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2007年6月16日
都市の温暖化と自然を活かした暑さ対策
社会環境システム研究領域社会環境システム研究領域
一ノ瀬 俊 明
本日の話題本日の話題
1. 都市の温暖化とは?1. 都市の温暖化とは?
2 地域特有の自然を活用した暑さ対策2. 地域特有の自然を活用した暑さ対策
海風+河川の復元・・・ソウル市
山風を利用した都市計画・・・ドイツ
3. 長野市の山風利用の可能性を探る
4 今後の展望4.今後の展望
都市の温暖化・・・100年間で3℃(東京)
・熱帯夜,熱中症の増加・冷房使用量の増加冷房使用量の増加
℃
気温温
熱を出す エアコン 自動車熱を出す
熱を貯める
エアコン・自動車
コンクリ-ト・アスファルト舗装熱を貯める
クリ ア ァ 舗装建物の集中
都市の熱画像(東京都港区)
昼間
夜27℃ 32℃
夜
31℃25℃
日射遮蔽
排熱の利用
屋上緑化太陽電池 屋内通風
排熱の利用
高反射性塗料 断熱明色塗装
地域熱供給断熱
省 ギ
開放水面
緑地公園省エネルギー
開放水面
パークアンドライド保水性舗装
パ クアンドライド
主な都市熱環境(ヒートアイランド)対策
〈特長〉・手間がかからない(設置・管理)・環境に負荷を与えない
風の道
環境に負荷を与えない・半永久的に利用可能
=
風の道持続可能な天然の資源
=
2003年6月 ソウル市清渓川(チョンゲチョン)の復元都市河川→暗渠化・高架道路(1950年代~)
2003年6月
自然と共生するまちづくり
河川など都市内の水面は都市の夏の暑さを軽減
2006年夏都心における清流の大規模な復活
→ ソウル市政府のチャレンジ→ 暑さをやわらげる効果検証
2006年夏
→ 暑さをやわらげる効果検証都市開発の流れが変わる!
2002年末に韓国気象庁気象研究所より協力依頼2002年末に韓国気象庁気象研究所より協力依頼我々(日本側)独自の視点「自然を利用した都市の再開発事例」
ソウル市周辺の地勢(ASTER衛星画像)ソウル
黄海 ソウル市周辺の地勢(ASTER衛星画像)
(2004年4月17日)
ソウル(内陸へ約40km)
陸海
海風
陸海
清渓川
清渓川
黄海
清渓川
黄海 ソウル市漢江
観測の風景観測の風景
観測の風景観測の風景
観測の風景観測の風景
観測の風景観測の風景
観測の風景観測の風景
観測の風景観測の風景
☆地表面から大気への熱の流れを計測する
清渓川の復元により清渓川の復元により☆地表面から大気に伝わる熱の流れが大きく減少
~~~~ ~復元前:
500 W/m2 1m500 W/m 1m~~
復元後:200 W/m2
1m200 W/m
20m
350m 450m
20m
200m
冷気80m
40m
海風冷気
40m
冷気
75m 75m
40m
清渓川
冷気
40m
冷気
復元された河川上の空気が
冷気
河川復元による暑熱緩和効果が実感されるには復元された河川上の冷気が南北に直交
復元された河川上の空気が西風(海風)卓越時に直交する南北街路までに及ぶ河川上の冷気が南北に直交
する街路に供給されるか?
