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2016/1/25 1 歯科用デジタルエックス線 診断システム 2年生・編入3年生 生体理工学歯科放射線学 2016/1/25 フィルムA フィルムB X線線量 ①感度 ②寛容度 ③ガンマ ④カブリ ガンマが大きい線量の変化に対して黒化度 が大きく変わる写真コントラストは高い ガンマが小さい線量の変化がそれほど黒化 度に影響しない写真コントラストは低い 前回の復習 本日の講義 A デジタルラジオグラフィ 1.画像のデジタル化 2.歯科用デジタルエックス線画像診断システム 3.フラットパネル検出器 B 画像の評価 1.物理学的画質 2.診断的画質 C 医療情報とデジタル画像の統合 1.医療従事者と記録 2.医療情報システム 3.DICOM標準規格による画像および画像通信の標準化 4.遠隔画像診断 多数の口内法エックス線画像診断システム デジタルパノラマエックス線画像診断システム 頭部エックス線規格撮影に対応したシステム デジタルシステ ムの保険診療 認可 歯科診療施設で 使用可能なデジ タルエックス線 画像診断システ ムの開発 口内法に対応し たデジタルエッ クス線画像診断 システムの発表 画像のデジタル化 診断用画像のデジタル化の歴史 歯科 1987 1994 1996 現在 1972 1980 1981- CT US MRI CR (Computed radiography) 医科 アナログ情報とデジタル情報 の概念図 デジタル化とは本来の連続的な数値データ (実数値)をとびとびの値(離散値)にするこ と。 一般に、アナログデータをデジタルデータに 変換することをA/D変換という。 写真中の乳剤層に多数分布する金属銀 の数が多いか少ないかによって画像の濃 淡が表わされる。金属銀の分布はランダ ムなため写真の濃度は画像の二次元平 面上で連続的に変化する。 ・従来のエックス線画像 画像のデジタル化 乳剤 フィルム 1μm = 0.001 mm 5μm 粒子形状写真 フィルム断面写真 ORAL RADIOLOGY Principles and Interpretation EDITION 7

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2016/1/25

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歯科用デジタルエックス線診断システム

2年生・編入3年生 生体理工学Ⅱ

歯科放射線学 2016/1/25

フィルムA フィルムB

濃度

X線線量

①感度②寛容度③ガンマ④カブリ

•ガンマが大きい→線量の変化に対して黒化度が大きく変わる→写真コントラストは高い

•ガンマが小さい→線量の変化がそれほど黒化度に影響しない→写真コントラストは低い

前回の復習

本日の講義A デジタルラジオグラフィ

1.画像のデジタル化

2.歯科用デジタルエックス線画像診断システム

3.フラットパネル検出器

B 画像の評価

1.物理学的画質

2.診断的画質

C 医療情報とデジタル画像の統合

1.医療従事者と記録

2.医療情報システム

3.DICOM標準規格による画像および画像通信の標準化

4.遠隔画像診断

多数の口内法エックス線画像診断システムデジタルパノラマエックス線画像診断システム頭部エックス線規格撮影に対応したシステム

デジタルシステムの保険診療認可

歯科診療施設で使用可能なデジタルエックス線画像診断システムの開発

口内法に対応したデジタルエックス線画像診断システムの発表

画像のデジタル化診断用画像のデジタル化の歴史

歯科1987 1994 1996 現在

1972 1980 1981-CT US MRI CR (Computed radiography) 医科

アナログ情報とデジタル情報の概念図

•デジタル化とは本来の連続的な数値データ(実数値)をとびとびの値(離散値)にすること。

•一般に、アナログデータをデジタルデータに変換することをA/D変換という。

写真中の乳剤層に多数分布する金属銀の数が多いか少ないかによって画像の濃淡が表わされる。金属銀の分布はランダムなため写真の濃度は画像の二次元平面上で連続的に変化する。

・従来のエックス線画像

画像のデジタル化

乳剤

フィルム

1μm = 0.001 mm5μm

粒子形状写真 フィルム断面写真ORAL RADIOLOGY Principles and Interpretation EDITION 7

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画像のデジタル化

•画像データのデジタル化は

標本化(sampling)

量子化(quantization)の2段階のプロセスからなる

標本化(sampling)

