54
東村山市下水道プラン2009 東 村 山 市 (空堀川) (前川) 安全で良好な 水環境を目指して

東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

東村山市下水道プラン2009

東 村 山 市

(空堀川)

(前川)

安全で良好な 水環境を目指して

Page 2: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

~安全で良好な水環境を目指して~

当市の公共下水道汚水整備事業は、昭和50年度から着手し、平成7年度

末には汚水整備が100%を達成しました。下水道管きょの総延長は、平成

20年度末において約380kmに達しています。

これまで下水道事業は、河川の水質の改善や公衆衛生の向上と生活環境の

改善を目的として整備が進められてきました。

一方、これからの時代は、人口の減少や厳しさを増す財政状況、地球環境

問題等を踏まえて、下水道の機能を将来にわたって維持させることが必要に

なっております。

このように、下水道は新たな転換期を迎えており、今後の方向性を見据え

た取組みが求められていることから、今後における下水道事業の課題につい

て整理するとともに、「安全で良好な水環境を目指して」をキーワードに課

題解決に向けた取組みの方向性を市民の皆様に明らかにするとともに、その

実現に向けての取組みを示した「東村山市下水道プラン2009」を策定い

たしました。

下水道は、環境を守る、快適なくらしをつくる等の社会的な役割が大きく

且つ多岐にわたっております。

今後、施設の維持管理費の増加、多額の起債償還額等により経営は厳

しい状況となっておりますが、これからも、本プランを基に事業の継続

性を確保するため、経費削減やコストの縮減、適正な事業執行を図り、

快適で住みよいまちづくりに努めてまいりたいと考えております。

平成 22 年2月

東村山市長

渡部 尚

Page 3: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

-目 次-

第1章 下水道プラン2009とは............................................................................................................................1

1.1 計画策定の趣旨.........................................................................................................................................1

1.2 計画の位置付け.........................................................................................................................................2

1.3 計画期間 .......................................................................................................................................................3

第2章 東村山市の下水道の今............................................................................................................................4

2.1 下水道事業のあゆみ ...............................................................................................................................4

2.2 下水道事業の概要....................................................................................................................................5

2.3 現状と課題................................................................................................................................................. 10

第3章 今後の下水道事業における基本方針............................................................................................. 29

3.1 基本理念 .................................................................................................................................................... 29

3.2 基本方針 .................................................................................................................................................... 30

第4章 今後の施策................................................................................................................................................. 32

4.1 施策の体系および展開方針............................................................................................................... 32

4.2 事業計画 .................................................................................................................................................... 46

第5章 下水道プラン2009の進め方について............................................................................................ 48

写真の表紙は、「大好き東村山市写真コンクール」に応募された作品です。

「大好き東村山市写真コンクール」とは、毎年、東村山市内の風景やお気に入りの場所、

楽しい催しや出来事など、東村山らしさを表現した写真をご応募頂き、入選作品を発表して

います。

Page 4: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第1章 下水道プラン2009とは

1.1 計画策定の趣旨

- 1 -

11..11 計計画画策策定定のの趣趣旨旨

本市は、戦後、戸建ての住宅地が開発されるとともに、都営住宅等の公的住宅の建設

が進められ、高度経済成長を背景に、人口は急速に増加し、都心近郊の住宅地として発

展してきました。

その間、本市では、ごみ処理施設をはじめ、学校、図書館、公民館、スポーツセンタ

ー等、公共施設の建設の他、公共下水道※等の生活基盤づくりを進めてきました。

その中でも、公共下水道事業については、市政の重点施策と位置付け、昭和 50 年度

に事業認可を取得、事業着手し、昭和 54 年度の供用開始を経て、平成7年度末には、

市全域の汚水整備を完了し、市民の生活環境の改善や公共用水域※の水質改善等に寄与

してきました。

現在は、雨水整備を重点に進めており、市内で発生する浸水の軽減に向けて努力をし

ているところです。

今後は、現在行っている雨水事業の他、管きょの効率的な維持管理や合流式下水道※

の改善、地震対策等の課題があり、限られた財源の中で下水道事業をいかに効率的、効

果的に行っていくかが重要となっています。また、事業実施にあたっては、中・長期的

な視点に立って計画を策定していく必要があります。

そのため、本市の下水道事業を取り巻く環境を踏まえ、今後の本市の下水道事業のあ

り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン 2009』を

策定するものです。

※【公共下水道】 主として市街地における下水を排除し、又は処理するために地方公共団体が管理する下水道。

※【事業認可】 下水道施設の配置や構造、能力等を定める5年から 10 年程度の事業計画を定め、都道府県知事等の認

可を受ける手続き(下水道法第4条第1項に規定)。

※【公共用水域】 河川、湖沼、港湾、沿岸海域、その他公共の用に供される水域、およびこれに接続する公共溝きょ、かん

がい(灌漑)用水路、その他公共の用に供される水路のこと。

※【合流式下水道】 汚水と雨水を同一の管きょで排除し処理する方式。雨天時に流入水量が一定量を越えると、雨水で希釈さ

れた未処理汚水の一部が公共用水域に放流されることが課題となっている。

第1章 下水道プラン2009とは

Page 5: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第1章 下水道プラン2009とは

1.2 計画の位置付け

- 2 -

11..22 計計画画のの位位置置付付けけ

本計画は、本市の最上位計画である「東村山市総合計画※」と整合を図るとともに、

その他の各種関連計画、取り組み並びに関東甲信地方における下水道の方向性を示す

「関東甲信地方下水道中期ビジョン※」や本市の公共下水道計画における上位計画であ

る「多摩川・荒川等流域別下水道総合計画※」等を踏まえたものとします。

なお、本計画は、本市の下水道における基本方針や施策の方向性について示すもので、

今後、下水道事業を展開する上での基本となるものです。

図 1-1 計画の位置付け

※【東村山市総合計画】 まちづくりの基本理念や将来都市像、目指すべき施策の方向性を示す「基本構想」、将来

都市像を実現するための施策を体系化した「基本計画」、基本計画で体系化された施策を

具体的な事業で示す「実施計画」の3つで構成された本市の行政上の最上位計画である。

現在、第3次総合計画(平成8年度から平成 22 年度)によるが、平成 23 年度からは、第4

次総合計画に基づく。

※【関東甲信地方下水道中期ビジョン】 国土交通省関東地方整備局と管内の1都8県4政令都市で、関東甲信地方の下水道の現

状や課題、下水道の果たすべき役割と目指すべき方向、重点的に取り組む施策等、関東

甲信地方の下水道の将来像について取りまとめたもの。

(http://www.ktr.mlit.go.jp/kyoku/city_park/business/town/drainage/vision.htm)

※【流域別下水道整備総合計画】 公共用水域の水質環境基準の達成維持に必要な下水道の整備を最も効果的に実施する

ための個別の下水道計画の上位計画で、都道府県が策定する総合的な基本計画。

総合計画(基本構想)

環境基本計画 都市計画マスタープラン

緑の基本計画

地域防災計画 一般廃棄物処理基本計画

東村山市下水道プラン2009

総合計画(基本計画) 総合計画(実施計画)

その他計画

関東甲信地方 下水道中期ビジョン

多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画

Page 6: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第1章 下水道プラン2009とは

1.3 計画期間

- 3 -

11..33 計計画画期期間間

本計画は、長期的な視点を踏まえて、今後の事業のあり方を検討しています。計画策

定期間は、平成 22 年度を初年度とし、5年間を短期計画、10 年間を中期計画、20 年間

を長期計画として示します。

図 1-2 計画期間

【東村山市下水道プラン2009】の計画期間

H22 H42

計画策定

H20 H27

(5年後) 短期計画

計画期間(20 年間)

H32

(10 年後)中期計画

(20 年後)長期計画

Page 7: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第2章 東村山市の下水道の今

2.1 下水道事業のあゆみ

- 4 -

22..11 下下水水道道事事業業ののああゆゆみみ

本市の公共下水道事業については、流域関連公共下水道※として、昭和 50 年度に、事

業着手し、平成7年度に汚水整備は完了しました。

雨水事業(分流式下水道※)については、平成8年度に事業着手し、現在、全体計画

面積 1,696ha に対して、約 744ha の事業認可を取得し、事業を推進しているところです。

なお、近年では、一部区域の汚水を圧送※していた秋津汚水中継ポンプ場を廃止し、

管きょを新たに建設することで、動力を要しない自然流下※方式に切替え、電力費等の

維持管理費削減に対する取り組みを行いました。

表 2-1 東村山市下水道事業のあゆみ

年 月 主 な 沿 革

昭和

都市下水路の計画

市内を4排水区に 39 4 南部幹線の計画決定 40 12 北多摩1号計画決定 49 5 公共下水道の都市計画決定※ 49 9 秋津処理場計画の廃止 51 2 荒川右岸東京流域関連当初事業認可(分流式)

公共下水道工事着手(荒川右岸東京流域下水道) 51 4 下水道事業特別会計に 52 3 多摩川左岸北多摩 1 号流域関連事業認可(合流式)

