4
資本金 1 億円以下のひ孫会社が中小租特の対象外、判定条文が変更も No.789 2019.6.3 4 平成31年度税制改正で実施された法人税 関係の中小企業向けの各租税特別措置等(以 下、中小租特)における「みなし大企業」の 範囲の見直しは、要するに「みなし大企業」 の範囲の拡大であり、逆に言えば、中小租特 の適用範囲は従来より狭められたことにな る。具体的には、みなし大企業の判定上、大 規模法人に次の2つの法人が加えられている。 ・大法人の 100% 子法人 ・100%グループ内の複数の大法人に発 行済株式又は出資の全部を保有されて いる法人 (注)「大法人」とは資本金の額又は出資 金の額が 5 億円以上である法人をいう。 ここでいう中小租特とは、中小企業投資促 進税制等の投資減税、中小企業技術基盤強化 税制(研究開発税制)、所得拡大促進税制 (中小向け部分)等を指す。これらの中小租 特は文字通り中小企業の脆弱な財務基盤に配 慮した優遇税制であり、従来も、例えば資本 金 1 億円以下の法人であっても発行済株式等 (※平成31年度税制改正により、自己株式 等を除外)の50%以上が同一の大規模法人 (資本金の額等が 1 億円を超える法人など) に保有されている法人(子会社)は適用対象 外とされていたが、その子会社の子会社(孫 会社)は中小租特が使用できる状態だった。 こうした孫会社を優遇措置の対象とするのは 不適当との判断から、今回、みなし大企業の 範囲の更なる拡大(厳格化)が行われたとい う経緯がある。 平成 31 年度税制改正では、中小企業技術基盤強化税制など法人税関係の中小企業向けの租 税特別措置等(以下、中小租特)における「みなし大企業」の範囲が見直されている。 この改正により「大法人の 100% 子法人」や「100% グループ内の複数の大法人に発行済 株式又は出資の全部を保有されている法人」が大規模法人に加えられた結果、グループ内の孫 会社・ひ孫会社で資本金 1 億円以下の法人であっても、大規模法人に株式を所有されるものの うち一定のものは中小租特の適用を受けられなくなるケースや、みなし大企業に該当するかど うかの判定条文が変わり(措令27条の4第12項一号→二号)、中小租特が使用できなくなる ケースなどが生じる。 本特集では、みなし大企業の判定に際し注意が必要な事例を図解とともに解説する。 図解「みなし大企業」の範囲 図解「みなし大企業」の範囲 「みなし大企業」の範囲見直しの概要

図解「みなし大企業」の範囲 - lotus21.co.jp · 6. No.789 2019.6.3. 租特の適用対象とされていた。 しかし今回の改正により、大法人との間に

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 図解「みなし大企業」の範囲 - lotus21.co.jp · 6. No.789 2019.6.3. 租特の適用対象とされていた。 しかし今回の改正により、大法人との間に

資本金1億円以下のひ孫会社が中小租特の対象外、判定条文が変更も

No.789 2019.6.34

 平成31年度税制改正で実施された法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置等(以下、中小租特)における「みなし大企業」の範囲の見直しは、要するに「みなし大企業」の範囲の拡大であり、逆に言えば、中小租特の適用範囲は従来より狭められたことになる。具体的には、みなし大企業の判定上、大規模法人に次の2つの法人が加えられている。

・大法人の100%子法人・100%グループ内の複数の大法人に発

行済株式又は出資の全部を保有されている法人

(注)「大法人」とは資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人をいう。

 ここでいう中小租特とは、中小企業投資促

進税制等の投資減税、中小企業技術基盤強化税制(研究開発税制)、所得拡大促進税制

(中小向け部分)等を指す。これらの中小租特は文字通り中小企業の脆弱な財務基盤に配慮した優遇税制であり、従来も、例えば資本金1億円以下の法人であっても発行済株式等

(※平成31年度税制改正により、自己株式等を除外)の50%以上が同一の大規模法人

(資本金の額等が1億円を超える法人など)に保有されている法人(子会社)は適用対象外とされていたが、その子会社の子会社(孫会社)は中小租特が使用できる状態だった。こうした孫会社を優遇措置の対象とするのは不適当との判断から、今回、みなし大企業の範囲の更なる拡大(厳格化)が行われたという経緯がある。