•空間的な情報の離散化。

•画像における位置のアナログ情報を間隔ごとに読み取る操作。

(画像を格子状に分割し小さな区画の集合として表す操作)

• この間隔が小さいほうがアナログ情報に近くなる。

標本化(sampling)

•標本化する際の間隔を標本化間隔(サンプリング間隔)という。

•どのような間隔で標本化すればよいか決める手法として標本化定理(サンプリング定理)がある。

画素(ピクセル)=画像の最小単位

量子化(quantization)

•振幅のアナログ情報の離散化。

•濃度や輝度を適切な間隔で整数値として表す操作。

•整数値は10進法からコンピュータが理解できる2進法に変換される(符号化)。

量子化(quantization)

•量子化された値は整数でありこれを量子化レベルといい、画像では階調やグレーレベルとよぶ。

•各画素がもつ濃度(輝度)情報であるため、画素値(ピクセル値)や濃度値ということもある。

階調度(グレーレベル)•同一画像の中で利用可能な画素値の数を階調数といい、真白から真黒までの情報を何段階表現するかを表す。

•階調数はビット(bit)数できまる。

•10進法で8階調(3ビット)の画素値は0から7の整数値をとり、これを2進法に変換すると0~111の数値になり3桁(3ビット)必要である。

8階調(3ビット)

76543210

10進法 2進法111110101100111010

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空間分解能と濃度分解能

•標本化レベル高

•量子化レベル高⇒高い空間分解能⇒高い濃度分解能

⇔ノイズ(雑音)強調

ノイズ減少⇒エックス線増量(被曝大)

※目的に合った設定が必要

ノイズとは画像処理には役立たない、または処理の妨げになるもの。

デジタル画像のデータ量

•X軸方向にM個、Y軸方向にN個の画素からなる画像を“M×N画素”の画像とよぶ。

例)・デジカメ

「撮像素子の総画素数800万画素」

・プリンタ、スキャナ

「1インチ当たりのドット(画素)数(dpi:dot per inch)」

デジタル画像のデータ量

M×N×階調数(ビット)

•画像のデータ量は、 X軸方向、y軸方向の画素数(それぞれM,N)と階調数(ビットで表現した値)によって決まる。

•コンピュータはデータを8bit=1byte単位で取り扱う 例)階調数256=8bit=1byte

画素サイズを1/2にすると画素数4倍、データ量4倍

データ圧縮

• デジタルデータは、保存時にある規則・法則に従ってそのデータ量を減少させることができる。

• 圧縮したデータは、展開(解凍)することで元データを回復できる。

• 圧縮方法(2通り)可逆圧縮 非可逆圧縮

• 電子メールへの添付が可能。

圧縮処理

•拡大・縮小、明るさの調整、フィルター処理の他、距離、面積、濃度などの計測が可能

明るさの調整

コントラスト調整

拡大

デジタル画像処理

•ヒストグラムと階調処理ヒストグラムとは画像がどのような画素値をもつ画素から構成されているかを示す(度数分布図)。通常、横軸が画素値(輝度)、縦軸が画素数を表す。

デジタル画像処理

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•ウインドーイング

モニター上で画像を観察するときに行う階調処理。

デジタル画像処理

オリジナル画像の画素値

モニタ表示画像の画素値

ウインドウ幅

ウインドウ中心

0 1023

255

ある特定の画素値の範囲(ウインドウ幅)をモニター上で表示できる最大の階調数に拡大し関心領域のコントラストだけを強調すること。

黒 白

Digital images

Image transformation graphs

• ヒストグラムとウインドーイング

デジタル画像処理

デジタルラジオグラフィ(デジタルエックス線撮影)とは

• コンピュータを利用して診断用画像を得る装置をデジタル画像診断システム、特にX線検査に使用するシステムをデジタルX線画像診断システム、あるいはデジタルX線撮影システムとよぶ。

デジタルシステムを利用した

エックス線撮影

歯科用デジタルエックス線画像診断システム

• 従来のエックス線フィルム(増感紙/フィルム系)

① センサー機能:エックス線情報をとらえる

②表示機能:画像を表示する

③保存機能:画像を保管する

→ フィルムが3役を担っている

• 歯科用デジタルエックス線画像診断システム

①センサー機能 ②表示機能 ③保存機能

→ 3つの機能を別々に構成し、最適化をはかる

より複雑化・・・

歯科用デジタルエックス線画像診断システムの基本構成

• エックス線センサ-で得られたエックス線量に関するアナログ情報をアナログ電気信号に変え、これをアナログ・デジタル変換器でデジタル信号に変換後、コンピュータに転送して種々の処理を行う。

