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摺動部への材料適用 1.摩擦・摩耗に関する概要 2.対象材料の性状について(PA66 PC3.樹脂材料の摩擦特性と軋み音の関係 4.樹脂材料の摩耗特性について 5.樹脂の極性基と摩耗との関係 1

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摺動部への材料適用

1.摩擦・摩耗に関する概要

2.対象材料の性状について(PA66 PC)

3.樹脂材料の摩擦特性と軋み音の関係

4.樹脂材料の摩耗特性について

5.樹脂の極性基と摩耗との関係

1

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スイッチ等の摺動部において異種材料を使用する理由についての考察

ベース:PA66

可動部:PC

-[NH(CH2)6NH-CO(CH2)4CO]-

O - C - O - - C - - O( )

CH3

CH3

n

SP値:9.8

SP値:12.7PA66

PC

2

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ベース:PA66 可動部:PC 材料設定理由

1)材料物性

2)成形性

3)スティックスリップ対応(異種材料の採用)

4)摩耗対応

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接触する2つの物体の表面における性状

物体の表面:基本的に不安定なため相手材と接触すると

くっついて 安定化しようとする性質がある。

この力は、相手材との相溶性が高いほど強くなる。

相溶性:溶解度パラメータ(SP値)なども1つの尺度。

似たもの同士はよくなじむ。

(例:接着剤と被着材の関係では、SP値が近いとよく接着する。)

くっつきのことを「凝着」と呼ぶ。

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主要材料における摩擦・摺動の概要

ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、フッ素樹脂(PTFE)、ポリエチレン(PE)は摩擦係数が小さく、摺動材料によく使われて

いる。

このうち、PTFEとPEは最表層が相手材に移着、配向し、自身と

の間でツルツル滑ってくれる性質がある。

したがって、1回滑らせたときよりも2回目以降は摩擦係数が小

さくなる。

また、2回目の測定でも、滑らせる向きを変えると1回目と同じ

測定値となる。

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ナイロンの長所・短所

長所

ナイロン全般

耐衝撃性、耐溶剤性、電気特性に優れる。

融点が高く、耐熱性が良い。

自己潤滑性がある。

耐摩耗性に優れる。

機械的強度のバランスが良い。

成形性が良い。

PA6に対し、PA66が優れる点

融点が高い。(PA6:225℃ PA66:265℃)

結晶化度(PA6:20~25% PA66:30~50%)

吸水率がPA6に対し低い。(次頁参照)

耐溶剤性、耐油性(無極性液体)に優れる。

短所

強酸に対する耐性が低い。

無機酸、無機アルカリ、無機塩類

により環境応力割れを生じる。

吸水し易い。(特にPA6,PA66)

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スティックスリップ(stick-slip)現象

プラスチック製の摺動部などにおいて、ベース部と可動部が同一材料

の場合、発生し易い。軋み音を伴う。

実験的に再現させた場合、ベース面上に相手の試験片を置き、更に

試験片上に一定荷重を負荷し試験片を引張る(詳細は後述)。

最初、静摩擦が生じ、次いで動摩擦が生じる。

最初の静摩擦は、引張力がスティック(固着)力を上回ったときに、1回のみ生じる。

動摩擦はスティック(固着)とスリップ(滑り)を繰り返し、軋み音を伴い

発生する。

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スティックスリップを測定するための規格・ASTM

ASTM D 1894Static and Kinetic Coefficients of Friction of Plastic Film and Sheeting

板状の試験片の上にそりを載せて、ひもで

そりと測定器をつないだ状態から試験片を

引張り、そのときの引張力を記録する方法。

そりは、63.5mm×63.5mm×6mm(厚さ)の

金属片をゴムで包んだものとなっており、

その重さは200g(1.96N)と指定している。

試験機が動き始めるときの衝撃を吸収する

ため、スプリングを用いる。

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静摩擦係数・μs

荷重

(N)

変位(mm)

Fs

p

ss F

μs:静摩擦係数

Fs:静摩擦力(N)

FP:すべり片の質量によって

生じる法線力(ex.1.96N)

「バリッ」っという大きな音を発する。

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接線

法線

接線と法線は90°の関係にある。

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動摩擦係数・μD

荷重

(N)

変位(mm)

FD

P

DD F

μD:動摩擦係数

FD:動摩擦力(N)

FP:すべり片の質量によって

生じる法線力(ex.1.96N)