 平成31年度税制改正では、中小企業技術基盤強化税制など法人税関係の中小企業向けの租税特別措置等(以下、中小租特)における「みなし大企業」の範囲が見直されている。 この改正により「大法人の100%子法人」や「100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を保有されている法人」が大規模法人に加えられた結果、グループ内の孫会社・ひ孫会社で資本金1億円以下の法人であっても、大規模法人に株式を所有されるもののうち一定のものは中小租特の適用を受けられなくなるケースや、みなし大企業に該当するかどうかの判定条文が変わり(措令27条の4第12項一号→二号)、中小租特が使用できなくなるケースなどが生じる。 本特集では、みなし大企業の判定に際し注意が必要な事例を図解とともに解説する。

図解「みなし大企業」の範囲図解「みなし大企業」の範囲

「みなし大企業」の範囲見直しの概要

テキストボックス
最新号を含む見本誌を無料で進呈しております。下記よりご請求下さい。
テキストボックス
◉週刊T&Amaster 商品概要 https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_2531.html ☎0120-6021-86  見本誌請求 http://www.lotus21.co.jp/mihonsi.html           無料立読みサイト http://www.lotus21.co.jp/ta
Page 2: 図解「みなし大企業」の範囲 - lotus21.co.jp · 6. No.789 2019.6.3. 租特の適用対象とされていた。 しかし今回の改正により、大法人との間に

No.789 2019.6.3 5

 今回の改正は、中小企業技術基盤強化税制の対象となる「中小企業者」の意義について定めた措置法施行令第27条の4第12項を見直すことにより行われている(他の中小租特における中小企業者の定義は、中小企業技術基盤強化税制における中小企業者の定義を引

用)。改正後の条文は下記の通り。 なお、中小企業者等の法人税率の特例(中小軽減税率)は既に同様の措置が導入済みであることから、今回の改正の対象とはなっていない。

 みなし大企業の範囲の拡大を受け、今後慎重を期す必要があるのが、持分関係が何階層にも及ぶ企業グループの下位層の法人に対する中小租特の適用の可否判定だ。従来は中小租特の適用を受けることができた資本金1億円以下の法人が、今回の改正により中小租特の適用対象外となるケースが出て来る。 まずは最もシンプルな事例から見てみよう。従来、発行済株式等の50%以上が資本

金1億円を超える法人等に保有されている法人は、中小租特の適用対象外とされていた。このため、図1のケースでは、資本金が1億円を超える親会社の100%子会社である「普通法人A(資本金1億円以下)」は今回の改正前から中小企業者に該当せず、中小租特の適用対象外だった。これに対し、孫会社である法人Bは、資本金1億円以下の「普通法人A」の子会社であることから、改正前は中小

12 法第四十二条の四第八項第六七号(編注:中小企業者に該当する法人として政令で定めるもの)に規定する政令で定める中小企業者ものは、資本金の額若しくは出資金の額が一億円以下の法人のうち次に掲げる法人以外の法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が千人以下の法人とする。一 その発行済株式又は出資(その有する自己の株式又は出資を除く。次号において同じ。)の総数又は総額の二分の一以上が同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が一億円を超える法人又は、資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が千人を超える法人又は次に掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除く。次号において同じ。)の所有に属している法人イ 大法人(次に掲げる法人をいう。以下この号において同じ。)との間に当該大法人による完全支配関係(法人税法第二条第十二号の七の六に規定する完全支配関係をいう。ロにおいて同じ。)がある普通法人(1)資本金の額又は出資金の額が五億円以上である法人(2)略(3)略ロ 普通法人との間に完全支配関係がある全ての大法人が有する株式(略)及び出資の全部を当該全ての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合において当該いずれかの一の法人による完全支配関係があることとなるときの当該普通法人(イに掲げる法人を除く)

二 前号に掲げるもののほか、その発行済株式又は出資の総数又は総額の三分の二以上が大規模法人の所有に属している法人

租税特別措置法施行令27条の4 ※赤字が改正部分

グループの下位層の法人に対する適用の可否判定は慎重に

テキストボックス
最新号を含む見本誌を無料で進呈しております。下記よりご請求下さい。
テキストボックス
◉週刊T&Amaster 商品概要 https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_2531.html ☎0120-6021-86  見本誌請求 http://www.lotus21.co.jp/mihonsi.html           無料立読みサイト http://www.lotus21.co.jp/ta
Page 3: 図解「みなし大企業」の範囲 - lotus21.co.jp · 6. No.789 2019.6.3. 租特の適用対象とされていた。 しかし今回の改正により、大法人との間に