エックス線センサー

• 固体半導体方式

• IP(Imaging plate;イメージングプレート)方式

• FPD(Flat Panel Detector;フラットパネル検出器)方式

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• CCD(Charge-Coupled Device;荷電結合素子センサ-)

• CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor;相補型金属酸化膜半導体センサー)

固体半導体方式

センサーに照射されたエックス線(光)を電気信号に変換した情報を読み取りPCモニター上へ表示する。

光電変換

光が電気に変わる!

• 光のエネルギーを原子内の電子に与え、電子の動き(電流)を起こす。

歯科医師でもちょっぴり重要な雑学

• 画像検出器の受光面に当たった光の強さに応じて電荷が発生する。

• この電荷を電気信号に変換し、信号を順次読み出すことで、画像を写し出すことができる。

光電変換

https://cgi.sharp.co.jp/products/device/about/ic/ccd_cmos/index.html

CCD

CMOS

2つのセンサーともにエックス線に対して感度が低いため蛍光体によって、エックス線→可視光

へ変換。その光をファイバーを経由してセンサーへ入射。CCDはそれぞれの画素で得られ

た信号を垂直・水平方向へ送り蓄積されたものをアンプによって増幅させる。CMOSは画素の座標ごとに順々

に信号を送り出す。アンプはフォトダイオード(半導体素子)ごとに設置。

• エックス線情報を一時的に蓄積できる輝尽性蛍光体で構成されている。

• ポリエステルの支持板に輝尽性蛍光体と呼ばれる物質を塗布したもの。

IP(Imaging plate;イメージングプレート)

蛍光体層

支持体

蛍光体層

支持体

富士 IP IN カセッテ CC-VI

• 輝尽性蛍光体 BaFX※ (X:Cl, Br, I)※アルカリ土類金属ハロゲン化物

• 輝尽性蛍光体はエックス線を吸収すると励起状態となる(暗所保持)。

• IPに蓄積されたエックス線情報は励起光

(レーザー光)を当てることにより、エックス線量に比例する量の光を発する。

IP(Imaging plate;イメージングプレート)

• この光を光電子増倍管という光センサーで検出し、電気信号に変換。

• 信号をパソコンへ転送して画像化する。

• 読み取りが終了したIPは、蛍光灯などの

大量の光によって読み残された画像情報を全て消去する。

• 繰り返し撮影に用いる。

IP(Imaging plate;イメージングプレート)

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IPによるエックス線情報の画像化の仕組み

①エックス線情報の記録

②エックス線情報の読み取り(装置内)

消去光

③エックス線情報の消去

IP方式(arcana装置)

(1)固体半導体方式、IP方式に共通の特徴

(①~⑤はデジタルシステムであることによる特徴)

①画像処理ができる。

②大量の画像データを少ないスペースで保管でき容易に検索できる。

③画像データに経時的劣化がない。

④電話回線などを通して画像データを遠隔地に伝送できる。

⑤デジタル画像の分解能はアナログ画像より低い。

歯科用デジタルエックス線画像診断システムの特徴

(1)固体半導体方式、IP方式に共通の特徴

(①~⑤はデジタルシステムであることによる特徴)

⑥患者の被曝を低減できる。

⑦写真処理が不要になる。(暗室、現像液等を管理する必要がない)

⑧画像を用いた患者さんへの説明が容易になる。

歯科用デジタルエックス線画像診断システムの特徴

(2)固体半導体方式の特徴

① 撮影終了後、短時間のうちに画像が表示される。

② センサー自体が厚く、ケーブル(コード)があるため部位によっては撮影が困難である。

歯科用デジタルエックス線画像診断システムの特徴

(3)IP方式の特徴

① エックス線量に対する応答範囲が広い。

歯科用デジタルエックス線画像診断システムの特徴

2桁

4桁以上

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(3)IP方式の特徴

② 従来のデンタルフィルムとほぼ同じ厚みであるため、口腔内の取り扱いをフィルム同様に行える。

③ IPの読み取り操作が必要である。

④ IPに光が当たると画像情報が減衰する。

歯科用デジタルエックス線画像診断システムの特徴

輝尽性蛍光体はエックス線を吸収すると励起状態となる。

暗室操作の必要はないが、この状態(励起状態)では、なるべく蛍光灯の光に当てないよう注意する。

• カセッテを用いず、受像面と電気回路を1つのユニットに組み込んだ平面検出器。

• 近年、口外法の歯科用デジタルエックス線撮影装置(パノラマ撮影、歯科CBCTなど)でも使用されるようになっている。

• エックス線受光面、画素、半導体スイッチ(TFT:Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)、信号読み出し回路で構成される。

