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国別障害関連情報 インドネシア 平成 14 3 国際協力事業団 企画・評価部 国別障害関連情報については、現地で入手可能な情報をもとに取りまとめたものであ り、データ類の信憑性について JICA は責任を負わないものとする

国別障害関連情報 インドネシア - JICA...国別障害関連情報 インドネシア 平成14 年3 月 国際協力事業団 企画・評価部 国別障害関連情報については、現地で入手可能な情報をもとに取りまとめたものであ

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国別障害関連情報

インドネシア

平成 14 年 3 月

国際協力事業団

企画・評価部

国別障害関連情報については、現地で入手可能な情報をもとに取りまとめたものであ

り、データ類の信憑性について JICA は責任を負わないものとする。

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i

国別障害関連情報

インドネシア

目次

図目次 ....................................................................................................................................... ii

略語表 ...................................................................................................................................... iii

1. 基礎指標............................................................................................................................ 1

1-1. 一般指標 .................................................................................................................... 1

1-2. 障害関連指標 ............................................................................................................ 3

2. 障害に関する概要 ............................................................................................................ 7

2-1. インドネシアにおける障害の定義 ........................................................................ 7

2-2. 障害に関する現状 .................................................................................................... 8

2-3. 障害に関する調査・統計の整備状況 .................................................................. 11

3. 障害関連政策 .................................................................................................................. 12

3-1. 障害関連行政 .......................................................................................................... 12

3-2. 障害関連法律 .......................................................................................................... 14

3-3. 障害関連施策 .......................................................................................................... 15

3-4. 施策の概要 .............................................................................................................. 16

3-5. 障害分野専門家・ワーカー .................................................................................. 21

4. 障害分野における活動の概況 ...................................................................................... 22

4-1. 障害関連団体による活動 ...................................................................................... 22

4-2. 国際機関・その他の機関の障害分野に関する援助実績................................... 23

5. 参考資料.......................................................................................................................... 24

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ii

図目次

図 1 障害種別統計(2000 年) ................................................................................... 3

図 2 1998 年に新規で病院の治療を受けた障害者数 ............................................... 3

図 3 都市・農村障害者割合(2000 年) ................................................................... 4

図 4 都市・農村の障害種別統計(2000 年) ........................................................... 4

図 5 障害者学校における障害程度別割合(1998/1999) ....................................... 5

図 6 障害原因別統計(2000 年) ............................................................................... 5

図 7 障害種別の障害原因統計(2000 年) ............................................................... 6

図 8 1998 年に新規で病院での治療を受けている患者数 ....................................... 6

図 9. 社会省組織図...................................................................................................... 12

図 10. 社会リハビリテーション総局組織図 ............................................................ 12

図 11. 社会福祉機関組織図 ジャカルタ特別市 .................................................... 13

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iii

略語表

BCG Bacille Calmette-Guerin

BKSN Badan Kesejahteraan Sosial Nasional

BPS Badan Pusat Statistik

CBR Community-Based Rehabilitation

DEPNAKER Ministry of Manpower of Indonesia

DPI Disabled People’s International

ESCAP Economic and Social Commission for Asia and the Pacific

GBHN State Guideline Policy

GDP Gross Domestic Product

GNP Gross National Product

HWPCI Indonesian Association for Disabled Women

ILO International Labor Organization

INIS National Teacher Training, Education and Science Institute

JBIC Japan Bank for International Cooperation

JICA Japan International Cooperation Agency

KUBE Kelompok Usaha Bersama

NGO Non-Governmental Organization

OECF Overseas Economic Cooperation Fund

PCCI Persatuan Penyandang Cacat Indonesia

PERTUNI Persatuan Tunanetra Indonesia

PTA Parent Teacher Association

RNN Radikal Nitronil Nitroksida

UN United Nations

UNDP United Nations Development Programme

UNESCO United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization

WHO World Health Organization

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国別情報 インドネシア

1

1. 基礎指標

1-1. 一般指標 セクター別政府支出1

保健医療 (対 GDP 比) 0.6% 1990-98 年

教育 (対 GNP 比) 1.4% 1997 年

社会福祉 (対公共支出) 26.2% 1998 年

軍事・防衛(対 GNP 比) 2.3% 1997 年

人口2

総人口 207 百万人 1999 年

女性人口比率 50.1% 1999 年

都市人口比率 39.8% 1999 年

平均寿命(全体) 65.7 才 1999 年

男性 63.9 才 1999 年

女性 67.6 才 1999 年

医療

医療従事者数

医師 1 人あたりの人口3 6,250 人 1990-99 年

看護師・助産師 1 人あたり

の人口4 1,493 人 1992-95 年

1 World Bank. World Development Report 2000-2001 2 World Bank. World Development Indicators 2001 3 UNDP. Human Development Report 2001 4 UNDP. Human Development Report 2000

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国別情報 インドネシア

2

教育5

教育制度

初等教育年数 6 年

義務教育年数 9 年

成人識字率 2

男 91.5% 1999 年

女 81.3% 1999 年

就学率

初等教育(純就学率)