No.789 2019.6.36

租特の適用対象とされていた。 しかし今回の改正により、大法人との間に当該大法人「による」完全支配関係がある普通法人Aは、上記一号イ(1)より大規模法人に該当することとなった。その結果、大規模法人たる普通法人Aにより50%以上の株式を保有されている法人Bは、(今回の改正前から存在している)一号により、中小租特の適用対象外となる。 より難解なのが、持分関係が何階層にも及ぶ企業グループに属し、企業グループの頂点にある法人や、自社及び自社の株式を直接保有する法人の資本金がともに1億円以下である場合における中小租特の適用の有無の判定

だ。図2のケースでは、資本金1億円以下の中小法人のひ孫会社に当たる法人Dは従来は中小租特の適用対象となっていたが、改正後は中小租特の適用対象外となる。 普通法人Cは、大法人との間に当該大法人

「による」完全支配関係がない(企業グループの頂点にある資本金1億円以下の法人「による」完全支配関係はあるが、当該法人は大法人ではない。また、AやBは大法人だが、それぞれCに対する持株割合は50%であり、A「による」完全支配関係、B「による」完全支配関係はない)ことから、上記一号イ

(1)上は大規模法人に該当しないこととなる。しかし、一号ロに当てはめてみると、普

配偶者居住権(1,000万円)預貯金1,500万円

負担付の所有権(1,000万円)預貯金1,500万円

 特別寄与料の額を定めるに当たっては、現行の寄与分(第904条の2)において、相続人が自ら被相続人に対する療養看護を行った場合と概ね同様の取扱いがされると考えられる。

【現行実務の代表的な考え方】 第三者の日当額 × 療養看護日数 × 裁量割合

※第三者に療養看護に当たらせた場合に負担すべき費用の支出を免れていると考える。※「第三者の日当額」については介護報酬基準額(注)を用いる考え方もある。※裁量割合については、介護報酬基準額が、有資格の介助者のサービスについて、介護機関に対して支払われるべきものであることを考慮し、減額をするもの。

 実務上、0.5~0.8等が一般的であるとの指摘がある。

(注)介護報酬基準額目安  身体介護(排泄、食事介助、入浴等)  20分以上30分未満 2,450円  30分以上1時間未満 3,888円  1時間 5,640円          (30分ごとに800円加算)

2,000万円

中小機構(大規模法人)

事業会社A(大規模法人)

その他(中小法人)

資本金5億円

100%

100%

出資(40%)

出資(30%)

出資(30%)

資本金5千万円

内国法人

外国関係会社事業要件資産割要件収入割要件

子会社(外国法人)

資本金3千万円

中小企業投資促進税制等の適用対象外

大規模法人の所有70%

3,000万円

配偶者居住権(1,000万円)

負担付き所有権(1,000万円)

遺 産

(出典:法務省)

(出典:法務省)

(出典:法務省)

(出典:自民党税制調査会)

建物の相続税評価額 - 下記②

×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

建物の相続税評価額

法定耐用年数(非事業用)-築年数-居住権の存続年数※1

法定耐用年数(非事業用)-築年数

土地の相続税評価額 × 存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

×土地の相続税評価額

存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率 ×土地の相続税

評価額存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

※1 存続年数は、配偶者の平均余命年数を上限とする。※2 敷地に対する権利は、小規模宅地等の特例の対象とする。

①配偶者居住権(建物)

土地の相続税評価額 - 下記④③配偶者居住権(敷地に対する権利)※2

②建物所有権

④土地所有権

介 護

×

被相続人

長女 次男 亡き長男 長男の妻

金銭請求

措置法のみなし大企業【みなし大企業に該当する例】

法人税法のみなし大企業

事業承継ファンド

出資(100%)

大規模法人からの出資割合:70%

中小企業税制適用不可

C社(資本金1億円以下)

生活援助(掃除、洗濯、一般的な調理等) 20分以上45分未満 1,830円 45分以上 2,250円

被相続人を2年間、1日合計1時間程度介護していた場合特別寄与料=約6,000円 × 365日 × 2 年 × 0.7(裁量割合)≒約300万円※各相続人は、算定された特別寄与料に各相続人の相続分を乗じた額について支払の責任を負う。