動摩擦係数の測定

静摩擦力のピークを無視し、接触面間の相対ズレ運動を

開始した後から60mmまでの平均荷重が摩擦力FDである。

squeak音(軋み音):

キーキー音やキチキチ音を発する

(人間にとって不快な音)

60mm

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スティックスリップを測定するためのJIS規格JIS K 7125プラスチックーフィルム及びシートー摩擦係数試験方法

定義

摩擦(friction):互いに接触する二つの表面が滑りに対して生じる抵抗

静摩擦と動摩擦に区別される。

静摩擦(static friction):滑り開始時にしきい値を超えるときの摩擦

動摩擦(dynamic friction):与えられた速度で滑り運動が持続する間の摩擦

摩擦力(frictional force):摩擦に打ちかつのに必要な力

法線力(normal force):接触面に垂直に作用する力

摩擦係数(coefficient of friction):接触する二つの面に垂直に作用する法線

力に対する摩擦力の比11

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JIS K 7125 主な条件

摩擦テーブルに対するすべり片の相対速度:100mm/min

滑り片の質量:200g

滑り片の質量によって生じる法線力:1.96N

ロードセル:100N

試験片寸法:80×200mm

滑り片:接触面積40cm2(一片の長さ63mm)

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摩擦に関する古典的法則

1.摩擦力は法線荷重(右図・N)に比例する。

2.摩擦力は見かけの接触面積には依存しない。

3.静止摩擦は動摩擦より大きい。

4.動摩擦力はすべり速度によらず一定。

(1と2はレオナルド・ダ・ウ”ィンチ、3と4はクーロンによって発見)

1の理論を裏付ける式:F=μN F:摩擦力 μ:摩擦係数 N:法線荷重

Θ

F

W N

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摩擦とは?

摩擦とは、個体表面が互いに接しているとき、それらの間に相対運動を

妨げる力(摩擦力)がはたらく現象を云う。

物体が相対的に静止している場合の静止摩擦と、運動を行っている

場合の動摩擦に分けられる。

多くの状況では、摩擦力の強さは接触面の面積や運動速度によらず、

荷重のみで決まる。

この経験則はアモントン・クーロンの法則と呼ばれる。

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摩擦に関する法則 アモントン・クーロンの法則

アモントンの第一法則:摩擦力は加えた荷重に直接比例する。

アモントンの第二法則:摩擦力は見かけの接触面積にはよらない。

クーロンの摩擦法律:動摩擦は滑り速度によらない。

「第四の法則:「静摩擦は動摩擦より大きい」を付け加える場合もある。

古典的な法則と変わらない。

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摩擦の因子

摩擦力は基本的な相互作用ではなく、多くの要因が関わっている。

巨視的な物体間の摩擦は、物体表面の微細な突出部がもう一方の

表面と接することによって起きる。

接触部では、界面凝着、表面粗さ、表面の変形、表面状態(汚れ、

吸着分子層、酸化層)が複合的に作用する。

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ABS部品による軋み音(擦れ音)の発生

対象製品 軋み音発生の状況 相手材料 苦情内容

自動車内装部品

走行時振動により、

部品同士が擦れ合い

発生

同材料、ABS、アクリル、塩ビ、各種

ゴム、ポリエステル、ポリエチレン、フォーム 他

不快、走行の妨げ

オフィス、住宅机の引出し、扉まわり

(作動時)

SUS、アルミ、真鍮部品、ABS樹脂

他快適性、静粛性を損なう

テクノUMG(株)特許抜粋

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ABS部品における軋み音発生メカニズム

部品 位置 現象

自動車のインストルメントパネル

スイッチ勘合または接触部

スティックスリップ現象

による軋み音発生事務机 スライド部

軋み音

静摩擦係数・μsと動摩擦係数下端のμlとの

差・Δμが大きいと発生

μl

Δμ荷重

変位18

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従来対応の内容と発明内容

材料 工法 デメリット

テフロン コーティング

対応が煩雑(手間がかかる)テフロンテープ 貼着

不織布 貼着

シリコーンオイル 塗布高温下、長時間において効果低減

グリース 塗布

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ABS系に内添(配合)した従来方法

配合材料 問題点

シリコーンオイル

1)高温下に長期間置かれた場合、

大巾に効果低減

2)破壊時、延性破壊しないものあり

エポキシ含有オレフィン共重合体

PC/ABS系に有機ケイ素化合物

アルカンスルホネート系(界面活性剤)

