他事業所に先駆けて Microsoft Office 365 と Microsoft Windows Intune を活用し、情報共有と PC 管理の課題解決へ。さらなる運用を図り、他事業所への展開も目指す

三菱ガス化学株式会社 (以下、MGC) の新潟工場 (以下、NF) では、かねてから懸案だった課題を解決するため、他事業所に先駆けてマイクロソフトのクラウド サービスである Office 365 と Windows Intune を導入。導入には、MGC の系列会社で NF のコンピューター システム管理を行っているエムジーシーコンピュータサービス株式会社新潟事業所 (以下、MGCCS) が行いました。今後はさらなる運用を図り、今回の導入で得られた成果を活用し、全社展開も目指しています。

■ 導入背景とねらい

新しい技術をいち早く使うことで 業務に役立つアイデアや活用が生まれる

新潟空港近くに立地する MGC の有する工場の 1 つである NF は、

天然ガスを利用した技術を基盤とした製品の製造や研究を行っていま

す。海外でのプラント建設や技術指導などにかかわっている社員も多く、

工場内での利便性も考えて、500 台ほどあるクライアント PC の 9 割

はノート PC を利用していると言います。

NF の IT 関連のすべてを担い、システムの整備などを行っている

MGCCS の 星野和男氏は IT 事情を次のように語ります。「われわれは、

NF がシステムの心配なく本来の業務を集中して行えるように、IT の専

門家としてサポートしていく役割があります。MGC 本社 (以下、HO) が

管轄しているシステムを使っているだけでは、NF 特有の活用に不便をき

たすこともあるため、それらを解決する新しい技術も積極的に取り入れ

て、課題解決するようにしています」。

たとえば、 海 外 出 張などが多い NF では、HO が 管 理している

Microsoft® Exchange Server を利用するだけでは、全体のスケジュー

ル管理を海外などで確認することが難しいという問題がありました。ま

た、海外からのアクセス許可の申請など HO へ行う際にも時間がかかっ

ているのが現状です。海外出張者や派遣社員から、PC の管理やセキュ

リティに対する要望も高かったと言います。このような状況の中、シス

テムの導入や運用を支援してきた株式会社ティーケーネットサービス (以

下、ティーケーネットサービス) は、星野氏に Office 365 と Windows Intune を導入してみ

ることを勧めました。ティーケーネットサービス 上席技術顧問 亀谷和美氏は、「新しい技術は、

使ってみることで実際の業務に役立つアイデアが生まれてきます。MGC 様の場合も、NF で

試しに使ってみれば、さまざまな活用方法があ

るのではないかと考えました。クラウド サービ

スであるため、もし使えなくてもすぐにやめる

ことも可能なので試してみる価値があります」

と語ります。

NF だけにシステム導入すると言うと、部分最適

が進むだけと考えられがちですが、星野氏は将

来的な展開も見据えて導入することを考えたと

ソリューション概要

三菱ガス化学株式会社新潟工場

○プロファイル三菱ガス化学株式会社 (以下、MGC) は、メタノール、過酸化水素、電子材料、エンジニアリングプラスチックス、脱酸素剤「エージレス」などの幅広い製品の研究開発を行っています。その中の新潟工場 (以下、NF) は天然ガスの産出地にあり、天然ガスを原料にしたメタノールの合成など、日本初の技術や世界初の技術を数多く確立し、メタノール、アンモニアとそれらの誘導品であるアミン類、メタクリル酸エステル、Q10 などや、合成樹脂、電子工業薬品、バイオケミカルズなどを事業化すると共に、海外への生産技術指導、ライセンス支援などを行っています。

○シナリオ・ 海 外で のプ レ ゼ ンなどで 利 用 する資 料 の 共 有 に

Microsoft® SharePoint® Online を 活 用。 協 力 会 社との 情 報 共 有や共同 作 業を目指すほか、Microsoft® Exchange Online による一元的なスケジュール管理も行う。

・ 海外に持ち出して Microsoft® System Center Configuration Manager の管理下を外れる PC を Microsoft Windows Intune™ でリアルタイム管理。資産管理やリモート アシスタンスによるサポートも行い、PC 管理の効率化を実現。

・ Windows Intune に付属する Microsoft® Windows® 7 Enterprise のサブスクリプションを利用し、アプリケーション仮想化や DirectAccess、Microsoft® BitLocker® による暗号化なども目指す。