上記の計算によった場合の算定例

◯ 同一の大規模法人に発行済株式(※)の1/2以上を直接に保有されている資本金1億円以下の法人

◯ 複数の大規模法人に発行済株式(※)の2/3以上を直接に保有されている資本金1億円以下の法人

◯ 大法人に発行済株式の全部を直接・間接に保有されている資本金1億円以下の法人

◯ 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を直接・間接に保有されている資本金1億円以下の法人

大規模法人• 資本金1億円超の法人• 非出資で従業員数1,000人超の法人

《改正案》• 100%グループ内の大法人(資本金5億円以上の法人、相互会社・外国相互会社(注)又は受託法人)に発行済株式の全部を直接・間接に保有されている法人

大法人(注)• 資本金5億円以上の法人•相互会社、外国相互会社•受託法人(注1)いわゆる「大法人(資本金1億円超の法人)」とは異なる。

(注2)100%グループ企業の一体性に着目したもの。

(大規模法人)

みなし大企業

(大規模法人)

みなし大企業

みなし大企業

(大規模法人)

みなし大企業

(大法人)

(出典:自民党税制調査会)

(出典:自民党税制調査会)

(出典:自民党税制調査会)

(注)常時使用従業員数が1,000人超のもの。

中小機構事業会社A

(大規模法人)その他

(中小法人)

出資(40%)

出資(30%)

出資(30%)

大規模法人の所有70%

事業承継ファンド(※)

出資(100%)

中小企業税制

C社(資本金1億円以下)

※資本金1億円以下の事業者のうち、以下は大企業とみなす。 ①発行済株式等の1/2以上を同一の大規模法人が所有 ②発行済株式等の2/3以上を複数の大規模法人が所有

大規模法人の所有等株式等に含まないこととする。

(※)中小企業等経営強化法に基づく認定を受けたもの

適用可能

①中小企業投資促進税②商業・サービス業・農林水産業活性化税制③中小企業経営強化税制④被災代替資産等の特別償却⑤防災・減災設備の特別焼却【新設】

(※)発行済株式から自己株式を除くこととする。

現  行 改 正 案

現  行 改 正 案

大規模法人からの出資割合:30%

25%以上

内国法人

外国関係会社(管理支配会社)

事業要件被管理支配要件資産割要件収入割要件

外国関係会社A(被管理支配会社)

外国関係会社B(被管理支配会社)

部分対象外国関係会社

→経済活動基準を 満たす

→Bにとって特定子会社

→Aにとって特定子会社 (他の被管理支配会社)

内国法人

外国関係会社(管理支配会社)

事業要件被管理支配要件資産割要件収入割要件

外国関係会社A(被管理支配会社)

外国関係会社B(被管理支配会社)

→不動産業 経済活動基準を満たす

→Aにとって特定子会社 (他の被管理支配会社)不動産

内国法人

外国関係会社(管理支配会社)

事業要件被管理支配要件資産割要件収入割要件

外国関係会社(被管理支配会社)

管理支配

不動産

内国法人

外国関係会社(≠管理支配会社)

外国関係会社A(被管理支配会社)

外国関係会社(管理支配会社)

部分対象外国関係会社

管理支配

管理支配

管理支配

管理支配

管理支配

【図表1】配偶者居住権

【図表1】範囲の適正化(案)

【図表2】事業承継ファンドから出資を受けた場合の中小企業投資促進税制等の適用の特例(案)

【図表3】研究開発税制の見直し(案)

【図表3】相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)

【図表3】特別寄与料の額を定める際における現行実務の代表的な考え

【図表2】配偶者居住権の相続税の評価方法親会社

吸収合併

株主

子会社 消滅会社

親会社株式の付与

〈現行制度上「適格」と認められる三角合併〉

親会社

吸収合併

株主

子会社 消滅会社

親会社株式の付与

〈改正により「適格」とすることが検討される三角合併〉

総額型 一般試験研究費に係る税額控除

税額控除率

控除上限

試験研究費の増減に応じ、6%~14%※(中小法人:12%~17%※)

法人税額の25%*中小法人:10%上乗せ(増加率5%超の場合)※*試験研究費が平均売上金額の10%超の場合:0~10%上乗せ※

(*:高水準型との選択)

高水準型(30年度末期限)税額控除率控除上限

(試験研究費割合-10%)×20%

法人税額の10%

オープンイノベーション型 特別試験研究費に係る税額控除

税額控除率控除上限

特別試験研究費の内容に応じ、20%or30%

法人税額の5%(一般試験研究費とは別枠)

