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27 年度京都大学ジョン万プログラム スタンフォード VIA プログラム 報告書 所属 医学部医学科 学年 氏名 増尾優輝 1.プログラムで学んだことの概要 私は、3/13-27 にかけて(応募は前年の 11 月上旬)、VIA EHC プログラムに参加し、初めの 1 週間はサンフ ランシスコ、残りの 1 週間はスタンフォード大学近郊にて研修を行った。プログラムで学んだことを、①英語、 ②医学知識の 2 つの観点から述べる。 1英語に関して、留学期間中は完全に英語漬けの環境に浸ることが出来、ネイティブスピーカーが話し言葉で どのような表現を多用するかを注意深く聞きながら生活することによって、自らのリスニング・スピーキング の両方の能力を向上させることが出来た。英語圏に留学したのは今回が初めてだったため、至る所で英語を使 ってコミュニケーションをとる練習が出来て、非常に充実した滞在となった。また、日本に帰国後も継続的に 英語の学習をするモチベーションとなった。 2医学知識に関して、日本ではあまり勉強する機会のない事柄について多く学ぶことが出来た。具体例を挙げ ると、日米の医療制度の違い、LGBTLGBT とはゲイ・レズビアン・トランスジェンダー・バイセクシュア ルのことを意味していました。サンフランシスコには世界最大級の LGBT community があり、多くのゲイの 人々が集まって生活している地区があります。)の人々が抱える問題、脳死臓器移植に関する議論、ホスピス ケアの難点などについて詳しい知識を得ることが出来た。また、私はこの 4 月から、病院での臨床実習を控え ているが、その開始直前に患者中心の医療が目指すべき理想であるというお話をたくさんの病院専門職の方々 から伺うことが出来たのは、非常に良い刺激となった。 2.ⅰ ) プログラムに参加して良かった点 プログラムにおいて、最も刺激的だったのは、Stanford University Hospital Emergency Room における shadowing である。Shadowing とは、医師の後ろにつき、その仕事内容を観察するような見学型の病院実習 である。今回は、90 分という短時間の間に 4 人の患者を診察することが出来た。診断においてキーとなる質 問の仕方や患者との丁寧なコミュニケーションの取り方のなど、臨床実習開始直前の私にとって、勉強になる ことは非常に多かった。また、驚いたことの 1 つに、ER の入り口に金属探査機があったことである。受診す る全ての患者及びその家族は、荷物のチェックを受けてから病院内に入ることが出来るそうだ。日本との状況 の違いに大変驚いた。 ) 予想と異なった点があれば記入してください。 アメリカが日本と比べて大きな国であることはわかっていたが、移動時間が長い日が多く、時間がも ったいなく感じたことがあった。特にサンフランシスコとスタンフォードを何往復もしたので、その 点はプログラムの改善点かもしれない。 3.プログラム参加によって、今後自身の将来にどのように生かすことができるか プログラムに参加することによって、海外で(とくにアメリカで)働くことに対する明確なビジョンを持つこ とが出来た。やはり、メリットとしては、より優秀な人が世界中から集まる場所で仕事が出来ること、ワーク ライフバランスを自分で設定しやすいことなどが挙げられるだろう。一方で、言葉や文化の壁は想像以上に大 きなものであるだろうし、キャリアの築き方が日本よりも難しいかもしれない。 また、プログラム中には、アメリカで働く日本人医師・日本人研究者の両方のお話を伺う機会があった。どち

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27 年度京都大学ジョン万プログラム スタンフォード VIA プログラム 報告書

所属 医学部医学科 学年 4 氏名 増尾優輝

1.プログラムで学んだことの概要 私は、3/13-27にかけて(応募は前年の 11月上旬)、VIA EHCプログラムに参加し、初めの 1週間はサンフランシスコ、残りの 1週間はスタンフォード大学近郊にて研修を行った。プログラムで学んだことを、①英語、②医学知識の 2つの観点から述べる。 1英語に関して、留学期間中は完全に英語漬けの環境に浸ることが出来、ネイティブスピーカーが話し言葉で

どのような表現を多用するかを注意深く聞きながら生活することによって、自らのリスニング・スピーキング

の両方の能力を向上させることが出来た。英語圏に留学したのは今回が初めてだったため、至る所で英語を使

ってコミュニケーションをとる練習が出来て、非常に充実した滞在となった。また、日本に帰国後も継続的に

英語の学習をするモチベーションとなった。 2医学知識に関して、日本ではあまり勉強する機会のない事柄について多く学ぶことが出来た。具体例を挙げ

ると、日米の医療制度の違い、LGBT(LGBTとはゲイ・レズビアン・トランスジェンダー・バイセクシュアルのことを意味していました。サンフランシスコには世界最大級の LGBT communityがあり、多くのゲイの人々が集まって生活している地区があります。)の人々が抱える問題、脳死臓器移植に関する議論、ホスピス

ケアの難点などについて詳しい知識を得ることが出来た。また、私はこの 4月から、病院での臨床実習を控えているが、その開始直前に患者中心の医療が目指すべき理想であるというお話をたくさんの病院専門職の方々

