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高層オフィスビルにおける自然換気用シャフトの設計手法に関する研究 (その1)シャフトサイズが自然換気性能に及ぼす影響 4. 環境工学 - 12. 空気流動基礎 - e . 換気回路網などの数値解析手法 自然換気 換気量 換気駆動力 換気回路網 Design Method of Natural Ventilation Shaft in High-Rise Office Building Part 1: Effect of Shaft Size on Natural Ventilation Performance JIANG Miao, KOTANI Hisashi, YAMANAKA Toshio, MOMOI Yoshihisa and SAGARA Kazunobu 正会員○姜 *1 甲谷 寿史 *2 山中 俊夫 *3 桃井 良尚 *4 相良 和伸 *5 どの組み合わせにより、重力換気と風力換気の影響 の程度や、高さ方向の換気量分布のパターンが異 なることとなる 2) 。これらの影響は、計算や実測に 基づく古くから数多くの研究で示されているもの の、体系的に整理されているとは言い難い。例えば、 IEA(International Energy Agency)/ECBCS Annex35 3) 日本建築学会 1) 、CTBUH(Council on Tall Buildings and Urban Habitat) 4) などは、自然換気もしくは自 然換気と機械換気を併用するハイブリッド換気に特 化した書籍を刊行し、事例を多くとりまとめ、その 換気駆動力、建物形状、具体的な換気計画、結果と しての空調エネルギー削減量などの比較等を行って いるものの、換気力学に基づいた体系的な整理は不 十分であると考える。この問題意識により、本研究は、 シャフトサイズ、シャフト位置、建物条件(建物高さ、 方位等)と、自然換気量の大小・高さ方向分布、自 然室温等との関係を整理することで、自然換気建物 を体系的に分類し、今後の自然換気設計に資するこ とを目的とする。本報は温度差駆動力が主と考えら れるシャフト型の地上 15 階建て自然換気利用建物に 関して、中間期の自然換気量と自然室温の例題計算 を熱・換気回路網計算を用いて行い、単純モデルに おけるシャフトサイズの影響を明らかにする。なお、 1.はじめに 建物の低炭素・省エネルギー化、節電等の社会的 要 求 を 背 景 と し た ZEB(Zero Energy Building) 化、 建物の環境性能による付加価値向上、BCP(Business Continuity Planning) 対応として具備すべき基本性 能としての位置付け等、種々の理由から自然換気が 見直されている。特に、近年の高層オフィスビルに 代表される非住宅建築のビッグプロジェクトにおい て、自然換気は、設計時にその採用が検討される項 目の上位に挙げられ、採用事例も多く見られる。自 然換気は、中間期における自然エネルギーを効果的 に利用できる手法であり、冷房負荷の削減が期待で きる。自然換気を有効利用するための換気駆動力と しては、温度差、風力もしくは、それらの両方を用 いることとなり、高層建物における自然換気利用手 法は、これらの換気駆動力によって、図 1 に示す 通風型、ボイド型、シャフト型と分類される 1) 。通 風型は風力を主と、シャフト型は温度差を主と考 え、ボイド型はその中間で、屋上の安定した負圧を 利用することから、比較的風力を主としながらもボ イドのサイズによっては温度差の寄与も大きくなる 形式としている。しかしながら、実際には、シャフ トサイズ、シャフト位置、建物サイズ、建物高さな 図1 自然換気手法の分類 1) 本報は既報 5) を一部再検討し、加筆し た上で再構成したものである。 2.建物概要 (1) 対象建物 図 2 に平面および断面を 示す 15 階建て(最高高さ 60m)の高層 オフィスビルを想定する。基準階平面 は 30 × 30m、階高は 4m とし、南面中央 に一面のみが外部に面した自然換気用 シャフトを 1 階から 15 階まで連続した 竪穴として設置する。このシャフトの

高層オフィスビルにおける自然換気用シャフトの設 …labo4/www/paper-top.files/...Shaft Shaft Room Room Opening Opening Opening Opening 図2 計算対象建物の断面図・平面図及び換気の経路

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Page 1: 高層オフィスビルにおける自然換気用シャフトの設 …labo4/www/paper-top.files/...Shaft Shaft Room Room Opening Opening Opening Opening 図2 計算対象建物の断面図・平面図及び換気の経路

高層オフィスビルにおける自然換気用シャフトの設計手法に関する研究

(その1)シャフトサイズが自然換気性能に及ぼす影響

4. 環境工学-12. 空気流動基礎-e. 換気回路網などの数値解析手法

自然換気 換気量 換気駆動力 換気回路網

Design Method of Natural Ventilation Shaft in High-Rise Office BuildingPart 1: Effect of Shaft Size on Natural Ventilation Performance

