51
-87- 1. リング (H6a) び,シュラ /シュラ ドサポートリング(H7a)における, サイクル サイクル した。 2. サイクル 刈羽 第3 (K-3)において, にて した より,シュラ された変 1.0N/mm 2 p-p 以 あった。こ しピーク 95N/mm 2 さいこ が確 されているこ から, サイクル ,H6a びH7a ひび 因に している えられ い。 3. サイクル (1) リング (H6a) シュラ において, )により められた しピーク さ 55.9N/mm 2 (5.7kg/mm 2 )が められているステンレス における 10 6 に対する しピーク さ 178.4N/mm 2 (18.2kg/mm 2 )以 るこ から, サイクル されている。 って, 0.000 り, サイクル がひび 因に している えられ い。 (2)シュラ /シュラ ドサポートリング(H7a) H7a シュラ ドサポート において われており,H7a位 における 0.001 されており, あるこ が確 されている。 って, サイクル がひび 因に している えられ い。 -4

溶接部近傍の疲労調査結果 - METICorrosion 2001, Paper No.01121, NACE, 2001 割れの生じた316NGセーフエンド材の接液面から約 60μmの深さで粒界成分分析を行い,W-Shape型のCr

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • -87-

    溶接部近傍の疲労調査結果

    1.調査目的

    通常運転中の中間部胴/下部リング溶接部(H6a)及び,シュラウド下部胴/シュラ

    ウドサポートリング(H7a)における,高サイクル疲労及び低サイクル疲労の影響を

    調査した。

    2.高サイクル疲労

    柏崎刈羽原子力発電所第3号機(K-3)において,平成6年にて実施した流体振動

    測定結果より,シュラウドで測定された変動応力は約 1.0N/mm2p-p 以下であった。この値

    は繰返しピーク応力強さ約 95N/mm2 に比べ十分に小さいことが確認されていることから,

    高サイクル疲労は,H6a及びH7aのひびの発生原因に寄与しているとは考えられな

    い。

    3.低サイクル疲労

    (1)中間部胴/下部リング溶接部(H6a)

    建設時の工事計画認可申請書添付のシュラウドの応力計算書において,疲れ解析

    (詳細な繰り返し荷重の評価)により求められた繰り返しピーク応力強さ 55.9N/mm2

    (5.7kg/mm2)が告示に定められているステンレス鋼の設計疲労線図における 106回

    に対する繰り返しピーク応力強さ 178.4N/mm2(18.2kg/mm2)以下となることから,

    重要なサイクルは0回と評価されている。

    従って,疲れ累積係数は 0.000 となり,低サイクル疲労がひびの発生原因に寄与

    しているとは考えられない。

    (2)シュラウド下部胴/シュラウドサポートリング(H7a)

    H7aは,建設時の工事計画認可申請書添付のシュラウドサポートの応力計算書

    において疲れ解析が行われており,H7a位置における疲れ累積係数は 0.001 と評

    価されており,許容値以下であることが確認されている。

    従って,低サイクル疲労がひびの発生原因に寄与しているとは考えられない。

    添付-4

  • -88-

    中性子照射量調査

    1.目 的 ひびが確認されたシュラウドの溶接部(H6a外側)及び溶接部(H7a内側)について,過去の中性子照射量を算出し,照射誘起応力腐食割れ発生の可能性の有無を確認する。 2.確認方法 過去の運転データから,中性子照射量を算出し確認する。

    3.確認結果 過去の運転時間より溶接部(H6a外側)及び溶接部(H7a内側)の中性子照射量を算出した結果,溶接部(H6a外側)では 8.5×1021 n / m2程度であり,溶接部(H7a内側)については 2.6×1019 n / m2程度となり,SUS316系の照射誘起型の応力腐食割れの感受性が顕れる約 1.0×1025 n / m2に比べて十分少ない照射量であることが確認された。

    中性子照射したオーステナイト系ステンレス鋼の IGSCC 破面率と照射量の関係 参考文献 M.Kodama,S.Nishimura,J.Morisawa,S.Shima,S.Suzuki,M.Yamamoto “EFECTS OF FLUENCE AND DISSOLVED OXYGEN ON IASCC IN AUSTENITIC STAINLESS STEELS“ (the 5th International Symposium on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power System-Water Reactors,NACE(1991)948)

    Type304SS Type316SS ● This study □ Ref.1 △ Ref.3 △Ref.3 ○ Ref.8 ○Ref.8

    添付-5

  • -89-

    シュラウドH6a位置の中性子照射量評価

    1.目的 シュラウドH6a位置の中性子照射量を評価する。 2.計算方法 2次元輸送解析から求められた中性子束を算出し,その値に累積運転時間

    (EFPY)より算出する。 (1)中性子束の算出

    BWR-5(1100MWe)プラントのシュラウドH6a位置の中性子束は, 2次元輸送解析により

    3.3×109(n/cm2・sec)・・・・・・・・・・・(1) と算出。

    (2)累積運転時間 柏崎刈羽原子力発電所3号機第7回定期検査までの累積運転時間は(※)

    8.13年となる。 累積発電電力量(試運転含む)

    (※)累積運転時間(EFPY)= 1100(MWe)×24(h)×365(日) これを秒換算すると,2.564×108(sec)・・・・・・・・・(2)

    3.結果

    (1),(2)より中性子照射量は,以下のとおり。 (1)×(2)= 8.5×1017(n/cm2)= 8.5×1021(n/m2)

  • -90-

    シュラウドH7a位置の中性子照射量評価

    1.目的 シュラウドH7a位置の中性子照射量を評価する。 2.計算方法 2次元輸送解析から求められた中性子束を算出し,その値に累積運転時間

    (EFPY)より算出する。 (1)中性子束の算出

    BWR-5(1100MWe)プラントのシュラウドH7a位置の中性子束は, 2次元輸送解析により

    1.0×107(n/cm2・sec)・・・・・・・・・・・(1) と算出。

    (2)累積運転時間 柏崎刈羽原子力発電所3号機第7回定期検査までの累積運転時間は(※)

    8.13年となる。 累積発電電力量(試運転含む)

    (※)累積運転時間(EFPY)= 1100(MWe)×24(h)×365(日) これを秒換算すると,2.564×108(sec)・・・・・・・・・(2)

    3.結果

    (1),(2)より中性子照射量は,以下のとおり。 (1)×(2)= 2.6×1015(n/cm2)= 2.6×1019(n/m2)

  • -91-

    出典 概要 データ

    (財)原子力工学試験センター

    昭和58年原子力発電施設 信頼性実証試験

    の現状

    4.BWR 型発電設備応力腐食割れ等実証試験

    繰返し引張試験の実証試験を行った結果,SUS316L

    及び SUS304L材は 3000 時間以内に漏洩は生じなか

    った。

    2

    T.M.Angeliu;