対象範囲

総額型

税額控除率

控除上限

法人税額の25%(研究開発を行う一定のベンチャーは40%)*中小法人:10%上乗せ(増加率8%超の場合)※*試験研究費が平均売上金額の10%超の場合:0~10%上乗せ※

試験研究費の増減に応じ、6%~14%※(中小法人:12%~17%※)*試験研究費が平均売上金額の10%超の場合: 上記割合×(試験研究費割合-10%)×0.5を加算※

※平成32年度末までの時限措置 総額型の控除率については 大法人:10%超、中小法人:12%超 の部分

・国の試験研究機関等・大学との間の共同・委託研究・民間企業との共同研究、中小企業の知的財産権使用料など

オープンイノベーション型税額控除率控除上限 法人税額の10%(一般試験研究費とは別枠)

対象範囲

・国の試験研究機関等・大学との間の共同・委託研究・民間企業との共同研究、中小企業の知的財産権使用料・民間企業(研究開発型ベンチャーを含む)への委託研究のうち、一定のもの・特定用途医薬品等に関する試験研究 など

特別試験研究費の内容に応じ、20% or 25% or 30%

平均売上金額の10%超の試験研究費に係る税額控除

【図1】輸出売上除外事例【図1】「単純な持株会社」である場合【図1】一号イ該当 【図2】一号ロ該当

【図3】二号該当

【図2(1)】被管理支配会社である持株会社     (兄弟会社あり)

【図3】不動産保有に係る一定の外国関係会社    (不動産業)

【図4】不動産保有に係る一定の外国関係会社    (不動産業以外)

調査法人A (輸出者)

売上先B(輸入者)

決済 70

決済 30

商品

正当な輸出価額100

代表者個人口座

架空の契約アンダープライス価額70

売上除外

国 内 国 外

【図2】輸入水増し仕入事例

調査法人C (輸入者)

仕入先D(輸出者)

決済 130

決済 30

商品

正当な輸入価額100

代表者個人口座

架空の契約オーバープライス価額130

水増し仕入

国 内 国 外

【図2(2)】被管理支配会社である持株会社      (兄弟会社あり)

外国関係会社B(被管理支配会社)

大法人(資本金5億円以上)

普通法人A(資本金1億円以下)

普通法人A(資本金1億円以下)

法人(資本金1億円以下)

普通法人C(資本金1億円以下)

法人D(資本金1億円以下)

法人B(資本金1億円以下)

普通法人B(資本金1億円以下)

=大規模法人

=大規模法人

100%

100%

100%

100% 100%

50% 50%

35%

35%30%

大法人A(資本金5億円以上)

大法人A(資本金5億円以上)

大法人B(資本金5億円以上)

改正前 中小租特可改正後 Aは一号イにより大規模法人

に該当Bは一号により中小租特不可

改正前 中小租特可改正後 Cは一号ロにより大規模法人

に該当、Dは一号により中小租特不可

改正前 中小租特可改正後 AとBは一号イにより大規模法人に該当

Cは二号に該当(35%+35%+30%>2/3)し、中小租特不可

法人C(資本金1億円以下)

100%

100%

【図3】二号該当

普通法人A(資本金1億円以下)

普通法人B(資本金1億円以下)

35%

35%

30%

大法人A(資本金5億円以上)

【改正前】中小租特可【改正後】AとBは一号イにより大規模法人に該当

Cは二号に該当(35%+35%+30%>2/3)し、中小租特不可

法人C(資本金1億円以下)

100%

100%

テキストボックス
最新号を含む見本誌を無料で進呈しております。下記よりご請求下さい。
テキストボックス
◉週刊T&Amaster 商品概要 https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_2531.html ☎0120-6021-86  見本誌請求 http://www.lotus21.co.jp/mihonsi.html           無料立読みサイト http://www.lotus21.co.jp/ta
Page 4: 図解「みなし大企業」の範囲 - lotus21.co.jp · 6. No.789 2019.6.3. 租特の適用対象とされていた。 しかし今回の改正により、大法人との間に

No.789 2019.6.3 7

通法人Cは「普通法人(C)との間に完全支配関係がある全ての大法人(AとB)が有する株式の全部を当該全ての大法人のうちいずれか一の法人(例えばA)が有するものとみなした場合において、当該いずれかの一の法人