カルボキシル基

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対策内容

Main polymer

Interface modifier polymer

ABSに内添 unit function

Main polymer Reduction of the stick-slip behavior

Interface modifier polymer

Good interface performance prevention of bleed out from ABS

商品名(テクノポリマー):HUSHLLOY(ABS)

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ABS材の対策前後のSqueak音レベルの比較

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0123456789

10

0 100 200 300 500

評点

時間(h,at80℃)

ABS HUSHLLOY ブルー:従来材

オレンジ:きしみ音対策グレード

従来材は高温(ここでは80℃)

に放置することにより、添加剤

がブリードアウトし、軋み音発生

に影響を与えているものと判断

する。

評点・10:squeak音最大レベル

評点・0:squeak音なし

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斜面に置かれた物体Aの摩擦に関する公式

F:物体Aが斜面を滑ろうとする力

N:物体Aが斜面を押す力(法線荷重)

W:物体Aに働く重力(Aの荷重)

f:物体Aを斜面に留める力(摩擦力)

F>f のとき物体Aは滑り始める

F=mg sin Θ

N=mg cos Θ

f=μs N

W=mg

m:質量

g:重力加速度(1g=9.80665m/s2)

Θ

F

WN

fμs:静摩擦係数

A

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Θ

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問 題

1.物体が角度20°の斜面に置かれている。

物体の質量が1kgf(9.8N)の場合、F 、 N、 μs

を求めよ。

エクセルでの角度計算

sin20°=sin(radians(20))=0.34202cos20 =cos(radians(20))=0.939693

F=9.8(N)×1×0.34202=3.35(N)N=9.8(N)×1×0.939693=9.21(N)μs=F/N=3.35/9.21=0.364

重力加速度・1g≒9.8m/s2

2.物体が角度45°の斜面に置かれている。

物体の質量が30kgfの場合、F 、 N 、 μs

を求めよ。

sin45°=sin(radians(45))=0.7071cos45 =cos(radians(45))=0.7071

F=30(kgf)×1×0.7071=21.213(kgf)N=30(kgf)×1×0.7071=21.213(kgf)μs=F/N=21.213/21.213=1

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対象物体表面の平滑度と摩擦係数

同じスケートリンクでも整備が行き届いてツルツルの面と、整備が不十分で

ツルツルではない面においては摩擦係数が変わってくる。

⇒摩擦係数は曖昧である。

また、荷重、温度、表面の潤滑状態によっても摩擦係数は変わってくる。

摩擦係数は、同じ物質でも表面の状態によって差が生じることが多い。

但し、材料別における摩擦係数は参考として知っておくことは必要。

合わせて、相手の物質によって摩擦係数が変化することも知っておく。

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プラスチックの摩擦係数

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材料 内訳 静摩擦係数 動摩擦係数

ポリ4フッ化エチレン ナチュラル 0.13 0.09

メラミン樹脂 カーボンブラックガラス充填 0.22 0.06

ユリア樹脂 カーボンガラス充填 0.24 0.13

ポリアセタールホモポリマー・ナチュラル 0.32 0.18

ホモポリマー・カーボンガラス充填 0.32 0.18

ポリエチレン低密度 0.36 0.13

高密度 0.36 0.13

ポリスチレンナチュラル 0.47 0.47

カーボンガラス充填 0.47 0.47

ポリプロピレンナチュラル 0.40 0.37

カーボンガラス充填 0.40 0.37

フェノール樹脂 カーボンガラス充填 0.40 0.38

ポリ塩化ビニルナチュラル 0.41 0.25

カーボンガラス充填 0.41 0.25

メタクリル樹脂ナチュラル 0.50 0.48

カーボンガラス充填 0.50 0.48

ポリカーボネートナチュラル 0.53 0.45

カーボンガラス充填 0.53 0.45

ABS樹脂 ナチュラル 0.57 0.48

ポリアミドナチュラル 0.71 0.08

カーボンガラス充填 0.71 0.08

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摩 耗

種類 モードの説明

アブレシブ摩耗(abrasive wear) 相手材の凸形状で引っ掻かれ、掘り起こされるモード

凝着摩耗(adhesive wear)

真実接触点でのくっつきよりも材料の強度が弱く、材料から引きちぎられるモード

疲労摩耗(fatigue wear) 材料が疲労劣化し、引きちぎられるモード

化学摩耗(corrosive wear)

機械的作用と化学的作用が複合して摩耗が進行するモード

(腐食摩耗、酸化摩耗)

