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機能障害を理解して 機能障害を理解して 「安全な生活提供をするためには 機能障害の理解を深める事から」 特別養護老人ホーム 梓の里 特別養護老人ホーム 梓の里 歴史の街・下田 A様について 年齢 71歳 性別 身長 176㎝ 体重 67kg 病名 脳出血・高血圧・前立肥大症 既往歴 H18/67歳‥脳梗塞(軽) 大腸ポリープ H20/69歳‥脳出血 後遺症として ・左上下肢麻痺・高次脳機能障害が残存 日常生活動作 食事‥自立(見守り) 排泄‥全介助 日中トイレ(リハビリパンツ) (オムツ) 更衣‥全介助 移動‥一部介助 普通型車椅子の自操 (狭い場所の介助必要とする) 移乗‥一部介助 (摑まり立ちするがバランスを 崩しやすい) 入浴‥全介助 (中間浴) 整容‥口腔ケア (自分で磨くが磨き残し確認必要) 精神面 認知症状‥健忘 銘記力障害 意思疎通‥ほぼ可能 行動障害‥昼夜逆転

機能障害を理解して 特別養護老人ホーム...Microsoft PowerPoint - Ppt0000001[読み取り専用] Author ggb Created Date 8/7/2012 2:37:30 PM

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Page 1: 機能障害を理解して 特別養護老人ホーム...Microsoft PowerPoint - Ppt0000001[読み取り専用] Author ggb Created Date 8/7/2012 2:37:30 PM

機能障害を理解して機能障害を理解して

 「安全な生活提供をするためには    機能障害の理解を深める事から」

特別養護老人ホーム

                      梓の里

    特別養護老人ホーム   梓の里

海・山・花     歴史の街・下田

 A様について  年齢  71歳   性別  男  身長  176㎝  体重   67kg  病名  脳出血・高血圧・前立肥大症 既往歴  H18/67歳‥脳梗塞(軽)                 大腸ポリープ         H20/69歳‥脳出血

                後遺症として   ・左上下肢麻痺・高次脳機能障害が残存                     

        日常生活動作

 食事‥自立(見守り)

 排泄‥全介助   日中トイレ(リハビリパンツ)

               夜 間  (オムツ)

 更衣‥全介助  

 移動‥一部介助  普通型車椅子の自操

               (狭い場所の介助必要とする)

 移乗‥一部介助  (摑まり立ちするがバランスを

                          崩しやすい)

 入浴‥全介助  (中間浴)

 整容‥口腔ケア (自分で磨くが磨き残し確認必要)

          精神面 

  認知症状‥健忘         銘記力障害  意思疎通‥ほぼ可能  行動障害‥昼夜逆転                           

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         発生した事故内容

     車椅子ごと  車椅子から

   転倒     ずり落ち

      ベット

      から

     ずり落ち

         主な原因として

                        

            ブレーキ操作を                      

          覚えられない

   姿勢保持が            フットガードから

   出来ないまま          麻痺側が落ちた

     自操する             まま自操する

フットレストに麻痺側の   フットレストに下肢を下肢をのせたまま立ち     乗せたまま、落ちて上がろうとする。         いる物を拾おうとする。                   

訴え時は   常に行動を  下肢が適切

待たす事の   見守る   に装着され

ないように         ているか  

姿勢保持の         状態によって

声掛けを          は椅子に座っ

多くする          て頂く 

         主な予防策として

        姿勢を保持する為に

 薄いクッションから座面前側の高い厚手のクッションを購入し、臀部への負担を和らげる。

 脱げやすかった靴から足にフイットする靴を購入する。

下肢の重みに耐えられるフットガードを購入し、麻痺足の引きずり、巻き込みを無くしていく。

 座面の広い車椅子から施設の普通型車椅子に変更し

 後方に倒れないようにする。

座面の広い車椅子      普通型車椅子に姿勢保持できない為     変更し姿勢の保持後方へ倒れてしまう      を確保する    

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 「なんで解ってくれないの?」

 

   A様         スタッフ   

無視・反抗的   イライラ・口調きつい

              

                

     危険行為多くなる                

    実は…そうだったの?