FPD方式(Flat Panel Detector;フラットパネル検出器)

• 被写体を通過したエックス線エネルギーを電荷量に変換し、その電荷量を2次元的に配置された画素ごとの読み出しスイッチを通じて電気信号として読み出す。

• エックス線受光面の機構により直接変換方式、間接変換方式の2種類が存在する。

1)直接変換方式

2)間接変換方式

FPD方式(Flat Panel Detector;フラットパネル検出器)

エックス線 光導電体 直接電荷

エックス線 蛍光体発光 電気信号

FPD方式(Flat Panel Detector;フラットパネル検出器)

エックス線シンチレータ(蛍光体)

エックス線

選択信号選択信号

画像信号画像信号

フォトダイオードTFTスイッチ

バイアス電極

エックス線変換層(半導体)

蓄積コンデンサ

TFTスイッチ

図 よくわかる医用画像工学より引用

1)直接変換方式 2)間接変換方式

シンチレータでX線が可視光へ信号変換この光信号がフォトダイオードで電気信号へ

直接変換方式と比較してボケが生じやすい

X線が直接的に変換層内にて電気信号へ

解像特性が優れている

物理的画質

•被写体の構造がどの程度忠実に反映されているかを示す指標。

• 「コントラスト」「解像度(鮮鋭度)」「ノイズ(粒状性)」の3要素からなる。

•コントラスト・解像度が高く、ノイズが少ないほど、画質はよくなる。

(1)コントラス

• 画像における明るい部分と暗い部分の輝度の差を表す。

• 差が大きいほど「コントラストは高い」と表現される。

フィルムは写真濃度分布がシャウカステンからの透過光によって輝度分布に変換されて生じる(特性曲線γ)。

デジタル画像はモニター上の輝度分布によって生じる(画像表示後に濃度分解能の範囲で自由に変換可能)(入出力特性)。

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(2)解像度

•空間分解能

•どこまで小さい物体を解像しうるか。

フィルムでは銀粒子の大きさに関与。

デジタル画像では画素の大きさに関与。

(2)解像度

• 1㎜中に白黒のペア(ラインペア)がいくつ観察されるかを示す「lp/㎜」で表す。(数字 高 → 解像度 高)

•細かい構造物、病変を観察するには画像の解像度は高い必要がある。

(3)ノイズ• 信号の検出を妨害する雑音。

• デジタルシステムではエックス線量子のゆらぎを主原因とする画素のゆらぎ。

フィルムでは銀粒子の大きさに関与。

• ノイズに影響する因子①エックス線照射線量

②フィルム・センサーの光子検出効率

• 信号雑音比

画像形成に用いられる信号と雑音の比

「信号雑音比が高いほど画質が良い」

画像形成に用いられる光子量が多いほどノイズが減少する。

診断的画質

•物理的画質の向上

≠ 診断的画質の向上

•画像診断過程① 心理物理的過程

② 心理的過程

③ 病名決定過程

観察者による評価が必須

診断画像が、表示され、網膜上の視細胞の神経活動として知覚される過程。機械的、自動的に作業が進む。物理的画質の評価結果が直接反映される過程。

画像上の構造が正常か否かに分類する意思決定過程。意識的に行われる認知作業。

医療従事者と記録(1)医療従事者

• 病院・診療所:医療サービスを行う医療機関

• 医療に関わる職種(病院で働く職種):

医師、歯科医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、診療放射線技師、歯科衛生士、歯科技工士、管理栄養士、言語聴覚士・・・

(2)患者と診察プロセス

①外来診療 ②入院診療

医療従事者と記録

(3)医療情報

診療の過程で医療従事者が知りえた情報(紙・電子媒体に関わらずすべての情報)

