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9 1) 明治大学大学院農学研究科 214 8571 神奈川県川崎市多摩区東三 1 1 1 2) 明治大学農学部 214 8571 神奈川県川崎市多摩区東三田 1 1 1 3) 明治大学生殖内分泌学研究所 214 8571 神奈川県川崎市多摩区東 三田 1 1 1 E-mail: tomurahmeiji.ac.jp; TEL: 044 934 7825; FAX: 044 934 7825 9 明治大学農学部研究報告 65巻-第 1 号(20159 16 〔総 説〕 創薬のターゲットとしての ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 持丸 雄太 1) ・戸村 秀明 1)2)3) 20149 27日受理) Ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 as a target of innovative drug development Yuta MOCHIMARU 1) and Hideaki TOMURA 1)2)3) Abstract Ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 (OGR1) is a member of G-protein-coupled receptors (GPCRs). The receptor has a unique characteristic that senses extracellular protons and activates multiple signaling pathways. Recent studies show this particular GPCR plays a pivotal role in the response to cancer cells, skeletal cells, vascular cells, nerve cells, immune cells and endocrine cells. In this review, we summarize the recent studies of OGR1 and discuss about the possibilities that OGR1 can be a new target of innovative drug development. Ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 (OGR1)は,G タンパク質共役型受容体(G-protein- coupled receptor; GPCR)の一種である。OGR1は細胞外プロトンの変化を感知し,多様なシグナル系を活性 化するというユニークな特徴を持つ。近年この受容体が,がん細胞,骨細胞,血管細胞,免疫細胞や内分泌細 胞において多様な応答を引き起こすことが明らかにされつつある。本総説では OGR1 研究の現状を紹介し, また OGR1 の創薬のターゲットとしての可能性について言及する。 キーワードOGR1G タンパク質共役型受容体,プロトン . はじめに Ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 (OGR1)は,G タンパク質共役型受容体(G-protein- coupled receptor; GPCR)の一種である。GPCR は細 胞膜を 7 回貫通する構造を有し,そのタンパク質の N 末端は細胞外に,C 末端は細胞内を向いている。 GPCR は光,匂い,味などの生体外からの,または ホルモン,オータコイド(ヒスタミンやプロスタグラ ンジンなど,局所的に産生・放出され,その近傍で作 用し,分解または取り込まれる生理活性物質),イオ ン,神経伝達物質などの生体内からの刺激を受け取 り,三量体 G タンパク質と呼ばれる GTP 結合タンパ ク質を介して,細胞内へその刺激情報を伝達する。 GPCR は酵母からヒトまで見出されており,進化的 に保存されている。ヒトではゲノム解析により,約 800種類の GPCR が存在することが,明らかにされ, 受容体の中で最大のファミリーを形成している Fredriksson et al, 2003)。GPCR はその膜貫通部分

創薬のターゲットとしての ovarian cancer G-protein …...創薬のターゲットとしてのovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 持丸 雄太 1)・戸村 秀明)2)3)

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    1) 明治大学大学院農学研究科 2148571 神奈川県川崎市多摩区東三

    田 1112) 明治大学農学部 2148571 神奈川県川崎市多摩区東三田 1113) 明治大学生殖内分泌学研究所 2148571 神奈川県川崎市多摩区東

    三田 111

    E-mail: tomurah@meiji.ac.jp;

    TEL: 0449347825; FAX: 0449347825

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    明治大学農学部研究報告 第65巻-第 1 号(2015)9 ~ 16

    〔総 説〕

    創薬のターゲットとしての ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1

    持丸 雄太1)・戸村 秀明1)2)3)

    (2014年 9 月27日受理)

    Ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 as a target of innovativedrug development

    Yuta MOCHIMARU1) and Hideaki TOMURA1)2)3)

    AbstractOvarian cancer G-protein-coupled receptor 1 (OGR1) is a member of G-protein-coupled receptors (GPCRs).

    The receptor has a unique characteristic that senses extracellular protons and activates multiple signaling

    pathways. Recent studies show this particular GPCR plays a pivotal role in the response to cancer cells,

    skeletal cells, vascular cells, nerve cells, immune cells and endocrine cells. In this review, we summarize the

    recent studies of OGR1 and discuss about the possibilities that OGR1 can be a new target of innovative drug

    development.