    Microstructual Characterization of

    L-grade Stainless Steel Relative to the

    IGSCC Behavior in BWR Environments,

    Corrosion 2001, Paper No.01121, NACE, 2001

    割れの生じた 316NG セーフエンド材の接液面から約

    60μmの深さで粒界成分分析を行い,W-Shape 型の Cr

    プロファイルとなり,その中で最も低い Cr 量は 13%

    であった。

    3

    伊藤幹郎他;高温純水中における低炭素ステ

    ンレス鋼の SCC 進展速度,第48回材料と環

    境討論会投稿中

    沸騰水型原子炉(BWR)の炉内水質環境下におけ

    る低炭素ステンレス鋼のSCC進展速度を明らかに

    することを目的として,高温純水中でのき裂進展試

    験を実施した。

    高温純水環境中(通常炉水水質模擬)での定荷重負

    荷において,予き裂からその先端のほぼ全体に典型

    的な粒界型割れ形態の SCC 進展領域が観察された。

    4

    M.Tsubota et al.;

    The Effect of Cold Work on the SCC

    Susceptibility of Austenitic Stainless

    Steels, ”Proceedings of 7th International

    Symposium on Environmental Degradation of

    Materials in Nuclear Power System, Vol.1

    (1995) 519-527

    冷間加工を与えた SUS316L 鋼板から試験片を切り出

    し,その硬さを測定した後,試験片を CBB(Creviced

    Bent Beam)試験冶具に装着し,1%ひずみを与えて

    288℃,溶存酸素濃度 8ppm の高温水で SCC 試験を実

    施し,断面割れの深さにより,SCC 感受性を求めた。

    SCC は粒内割れとなり,その感受性は硬さと関係があ

    り,HV300 を超えると顕著となる。

    R.M.Horn et al.;

    Experience and assessment of stress

    corrosion cracking in L-grade stainless

    steel BWR internals, Nuclear Engineering

    and Design, 174 (1997) 313-325

    低炭素ステンレス鋼製シュラウドの割れ部ボートサ

    ンプルを調査した結果,割れは IG で進展した。割れ

    の発生側の表面は浅い冷間加工が認められた。表面

    層深さ 100μm の硬さを測定した結果,ビッカースで

    400 を超えていた。

    参 考 文 献 一 覧 添付-6

  • -92-

    溶接部(H6a/H7a)の運転時の応力評価

    1.目的

    溶接部(H6a/H7a)の運転時に生じる応力の影響について評価を行う。

    2.評価方法

    現在当該部に観察されている割れ方向から,割れに影響を及ぼす応力は,シュラ

    ウドの軸方向の応力である。通常運転時のシュラウドには,差圧,自重による死

    荷重及び熱応力が作用している。そこで,通常運転時(運転状態Ⅰ及びⅡ)の当該

    部における軸方向応力を評価する。

    3.調査結果

    下表の通り,当該部に生じる通常運転時の応力(内圧,差圧,死荷重,熱応力)

    は,溶接による残留応力の 300MPa 程度に比べ十分小さい。

    溶接部(H6a/H7a)の運転時の軸方向応力

    位置 荷重の種類 軸方向応力

    差圧 2.0 MPa (0.2 kg/mm2)

    死荷重 -2.0 MPa (-0.2 kg/mm2)

    熱応力 -2.0 MPa (-0.2 kg/mm2)

    H6a(外)

    組合せ応力 -2.0 MPa (-0.2 kg/mm2)

    内圧 -2.0 MPa (-0.2 kg/mm2)

    差圧 0.0 MPa (0.0 kg/mm2)

    死荷重 -7.8 MPa (-0.8 kg/mm2)

    熱応力 -14.0 MPa (-1.4 kg/mm2)

    H7a(内)

    組合せ応力 -23.8 MPa (-2.4 kg/mm2)

    *差圧 H6a:0.7 kg/cm2(0.07MPa)

    H7a:2.5 kg/cm2(0.25MPa)

    以 上

    添付-7

    *応力方向は上向きが正

  • -93-

    下部リング及びシュラウドサポートリング溶接部残留応力評価 1.目 的 下部リングとシュラウド中間胴溶接部(以下「H6a」),シュラウドサポート リングとシュラウド下部胴溶接部(以下「H7a」)について,溶接施工時の残留 応力を FEM 解析により推定する。 2.解析条件 解析コード:FEM汎用解析コードABAQUS* 解析方法 :軸対称非定常温度解析及び弾塑性応力解析 *:ABAQUS

    ・米国 H.K.S(Hibbit.Karlsson&Sorensen)社が作成した有限要素法によ る汎用非弾性解析計算コードである。

    ・弾塑性,クリープ,大変形,接触,座屈等非線形現象の解析を行うこと ができる。

    ・汎用コードであり,数々の実績がある。 3.解析手順 溶接金属を実際の溶接施工手順通りに成層する解析モデルを作成する。まず, 溶接金属の各層について,溶接時入熱をもとに温度解析を実施し,温度履歴を 求める。次に,この温度履歴に基づいて,応力解析を実施し冷却過程で生ずる 残留応力の分布を求める。これを初層から最終層まで繰り返して実施し,最終 的な残留応力分布を求める。解析フローを図1に示す。 4.解析結果 応力解析により得られたシュラウドサポートリング内表面における軸方向 残留応力の分布を図2-1に,H7a溶接止端部から10mm下での軸方向 残留応力を図2-2に示す。また,H6a溶接部近傍(下部リング側)の残 留応力分布を算出した。下部リング表面の軸方向残留応力分布を図2-3に, 下部リングの肉厚方向(H6a溶接線から12mmの位置)の軸方向残留応 力を図2-4に示す。

    5.考 察 解析の結果,下部リングの外表面のH6a溶接部近傍には,300MPa 程度の引張応力が発生していると推定された。

    また,下部リング半径方向残留応力分布は,下部リング表面で最大となり, 内部に行くに従って,引張から圧縮に転じ,再び引張応力になることがわか った。 一方,シュラウドサポートリング内表面の H7a 溶接部近傍には,H6a 同様に

    300MPa 程度の軸方向の引張り応力が発生していると推定された。 シュラウドサポートリング半径方向残留応力分布は,シュラウドサポート

    リング内表面で最大となり,内部に行くに従って,引張りから圧縮応力に転 じ,再び引張り応力になることがわかった。

    添付-8

  • -94-

    解析モデル作成 入力条件の設定

    (1)温度解析

    溶接金属の層をモデル化した要素の追加

    溶接入熱

    モックアップ試験体の温度測

    定結果を用いて校正

    温度履歴ファイルの作成

    溶接金属の層をモデル化した要素の追加

    温度履歴入力

    応力分布ファイルの作成

    (2)応力解析

    残留応力の算出

    図1 溶接残留応力解析フロー

  • -95-

    -50

    -45

    -40

    -35

    -30

    -25

    -20

    -15

    -10

    -5

    0

    0 200 400

    応 力 (MPa)

    溶接

    止端

    部か

    らの

    距離

    (m

    m)

    下部胴

    (外側) (内側)

    H7a溶接部

    H7b溶接部

    シュラウドサポート シリンダ

    シュラウドサポートリング

    図2-1 シュラウドサポートリング内表面における軸方向残留応力の分布

    -400

    -300

    -200

    -100

    0

    100

    200

    300

    400

    0 10 20 30 40 50 60 70

    内表面からの距離 (mm)

