22
適切な手指衛生行動への介入 アルコール製剤の正しい知識の習得 中央病室 看護師 喜田清香

適切な手指衛生行動への介入nurs/nurse_papers/2015-01-kida.pdf · 2.勉強会などを開催することで、手指衛生に対する 行動・知識・意識の一部で変化がみられた。

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • 適切な手指衛生行動への介入アルコール製剤の正しい知識の習得

    中央病室 看護師 喜田清香

  • はじめに

    医療施設では医療関連感染が問題となっており、手指衛生遵守率の向上・維持のための取り組みが行われている。当病院でも、手指衛生遵守率が低いのではと考えた。

    ↓病室看護師に勉強会を開催し、

    手指衛生遵守率の向上とアルコール製剤使用数を増やすことを目指し取り組んだ。

  • 研究目的

    1.アンケート調査で手指衛生が実施されにくい場面を明確にする。

    2.手指衛生の基本・アルコール製剤が推奨される理由を理解してもらうため勉強会を開催し、手指衛生に対する行動・知識・意識に変化がみられるかアンケート調査で明らかにする。

    3.アルコール製剤の正しい知識を習得することによって、ウエルピュアの使用請求数が増加するか明らかにする。

  • 研究方法

    1.研究期間

    平成26年7月から平成27年6月

    2.対象

    平成26年7月以前に入職している中央病室看護師23名

  • 3.調査方法

    ・アンケート調査(平成27年1月・6月)

    行動41項目・知識8項目・意識9項目に分け6段階の選択とし調査(6月アンケートに8項目の追加質問あり)

    ・ATP+AMPふき取り検査(平成27年1月)

    ・アルコール製剤使用請求数の調査(毎月)

  • 介入手順

    1月

    PCにウエルピュア設置

    3月 5月 6月

    介入前アンケートふき取り検査

    介入後アンケート

    アンケート・ふき取り結果の説明WHO手指衛生の勉強会

    ウエルピュア勉強会

  • 分析方法

    1.介入前の手指衛生が実施されにくい場面を中央値から記述統計を行う

    2.介入前後のアンケート結果を

    マン・ホイットニーのU検定(SPSS)を用い

    比較検討。(有意水準P

  • 倫理的配慮

    研究を実施するうえで、実施に不参加の場合でも不利益が無く、途中辞退できることとした。また研究結果は第3者の目に触れることなく研究分析後は他の研究に使用することなく破棄することを文面で説明し同意を得た。

  • 結果・考察

    介入前回収率23名(100%)

    看護師経験年数平均13.5±7.1年

    介入後回収率20名(95.2%)

    看護師経験年数平均13.9±6.1年

  • <介入前>【行動】WHO手指衛生の5つのタイミング

    介入前中央値が3以下の項目明らかな汚染がみられない

    場面

  • <介入前>ふき取り検査結果

    2262

    3035

    7533

    6907

    1313 1297

    0

    1000

    2000

    3000

    4000

    5000

    6000

    7000

    8000

    ATP・

    AMP(

    RLU

    )

    (図1)

    基準値200RLU

  • <介入前>

    明らかな汚染がみられない場面で、手指衛生が実施されにくい。

    手指衛生の遵守率が向上

    ウエルピュア使用請求数が増える

    手指衛生の基本とアルコール製剤の勉強会開催

  • 項目中央値

    (25%、75%値) P値介入前 介入後

    注入食を患者へ接続する時 3(2.5,4) 4(3,5) 0.027

    食事・ミルク介助をする時 5(5,6) 6(6,6) 0.048

    PHS対応後に患者に接触する時 2(1,3) 3(2,4) 0.003

    ナースコール対応後に患者に接触する時 2(1,3.5) 5(3,6) 0.001

    同室内の患者から患者へ移動する時 3(2,4) 4.5(3,5) 0.018PCキーボード操作後に手指衛生をして

    患者対応している 2(1.5,4) 3.5(3,5) 0.008

    行動(有意差を認めた6項目)

  • 【行動】WHO手指衛生の5つのタイミング介入前後中央値が3以下の項目

  • 行動項目で介入後の中央値が3以下の項目

    項目中央値

    (25%値,75%値) P値介入前 介入後

    PHS対応後に患者に接触する時 2(1,3) 3(2,4) 0.003

    自分の髪の毛や顔に触れた時 3(2,4) 3(2.75,4) 0.246

    1患者対応ごとにPCをアルコール消毒している 1(1,3.5) 2(2,3) 0.084

  • 【知識】(有意差を認めた3項目)

    知識項目の有意差を認めた3項目

    項目中央値

    (25%,75%値) P値介入前 介入後

    石鹸手洗いとアルコール製剤どちらが手荒れしにくいか知っている 3(3,4.5) 5(4,6) 0.001

    WHOの手指衛生のタイミングを知っている 3(2,4) 5(4,6) 0.001

    WHOでは石鹸手洗いよりもアルコール製剤が使用されていることを知っている 3(2,4) 5(4,6) 0.000

  • 【意識】(介入前後 中央値)

    項目

    中央値(25%値,75%値)

    P値介入前 介入後

    手指衛生をしていないと周りの人に思われたくなく手指衛生を実施している 2(2,4) 4(2,5) 0.107

    患者・家族の目もあり手指衛生を実施している 3(2,5) 3(2,4) 0.882

  • 手指衛生を行わない理由(複数回答可)

  • ウエルピュア請求数

  • 介入後の追加質問結果

  • 結論 1.アンケート調査で明らかな汚染のない場面で手指衛生が実施されにくいことがわかった。

    2.勉強会などを開催することで、手指衛生に対する行動・知識・意識の一部で変化がみられた。

    3.アルコール製剤の正しい知識を習得することによって、ウエルピュアの使用請求数が増加した。

    *手指衛生向上には様々な方法を組み合わせた継続的な介入が必要である。

  • ご清聴ありがとうございました