ソウルの観測結果
• 河川が流れている方向に沿って、海風が吹くと、河川から周辺地域への冷気の供給が見られる
• 『風の道』に沿った大規模河川の復元は
暑熱環境の改善に有効であることが本調
査で証明された査で証明された
ドイツの風の道のメカニズムガ など 実践例が有名シュツットガルトなどでの実践例が有名
フライブルク
冷気の生成冷気の生成
冷気流
シュツットガルト山風の利用
風の道を採り入れた開発例 イブ ク市近郊 リ ゼ ドフライブルク市近郊 リーゼルフェルド
下水処理場跡地に住宅団地を計画下水処理場跡地に住宅団地を計画
夜間に東方の谷から吹いてくる山 を導 やす 街路を設計山風を導入しやすい街路を設計
(大気汚染と暑さの軽減)
長野は日本のシュツットガルト? 長野県長野市(人口約38万人)日本のシュツットガルト? 長野県長野市(人口約38万人)
800
500600
700800
地附山大峰山
徳間小学校浅川
400葛山
長野地方気象台
冷気流
山風
700 旭山
長野地方気象台
裾花川
500
600
700
800 長野県庁
400中高層建築物長野駅
N
0 1km 2km
山風がもたらす気温の低下
500600
700800
地附山大峰山
徳間小学校浅川
400
500葛山
長野地方気象台
700 旭山
長野地方気象台
裾花川
冷
500
600
700
800
旭山
長野県庁
裾花川
温400
中高層建築物長野駅
N
温
0 1km 2km
地表面温度分布(2003年7月28日早朝)
13℃
善光寺
緑地の多い低層地域
歴史的景観
16℃
21℃
長野駅高層商業地域住宅地
裾花川裾花川
地域特有の『風の道』を活用したスケールの大きい暑さ対策
• 海風+水面• 山風による冷気流
『冷房+扇風機』と類似した相乗冷却効果
=• 山風による冷気流 した相乗冷却効果
効果的な『風の道』確保と水面の配置の必要性水面の配置の必要性
クリマアトラスクリマアトラスの活用
暑さ対策を考慮した「まちづくり」への提言
都市環境気候図(クリマアトラス)
都市計画・建築計画に気候調査の結果を活かす
都市環境気候図(クリマアトラス)
建 気ために、その重要な要点を地図上に表現したもの(森山,2005)
必要な知識と情報を表現していること住民にもわかりやすいものであること
(b)山風非吹走地点
(a)山風吹走地点
(長野市街中心部)
(m)
400
500600
700800
400
500
600
700
800
中高層建築物
葛山
地附山大峰山
旭山
長野地方気象台
長野県庁
徳間小学校
裾花川
浅川
長野駅
N
クリマアトラス
意思決定(市民 プ ナ専門家(気候学者)
0 1km 2km クリマアトラス
(市民、プランナー、行政官、専門家)
専門家(気候学者)による基礎資料
都市計画図など
山風に着目した長野のクリマアトラス(街づくりへの提言)
400
500600
700800
葛山
地附山大峰山
徳間小学校浅川
(街 くり の提言)
必要な知識と情報を表現していること住民にもわかりやすいものであること
400
500
600
700
800
中高層建築物
旭山
長野地方気象台
長野県庁
裾花川
長野駅
N 400
500600
700800
葛山
地附山大峰山
長野地方気象台
徳間小学校浅川
0 1km 2km
400
500
600
700
800
中高層建築物
旭山
長野地方気象台
長野県庁
裾花川
長野駅
N
0 1km 2km 山風が強く比較的低温な地域緑 減 気流 熱
山風(?)と地覆により低温な地域広い道路と低層建築
森林・緑地歴史的景観
衛星からみた長野市の概観 緑地の減少による気流の加熱や高層化による山風の減衰を回避
冬季の寒冷対策は?
高層化による山風の減衰を回避門前町としての歴史的景観の保全
商業地域住宅地
山風は到達するものの人工的な土地利用により
比較的高温な地域高層建築と広い道路(地上の風の道?)
卓越風向を考慮した開発
車規制
山風を通すための県庁移転
暗渠となっている用水路を開渠とする
県庁移転東西、南北方向の主道路をグリーンベルトとする山風
小学校グラウンドの緑化
山風の通り道山風の通り道
長野駅善光寺口、東口
一体化
実際に、科学的な裏づけを持って地域特有の自然を活かしたまちづくりを実現するための手助けとしてクリマアトラスの作成の意義は大きい。
新たな都市開発理論、科学的「風水」の構築へ。
今後の展望
・都市の自然を活かした暑さ対策は、その地域(都市)特有の自然 気候条件(海風 山風 緑地 河川)を活用するという意味で然・気候条件(海風・山風、緑地・河川)を活用するという意味で、特殊素材等の導入に比べ空間スケールの大きな対策となりうる。
その地域(都市)特有の自然・気候条件を活用する暑さ対策は、持続可能性大。さらにエネルギーやコストの面での検討が必要。
研究者 行政官 デザイナ 市民が クリマアトラスを用いた研究者、行政官、デザイナー、市民が、クリマアトラスを用いたステークホルダー(利害関係者)間の議論を通じて合意形成を進めていく必要がある。めていく必要がある。