全体 95% 1996 年

男 96% 1996 年

女 93% 1996 年

初等教育(総就学率)

全体 113% 1996 年

男 115% 1996 年

女 110% 1996 年

中等教育(純就学率)

全体 42% 1997 年

男 45% 1996 年

女 39% 1996 年

高等教育(総就学率)

全体 11.3% 1996 年

男 14.6% 1996 年

女 8.0% 1996 年

5 UNESCO. Statistical Yearbook 1999

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国別情報 インドネシア

3

1-2. 障害関連指標

障害種別統計

図 1 障害種別統計(2000 年)

身体障害37.00%

視覚障害13.20%

聴覚障害10.10%

知的障害12.70%

言語障害6.80%

重複障害10.70%

言語・聴覚障害2.80%

精神障害6.70%

出典:Statistic Center Bureau 2001, Jakarta

年齢別

図 2 1998 年に新規で病院の治療を受けた障害者数

657

2633

8599

12913

5820

1930

329

1538

1539

1476

904

743

1441

2261

3527

2205

1127

102595

10505

10153

34319

58474

17168

3805

0

54

6

0 20000 40000 60000 80000 100000 120000

1歳未満

1~4歳

5~14歳

15~24歳

25~44歳

45~64歳

65歳以上

事故による障害

聴覚障害

視覚障害

知的障害

出典:YAYASAN BINA SWADAYA(2001) The Country Profile Study on Persons with Disabilities

113

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国別情報 インドネシア

4

地域別

図 3 都市・農村障害者割合(2000年)

都市34.29%

農村65.71%

出典:Statistic Center Bureau 2001, Jakarta

図 4 都市・農村の障害種別統計(2000 年)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

都市 農村

重複障害

言語・聴覚障害

言語障害

精神障害

知的障害

聴覚障害

視覚障害

身体障害

出典:Statistic Center Bureau 2001, Jakarta

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国別情報 インドネシア

5

障害程度別

図 5 障害者学校における障害程度別割合(1998/1999)

レベル124%

レベル220%レベル3

17%

レベル415%

レベル513%

レベル611%

障害の程度は日常的な活動をどの程度できるかによって示され、以下のように分けられる。

レベル1:補そう具無しで困難はあるものの日常的な活動を行うことができる。

レベル2:補そう具があれば日常的な活動を行うことができる。

レベル3:補そう具の有無にかかわらず、第三者からの部分的な介助によって日常的な活動を行うこ

とができる。

レベル4:第三者からの介助によって日常生活を送ることができる。

レベル5:自分では日常的な活動を行うことはできず、完全に第三者や特定の環境に依存している。

レベル6:第三者からの完全な介助があっても日常的な活動を行うことができない。 出典:YAYASAN BINA SWADAYA(2001) The Country Profile Study on Persons with Disabilities

原因別

図 6 障害原因別統計(2000 年)

先天的35.32%

自然災害12.28%

疾病32.97%

事故19.43%

出典:Statistic Center Bureau 2001, Jakarta

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国別情報 インドネシア

6

図 7 障害種別の障害原因統計(2000 年)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

身体障害

視覚障害

聴覚障害

知的障害

精神障害

言語障害

言語・聴覚障害

重複障害

病気

自然災害

先天的

出典:Statistic Center Bureau 2001, Jakarta

ジェンダー別

図 8 1998 年に新規で病院での治療を受けている患者数

16908

2913

5857

115920

15695

2935

5502

113347

0 20000 40000 60000 80000 100000 120000 140000

知的障害

視覚障害

聴覚障害

事故による障害

女性

男性

出典:YAYASAN BINA SWADAYA(2001) The Country Profile Study on Persons with Disabilities

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国別情報 インドネシア

7

2. 障害に関する概要

2-1. インドネシアにおける障害の定義

現在インドネシアでは、障害に関して医学的定義と法規定による定義の 2 種類がある。

1. 医学的定義6

a. 身体障害者:

骨、筋肉や関節など身体の運動機能の構造的あるいは機能的な欠陥や障害が

あると医学的に診断され、通常の活動ができない人。

b. 視覚障害者:

1 メートル以内の物体を視覚で数えられない人。世界保健機関(WHO)によ

れば、視覚障害者は最大限の矯正をした後でも 3 メートルの距離で指が数え

られない人。

c. 聴覚障害者:

聴覚や言語を発する際の欠陥や障害を持ち、通常のコミュニケーションがで

きないと医学的に診断された者。

d. 知的障害:

乳幼児期前あるいは中から知的成長や発達の逸脱や欠陥があり、それら知的

障害が生物的、器質的、および機能的な要因による人。

e. 精神障害:

気持ち、気分や行動に変化をもたらす生物的、器質的、および機能的な要因

による精神的な欠陥を持つ人。

f. 重複障害:

