(1回の読取パルス数は50パルス)。

0.1mGy で2%以下、0.2mGy 以上では 1%以下と高い再現性が得られています。

【製品仕様】 変動係数 5%以内(0.1mGy/mSv、137Cs-γ線)

2%以内( 1mGy/mSv、137Cs-γ線)

1%以内(10mGy/mSv、137Cs-γ線)

4.エネルギー特性

空気吸収線量に対するエネルギー特性を 図4に示します。137Cs-γ線のレスポンスを

基準(1.0)とした時の相対レスポンスを表しています。32keV ~ 1.25MeV(60Co-γ線)

のエネルギー範囲で、±20%以内の特性が得られています。

図3 リーダー指示値の再現性

図4 空気吸収線量に対するエネルギー特性

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5.方向特性 137Cs-γ線および 60Co-γ線に対する方向特性を 図5に示します。図中の相対感度は、

それぞれ正面での感度を基準(1.0)とした時の各方向での感度比を表しています。

±15%以内の特性が得られています。

(正面 ~ 左右90°)

(正面 ~ 上下90°)

図5 方向特性(137Cs-γ線、60Co-γ線 )

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6.ビルドアップ特性

RPLの蛍光量は、放射線照射後、時間の経過とともに増加して安定化します。これをビ

ルドアップ特性と呼んでいます。

図6 に各温度でのビルドアップ特性を示します。20℃での24時間後を基準(1.0)とし

た相対強度で表してします。ビルドアップの速さは、周囲の温度に依存し、高い温度ほど

速くなります。環境モニタリングでは、線量計回収後、読取前にプレヒート(例:70℃ 1時

間)を行なうことにより、ビルドアップ率を一定化させ、配備中の周囲温度の影響をなくす

ことができます。

7.長期経時変化特性

図7 に室温(20℃)および40℃における、照射後90日間までの経時変化特性を示し

ます。ビルドアップ完了後の経時変化は認められず安定しています。3ヶ月間の環境モニ

タリングに使用してもフェーディングの心配はありません。

図6 ビルドアップ特性

図7 長期経時変化特性

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8.リーダーの安定性

JIS-Z-4314に基づき、以下の項目についてリーダーの安定性を確認しています。

① 電源電圧変動に対するリーダーの安定性

定格電圧(AC100V)の±10%の変動範囲内で、指示値の変化率は±5%以内

と安定しています。

② 温度に対するリーダーの安定性

5℃~35℃の温度範囲で、室温(20℃)に対する指示値の変化率は±5%以内

と安定しています。

③ 湿度に対するリーダーの安定性

相対湿度80%にて、相対湿度50%に対する指示値の変化率は±5%以内と安

定しています。

④ 光に対するリーダーの安定性

JIS-Z-4314に示す条件(3klx)で、指示値の変化率は±5%以内と安定して

います。

以上

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◆ TLDとの比較資料

1. 原理上の比較

1.1 発光過程などの違い

蛍光ガラス線量計は、ラジオフォトルミネセンス(RPL)現象に基づいた固体線量計で、

下の表に示すように、安定した蛍光が得られるとともに、その発光過程は、放射線照射に

よって受けたエネルギーの散逸現象ではないため、繰り返しの励起発光が可能です。

光刺激ルミネセンス 熱ルミネセンス

(TL)***) (RPL)*) (OSL)**)

放射線

エネルギー

の蓄積過程

放射線照射による電離作用により、自由になった電子と正孔

(ホール)が、結晶内の格子欠陥などに捕獲され、捕獲中心として

保存される。

発光過程 捕獲された電子、

正孔のエネルギー

状態がかなり安定

な場合1) には、その

電子、正孔は光に

よって励起されると、

基底状態2) へは

落ちずに、蛍光を

発して元の状態

(放射線照射後の

状態)に戻る。

光エネルギーの

吸収により、準安定

状態におかれた

電子、正孔が発光

とともに基底状態2)

に落ちる。

加熱により、捕獲

中心から電子、正孔

が解放されて

再結合し、発光と

ともに基底状態2)

に落ちる。

放射線

エネルギー

の散逸

放射線エネルギー

の散逸はともなわ

ない。

放射線エネルギーを光として放出する

刺激緩和現象

*) RPL : Radiophotoluminescence

**) OSL : Optically Stimulated Luminescence

***) TL : Thermoluminescence

1) : 銀活性リン酸塩ガラスはこの場合に該当する。

2) : 放射線照射前の状態。

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1.2 構造上の違い

蛍光ガラス線量計に使用される “銀活性リン酸塩ガラス”は、下表に示すように、構造

上の理由から、均一性および安定性がTLDより優れています。

従って、線量計間の感度ばらつきが小さく、フェーディングがほとんどない等の特徴が

あります。

蛍光ガラス線量計

(銀活性リン酸塩ガラス)