(A)による完全支配関係があることとなると

きの当該普通法人(C)」に該当するため、大規模法人となる。その結果、法人D(資本金1億円以下)は、大規模法人たる普通法人Cにより50%以上の株式を保有されていることとなり、一号により中小企業者に該当せず、中小租特の適用対象外となる。

 上述のとおり、「みなし大企業」の範囲の見直し(拡大)は、中小企業技術基盤強化税制の対象となる「中小企業者」の意義について定めた措置法施行令第27条の4第12項を見直すことにより行われているが、今回は二号は改正されていない(5頁の条文参照)。ところが、一号の改正の影響を間接的に受け、これまで二号上は中小租特の適用を受けられていた法人が適用を受けられなくなるケースが出て来る。これに該当するのが図3のようなケースだ。 図3において、普通法人AとBは、一号イにより大規模法人に当たる(大法人「による」完全支配関係があるため)。このケースでは、大規模法人は大法人、A、Bの3社となるが、いずれも1社でCの株式を2分の1以上保有していないことから、一号は判定に使えない(一号では、発行済株式又は出資の総数又は総額の二分の一以上が「同一の」大規模法人の所有に属している、とあるため)。そこで、資本金1億円以下である法人Cは二号により「みなし大企業」に該当するかどうかを判定にすることとなる。 二号上、「その発行済株式又は出資の総数又は総額の三分の二以上が大規模法人の所有に属している法人」はみなし大企業に該当することになるが、法人Cは、いずれも大規模

法人に該当することとなる「大法人」「普通法人A」「普通法人B」により全ての株式を保有されていることから「みなし大企業」に該当し、中小租特の適用は受けられないことになる。

配偶者居住権(1,000万円)預貯金1,500万円

負担付の所有権(1,000万円)預貯金1,500万円

 特別寄与料の額を定めるに当たっては、現行の寄与分(第904条の2)において、相続人が自ら被相続人に対する療養看護を行った場合と概ね同様の取扱いがされると考えられる。

【現行実務の代表的な考え方】 第三者の日当額 × 療養看護日数 × 裁量割合

※第三者に療養看護に当たらせた場合に負担すべき費用の支出を免れていると考える。※「第三者の日当額」については介護報酬基準額(注)を用いる考え方もある。※裁量割合については、介護報酬基準額が、有資格の介助者のサービスについて、介護機関に対して支払われるべきものであることを考慮し、減額をするもの。

 実務上、0.5~0.8等が一般的であるとの指摘がある。

(注)介護報酬基準額目安  身体介護(排泄、食事介助、入浴等)  20分以上30分未満 2,450円  30分以上1時間未満 3,888円  1時間 5,640円          (30分ごとに800円加算)

2,000万円

中小機構(大規模法人)

事業会社A(大規模法人)

その他(中小法人)

資本金5億円

100%

100%

出資(40%)

出資(30%)

出資(30%)

資本金5千万円

内国法人

外国関係会社事業要件資産割要件収入割要件

子会社(外国法人)

資本金3千万円

中小企業投資促進税制等の適用対象外

大規模法人の所有70%

3,000万円

配偶者居住権(1,000万円)

負担付き所有権(1,000万円)

遺 産

(出典:法務省)

(出典:法務省)

(出典:法務省)

(出典:自民党税制調査会)

建物の相続税評価額 - 下記②

×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

建物の相続税評価額

法定耐用年数(非事業用)-築年数-居住権の存続年数※1

法定耐用年数(非事業用)-築年数

土地の相続税評価額 × 存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

×土地の相続税評価額

存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率 ×土地の相続税

評価額存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

※1 存続年数は、配偶者の平均余命年数を上限とする。※2 敷地に対する権利は、小規模宅地等の特例の対象とする。

①配偶者居住権(建物)

土地の相続税評価額 - 下記④③配偶者居住権(敷地に対する権利)※2

②建物所有権

④土地所有権

介 護

×

被相続人

長女 次男 亡き長男 長男の妻

金銭請求

措置法のみなし大企業【みなし大企業に該当する例】

法人税法のみなし大企業

事業承継ファンド

出資(100%)

大規模法人からの出資割合:70%

中小企業税制適用不可

C社(資本金1億円以下)