北多摩 1 号流域下水道着手 54 2 東村山市下水道条例公布 9 公共下水道供用開始(萩山町・合流式) 10 秋津ポンプ場事業認可

58 3 公共下水道供用開始(秋津町・分流式) 58 5 秋津ポンプ場供用開始 62 1 普及率が50%を越える

平成 5 9 黒目川流域雨水幹線事業認可(東京都) 7 3 黒目川流域雨水幹線着手 8 3 汚水事業完成 8 10 雨水事業に着手 19 3 秋津汚水中継ポンプ場の廃止

※【流域関連公共下水道】 2以上の市町村の下水道を排除する都道府県が設置・管理する流域下水道に接続する下水道

で、市町村が設置・管理するもの。

※【分流式下水道】 汚水と雨水を別々の管きょで排除する方式。

※【圧送】 ポンプ設備により下水を輸送すること。

※【自然流下】 管きょ勾配や水面勾配(高低差)を利用して下水を輸送すること。

※【都市計画決定】 都市計画法の規定により、下水道施設(公共下水道、流域下水道、都市下水路)の名称、位置、

区域および排水区域を都市計画に定めること。

第 2章 東村山市の下水道の今

Page 8: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を
Page 9: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.2 下水道事業の概要

- 6 -

一方、荒川右岸東京流域下水道荒川右岸処理区については、本市の大部分の他、東大和

市、清瀬市、東久留米市、西東京市の大部分、武蔵野市、小金井市、小平市、武蔵村山市

の一部の汚水を収集し、清瀬市内に設置された東京都の清瀬水再生センターで処理し、柳

瀬川に放流されます。各水再生センターの概要を図 2-2 に示します。

出典:東京都HP

図 2-2(1) 北多摩一号水再生センター

出典:東京都HP

図 2-2(2) 清瀬水再生センター

運転開始 昭和 48 年6月

敷地面積 136,346m2

処理能力 271,000m3/日

放流先 多摩川

関連市 府中市・国分寺市・立川市・

小金井市・小平市・東村山市

計画面積 5,123ha

運転開始 昭和 56 年 11 月

敷地面積 213,012m2

処理能力 383,450m3/日

放流先 柳瀬川

関連市 東村山市・東大和市・清瀬市・東

久留米市・西東京市・武蔵野市・

小金井市・小平市・武蔵村山市

計画面積 7,884ha

Page 10: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第2章 東村山市の下水道の今

2.2 下水道事業の概要

- 7 -

本市の汚水事業の概要を表 2-2 に、処理区域と送水先を図 2-3 に示します。昭和 50 年

度に事業着手、その後、平成7年度には面整備が完了し、現在は、市全域での水洗化が可

能となっています。

表 2-2 公共下水道(汚水)整備の概要

項 目 多摩川流域

北多摩一号処理区関連

荒川右岸東京流域

荒川右岸処理区関連 計

供用開始 昭和 54 年度 昭和 57 年度 -

排除方式 合流式 分流式 -

全体計画(H36) 45.5 1,650.5 1,696

事業計画(H22) 45.5 1,650.5 1,696 面積

(ha) 整備済み 45.5 1,650.5 1,696

全体計画(H36) 3,300 134,700 138,000 人口

(人) 事業計画(H22) 3,900 149,700 153,600

送水先(放流先) 北多摩一号水再生センター

(多摩川)

清瀬水再生センター

(柳瀬川) -

参考.全体計画については、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画による(H21 同意)

事業計画については、平成 19 年度事業認可取得値

なお、事業計画については、多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画の改定に合わせて

平成 22 年度に変更予定である。

図 2-3 処理区域と送水先(汚水)

清瀬水再生センターへ

清瀬水再生センターへ

荒川右岸東京流域下水道

東久留米幹線

荒川右岸東京流域下水道

柳瀬幹線

荒川右岸東京流域下水道

東大和幹線

北多摩一号水再生センターへ

多摩川流域下水道

北多摩一号処理区関連(合流)

45.5ha

荒川右岸東京流域下水道

荒川右岸処理区関連(分流)

1,650.5ha

Page 11: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.2 下水道事業の概要

- 8 -

(2)雨水事業

多摩川流域下水道北多摩一号処理区関連の 45.5ha については、合流式で整備されてお

り、合流管きょで収集された雨水は多摩川に排水しています。残りの 1,650.5ha の荒川右

岸東京流域下水道荒川右岸処理区関連については、分流式下水道として、雨水管きょの整

備を進めており、それぞれ、柳瀬川(北川・前川含む)、空堀川および黒目川に排水する

計画としています。

なお、柳瀬川(北川・前川含む)および空堀川流域は、公共下水道管きょにより、黒目

川流域については、東京都の雨水流域下水道※の幹線※を経て河川へ排水されます。

本市の雨水事業の概要を表 2-3 に、排水区域と排水先を図 2-4 に示します。

計画対象面積のうち、平成 20 年度末の整備面積は約 101ha となっています。

表 2-3 公共下水道(雨水)整備の概要

参考.事業計画については、平成 19 年度事業認可取得値

柳瀬川(北川・前川含む)排水系統:19 排水区※ 652.0ha(うち、事業計画 201.66ha)

空堀川排水系統:8排水区 791.9ha(うち、事業計画 370.22ha)

黒目川排水系統:5排水分区※ 206.6ha(うち、事業計画 172.20ha)

なお、黒目川排水系統については、荒川右岸東京流域下水道(黒目川排水区)として整備

※【雨水流域下水道】 公共下水道により排除される雨水のみを受けて、これを河川その他の公共の水域又は海域に放流する

ために地方公共団体が管理する下水道で、2以上の市町村の区域における雨水を排除するものであり、

かつ、当該雨水の流量を調整するための施設を有するもの(下水道法第2条第4号ロに規定)。

※【幹線】 下水排除施設の骨格をなす管路。

※【排水区】 雨水排水区域を地形等を考慮して排水系統別に分割した区域で、通常、河川や海へ排水する吐口単位

に設定される。

※【排水分区】 雨水流域下水道幹線に、排水(接続)する区域で、流域下水道幹線への接続箇所単位に設定される。

項 目 全体計画面積

(ha)

事業計画面積

(ha)

(H22)

整備済み面積

(ha)

(H20 年度末現在)

備 考

北多摩一号処理区関連 45.5 - 45.5 合流式

荒川右岸処理区関連 1,650.5 744.08 55.15 分流式

Page 12: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.2 下水道事業の概要

- 9 -

図 2-4 排水区域と排水先(雨水)

多摩川へ

多摩川流域下水道

北多摩一号処理区関連(合流)

45.5ha

荒川右岸東京流域下水道

荒川右岸処理区関連(分流)

1,650.5ha

空堀川

柳瀬川

北川

前川

荒川右岸東京流域下水道

黒目川雨水幹線

荒川右岸東京流域下水道

出水川雨水幹線

黒目川へ

黒目川へ

事業認可区域 744.08ha

柳瀬川(北川・前川)排水系統

652.0ha(うち、事業認可 201.66ha)

空堀川排水系統

791.9ha(うち、事業認可 370.22ha)

黒目川排水系統

206.6ha(うち、事業認可 172.20ha)

Page 13: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第2章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 10 -

22..33 現現状状とと課課題題

(1)下水道(汚水)の普及

本市は、市内全域の生活排水処理を公共下水道として実施しており、市全域において水洗化

が可能となっています。

図 2-5 に示すように、下水道処理人口普及率※は、全国平均が約 73%であるのに対して、本

市は 100%の普及を実現している状況にありますが、表 2-4 に下水道処理人口普及率および水

洗化率※の推移を示すように、未だに下水道へすべての人が接続しているわけではなく、平成

21 年4月1日現在で浄化槽※やくみ取りで処理している下水道への未接続世帯が 1,039 世帯、

人口で 2,321 人存在します。なお、本市の下水道水洗化率は 98.5%となっています。

72.7

100 98

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

東村山市 多摩地域 全国平均

下水道処理人口普及率(%)

参考.多摩地域:東京都HP

全国平均 日本下水道協会HP

注.平成 20 年度末現在

図 2-5 下水道処理人口普及率の比較

※【下水道処理人口普及率】 行政区域内の総人口に占める処理区域内の人口の比率。

※【水洗化率】 処理区域内人口のうち、下水道へ接続し、汚水処理している人口の比率。

※【浄化槽】 し尿またはし尿と生活雑排水を微生物の働きにより、浄化する装置。

現 状

Page 14: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第2章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 11 -

表 2-4 下水道処理人口普及率および水洗化率の推移

普及率(%)

水洗化率(%)