    残留

    応力

    (M

    Pa)

    図2-2 軸方向応力の板厚方向分布(H7a)

  • -96-

    下部リング

    中間部胴

    原子炉圧力容器側 炉心側

    下部胴

    H6a溶接部

    H6b溶接部

    -100

    -90

    -80

    -70

    -60

    -50

    -40

    -30

    -20

    -10

    0

    0 100 200 300 400

    応力(MPa)

    止端

    部か

    らの

    距離

    (mm

    )

    ②③

    図2-3 下部リング内表面における軸方向残留応力の分布

    図2-4 軸方向応力の板厚方向分布(H6a)

    -400

    -300

    -200

    -100

    0

    100

    200

    300

    400

    0 10 20 30 40 50 60 70

    外表面からの距離 (mm)

    残留

    応力

    (M

    Pa)

  • -97-

    1.目的 本モックアップ試験は,残留応力解析に用いる溶接時の評価対象部位の温度履歴を把握することを目的として,シュラウド下部胴とシュラウドサポートリング溶接部(以下「H7a」)及び,シュラウドサポートリングとシュラウドサポートシリンダ溶接部(以下「H7b」)の製造時の溶接を模擬したモックアップ試験体製作における溶接時の温度履歴を測定するものである。

    2.評価対象部 温度測定の対象とする溶接部は柏崎刈羽原子力発電所3号機(以下「K-3」)

    の以下の溶接部とした。 ・シュラウドサポートシリンダとシュラウドサポートリングとの溶接部(H7b)

    ・シュラウドサポートリングとシュラウド下部胴との溶接部(H7a) 3.試験方法

    H7a及び H7bの製造履歴を模擬したモックアップ試験体を用いて,溶接時の溶接部近傍の温度履歴を測定した。

    4.試験体形状及び材料 シュラウドサポートリング溶接時温度測定用モックアップ試験体形状を図

    1に示す。試験体は実機と同等の半径の円弧を付けた,900mm幅のセクターモデルとした。シュラウドサポートシリンダ部の高さは約 300mmとした。開先形状は実機の形状と同一とした。 なお,本試験体は周継手の応力解析のための温度データ採取の目的であるこ

    とからシュラウドサポートリングの長手継手は設けない。また,材料の化学成分及び機械的性質は模擬していない。

    K-3と試験体の材料の違いは溶接材料を除き同じである。溶接材料については,近年,自動 TIG 用のワイヤの銘柄がでてきたこと及び当時の材料の入手が困難であること等から,同材もしくは同等材を用いている。

    5.試験体製作 シリンダは開先加工を実施した後,曲げ加工を実施し,セクターモデルに加

    工した。リングも実機の製作と同じ内外径に加工する。 シリンダとリングの溶接時には,変形防止のため拘束治具を設けた。シリン

    ダとリングの溶接後,実機と同様にリングの内外面及び上面の機械加工を行った。その後下部胴とシュラウドサポートリングの溶接を行った。溶接時にはシリンダとリングの溶接と同様に変形防止のための拘束治具を設けた。 溶接は実機の溶接施工条件を基に実施した。 H7b及び H7a溶接部の開先形状を図2に示す。

    6.溶接時温度測定 モックアップ試験体のH7b及びH7a溶接時の母材の温度を熱電対にて測定

    した。測定は試験体中央及び中央から左右に 200mm離れた位置の 3ラインとした。

    H7a及び H7bの熱電対取付位置を図3及び図4に示す。温度測定点は,開先端部から 10mm及び 40mm離れた位置とする。

    シュラウドサポートリング溶接部モックアップ試験結果

    (別添)

  • -98-

    7.試験結果 測定された H7b,H7a の溶接時温度履歴の一例を図5,図6に示す。本デ

    ータを含む溶接時の温度履歴測定結果は,溶接残留応力解析で用いることとなる。 なお,H6a の溶接時温度履歴は福島第二原子力発電所3号機のモックアップ

    試験結果を用いた。

  • -99-

    図1 シュラウドサポートリング溶接時温度測定用モックアップ試験体形状

    図2 H7a及び H7bの開先形状

    H7a

    H7b

    φ約 5.1m

    単位:mm

    単位:mm

  • -100-

    図3 熱電対貼付位置(H7b溶接時)

    6 0

    10 0

    6 0

    1 0 4

    0

    1 0 4

    0

    1 0

    4 0 10

    4 0

    図4 熱電対貼付位置(H7a溶接時)

    70

    50.8

    1 0 40

    1 0

    4 0

    4 0

    D

    DT

    単位:mm

    単位:mm

  • -101-

    図5 H7b溶接部温度履歴(36パス目)

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

    時 間 (秒)

    温 度

    (℃

    溶接位置

    計測位置 (リング上面から 10mm下)

    図6 H7a溶接部温度履歴(99パス目)

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    600

    0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

    時 間 (秒)

    温 度

    (℃

    計測位置 (リング上面から 10mm下)

    溶接位置

  • -102-

    1

    10

    100

    1000

    92/1 92/12 93/12 94/12 95/12 96/12 97/12 98/12 99/12 00/12 01/12 02/12

    溶存

    酸素

    (ppb

    as D

    O2)

    運転中溶存酸素 運転サイクル

    (測定箇所:原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩器入口)

    実機水質データ調査結果(溶存酸素濃度)

    0

    0.1

    0.2

    0.3

    0.4

    0.5

    0.6

    0.7

    0.8

    0.9

    1

    92/1 92/12 93/12 94/12 95/12 96/12 97/12 98/12 99/12 00/12 01/12 02/12

    導電

    率(μ

    S/

    cm

    運転中原子炉水導電率 運転サイクル

    (測定箇所:原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩器入口)

    実機水質データ調査結果(導電率)

    添付-9

  • 炉心シュラウド製作手順概念図

    H6a

    中間胴 (下半)

    下部リング

    下部胴

    素材

    素材曲げ加工・

    開先加工溶接、開先加工

    切断、開先加工

    溶接、内外面 及び開先加工

    素材曲げ加工・

    開先加工溶接、開先加工

    溶接、内外面加工

    溶接、上面加工

    シュラウド サポートリング 素材

    切断、開先加工 溶接

    素材開先加工・ 溶接

    曲げ、溶接 開先加工

    溶接

    H7a

    シュラウド サポートシリンダ

    シュラウド サポートプレート 溶接、内外面 及び開先加工

    添付-10

    -103-

  • -104-

    機械加工による硬さ再現試験

    1.目的 下部リング及びシュラウドサポートリングの機械加工による表面加工層の硬

    さへの影響を確認する。 2.実施内容 シュラウドサポートリングについては,実機と同等の機械加工条件にて表面

    加工を行い,硬さ分布の測定を行う。また,下部リングについては,以前に福島第二原子力発電所3号機にて実施した同様の試験結果を基に,機械加工の程度を考慮し評価する。

    2.1 試験体 (1)材質

    SUS316L(JIS G 4304) (2)化学成分(表1参照)