T L D

(結晶)

放射線によって

遊離した電子、

正孔の捕獲

ガラス中の Ag+に捕獲され、

AgO 及び Ag++を形成する。

結晶構造中の格子欠陥に

捕獲される。

均 一 性 非晶質固体であるガラスの

構造は、均一な液体の状態

に近く、従って Ag+も均一に

存在し、感度一定のものを

作りやすい。

ガラス中にも格子欠陥のよう

なものがあるが、Ag+の電子

を引き付ける力が強いので、

無視できる。

格子欠陥は、不均一に存在

し、結晶の生成過程によって

敏感に変動するため、感度

一定のものを作りにくい。

安 定 性 AgO 及び Ag++は、ガラス

マトリックスの近傍のイオン

と相互作用して、それ自身が

安定化する。

格子欠陥の電子、正孔の捕獲

力は、Ag+イオンとの結合力

に比べて緩い。

1.3 測定原理

蛍光ガラス線量計とTLDの測定原理をまとめると下表の通りとなります。

蛍光ガラス線量計 放射線照射によって遊離した電子と正孔(ホール)が

ガラス中の Ag+イオンに捕らえられて安定な蛍光中心を

作り、その量は線量に比例する。

Ag+ + e- = AgO

Ag+ + hole = Ag++

この蛍光中心が作られたガラスを紫外線で励起すると

オレンジ色の蛍光を発する。この蛍光量を測定する。

TLD 放射線照射によって遊離した電子と正孔(ホール)が

結晶中の格子欠陥に捕らえられて蛍光中心を形成し、

準安定状態を保つ。

これを 200℃~400℃の高温に加熱すると、捕らえられた

電子が解放され、正孔と再結合し、この時熱ルミネセンス

を発光する。この蛍光量を測定する。

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2. 性能比較

TLDと比較した場合に挙げられるガラス線量計の主な特徴は以下の通りです。

① 発光現象が放射線エネルギーの散逸によるものではないため、何度も繰り返し

て読取ることが可能である。

TLDは、一回の読取りで蛍光中心が消滅してしまうため、繰り返し読取りが不可

能。読取りミスによりデータ消滅の危険性がある。

② ガラス素子の均一性により、線量計間の感度ばらつきが小さい。

③ 蛍光中心の安定性が強く、フェーディングがほとんどないため、長期のモニタリ

ングに最適である。

環境γ線モニタリングに使用される線量計について、主な特性を比較すると、下表の

ようになります。

項 目 ガラス線量計

(SC-1)

TLD

(UD-200S)

測定線量範囲

(線量表示範囲)

10μGy ~ 10Gy

(1μGy ~ 10Gy)

1μGy ~ 0.2Gy 2)

(0.1μGy ~ 0.2Gy)

線量計間の

感度ばらつき

(変動係数)

100μGy : 3 %以下

1 mGy : 2 %以下 1) 1 mGy : 5~6 % 3)

繰返し読取り 可能 不可

エネルギー特性 ±20 %以内

(30keV ~ 1.3MeV)1)

±30 %以内

(30keV ~ 1.3MeV)4)

方向特性 ±15 %以内

(137Cs、60Co-γ)1)

±15 %以内

(137Cs、60Co-γ)4)

フェーディング 年間 1 %以下 6 ヶ月間で 8 % 2)

1) 弊社 「環境モニタリングシステム 基本特性データ」

2) メーカーカタログ値 2003.01

公益社団法人 日本アイソトープ協会 放射線防護用設備・機器ガイド 2012/2013 年版

3) 財団法人 放射線計測協会 「熱ルミネッセンス線量計特性試験報告」

4) 文部科学省 「熱ルミネッセンス線量計を用いた環境γ線量測定法」

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3.JIS規格値の比較

ガラス線量計とTLDについて、環境γ線量測定に関してのJIS規格値を下表に示しま

す。

ガラス線量計 TLD

JIS No.