うち浄化槽

うち汲み取り

S54 117,714 1,900 1.6 1,465 1.2 116,249 38,401S55 118,278 5,660 4.8 3,274 2.8 115,004 38,210S56 118,641 5,676 4.8 4,413 3.7 114,228 38,227S57 119,136 11,656 9.8 5,317 4.5 113,819 38,359S58 119,509 21,912 18.3 7,778 6.5 111,731 38,052S59 121,188 31,051 25.6 15,072 12.4 106,116 36,442S60 124,130 39,238 31.7 22,657 18.3 101,473 35,093S61 127,655 55,161 43.4 29,196 22.9 98,459 34,404S62 128,530 66,708 52.1 40,867 31.8 87,663 30,961S63 130,850 78,090 60.0 51,697 39.5 79,153 28,438H1 132,308 84,794 64.4 60,150 45.5 72,158 26,306H2 133,902 94,941 71.3 66,874 49.9 67,028 24,952H3 134,992 102,891 76.8 75,824 56.2 59,168 22,364H4 135,707 110,200 81.8 84,306 62.1 51,401 19,746H5 136,251 119,958 88.8 91,800 67.4 44,451 17,298H6 136,095 124,869 91.8 99,468 73.1 36,627 14,381H7 135,630 135,630 100.0 105,858 78.0 29,772 11,852H8 136,086 136,086 100.0 113,632 83.5 22,454 9,041H9 137,886 137,886 100.0 117,340 85.1 20,546 8,314H10 138,224 138,224 100.0 118,596 85.8 19,628 7,940H11 140,117 140,117 100.0 124,704 89.0 15,413 6,285 4,757 1,528H12 141,953 141,953 100.0 128,041 90.2 13,912 5,714 4,208 1,506H13 142,744 142,744 100.0 135,921 95.2 6,823 2,845 2,316 529H14 142,942 142,942 100.0 136,778 95.7 6,164 2,593 2,104 489H15 143,680 143,680 100.0 138,202 96.2 5,478 2,328 1,856 472H16 145,350 145,350 100.0 140,688 96.8 4,662 2,001 1,546 455H17 146,357 146,357 100.0 142,358 97.3 3,999 1,734 1,301 433H18 146,824 146,824 100.0 143,490 97.7 3,334 1,458 1,064 394H19 147,515 147,515 100.0 144,745 98.1 2,770 1,221 890 336H20 148,940 148,940 100.0 146,364 98.3 2,576 1,144 822 322H21 150,709 150,709 100.0 148,388 98.5 2,321 1,039 753 286

処理区域内人口(人)

行政人口(人)年度 未接続世帯(世帯)

未接続人口(人)

備考水洗化人口(人)

市内には、河川や用水路等の市民が水にふれあう場が多くあります。下水道の整備は、それ

ら公共用水域の水質改善に寄与してきました。近年における市内の河川の水質状況(BOD※)

をみると、概ね環境基準値※を下回っている状況にあります。

写真 2-1 空堀川 川まつりの様子 写真 2-2 野火止用水

※【BOD】 生物化学的酸素要求量(Biochemical Oxygen Demand)の略。水の汚濁状態を示す一つの指標で、水中の微生物

が有機物を分解するときに消費する酸素量で表す。この値が大きいほど、水の汚濁度が高いことを示す。

※【環境基準値】 大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染および騒音に係る人の健康を保護し、また、生活環境を保全するうえで維

持されることが望ましい基準。

Page 15: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 12 -

表 2-5 市内河川水質状況

BOD mg/L

平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度北川 瀧見橋北 - - 2.0 1.8 2.9 1.2

日向橋 1.9 2.2 2.9 4.8 4.1 1.2堺橋 3.1 3.2 3.0 2.4 3.9 1.3善行橋 2.3 2.0 2.6 3.0 3.7 1.0前川合流点前 2.4 1.6 3.0 2.3 2.8 1.5

前川 3.7 2.9 2.6 2.8 2.8 2.22.8 2.9 1.7 2.0 3.2 1.33.0 3.9 3.5 2.6 3.6 1.32.1 2.6 1.4 2.1 2.3 1.32.9 3.6 2.1 2.4 4.5 1.6

出水川 4.8 2.4 2.7 2.9 3.5 1.54.5 3.2 7.8 1.5 - -5.9 1.7 3.3 10.3 13.0 -

野火止用水路 1.9 2.0 1.8 2.3 1.4 1.4空堀川 5.3 4.9 6.9 2.5 4.1 1.5

3.5 2.1 2.7 2.0 1.5 1.2

小川橋北川合流点前

赤坂橋

測定年

丸山橋(中流)大沼田橋(下流)

測定地点河川名

新青梅街道下大岱公園北柳泉園上運動公園北

水路橋弁天橋

注1.市測定河川における結果

注2.空堀川以外は、年間2回測定の平均値、空堀川は年間4回測定の平均値である (空堀川大沼田橋の平成 16 年

度は年間1回、平成 20 年度は年間2回、出水川大岱公園北の平成 18 年度は、年間1回の測定値)。

0.01.02.03.04.05.06.07.08.09.0

10.011.012.013.014.015.016.017.018.019.020.0

平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度

年度

水質

(B

OD

mg/L)

瀧見橋北 日向橋

堺橋 善行橋

前川合流点前 赤坂橋

水路橋 弁天橋

小川橋 北川合流点前

新青梅街道下 大岱公園北

柳泉園上 運動公園北

丸山橋(中流) 大沼田橋(下流)

環境基準(河川の保全上の目標 E類型) 10mg/L

注1.環境基準値は、柳瀬川、空堀川における類型指定によるもの。

注2.通常、環境基準値との比較は、75%水質値(年間の日間平均値の全データをその値が小さいものから順に並べた

0.75×n番目[nは日間平均値のデータ数]のデータ値)とするが、ここでは、空堀川以外は、年間2回測定の平均

値、空堀川は年間4回測定の平均値としている(空堀川大沼田橋の平成 16 年度および出水川大岱公園北の平成 18 年

度については、年間1回の測定値)。

注3.一般的に魚がすめる河川水質は、BOD5mg/L 以下と言われている。

図 2-6 市内河川水質状況

Page 16: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第2章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 13 -

◆下水道への接続率向上

本市は、全域を下水道計画区域としており、整備された区域においては、下水道への接続義

務があります。

市内には下水道整備が完了して期間が経った現在でも下水道へ未接続となっている家庭、事

業所があり、特に単独浄化槽※およびくみ取りにより汚水処理を行っている場合については、生

活雑排水が未処理のまま公共用水域へ流出しているという問題があります。これらの家屋、事

業所については、市民の生活環境の改善や公共用水域のさらなる水質改善の観点から、早急に

下水道へ接続してもらう必要があります。

本市では、未接続家屋、事業所に対して戸別訪問による接続のお願いをしてきておりますが、

下水道への接続率 100%を目指して、これからも継続的な接続促進に向けた取り組みが必要と

なっています。

◆普及から維持管理への転換

本市の下水道(汚水)は、全域の整備が完了していることより、これからは整備した膨大な

施設をできるだけ長く使用できるよう、適切な維持管理を行っていくことが必要となります。

※【単独浄化槽】 台所、浴室排水等の雑排水を混入させずに水洗便所からの汚水のみを処理する浄化槽。

課 題

Page 17: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第2章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 14 -

(2)雨水整備の取り組み

降雨による浸水被害は、市民の財産に被害を及ぼすだけではなく、生命の危険を脅かす場合

があります。

本市の浸水被害については、空堀川の河川改修により空堀川近傍においては概ね解消され

たものの、河川の流下能力が小さい前川や河川周辺低地部および雨水整備が遅れている地

区での浸水被害が多くみられます。

図 2-7 主な浸水区域図

(久米川町二丁目付近) (諏訪町一丁目) (諏訪町一丁目)

写真 2-3 本市での浸水実績状況(平成 13 年8月 21,22 日)

現 状

Page 18: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 15 -

東村山市の雨水整備については、平成8年度に整備を開始し、時間 大降雨 50mm/hr の雨を

排除することができる施設の整備を進めてきています。整備にあたっては、幹線整備および既

設排水路を活用した主要枝線整備を行っており、平成 20 年度末の下水道(雨水)整備面積は約

101ha となっています。

なお、雨水の放流先である河川の改修状況(整備水準)により、下水道からの放流量につい

ては制限を受けている状況にあります。

また、近年では局地的な集中豪雨の増加や都市化の進展による浸透地域の減少(雨水流出量

の増大)も浸水被害の一因として挙げられます。

降 雨

地下浸透 表面流出

蒸 発

下水道

降 雨

蒸 発

表面流出

地下浸透

出典:関東甲信地方下水道中期ビジョン

図 2-8 都市化の進展による雨水流出量の増大のイメージ

0.1 0.10.10.10.20.30.6

1.01.5

11.112.513.816.818.319.521.3

29.2

34.6

2.42.52.83.13.94.25.48.59.2

33.5

40.545.1 43.9 45.9 47.0 49.1 50.7 51.8

21.220.8

27.632.1 31.7 33.0 34.2 34.2 34.6

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17

年度

割合

(%

水田

山林

宅地

その他

参考.市民部課税課資料

図 2-9 土地利用の変化

自然的土地利用割合が

減少(浸透域が減少)