    表1 試験体材料の化学成分 C Si Mn P S Cr Ni Mo

    試験体(SUS316L) 0.018 0.46 0.86 0.025 0.001 17.75 12.41 2.18

    K-3実機 0.013 0.55 0.95 0.022 0.007 16.56 12.38 2.15

    (wt%) (3)機械的性質(表2参照)

    表2 試験体材料の機械的性質 0.2%耐力σ0.2 引張強さσu 伸び

    試験体(SUS316L) 240(MPa) 541(MPa) 64(%)

    K-3実機 21(kg/mm2) 51(kg/mm2) 56(%)

    (4)試験体形状 試験体はプラズマ切断によりφ1970mm/φ1770mm のドーナツ状に切り

    出し,内外面を機械加工により各々φ1940mm/φ1800mmまで加工した。加工代は内外面 15mmとした。なお,リング上面の加工は約 5mmである。 試験体の形状及び寸法を図1に示す。また,試験体の機械加工条件は実機の

    加工条件を合わせることとした。

    添付-11

  • -105-

    2000

    2000

    φ1770

    φ1970

    (a)プラズマ切断後の試験体形状

    (60)

    (φ1770)

    (φ1970)

    φ1940+20

    φ1800 0-2 70

    55±2

    (b)機械加工後の試験体形状(リング断面) ( )内はプラズマ切断後の寸法を示す。)

    図1 試験体の形状及び寸法

    (リング内

    リング上面

    (リング外(リング内面) (リング外面)

    φ1940

    φ1800

    単位:mm

    単位:mm

  • -106-

    2.2 試験要領 上記の加工条件により旋盤加工を行う。機械加工後のリングを 90°間隔で 4

    方位からサンプル(約 200mm幅)を採取し,表面近傍の断面の硬さを計測する。 測定はリングの内外面で各 3箇所とする。測定は 90°間隔の 4方位各々1断面について実施した。 リング断面の硬さ測定位置を図2に示す。硬さはマイクロビッカース硬さ計

    を用いて測定した。断面における硬さ測定位置を図3に示す。

    (リング内面)

    リング上面

    (リング外面)

    図2 リング断面の硬さ測定位置 硬さ測定位置

    10

    20

    30

    10

    20

    30

    35

    (70)

    (55)

    単位:mm

  • -107-

    3.試験結果 代表的な試験結果を図4(1)~(3)に示す。方位の違いによる有意な差はなかっ

    た。また,ビッカース硬さの計測値は,表面で HV300~400となる硬化層の存在が確認され,いずれの断面も,硬化層は,表面から最大で約 80μmの深さであった。 なお,表面粗さは,上面で Ra 2.3μm,内径側で Ra 2.6μm,外径側で Ra 3.1

    μmであり,設計要求粗さ Ra 6.3μmよりも良好であった。 4.考察 (1)シュラウドサポートリング シュラウドサポートリングの機械加工により,表面から 40μm~80μm程度までは,HV300を超える硬さになっており,硬さの深さ分布はボートサンプルの結果に類似している。 (2)下部リング 柏崎刈羽原子力発電所3号機における下部リングの加工条件は福島第二原子力発電所3号機とほぼ同等であることから,硬さの深さ方向の分布についても同様の結果が得られるものと推定される。福島第二原子力発電所3号機で得られた結果は以下のとおり。 ・全体として深さ 300μm程度までは HV200を超えた。 ・切削速度 50m/minにおいては,深さ 100μmm程度まで HV300を超えておりこれはボートサンプルの結果に類似している。

    表面から 0.1mmまで 0.01mm間隔で測定

    表面下 0.1mm~0.5mmの 範囲を 0.1mm間隔で測定

    母材表面

    表面下 0.5mm~2mmの 範囲を 0.5mm間隔で測定

    図3 断面における硬さ測定位置

  • -108-

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00

    表面からの距離(mm)

    ビッカース硬さ(Hv10gf)

    上面から10mm上面から20mm上面から30mm

    10

    20

    30

    10

    20

    30

    35

    (70)

    (55)

    図4(1) 硬さ試験結果 (0°,内径側)

    内径側 外径側

    単位:mm

  • -109-

    0

    100

    200

    300

    400

    500

    0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00

    表面からの距離(mm)

    ビッカース硬さ(Hv10gf)

    上面から10mm上面から20mm上面から30mm

    10

    20

    30

    10

    20

    30

    35

    (70)(55)

    図4(2) 硬さ試験結果 (0°,外径側)

    内径側 外径側

    単位:mm

  • -110-

    ひびの進展評価

    1. 目的

    解析により求めた残留応力分布をもとに,下部リングおよびシュラウドサポートリングに発生し

    た,ひびの進展寸法を推定する。 2. 評価手順

    評価部位の初期欠陥の形状を設定し,解析で求めた残留応力分布により,そのき裂寸法に

    おける応力拡大係数を求める。求められた応力拡大係数とSCC進展データよりき裂進展速度を

    求めることができ,き裂が単位長さを進展する時間を求めることができる。さらに進展した欠陥寸

    法での計算を繰り返すことにより,時間とき裂進展量の関係及び最終的なき裂進展量が分かる。

    き裂進展評価の手順を図―1に示す。 3. 評価条件

    評価対象部位 : 下部リング外側のH6a溶接部近傍 シュラウドサポートリング内側のH7a溶接部近傍

    残留応力分布 : FEM汎用コードABAQUSを用いて解析した値を用いる。(図―4,5) 初期欠陥 : 円筒外側の全周欠陥(深さ0.3mm)※1 保守的に全周にひびが

    円筒内側の全周欠陥(深さ0.1mm)※2 あるものと仮定して評価 応力拡大係数 : 初期欠陥の想定及び残留応力分布にあわせた応力拡大係数を用いた。 き裂進展速度 : 低炭素ステンレス鋼のSCC進展データ(図―6)

    ※1:福島第二原子力発電所3号機で確認された表面加工層の厚さを想定した。 ※2:柏崎刈羽原子力発電所3号機H7a溶接部ボートサンプルの表面加工層の厚さを想

    定した。 4. 評価結果

    (1)評価部位の欠陥大きさ,及び残留応力により求めた応力拡大係数分布を図―7,8に示す。 (2)き裂進展深さと時間との関係を図-9,10に示す。下部リング及びシュラウドサポートリング

    に発生したひびは初期には緩やかに進展し,途中で進展量が増加し,その後再び緩やかな

    進展となる。

    添付-12

  • -111-

    評価部位の形状

    初期欠陥の想定

    応力条件の想定 (H6aリング側残留応力分布)(H7aリング側残留応力分布)

    き裂進展速度

    図-1 き裂進展評価手順

    応力拡大係数の算出

    (H6a:円筒全周外周き裂)(H7a:円筒全周内周き裂)

    対象部位のき裂進展量の推定

  • -112-

    -100

    -90

    -80

    -70

    -60

    -50

    -40

    -30

    -20

    -10

    0

    0 100 200 300 400

    応力(MPa)

    止端

    部か

    らの

    距離

    (mm

    )