JIANG Miao, KOTANI Hisashi, YAMANAKA Toshio, MOMOI Yoshihisa and SAGARA Kazunobu

正会員○姜 淼 *1 同 甲谷 寿史 *2 同 山中 俊夫 *3

同 桃井 良尚 *4 同 相良 和伸 *5

どの組み合わせにより、重力換気と風力換気の影響

の程度や、高さ方向の換気量分布のパターンが異

なることとなる 2)。これらの影響は、計算や実測に

基づく古くから数多くの研究で示されているもの

の、体系的に整理されているとは言い難い。例えば、

IEA(International Energy Agency)/ECBCS Annex353)、

日本建築学会 1)、CTBUH(CouncilonTallBuildings

andUrbanHabitat)4)などは、自然換気もしくは自

然換気と機械換気を併用するハイブリッド換気に特

化した書籍を刊行し、事例を多くとりまとめ、その

換気駆動力、建物形状、具体的な換気計画、結果と

しての空調エネルギー削減量などの比較等を行って

いるものの、換気力学に基づいた体系的な整理は不

十分であると考える。この問題意識により、本研究は、

シャフトサイズ、シャフト位置、建物条件(建物高さ、

方位等)と、自然換気量の大小・高さ方向分布、自

然室温等との関係を整理することで、自然換気建物

を体系的に分類し、今後の自然換気設計に資するこ

とを目的とする。本報は温度差駆動力が主と考えら

れるシャフト型の地上15階建て自然換気利用建物に

関して、中間期の自然換気量と自然室温の例題計算

を熱・換気回路網計算を用いて行い、単純モデルに

おけるシャフトサイズの影響を明らかにする。なお、

1.はじめに

 建物の低炭素・省エネルギー化、節電等の社会的

要求を背景とした ZEB(ZeroEnergyBuilding) 化、

建物の環境性能による付加価値向上、BCP(Business

ContinuityPlanning) 対応として具備すべき基本性

能としての位置付け等、種々の理由から自然換気が

見直されている。特に、近年の高層オフィスビルに

代表される非住宅建築のビッグプロジェクトにおい

て、自然換気は、設計時にその採用が検討される項

目の上位に挙げられ、採用事例も多く見られる。自

然換気は、中間期における自然エネルギーを効果的

に利用できる手法であり、冷房負荷の削減が期待で

きる。自然換気を有効利用するための換気駆動力と

しては、温度差、風力もしくは、それらの両方を用

いることとなり、高層建物における自然換気利用手

法は、これらの換気駆動力によって、図1に示す

通風型、ボイド型、シャフト型と分類される 1)。通

風型は風力を主と、シャフト型は温度差を主と考

え、ボイド型はその中間で、屋上の安定した負圧を

利用することから、比較的風力を主としながらもボ

イドのサイズによっては温度差の寄与も大きくなる

形式としている。しかしながら、実際には、シャフ

トサイズ、シャフト位置、建物サイズ、建物高さな

図 1 自然換気手法の分類 1)

本報は既報 5) を一部再検討し、加筆し

た上で再構成したものである。

2.建物概要

(1)対象建物 図 2に平面および断面を

示す 15階建て(最高高さ 60m)の高層

オフィスビルを想定する。基準階平面

は 30× 30m、階高は 4mとし、南面中央

に一面のみが外部に面した自然換気用

シャフトを 1階から 15階まで連続した

竪穴として設置する。このシャフトの

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×10mのペリカウンタタイプ、シャフト側は0.5×2m

のガラリタイプを想定し、外壁側で床面+1m、シャ

フト側で床面+3mの位置に設置する。本報では、

日中だけでなく夜間も含めて開口部を常時開放する

が、今後は開閉スケジュールを検討する予定である。

 開口部の風圧係数は、風上、風下、屋上面に対す

る標準的な値を用い、16風向に対して与えている。

ただし、屋上開口のみ、全風向に対して− 0.5とする。

(4) 解析条件 解析は、熱・換気回路網計算プログ

ラム NETSVer.9.12.4 を用いて行う。気象データは、

日本建築学会拡張アメダス気象データ (1981-2000)

