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1 FCG-J ユーザーセミナー 水島 2017123FieldComm Group © 2017 既存設備にHARTを導入する際の注意とその効果 日本フィールドコムグループ 理事長 津金宏行

既存設備にHARTを導入する際の注意とその効果...HARTで追加された機能を活用しなければ、運用は従来通りです 現在の運用に大きなギャップを発生させない

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1 FCG-J ユーザーセミナー 水島

2017年1月23日 FieldComm Group © 2017

既存設備にHARTを導入する際の注意とその効果

日本フィールドコムグループ 理事長 津金宏行

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既存設備にHARTを導入する際の注意とその効果

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何故HARTなのか 導入する際の注意 導入効果は

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何故HARTなのか

世界標準として名実ともに普及している 既存設備が原則そのまま利用可能 現在の運用に大きなギャップを発生させない

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ARCレポートより ARC Advisory Groupの調査では、設置されたすべてのフィールドデバイスのうち 46%(3200万台)がHART通信に 2011年末には3500万台、2012年末には3730万台に到達する予定 圧力・差圧発信機では出荷される73%がHART仕様である

2011年7月発表 2014年には400万台とのこと

http://www.automation.com/automation-news/industry/arc-says-hart-is-the-leader-in-communications

HARTは4-20mAに互換があります 多くの4-20mA機器がHART対応を標準あるいはオプションで用意しています 1500を超える種類のデバイスがHART対応済

世界標準として名実ともに普及している

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HART Analog

空気

35.5% 64.5%

世界標準として名実ともに普及している

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HART対応調整設定機器を使う ハンドヘルドやタブレットPCに調整ソフトを載せて利用ください 調整ソフトは無償版を含め数多くあります USBで接続する通信モジュール(HARTモデム)であれば¥25,000(税抜)

あるいは160US$から入手可能です(amazon us) 外付けHART通信機器を使う

調査目的であえれば仮設でタブレットPCをHARTモデムでつなげると手軽です

据置型を外付けにすれば盤内工事が必要となりますが、フィールド工事とコントローラの改造は一切不要です

HART対応IO HART通信機能に対応したコントローラ用IOに交換すれば、盤工事が不

要の場合もあります

既存設備が原則つかえる

4-20mA機器をHART機器に交換した後は通信するための準備が必要

連続

モニタリング

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機材が変わるが基本はいままで通り

HART付に交換

HART対応調整設定器

盤内工事は不要 コントローラ改造必要

分岐配線

盤内工事は必要 コントローラ改造不要

既存設備が原則つかえる

コントローラがサポートしている場合

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HART化してもいままで通り使うことが出来ます HARTで追加された機能を活用しなければ、運用は従来通りです

現在の運用に大きなギャップを発生させない

他の多くのシステム変更とは違い、HART化してもいままで通りの運用も可能です 逆に言えば、段階的に、あるいは必要な範囲に限定し準備を進め逐次拡大することが可能です

次回フィールド機器を購入する際には迷わずHART仕様を選択ください

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導入する際の注意 どの規模で導入すればよいか 導入したけど通信できないということはあるか 4-20mA信号に影響はないか

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HARTならあらゆる規模から導入できます 1ループ単位

特定のデバイスの機能を活用する PH計の電極寿命を監視したい

複数選択的 特定のデバイスタイプの機能を活用する

バルブの監視を強化したい

一括 デバイスによらずすべての機器を対象に活用する

ループ検査作業を効率化

どの規模で導入すればよいか

目的、予算に応じて適用範囲を決定できます また、段階的に広げてゆくことができます

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ノイズで通信できない場合があります

ループにノイズが乗る ループにHART周波数に近いノイズが乗ると通信できません ノイズは動力線から乗る場合が多く、ケーブルのシールドや動力線と

の遮断が不適切な場合に発生します 数百ループある中の数ループで発生するケースや、特定ユニットまわ

りすべてで発生する場合があります

導入したけど通信できないということはあるか

事前にループノイズを確認する

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デジタル通信の場合はノイズによって通信エラーが発生します 特に既設配線を利用する場合は注意ください アナログ4-20mAでは問題なくてもインバータなどの電気信号からのノイ

ズがしばしばHART通信を阻害することが見受けられます。 特に動力ケーブルとセパレータがなく並行している場合には影響されま

す ノイズで通信できない場合はケーブルの引き直しなどの対策が必要とな

ります (オシロスコープで簡単に観測できるので事前に確認できます)

トレイ

JB

導入したけど通信できないということはあるか

波形①

波形②

動力ケーブル

計装ケーブル

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HART通信が出来ない (5ms/±500mVレンジ) ノイズ 波形①

導入したけど通信できないということはあるか

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並行部分(数メートル)を引き直した結果 HART通信が可能(5ms /±500mVレンジ)

波形② ノイズ 導入したけど通信できないということはあるか

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HART波形

コマンド レスポンス

導入したけど通信できないということはあるか

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導入後に気が付くことがないように少なくとも数ループは確認する