から伺うことが出来たのは、非常に良い刺激となった。

2.ⅰ ) プログラムに参加して良かった点 プログラムにおいて、最も刺激的だったのは、Stanford University Hospital Emergency Room における

shadowing である。Shadowing とは、医師の後ろにつき、その仕事内容を観察するような見学型の病院実習である。今回は、90 分という短時間の間に 4 人の患者を診察することが出来た。診断においてキーとなる質問の仕方や患者との丁寧なコミュニケーションの取り方のなど、臨床実習開始直前の私にとって、勉強になる

ことは非常に多かった。また、驚いたことの 1つに、ERの入り口に金属探査機があったことである。受診する全ての患者及びその家族は、荷物のチェックを受けてから病院内に入ることが出来るそうだ。日本との状況

の違いに大変驚いた。 ⅱ ) 予想と異なった点があれば記入してください。

アメリカが日本と比べて大きな国であることはわかっていたが、移動時間が長い日が多く、時間がも

ったいなく感じたことがあった。特にサンフランシスコとスタンフォードを何往復もしたので、その

点はプログラムの改善点かもしれない。 3.プログラム参加によって、今後自身の将来にどのように生かすことができるか プログラムに参加することによって、海外で(とくにアメリカで)働くことに対する明確なビジョンを持つこ

とが出来た。やはり、メリットとしては、より優秀な人が世界中から集まる場所で仕事が出来ること、ワーク

ライフバランスを自分で設定しやすいことなどが挙げられるだろう。一方で、言葉や文化の壁は想像以上に大

きなものであるだろうし、キャリアの築き方が日本よりも難しいかもしれない。 また、プログラム中には、アメリカで働く日本人医師・日本人研究者の両方のお話を伺う機会があった。どち

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らの方も、アメリカでの滞在をプラスに捉えられていたので、私自身も将来海外で勤務することを肯定的に考

えるきっかけとなった。 4.スタンフォードでの研修を通して何を得たか、得られた新たな視点について 新たに得られた視点として 1つ目に挙げられるのは、将来の医師としての理想像である。日本の他大学の医学生、スタンフォード大学の医学生、スタンフォード大学医学部の教授の先生方と交流することで、医師に求め

られる条件を今まで以上に頭の中で明確にすることが出来た。実際に医師として働いている先生方の多くは、

患者の話をよく聞くこと、患者の状況をより深く理解しようと心掛けることがいかに大事であるかを何度も強

調されていた。スタンフォード大学の医学生は医学以外にも幅広く学問に興味を持っていて、医学においても

イノベーションの考え方を導入しようとしている姿勢には大いに刺激を受けた。医師になった時に、広い視野

で病院全体の状況を俯瞰出来れば、病院に対してまた違った意味で貢献できると感じた。参加者の医学生はみ

な、知的好奇心に溢れていた。医学の世界は、未だ原因のわからないことが多いため、医師になっても好奇心

を持ち続けることが大切であると感じた。 他に得られてこととして、病院実習中には、積極的な姿勢を持つことが大事であると感じた。多くの場合、担

当して頂く医師は忙しく、自分から積極的に行動を起こさないと単に見学しているだけで終わってしまう。学

生として時間に余裕があることを最大限利用して、患者と多くのコミュニケーションを取り、治療方針を考え

て自らそれを指導医に提案することが出来れば、実習の効果を向上させることが出来ると感じた。また、疑問

に思ったことはなるべくすぐに質問し、その場で解決することで、効率よく記憶を定着させることも有効であ

ると感じた。 5.その他生活面についての感想(宿泊先、食事等) 宿泊に関しては、1週目はサンフランシスコ中心にある Good Hotel、2週目はスタンフォード大学近くにある Creekside Innに滞在した。どちらのホテルも目立った問題はなく、快適に過ごすことが出来た。Creekside Innに関しては、ロビーで朝食をとることが出来、コーヒー・パンともに美味しかった。食事に関しては、昼はサン

ドイッチやハンバーガーといったアメリカらしいものを食べることが多かった。一方、晩ご飯に関しては、タイ

料理、ベトナム料理、メキシコ料理、イタリア料理、中華料理など様々なジャンルを試すことが出来た。1つだけ問題があるとすれば、サンフランシスコは非常に物価が高いことである。昼ごはんですら 10ドル程度することもあった。 6.自由記述欄 本プログラムの参加者は、京大生 5人だけでなく、日本各地の医学生約 30人であった。普段は、大学の授業や実習で忙しいため、なかなか他大学の学生と交流する機会はないが、今回の留学では 2週間の時間を共有することが出来て、他の参加者と大変仲良くなることが出来た。大学が異なれば、教育システムが異なることがわかり、

京大のメリット・デメリットを知ることが出来た。また、参加者には、優秀で真面目な学生が多く、自身の勉強

に対するモチベーションを向上させることが出来た。 今回の留学は、たった 2週間ではあったものの、非常に有意義な時間を過ごすことが出来た。金銭面においても、大学に多額の援助をして頂き、大変感謝している。本当にありがとうございました。

文章の全部または一部あるいは京都大学側で要約したものを、他の学生の今後の参考のため、京都大学のホームペー

ジや出版物に掲載することについて 認める (どちらかに○をつけてください。)

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