=雨水流出量が増大

都市化

Page 19: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 16 -

◆雨水管きょの継続整備

本市には、まだ多くの雨水管きょの整備が必要な区域が残っています。雨水管きょの整備に

は、長い期間と多額の事業費が必要となることから、効率的に浸水被害の軽減が図れるよう優

先順位を考慮した整備が必要となります。

◆河川改修の遅れ

下水道(雨水)の放流先である河川については、下水道の整備目標と同等の時間最大降雨

50mm/hr 対応への改修を今後進めていきます。

下水道(雨水)の整備を進めるとともに、浸水被害の軽減を効果的に実現するために河川管

理者に河川改修について要望していく必要があります。

◆雨水流出抑制※の必要性

雨水管きょの整備には、長期間を要すること、また、土地利用状況の変化による区域内の浸

透域の減少も浸水の一因と考えられることから、公共施設および事業所への貯留浸透施設の設

置を進めるとともに、一般家庭での浸透施設の設置についても推進し、雨水の流出を抑制する

必要があります。

◆市民の自助※努力による被害軽減

自治体で行うハード対策※等の取り組みだけでは限界があると考えられます。自治体(公助

※)と市民(自助)が一体となった浸水対策による浸水被害の軽減を目指す必要があります。

※【雨水流出抑制】 雨水を地下に浸透させる施設(雨水浸透ます、浸透トレンチ等)、雨水貯留施設又はこれらを組み合わせた施設

により河川または下水道へ流出する雨水を抑制すること。

※【自助】 住民もしくは施設管理者等が自身の責任において被害を軽減するために行う行動。浸水に対する自助としては、

止水板や土のうの設置、避難活動等をいう。

※【ハード対策】 管路施設の整備や貯留浸透施設の設置等、構造物による対策。

※【公助】 自治体等の公的機関による公的支援。

課 題

Page 20: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 17 -

(3)地震対策の取り組み

地震により下水道施設が被害を受けると、トイレが使えないだけではなく、水再生センター

からの未処理水の流出やマンホールからの汚水溢水、管きょの破損による道路陥没等、都市機

能面や公衆衛生、公共用水域の水質保全の観点から甚大な影響を受けることが想定されます。

兵庫県南部地震、新潟県中越地震や新潟県中越沖地震等においては、下水道施設も甚大な被

害が報告されています。

(管路破損による道路陥没) (液状化※によるマンホール浮上)

出典:下水道地震対策技術検討委員会報告書 国土交通省都市整備局下水道部 HP

写真 2-4 新潟県中越地震における被害状況

本市の下水道(汚水)については、平成 7 年度に整備が完了しており、兵庫県南部地震を受

けて平成9年度に規定された下水道施設の耐震設計基準に適合していない管きょがほとんどで、

十分な地震対策が実施されているとは言えない状況です。

東村山市地域防災計画※では、多摩直下型地震(マグニチュード※7.2)を想定した予測では、

本市における震度を6弱としており、下水道施設にも被害が生じることが考えられます。

なお、本市においては、災害に備えて、他自治体との支援体制を整えており、新潟県柏崎市等

と「災害時等の相互応援に関する協定」を締結しています。

※【液状化】 地震の際に地下水位の高い砂地盤が震動により液体状になる現象のこと。これにより比重の大きい構

造物が埋もれ、倒れたり、地中の比重の軽い構造物が浮き上がったりする。

※【東村山市地域防災計画】 災害対策基本法(昭和 36 年法律第 223 号)および東村山市防災会議条例に基づき、市域における震

災および風水害に係る災害予防、災害応急対策及び復旧対策を実施することにより、市民の生命、身

体および財産を災害から保護することを目的した計画。

※【マグニチュード】 地震が発するエネルギーの大きさを表した指標値。

現 状

Page 21: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 18 -

出典:東京における直下地震の被害想定に関する調査報告書

図 2-10 多摩直下型地震(M7.2)における震度分布予測

◆重要な幹線等※の耐震化

すべての下水道施設の耐震化には、長い期間と多額の事業費が必要となることから、緊急輸

送路※に埋設している管きょや避難所に通じる管きょ等の重要度、緊急度の高い施設から優先的

に耐震化を進める必要があります。

◆効率的な地震対策の推進

本市においては、平成 21 年度に「下水道総合地震対策計画※」を策定し、今後、その計画に

従い、「防災」「減災」を組み合わせた総合的な地震対策を進めていく予定としています。

また、今後は、管きょの老朽化が進むことも想定されることから、老朽化対策時に合わせて

耐震化を図る等、効率的な対策を実施していく必要があります。

※【重要な幹線等】 重要な幹線等の定義は以下のとおり。①河川・軌道等を横断している管路②緊急輸送路に埋設して

いる管路③防災拠点等の避難所からの排水を受ける管路④下水を流下収集させる機能面からみて

システムとして重要な管路等。

※【緊急輸送路】 災害発生時における被災者の避難、および被災者の生活を確保する物資輸送のために指定された

道路。

※【下水道総合地震対策計画】 重要な下水道施設の耐震化を図る「防災」と被災を想定して被害の 小化を図る「減災」を組み合わ

せた総合的な地震対策事業(下水道総合地震対策事業)を実施するために対策内容、スケジュール

等を定めた計画。

課 題

Page 22: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 19 -

(4)合流式下水道の改善に対する取り組み

合流式下水道は、雨水および汚水を速やかに排除し、生活環境の改善と浸水対策を同時に進

める手法として有効ですが、雨天時に下水の処理能力を超えると希釈された汚水の一部が公共

用水域へ流出するという問題があります。

国の方針において、合流式下水道の改善については、重要施策の一つとなっており、平成 16

年 4 月には、下水道法施行令※が改正され、平成 25 年度までに雨天時の放流水質の基準を満足

する対策と放流水中のきょう雑物※を減らす対策を行うことを義務付けています。

出典:新・合流改善クイックプラン 東京都

図 2-11 合流式下水道のしくみと雨天時の吐き口からの流出状況例

※【下水道法施行令】 下水道法に定められた法律を施行するのに必要な規定をまとめて制定したもの。

※【きょう雑物】 下水に含まれる固形物(ビニールや落葉のほか、台所のゴミやトイレットペーパー等)。

※【オイルボール】 油等の成分が下水管を流れている間に変形して白いかたまりとなったもの。

現 状

流出物の例(オイルボール※)

(晴天時) (雨天時)

Page 23: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 20 -

本市は、古くから整備が始められた北多摩一号処理区に属する萩山処理分区が合流式で整備

されています。本市内に雨天時に未処理汚水が放流される吐き口※はありませんが、流域下水道

を構成する下流市での雨天時未処理放流があることから、本市としても下水排出者の一員とし

ての責任を果たす必要があります。

本市においては、雨水浸透による雨天時の流出負荷の削減を図っており、現在も鋭意、浸透

施設の設置に取り組んでいます。

図 2-12 合流式下水道改善対策区域図

◆合流式下水道改善からの放流汚濁負荷量の削減

平成 25 年度までに、合流式下水道改善対策を完了する必要があります。本市では、「合流式

下水道緊急改善計画※」に従い、改善目標の早期実現のための取り組みを着実に進める必要があ

ります。

※【吐き口】 下水道施設から公共用水域に放流する放流口の施設。

※【合流式下水道緊急改善計画】 合流式下水道の改善(合流式下水道緊急改善事業)について、法令で定められた期限内に対策

を完了するための対策内容、スケジュール等を定めた計画。

合流式下水道改善対策対象区域 北多摩一号処理区関連(合流)

45.5ha

課 題

Page 24: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 21 -

(5)下水道施設の維持管理

一旦整備した下水道施設は、その機能が停止しないように、適切な維持管理を行い、また、

施設の延命化や改築更新※によりその機能を維持しなければなりません。なお、管きょの破損や

老朽化については、下水道機能の低下のみならず、道路陥没等の二次的被害を及ぼすことも懸

念されます。特に管きょ布設後 30 年を越えると道路陥没箇所が増える傾向にあると言われてい

ます。

出典:国土交通省HP

図 2-13 管路施設に起因した道路陥没被害状況と経過年数による道路陥没箇所数

※【改築更新】 下水道施設の全部または一部を再建設したり取り替えを行うこと。

現 状

Page 25: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第2章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 22 -

本市における管きょ(汚水)の整備完了までの整備延長の推移から、布設からの経過年数を

みると、布設後 30 年以上経過している管きょが約 16km、25 年以上が約 88km、20 年以上となる

と約 219km となっています。

本市においては、毎年数件程度の道路陥没が報告されている状況でもあることから、現在、

布設が古い地区から順次、管きょ内部のTVカメラ調査※を実施しています。

-

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7

年度

単年度延長(m)

-

50

100

150

200

250

300

350

400

累計延長(km)

