120
文教・科学技術 (参 料) 2019年11月1日 参考資料2

文教・科学技術...5.2 5.1 5.0 4.9 4.8 4.7 4.6 4.44.4 4.3 4.3 4.2 4.2 4.1 4.04.0 3.9 3.7 3.6 3.4 3.4 3.3 3.1 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 ノ ル ウ ェ ー ス ウ ェ

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文教・科学技術(参 考 資 料)

2019年11月1日

参考資料2

0.総論

1.義務教育

2.科学技術

3.高等教育

4.スポーツ・文化

1

私学助成(7.9%)(注)4,290億円

令和元年度 主要経費 「文教及び科学振興費」 (一般会計)

義務教育費国庫負担金(28.2%)15,200億円

53,824億円(「臨時・特別の措置」を除く)

高校生等への修学支援(7.2%)3,880億円

科学技術振興費(24.9%)13,378億円

文教関係費(75.1%)40,445億円

国立大学法人運営費交付金等(20.4%)10,971億円

その他の文教関係費(11.4%)6,135億円

(注)私学助成の予算額は、科学技術振興費を含む

育英事業費(奨学金等)(2.6%)1,375億円 ほか

2

7.2

5.8 5.8 5.7 5.7 5.65.2 5.1 5.0 4.9 4.8 4.7 4.7 4.6 4.4 4.4 4.4 4.3 4.3 4.2 4.2 4.1 4.0 4.0 4.0 3.9

3.7 3.6 3.6 3.4 3.4 3.3 3.1 3.1 3.1

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

ノルウェー

スウェーデン

フィンランド

ベルギー

アイスランド

ニュージーランド

イギリス

オランダ

イスラエル

オーストリア

カナダ

オーストラリア

フランス

スイス

アメリカ

トルコ

チリ

ポルトガル

コロンビア

メキシコ

韓国

エストニア

ポーランド

ドイツ

スロベニア

ラトビア

ハンガリー

スペイン

アイルランド

イタリア

スロバキア

リトアニア

ルクセンブルク

日本

チェコ

◆公財政教育支出対GDP(初等・中等・高等教育段階)(2016年)

OECD平均 4.4%

公財政教育支出GDP比

日本

OECD平均7割

3.1%

4.4%

(注)OECD平均の値は、計数が取れず算出不能である国を除いた加盟国の平均値。(出典)OECD「Education at a Glance 2016」、「Education at a Glance 2019」

33.130.5 30.3 30.0 29.9 28.8 28.0 27.9 27.3 26.9 26.8 26.6

24.7 23.5 23.4 23.1 23.0 21.8 21.421.1 20.9 20.7 20.5 20.4 20.4 20.1 20.0 19.4 19.4 19.3 18.5 18.1 17.2 16.3

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

イスラエル

メキシコ

オーストラリア

トルコ

ニュージーランド

デンマーク

チリ

ノルウェー

スウェーデン

ベルギー

フィンランド

アイルランド

アメリカ

オランダ

イギリス

韓国

フランス

スペイン

ポーランド

ギリシャ

スロベニア

ドイツ

オーストリア

ラトビア

チェコ

ハンガリー

ポルトガル

スロバキア

ルクセンブルク

スイス

カナダ

イタリア

エストニア

日本

◆人口全体に占める在学者数の割合(初等・中等・高等教育段階)(2014年)

在学者/総人口

日本

OECD平均7割

OECD平均 23.5%

16.3%

23.5%

公財政教育支出の規模は、子供の数を考慮する必要

○ 日本の公財政教育支出の対GDP比は、OECD諸国の中で低いとの指摘がある。

○ しかしながら、日本の子供の割合もOECD諸国の中で低い。

(%)

(%)

3

21

23

29

21

30

24

2120

23

26

21

26

24

17

23 24 23 24

26

2122

20

17

21

16

21

19

22

19

16

1819

15

12

0

5

10

15

20

25

30

35

教育支出うち公財政教育支出

(OECD平均:25.9%)(OECD平均:21.4%)

◆「在学者一人当たり」教育支出の対一人当たりGDP比(2016年)

(注1)公財政教育支出は教育支出に「教育機関に対する公財政支出の割合(最終資金)」を乗じて算出。いずれも教育機関に対する支出。(注2)OECD平均の値は、計数が取れず算出不能である国を除いた加盟国の平均値。(出典)OECD「Education at a Glance 2019」

「一人当たり」の教育支出はOECD諸国と遜色ない水準

○ 教育は子供一人ひとりに対するものであるという観点から、一人当たりで見れば、OECD諸国と比べて、私費負担を含めた教育支出全体は高い水準にある。このうち公財政教育支出に限っても遜色ない水準。

(%)