重度の身体的欠陥、感情障害を持つ者で、集中的かつ総合的なケアを必要と

している人。

2. 法や規則による定義7

身体障害や知的障害を持ち、通常の活動が困難である下記の者を含む。

a. 身体障害者

b. 知的障害者

6 Pedoman Pemeriksaan dan Kemampuan Fungsional Penyandang Cacat (Guidance for Checkup and

Functional Ability of Person with Disabilities), D.G. of Medical Service of Health Departement of RoI 7 Law Number 4 – 1997, point 1

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国別情報 インドネシア

8

c. 身体および知的障害者

身体障害とは身体の動き、視覚能力、聴覚能力、話す能力の障害を持つ人であ

る。

視覚障害者(盲目)は全盲と弱視の2つのカテゴリーに分けられる。全盲の定

義は両目が全く見えない状態を指し、弱視は矯正をした両目で、十分な明りの

もとで1メートル以内の動いている指が数えられない状態のことを指す。

聴覚障害者(聾者)は補聴器を利用しても1メートル以内で発せられている言

葉がはっきり聞こえなかったり、理解できない人のことである。

唖者は全く話せない人あるいは話しても理解されず、他人とのコミュニケーシ

ョンにおいて困難あるいは障害を持つ人のことを指す。

知的障害者は 1997 年法律第4号(Law No. 4 – 1997)の説明によると、先天ある

いは疾病による知的障害や行動障害を持つ者のことである。

また法は、知的障害は通常かつ適切な成長を妨げる内在的および外在的な要因

によって引き起こされる状況であり、これらの要因は知的能力、意思、感覚、

社会適応その他の困難さを生じさせると説明している。

2-2. 障害に関する現状

インドネシア政府および NGO (Non-Governmental Organization) は障害者のために保健、

教育その他の社会サービスを提供している。しかしながら、多くのプロジェクトや施設

は大都市に集中している。

1. 保健

インドネシアでは保健普及活動、予防、治療、リハビリテーションのサービスが提供さ

れている。リハビリテーションのサービスは 12 万人に提供され、障害者総数の 75%を

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国別情報 インドネシア

9

カバーしている8。

障害者の早期発見、両親や地域への教育、障害の啓発が問題となっており、このような

問題が解決されれば、疾病による障害を少なくすることができるだろう9。

2. 教育

障害のための教育施設はリハビリテーションや義務教育を提供している。リハビリテー

ションセンターではソーシャル・ホーム・ケア(social home care)のためのトレーニン

グが実施されている。

障害者向けの特殊学校があるが、僻地に住む人々はそれらの教育施設へのアクセスに制

限がある。同時に障害児を 9 年間の義務教育カリキュラムに統合する傾向になってきて

いる。

3. 雇用

障害者は就業機会を求める際、しばしば困難な状況に直面することがある。これらの就

業に関する問題は、政策に関連する障害、雇用者に関連する問題、外部的な要因に因ら

ない問題とに分けることができる10。

インドネシアでは、障害者の職業技能の資格と検定制度の不備、仕事を求めている障害

者のためのジョブ・バンク(職業バンク)や求人リストの未整備、法制や政府の規制機

関の未整備が政策や制度上の障壁であると指摘されている。一方雇用者は、障害者の技

術不足、勤務態度、宿泊・交通やある場合には障害者向けの特別設備の整備などの間接

的なコスト負担を問題視することもある。

障害者の就職を促進するための施策は、人的資源省(DEPNAKER)のイニシアティブ

8 この情報によると、障害者の総数は約 16 万人ということになるが、一方で JICA はプロジェク

ト方式技術協力事業においてインドネシアの総人口の 3.1%(つまり約 600 万人)が障害者であ

ると計算している。 9 Indonesia Country Report Social and Vocational Rehabilitation for Disabled People 10 Pardede, Erwin. Participation and function of APINDO on distribution of employers for persons with disabilities (Peran dan fungsi APINDO dalam penyaluran tenaga kerja penyandang cacat) Jakarta, 2001

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国別情報 インドネシア

10

により行われている11。障害者の職業技能と市場のニーズをマッチさせる際の問題点と

して、以下のものが挙げられる:

・ サービスの促進などに関する政策や規定は関係機関によっては必ずしも支持されて

いない。

・ 地域から中央レベルまでの障害に関する施策の推進者(ファシリテーター)間の職

業機会についての情報が欠如している。

・ 中央から地方レベルまでの職業指導の機能と役割についての具体的な理解が欠如し

ている。

・ 地方政府による支援が欠落している。

・ 国内外の研修やトレーニングを通して会社で障害者の職務配置を指導するためのプ

ログラムを実施したり開発したり、KUBE(集団企業グループ)の設立といった可

能性を高める機会がない。

4. アクセスとコミュニケーション

障害者の公共施設へのアクセスは全国の大部分でまだ限定されている。最近になってよ

うやく、ガンビル(Gambir)駅でアクセスを表す国際的なマークの車椅子ロゴが設置さ

れた。

5. リハビリテーション

過去 32 年の新体制政権(New Order Regime)におけるリハビリテーション制度の特徴

は以下のとおりである12。

a. 障害者支援のための人的資源開発より、施設供給やリハビリテーションの方法

などの物理的な建設や開発に力点が置かれた。

b. 社会省をリハビリテーションに関する唯一のリーダー機関としたことにより、

省庁間の協力が妨げられた。

c. 障害に関する政府の 3 規定により、リハビリテーションは単なる「道徳的義務」

という印象がもたらされたことで、規定の実現と社会での普及が阻まれている

可能性がある。

d. 政府が障害者人口の統計を正確に把握していないためか、障害者のための予算

11 Dra. Hj. Ariani Abdul Mun'im. Participation and function of organization of/for persons with disabilities in developing employers for persons with disabilities (Peran dan fungsi organisasi penyandang cacat dalam pemberdayaan Tenaga Kerja Penyandang cacat). Seminar paper 12 Rehabilitation System for Persons with Disabilities in Indonesia : Previous, Now, and Next (Sistem Rehabilitasi bagi Penyandang Cacat di Indonesia: Dulu, Kini dan Mendatang), Proposal of congress on persons with disabilities in Indonesia 2001.

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国別情報 インドネシア

11

配分が比較的小さい。

e. 特に職業リハビリテーションにおいて、社会省と人的資源省の重複がある。こ

の状況は既存の 1997 年法律第 4 号法律と 1998 年政令代 43 号でも指摘されて

いる。

f. NGO の ORSOSCA は自らの存在を「政府のパートナー」としてしまい、障害

者政策全体に関する社会的な監視や監督を効果的に実施出来ていない。

6. 障害の認識

障害関連の用語の使用へのセンシティビティが「ハンディキャップ」、「知的ハンディキ

ャップ」といった用語の使用に見られるように課題となっている。同時に、ローカルコ

ンサルタントの報告書にも随所見られるように、障害が人間的な欠陥であるという認識

が残っている。

また障害の問題は単なる社会問題であるとして一般化されているきらいもあることか

ら、障害者が社会の一員・市民・国民として対等に扱われていない。さらに、障害者を

含む少数派に対する不公平で差別的な取り扱いが未だに残っている。

2-3. 障害に関する調査・統計の整備状況

国勢調査

【タイトル】 BKSN および BPS(Central Statistic Bureau)による 国勢調査(Susenas)

【実施頻度/最新版】 2000 【障害関連項目】

障害者に関する項目は特にないが、社会福祉問題を抱える社会的弱者に関するデータは

収集され、他のデータと組み合わせられている。

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国別情報 インドネシア

12

3. 障害関連政策

3-1. 障害関連行政

中央政府行政

【中央政府行政組織図】

図 9. 社会省組織図

図 10. 社会リハビリテーション総局組織図

【障害関連担当機関】

【機関名】 社会省 【概要】 建国 5 原則(パンチャシラ)の一つ「社会正義の達成」を実現する

ために、社会的弱者対象に社会援助(Social aid)、社会リハビリテー

ション、社会給付(Social donation)を実施する。

社会福祉データセンタ

社会福祉総局 社会リハビリ総局

社会福祉研究開発局ソーシャルワーカー養成研修センター

社会省地方出張所

社会大臣

監査総局 事務総局

社会支援サービス総局

社会リハビリ総局

障害者リハビリ局 不良児・麻薬中毒者更生

リハビリ局 社会問題リハビリ局

総務局

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国別情報 インドネシア

13

副知事 DKI Kesra Section

総括部

通信部 人事部 財務部 内部調整部 設備部

長官

副長官

Sub Dinas Kesejahteraan

Anak dan eluarga

Seksi Kesejahteraan

Anak & Taruna

Seksi Pembangunan Panti Asuhan

Seksi Kesejahteraan

Keluarga

Seksi Bimbingan & Penyuluhan

Seksi Pemb.Swadaya

Sosial Masyarakat

Seksi Pembinaan

Lembaga Sosial

Sub Dinas Bina Sosial

Seksi Penyusunan

Program

Seksi Evaluasi &

Pengendalian

Sub Dinas Bina Program

Seksi Rehabilitasi Tuna Wisma

Seksi Rehabilitasi Tuna Susila

Seksi Korban

Narkotika & Bekas

Sub-Office Rehab. Soc. Disabl

Section 身体障害者支援

Seksi Penyantunan

Penca. Mental

Seksi Penyantunan

Pende- rita Cacat Indera

Sub-Office 障害者支援

Seksi Bantuan KorbanBencana Alam &Orang Terlantar

Seksi Bantuan Orang

Lanjut Usia

Seksi Pengawasan

Undian Pengumpulan

Sub-Office 社会支援

Suku Dinas Sosial Panti-panti Sosial

Seksi SosialKecamatan

Seksi Bina Sosial

Seksi Bantuan Sosial

Seksi Penyantunan

Penderita Cacat

Seksi Rehabilitasi Tuna Sosial

Seksi Kesejahteraan Anak dan Keluarga

Seksi Bagian Tata Usaha

Seksi Pendataan

【国内援助調整委員会設置状況】設置されている 【委員会名称】 障害者福祉推進のための国内調整委員会

National Coordinating Body on the Promotion of the Welfare of Persons with Disabilities