単年度延長

累計延長

参考.東村山市の公共下水道事業概要 平成8年度

注.経過年数による延長は、平成 21 年度末を基準とした場合

図 2-14 汚水管きょの整備延長

また、本市では、管きょの他にポンプ施設を有しています。ポンプ施設については、電力費等、

毎年において維持管理に費用を要することから、平成 18 年度に秋津汚水中継ポンプ場を廃止し、

維持管理費削減に対する取り組み(管きょを新たに建設し、動力を要しない自然流下方式への切

替え)を行いました。現在、本市で有するポンプ施設は、マンホールポンプ※等の小規模ポンプ

施設9箇所となっています。

※【TVカメラ調査】 管きょの中にTVカメラを挿入し、管きょ内の状況を把握する調査。

※【マンホールポンプ】 マンホール内に設置した水中ポンプにより揚水して排除する施設。

30 年以上経過

約 16km

25 年以上経過

約 88km

20 年以上経過

約 219km

Page 26: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 23 -

写真 2-5 維持管理費削減の取り組み(秋津汚水中継ポンプ場の廃止)

◆道路陥没等の事故の未然防止

本市の管きょは布設から 30 年以上を経過したものも増えてきたことから、管きょの老朽化に

伴う道路陥没等の増加が懸念されます。今後は、継続的、定期的な管きょ内の点検調査が必要

となります。

◆膨大な施設ストック※に対する維持管理

本市の下水道は、昭和 50 年から 20 年間で集中的に整備を進めたため、今後、一気に膨大な

施設が更新時期を迎えます。今後は耐用年数※によらない、施設の長寿命化※を念頭においた計

画的な調査および改築更新が必要となります。

※【施設ストック】 整備済みの施設(有する資産)。

※【耐用年数】 構造物や機器等が、その使用目的を達することができなくなるまでの年数。一般的に下水道管きょの標準的耐用

年数は 50 年と言われている。

※【長寿命化】 適切な維持管理、予防保全的な管理を行うことで、下水道施設の耐用年数を延ばし、施設の改築更新費用を縮減

すること。

課 題

Page 27: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 24 -

(6)その他水環境に対する取り組み

本市は、多くの湧水※を有しており、また、河川の他、野火止用水等、市民が水とふれあえる

環境が多くあります。本市では、これらの水環境の保全の観点からも浸透施設の設置について

取り組んでいます。

また、雨水を有効な資源として捉え、雨水貯留利用施設「天かえる」を市内の市民農園や小

学校等に設置し、活用しています。

(秋津公園) (弁天池公園)

写真 2-6 市内にある湧水の例

写真 2-7 恩多野火止水車苑

※【湧水】 地下水が地表に湧き出てきたもののこと。

※【天かえる】 樽に雨水を貯めて晴天時に散水等に利用する施設(本市の取り組み)。次ページ参照。

現 状

Page 28: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 25 -

写真 2-8 雨水貯留利用施設「天かえる」

◆湧水量、河川流量の減少

近年、湧水の枯渇や湧水量、晴天時の河川流量の減少が言われており、これら湧水や河川等

の水環境に対する保全が必要となっています。

浸透施設の設置を推進し、下水道の管きょで雨水のすべてを排除するのではなく、できるだ

け地下に染み込ませることにより、本来の健全な水循環の姿に近づけていく必要があります。

◆雨水の資源利用の促進

本市は「天かえる」事業として、雨水貯留利用施設を市民農園や小学校等に設置しています。

これら施設の継続的な有効活用を図るとともに、学校教育等での水資源の大切さを学ぶ契機と

し、市民に雨水の資源利用についての普及を図っていく必要があります。

課 題

Page 29: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第2章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 26 -

(7)下水道経営

下水道の整備は、長い期間と多額の建設費を必要とします。また、下水道を継続的に使用す

るためには維持管理に費用がかかります。下水道事業においては、市民からの下水道使用料や

受益者負担金※の収入等を財源に充てて実施されますが、その他、国や都からの補助金、一般会

計※からの繰入金、地方債※が充てられています。

近年の社会情勢のもと、平成 20 年度(3か年の平均値)の財政力指数※は 0.875(多摩 21 位

/26 市)と、周辺と比較しても本市の財政状況は厳しい状況にあります。本市では、経営改善

の努力として、職員の削減や一部業務の外部委託化等の取り組みを行っています。

図 2-15 過年度における歳入・歳出の推移

※【受益者負担金】 事業の実施により著しい利益を受ける者に対して、事業費の一部を負担させるもの。

※【一般会計】 特定の事業に限定される特別会計に属さない財政を包括的に経理する会計のこと。福祉や教育等国民・住民に

広く行われる事業における歳入・歳出の会計である。下水道事業は特別会計に属する。

※【地方債】 地方公共団体が資金調達のために借り入れることによる債務。

※【財政力指数】 地方公共団体の財政力を示す指標として用いられるもので、基準財政収入額(標準的に見込まれるであろう税等

の収入額)を基準財政需要額(一定の水準のサービスを行うために必要な経費)で除した数値。1を越えるほど財

政力が豊かといえる。

現 状

歳 入

歳 出

0

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

7,000,000

8,000,000

9,000,000

10,000,000

昭和50年度

昭和51年度

昭和52年度

昭和53年度

昭和54年度

昭和55年度

昭和56年度

昭和57年度

昭和58年度

昭和59年度

昭和60年度

昭和61年度

昭和62年度

昭和63年度

平成元年度

平成2年度

平成3年度

平成4年度

平成5年度

平成6年度

平成7年度

平成8年度

平成9年度

平成10年度

平成11年度

平成12年度

平成13年度

平成14年度

平成15年度

平成16年度

平成17年度

平成18年度

平成19年度

平成20年度

年度

歳入(千円)

その他

一般会計繰入金

地方債

国庫・都補助金

下水道使用料

下水道受益者負担金

H7年度汚水概成

0

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

7,000,000

8,000,000

9,000,000

10,000,000

昭和50年度

昭和51年度

昭和52年度

昭和53年度

昭和54年度

昭和55年度

昭和56年度

昭和57年度

昭和58年度

昭和59年度

昭和60年度

昭和61年度

昭和62年度

昭和63年度

平成元年度

平成2年度

平成3年度

平成4年度

平成5年度

平成6年度

平成7年度

平成8年度

平成9年度

平成10年度

平成11年度

平成12年度

平成13年度

平成14年度

平成15年度

平成16年度

平成17年度

平成18年度

平成19年度

平成20年度

年度

歳出(千円)

下水道事業建設積立金

地方債償還金

建設改良費

維持管理費

H7年度汚水概成

Page 30: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第2章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 27 -

現在の下水道事業の決算状況をみると、当初の汚水整備時に借り入れた地方債の償還額が大

きく、全歳出の7割以上を占める状況にあります。

過年度事業に対する地方債償還の見込みをみると、ピークは超えたものの、今後数年間は、

現在と同程度の償還が必要とされます。

維持管理費1,108,411千円【22.47%】

建設改良費155,648千円【3.16%】

地方債償還金(元金・利子) 3,669,020千円【74.38%】

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

歳出合計 4,933,079千円

下水道使用料収入2,034,555千円【41.10%】

国庫・都補助金2,019千円【004%】

地方債 1,763,500千円【35.63%】

一般会計繰入金1,088,263千円【21.99%】

その他 61,355千円【1.24%】0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

1

歳入合計 4,949,692千円

注.割合(%)は、小数第3位まで算出した値の四捨五入値

図 2-16 平成 20 年度決算の内訳

-

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

5,500

6,000

H17年度

H18年度

H19年度

H20年度

H21年度

H22年度

H23年度

H24年度

H25年度

H26年度

H27年度

H28年度

H29年度

H30年度

H31年度

H32年度

H33年度

H34年度

H35年度

H36年度

H37年度

H38年度

H39年度

H40年度

H41年度

H42年度

H43年度

H44年度

H45年度

H46年度

H47年度

H48年度

H49年度

H50年度

H51年度

H52年度

H53年度

H54年度

H55年度

H56年度

H57年度

年度

(百万円)

利子

元金

実績 計画

過年度事業に対する起債償還終了(H50年度)

図 2-17 過年度事業における今後の地方債償還見込み

Page 31: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第 2 章 東村山市の下水道の今

2.3 現状と課題

- 28 -

◆今後の事業に対する事業費の確保

本市においては、雨水事業や地震対策、さらに、管きょの老朽化に伴う改築更新事業等、今

後も一定の事業費(財源)を確保する必要があります。

なお、今後の事業については、財政上の見通しを立てた上で、事業に優先順位をつけ平準化※

を図っていく必要があります。

◆下水道経営の健全化

地方債の償還については、低利率への借り換えや将来にわたっての平準化の取り組みを行っ

ているものの、過年度事業に対する地方債の償還額が大きい今後数年間は、下水道事業会計と

して厳しい状況が続くものと予想されます。また、将来的な人口減少、近年の節水意識の向上

等、下水道の使用量も減少すると想定され、今後の下水道使用料金の増加は望めない状況にあ

ることから、収入面でも厳しい状況にあります。

今後も継続的に下水道事業を実施するためには、下水道経営のさらなる健全化を図る必要が

あります。

※【平準化】 偏りをなくし、均等に配分すること。

課 題

Page 32: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第3章 今後の下水道事業における基本方針