生活援助(掃除、洗濯、一般的な調理等) 20分以上45分未満 1,830円 45分以上 2,250円

被相続人を2年間、1日合計1時間程度介護していた場合特別寄与料=約6,000円 × 365日 × 2 年 × 0.7(裁量割合)≒約300万円※各相続人は、算定された特別寄与料に各相続人の相続分を乗じた額について支払の責任を負う。

上記の計算によった場合の算定例

◯ 同一の大規模法人に発行済株式(※)の1/2以上を直接に保有されている資本金1億円以下の法人

◯ 複数の大規模法人に発行済株式(※)の2/3以上を直接に保有されている資本金1億円以下の法人

◯ 大法人に発行済株式の全部を直接・間接に保有されている資本金1億円以下の法人

◯ 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を直接・間接に保有されている資本金1億円以下の法人

大規模法人• 資本金1億円超の法人• 非出資で従業員数1,000人超の法人

《改正案》• 100%グループ内の大法人(資本金5億円以上の法人、相互会社・外国相互会社(注)又は受託法人)に発行済株式の全部を直接・間接に保有されている法人

大法人(注)• 資本金5億円以上の法人•相互会社、外国相互会社•受託法人(注1)いわゆる「大法人(資本金1億円超の法人)」とは異なる。

(注2)100%グループ企業の一体性に着目したもの。

(大規模法人)

みなし大企業

(大規模法人)

みなし大企業

みなし大企業

(大規模法人)

みなし大企業

(大法人)

(出典:自民党税制調査会)

(出典:自民党税制調査会)

(出典:自民党税制調査会)

(注)常時使用従業員数が1,000人超のもの。

中小機構事業会社A

(大規模法人)その他

(中小法人)

出資(40%)

出資(30%)

出資(30%)

大規模法人の所有70%

事業承継ファンド(※)

出資(100%)

中小企業税制

C社(資本金1億円以下)

※資本金1億円以下の事業者のうち、以下は大企業とみなす。 ①発行済株式等の1/2以上を同一の大規模法人が所有 ②発行済株式等の2/3以上を複数の大規模法人が所有

大規模法人の所有等株式等に含まないこととする。

(※)中小企業等経営強化法に基づく認定を受けたもの

適用可能

①中小企業投資促進税②商業・サービス業・農林水産業活性化税制③中小企業経営強化税制④被災代替資産等の特別償却⑤防災・減災設備の特別焼却【新設】

(※)発行済株式から自己株式を除くこととする。

現  行 改 正 案

現  行 改 正 案

大規模法人からの出資割合:30%

25%以上

内国法人

外国関係会社(管理支配会社)

事業要件被管理支配要件資産割要件収入割要件

外国関係会社A(被管理支配会社)

外国関係会社B(被管理支配会社)

部分対象外国関係会社

→経済活動基準を 満たす

→Bにとって特定子会社

→Aにとって特定子会社 (他の被管理支配会社)

内国法人

外国関係会社(管理支配会社)

事業要件被管理支配要件資産割要件収入割要件

外国関係会社A(被管理支配会社)

外国関係会社B(被管理支配会社)

→不動産業 経済活動基準を満たす

→Aにとって特定子会社 (他の被管理支配会社)不動産

内国法人

外国関係会社(管理支配会社)

事業要件被管理支配要件資産割要件収入割要件

外国関係会社(被管理支配会社)

管理支配

不動産

内国法人

外国関係会社(≠管理支配会社)

外国関係会社A(被管理支配会社)

外国関係会社(管理支配会社)

部分対象外国関係会社

管理支配

管理支配

管理支配

管理支配

管理支配

【図表1】配偶者居住権

【図表1】範囲の適正化(案)

【図表2】事業承継ファンドから出資を受けた場合の中小企業投資促進税制等の適用の特例(案)

【図表3】研究開発税制の見直し(案)

【図表3】相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与)

【図表3】特別寄与料の額を定める際における現行実務の代表的な考え

【図表2】配偶者居住権の相続税の評価方法親会社

吸収合併

株主

子会社 消滅会社

親会社株式の付与

〈現行制度上「適格」と認められる三角合併〉

親会社

吸収合併

株主

子会社 消滅会社

親会社株式の付与

〈改正により「適格」とすることが検討される三角合併〉

総額型 一般試験研究費に係る税額控除

税額控除率

控除上限

試験研究費の増減に応じ、6%~14%※(中小法人:12%~17%※)