  「高次脳機能障害」

      

 障害の理解がない中で

     対応している。      

    「高次脳機能障害」ってわかりますか?

3%

73%

24%

知っている

聞いた事がる知らなかった

        き のう しょう  がい     機  能  障   害

きのう の しょうがい

 昨日 の  障害?

    高次脳機能障害     

  高次(程度や水準の高い)の

        脳の

      機能障害*高次脳という脳の部位と思われがち

   「高次脳機能障害の実態」                     ~高次の脳機能の障害~

「高次脳機能障害とは?」

 病気や事故などの様々な原因で脳が損傷されたために、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などに障害が起きた状態。

 これに起因して、日常生活・社会生活への適応が困難となる障害である。

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     「高次脳機能障害の主な症状」

◆記憶障害‥90%

   ◆注意障害‥82%

    ◆遂行障害‥75%

    ◆対人関係が

      うまくいかない‥55%

 ◆感情コントロール障害‥44%

    厚生労働省の高次脳機能障害支援モデル事業報告書より

            

        ◆記憶障害

・比較的に古い事は覚えているが、新しい事が覚えられない。

・日付け曜日、時間や自分のいる場所がわからない。

・行動した事をすぐ忘れ又同じ事を繰り返す。

 物を置き忘れいつも何かしら探している。

*危険である事を伝えても、すぐに同じ危険行為を繰り返す。

        ◆注意障害(半側空間無視を含む)

・長時間一つの事に集中できない。

・周囲の状況を判断せずに、行動を起こそうとする。

・言われている事に興味を示さない。

・片側にある物だけを見落とす。

*車椅子自操の際、他のご利用者の足を踏み

  そうになる危険行為に繋がる。

      予防策は出来ていますか?

70%

27%

3%

常に出来ている

時々できている

出来ていない

    障害に対して理解できましたか?

82%

18%

0%

理解出来た

何となく出来た

まだ理解できない

   A様日常生活における対応策の評価と結論

①食事

 毎食椅子での食事にした事で

 身体(臀部)への負担が軽減さ

 れ、美味しく落着きのある食事

 となっている。

②排泄

 食後のトイレに向かわれた時は

 即対応とし、待たせる事をしない。

 すぐ対応できない場合は納得で

 きる説明 をしている事で、危険

 な自操が無くなった。

         

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離床

 サロンのレイアウトを検討、出入り口

 を変え、過ごしやすい環境にした事

 で他ご利用者とのトラブルもなく安全

 な生活を送られている。

移動

 自操する中で、他ご利用者との接触

 を避ける為、込み合っている中では

 一部介助をしている事で、危険な自

 操が無くなった。

 

⑤見守り

 車椅子上での姿勢保持とフット

 ガードに下肢が適切に装着され

 ているかの確認を常に見守る事

 で、ズリ落ちや麻痺側の巻き込

 み等の危険が無くなった。

⑦コミュニケーション

 「~ですので~して頂けますか?」

 と必ず事前に説明を入れた声掛け

 を実施した事で快く応じて下さるよ

 うになり、反攻的な行為から繋がっ

 ていた危険行為が無くなった。

   

            下田港にて釣りを楽しむ       

     勉強会は参考になりましたか?

          知らなかった事を       勉強会をした     知る事が出来て    事で対応が      良かった。        楽になった。 

 精神的に余裕      

 がもてるように

  なった。                               

          結論として

 この事例を通して解った事が「障害を理解されてない ままの対応」となっていた事が転倒やずり落ちの原因 に繋がっていたという事です。勉強会を行った事で知 識を得「理解」する事が、ご利用者への安全で安心で きる生活に繋がり、その「気づき」の大切さを知る事が できました。  今後も何らかの障害を持ったご利用者の入所が増え るかと思われますが、入所時の資料に目を通すだけ でなくその方の障害についてもっと深く知り、どのよう にご利用者に向き合っていけば良いのかをスタッフ全 員で検討していく事が必要であると思いました。