    要 旨 Ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 (OGR1)は,G タンパク質共役型受容体(G-protein-

    coupled receptor; GPCR)の一種である。OGR1は細胞外プロトンの変化を感知し,多様なシグナル系を活性

    化するというユニークな特徴を持つ。近年この受容体が,がん細胞,骨細胞,血管細胞,免疫細胞や内分泌細

    胞において多様な応答を引き起こすことが明らかにされつつある。本総説では OGR1 研究の現状を紹介し,

    また OGR1 の創薬のターゲットとしての可能性について言及する。

    キーワードOGR1,G タンパク質共役型受容体,プロトン

    . はじめに

    Ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1

    (OGR1)は,G タンパク質共役型受容体(G-protein-

    coupled receptor; GPCR)の一種である。GPCR は細

    胞膜を 7 回貫通する構造を有し,そのタンパク質の

    N 末端は細胞外に,C 末端は細胞内を向いている。

    GPCR は光,匂い,味などの生体外からの,または

    ホルモン,オータコイド(ヒスタミンやプロスタグラ

    ンジンなど,局所的に産生・放出され,その近傍で作

    用し,分解または取り込まれる生理活性物質),イオ

    ン,神経伝達物質などの生体内からの刺激を受け取

    り,三量体 G タンパク質と呼ばれる GTP 結合タンパ

    ク質を介して,細胞内へその刺激情報を伝達する。

    GPCR は酵母からヒトまで見出されており,進化的

    に保存されている。ヒトではゲノム解析により,約

    800種類の GPCR が存在することが,明らかにされ,

    受容体の中で最大のファミリーを形成している

    (Fredriksson et al, 2003)。GPCR はその膜貫通部分

  • ― 10 ―― 10 ―

    明治大学農学部研究報告 第65巻-第 1 号(2015)

    のアミノ酸配列の相同性から,大きく 6 種のクラス

    に分類される(Fredriksson et al, 2003)。

    OGR1 は,ロドプシンクラスに属している(大嶋

    et al, 2014)。このクラスの GPCR を活性化するリガ

    ンドには,光,匂い,神経伝達物質などのさまざまな

    ものが含まれており,GPCR クラスの中で最大数の

    GPCR が,このクラスに存在している。OGR1 はロ

    ドプシンクラス内で,GPR4, G2A や T cell death-

    associated gene 8 (TDAG8)と呼ばれる GPCR と,

    ひとつのサブファミリーを形成している(OGR1 フ

    ァミリー)。このファミリーは,lysophosphatidylcho-

    line (LPC)や sphingosylphosphorylcholine (SPC)

    といった脂質性メディエーターにより活性化されると

    の報告が,最初になされた(Xu, 2002)。OGR1 に関

    しては,SPC がリガンドであり,アゴニストとして

    OGR1 を活性化させるとの報告が,最初になされた。

    SPC は,ヒト甲状腺がん細胞の細胞内へのカルシウ

    ム流入(Afrasiabi et al, 2006),ヒト脂肪組織由来間

    葉系幹細胞の増殖(Jeon et al, 2006)や,エンドトキ

    シンによる組織障害を軽減する(Murch et al, 2008)

    作用を持つ,生理活性脂質である。しかしながらこの

    報告は,SPC の OGR1 への結合実験の再現性の問題

    から撤回された。SPC が OGR1 のリガンドである可

    能性は,現在否定的である。一方,このファミリー

    が,細胞外 pH の低下に伴い(プロトン濃度の増加に

    伴い)活性化するプロトン感知性受容体でもあるとの

    報告が,その後になされた(Ludwig et al, 2003)。

    G2A に関しては,プロトン感知に重要なヒスチジン

    残基がマウス G2A では保存されていないことなどか

    ら,この GPCR がプロトン感知性 GPCR であるかど

    うかに関しては,疑問が呈されている(Radu et al,

    2005)。現在では,OGR1, TDAG8, GPR4 は,プロト

    ン感知性 GPCR であるとのコンセンサスが得られて

    いる。

    これら 3 種類のプロトン感知性 GPCR のうち

    OGR1 は,その発現が骨代謝に関与する細胞種に観

    察されることがその最初の報告(Ludwig et al, 2003)