•診療録 医師・歯科医師が作成を義務付けられている(医師法第24条、歯科医師法第23条)

• 看護記録、手術記録、検査所見記録、画像、紹介状、入院中の診療経過記録

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医療従事者と記録(4)診療録の電子化

• 診療録の有効利用⇒電子化(1999年)

• 厚生労働省「診療録等の電子媒体による保存について」 ①真正性の確保 ②見読性の確保 ③保存性の確保(電子保存の3原則)

• 医療機関における個人情報

「個人情報の保護に関する法律」(2005/4/1~)

「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」(2010改正)

医療現場でやってはいけないこと①情報漏洩• 電子カルテのデータや印刷物のずさんな管理と院外への持ち出し• 患者への不用意なデータ開示• 他の患者のデータを見せる• 本人の許可ない家族へのデータ開示• 電話や電子メールなどによる外部との患者情報交換②不正アクセス・侵入• ID・パスワードのずさん管理• 電子カルテの開きっぱなしの不用意な長時間離席• ネットワークによる他のPCへのアクセス• 与えられたシステムと権限以外での利用• 勝手にファイル共有③業務を停止させる行為• フリーソフトなどの勝手なインストール• 自宅など他の施設からのデータの持ち込み• ウイルスに感染したパソコンの接続や感染ファイルの持ち込み

医療情報システム

•医療に関する患者情報(個人識別情報)を含む情報およびその情報を扱うシステム

•医療情報の取り扱いも医療行為と同様医療法等で医療機関等の管理者の責任で行うことが求められている(適切な取り扱い)。

病院情報システム(HIS;Hospital Information System)ヒス

• 病院内の診療業務内での情報交換・情報蓄積を司るシステム。

• 医療事務会計システム、診療予約システム、診療情報システム、検査・薬剤等の各部の門の情報管理システム、検査データの管理システムやいわゆる電子カルテのシステムなどを中心に構成されている。

画像保管管理システム パックス(PACS ; Picture Archiving and Communication System)

•医療画像診断装置からの画像を電子的に保存、検索、解析する画像データベース・システム。

•膨大な量の医用画像をデジタル画像としてデータベース化し必要に応じてその画像を転送、表示することができる。

放射線情報システム(RIS ; Radiology Information System)

•放射線科部門内における検査、治療の予約、診断結果のレポート、実績管理、材料在庫などの管理を行う。

•画像保存・管理をするPACSと連携している。

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DICOM標準規格による画像および

画像通信の標準化

• DICOM(Digital Imaging and

Communication in Medicine):ダイコム

•エックス線写真、CT、MRI、超音波、

内視鏡などの医用画像診断装置・医用画像プリンタ・医用情報システムの間でデジタル画像データを扱う国際標準規格。

DICOM標準規格による画像および

画像通信の標準化

• 一般的な画像フォーマットと違い、ヘッダ部分に付帯してファイルメタ情報が記録されている。(関連する診療データ;氏名・日時・検査方法など)

• DICOM画像

フォーマットを表示するための専用ビューワソフトが必要

遠隔画像診断

•遠隔医療(Telemedicine)「映像を含む患者情報の伝送に基づいて遠隔地から診断、指示などの医療行為および医療に関連した行為を行うこと」

•遠隔画像診断(Teleradiology)「ネットワークを利用した複数機関でのデジタル画像およびその関連情報の相互伝達によって行われる診断」

遠隔画像診断

セキュリティ技術の進歩

医用画像情報学改定3版

VPN(Virtual Private Network)

インターネットなどの公衆回線を認証や暗号技術であたかも専用回線の様に利用するネットワークサービス。

遠隔画像診断

•医療の質の向上

•地域医療への貢献

•予防医療における有用性

•システムや情報の管理、個人情報の保護などは要求されるレベルが日々変化しているため定期的に見直していく必要がある。

遠隔画像診断の利点

参考図書• 歯科放射線学第5版(医歯薬出版)

• わかりやすい歯科放射線学(学研書院)

• 医用画像情報学改定3版(南山堂)

• 医用画像ハンドブック(オーム社)

• 基礎放射線画像工学(オーム社)

• デジタル放射線画像(オーム社)

• 標準デジタルX線画像計測(オーム社)

• ORAL RADIOLOGY Principles and Interpretation EDITION 7