○ソフトウェアとサービス・ Microsoft® Office 365・ Microsoft® Windows Intune™

○メリットNF では従来から MGC 本社 (以下、HO) の提供するシステムだけでは実現できない NF 特有の情報共有と PC 管理の課題がありました。そのため、小規模で導入し活用できる Office 365 と Windows Intune を短期間使用してみたところ、これらの課題を解決する見通しを得る事ができました。また、エンド ユーザーからはさまざまな活用法やアイデアが出されたため、今後さらなる運用を図り、その成果を確認したいと考えています。

○ユーザー コメント「Office 365 と Windows Intune は非常に導入しやすく、機能が豊富なため、エンド ユーザーに使ってもらうことで、業務に役立つさまざまな活用法が見つけられます。今後はさらなる運用を図り、仮想化や BitLocker などの先進技術も取り入れ、情報共有の効率化と利便性をさらに高めていきたいですね」

エムジーシーコンピュータサービス株式会社新潟事業所星野 和男 氏

三菱ガス化学株式会社新潟工場

エムジーシーコンピュータサービス株式会社新潟事業所星野 和男 氏

株式会社ティーケーネットサービス上席技術顧問亀谷 和美 氏

三菱ガス化学株式会社新潟工場

言います。「Office 365 を見て、Microsoft SharePoint Online を使え

ば難しい手続きを取らなくても、NF が使いやすい形でスケジュール管理

やドキュメントの共有が実現できると感じました。もし NF で成功すれば、

HQ にも SharePoint Online を含めて Office 365 の利用をアピールす

ることができ、さらにさまざまな活用法が生まれていく可能性があります。

いきなり全社で導入するリスクを避け、現状不便を感じている NF でとり

あえず試してみることは、非常に意味のあることだと思っています」。

実際に、Office 365 と Windows Intune を 2011 年 5 月から利用し

始めた星野氏は、まずその導入のしやすさに驚いたと言います。「アカ

ウントを取得して、使い始めたときはさまざまな設定を意識をすること

もなく、簡単に使えたのでビックリしました。ティーケーネットサービス

のほうで何らかの設定を行ったのではないか、と思ったほどです。IT に

慣れてない人でも、ちょっとした操作方法を教育することで、誰でも使

えると感じました」。

■ Office 365 の導入効果

海外で利用する資料など共有し スムーズかつスピーディに活用できる

従来から、「ドキュメントを社内外で共有できな

いか」という相談を受けていた星野氏は、最初

に SharePoint Online を提案しました。NF 研

究技術部部長 島義和氏は「研究技術部には、

ライセンス グループという部署があり、主に海

外での技術ライセンスの管理を行っています。ラ

イセンス グループのメンバーは、海外でプレゼ

ンなどを行うことが多く、プレゼン資料などをど

のように共有するかが課題でした。ノート PC

で持ち運んだり、メールでやり取りするよりも、

SharePoint フォルダを使って共有し、Web ブ

ラウザー ベースでデータのやり取りが行えれば、

便利になると考えました」と話します。

また、NF 研究技術部 ライセンスグループ 内田

浩平氏も次のように続けます。「これまでは、ノー

ト PC にプレゼン資料などを入れて海外に持っ

て行きましたが、資料作りが間に合わない場合

は、後でメールで受け取っていました。しかし、

容量の大きなファイルはメールでのやり取りに問

題もあります。SharePoint Online であれば、画

像などを多用した大きなファイルでも利用できま

す」。

「SharePoint フォルダの作成は簡単で、Microsoft®

Windows® の操作と同じような感覚でファイルを

扱えるのは便利」と話す島氏は、今後は、スマー

トフォンなどでも活用でき、情報の確認ができる

ことも期待していると言います。

NF 研究技術部 ライセンスグループの川合建

氏は、「海外滞在者やジョイント ベンチャーと

の技術交流にも活用を広げていきたいですね。これまでは、メールに

Microsoft® Excel® ファイルを添付して相手に入力してもらっていました

が、お互いが編集できるような共有の場所を作れば、よりスムーズな共

