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平成31年1月10日(木)
電気エネルギーを使用しない軽量・安価な流体駆動義手
津山工業高等専門学校 総合理工学科
機械システム系 助教
西川 弘太郎
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Open Bionics Handiii Coyote
Rehand
軽量・安価な筋電義手を提供するための3Dプリンタを利用した義手開発プロジェクト
・重量およびコスト削減は限界(多くの機械・電子部品から構成)・電気エネルギーが不可欠(バッテリーが必要であり,使用時間は制限)・対象物の柔軟把持が困難
駆動源にフルードパワーを用いた電気エネルギーを使用しない流体駆動義手の提案
発明の背景・従来技術・問題点
DMC Plus
筋電義手
日本において上肢切断者は約8.2万人
上記プロジェクトの筋電義手の問題点
重い・高い
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なぜ,義手を流体駆動(空気圧)するのか?
1. 出力/重量比が高い 義手の軽量化
2. 構造がシンプル
3. バックドライバビリティに優れる
義手の低コスト化
空気の圧縮性を利用し,剛性の低い対象物の柔軟把持が可能
DCサーボモータ: 83 N/kg
1. 多くの外部機器が必要(空気圧部品,電子部品,PC等)2. 外部機器を駆動するための,電気エネルギーが不可欠
重量増加・高コスト化の問題により,流体駆動義手の実用化はされていない
外部機器の例(コンプレッサ)
しかし,従来の空気圧システムでは・・・
ベローズアクチュエータ:15700 N/kg at 100kPa
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使用者の回外動作を利用した無動力型流体駆動義手の提案
開発済みの空気圧駆動ロボットハンドに基づいた,全く新しい無動力デバイスを提案
使用者の回外/回内動作により圧縮空気を生成し,駆動する従来の外部機器・電気エネルギー不要!
大幅な軽量・低コスト化の実現!
無動力型流体駆動義手空気圧駆動ロボットハンド
実時間Linuxによるリアルタイム制御
空気圧駆動であるが,外部機器や電気エネルギーを必要としていた
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無動力型流体駆動義手の動作原理
• 駆動源からアクチュエータを義手に組込んでいる(外部機器不要)• 円筒リブカムがホルダーの回転運動を直線運動へ変換• 回外動作で圧縮空気を生成(電気エネルギー不要)• 単純な空気圧回路で信頼性が高い
無動力型流体駆動義手の構造・動作原理
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(a) 指部正面 (b) 指部側面
(c) 外観
• プロトタイプの2指義手• 指部駆動部,ソケット部から構成• 単純な樹脂パーツを3Dプリンタにより製作
(d) 取付例
流体駆動義手(プロトタイプ)の仕様
Weight 574 g(Finger part: 88 g Other part: 486 g)
Maximum pressure Approx. 80 kPa
Maximum angle of joint Approx. 0.9 rad
Size H 165.0 mm x W 100.5 mm x L 645.0 mm
無動力型流体駆動義手の構造・動作原理
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無動力型流体駆動義手の構造・動作原理
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ベローズを用いた義手指関節の駆動原理
・ベローズは柔軟であり,指の屈曲/伸展の適しているため,指関節に直接組込める・圧力印加時に長手方向のみ膨張するため,対象物との干渉がない
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無動力型流体駆動義手の性能(回外角度とベローズ圧力(把持力))
• 各屈曲角度において,ホルダーの回外角度で把持力の調整が可能• 把持力は回外角度に比例しており,筋電義手よりも容易な操作が可能
●負荷時(対象物を把持している状態を模擬)
示指の負荷特性
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回外角速度と指先速度特性
市販の筋電義手の6倍以上の指先速度を有するため,対象物の素早い把持/解放が可能
無動力型流体駆動義手の性能(指先速度)
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ペットボトルの把持実験
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ペットボトルの把持実験
本義手は,筋電義手のような• モーター駆動音なし• 水に濡れてもショートの心配なし• 筋電センサーの位置調整の煩わし
さなし,汗による故障なし
(A) (B) (C) (D) (E)
ペットボトル把持時の回外角度とベローズ圧力
回外角度を一定に保持し,安定した把持を実現
(筋電義手ではできない)
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柔軟物を含む対象物の把持が可能
(c) 紙コップ
(b) ゴムボール(a) 消しゴム
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• 従来の重量があり高価な筋電義手にかわる軽量・安価な義手として期待される。
• 本発明は軽量・安価な無動力システムであり,果実収穫用のロボットハンドや手術ロボット用のハンドとして,農業・医療分野への応用も見込まれる。
想定される用途
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• 2指のプロトタイプのため,実用化には,優れ
たデザイン性の検討,多指化,義手使用者による把持試験,耐久試験が課題である。
• 義手の基本的な制御性能や把持性能の実験結果から,従来技術のものよりも優れていることを確認済みであり,上記課題は,比較的容易にクリアすることが可能と考える。
実用化に向けた課題
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ロボット(制御機器)を製造されている企業,
医療・福祉分野への製品応用・事業展開を予定されている企業との共同研究を希望します。
企業への期待
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• 発明の名称 :能動義手
• 出願番号 :特願2018-020975• 出願人 :独立行政法人国立高等専門学校機構,
国立大学法人岡山大学
• 発明者 :西川弘太郎,平田健太郎,高岩昌弘
本技術に関する知的財産