の標準年気象データ(東京)を用いる 7)。自然換気

利用のある中間期を代表する 10月をターゲットと

し、気象条件が比較的同様の傾向を示し、休日の影

響が小さくなる平日 3日間の、10/17(火)~ 10/19

(木)を解析対象とする。助走計算は5日間、計算時

間間隔は、熱容量の大きさにも鑑み、予備検討に基

づき5分間とした。

3.解析結果

(1)自然室温、シャフト温度、室内換気量の経時変

化 対象 3日間の、自然室温、シャフト温度、室内

換気量の経時変化を、5階分を重ねて図3に示す。

 室温に着目すると、Case1 と Case2 は、上層ほど

高温になる傾向が顕著に見られ、Case3 と Case 4

はほぼ同一の温度を示す。これは Case3 と Case4 で

換気量が大きく、かつプラス(外気から室への流入

側)となっていることで、外気導入により温度低下

することで説明できる。対して、Case1 と Case2 で

は、換気量は小さく、特に Case1 の換気量は Case2

の 60% 程度しか無く、またマイナス(シャフトから

室への流入側)となることで、外気流入による温度

低下の効果が小さいことを示す。また、Case1 の室

温は他ケースと大きく異なり、3日間で温度上昇を

続けている。これは換気量が小さいことで、躯体の

蓄熱が大きくなっていることを示唆する。

 シャフト温度は、室温ほどではないものの、同様

に Case1 が高く、Case2 が続き、Case3 と Case4 がほ

ぼ同一である。これも換気量の大小で説明できる。

日射によるシャフトの温度上昇は、最大でも Case1

の外気プラス 4℃程度であり、室温の上昇に比して

小さい。本解析では日射の影響はシャフト南面のみ

平面サイズを1× 1m、3× 3m、6× 6m、12×12mとした

4条件(それぞれ Case1、2、3、4とする)を解析パ

ラメータとする。

(2) 躯体構成及び熱的条件 シャフトは、南面に正

対する1面が普通コンクリート 100mm(無断熱)、そ

れ以外の3面は普通コンクリート100mm+断熱材(押

出法発泡スチレン)50mmとし、シャフト外壁面の日

射吸収率は 0.7で一定として、入射角度特性は無い

ものとする。シャフト以外の外壁面は、普通コンク

リート 100mm +断熱材(押出法発泡スチレン)50mm

とし、断熱性の比較的高い建物を想定するため、窓

ガラス面は無しとする。

 主な換気駆動力は、南面のみにあるシャフト面コ

ンクリートへ吸収された日射がシャフト内へ対流熱

伝達することによるシャフトの温度上昇と、内部発

熱によるオフィスの温度上昇である。これらの温

度差換気駆動力の影響を主とすることを意図して、

シャフト面以外の外壁面での日射吸収は無視する

が、壁面の貫流熱量は考慮している。なお、基準階

はコア部面積を考慮して、内部発熱に関わるオフィ

スは30× 18mとし、23.8W/m2 を平日の9〜 18時に

与え 6)、それ以外の時間帯は内部発熱無しとする。

(3) 換気経路 各階のオフィス部分の外壁北面に 1

m2 の開口部を設置し、室内からシャフトへも各階

に 1m2 の開口部を設置し、シャフトは屋上でシャフ

ト断面積と同一面積を持つ開口部を通じて外部へ繋

がっている。開口部は隙間換気とは考えずに、意図

した換気開口を想定するため、換気量は圧力損失と

流量の関係式(いわゆる換気の式)で求め、いずれ

の開口部も流量係数は0.65とする。開口部の1m2は、

実際にあり得る状況として、例えば、外壁側は 0.1

Office area

60m

18m 12m

30m

Corearea

Shaft

Shaft

Room

Room

Opening

OpeningOpening

Opening

図 2 計算対象建物の断面図・平面図及び換気の経路

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としたことから、室内側の内部発熱が支配的となる

温度差換気になっているものと推察される。

 Case ごとの換気量の大小は明確に見られ、これは

Case1 と Case2 の小断面シャフトでは、日射の吸熱

面も小さく、また屋上の有効開口面積が小さいのに

対して、Case3 と Case4 の大断面シャフトでは、ほ

ぼ同一換気量となることから、屋上での有効開口面

積が大きく確保されることで安定した換気量が得ら

れると推察される。すなわち、本ケースの場合、小

断面シャフトでは室内発熱が支配的となる安定した

図 3 自然室温、シャフト温度及び室内換気量(CASE1 ~ 4)