アブレシブ摩耗と凝着摩耗が支配的

27対象材料

相手材料

真実接触点

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アブレシブ摩耗・1

切削

硬質粒子

切削

めり込み

<二元摩耗> <三元摩耗>

相対運動する摩擦面の片方が硬くて面粗度の大きい凹凸の激しい面が、軟らかい面上を滑ることによって起こる摩耗⇒硬い方の面の突起部が軟らかい面に食い込んで、その相対運動によって軟らかい面を切削する形態をとる。

相対運動する二面間に硬い粒子が存在することにより起こる摩耗⇒硬い固形粒子が軟らかい方の面に食い込んで、硬い方の面を削り取って行く形態を取る。

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アブレシブ摩耗・2

abrasive:すりむく、すり減らす、研磨する、研磨材

アブレシブ摩耗

輝面摩耗、引っ掻き摩耗、ざらつき摩耗、凹凸摩耗

研磨材摩耗とも云う。

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凝着摩耗

どんなに平滑な物質でも、ミクロにみると凹凸がある。したがって、本当の

接触面積というのは、見かけの接触面積に比べてはるかに小さい。

実際に接触している面積は、見かけの接触面積の約0.1~1%程度である

と云われている。

したがって、実際に接触しているところ(真実接触点)には極めて高い面圧

がかかっていることになる。

「高い面圧」により、真実接触点では相手材と強固にくっつく性質がある。

真実接触点でのくっつきのことを「凝着」と呼ぶ。

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疲労摩耗

変形により、応力が集中する箇所があると起こりやすい。

例:

・フィラーの凝集塊が存在

・架橋の粗密

・樹脂とフィラー間の相互作用が弱い

・局所的に分子鎖の動きが束縛されている場合

・微笑ボイドや異物の存在などの欠陥がある場合

この様な箇所に応力が集中

⇒ボイドが生成、進展

⇒部材が破断、摩耗が進行

対策

・フィラーの表面処理によるマトリックス樹脂との相互作用の向上

・分子鎖の動きを円滑にするために滑剤や可塑剤の充填

・ボイドや異物の混入をなくす31

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化学摩耗(酸化摩耗)

原因:酸素の影響により劣化し、擦れることによって摩耗する。

対策:酸化劣化を抑制すること。

例:酸化防止剤の添加、酸化劣化しにくい材料の採用

ブタジエンゴム(BR):耐摩耗性に優れる。⇒酸化劣化しにくいゴムである。

天然ゴム(NR):摩耗しやすい。⇒酸化劣化しやすい。

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摩耗量

摩耗体積量=比摩耗量(定数)×荷重×滑り距離摩耗量は上の式から、荷重と滑り距離に比例する。

比摩耗量:材料固有の値であり、摩耗のし易さを表すパラメータである。

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摩耗現象と対応

通常、全ての摩耗モードが同時に生じている。

したがって、どのモードがメインであるかを見つ

けることが重要。

アブレシブ摩耗がメインであれば、材料が掘り起

こされない様に表面を硬くすることが有効となる。

凝着摩耗がメインであれば、真実接触点での

くっつきを防止するために潤滑剤(例:油をさす)

による対応が有効となる。

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吸湿による摩耗の増大

高湿下では樹脂が水分を含んで摩耗しやすくなる。

吸水性樹脂(例:ナイロンなど)では要注意

充填剤なども注意が必要

無機フィラーやガラス繊維では水分が吸着すること

により、摩耗しやすくなる。

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摩耗量の計算式

摩耗体積量=比摩耗量(定数)×荷重×滑り距離

=[定数×{摩擦係数/(硬さ×引張破断強度×破断伸び率}×荷重×滑り距離]

対策

・負荷荷重の低減

・滑り距離の低減

・摩擦係数の小さい材料の採用

・硬さの増大化

・引張特性の増大化(S-Sカーブ面積の大きい材料の採用)

主な対象モード:アブレシブ摩耗

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S-Sカーブ(stress-strain curve)

応力

ひずみ

破断エネルギー

(この面積)

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応力:stress

ひずみ:strain

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充填剤添加による摩耗性向上

熱可塑性樹脂の場合、一般的にはガラス繊維等のフィラー

を添加して硬さや強度を増すことで耐摩耗性の向上を図る。

例えば、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)の場合、摩擦係数は

小さいものの比摩耗量が10-4オーダーと大きく非常に摩耗

しやすいため、フィラーを添加したものが一般的に使われる。

例:フライパンのフッ素コーティング

比摩耗量の単位:mm/(N/mm2・m/s・hr)