    ②③

    下部リング

    中間部胴

    原子炉圧力容器側

    (外側)

    炉心側 (内側)

    下部胴

    H6a 溶接部

    H6b 溶接部

    ①~④:図-4に下部リング肉厚(板厚)方向の軸方向残留応力分布を示す。 ①H6a溶接止端部より 4mm下 ②H6a溶接止端部より 8mm下 ③H6a溶接止端部より 12mm下 ④H6a溶接止端部より 27mm下 図-2 軸方向残留応力分布

    (下部リング外表面)

  • -113-

    -50

    -45

    -40

    -35

    -30

    -25

    -20

    -15

    -10

    -5

    0

    0 200 400

    応 力 (MPa)

    溶接

    止端

    部か

    らの

    距離

    (m

    m)

    下部胴

    原子炉圧力容器側

    (外側)

    炉心側 (内側)

    H7a 溶接部

    H7b 溶接部

    シュラウドサポート シリンダ

    シュラウドサポート リング

    ⑤~⑦:図-5にシュラウドサポートリング肉厚(板厚)方向の軸方向残留応力分布を示す。 ⑤H7a溶接止端部より 4mm下 ⑥H7a溶接止端部より 10mm下 ⑦H7a溶接止端部より 20mm下

    図-3 軸方向残留応力分布 (シュラウドサポートリング内表面)

  • -114-

    -400

    -300

    -200

    -100

    0

    100

    200

    300

    400

    0 10 20 30 40 50 60 70

    外表面からの距離 (mm)

    残留

    応力

    (M

    Pa)

    -400

    -300

    -200

    -100

    0

    100

    200

    300

    400

    0 10 20 30 40 50 60 70

    外表面からの距離 (mm)

    残留

    応力

    (M

    Pa)

    -400

    -300

    -200

    -100

    0

    100

    200

    300

    400

    0 10 20 30 40 50 60 70

    外表面からの距離 (mm)

    残留

    応力

    (M

    Pa)

    -400

    -300

    -200

    -100

    0

    100

    200

    300

    400

    0 10 20 30 40 50 60 70

    外表面からの距離 (mm)

    残留

    応力

    (M

    Pa)

    図-4 肉厚(板厚)方向残留応力分布(H6a)

    ①~④:図-2の残留応力分布と同様の位置

  • -115-

    -400

    -300

    -200

    -100

    0

    100

    200

    300

    400

    0 10 20 30 40 50 60 70

    内表面からの距離 (mm)

    残留

    応力

    (M

    Pa)

    -400

    -300

    -200

    -100

    0

    100

    200

    300

    400

    0 10 20 30 40 50 60 70

    内表面からの距離 (mm)

    残留

    応力

    (M

    Pa)

    -400

    -300

    -200

    -100

    0

    100

    200

    300

    400

    0 10 20 30 40 50 60 70

    内表面からの距離 (mm)

    残留

    応力

    (M

    Pa)

    図-5 肉厚(板厚)方向残留応力分布(H7a)

    ⑤~⑦:図-3の残留応力分布と同様の位置

  • -116-

    図-6 低炭素ステンレス鋼の SCC進展データ

    1.0E-09

    1.0E-08

    1.0E-07

    1.0E-06

    1.0E-05

    1 10 100

    K(MPa√m)

    き裂

    進展

    速度

    (mm

    /s)

    低炭素ステンレス鋼

    出典) BWR炉内構造物点検評価ガイドライン[炉心シュラウド] (平成 13年 11月 社団法人火力原子力発電技術協会) に記載のオーステナイト系ステンレス鋼の通常炉内水質環境中の SCC進展評価線図から低炭素ステンレス鋼の線図を抜粋した。

  • -117-

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    0 10 20 30 40 50 60 70

    外表面から板厚方向の位置(mm)

    応力

    拡大

    係数

    K(M

    Pa√

    m)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    0 10 20 30 40 50 60 70

    外表面から板厚方向の位置(mm)

    応力

    拡大

    係数

    K(M

    Pa√

    m)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    0 10 20 30 40 50 60 70

    外表面から板厚方向の位置(mm)

    応力

    拡大

    係数

    K(M

    Pa√

    m)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    0 10 20 30 40 50 60 70

    外表面から板厚方向の位置(mm)

    応力

    拡大

    係数

    K(M

    Pa√

    m)

    図-7 応力拡大係数分布(H6a) ①~④:図-2参照

  • -118-

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    0 10 20 30 40 50 60 70

    内表面から板厚方向の位置(mm)

    応力

    拡大

    係数

    K(M

    Pa√

    m)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    0 10 20 30 40 50 60 70

    内表面から板厚方向の位置(mm)

    応力

    拡大

    係数

    K(M

    Pa√

    m)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    80

    0 10 20 30 40 50 60 70

    内表面から板厚方向の位置(mm)

    応力

    拡大

    係数

    K(M

    Pa√

    m)

    図-8 応力拡大係数分布(H7a)

    ⑤~⑦:図-3参照

  • -119-

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    0 5 10 15 20 25 30

    時間(年)

    き裂

    深さ

    (mm

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    0 5 10 15 20 25 30

    時間(年)

    き裂

    深さ

    (mm

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    0 5 10 15 20 25 30

    時間(年)

    き裂

    深さ

    (mm

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    0 5 10 15 20 25 30

    時間(年)

    き裂

    深さ

    (mm

    図-9 き裂深さと時間の関係(H6a) 円筒全周(外表面)き裂 (初期欠陥 0.3mm深さ)

    ①~④:図-2参照

  • -120-

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    0 5 10 15 20 25 30 35 40

    時間(年)

    き裂

    深さ

    (m

    m)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    0 5 10 15 20 25 30 35 40

    時間(年)

    き裂

    深さ

    (m

    m)

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    0 5 10 15 20 25 30 35 40

    時間(年)

    き裂

    深さ

    (m

    m)

    図-10 き裂深さと時間の関係(H7a) 円筒全周(内表面)き裂 (初期欠陥 0.1mm深さ)

    ⑤~⑦:図-3参照

  • 添付資料-6(1/2)

    〔運転時〕

    〔製造時〕〔製造時〕

    〔応力〕 〔材料〕〔材料〕

    溶 接 機械加工

    下部リング及びサポートリングの極表層がHV300 程度に硬化した。

    溶接部近傍の粒界近傍の 極く狭い領域において、 クロム濃度が減少した。

    粒内型SCCによるき裂が存 在したため、粒界型SCCが 進展した。

    原子炉内の環境はSCCが 発生する可能性のある環境 である。

    材料、応力、環境条件が重畳し、シュラウドサポートリング外表面から数十μm程度の範囲に粒内型SCCが発生。

    下部リング及びサポートリング に300MPa程度の引張り残留応力が発生した。

    〔環境〕

    ひ び の 発 生 及 び 進 展 メ カ ニ ズ ム

    通常、SUS316L材は、この3条件のみで、粒界型SCCが発生する可能性は極めて低い。

    -121-

  • -122-

    ひび割れの方向について

    当該号機のシュラウド下部リングおよびサポートリングのひびは溶接線から

    10mm 程度離れた位置に、溶接線に対して斜めから水平に断続的に生じる周方向の割れ形状がほとんどである。シュラウドサポートリング(H7a)内面から採取したボートサンプルにおけるひび形状を図-1に示す。 これらの割れの発生および進展のメカニズムは以下のように想定される。