同作業が行えます」と話します。Microsoft® SharePoint® Workspace

を使えば共同作業を行うことができ、インターネットが十分に整備され

ていないような海外であっても、オンライン上の SharePoint とオフラ

インの SharePoint Workspace を同期させておけば、インターネット

環境がある場所に戻ったときに自動的に同期が行われるような使い方

ができます。

他社との情報共有について星野氏は、「本社にもさまざまなサーバーが

ありますが、災害時などを考えると、自社にサーバーを置くことについ

ての議論もこれから行っていかなければなりません。多くの機能が使え

るクラウド サービスが、セキュアで安全性が高く利用できるということ

が理解してもらえれば、今後の利用がより活性化すると思います」と話

します。

また、スケジュール管理に関して島氏は、「これまでは、複数の予定表を

使って、何度も同じ予定を別の場所に書き込んでいたので、予定の書き

忘れや見落としの可能性がありました。予定を同期させて共有できれば、

他の人の動きもわかるようになります」と話します。また、川合氏も「1 つ

のスケジュール管理にまとめることができれば、必ずそれを利用してスケ

ジュールを書き込むというシンプルなルールになり、運用しやすくなります」

と話し、海外出張が多いライセンス グループにおいても、時差によって

連絡が取れる時間帯が変わるため、スケジュールを共有して誰もがすぐ

に把握できることは大きなメリットがあることを説明してくれました。

さらに、将来的には、化学物質に関する情報も SharePoint Online で

共有して使えるようにしたいと三菱ガス化学では考えています。

「社内外を意識せず、必要なときに必要な資料をやり取りしたい。遠

隔地どうしで気軽に会議がしたい。それらをインターネットを介して

簡単な操作で実現できれば、業務の効率化に繋がると考えています。

Office 365 はそれを実現できる可能性を持った製品ではないでしょう

か」と、星野氏は Office 365 に期待を寄せています。

■ Windows Intune の導入効果

Microsoft System Center Configuration Manager と 組み合わせた高度な PC 管理を実現 App-Vなどの最新技術の活用も目指す

NF では、従来から資産管理ソフトを導入してクライアント PC を管理

していました。しかし、クライアント PC の入れ替えで一部の PC を

Microsoft Windows 7 にしたときに、Windows 7 の動作保障が行

われず、資産管理ソフトをバージョンアップするように求められたと星

野氏は言います。「その資産管理ソフト自体にも不具合などがあったた

め、それをバージョンアップするよりも System Center Configuration

Manager に乗り換えようと考えました。マイクロソフトのサーバーと

クライアントを利用している中で、同じマイクロソフトが開発した PC

管理ツールならバージョンや不具合が少ないのではという安心感もあ

りました。Windows Intune の存在を知ったのは、System Center

Configuration Manager 導入後でした」。

三菱ガス化学株式会社研究技術部 部長島 義和 氏

三菱ガス化学株式会社研究技術部 ライセンスグループ内田 浩平 氏

三菱ガス化学株式会社研究技術部 ライセンスグループ川合 建 氏

システム構成図

海外ユーザー

クライアント PC の一元管理資産レポートの作成ソフトウェア一覧の取得

ポリシー適用PC ハード、ソフトウェア情報収取マルウェア対策リモート サポート

システム管理者 MGC NF

Windows Intune

MicrosoftOffice 365

仮想化されたサーバーと共に、共存する約 500 台のクライアントPCを管理する。 海外でのプレゼンなどで利用する資料の共有に SharePoint Online を使用して協力会社との情報共有や共同作業を目指すほか、Microsoft Exchange Online による一元的なスケジュール管理も行う。海外に持ち出して System Center Configuration Manager の管理下を外れる PC を Windows Intune でリアルタイム管理。資産管理やリモート アシスタンスによるサポートも行い、PC 管理の効率化を実現。