名 称

JIS-Z-4314

蛍光ガラス線量計測装置

JIS-Z-4320

熱ルミネセンス線量計測装置

エネルギー範囲 30keV ~ 3MeV 30keV ~ 3MeV

感度ばらつき 変動係数 : 0.045 以下

(200μGy n=10 )

最大値/最小値 :1.30 以下

(200μGy n=50 )

線量直線性 100μGy~10mGy:±10%

(200μGy 基準)

100μGy~10mGy:±10%

(300μGy 基準)

経時変化特性 20℃ 90 日間: -5%~+15%

40℃ 90 日間: -5%~+15%

20℃ 90 日間: ±15%

40℃ 90 日間: ±25%

エネルギー特性 ±30%

(35keV~60Co、137Cs 基準)

±30%

(35keV~60Co、137Cs 基準)

方向特性 ±20% 137Cs-γ線

(正面~上下左右90°)

±20% 137Cs-γ線

(正面~上下左右90°)

対温度安定性 ±5%

(-10℃~40℃, 20℃基準) 規定なし

対湿度安定性 ±5%

(40℃, 90%RH, 48h)

±20%

(40℃, 90%RH, 48h)

両者のJIS規格値から、ガラス線量計の性能については、TLDと比較して、以下の点

が判断できます。

① 感度ばらつきが小さい。

② 経時変化が少ない。

③ 温湿度に対する安定性が高い。

④ 線量直線性、エネルギー特性及び方向特性は同程度。

従って、環境γ線モニタリング用の積算線量計として、TLDと同等以上の性能である

ことが、JIS規格値からも明らかです。

以上

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◆ FGD-202(FGD-252)エネルギー推定機能 解説

ガラス線量計SC-1は、FGD-202(FGD-252)リーダーを用いて、150keV 以下の

実効エネルギーの推定を行うことができます。

ガラス線量計SC-1は、図1 に示すように、エネルギー補償用フィルタ(Sn)の中間部に

スリットがある構造になっています。そのため、150keV 以下の低エネルギーX線が照射さ

れた場合、ガラス素子の中でフィルタを介して照射された部分と、スリットから照射された部

分とでは、それぞれ蛍光強度が異なります。

FGD-202(FGD-252)では、ガラス素子の蛍光分布を、図2 に示す機構で測定する

ことができます。ダイアフラム2をガラス素子と蛍光を検出する光電子増倍管の間で7ステッ

プで移動させることにより、ガラス素子の照射面上の7つのポジションの蛍光強度を求める

ことができます。

図1 フィルタとガラス素子の位置関係

サンプルガラス

検出範囲

4ポジション5ポジション6ポジション7ポジション

1ポジション2ポジション3ポジション

蛍光

ガラス素子

蛍光検出方向

ダイアフラム2

図2 7ステップ式移動ダイアフラムによる蛍光強度分布測定

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図4 各方向で照射した時の蛍光強度分布(例)

各実効エネルギーを正面から照射した時の蛍光検出強度分布の例を 図3 に示します。

フィルタ中間部のスリット位置をピークとした分布が得られ、かつ、エネルギーによって強

度比が変化しています。また、各方向から照射した時の蛍光検出強度分布のピーク位置及

び強度の変化例を 図4 に示します。

諸々の照射条件での各蛍光検出強度分布について、「最大強度と最少強度の比」を求め

ると、照射方向にほとんど依存されずに、一例として 図5 に示すような エネルギーに対

する関係が得られます。 図5からは、150keV以下のエネルギー範囲で、その強度比が変

化していことが確認できます。 従いまして、平均的なものをエネルギー推定曲線としてリー

ダーに記憶させ、この曲線を基に150keV 以下のエネルギー推定を行ないます。なお、エ

ネルギー推定曲線としては、異なる線質により5種類から選択可能です。

図5 エネルギー推定曲線(例)

図3 各エネルギーにおける蛍光検出強度分布(例)

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図5 から分かりますように、約30keV 以下の低いエネルギー域では、強度比の変化が

緩くなっているため、推定が難しくなってきます。これは、このような低エネルギー域では、

ガラス素子に生じる蛍光中心が照射表面付近に片寄ってくるためです。

従いまして、前述のエネルギー推定方法で30keV 以下と判断された場合、ガラス素子の

板厚方向の簡単な分布を求め、その比でエネルギー推定を行なっています。

図6 は、ガラス素子の照射面側(上半分)と後面側(下半分)の2分割の蛍光強度を測定

するための機構を示したものです。

この機構を用いて、照射面側(上半分)と後面側(下半分)の比を求めると、図7 に示すよ

うな曲線が得られます。こちらも、平均的なものを 30keV 以下用のエネルギー推定曲線と

して使用することができます。

以上、2通りの蛍光強度分布測定機構にて、150keV以下のエネルギー推定を行なうこと

ができます。

以上

ダイアフラム1

サンプルガラス

紫外線入光

下半分

上半分

照射範囲

全体

ガラス素子

紫外線励起範囲

図6 3ポジション(上下半分と全体)紫外線励起機構

図7 30keV 以下のエネルギー推定曲線(例)