    ・ シュラウドリング端面は製造過程の機械加工により硬さが上昇し,SCC発生感受性が高まるが,溶接線近傍は機械加工後の溶接入熱により軟化され,SCC 感受性が低下する。したがって,リング端面の硬化域の中で最も残留応力の高い(溶接線に近い),軟化域との境界近傍が割れ発生の起点となる。

    ・ 溶接線から比較的離れた領域では割れは水平に進展し、溶接線の近傍では軸方向残留応力と比較して周方向残留応力が大きいため,割れは溶接線に対して斜めに進展する傾向がみられる。溶接線近傍の軸方向、周方向残留応力の分布を図-2に示す。

    約46mm

    約32mm 約9mm

    約10mm

    -30

    -25

    -20

    -15

    -10

    -5

    0

    0 200 400 600

    応 力 (MPa)

    溶接

    線か

    らの

    距離

    (m

    m)

    軸方向応力

    周方向応力

    (炉心側) (RPV側)

    下部胴

    シュラウドサポートリング

    H7a

    H7b

    シュラウドサポートリング内表面の

    残留応力分布(K-3 H7a)

    溶接線に沿った割れ (柏崎刈羽原子力発電所3号機

    H7a内面ボートサンプル)

    添付資料-6(2/2)

    図-1 H7aひび形状

    図-2 軸方向、周方向残留応力分布

    シュラウドサポートリング内表面の 残留応力分布

    (柏崎刈羽原子力発電所3号機 H7a)

    (原子炉圧力容器側)

  • -123-

    下部リングの健全性評価 下部リング溶接部(H6a)の必要残存面積を,通商産業省令第 62 号「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」等及び(社)日本電気協会「原子力発電所耐震設計技術指針 重要度分類・許容応力編」(JEAG 4601・補-1984)の考え方に基づいて以下に評価する。また,(社)日本機械学会「原子力発電設備規格 維持規格」による結果を別紙に示す。 1.評価条件 一次一般膜応力評価の規定に基づき定めた評価条件を以下に示す。 (1)運転状態 I,II+S1に対する許容応力強さ:1.5Sm (2)運転状態 I,II+S2に対する許容応力強さ:2/3Su と 2.4Sm の小さい方 (3)き裂:全周均一深さ

    2.荷重条件 運転状態 I,II+S1及び I,II+S2について,建設時の工事計画認可申請書の耐震計算における最大応答値に余裕を考慮して表1に示す荷重条件を設定した。 また,シュラウド内外差圧は,105%出力,105%炉心流量(運転状態 I,II)における差圧解析結果に余裕を考慮して 0.1MPa とした。

    表1 シュラウド H6a 溶接部 荷重条件 鉛直力(kN) 水平力(kN) モーメント(kN・m)

    地震荷重 S1 430 2900 14200 H6a

    地震荷重 S2 420 3600 17600 3.評価モデル 中間胴と下部リングの溶接部(H6a)は,目視点検によりほぼ全周にひびが点在していることを確認しており,全周に均一な深さのき裂を想定した。当該溶接部は、すみ肉溶接部があり強度上期待できるものであるが,ここでは安全側にこれを有効板厚として考慮しないモデル(図1)を作成した。

    tc:残存板厚 Ri:中間胴内周半径=約 2.6m(注) t :中間胴板厚=50.8mm

    図1 評価モデル

    tc

    Ri

    t

    添付資料-7(1/2)

    注:メーカノウハウ を含むため数値 を丸めて記載

  • -124-

    4.評価結果 2.項の荷重条件および3.項の評価モデルで,き裂の進展を考慮した応力強

    さを算出した結果を図2に示す。 一方,運転状態 I,II+S1および I,II+S2に対する許容応力強さは,それぞれ

    以下のようになる。

    許容応力強さ=1.5Sm=142.9 N/mm2 (運転状態 I,II+S1) =2.4Sm=228.7 N/mm2(運転状態 I,II+S2)

    (Sm:設計応力強さ=95.3 N/mm2;SUS316L@297℃, 発電用原子力設備に関する構造等の技術基準(告示第 501号)別表 第2より算出)

    これらより,全周に均一な深さのき裂を想定したモデルにおいて運転状態I,II+S1,運転状態 I,II+S2それぞれに対して,発生応力強さが許容応力強さに達するときのき裂深さに相当する残存面積は表3のとおりとなる。

    表3 下部リング溶接部(H6a) 必要残存面積

    必要残存面積(mm2) 運転状態 I,II+S1 9.5×104 運転状態 I,II+S2 7.3×104

    したがって,下部リング溶接部(H6a)の必要残存面積は 9.5×104mm2となる。

    5.まとめ

    現状の残存面積が 7.1×105mm2(平均き裂深さ 7.3mm相当),5年後の残存面積が 4.6×105mm2(平均き裂深さ 22.0mm相当)と評価されることから,告示第 501 号に基づく必要残存面積を満足しており(図3),強度上の問題はないものと評価される。なお,き裂は深さ約30mmで停留し,この場合においても強度上の問題とはならないものと評価される。

  • -125-

    図2 H6a 溶接部の必要残存面積評価 (図内のき裂深さは,H6a 外表面からの長さである)

    運転状態Ⅰ,Ⅱ+S2

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    350

    400

    450

    500

    0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

    き裂深さ(mm)

    応力

    強さ

    (N

    /m

    m2)

    運転状態Ⅰ,Ⅱ+S1

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    160

    180

    200

    0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

    き裂深さ(mm)

    応力

    強さ

    (N

    /m

    m2)

    許容値:142.9 N/mm2

    必要残存面積:9.5×104mm2

    許容値:228.7 N/mm2

    必要残存面積:7.3×104mm2

    46.3 mm

    45.0 mm

  • -126-

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    0 5 10 15 20 25

    現在からの実運転時間(年)

    き裂

    深さ

    (m

    m)

    円 筒 全 周 (外 表 面 )き(初期欠陥:0 3mm 深

    図3 H6a 全周き裂進展解析結果

    必要残存面積 9.5×104 mm2

    5年後*の残存面積 4.6×105mm2

    現在 4年後

    * プラント稼働率80%を仮定

    ③:添付資料-5 添付-12 図-2参照

    平均き裂深さ:7.3 mm

  • -127-

    下部リングの健全性評価 ((社)日本機械学会 維持規格ベース)

    下部リング溶接部(H6a)の必要残存面積を,(社)日本機械学会「原子力発

    電設備規格 維持規格」の考え方に基づいて以下に評価する。 1.評価条件 (社)日本機械学会 維持規格に基づき定めた評価条件を以下に示す。 (1)流動応力σf=2.7Sm (2)安全率 SF=1.5(運転状態 I,II+S2) (3)き裂:全周均一深さ