3.1 基本理念

- 29 -

33..11 基基本本理理念念

下水道は前章で示すような様々な課題を有しています。言い換えれば、それらの課題を克服す

ることで、下水道として市民生活等への貢献が可能となります。

下水道の役割としては、これまで都市における生活環境の改善や公共用水域の水質保全、浸水

の防除等、一定の効果を発揮してきましたが、今後は、従来の浸水被害の軽減の他、地震被害の

軽減や管きょの老朽化に伴う道路陥没の未然防止等、下水道として災害や事故に強いまちづくり

を目指す必要があります。また、従来の生活環境や公共用水域での水質保全の他、健全な水循環

を創出することにより、快適で潤いのあるまち、環境にやさしいまちづくりに貢献できるものと

考えます。

以上を、踏まえて、本プランの基本理念を『安全で良好な水環境を目指して』とします。

なお、今後の下水道事業は、少子高齢化や、産業構造の変化等の社会情勢の変化、市民ニーズ

を踏まえた、持続可能なものとすることが重要です。事業の実施にあたっては、緊急性、重要性

等を踏まえて、重点化を図るとともに、市民、防災や河川、道路等の他の関連部局との連携を図

りながら取り組む必要があります。

図 3-1 基本理念

第3章 今後の下水道事業における基本方針

災害・事故に強い

まち

快適で潤いのある

まち

市民の協力のもと下水道が

水環境の面で市民生活に貢献していきます

安全で良好な水環境を目指して

【基本理念】

環境にやさしい

まち

下水道からみた目指すべきまちの姿

Page 33: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第3章 今後の下水道事業における基本方針

3.2 基本方針

- 30 -

33..22 基基本本方方針針

先に示した、基本理念『安全で良好な水環境を目指して』を実現すべく、本市の下水道が抱え

る課題からみた今後の下水道事業における基本方針を以下のとおりとします。

【本市の下水道が抱える主な課題】 【基本方針】

図 3-2 本市の下水道が抱える主な課題と今後の下水道施策における基本方針

「健全な水循環」とは、流域を中心とした一連の水(雨水、地下水、河川水等)の流れの過

程において、人間社会の営みと環境の保全に果たす水の機能が、適切なバランスの下にともに

確保されている状態をいいます。

◆下水道への接続率向上

◆浸水被害の軽減

◆地震被害の軽減

◆合流式下水道の改善

◆道路陥没等の事故の未然防止

◆膨大な施設ストックに対する維持管理

◆湧水量、河川流量の確保

◆雨水の資源利用の促進

◆事業費の確保

◆下水道経営の健全化

健全で豊かな水循環を

創造します

予防保全による施設の

高度化・長寿命化を目

指します

下水道経営の健全化

を図り持続的な下水道

事業を推進します

財政上の見通しを踏まえた施策展開

健全で豊かな水循環を創造します 基本方針

Page 34: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第3章 今後の下水道事業における基本方針

3.2 基本方針

- 31 -

本市では、下水道への未接続による「公共用水域への生活雑排水の流出」や近年の都市型集

中豪雨による「浸水被害の発生」、合流式下水道による「公共用水域への未処理汚水の流出」、

都市開発に伴う浸透域の減少による「湧水の枯渇や湧水量、河川流量の減少」といった水循環

に対する問題が存在します。また、水は限りある資源としての認識のもと、資源循環の面でも

雨水の利用を促進していく必要があります。

これらの問題等を解決し、健全で豊かな水循環を創造することを基本方針とします。

下水道は、重要な社会基盤の一つとして、今後もその機能を中断することなく、持続して

いく必要があります。

地震時においては被害が生じることも想定されることから、施設が最低限有すべき機能を

確保するための「地震対策」を行うことが必要となります。また、今後も下水道を持続的に

使用していくためには、膨大な施設ストックに対して「適切な維持管理」を行うとともに、

計画的な調査に基づいた「効率的な改築・更新」が必要となります。

これらについて、予防保全の観点から施設の高度化、長寿命化を目指すことを基本方針と

します。

上記の基本方針1および基本方針2の目標を施策として実現するためには、多額の投資が

必要となります。また、収入面では、少子高齢化社会の進行、生活スタイルの変化による下

水道使用量の減少が想定され、使用料金収入は将来的に減少することが考えられることから、

経営基盤の強化が不可欠となります。

したがって、下水道事業を持続的なものとするために、財政上の見通しを踏まえた事業費

の平準化や経営の効率化を行い、下水道経営の健全化を図ることを基本方針とします。

予防保全による施設の高度化・長寿命化を目指します 基本方針 2

下水道経営の健全化を図り持続的な下水道事業を推進します 基本方針 3

Page 35: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 32 -

44..11 施施策策のの体体系系おおよよびび展展開開方方針針

各基本方針における主な施策を以下に示します。

図 4-1 施策の体系

第4章 今後の施策

健全で豊かな水循環を創造します 基本方針1

1.下水道への接続促進施策

2.浸水対策

3.合流式下水道改善対策

4.雨水の浸透と利用施策

安全で良好な水環境を目指して

予防保全による施設の高度化・長寿命化を目指します 基本方針2

5.地震対策

6.施設の長寿命化対策(維持管理・改築更新)

下水道経営の健全化を図り持続的な下水道事業を推進します 基本方針3

7.経営の健全化(事業費の平準化・経営の効率化)

基本

理念

Page 36: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 33 -

【施策の方針】

生活環境の改善および公共用水域の水質保全の観点から、下水道への未接続世帯(参考:平

成 21 年4月1日現在 1,039 世帯)に対し、汚水管きょへの接続を促し、早期に下水道接続率

(下水道水洗化率)を 100%にすることを目指します。

【主な施策】

①普及活動の実施

【施策の展開】

①普及活動の実施

戸別訪問やリーフレット配布等の普及活動を行い、

下水道への接続促進を図ります。

出典:第9回(平成 20 年度)大好き東村山写真コンクール入賞作品

写真 4-2 河川で遊ぶ子供たち

施策1.下水道への接続促進施策

写真 4-1 職員による戸別訪問

Page 37: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 34 -

【施策の方針】

一定の基準(時間最大降雨 50mm/hr に対応)における浸水被害の軽減を目指します。また、

近年の集中豪雨等、基準を超える降雨については、市民の協力のもと、ハード対策・ソフト対

策※による総合的な対策を進め、雨に強いまちづくりを進めます。

なお、対策の実施にあたっては、重点化を図るとともに、市民、開発事業者および防災、河

川、都市計画、道路等の関連部局との連携のもと、効果的、効率的な施策の展開を図ります。

【主な施策】

①雨水管きょの整備

②重点地区における緊急対策の実施

③雨水貯留浸透施設の整備

④自助の取り組み支援

※上記について関連部局との連携を図る

【施策の展開】

①雨水管きょの整備

降った雨を速やかに排除するため、時間最

大降雨 50mm/hr の降雨に対応した下水道整備

(雨水管きょの整備)を行います。なお、整

備にあたっては、都市計画道路の整備に併せ

た雨水幹線の布設や在来管(既存排水路)を

活用した効率的な整備を推進します。

②重点地区における緊急対策の実施

浸水が頻発する地区の被害軽減のため、対象地区の道路下への雨水貯留浸透施設の設置等、

緊急的な対策を実施します。

※【ソフト対策】 施設整備(ハード対策)によらない、被害想定区域や避難所等を記したハザードマップや雨量、河川水位の情報の提

供を行うこと等、被害の発生を最小限に抑えるための支援策。

写真 4-3 雨水管きょの整備

施策2.浸水対策

Page 38: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 35 -

③雨水貯留浸透施設の整備

雨水の下水道管きょへの流入量(雨水流出量)を減らすため、各戸浸透※に対する助成や開

発行為※に対する雨水流出抑制の指導を行い、貯留浸透施設の整備を推進します。

注.秋津町5丁目

図 4-2 一般住宅における浸透施設のイメージ 写真 4-4 開発に伴う貯留施設例

○東村山市雨水貯留・浸透施設等設置助成規則

(目的)

第1条 この規則は、雨水貯留・浸透施設等を設置する者に対して助成金を交付することにより、

雨水流出を抑制し、浸水被害の防止を図るとともに雨水の浸透による地下水のかん養その

他自然環境の保全及び回復に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この規則において「雨水貯留・浸透施設等」とは、屋根からの雨水を対象として設置する

雨水浸透ます及び雨水浸透トレンチ管(雨樋とこれらを接続する雨水管を含む。)をいう。

(助成対象者)

第3条 この規則による助成の対象者は、市長が定める雨水整備事業計画区域内であって、東村山

市雨水浸透基本計画図に定める浸透適用地域内に存する土地(建築物の敷地面積が 1,000

平方メートル未満の土地とする。)に住宅及び店舗等の建築物を所有する者又は雨水貯

留・浸透施設等の設置について当該建築物及びその土地の所有者の同意を得た借地借家人

とする。ただし、法人等及び東村山市宅地開発及び建築物の建築に関する指導要綱(平成

13 年東村山市訓令第2号)第3条に定める事業に係る建築物の所有者は除く。

2 前項の規定にかかわらず、下水道使用料、下水道受益者負担金及び市税を滞納している者

は、対象としない。

(助成金額)