4-20mA計装でテスターが必須であったようにHART通信ではオシロスコープが必要になります

とはいっても2200Hz波形が測定出来れば十分なので10MHz以上の帯域があれば十分です

市販のパソコン用USBタイプオシロ(2~3万円)のもので十分です

USBオシロの例

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IOカード、各種補機の確認

HART信号を透過しない補機がある(HART IOの場合) ディストリビュータ、アイソレータなどが通信を透過しな場合、透過タイ

プに交換する HART信号を吸収する機器

ノイズ除去用コンデンサが大きいとHART信号が減衰して通信しません IO自身が信号を吸収してしまう場合がある

導入したけど通信できない

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導入したけど通信できないということはあるか

ループ仕様としてHART機器の利用が許容されていれば心配はありませんが HART普及以前のコントローラや補機はHART通信を阻害する場合があります

ノイズがない場合でも

ディストリビュータ バリア アレスタ

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導入したけど通信できないということはあるか

ループ仕様としてHART機器の利用が許容されていれば心配はありませんが HART普及以前のコントローラや補機はHART通信を阻害する場合があります

ノイズがない場合でも

ディストリビュータ バリア アレスタ

この構成で実績があっても

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導入したけど通信できないということはあるか

ループ仕様としてHART機器の利用が許容されていれば心配はありませんが HART普及以前のコントローラや補機はHART通信を阻害する場合があります

ノイズがない場合でも

ディストリビュータ バリア アレスタ

この構成で実績があっても

ここからは通信しない場合もある

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導入したけど通信できないということはあるか

ノイズがない場合でも

ディストリビュータ バリア アレスタ

この構成で実績があっても ここからは通信する

ここはダメでも

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HART信号で誤動作 AOでは自己診断異常の懸念があります AIでは信号がばらつく可能性があります

4-20mA信号に影響はないか

お使いのループの各要素がHART通信を考慮した設計か否かを確認ください HART普及以前の機器は必ず確認ください

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D/A

A/D

自己診断

D/A

A/D

自己診断

Filter

HART信号

HART信号

HART信号を考慮

HART信号を想定していない

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Filter A/D

HART周波数を遮断

Filter A/D

HART周波数考慮していないと

HART信号により値がばらつく

PLCなどスキャンレートの高いものは注意

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HARTのメリット

導入しただけで 得られるメリット

導入後活用することで得られるメリット

利用研究することで得られる メリット

1次

2次

3次

リモート操作による作業時間の短縮・安全 作業のシステム化による効率化 デジタル化による精度の向上 情報量の増加による視野の拡大 総合的な設備コストの削減

機器情報を整理し保全方法の見直し 機器自己診断による気づき 情報活用のマネージメントが必要となる

データ活用による新たなる発見 データアナリスト

得られるメリットを一般的に分類すると

1次メリットと投資がバランスすれば普及が加速する 2次、3次は導入しなければ得られない

現実

期待

導入効果は

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
投資側の説明を強化する
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HART活用効果 マルチバリアブル機器の変数取り込みコスト削減

コリオリ流量計の密度、バルブ開度など本来取り込んで活用すべき情報を強化できます 特にバルブ開度の監視はプロセスの安定に良い結果をもたらす確率が高いので取り込みコストを抑えて実現性を高める IOカードの追加、現場への配線確保が不要にできる 他の方法にくらべもっとも費用削減が可能と考えられる

これらの効果は必要なループに限定することで投資を抑えることもできます

導入効果は

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HART活用効果 リモートで様々な作業が可能となる(作業時間短縮)

現場まで行くことなく調整・設定が可能なのは確実に作業時間短縮、安全作業を実現する

作業時間短縮を目的とした投資であれば非常に高い投資効果がある フィールド機器を常時モニタリング強化(監視強化)

計器の状態監視をより高い頻度で実現する 既存計装設備に影響を与えず独立して追加することが可能 現場の監視力強化を目的とした投資であれば非常に高い投資効果が

ある

これらの効果はHART化率が高いほど効果が得られます 上記を達成目標とした場合は少なくとも50%以上のHART化率がないと実感は乏しいものとなります HART化のための費用が上記の効果にバランスするかとの判断で決定するとよい

導入効果は

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診断への期待

診断効果に対し期待が非常に高い 診断は個別機器とそのアプリケーションに大きく依存する HARTが提供できるのは診断を利用する環境であって、診断そのものではない ただし、診断を利用しやすくする努力は継続的におこなっている

XXの診断を導入したいのでHARTを採用する

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期待

診断への期待

現実

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運用に関する注意 新しい技術を導入した場合は習熟がかかせません HARTを4-20mA機器として利用するだけなら特に新しいことはありません HARTの特長を活かし活用するためには、そのための仕組みを日常作業に

新たに追加してゆかなければなりません

教育による習熟 PDCA(マネージメント) 診断を活用するための作業時間

HARTであれば1ループから始められるので教育用のコストも低減可能

導入効果の維持・定着

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最後に

FCGグループ(標準化)

各ベンダー(実装)

各ユーザ(利用)

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データ

データサイエンティスト

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ご清聴ありがとうございました

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