    2.荷重条件 荷重条件の最も厳しい運転状態 I,II+S2について,建設時の工認耐震計算書記載の最大応答値にマージンを考慮して表1に示す荷重条件を設定した。 また,シュラウド内外差圧は 105%出力,105%炉心流量(運転状態 I,II)における差圧解析結果にマージンを考慮して 0.1MPaとした。

    表1 下部リング溶接部(H6a)荷重条件

    水平力(kN) モーメント(kN・m) 地震荷重 S2 3600 17600

    3.発生応力 2.項の荷重条件で応力強さを算出したところ,20.8 N/mm2となった。

    4.評価モデル 中間部胴と下部リングの内側には,目視点検によりほぼ全周にひびが点在していることを確認しており,全周に均一な深さのき裂を想定した。当該溶接部はすみ肉溶接部があり強度上期待できるものであるが,ここでは安全側にこれを有効板厚として考慮しないモデル(図1)を作成した。

    評価断面積 A= ( ){ }22 RitcRi −+

    図1 評価モデル

    tc

    Ri

    t

    (別紙)

  • -128-

    ここで, tc:残存板厚 Ri:中間胴内周半径=約 2.6m(注) t :中間胴板厚=50.8 mm

    5.必要残存面積 3.項の発生応力及び4.項の評価モデルより以下の式にて必要残存面積が求まる。

    πS(SF)((Ri+t)2-Ri2)= σf・A

    ここで, S :応力強さ=20.8 N/mm2 SF :安全率=1.5 σf :流動応力=2.7Sm=257.3 N/mm2

    (Sm:設計応力強さ=95.3 N/mm2;SUS316L@297℃,発電用原子力設備に関する構造等の技術基準(告示第501号)別表第2より算出)

    A :評価断面積 以上より,必要残存面積は 1.1×105mm2となる。

    注:メーカノウハウ を含むため数値 を丸めて記載

  • -129-

    シュラウドサポートリングの健全性評価 シュラウドサポートリング溶接部(H7a)の必要残存面積を,通商産業省令第62 号「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」等及び(社)日本電気協会「原子力発電所耐震設計技術指針 重要度分類・許容応力編」(JEAG 4601・補-1984)の考え方に基づいて以下に評価する。また,(社)日本機械学会「原子力発電設備規格 維持規格」による結果を別紙に示す。 1.評価条件 一次一般膜応力評価の規定に基づき定めた評価条件を以下に示す。 (1)運転状態 I,II+S1に対する許容応力強さ:1.5Sm (2)運転状態 I,II+S2に対する許容応力強さ:2/3Su と 2.4Sm の小さい方 (3)き裂:全周均一深さ

    2.荷重条件 運転状態 I,II+S1及び I,II+S2について,建設時の工事計画認可申請書の耐震計算における最大応答値に余裕を考慮して表1に示す荷重条件を設定した。 また,シュラウド内外差圧は,105%出力,105%炉心流量(運転状態 I,II)における差圧解析結果に余裕を考慮して 0.25MPa とした。

    表1 シュラウド H7a 溶接部 荷重条件

    鉛直力(kN) 水平力(kN) モーメント(kN・m) 地震荷重 S1 1200 3600 23000

    H7a 地震荷重 S2 1200 4400 28000

    3.評価モデル 下部胴とシュラウドサポートリングの溶接部(H7a)は,目視点検により,ほぼ全周にひびが断続的に存在していることを確認しており,全周に均一な深さのき裂を想定した。当該溶接部は,すみ肉溶接部があり強度上期待できるものであるが,ここでは安全側にこれを有効板厚として考慮しないモデル(図1)を作成した。

    tc:残存板厚 R0:下部胴外周半径 = 約 2.5m(注) t :下部胴板厚 = 50.8mm

    図1 評価モデル

    tc

    Ro

    t

    添付資料-7(2/2)

    注:メーカノウハウ を含むため数値 を丸めて記載

  • -130-

    4.評価結果

    2.項の荷重条件および3.項の評価モデルで,き裂の進展を考慮した残存板厚における応力強さを算出した結果を図2に示す。

    一方,運転状態 I,II+S1および I,II+S2に対する許容応力強さは,それぞれ

    以下のようになる。

    許容応力強さ=1.5Sm=142.9 N/mm2 (運転状態 I,II+S1) =2.4Sm=228.7 N/mm2(運転状態 I,II+S2)

    (Sm:設計応力強さ=95.3 N/mm2;SUS316L@297℃, 発電用原子力設備に関する構造等の技術基準(告示第 501 号)別表第2より算出)

    これらより,全周に均一な深さのき裂を想定したモデルにおいて運転状態

    I,II+S1,運転状態 I,II+S2それぞれに対して,発生応力強さが許容応力強さに達するときのき裂深さに相当する残存面積は表3のとおりとなる。

    表3 シュラウドサポートリング溶接部(H7a) 必要残存面積

    必要残存面積(mm2) 運転状態 I,II+S1 1.6×105 運転状態 I,II+S2 1.2×105

    したがって,シュラウドサポートリング溶接部(H7a)の必要残存面積は

    1.6×105 mm2となる。 5.まとめ

    シュラウドサポートリングは,下部胴内表面より内側に約 7.8(注)mm オフセットしている(図3)。これを考慮した現状の残存面積が 7.9×105mm2(平均深さ 8.5mm 相当),5年後の残存面積が 3.8×105mm2(平均き裂深さ34.3mm を相当)と評価されることから,告示第 501 号に基づく必要残存面積を満足しており(図4),強度上の問題はないものと評価される。

  • -131-

    図2 H7a 溶接部の必要残存面積評価

    (図内のき裂深さは,H7a 内表面からの長さである)

    運転状態Ⅰ,Ⅱ+S2

    0

    50

    100

    150

    200

    250

    300

    350

    400

    450

    500

    0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

    き裂深さ(mm)

    応力

    強さ

    (N

    /m

    m2)

    運転状態Ⅰ,Ⅱ+S1

    0

    20

    40

    60

    80

    100

    120

    140

    160

    180

    200

    0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

    き裂深さ(mm)

    応力

    強さ

    (N

    /m

    m2)

    許容値:142.9 N/mm2

    必要残存面積:1.2×105 mm2

    必要残存面積:1.6×105 mm2

    許容値:228.7 N/mm2

    43.7 mm

    41.4 mm

  • -132-

    下部胴

    原子炉圧力容器側 (外側)

    炉心側

    (内側)

    H7a溶接部

    H7b 溶接部

    シュラウドサポート シリンダ

    シュラウドサポートリング

    50.8 mm

    約 7.8mm(注)

    図3 シュラウドサポートリング内面詳細

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    70

    0 5 10 15 20 25 30 35 40

    時間(年)

    き裂

    深さ

    (m

    m)

    平均き裂深さ:8.5 mm

    -7.75

    0

    10

    20

    30

    40

    50

    60

    下部胴内表面からのき裂位置(mm)

    図4 H7a 全周き裂進展解析結果

    注:メーカノウハウ を含むため数値 を丸めて記載

    4年後現在現在からの実運転時間(年)