第4条 助成金の額は、雨水浸透ます及び雨水浸透トレンチ管の設置に要する費用のうち、別表に

定めるそれぞれの標準工事費単価に必要数量を乗じて得た額の4分の3に相当する額とし、

7万円を限度とする。この場合において、1,000 円未満の端数があるときは、その端数を

切り捨てるものとする。

以下、略

※【各戸浸透】 各家屋毎に浸透施設を設け、雨水の流出抑制を図ること。

※【開発行為】 主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう(都市計

画法第4条第12項にて規定)。宅地開発等をいう。

Page 39: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 36 -

別表(第4条)助成金算定表

雨水浸透ます

形状 規格 標準工事費単価

250 直径 250 ミリメートル×深さ 500 ミリメートル 1ます当たり 23,000 円

300 直径 300 ミリメートル×深さ 550 ミリメートル 1ます当たり 29,000 円

雨水浸透トレンチ管

形状 規格 標準工事費単価

100 幅 300 ミリメートル×高さ 300 ミリメートル 1メートル当たり 11,000 円

150 幅 400 ミリメートル×高さ 400 ミリメートル 1メートル当たり 17,000 円

○東村山市宅地開発及び建築物の建築に関する指導要綱(抜粋)

第1章 総則

(目的)

第1条 この要綱は、無秩序な市街化を防止し、良好な街づくりと生活環境を保全するため、宅地

開発を行う者及び建築物を建築する者(以下「事業主」という。)に対して、必要となる

公共施設、公益的施設等の整備及び事務手続の基準について、明らかにすることを目的と

する。

(適用事業)

第3条 この要綱は、次の各号に掲げる事業に適用する。

(1)法第 29 条の規定に基づく開発行為の許可を受けようとする事業で、宅地開発区域が 500 平

方メートル以上のもの

(2)建築物の建築事業のうち、次の各号の一に該当する事業

ア 敷地面積が 1,000 平方メートル以上の建築物の建築事業(専用住宅を除く。)

イ 共同住宅で、建築計画戸数が 16 戸以上の建築事業

ウ 建築物の延べ面積(建築基準法施行令第2条第1項第4号に規定する建築物の延べ面積を

いう。)が 1,000 平方メートル以上の建築物の建築事業

エ 最高高さが 10 メートル以上の建築事業

オ 土地所有者又は同じ事業主が過去3年以内に建築物の建築事業を行った土地に隣接する土

地で、その事業と新規事業(増築及び改築を含む。)を併せた場合にアからウまでの一に

該当する事業

(下水道)

第 15 条

2 雨水処理施設については、雨水の流出を抑制するため、雨水浸透施設(浸透桝、浸透トレ

ンチ等)を設置して、宅地開発区域内及び事業区域内(公道を除く。)の雨水を処理する

ものとする。

【指導対策量】

60mm/hr 流量と許容放流量の差分を貯留・浸透

(都開発審査基準準拠)

Page 40: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 37 -

④自助の取り組み支援

浸水に関する情報提供や土のうの配布等、市民の自助による被害軽減に対する取り組みを支

援します。

出典:東京都建設局HP

図 4-3 浸水予想区域図

出典:東村山市消防署HP

写真 4-5 東村山市総合水防演習

Page 41: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 38 -

【施策の方針】

合流式下水道は、汚水と雨水を同一管きょで排除するため、雨天時に一定量以上の流量とな

ると、水再生センターの能力を超えた未処理汚水の一部が公共用水域へ放流されます。したが

って、公共用水域へ放流される汚濁負荷量を、分流式下水道で整備した場合の放流汚濁負荷量

と同等以下に削減する対策を実施する必要があります。

対策については、分流式下水道での再整備(分流化)が理想ですが、新たな管きょの整備等

に多くの費用を要することとなります。そこで、放流される汚濁負荷量を分流式下水道と同等

以下とするための流出抑制施策を実施し、公共用水域の水質保全を図ります。

【主な施策】

①雨水浸透施設の整備

【施策の展開】

①雨水浸透施設の整備

合流式下水道の改善については、平成 25 年度までに実施する必要があります。

「合流式下水道緊急改善計画」に従い、合流式下水道で整備されている萩山地区において、

分流式下水道と同等以下の放流負荷量とする目標達成のための流出抑制施策(雨水浸透施設の

整備)を実施します。

なお、平成 26 年度以降についても、更なる水環境の改善とともに、浸水対策、水循環の観

点からも引き続き雨水浸透施設の整備を推進します。

写真 4-6 萩山地区における浸透施設(浸透井戸)

施策3.合流式下水道改善対策

Page 42: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 39 -

【施策の方針】

湧水の枯渇や湧水量、河川流量の減少傾向がみられ、水循環の健全性が失われつつあります。

雨水をなるべく地下へ浸透させることにより、湧水や河川流量を確保し、潤いのある水辺空間

の創出に取り組みます。

また、雨水を資源として捉え、水循環の一環としての有効利用を図ります。

【主な施策】

①雨水浸透施設の整備

②雨水貯留利用施設の有効活用

【施策の展開】

①雨水浸透施設の整備

湧水量、河川流量の確保等、潤いのある水辺

空間の創出のために、雨水浸透施設の整備を促

進します。また、雨水浸透施設については、前

述の浸水対策や合流式下水道改善対策にも有効

であることから、市民の協力のもと、市全域に

わたり積極的に取り組みます。

②雨水貯留利用施設の有効活用

本市では、市民農園や小学校等に雨水貯留利

用施設「天かえる」を設置しています。これら

施設の継続的な有効活用を図るとともに、市民

に雨水の資源利用についての普及を図ります。

施策4.雨水の浸透と利用施策

写真 4-7 空堀川の現況

写真 4-8 雨水貯留利用施設(天かえる)

Page 43: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 40 -

【施策の方針】

地震により下水道管きょが被害を受けると、各家庭のトイレが使用できない他、汚水の滞留

や未処理汚水の流出により公衆衛生上の問題が生じます。また、道路陥没に伴う事故等の二次

災害を誘発することも危惧されます。

これらの問題を回避すべく、防災および減災の観点から、下水道施設の耐震化をはじめとす

る総合的な対策を実施し、ライフラインとしての機能維持、被害の最小化による市民の生命と

安全の確保に努めます。

【主な施策】

①重要な幹線等の耐震化

②管きょの老朽化対策と併せた耐震化

③他自治体との協力体制の維持

【施策の展開】

①重要な幹線等の耐震化

「下水道総合地震対策計画」を策定し、「防災」および「減災」を組み合わせた総合的な地

震対策について実施します。

なお、地震時における道路陥没等の防止や避難所でのトイレ使用が可能となるよう、河川・

軌道等を横断している管路や緊急輸送路に埋設している管路、防災拠点等の避難所からの排水

を受ける管路等の重要な幹線について、優先的に耐震化を図ります。

出典:国土交通省都市・地域整備局下水道部 HP

図 4-4 重要な幹線の選定

施策5.地震対策

Page 44: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 41 -

(マンホールと管きょ接続部の可とう化※)

出典:国土交通省都市・地域整備局下水道部 HP

図 4-5 管きょの耐震化のイメージ

②管きょの老朽化対策と併せた耐震化

今後、多くの管きょが老朽化に伴う更新時期を迎えます。管きょの改築更新と併せて耐震化

を図ることにより、効率的に地震対策を進めていきます。

③他自治体との協力体制の維持

本市においては、災害時の支援体制として、新潟県柏崎市等と「災害時等の相互応援に関す

る協定」を締結しています。新潟県中越沖地震時には、柏崎市に職員を派遣するとともに、災

害応急対策等に必要な機材や救援物資等の提供を行いました。

災害時における市民への救済措置や災害時の復旧活動を速やかに行うべく、今後も他自治体

との相互協力の体制を維持していきます。

※【可とう化】 柔軟に稼働させることができるようにする(可とう性を持たせる)こと。

Page 45: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 42 -

【施策の方針】

下水道施設は、経過年数とともに老朽化が進みます。今後は、増加する老朽化施設に対して、

予防保全の観点から、調査、改築更新に取り組み、下水道施設の機能維持を図ります。

また、改築更新にあたっては、ライフサイクルコスト※を踏まえた効率的な計画に基づき実施

します。

【主な施策】

①計画的な管路内調査の実施

②効率的な改築更新の実施

【施策の展開】

①計画的な管路内調査の実施

布設年次が古い地区等、今後の施設の長寿命化に対する優先順位が高いところから、順次、

TVカメラ調査や潜行目視調査を実施します。

調査結果をもとに、劣化度合いを判定し、適切な改築更新計画の策定に活用します。

写真 4-9 TV カメラ調査結果例

※【ライフサイクルコスト】 初期建設コストとその後の維持管理費用等を含めた生涯費用の総計。

施策6.施設の長寿命化対策

Page 46: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 43 -

②効率的な改築更新の実施

予防保全による下水道施設の機能維持を図るとともに、ライフサイクルコストによる経済比

較を行い、改築更新にかかる費用の最小化を実現します。

また、地震対策等との調整を図り、全体として効率的な事業の実施が可能となるよう取り組

んでいきます。

出典:国土交通省都市・地域整備局下水道部 HP

図 4-6 ライフサイクルコストを考慮した改築・更新

出典:国土交通省都市・地域整備局下水道部 HP

図 4-7 管きょの改築事例(更生工法※)