温度差換気となり、トータルの有効開口面積が小さ

いために換気量は小さく、シャフト断面積がある程

度以上になると、トータルの有効開口面積が大きく

なり、安定した換気量が得られると考えられる。

(2) シャフト頂部の換気量 対象 3日間のシャフト

頂部の換気量の経時変化を、図4に示す。図2に

示す室内換気量の傾向が明確に見て取れる。Case1

の換気量は非常に小さいのに対して、Case2 がその

次に、Case3 と Case4 がほぼ同一で大きな値を示す。

Case3 と Case4 は、変動は大きいものの、Case1 に比

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Room temperature in Case 4 Shaft temperature in Case 4 Room flow rate in Case 4

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【参考文献】

1)日本建築学会編:実務者のための自然換気設計ハンドブック、技報

堂出版、2013

2)大森、山中、甲谷、桃井、相良、環、高山、田辺、岡本、和田、田中:コーナー

ボイドを有する高層オフィスビルの自然換気性能に関する研究(その

6)熱・換気回路網計算による自然換気特性の検討、平成25年度空

気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集、pp.277-pp.280、

2014.3

3)Heiselberg(Editor):PrinciolesofHybridVentilation,IEA/ECBCS

Annex35,Aalborguniversity,2002

4)WoodandSalib:NaturalVentilationinHigh-RiseOfficeBuildings

-AnoutputoftheCTBUHSustainabilityWorkingGroup,Routledge,

2013

5)姜、甲谷、山中、桃井、相良:高層オフィスビルにおける自然換気用シャ

フトのサイズ・位置が自然換気特性に及ぼす影響、平成25年度空

気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集、pp.293-pp296、

2014.3

6)空気調和・衛生工学会 編:空気調和設備計画設計の実務の知識、オー

ム社、2010

7)日本建築学会:拡張アメダス気象データ 1981-2000Expanded

AMeDASWeatherData、鹿児島TLO、2005

【謝辞】

熱・換気回路網計算プログラムNETS(研究教育版)は、奥山博康先生(神

奈川大学)のご厚意で利用させていただいた。記して謝意を表します。

*1大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 博士前期課程

*2大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 准教授・博士(工学)

*3大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 教授・博士(工学)

*4大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 助教・博士(工学)

*5大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻 教授・工学博士

Graduate Student, Division of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka UniversityAssociate Prof., Division of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka University, Dr. Eng.Prof., Division of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka University, Dr. Eng.Assistant Prof., Division of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka University, Dr. EngProf., Division of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka University, Dr. Eng.

図 4 シャフト頂部の換気量(CASE1 ~ 4)

-50000

-25000

0

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Hei

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Case1

Case2

Case3Case4

図 5 日中の室内換気量及び自然室温の鉛直分布(CASE1 ~ 4)

して 5〜 10倍の換気量を確保できていることが分

かる。Case2は 3× 3mと現実的なシャフトサイズ

であるが、このサイズでも安定してプラス側の換

気量を示すことが分かる。

 10/18 午後(12 〜 16 時)で、Case3 がプラス

(シャフトから外気側)であるのに対して Case4 は

マイナス(外気からシャフト側)を示すように、

異なる箇所も見られる。室内発熱による温度差換

気が行われている日中に、シャフト頂部からの逆

流は望ましくない。図3のシャフト温度において、

Case4で多少の上下温度分布が発生している箇所に

対応しており、大きな外気温変動はないことから、

外部風向・風速および日射量の変動に起因するこ

とが予想されるが、明確な原因は不明である。差

圧変動のチェックを要すること、また計算時間間

隔の精度検証も今後の課題である。

(3)室内換気量及び自然室温の鉛直分布 比較的大

きな換気量が得られ、前述のシャフトでの逆流も

ほぼ発生していない代表日として、10/18の室内換

気量と室内温度について、日中の 9〜 18時の時間

平均値の鉛直分布(1F、4F、7F、10F、13Fの 4層)

を図 5に示す。前述(2)(3)での Case1 での換

気量が小さいことによる室温上昇、および Case3

と Case4 では換気量が大きく室温低下し、同等の

値を示すことが分かる。Case1は鉛直方向の温度分

布が大きく、下層階と上層階で最大で約 3℃の差

が見られる。Case2は換気量は Case3と Case4 の約

60%であるが、鉛直分布は小さく、温度分布も最大

でも約 0.6℃と、Case3 と Case4 同様に室内発熱の

除去のために十分な換気が行われている。

4.まとめ

極端な仮定下での限られたケースについての例

題計算ではあるが、シャフトサイズが自然換気量

や自然室温に及ぼす影響について検討した。今後

は、計算精度の確認を行うとともに、体系的な種々

の条件での解析を行っていく予定である。