    でなされたため,骨粗しょう症に対する新たな創薬の

    ターゲットとなりうるのではないかとの期待から,特

    にその機能に注目が集まっている。現在まで,骨代謝

    に関与する細胞種には,OGR1 が高発現している一

    方,GPR4 の発現は低い。また後述するように,

    OGR1 は骨代謝関係以外の細胞にもその発現が観察

    されており,種々の機能を調節していることも,明ら

    かとなりつつある。OGR1 の活性化は図 1 の A に示

    すように,主に Gq/11/phospholipase C (PLC)/inositol

    triphosphate-Ca2+ 系の活性化を引き起こすことが,

    知られている(Ludwig et al, 2003)。これに対して

    GPR4 や TDAG8 の活性化は,Gs/adenylyl cyclase

    (AC)/cAMP 系の活性化を引き起こすことが,報告

    されている(Ishii et al, 2005; Ludwig et al, 2003;

    Wang et al, 2004)。一般に Gq/11/PLC/inositol triphos-

    phate-Ca2+ 系と Gs/AC/cAMP 系の活性化は,それ

    ぞれ促進と抑制といった逆の細胞応答を引き起こすこ

    とが多い。一例として,炎症性サイトカイン産生の制

    御を図 1 の B に示す。OGR1 の活性化は,炎症性サ

    イトカインの産生を促進させるが(Ichimonji et al,

    2010),TDAG8 の活性化は,その産生を抑制すると

    の報告がなされている(Mogi et al, 2009)。炎症は,

    細菌感染などで生体が障害を受けた際におこる応答で

    あり,「発熱,腫脹,発赤,疼痛,機能障害」を主症

    状とする。TNFa や IL6 に代表される炎症性サイ

    トカインは,全身または局所の炎症応答を促進し,免

    疫担当細胞を炎症部位に呼び込むことで,感染した細

    菌の排除や障害された部分の修復に関与している。し

    かしながら,過剰な炎症反応や持続した炎症反応は,

    逆に組織を障害したり,自己免疫疾患を誘発したりす

    る。このような理由により,炎症応答を適度に抑制す

    る薬物の開発が,これまでも進められてきた。OGR1

    は,特に免疫細胞にその高い発現が観察される一方,

    免疫細胞における GPR4 の発現は低い。上記の結果

    は,OGR1 が炎症応答に対する新たな創薬のターゲ

    ットのひとつとなりうることを示している。

    薬のターゲットとして GPCR は,これまでも注目

    を集めてきており,現在使用されている臨床薬の約 3

    割は,GPCR をターゲットとしていると言われてい

    る(Overington et al, 2006)。OGR1 のように促進性

    の応答を示す GPCR は,薬剤のターゲットとして利

  • ― 11 ―― 11 ―

    OGR1 と生体機能 

    用しやすいために,特にその機能の解析が注目されて

    いる。本稿では OGR1 研究の現状を,その機能を中

    心に紹介する。

    . OGR1 のリガンド

    OGR1 と GPR4 は細胞外の酸性化を感知して,活

    性化するというプロトン感知性受容体であることが報

    告された(Ludwig et al, 2003)。OGR1 の活性化機構

    として,プロトン濃度の増加が OGR1 の細胞外領域

    に存在するヒスチジン残基をプロトン化させ,結果と

    して受容体の構造が活性化型に変化するというモデル

    が提出されている(Ludwig et al, 2003)。活性化した

    GPCR は,abg サブユニットからなる三量体 G タン

    パク質を活性化し,その下流に位置する各種シグナル

    系を活性化する。三量体 G タンパク質にはいくつか

    の種類が存在し,その種類の違いによって活性化され

    る下流のシグナルも異なる(大嶋 et al, 2014)。図 1

    の A に示すように,プロトンは OGR1/Gq/11 を介し