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固体潤滑剤の添加による耐摩耗性の向上

熱硬化性樹脂の場合

固体潤滑剤を添加して摩擦係数を下げることで耐摩耗性を改善させる

手法が一般的。

熱可塑性樹脂においては固体潤滑剤を添加した場合、一般的に強度

低下がみられるが、熱硬化性樹脂の場合、強度低下が小さい。

固体潤滑剤には、二硫化モリブデン(MoS2)、PTFE、グラファイトなどが

用いられる。

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ゴムにおける摩耗性向上

カーボンブラックやシリカを配合して硬さや引張強度を増す

ことで、耐摩耗性向上を図る。

平均粒子径の小さいカーボンブラックを配合した方が平均

粒子径の大きいものに比べ、耐摩耗性が向上する。

主鎖に極性基が存在すると、耐摩耗性に優れる。

例:NBR、ウレタンゴム

NBRではアクリロニトリル基(CN基)が極性基である。

系の中でこの割合が大きいほど、耐摩耗性が大きい。

他に引張強さ、硬さ、耐油性、耐熱老化性が向上する。

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摩擦、摩耗は相手材の表面粗さに依存

樹脂材料の摩擦・摩耗は相手材の表面粗さに依存する。

例えば、PTFEなどの多くの樹脂材料では、相手材の表面粗さが

小さいと比摩耗量、摩擦係数ともに大きくなる。

理由:相手材との接触面積が増えるから。

相手材の方が硬く、表面粗さが大きい場合

アブレシブ摩耗モードになるから(引っ掻かれて削れる)。

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相手材の表面粗さの最適値相手材の表面粗さにより、樹脂材料の比摩耗量並びに摩擦係数が

極小値となる最適値が存在する。

材料の種類にもよるが一般的には、およそ最大高さ・Rz:1.0(μm)

算術平均粗さ・Ra:0.2(μm)付近になることが多いと云われている。

Rz:一番高い凸と一番低い凹の高低差

Ra:凹凸の高低差の平均

Rz、Raはレーザー顕微鏡などで測定する。

Ra Rz

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PEの摩擦・摩耗特性

PEの場合は、相手材の表面粗さが小さいと比摩耗量も小さくなるが、

摩擦係数は大きくなる。

超高密度PEは、低い摩擦係数で耐摩耗性にも優れ、シリコンオイル

注入により、更に摩擦摩耗特性が改善される。

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比摩耗量とPV値

樹脂材料は、荷重が高すぎたり摩耗速度が早すぎたりすると摩擦熱

によって接触界面が溶融し、極端に摩耗しやすくなる。

即ち、荷重(Pressure)と摩耗速度(Viscosity)の積であるPV値が、ある

閾(しきい)値を超えると、比摩耗量が変化して摩耗量が極端に増大

する。

PV値とは、摩擦熱量の目安である。

比摩耗量が極端に変化するPV値を限界PV値と云う。

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各種材料のPV値

材料 添加材料 PV値

ポリ4フッ化エチレンナチュラル 60

ガラス繊維入り 420

POM

ナチュラル 600~3600

ガラス繊維入り 5100~9300

フッ素樹脂入り 900~2200

PAナチュラル 260~7600

ガラス繊維入り 760~7620

PCナチュラル 120~1200

フッ素樹脂入り 360~1800

PBT 含油 300~600

PPO 含油 400~1000

フェノール樹脂 含油 600~1500

単位:(kg/cm2・m/min)

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摩耗に関するJIS規格・1

JIS K 7218「プラスチック滑り摩耗試験方法」

角板、円板、または中空円筒の測定対象のプラスチック試験片の質量を測定後、

一定荷重で相手材料の端面に接触させる。

試験片と相手材料のいずれかを回転させることで摩耗試験を行った後、試験片の

温度が室温になってから質量を測定する。

回転させている間の摩擦力をロードセルで測定し、試験前後の質量から摩耗量を

算出する。

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摩耗に関するJIS規格・2

JIS K 7204「プラスチックー摩耗輪による摩耗試験方法」

レコード盤の様な回転台に取り付けられた試験片の上を2個の摩耗輪が

転がり、摩擦が連続的に行われる。

試験片が摩耗し摩耗痕は、環状となる。

試験は、摩耗粉吸引装置で摩耗粉を吸引しながら行われる。

試験前後の試験片の質量差から摩耗質量を求める方法が一般的であるが、

試料表面の状態の観察や光学的な変化を評価する方法も行われる。

テーバー摩耗試験と云われている。

試験実施状況

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軸受寿命の算出

実験上から得られる摩耗計算式は以下となる。

W=K・P・V・T

W:推定摩耗寸法(mm)