    必要残存面積 1.6×105mm2

    *プラント稼働率 80%を仮定

    ⑥:添付資料-5 添付-12 図-3参照

    5年後*の残存面積 3.8×105mm2

    現在の残存面積 7.9×105mm2

    0 5 10 15 20 25 30

  • -133-

    シュラウドサポートリングの健全性評価 ((社)日本機械学会 維持規格ベース)

    シュラウドサポートリング溶接部(H7a)の必要残存面積を,(社)日本機械学会「原子力発電設備規格 維持規格」の考え方に基づいて以下に評価する。 1.評価条件 (社)日本機械学会 維持規格に基づき定めた評価条件を以下に示す。 (1)流動応力σf=2.7Sm (2)安全率 SF=1.5(運転状態 I,II+S2) (3)き裂:全周均一深さ

    2.荷重条件 荷重条件の最も厳しい運転状態 I,II+S2について,建設時の工認耐震計算書記載の最大応答値にマージンを考慮して表1に示す荷重条件を設定した。 また,シュラウド内外差圧は 105%出力,105%炉心流量(運転状態 I,II)における差圧解析結果にマージンを考慮して 0.1MPaとした。

    表1 シュラウドサポートリング溶接部(H7a)荷重条件 水平力(kN) モーメント(kN・m)

    地震荷重 S2 4400 28000 3.発生応力 2.項の荷重条件で応力強さを算出したところ,35.5 N/mm2となった。 4.評価モデル 下部胴とシュラウドサポートリングの内側には,目視点検によりほぼ全周にひびが断続的に存在していることを確認しており,全周に均一な深さのき裂を想定した。当該溶接部は,すみ肉溶接部があり強度上期待できるものであるが,ここでは安全側にこれを有効板厚として考慮しないモデル(図1)を作成した。

    評価断面積 A= ( ){ }22 tcRoRo −−π

    図1 評価モデル

    tc

    Ro

    t

    (別紙)

  • -134-

    ここで, tc:残存板厚 Ro:下部胴外周半径=約 2.5 m(注) t :下部胴板厚=50.8 mm

    5.必要残存面積 3.項の発生応力及び4.項の評価モデルより以下の式にて必要残存面積が求

    まる。

    πS(SF)(Ro2-(Ro- t) 2)= σf・A

    ここで, S :応力強さ=35.5 N/mm2 SF :安全率=1.5 σf :流動応力=2.7Sm=257.3 N/mm2

    (Sm:設計応力強さ=95.3 N/mm2;SUS316L@297℃,発電用原子力設備に関する構造等の技術基準(告示第501号)別表第2より算出)

    A :評価断面積 以上より,必要残存面積は 1.7×105mm2となる。

    注:メーカノウハウ を含むため数値 を丸めて記載

  • -135-

    添付資料-8

    炉心シュラウドの座屈評価について 炉心シュラウドのような薄肉の円筒構造体では、軸方向に圧縮荷重が加わった場合、あ

    る限界荷重を超えると構造物が不安定になり、急激に横方向に大きな変形が生じる「座屈」

    が発生する場合がある。構造健全性を維持する観点からは係る座屈の発生を防止すること

    が重要である。(図-1)

    このため、炉心シュラウドは軸方向の圧縮荷重がかかった場合、告示 501 号第 96 条に従

    い十分な構造強度を持たせ座屈が発生しないよう設計上の考慮がなされている。

    炉心シュラウド胴部やリング部にひびが存在する場合、ひびの表面を通じて荷重が伝達

    することが期待されるが、念のため、軸方向圧縮荷重が最も大きく座屈荷重に対して最も

    厳しいH7溶接線に対して、保守的に全周に渡りひびの部分に相当する板厚を低減した場

    合の座屈応力解析を実施した。 解析は、炉心シュラウドをモデル化し、有限要素法(FEM)*1により変形挙動を求め、

    2倍勾配法*2を用いて座屈を評価した。

    *1 有限要素法(FEM):複雑な形状を持つ構造物を有限の大きさの多数の領域に分割し、各要素に単純な特性を与えて変形や強度等を解析する方法。

    *2 構造物の座屈強度を求める手法で、対象物の荷重に対する変位の関係をプロット

    して求める弾性勾配を2倍した勾配を剛性低下の基準として用いる。

    図-1:炉心シュラウドの座屈イメージ

    座屈

    地震等による荷重

  • -136-

    その結果、ひびがある個所を減肉させて評価しても、許容残存面積(残存リガメント)が

    10%程度でもS2地震の1.5倍の荷重で座屈は発生せず、十分な余裕があることが分かった。

    (図-2)

    図-2:シュラウド全周き裂の座屈荷重に対する影響(H7a)

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    0 20 40 60 80 100残存リガメント(%)

    座屈

    ・崩壊

    荷重

    /S

    2地

    震荷

    全周き裂

    10

    1.5

  • -137-

    添付資料-9

    炉心シュラウドの流体振動の影響について

    柏崎刈羽3号機の試運転時に実施した流体による振動の試験結果によると、炉心シュラ

    ウドが運転中に受ける変動応力*1は約 0.1 N/mm2 であるとしている。係る変動応力の値は

    高サイクル疲労に対する許容繰返しピーク応力強さ*2約 95 N/mm2*3 に比べて充分小さく、

    またこれは流体振動により炉心シュラウドが共振しないことを示しており、流体振動によ

    る高サイクル疲労は発生しない。炉心シュラウドにひびが存在する場合には、その剛性が

    低下し、固有振動数が低下することになるが、これにより流体振動と共振しないことを確

    認しておく必要がある。解析によれば、H7a溶接部に、全周に板厚の 50%のひびを仮定し

    て転倒モーメントによる炉心シュラウドの剛性*4の変化を評価した結果(図-1,2)、ひ

    びによる剛性の低下は1%以下と十分小さく炉心シュラウドの固有振動数*5の増大も1%未

    満と想定される(構造体の固有振動数は剛性の平方根に比例)ため、流体振動との共振は

    生じないと考えられる。

    上述のようにシュラウドに負荷される流体振動による変動応力が極めて小さいことから、

    この変化が健全性に影響を及ぼすとは考えられない。これは、複数の溶接線にひびが存在

    する場合でも、固有振動数の変動は小さいと考えられることから、健全性に影響を及ぼす

    ことはないと考えられる。 *1:引張から圧縮または 0から引張など交互に値が変動する応力 *2:変動する応力により発生する疲労破壊の許容限界を与える応力 *3:告示 501号別図第 2 許容繰返し回数=1011に相当する許容繰返しピーク応力強さ *4:物体に外力を与えた場合の変形に対する強さ

    *5:物体の剛性から定まる固有の振動値(周波数)

    H7a

    0.E+00

    2.E+05

    4.E+05

    6.E+05

    8.E+05

    1.E+06

    0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

    荷 重 点 変 位

    重 健全

    全 周50%

    剛性低下率 1%以下

    荷重点及び荷重方向

    H7a

    上部格子板位置

    炉心支持板位置 図-1:解析モデルと荷重方向

    図-2:荷重と荷重点変位の関係