【行動課題と実施状況】

1997 年 8 月 23 日に再結成・強化された。アジア太平洋障害者の 10 年の行動計画にある

12 分野に焦点を合わせた 12 のワーキンググループがある。

地方政府行政

【地方政府行政組織】

図 11. 社会福祉機関組織図 ジャカルタ特別市

(インドネシア語部分は未訳)

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国別情報 インドネシア

14

【障害関連担当機関】

【機関名】 障害者支援サブオフィス Sub-office Aid of Disabled Persons/Sub-office Rehabilitation Socially Disabled

【概要】 不明

3-2. 障害関連法律

【法律名】 障害者に関する法律(1997 年法律第 4 号) Law Number 4 on People with Disabilities

【施行年】 1997 年 2 月 28 日 【概要】障害者のための社会福祉活動の法的基盤。

【法律名】 障害者の福祉推進に関する政令(1998 年政令第 43 号) Government Regulation Number 43 on Generating Social Welfare for Disabled People

【施行年】 1998 年 【目的】 障害者のステータス、権利、義務および役割における平等を実現す

ること

【法律名】 障害者社会福祉推進の調整・管理機関に関する大統領令代 83 号

Presidential Decree Number 83 on Agency for Coordination and Control in Generating Social Welfare for Disabled People

【施行年】 1999 年 【目的】 1998 年政令第 43 号の実施を支援

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国別情報 インドネシア

15

3-3. 障害関連施策

国家開発計画の概要

【計画名】 インドネシア共和国法第 25(2000 年)-国家開発計画 2000-2004

Law of Indonesian Republic Number 25 – 2000 on National Development

Programs 2000 – 2004

【施行年】 2000

【障害関連施策の内容】

1. 2000-2004 年の国家開発計画の第 4 項では「人々の福祉の増強、宗教生活の質の向

上、および文化的抵抗力の強化」を以下のように謳っている。

「政府ガイドライン政策(GBHN: State Guideline Policy)1999-2004 において保

健と社会福祉の大枠が定められているが、人的資源や環境などを改善すること

によって新しい保健のパラダイムを導入し、関連機関や保健サービスの質の改

善、労働者のための社会保険制度の促進、社会の安定化、高齢者や退役軍人に

対する感謝の気持ち、社会的に不利な人々への関心、生活の質の向上、麻薬取

引や麻薬使用の取り締まり、そして障害者のための物理的・非物理的なアクセ

スの向上を達成する。」

2. 基礎教育、就学前や高等教育のプログラム目標に関して、第 2 項目で「僻地、都市

スラム、紛争地域、貧困地域に住む障害児や社会的弱者の教育を平等に受ける機会

を増やす」としている。(セクション VII、4 ページ)

3. 社会・文化開発の方向性の中で、保健と社会福祉に関して、第 2 項目(4)では「障

害者、貧困者、見放された子どもやその他の社会的に不利な人々のための雇用機会

の提供と地域福祉の向上を通して、彼らに対する認識を高める。」

4. 第 2 項目(6)では、「総合的な政策決定において障害者の視点を取り入れるための

物理的・非物理的なアクセスの向上」について述べている。

5. 青年やスポーツに関して第 1 項目(2)では、「才能発掘、スポーツ指導の制度化、

障害者のためのスポーツ組織を含む各関連スポーツ組織調整の下で、教育機関を指

導の中心とした総合的な指導の制度化し、国際レベルの目標を達成するため社会と

ともに歩む」ことが述べられている。(セクション VIII、ページ 3-5)

さらにこれら政策は、保健や社会福祉プログラムの中で以下のように詳しく説明されて

いる。

1. 第 1 項目 2 において保健目標として(1)疾病、口腔衛生を含む感染症対策な

どによる障害の減少、(2)特別なケアを必要とする人々のためのリハビリテー

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ションの促進、について述べられている。このプログラムの目標は、障害者と

高齢者のためのリハビリテーション・サービスを促進させることである。

2. 社会福祉の計画について第 1 項目 7 では、社会福祉の発展、意識・能力・責任

感の向上、社会福祉に関する問題に立ち向かう積極的なコミュニティーの役割、

人々の生活の質と福祉の向上を目標としている。

当プログラムのねらいは(1)高齢者、退役軍人、障害者のための社会サービ

ス提供と公共施設への簡単なアクセスの確保、(2)障害者が社会において役割

を担い、生産的な人的資源となれるための能力向上、(3)重複障害者の人権擁

護、である。

主要な活動は、(1)高齢者、退役軍人、障害者が社会サービスや公共施設にア

クセスできるための法的規制と(2)障害者のためのリハビリテーションや社

会保護の実施、である。

3-4. 施策の概要

障害の予防・発見・早期療育

【現状】

インドネシアにおける障害の予防の主なアプローチとして予防接種、栄養プログラム

(ヨードやビタミン A の補給)の制度やサービスの強化およびリファーラル(照会)