    て PLC / inositol triphosphate-Ca2+ 系を活性化させ

    ることが,示された(Ludwig et al, 2003)。一方,

    GPR4 は,Gs/AC/cAMP 系を活性化することが同報

    告で示されたことから,これら受容体が活性化する

    シグナル系は,異なるものとされた(Ludwig et al,

    2003)。その後,OGR1 が G12/13 を介して Rho を活性

    化し Rac1 を抑制することで,細胞の遊走を阻害する

    との報告もなされている(Li et al, 2013)。これらの

    報告は,OGR1 が異なる種類の三量体 G タンパク質

    を活性化し,その下流の異なるシグナルを活性化する

    ことを示している。また OGR1 は,Gs/AC/cAMP 系

    の活性化を引き起こすことも報告されているが,これ

    は OGR1 を過剰発現して得られた結果であるため,

    内在的に OGR1 が発現している細胞の応答を,その

    まま再現しているかどうかに関しては,注意が必要で

    ある(Mogi et al, 2005)。いずれにしても,OGR1

    が PLC/inositol triphosphate-Ca2+ 系を活性化させる

    ことは,いままで多くの報告で観察されていることか

    ら,この受容体は主にこの系を介して,細胞応答を引

    き起こしているものと推察される。GPR4 に関しても

    同様に,G12/13/Rho 系,PLC/ inositol triphosphate-

    Ca2+ 系の活性化が観察されるが,メインの経路は

    Gs/AC/cAMP 系であり,OGR1 とは異なる特性を有

    している(図 1A)。組織外液の酸性化に伴って,細

    胞応答が変化することはよく知られている。しかしな

    がらこれまで,これらの応答変化は単に「pH 感受性」

    として片付けられ,そのメカニズムに関してはほとん

    ど明らかとなっていないのが現状である。図 1 の B

    に示すように,OGR1 が,酸性条件下で炎症性サイ

    トカイン産生の促進を引き起こすとの報告は,これま

    で「pH 感受性」とされてきた応答の一部が,OGR1

    によって担われていることを示している(Ichimonji

    et al, 2010)。

    . OGR1 が関与する生体機能

    31. OGR1 とがん

    がん組織は,その急速な成長に血管新生が追い付か

    ないため,組織内に十分な酸素供給がなされずに低酸

    素状態となっている。またがん細胞は,正常細胞に比

    べ解糖系が亢進しているため,低酸素状態では乳酸の

    産生が増加する結果,がん組織内や周囲の組織の pH

    は低下する。細胞外 pH が低下するとがん細胞は,自

    らの代謝を変化させてその増殖や転移を調節する

    (Webb et al, 2011)。しかしながら,がん細胞がどの

    ように細胞外 pH を感知しているのかは,明らかとな

    っていない。OGR1 が,最初に卵巣がん細胞からク

    ローニングされたことから,OGR1 は pH の低下を感

    知して,がん細胞の増殖や転移応答を調節している可

    能性がある。

    生体内におけるがんの増殖や転移の制御には,がん

    細胞自身の機能調節だけではなく,がんに罹患した人

    (宿主側)の細胞の機能調節も重要である。がん細胞

    自身に発現する OGR1 は,ヒト卵巣がん細胞(HEY)

    の増殖や遊走を阻害すること(Ren & Zhang, 2011),

    また,乳がん細胞(MCF7)の遊走を阻害すること

    (Li et al, 2013)が報告されている。これらの結果は,

    がん細胞に発現する OGR1 は細胞外 pH の低下を感

    知して,がん細胞の増殖や転移を抑制する可能性を示

    唆する。実際に前立腺がん細胞(PC3)を用いた移植

    実験では,PC3 の OGR1 の発現量と転移の程度に

  • ― 12 ―― 12 ―

    明治大学農学部研究報告 第65巻-第 1 号(2015)