※【更生工法】 老朽化等により機能が損なわれた管きょの内側に、新たに管きょを構築し機能の回復を図る工法。従来の敷設替えと

は違い、道路を開削する必要がない。

経 過 年 数

Page 47: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 44 -

【施策の方針】

下水道事業は、国、地方公共団体、使用者等の費用負担のもと、運営されています。「雨水

公費・汚水私費」の原則のもと、雨水事業については、公的役割として全額を公費で賄うもの

とされています。一方、汚水の処理に係る経費(起債償還金と維持管理費)については、公費

で負担すべき費用を除き、下水道使用料金により賄うこととされています。実際の使用料収入

については、本来、使用料により賄うべき額を確保できておらず、一般会計からの繰り入れに

より運営されている状況にあります。

近年、市の財政状況も厳しく、一般会計からの繰入金での対応も難しい状況にあることから、

経営基盤の強化を図るとともに、財政上の見通しを踏まえた事業費の平準化等を行い、経営の

健全化を図ります。

【主な施策】

①経営基盤の強化

②財政上の見通しを踏まえた事業費の平準化

【施策の展開】

①経営基盤の強化

使用料収入を増加させるためには、有収水量※を確保することが必要なことから、未接続世

帯に対する接続促進により、有収率※の向上を図ります。また、将来の人口減少予測等により、

今後の使用料収入の増加は期待できない状況にあることから、世代間負担の公平性の観点から

も、資本費平準化債※の活用や社会情勢の変化に伴う適切な料金体系への見直しを検討してい

きます。

本市では、厳しい財政状況を踏まえ、職員の削減および業務の一部外部委託化等の取り組み

を行ってきましたが、今後もさらに業務の外部委託化を進める等、経営の効率化に向けた取り

組みを行います。

※【有収水量】 下水道で処理した汚水のうち、使用料徴収の対象となる水量。

※【有収率】 下水道で処理した汚水のうち、使用料徴収の対象となる水量の比率。下水道には、マンホール等からある程

度の雨水等(不明水)が流入することから、処理する汚水は料金対象とならない不明水を含む。

※【資本費平準化債】 資本費の一部を後年に繰り延べ、世代間の費用負担を公平とするためのもの(償還年数と施設の減価償却

年数に差があることに対する、元金償還金と原価償却費の差額についての借入れ)

施策7.経営の健全化

Page 48: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.1 施策の体系および展開方針

- 45 -

②財政上の見通しを踏まえた事業費の平準化

今後も浸水対策や施設の改築更新等の適切な維持管理等、継続的な投資が必要となることか

ら、将来の経営収支の状況を加味し、収入と支出のバランスを考慮した事業費の平準化を図り

ます。また、施設の長寿命化を図ることにより、事業費の削減に努めます。

出典:国土交通省都市・地域整備局下水道部 HP

図 4-8 事業費平準化のイメージ

Page 49: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.2 事業計画

- 46 -

44..22 事事業業計計画画

各施策について、短期、中期、長期の視点からみた位置付けを以下に示します。

緊急性や重要度が高い施策を優先的に実施します。

主な施策として、下水道への接続促進施策および浸水頻発地区での緊急的な浸水対策、合流

式下水道の改善対策、重要な幹線等の耐震化等に取り組みます。

なお、短期計画を実施する間については、起債償還金が約 30 億円程度と高水準の状況が続

くため、限られた予算の中で効率的な事業を実施するとともに、経営の健全化に取り組んでい

きます。

短期計画からの継続的な取り組みを行うとともに、管きょの老朽化に対する施策も実施して

いきます。

過年度投資に対する起債償還金が、減少する期間に入ることより、経営の更なる健全化に努

めるとともに、施策についての本格的な実施段階として位置付けます。

施策の継続により、本市の下水道の目指す姿に近づける取り組みを行います。

長期計画においては、改築更新が本格的に必要となることが想定されることから、施設の長

寿命化に対する取り組みを重点的に進めていく必要があると考えられます。

なお、施設の改築更新については、多大な事業費がかかることが想定されるため、将来の経

営予測を考慮したバランスの良い事業投資を図っていく必要があります。

短期計画(平成 22 年度~平成 26 年度)

中期計画(平成 27 年度~平成 31 年度)

長期計画(平成 32 年度~平成 41 年度)

Page 50: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第4章 今後の施策

4.2 事業計画

- 47 -

表 4-1 事業計画

期 間

施 策

施策1

下水道への接続促進施策

【下水道接続率 100%】

施策2

浸水対策

施策3

合流式下水道改善対策

【当面目標:分流並み】

(H25 年度までに達成)

施策4

雨水の浸透と利用施策

施策5

地震対策

施策6

施設の長寿命化対策

施策7

経営の健全化

普及活動

雨水管きょの整備(幹線および主要枝線)

【短期計画以外の地区、都市計画道路】

緊急対策(貯留浸透施設)

雨水貯留浸透施設の整備(各戸貯留浸透、開発に伴う貯留浸透施設)

【全域を対象】

自助の取り組み支援(浸水情報の提供、土のうの配布等)

【全市民、事業所を対象】

浸透施設の整備 継続(更なる水環境の改善、浸水、水循環の視点)

雨水浸透施設の整備(各戸浸透、開発に伴う浸透施設)

【全域を対象】

雨水貯留利用施設の有効活用(天かえる、普及活動)

【全域を対象】

重要な幹線等の耐震化

管きょの老朽化対策に併せた耐震化

【全域を対象】

【重点地区、都市計画道路】

【浸水頻発地区】

他自治体との協力体制の維持(災害時等の相互応援に関する協定)

計画的な管路内調査の実施

効率的な改築更新の実施(長寿命化計画)

【布設年次が古い地区等(長寿命化策定区域)から順次】

【長寿命化計画策定区域を対象】

経営基盤の強化

【有収率の改善、資本費平準

化債、使用料金検討、経営の

効率化】

【資本費平準化債、使用料

金検討、経営の効率化】

【使用料金検討、経営の効

率化】

財政上の見通しを踏まえた事業費の平準化

【耐震化率 100%】

短期計画

(平成 22 年度

~平成 26 年度)

中期計画

(平成 27 年度

~平成 31 年度)

長期計画

(平成 32 年度

~平成 41 年度)

Page 51: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

第5章 下水道プラン2009の進め方について

- 48 -

『東村山市下水道プラン 2009』を実行性のあるものとするために、市民の皆さまへ市の取り組

みについて説明を行うとともに、事業に対する理解および協力のもと施策を進めていきます。

限りある財源の中で、より効率的な事業運営を行っていく必要もあることから、経営の健全化

を図るとともに、防災、河川、都市計画、道路等の関連する部局と連携を図り、効果的な施策展

開を図ります。

また、近年の社会情勢の変化は著しいものがあります。さらに、下水道へ求める市民ニーズに

ついても変化、多様化が見られます。

本プランにおいては、5年経過時点で、社会情勢や市民ニーズ等に変化があると判断される場

合においては、見直しを行い、財政上の見通しも考慮したうえで、優先すべき施策および事業量

について検討し、計画に反映させることとします。また、それ以降も、定期的な計画の見直しや

改善を行い、将来を見通した効率的な下水道事業の推進を目指します。

※【PDCAサイクル】 Plan/Do/Check/Action の頭文字を揃えたもので、計画(Plan)→実行(Do)→検証(Check)→改善(Action)

の流れを次の計画に活かしていくプロセスのこと。

第5章 下水道プラン2009の進め方について

Check

Do

Action

Plan

計画の策定 施策の実施

施策の進捗・評価

計画の見直し・改善

効率的な事業運営

社会情勢の変化

市民ニーズの変化

図 5-1 計画見直しのイメージ(PDCAサイクル※)

Page 52: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を
Page 53: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

東村山市下水道プラン2009 ~安全で良好な水環境を目指して~

発行年月日 平成 22年(2010年)2月 編集・発行 東村山市都市環境部下水道課

住 所 〒189-8501 東村山市本町1丁目2番地3

電 話 番 号 (042)393-5111(代表) ファックス (042)397-9438 電子メール [email protected]

Page 54: 東村山市下水道プラン2009 - Higashimurayama€¦ · り方(方向性)を示すことを目的として、総合的な計画『東村山市下水道プラン2009』を

よみがえる水のきらめき

昭和 51 年に着工した公共下水道は、

平成 8年 3月末に完了した。

(東村山市運動公園内に設置)

汚水事業完成記念モニュメント