制度の改革のほか、労働環境の改善や職業安全の向上がある。これらの努力は印刷・電

子メディアを利用した大々的なキャンペーンと結婚や家族計画のカウンセリングサー

ビスを通した宣伝によって補完されている。

大規模な予防接種プログラム(1977、1982、1985、1991、1997 年)により、BCG、三

種混合、経口ポリオワクチン、はしか、天然痘、破傷風の予防接種が実施され、1995、

1996、1997 年には国家予防接種週間が行われた。1998、1999 年には破傷風撲滅のための

学齢児予防接種月間が実施され、同時にポリオの予防接種も行われた。

医療サービス・リハビリテーション

【現状】

国連の報告書によれば、インドネシアにおけるリハビリテーションサービスの提供は

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1950 年代から始まり、国家開発計画やリハビリテーションに関する地域運動、国際運

動の効果もあって、以来強化されている13。

国家開発計画は、NGO や社会省、教育文化省、保健省、人的資源省などの様々な政府

機関が提供するリハビリテーションサービスのガイドラインとなっている。

スハルソ博士(Prof. Dr. R. Soeharso)整形外科病院は、国内 38 ヶ所の障害者のための公

共施設の一例である。この病院は 1994 年に設立され、国内唯一の整形外科リファーラ

ル病院となっている。ここでは医学リハビリテーションのみならず、手術、トレーニン

グ、補そう具、治療後のケア、社会リハビリテーションサービスが提供されている。

政府は全国各地の専門病院(整形外科病院)や総合病院において医療リハビリテーショ

ンを行っている。障害者福祉関連の施設についてはメダン(Medan)、ジャカルタ、ス

ラカルタ(Surakarta)、ジョクジャカルタ(Yogyakarta)、ウジュンパンダンなどの主要

都市に医療リハビリテーションセンターがある。しかし、視覚障害、聴覚障害、知的障

害、ハンセン病を対象としたリハビリテーションの施設の数は限られている。

教育

【現状】

障害者のための教育施設ではリハビリテーションと義務教育が実施されている。リハビ

リテーションセンターではソーシャル・ホーム・ケアのためのトレーニングが行われて

いる。このトレーニングを通して障害者は身の回りの世話を自らできるよう、自信と技

術を身に着ける。通常、このようなトレーニングは 4 年かけて行われる。しかし、ソー

シャル・ホーム・ケアや特殊教育の施設は定員以上の受け入れや資金不足という問題を

抱えており、トレーニングを継続できない障害者もいる。

初等教育から高等教育課程では、視聴覚障害者のために特殊教育グループ A、聴覚障害

者のためのグループ B そして身体障害者のためのグループ C のグループ分けがされて

いる。

教育施設のほとんどは首都ジャカルタ内もしくは周辺に位置する。僻地に住む障害者は

教育施設へのアクセスが限られ、あるいは全くないこともある。しかし、1985/86 年に

政府が障害者のための特殊学校を設置したことによってこの問題は多少緩和されてい

13UN-ESCAP. Asian and Pacific Decade of Disabled Persons: mid-point country perspectives. 1999.

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る。国連の報告書によると、障害児、知的障害者、身体障害者、聴覚障害者、そして重

複障害者のための公立の特殊学校が 24 校ある14。(教育施設のリストに関しては Annex

を参照のこと。)また、NGO によって運営されている特殊学校が 700 校あるとされてい

る。しかしながら 80 年代前半より、インドネシアの政府は障害児を 9 年の義務教育課

程に包括・統合することに重点を置くようになった。

1996 年に社会省、内務省、教育文化省、宗教省が障害児や僻地に住む子どもを対象に、

通学のための交通費や全寮制学校に入学するための奨学金を支給することにした。

社会サービス

【現状】

1983 年に、障害者のための社会福祉行政の調整に関する大統領令第 39 号が発効され、

はじめて社会福祉サービス間の調整が行われるようになった。

それ以後、国連の報告書によるとアクセスの基準の改善と、障害者の物理的バリアフリ

ーやコミュニケーションのバリアフリーを実現する努力がなされてきた。1998 年に政

府は障害者も対象にした公共建築物の技術的基準を設定し、利用しやすさの向上を目指

した。1999 年には、交通省が障害者・病人の交通機関利用を拡大するために、交通機

関に障害者・病人の輸送を義務付けた。また、政府は 2000 年の公共アクセスの国家運

動のもとで、障害者が公共交通を利用しやすくなるための設備を提供した。

社会サービスは主に社会省が提供・調整しているが、社会配慮および障害者への配慮は

関連省庁の政策にも見られる。

社会リハビリテーションには、施設を中心としたアプローチと施設型ではないアプロー

チの2つがある。

「Bina Grahita Kartini 社会リハビリテーションセンター」は、インドネシア唯一の知的

障害者のケアおよび能力開発専門リハビリテーションセンターとして 1983 年に設立さ

れた。ここでは知的障害者が自立し、社会参加できるようになることを目的としている。

施設型ではないケアとしては、心身障害者のための保護作業所、1983 年より導入され

た移動型リハビリテーション、地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)などの巡回

14 UN-ESCAP. Asian and Pacific Decade of Disabled Persons: mid-point country perspectives. 1999.

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型プログラム、小規模職業訓練、元ハンセン病患者のための社会適合や再定住の活動が

