水路歯車技報 V叫. 12. I割同

新島周辺の海底地形．地質構造

芝聞厚・9聖辺一樹．沿庫調壷.

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しはじめに

At印刷 Shibataand Kazuki Watanabe Coastal Surveys and Cart噌raphy臥vision

昭和63'1'-7月に建議された節4次火山噴火F知計

画（平底元年～5年） I孟． ll火山観測研究の鉱克

強It. 2）干知手法等の開発および基硬的研究専の

措逝. 3）火山噴火F知体制的強化的3項目で情成

きれている・＊路部では，お蝕計画に革づき． F知

手法等町開発および基礎的研究等円借過を図るた

め，火山活働基礎資料町聾備のー瑚として．高性能

的観測機器を有する中型測量船を使用しての精密海

底火山地形調査を実施することとした．

本報告では，測量船「疋i下」（4301tトン）により平

成2年4月10日から5月l目的聞に実施した新島周

辺町海底地形調査結果について紹介する．

2.聞査の概要

調査海雌を第l図に市す．調査はおもに，マルチ

ナロービーム測深峨（ハイドロチャート II）による

測深．スパーカーによる古波探査について行った．

調量測擁は測深間隔をぬ0-600mて唆値した．また．

背漉探輩のl山岡ll600mを楓単とした．

湖位1iGPS捌伎鑑置で打った．

3.網査の結果

(I）梅底地形

新風車j島．式悦島等町火山島Ii，大島から宵ヶ

島にヨ臣る火山列の火山が南北方向に並ょのに対

l,，大島から鍛州に至るまでの北東一南西}j向に配

列する火山列向上にある．開査樽拘量的梅陵地形をみ

ると．海面まで途しない火山地形が多〈見受けられ．

これらの火山地形も火山島と同織に北車ー南西方向

に配列しているのが特徴である（第2図｝．こ町よう

な配列としては，事l島沖カルデラからヒョウタン掴

に至る列や車青島．式催島町西情睡柵斜面上町列があ

る．

斬島町北西には．別歯車が平援な台状内海丘 t最浸

水深59m）がみられる．梅丘町形状から噴火活動債

に畏期間にわたる侵食を受けているとみられ．比般

的旧い火山であると＃えられる．また．新島町西方

にはきれいな円億枚の梅丘（最洩水標136m.直径

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鮪l園周査海lit国

水路部技報

l ,800m）があり，単成火山であると思われる。

式根島の西方には幅800m，長き約3.5kmの周辺と

は異なる海底地形が認められる。この地形は南北方

向に長い長方形を呈しており，表面は数mの起伏に

富んでいる。この地形も火山地形と考えられる。

鵜j度根島の南東には径約 3kmのカルデラ状の凹地

形が分布している。

(2) 海底地質

調査海域の海底地質を下位層から VN層， IVN層，

IIINmi. IIN層， IN層の 5層に区分し，各層の特徴を

第1表に示す。

VN層は，更新世一現世にl噴出した火山岩類と考え

られ，調査海域の広い範囲で海底に露出し，円錐形

および楕円形の海底火山を形成している。

IVN層は，おもにIIIN層， IIN層に覆われているため

に海底に露出していないが，その分布は新島南東海

域で認められる。

IIIN層は島棚斜面部や地塊と地塊の聞に形成され

た構造的な低地に分布している。

IIN層はVN層および＇IIIN層の露出範囲を除き，広〈

海底面を成して分布している。分布形態は， IVN層，

IIIN J習により形成されている構造的凹地を埋積した

り，陸棚および陸棚斜面を覆って分布している。

なお， IN層は最終氷期最大海退期以後の最新の堆

積層であるが，本記録上では発振波形の中にあり，

これを除いて地質構造図を作成した。

第3図に地質構造図，第 4図に音波探査記録位置

図，第 5～ 7図に音波探査記録例をそれぞれ示す。

(3) 地質構造

第3図をみると調査海域で認められた断層は，利

島沖カルデラにともなった断層，このカルデラの西

方にみられる北西一南東の断層および，新島の南東

沖に走向が北東南西の断層がある。

利島西方には，南北方向の背斜軸が認められる。

(4) 火山岩の分析結果

新島および式根島の周辺の 8点で採泥を笑施した

（第 4図）。 採取した火山岩を化学組成分析した結

果，流紋岩であった（第 2表）。また，第 2表には陸

Vol. 12. 1994

上と比較する意味で，新島向山の数値をあわせて示

した。

なお，新島および式根島は，流紋岩からなる火山

島である。

4. おわりに

火山噴火予知に関する研究の拡充強化のために

は，火山活動基礎資料の整備が必要とされる。水路

部では，今後も未整備の海底火山について，順次実

施して行くこととしている。

最後に，この調査を実施した測量船「天洋」船長

以下乗組員の方々には大変お世話になった。これら

の方々には深〈感謝したい。

参考文献

海上保安庁水路部．新島周辺海底地形図，火山噴火

予知連絡会会報， 49, p.31～32, (1991)

一色直記：新島の地質，地域地質研究報告，八丈島

(9), l, p.14～ 15, (1987)

渡辺一樹：火山岩の化学組成分析法，水路部技報，

11, p.75～ 84, (1992)

-80-

水路部技報

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第 2図海底地形図

等深線間隔はlOm

-81-

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Vol. 12. 1994

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1994

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音波探査記録と採泥点位置図

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第4図

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-82-

海底地質構造図第3図

水路部技報

地層区分

I N層

n N層

m.層

N.層

v.層

第 1表層序区分

特 徴

分布下限水深は， 15011付近にあるが，新

島の東側の海域では200欄を超えて分布．

層厚は，旬以下の積層と思われる．

散乱状のバターンで縮かれ，海域により

淡い層理面を伴う. N”層及びm.層が露

出する海犠を除き，広く海底面を成して

分布．

層厚は一部の海域で100”に逮するが，一

般には30～50聞である．

傾斜する層理商がみられ，部分的に散乱

状の記録で錨かれる．

島棚での分布は少なく，島棚斜面及びそ

れ以深c；：分布し， 一部の斜面部では海底

に露出している．

層厚は新島の南西沖合いで15011（＜.＇..達して

いる．

上位面は起伏 c；：~み，沖合いに深度密憎

大する．内部反射面として傾斜する層理

商がみられる．新島の南～南東海場に分

布するが，海底に露出することはない．

強い散乱状のバターンを示し，音響的不

透明層で内部反射商はみられない．海底

に露出する窃合，海底火山等の火山地形

が形成されている．

Vol. 12. 1994

第2表火山岩の化学組成

サン7'l!No 5 8 新島向山

Si02 71. 51 72. 68 77.06

Ti02 0. 12 0. 09 0. 12

Al20a 11. 07 11. 49 13. 09

FeO 1. 03 0. 71 0. 89

MnO 0. 06 0. 06 0. 07

MgO o. 28 o. 20 0. 15

Cao 0. 78 0. 62 0. 19

Na20 4.72 4.44 4.74

K20 8. 00 9.43 2. 92

P20& o. 02 0. 02 0. 05

TOTAL 97.59 99.74

－鉄は全て FeOとした

・新島向山の化学分析値は一色直記 (1987）「新

島の地質，地域地質研究報告（地質調査所）」

より引用した

- 83-

水路部技報

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Vol. 12. 1994

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第 5図音波探査記録（A線）

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第 6図音波探査記録（B線）

-84-

水路部技報 Vol. 12. 1994

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第 7図音波探査記録（C線）

-85-