    は,負の相関関係があることが示されている(Singh

    et al, 2007)。一方,宿主側に発現する OGR1 が,が

    ん細胞の増殖や転移にどのように影響を与えるかに関

    しても,報告がなされている。OGR1 欠損マウス

    (宿主側)では,悪性黒色腫細胞であるメラノーマ

    (B16F10 細胞)の増殖や転移が抑制されることが,

    示されている(Li et al, 2009)。また宿主側の骨髄

    性 細 胞 に 発 現 す る OGR1 が , 前 立 腺 が ん 細 胞

    (TRAMPC2 細胞)の免疫抑制応答に関与すること

    (Yan et al, 2014)が,報告されている。これらの結

    果は,宿主側に発現する OGR1 は,がんの増殖や転

    移に対して,促進的に作用することを示している。

    OGR1 は,がん,骨,肺,血管,神経や内分泌に関

    連する細胞など,広範な細胞にその発現が観察されて

    いるが,特に免疫細胞にその高い発現が観察される。

    宿主側においては,免疫細胞に発現する OGR1 が,

    がん細胞の増殖や転移を制御している可能性がある。

    このように OGR1 は,がん細胞自身に発現してい

    る場合には,がんの増殖や転移に抑制的にはたらき,

    一方,宿主側に発現している場合には,がんの増殖や

    転移に促進的にはたらくという,正反対の作用を示す。

    OGR1 を標的とした抗がん剤を開発する場合には,

    OGR1 の活性化を促進する薬剤は,宿主側の細胞に

    作用させないようにして,がん細胞へ直接届ける必要

    があろう。このため,ミサイル療法を利用するなどの

    くふうが必要となろう。また逆に,OGR1 の活性化

    を阻害する薬剤の場合には,宿主側の細胞にのみ作用

    させて,癌細胞には作用させないようにする必要があ

    る。これは現段階では,むずかしいものと予想される。

    32. OGR1 と骨代謝

    私たちの骨格を構成する骨は,静的な組織ではな

    く,日々その破壊と生成が繰り返される動的な組織で

    ある(骨リモデリング)。骨リモデリングには,骨を

    塩酸で溶かして破壊する破骨細胞と,破壊された部位

    に新たな骨を生成する骨芽細胞が主に関与する。この

    両細胞の活性のバランスによって,一定の骨量が維持

    されている。このバランスがくずれて破骨細胞の活性

    が相対的に高まると,骨粗しょう症などを引き起こす

    ため,破骨細胞と骨芽細胞の活性のバランスを保つメ

    カニズムを探ることは,上記疾患の治療方法の開発へ

    とつながる可能性がある(Manolagas & Jilka, 1995)。

    血液の pH は7.4付近に制御されているが,肺の換

    気不全による二酸化炭素の排出不全や,腎機能の低下

    に伴う有機酸の排出不全などにより,血液の pH が低

    下するアシドーシスと呼ばれる病態が生じる。アシ

    ドーシス時には骨が溶け,尿中にカルシウムが排出さ

    れる(Green & Kleeman, 1991)。また骨の破壊のた

    めに,破骨細胞は塩酸を用いるなど,骨代謝と酸性環

    境の間には密接な関係がある。OGR1 と骨代謝の関

    係に関しても,これまでにいくつかの報告がなされて

    いる。骨芽細胞に関しては,OGR1 が骨芽細胞系の

    細胞に発現し,酸性化に伴い骨芽細胞の PLC/inositol

    triphosphate-Ca2+ 系を活性化させることが,まず示

    された(Ludwig et al, 2003)。その後,ヒト骨芽細胞

    の初代培養系(Tomura et al, 2008)や骨芽細胞株

    (Wang et al, 2012)を用いた解析で,骨芽細胞は酸性

    化に伴い OGR1/Gq/COX2 経路を介して prostaglan-

    din E2 (PGE2)を産生することが示された。マウス

    頭蓋冠由来骨芽細胞を用いた解析では,酸性化に伴い

    OGR1 を介して細胞内 Ca2+ 濃度が上昇すること

    (Frick et al, 2009)が報告されている。骨芽細胞に

    は,破骨細胞活性化因子(RANKL)の発現を介して,

    破骨細胞の骨吸収活性を促進させるはたらきがある。

    細胞内 Ca2+ 濃度の上昇や PGE2 は,骨芽細胞の

    RANKL の発現を上昇させるので,酸性条件下で

    OGR1 は,骨芽細胞による破骨細胞の骨吸収活性を

    促進している可能性がある。一方,破骨細胞自身にも

    OGR1 が発現している。単球から破骨細胞への分化

    時に OGR1 の発現が増加し,その発現や酸性条件下

    での活性化が破骨細胞の分化や骨吸収活性を促進させ

    るとの報告(Iwai et al, 2007; Yang et al, 2006)が

    なされた。プロトンによる OGR1 の活性化は,破骨

    細胞の分化や骨吸収活性を促進させるだけでなく,

    その生存期間を延長させることも報告されている

    (Pereverzev et al, 2008)。

    これらの報告は,OGR1 が骨吸収を促進する可能

    性を示している。しかしながら OGR1 欠損マウスの

  • ― 13 ―― 13 ―

    OGR1 と生体機能 

    骨量は,正常マウスの骨量と比べて軽微な異常しか観

    察されなかった(Li et al, 2009)。この理由として,

    「おわりに」に述べるような可能性が考えられる。

    33. OGR1 と肺機能

    肺は酸素の取り込みと二酸化炭素の排出(ガス交換)