ある。

職業・雇用

【現状】

社会省、人的資源省、防衛省は障害者の雇用、職業斡旋、職業トレーニングの提供を促

進している。1998 年政令第 43 号(Government Regulation Number 43 on Generating Social

Welfare for Disabled People)では、企業は従業員 100 人に対して 1 名の障害者を雇用す

ることが義務付けられた。また国連の報告書によると、社会省だけでも 200 名の障害者

を雇用している。

政府や NGO によって様々な職業リハビリテーション施設が設置されてきた。主な施設

としては、ソロのスハルソ博士リハビリテーションセンターがある。他にはパレンバン

(Palembang)やウジュンパンダン(Ujung Pandang)に小規模ではあるが社会省のリハ

ビリテーションセンターがある。また、ジャカルタ(Jakarta)には防衛省のリハビリテ

ーションセンターがある。最近では、「ビナ・ダクサ(Bina Daksa)職業リハビリテーシ

ョンセンター」は、障害者が労働市場で競争し、社会経済的な自立ができるように技術

を身につけることを目的に 1997 年に設立された。

障害者の職業トレーニングは施設におけるケア、保護作業所やコミュニティの作業場、

職業トレーニングセンターを通して行われている。職業の斡旋は「職業バザー(職業博

覧会)」を通して行われており、2000 年の職業バザーは障害者のビジネスグループの製

品を消費者へ紹介し、障害者グループを潜在的な雇用者と結びつける支援となった。さ

らに、障害を持つ労働者のための求人ガイドブックが編集されている。また国際 NGO

はビジネススキルのトレーニングを実施し、障害者に自らビジネスを立ち上げる支援を

している。

自営業支援の一種として社会省が始めたエンブリオニック・アクション・プログラムと

呼ばれる活動がある。このプラグラムの目的は以下の通りである15。

a. 障害者が個人あるいは複数で事業を始められるようにする。しかし同時に、一般

の労働者と共に働く可能性もそのまま残しておく。

b. 障害者が自分達のもっている技術を他の障害者に伝えていく。

15 日本障害者リハビリテーション協会『アジアのリハビリテーション』1988 年

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障害労働人口へ職業を斡旋するため、人的資源省は以下の措置を取った16:

・ 障害者に関する 1997 年法律第 4 号と 1998 年政令代 43 号 43 を連動させる。

・ 人的資源省の職業トレーニングおよび職業斡旋に関する決定 205/MEN/1999 を実施

する。

・ 政府機関や民間セクター間の協力を通して、政府・民間・インフォーマルセクター

における障害者の雇用機会を増やす。

・ 職業バザーモデルを通して求職中の障害者がフォーマル・セクターで職業が見つけ

られるような仕組みを提供する。

・ 国家、地域レベルで障害者の自営業を促進するため、障害者の起業グループを対象

としたガイダンスを実施する。

・ 国際労働機関(ILO)とともに職業リハビリテーション制度を改善する。

・ 1997 年の法律第 4 の規定に沿う人的資源監督の実施を強化する。

・ 障害者を雇用する会社に対してインセンティヴを与える。

求職中の障害者の職業斡旋をねらいとする民間企業によるマッチング・サービスを改善

するよう促す。

【関連政策名】 人的資源省の職業トレーニングおよび職業斡旋に関する決定

205/MEN/1999 Job Training and Job Placement for Disabled Persons (Decision of Manpower Ministry Number 205/MEN/1999)

【施行年】 1999 年 【政策の目的/概要】障害者対象の職業トレーニングを実施し、職業を斡旋する。

地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)

【現状】

インドネシアは社会、医学、教育および職業リハビリテーションのサービスを質と量の

両面で向上させるとともに、社会リハビリテーション制度への地域参加を強化し、CBR

を促進させたいとしている。

情報とコミュニケーション

【現状】

視覚・聴覚障害者のためには、情報やコミュニケーションのバリアを取り除くために、

16 Dra. Hj. Ariani Abdul Mun'im. Participation and function of PWD organization in PWD employers development (Peran dan fungsi organisasi penyandang cacat dalam pemberdayaan Tenaga Kerja Penyandang cacat). Seminar paper

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点字、音声本(talking books)、補そう具や手話が普及されつつある。また、インドネシ