法人税額の25%*中小法人:10%上乗せ(増加率5%超の場合)※*試験研究費が平均売上金額の10%超の場合:0~10%上乗せ※

(*:高水準型との選択)

高水準型(30年度末期限)税額控除率控除上限

(試験研究費割合-10%)×20%

法人税額の10%

オープンイノベーション型 特別試験研究費に係る税額控除

税額控除率控除上限

特別試験研究費の内容に応じ、20%or30%

法人税額の5%(一般試験研究費とは別枠)

対象範囲

総額型

税額控除率

控除上限

法人税額の25%(研究開発を行う一定のベンチャーは40%)*中小法人:10%上乗せ(増加率8%超の場合)※*試験研究費が平均売上金額の10%超の場合:0~10%上乗せ※

試験研究費の増減に応じ、6%~14%※(中小法人:12%~17%※)*試験研究費が平均売上金額の10%超の場合: 上記割合×(試験研究費割合-10%)×0.5を加算※

※平成32年度末までの時限措置 総額型の控除率については 大法人:10%超、中小法人:12%超 の部分

・国の試験研究機関等・大学との間の共同・委託研究・民間企業との共同研究、中小企業の知的財産権使用料など

オープンイノベーション型税額控除率控除上限 法人税額の10%(一般試験研究費とは別枠)

対象範囲

・国の試験研究機関等・大学との間の共同・委託研究・民間企業との共同研究、中小企業の知的財産権使用料・民間企業(研究開発型ベンチャーを含む)への委託研究のうち、一定のもの・特定用途医薬品等に関する試験研究 など

特別試験研究費の内容に応じ、20% or 25% or 30%

平均売上金額の10%超の試験研究費に係る税額控除

【図1】輸出売上除外事例【図1】「単純な持株会社」である場合【図1】一号イ該当 【図2】一号ロ該当

【図3】二号該当

【図2(1)】被管理支配会社である持株会社     (兄弟会社あり)

【図3】不動産保有に係る一定の外国関係会社    (不動産業)

【図4】不動産保有に係る一定の外国関係会社    (不動産業以外)

調査法人A (輸出者)

売上先B(輸入者)

決済 70

決済 30

商品

正当な輸出価額100

代表者個人口座

架空の契約アンダープライス価額70

売上除外

国 内 国 外

【図2】輸入水増し仕入事例

調査法人C (輸入者)

仕入先D(輸出者)

決済 130

決済 30

商品

正当な輸入価額100

代表者個人口座

架空の契約オーバープライス価額130

水増し仕入

国 内 国 外

【図2(2)】被管理支配会社である持株会社      (兄弟会社あり)

外国関係会社B(被管理支配会社)

大法人(資本金5億円以上)

普通法人A(資本金1億円以下)

普通法人A(資本金1億円以下)

法人(資本金1億円以下)

普通法人C(資本金1億円以下)

法人D(資本金1億円以下)

法人B(資本金1億円以下)

普通法人B(資本金1億円以下)

=大規模法人

=大規模法人

100%

100%

100%

100% 100%

50% 50%

35%

35%30%

大法人A(資本金5億円以上)

大法人A(資本金5億円以上)

大法人B(資本金5億円以上)

改正前 中小租特可改正後 Aは一号イにより大規模法人

に該当Bは一号により中小租特不可

改正前 中小租特可改正後 Cは一号ロにより大規模法人

に該当、Dは一号により中小租特不可

改正前 中小租特可改正後 AとBは一号イにより大規模法人に該当

Cは二号に該当(35%+35%+30%>2/3)し、中小租特不可

法人C(資本金1億円以下)

100%

100%

【図3】二号該当

普通法人A(資本金1億円以下)

普通法人B(資本金1億円以下)

35%

35%

30%

大法人A(資本金5億円以上)

【改正前】中小租特可【改正後】AとBは一号イにより大規模法人に該当

Cは二号に該当(35%+35%+30%>2/3)し、中小租特不可

法人C(資本金1億円以下)

100%

100%

二分の一以上が「同一の」大規模法人の所有に属さず適用対象外

テキストボックス
最新号を含む見本誌を無料で進呈しております。下記よりご請求下さい。
テキストボックス
◉週刊T&Amaster 商品概要 https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_2531.html ☎0120-6021-86  見本誌請求 http://www.lotus21.co.jp/mihonsi.html           無料立読みサイト http://www.lotus21.co.jp/ta