K:比摩耗量 {mm/(Nmm2・m/s・hr)}

V:軸受摺動速度(m/s)

T:摩擦時間(hr)

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極性基含有樹脂と摩耗性

ポリウレタンは、主にエステル系ポリウレタン(AU)とエーテル系ポリウレタン(EU)の2種類があり、いずれも他のポリマーに比べ非常に高い耐摩耗性を示す。

そのため、靴底、ベルト、ロールなどに多用されている。

この理由としては、主鎖中にイソシアネートと水酸基の反応で生じるウレタン結合

(-NH・CO・O-)の他、原料残基のエーテル基やエステル基などの極性基を多く含み、

これらの極性基の水素結合による分子間凝集力が強く働くためである。

以下には、参考のために極性基あるいは凝集力に関する資料を付す。

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溶解パラメータ(Solubility Parameter)と凝集エネルギー

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溶解パラメータは分子間力の強さを表すため、単位体積当たりの蒸発エネルギーの平方根という

定義のもと、1919年Hildebrandによって提案された。

分子間力:分子を凝集させる相互作用

溶解パラメータ(SP値):1cm3の液体が蒸発するために必要な熱量を蒸発熱の平方根 {(cal/cm3)0.5}と定義している。

プラスチックやゴムのSP値の決定:SP値既知の液体に浸漬し、その膨潤度から決定している。

極性基を保有しない炭化水素系では350~1180(cal/mol)であるのに対し、極性基を持つグループ

では5000~10500(cal/mol)と大きい値となっている(下表参照)。

COCl 5,000

'-CN 6,100HCON 6,600

CON 7,050

'-CONH 8,000

'-CONH2 10,000

HCONH 10,500

>C< 350

'-CH< 820

H2C- 1,030

'-CH= 1,030

'-CH3 1,125

'-CH2- 1,180

炭化水素系

(単位:cal/mol)極性基を保有する

結合基

(単位:cal/mol)

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樹脂におけるSP値と極性基の関係

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SP値 極性 摩擦特性 摩耗特性 接着性

8以下 無極性摩擦係数の小さい材料が多い(PTFEなど)

摩耗しやすい材料が多い

(PTFEなど)接着性に乏しい

10以上 高極性 摩擦係数の大きい材料が多い 摩耗しにくい材料が多い 接着しやすい

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ゴム・プラスチックの溶解パラメータ

単位:(cal/cm3)0.5

ゴム&プラスチック 理論値 ゴム&プラスチック 理論値

ポリ4ふっ化エチレン 6.2 ポリ塩化ビニル 9.5ポリテトラフルオロエチレン 6.2 クロロエチレン 9.5-9.7フッ素ゴム 7.3 メラミン樹脂 9.6シリコーンゴム 7.3-7.6 ユリア樹脂 9.6ポリイソブチレン 7.1-8.3 ニトリルゴム 9.2-9.6ブチルゴム 7.3-7.8 エポキシ樹脂 9.7塩化ビニルモノマー 7.8 ポリアリレート 9.7ポリプロピレン 7.8 ポリカーボネート 9.8ポリエチレン 7.9 ポリウレタン 10EPDM 7.9 ニトロセルロース 10.1天然ゴム 7.9-8.3 NBR N=39% 10.3ポリブタジエン 8.1 エチルセルロース 10.3イソプレンゴム 8.1 塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 10.4スチレン・ブタジエンゴム 8.1-8.5 フェノール樹脂 10.7クロロスルホン化ポリエチレン 8.1-9.8 ポリメタクリレート樹脂 10.7ポリフェニレンエーテル 8.6 ポリエチレンテレフタレート 10.7ポリスチレン 8.6 ポリスルホン 10.7NBR N=25% 8.9 飽和ポリエステル(テトロン) 10.7塩素化ポリエチレン 9 セルロースジアセテート 10.9クロロプレンゴム 9.4 酢酸セルロース 10.9ポリメチルメタクリレート 9.2 ポリオキシメチレン 11.0 ポリメタクリル酸メチル 9.1-9.5 ポリ塩化ビニリデン 12.2NBR N=30% 9.4 ナイロン 12.7ポリ酢酸ビニル 9.4 AS樹脂 12.8アクリルゴム 9.4 ポリアクリロニトリル 15.0 ABS 9.4 ポリビニルアルコール 23.4

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