    を行い,生命活動を維持している。このガス交換のう

    ち,二酸化炭素の排出不全は血液の pH の低下をまね

    き,アシドーシスを生じる。そのため肺機能の維持

    は,体内 pH を保つ意味でも重要な役割を担ってい

    る。気管支喘息時には,気管支の収縮によってガス交

    換が障害され,気管組織の酸性化を引き起こすことが

    報告されている(Hunt et al, 2000)。この酸性化が,

    気管支喘息時の気管の収縮や炎症応答に影響を及ぼす

    (Hunt et al, 2000)が,この状況下における OGR1 の

    関与がいくつか報告されている。気管支の収縮に関与

    する気管支平滑筋に関して,ヒト気管支平滑筋の初代

    培養細胞では,酸性化が OGR1/Gq/11 を介して炎症性

    サイトカインの一種である IL6 や,肺のリモデリ

    ングに重要な働きをもつ CTGF (connective tissue

    growth factor)の産生を促進することが報告されて

    いる(Ichimonji et al, 2010; Matsuzaki et al, 2011)。

    また OGR1 欠損マウスは,オボアルブミン誘導性の

    喘息応答に対して抵抗性を持つ。そのメカニズムとし

    て,免疫応答の変化が考えられている。すなわち,オ

    ボアルブミンの抗原提示をする樹状細胞は,免疫応答

    を引き起こすために所属リンパ節(draining lymph

    node)に移動するが,OGR1 欠損マウスではその移

    動が抑制されている(Aoki et al, 2013)。以上の結果

    は,OGR1 がヒトの喘息にも関与する可能性を示唆

    している。

    34. OGR1 と循環器

    血液の pH の低下により血管は弛緩するが,この血

    管の収縮・弛緩は血管平滑筋によって担われている

    (Walley et al, 1990)。ヒト大動脈血管平滑筋細胞で

    は,OGR1 が pH の低下を感知して,COX2 の発現や

    MAPK のリン酸化,血管の弛緩や血小板凝集の阻害

    に関与するプロスタサイクリンの産生を促進すること

    が報告されている(Liu et al, 2010; Tomura et al,

    2005)。また,心筋梗塞の回復に影響する化合物が

    OGR1 を標的としていること(Russell et al, 2012),

    腎臓上皮系の細胞において OGR1 がプロトン輸送体

    活性を調節していること(Mohebbi et al, 2012)な

    ど,循環器系において OGR1 は種々の応答に関与し

    ている可能性がある。しかしながら現在までに,

    OGR1 欠損マウスでの循環器系の異常は報告されて

    いない。この理由として,「おわりに」に述べるよう

    な可能性が考えられる。

    35. OGR1 と神経

    OGR1 が後根神経節の細胞に発現し,痛覚に関与

    しているのではないかとの報告(Huang et al, 2007)

    や,海馬の神経発生・修復に,OGR1 を刺激する化

    合物が関与するとの報告(Schneider et al, 2012),神

    経細胞株(N1E115)では OGR1 が PLC/NOS 経路

    を介して cGMP の産生に関与しているとの報告がな

    されている(Kotake et al, 2014)。cGMP の産生は,

    神経の発生や生存に寄与する。このように神経の発

    生,修復,痛覚などの応答に,OGR1 が関与する可

    能性が示されているが,欠損マウスでの神経系の異常

    は,まだ報告されていない。この理由として,脳内の

    個別の神経では OGR1 の役割があるが,脳全体とし

    ては他の細胞がその機能を代償している可能性のほ

    か,「おわりに」で述べるような可能性が考えられる。

    36. OGR1 と内分泌

    pH の低下により,インスリン分泌が促進するとの

    報告が,なされている(Hyder et al, 2001; Lindstr äom

    & Sehlin, 1986)。しかしながら,そのメカニズムは

    明らかとなってはいない。OGR1 欠損マウスの解析

    の過程で,グルコース刺激による膵 b 細胞からのイ

    ンスリン分泌が,部分的に障害されていることが報告

    された(Nakakura et al, 2012)。また,OGR1 が内分

    泌器官である下垂体前葉の S100陽性細胞と呼ばれる

    細胞に発現し,ラット下垂体の初代培養系では,pH

    低下に伴って炎症性サイトカイン(IL6)の産生を

    引き起こすことが,最近報告された(Horiguchi et

  • ― 14 ―

    図 プロトン感知性 GPCR に共役する三量体 G タンパク質と主に活性化するシグナル伝達系(A ),OGR1 とTDAG8 を介した炎症性サイトカイン産生の調節(B)三量体 G タンパク質(Gs, G12/13, Gq/11)との共役の強さを,丸の大きさで表す。PLC: phospholipase C, AC:adenylyl cyclase