Windows Intune に つ い て 調 べ た 星 野 氏 は、System Center

Configuration Manager と Windows Intune を組み合わせること

で、より PC 管理が万全になると考えています。「約 500 台の PC を

Microsoft® Active Directory® に参加させていますが、海外に持って行

く場合は Active Directory から外れ、System Center Configuration

Manager の管理からも外れることになります。このような PC もリア

ルタイムに管理できるのは、非常に便利だと感じました」。

また、海外拠点などで利用されている PC には NF ではなく HQ で調

達されたものがあり、それらの PC の管理も困難でした。「HO で調達

した海外拠点の PC の中には、次の担当者のために現地に残されて一

度も NF に戻ってこないものもあります。これらの PC には、ウイルス

対策ソフトは入っていますが、OS などのパッチの適用やウイルス定義

ファイルが正常に更新されているのか確認できないため、安心できませ

ん。Windows Intune はこれらを管理できるため利用する価値はあると

考えています」。

日常的に NF のサポートを行っている MGCCS の涌井公美氏は、

Windows Intune のリモート アシスタンスについて、今後サポートして

行くうえで活用できる機能の １ つであると話します。「サポート業務は

システム移行や PC 入替のときに非常に多くな

りますが、日常でも 1 日 10 件くらいの問い合

わせがあります。サポート側としてもいち早く解

決して本来の業務を続けてもらうことが使命です

ので、利用者の所まで行かなくても、自分の PC

ですばやくサポートできるのは大きなメリットで

す。リモート アシスタンスを使えば、1 件あたり

のサポート時間を大幅に減らすことができると感

じています」。

MGCCSでは 将 来 的 に、Windows Intune に

付属している Windows 7 Enterprise のサブスクリプションを利用し

て、仮想化などのさまざまな取り組みを行うことも考えています。ティー

ケーネットサービスの代表取締役である武田勇人氏は、次のように話し

ます。「MGCCS 様へは、2010 年にサーバー仮想化のお手伝いをさせて

頂きましたが、Microsoft® Windows Azure™ や Microsoft Application

Virtualization (App-V)、Virtual Desktop Infrastructure (VDI) などの

最新技術にも興味を持たれています。しかし、これら単独の機能で試

算した場合、ライセンス コストなどの課題があり、実際の導入には至っ

ていません。今回、Windows Intune を導入したことで、これらの技術

の導入が現実的になってきました。われわれも、お客様の個別環境に

特化させた VDI を現地で徹底的に検証して、引き続き支援していきた

いと考えています」。

星野氏も、「VDI にオプションの Microsoft® Desktop Optimization

Pack (MDOP) を組み合わせて、App-V で Office を提供していくこと

を検討しています。現状では、Microsoft® Office 2003、Microsoft®

Office 2007、Microsoft® Office 2010 の 3 つのバージョンを利用し

ており、バージョン間で非互換性のマクロを利用できないなどの課題を、

アプリケーション仮想化で解決できればいいですね」と今後の構想を語

ります。

さらに、ティーケーネットサービスが顧客向けに

サービスを体感してもらうために DirectAccess

を利用していることで、MGCCS も 次の段階とし

て DirectAccess に興味を持っています。「現在

は、外部からのアクセスは SSL-VPN を使ってい

ますが、利用できる機能が限られているため、リ

モートでメンテナンスを行うような場合には使いづ

らい部分があります。DirectAccess はぜひ試して

見たい機能の 1 つですね」 (星野氏)。

エムジーシーコンピュータサービス株式会社新潟事業所涌井 公美 氏

株式会社ティーケーネットサービス代表取締役武田 勇人 氏

三菱ガス化学株式会社新潟工場

また、Microsoft BitLocker の暗号化機能にも注目しています。たとえ

ば、海外で PC を紛失した場合でも BitLocker の暗号化により、情報

漏えいのリスクも低くなります。さらに、Microsoft® BitLocker To Go®

によって、日常的なデータのやり取りに使われる USB メモリの暗号化

が行えることにも星野氏は手応えを感じています。「PC 本体の暗号化

については、これまでエンド ユーザー任せでした。また、USB メモリ

に暗号化ソフトが付属している場合もありますが、安価な USB メモリ

には付属していない場合もあります。今後、すべての PC で BitLocker

が使えるようになれば、しっかりと PC や USB メモリを暗号化するこ

とができるので安心です」。

今後の全社的な展開について星野氏は、「Office 365 も Windows

Intune も、新潟工場だけに必要なソリューションではないと思っていま

す。使える機能があれば、本社や他の拠点でもどんどん活用できるよ

う働きかけていく予定です。システム部隊がいない拠点では Windows

Intune のエージェントを入れるだけでも、管理効率やセキュリティが向

上すると考えています」と話し、新潟工場でさらに活用を進めることで、

三菱ガス化学全体に情報共有や PC 管理の一元化などが広がっていく

ことを期待しています。

本ケーススタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/japan/showcase/本ケーススタディに記載された情報は製作当時（2011 年 6 月）のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケーススタディは、情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ　http://www.microsoft.com/japan/■マイクロソフト カスタマー インフォメーション センター　0120-41-6755

（9:30 〜 12:00、13:00 〜 19:00 ※土日祝日、弊社指定休業日を除きます）※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。

Microsoft、Active Directory、BitLocker、BitLocker To Go、Excel、SharePoint、Windows、Windows Azure、Windows Intune は、米国 Microsoft Corporation および/またはその関連会社の商標です。その他、記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。

　 〒 108-0075　東京都港区港南二丁目 16 番 3 号　品川グランドセントラルタワー

導入についてのお問い合わせ

5134-SE1

パートナー紹介

株式会社ティーケーネットサービス

「PC 管理プレミアム サポート with Windows Intune + Office 365」ティーケーネットサービスは、「マイクロソフト パートナー オブ ザ イヤー 2010」の「ビジネス インテリジェンス コンピテンシー アワー

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Office365 の導入を拡張し、どこからでも社

内につながるDirectAccess や BitLocker

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