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2012/8/28
慈恵ICU勉強会
研修医2年 宮島真希子
JAMA, June 13, 2012 Vol 307, No22
可及的速やかに抗生物質を投与。敗血症および敗血症性ショックの認知後1時間以内に広域抗生物質を投与:可能性のある細菌・真菌に対し有効で、想定される感染巣への移行が良いものを1剤以上
最大限効果が出るように、耐性化を防ぎ、副作用を回避し、コストを最小化するために抗生物質の処方を毎日見直す
Pseudomonas検出もしくは疑われる場合は併用療法を考慮する
好中球減少症には併用療法による経験的治療を考慮する
Surviving Sepsis Campaign
3~5日以上の併用療法は望ましくなく、感受性が判明次第最適な単剤療法に変更するべきである
抗生物質療法は一般的には7~10日を推奨する:反応が鈍い場合や、感染巣がドレナージできない場合、好中球減少を伴う免疫不全状態にある患者では、より長く治療することが適切かもしれない
原因が非感染性であることが判明したら、抗生物質療法は中止
Surviving Sepsis Campaign
背景(1)
グラム陰性桿菌の菌血症に対して 2つのRCTと15のコホート研究
をまとめたメタ解析
⇒緑膿菌感染に対して抗菌薬併用療法が望ましいことを示唆する
背景(2)
3か国の多施設、大規模研究で 4600人の敗血症性ショック患者が登録され、
単剤療法と併用療法の比較
⇒併用療法が単剤療法に比較して生存率を改善する可能性
背景 βラクタム系単剤と比べてアミノグリコシド系併用は
敗血症性ショック患者では生存率を改善する (メタ解析)
βラクタム系単剤とアミノグリコシド系併用を比較するとRCTに限れば生存率は変わらなかった (システマティックレビュー)
A survival benefit of combination antibiotic therapy for serious infections associated with sepsis and septic shock is contingent only on the risk of death
Critical care Medicine 2010 Vol. 38, No. 8
Beta lactam antibiotic monotherapy versus beta lactamaminoglycoside antibiotic combination therapy for sepsis
Cochrane Database Systematic Review 2009 Jan 25;(1)
目的
重症敗血症/敗血症性ショック患者に対する初期治療での
Meropenem + Moxifloxacin併用
と
Meropenem単剤
で効果を比較する
β -ラクタム系 ニューキノロン系
方法(1) 【必要登録患者】
平均SOFAが1.1点の差がつくように計画され、
α エラー 0.05、検出力 90%となるようにサンプル数 600人の患者登録が必要。
【組み入れ基準】
重症敗血症/敗血症性ショックの発症から24時間以内
【除外基準】
4週間以内にカルバペネムもしくはキノロン治療歴がある
48時間以内にβ ラクタム治療歴がある
MRSAもしくはVRE感染
IEなど他の抗菌薬が推奨される疾患
方法(2) 【ランダム化】
臨床試験センターの作成したインターネット上のランダム化ツールを用いて施設ごとに行われた。
単剤群と併用群に割り付け、割り付け後はオープンラベルで投与された。
【データ収集】
臨床症状・培養・血液検査を治療前、治療終了時、21日目もしくはICU退室時に採取
方法(3) 【primary outcome】
臓器障害の重症度としてSOFA scoreを使用し、
14日間の平均を測定
【secondary outcome】
28日と90日の死亡率、SOFA subscoreの平均、ICUと病院滞在期間、臨床的と微生物学的な治療反応、呼吸器・昇圧剤・透析・抗菌薬の介入がない日、二次感染率、耐性菌、副作用
薬剤投与
併用群:meropenem(1g 8hr毎)
+moxifloxacin(400mg 24hr毎)
単剤群: meropenem(1g 8hr毎)
Pseudomonas群が検出された患者は感受性のある2剤による治療に変更
対象患者
・ドイツ 1か国 ・44施設 ・2007年~2010年
患者背景
感染部位および感染源
薬剤投与期間
併用群: meropenem(1g 8hr毎)
+moxifloxacin(400mg 24hr毎)
単剤群: meropenem(1g 8hr毎)
併用群 Meropenem Moxifloxacin 単剤群
投与期間 8日 7日 8日
総投与量 18g 2.8g 19g
投与までの時間 0.7hr 0.8hr
Primary outcome
outcome All patients Meropenem
alone
Moxifloxacin and
Meropenem P value
SOFA score 8.1 7.9 8.3 0.36
Secondary outcome
全生存率
併用群 単剤群 P value
28日死亡 66名(23.9%) 59名(21.9%) 0.58
90日死亡 96名(35.3%) 84名(32.1%) 0.43
Sur
viva
l R
ate(%
)
まとめ
本研究では600人がランダム化されたが、551人が解析に回った
Primary outcomeであるSOFA scoreに両群で有意差はなかった
Secondary outcomeでは、呼吸器のSOFA subscoreおよびMeropenemへの耐性率に有意差がみられた
薬剤投与までに要した時間、投与期間、総投与量に差はなかった
Limitation 本研究では原因菌として肺炎球菌が一般的な疫学と比較して少なかった (4.5%)
⇒患者を市中肺炎による重症敗血症/敗血症
性ショックとした場合、併用療法が効果的で
ある可能性
腸内細菌群ではMeropenem耐性が少なかった
⇒2剤併用の有効性が示せなかった可能性。
多剤耐性菌が高率に存在する環境では、併用
療法は効果的であるかもしれない
Discussion Moxifloxacinを選んだ理由
Outcomeには適切な抗菌薬使用のみではなく、治療介入までの時間が重要
単剤投与群で高いカルバペネム耐性率
・市中感染症を起こす病原菌で、特に連鎖球菌やブドウ球菌などのグラム陽性球菌に対して、典型的な菌よりもさらにカバーを広げることができる ・腹腔内感染を起こす菌に対する2重のカバーが可能
・即効性がある殺菌性の抗菌薬であり、抗炎症作用があるとされる
結語
重症敗血症および敗血症性ショックでは
MeropenemとMoxifloxacinの併用療法はMeropenem単剤投与
と比較して臓器障害を減らさなかった