    図 OGR1 が関わる生理,病態生理的な応答のまとめがんの増殖や転移に関して,抑制応答を青字で,促進応答を赤字で示した。がん細胞とがんに罹患した宿主(マウス)に発現す

    る OGR1 は,がんの増殖や転移に対して逆の作用を示す。

    表 OGR1 欠損マウスの系統と表現型

    概 要マウスの種類

    アリル名文 献

    破骨細胞形成の異常と腫瘍形成の減少

    C57BL/6Gpr68tm1.1YaxuGpr68tm1Yaxu

    Liu et al, 2009

    グルコース刺激によるインスリン分泌の減少

    C57BL/6Gpr68tm1.1AhaGpr68tm1Aha

    Nakakura et al,2012

    前立腺がんの浸潤を抑制 C57BL/6 Yan et al, 2012

    喘息性炎症と気道過敏の軽減

    BALB/cGpr68tm1.1AhaGpr68tm1Aha

    Aoki et al, 2013

    ― 14 ―

    明治大学農学部研究報告 第65巻-第 1 号(2015)

    al, 2014)。下垂体の炎症時に観察される pH の低下に

    より,IL6 の産生が引き起こされ,炎症の増悪に関

    与する可能性が言及されている。この点は,今後の研

    究の進展に伴い明らかにされていくものと思われる。

    これらの知見は,OGR1 がホルモンの分泌や内分泌

    組織の恒常性の維持に,関与することを示している。

    すなわち OGR1 の活性化剤や阻害剤は,ホルモンの

    分泌や内分泌組織の機能を,制御できる可能性がある。

    . おわりに

    これまで述べてきたように OGR1 は,がん,骨,

    肺,血管,神経や内分泌に関連する細胞に発現し,そ

    れらの機能を調節することが示されてきた。OGR1

    欠損マウスの種類と表現型を,表 1 としてまとめ

    た。また,OGR1 の細胞での作用と,欠損マウスで

    の作用を図 2 としてまとめた。図 2 の循環器や神経

    の項で示すように,OGR1 欠損マウスでは,細胞で

    観察された機能から予測される表現型が,観察できて

    いない。これは,それほどめずらしいことではない。

  • ― 15 ―― 15 ―

    OGR1 と生体機能 

    細胞と異なり生体では,一部の機能が欠失しても,そ

    の機能を代償する機構が存在し,正常個体との機能の

    差が,一見すると観察されない例は多い。OGR1 の

    欠損に関しては,TRP (transient receptor potential)

    チャンネルや ASIC (acid-sensing ion channel)など

    のプロトン感知性のイオンチャンネルが,OGR1 の

    作用を代償している可能性や,未知の pH 感知性受容

    体が,その作用を代償している可能性がある。また

    GPR4 も,Rho 経路は OGR1 と同様に活性化される

    ので,Rho 経路を介した応答は,GPR4 がその機能を

    代償する可能性がある。これら代償機能により,一見

    して正常に見える機能も,生体に負荷をかけることに

    より,その代償能力に限界を生じさせると,表現型が

    顕在化してくるものと予想される。すなわち通常の

    飼育状態では,血液の pH はほぼ7.4付近に保たれ

    ているために,OGR1 の活性化が非常に低く抑え

    られており,異常が検出されないが,血中の pH が

    低下する病態時に,その欠損の影響が観察されるよう

    になるのかもしれない。今後は,TRP, ASIC, GPR4

    や TDAG8 が欠損した動物と,OGR1 欠損マウスの

    掛け合わせの解析の他,虚血モデル・炎症モデル・肺

    機能不全モデル・腎不全モデルや糖尿病性ケトアシ

    ドーシスモデルなど,血中の pH が低下するモデルマ

    ウスを用いたさらなる解析を行うことで,OGR1 の

    機能が明らかになっていくと共に,これら病態に対す

    る治療薬のターゲットとして,OGR1 の重要性も明

    らかとなっていくものと期待される。

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