アは独自の手話を完成させて点字出版社や点字図書館の国家ネットワークを創設する

ことを目指している。

3-5. 障害分野専門家・ワーカー

障害者福祉に関する職種とその従事者養成や資格取得の制度については、以下の通りで

ある。

【職種名】 【養成・資格制度】 就職準備スタッフ 9 日間のトレーニング(2000 年) 障害リハビリテーション 社会福祉士

15 日間のトレーニング(2000 年)

義肢装具スタッフ スハルソ博士リハビリテーションセンター(ソロ)で

の訓練 理学療法スタッフ スハルソ博士リハビリテーションセンター(ソロ)で

の訓練 作業療法スタッフ カリヤディ病院(スマラン)での訓練 整形外科医 ファトマワティ病院(ジャカルタ)での訓練 特殊教育教員 国立教員訓練・教育科学研究所(INIS)に特殊教育教

員養成大学がある。ジャカルタ、バンドン、ジョグジ

ャカルタ、ウジュンパンダン、メナドに特殊教育教員

養成校が 6 校ある。

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4. 障害分野における活動の概況

4-1. 障害関連団体による活動

*団体の詳細については Annex 1.を参照

障害に対する理解と意識の啓発、教育、トレーニング、雇用、リハビリテーションサー

ビスや補そう具の提供など、幅広い活動に取り組む多くの政府機関や NGO がある。ま

た、リハビリテーション・インターナショナル(Rehabilitation International)、DPI(Disabled

People’s International)、世界盲人連合(World Blind Union)、アジア太平洋障害者の 10 年

を促進する地域 NGO ネットワーク(RNN: Regional NGO Network for the Promotion of the

Asian and Pacific Decade of Disabled Persons)などの国家レベルの NGO や障害者の自助

団体は、相互の地域協力に活発に取り組んでいる。また国連の報告書でインドネシアは

「政府や NGO 間の理解が促進され、よい協力関係が築かれていている確かな傾向があ

る」と報告されている17。

社会ケアや社会リハビリテーションについては 13 の公共機関があり、特殊教育に携わ

る主要民間機関は 15 ある。(Annex 1-1.を参照。)13 の機関にはインドネシア障害者団

体(PCCI)、インドネシア女性障害者協会(HWPCI)、インドネシア盲人連盟(PERTUNI、

精神障害者福祉のための国家連盟(National Federation for Welfare of Mental Disabled)、

インドネシア聴覚障害者連盟(National Federation for Welfare of Indonesian Deaf)、イン

ドネシア障害者スポーツ理事会(Indonesian Board for Disabled Sports)などが含まれる。

インドネシア社会福祉協議会は、これら国内の民間諸団体の調整をするとともに、海外

の団体との協力関係も築いている。

17 UN-ESCAP. Asian and Pacific Decade of Disabled Persons: mid-point country perspectives. 1999.

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4-2. 国際機関・その他の機関の障害分野に関する援助実績

*援助実績の詳細については Annex 2.を参照

国際機関・その他機関による援助実績

オランダの NGO STIGHA は学校施設の修繕や改築のための資金を提供した。また、ニ

ュージーランド大使館は PTA の能力向上を支援してきた。

日本による援助実績

JICA はこの分野における主要ドナーであり、職業リハビリテーションセンターのため

のトレーニングおよび運営や、専門家(職業リハビリテーション政策)・青年海外協力

隊(作業療法士)の派遣を支援してきた。国際協力銀行(JBIC、旧 OECF)は 1996 年

度と 1998 年度に施設の建設に融資をした。

インドネシア 国立障害者職業リハビリテーションセンター

(プロジェクト方式技術協力、1997 年 12 月~2002 年 12 月実施)

現在、JICA により行われている同プロジェクトでは、障害者に対して職業指導・評価から

職業訓練(金属加工、電子、印刷、コンピュータ、縫製)、さらに一般雇用に結びつく職業

紹介までを総合的に行う職業リハビリテーションシステムの構築をめざして、さまざまな

取り組みがなされている。プロジェクトへは日本から職業指導・評価や職員研修の専門家、

また金属加工、印刷など職業訓練の専門家が派遣されるほか、センターの職員を研修員と

して日本へ受け入れ、システム構築・運営に携わる各分野の人材養成を図っている18。

18 JICA ホームページ[引用 2002 年 3 月 1 日、http://www.jica.go.jp/global/disability/project.html]

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5. 参考資料

この報告書は、主にローカルコンサルタントによる調査報告書に基づいている。

ローカルコンサルタント調査報告書:

Yayasan Bina Swadaya – JICA. The Country Profile Study on Persons with Disabilities. 2001

その他の資料:

UN-ESCAP. Asian and Pacific Decade of Disabled Persons: mid-point country perspectives.

1999.

国際協力事業団『インドネシア国立障害者職業リハビリテーションセンター運営指導調

査団報告書』平成 11 年 11 月

中西由起子『アジアでの障害者の雇用問題』

[引用 2002 年 3 月 1 日、http://www.din.or.jp/~yukin/107.html]

日本障害者リハビリテーション協会『アジアのリハビリテーション』1988 年