4

87.6

67.2 64.9 63.2 61.1 61.4 60.9 58.8 57.7 56.2 54.6 54.6 54.4 53.4 51.2 50.047.3 46.9 46.9 47.4 47.5 47.4 47.0 46.2 43.9 42.8

39.6 41.2 39.233.1

24.2 22.0

0.2

0.90.5

0.11.2 0.4 0.7

0.3 0.70.6 1.3 1.2 0.7 0.8

0.2 0.62.3 2.5 2.0 1.1 0.8 0.7 0.6 0.6

1.61.6

2.6 0.6 2.3

2.4

2.81.5

87.8

68.265.4

63.3 62.3 61.8 61.659.1 58.4

56.8 55.9 55.8 55.1 54.251.4 50.6 49.6 49.3 48.9 48.5 48.3 48.1 47.6 46.8 45.5 44.4

42.2 41.8 41.4

35.5

27.0

23.5

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

私費教育負担率

国民負担率

◆国民負担率と私費教育負担率(2016)

公的支出の原資となる国民負担率はOECD諸国の中で低い水準

○ 教育に係る私費負担の多寡を議論するのであれば、国民負担率の水準も併せて考慮する必要がある。国民負担率は、OECD諸国の中で低い水準。

(注) 私費教育負担は、教育機関への年間支出のうちの私費負担分であり、私費教育負担率は「私費教育負担額÷国民所得」により算出。(出典)内閣府「国民経済計算」、OECD「Education at a Glance 2018」、「Education at a Glance 2019」 OECD「National Accounts」、OECD「Revenue Statistics」等

(%)

5

0.総論

1.義務教育

2.科学技術

3.高等教育

4.スポーツ・文化

6

7

学校における働き方改革(中央教育審議会答申抜粋)

新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について(答申)(平成31年1月25日中央教育審議会)

第4章 学校及び教師が担う業務の明確化・適正化2.業務の役割分担・適正化を着実に実行するための仕組みの構築○ 学校・教師が担っている業務は様々であるが,業務の役割分担・適正化を確実に実施するためには,教育関係者がそれぞれ,学校における業務全体を通じて,以下の仕組みを確実に構築することが必要である。

(2)教育委員会等が取り組むべき方策・ 教育委員会は,中間まとめを踏まえて文部科学省が平成30 年2月に発出した「学校における働き方改革に関する緊急対策の策定並びに学校における業務改善及び勤務時間管理等に係る取組の徹底について(通知)」(別添2参照)における13 にわたる取組について,学校や地域,教職員や児童生徒の実情に応じて,取組を推進。

・ 服務監督権者である教育委員会等においては,各学校や地域で業務が発生した場合には,教師が専門性を発揮できる業務であるか否か,児童生徒の生命・安全に関わる業務であるか否かといった観点から,その業務が①学校以外が担うべき業務,②学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務,③教師の業務のいずれであるかを仕分け,①については他の主体に対応を要請

し,②については教師以外の担い手を確保し,③についてはスクラップ・アンド・ビルドを原則とすることで,学校・教師に課されている過度な負担を軽減。

・ この際,保護者や地域住民等との適切な役割分担を進める観点からも,コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の導入や地域学校協働本部の整備により,学校が保護者や地域住民等と教育目標を共有し,その理解・協力を得ながら学校運営を行うことができる体制を構築。また,学校施設の地域開放に当たっては,地域の実態に応じ,学校運営協議会制度等の活用,教育委員会による一元的な

管理運営,業務委託や指定管理者制度による民間事業者等も活用した官民連携等の工夫により,管理事務における学校や教師の負担軽減を図りつつ,地域の財産である学校施設の地域開放を一層推進。

45

50

55

60

65

70

75

80

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

1,500

1,600

平元 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 令元

13.3

15.3 15.2 14.0

13.2 14.2

0

5

10

15

20

日本 アメリカ イギリス フランス ドイツ G5平均

教職員定数(公立小中学校)と児童生徒数

○ 平成に入って以降、児童生徒数の減少ほど教職員定数は減少していない。したがって、児童生徒数当たりの教職員数を平成元年度と同水準とした場合の教職員数(約48万人)と比べ

れば、実質20万人の増となる。

○ 教員1人当たり児童生徒数は主要先進国と遜色ない水準。

◆教職員定数(公立小中学校)と児童生徒数の推移 ◆教員1人当たり児童生徒数(2018年)

(出典)文部科学省「学校基本調査」等(出典)Education at a Glance 2019(OECD)

16.4 15.2

16.9

19.6

15.4 16.7

0

5

10

15

20

25

日本 アメリカ イギリス フランス ドイツ G5平均

小学校

中学校

(児童生徒数:万人) (教職員定数:万人)

(教職員2.9人:児童生徒40人=)69万人

76万人(=教職員2.0人:児童生徒40人)

48万人

(年度)

実質20

万人増

児童生徒数当たり教職員数を平成元年度と同水準とした場合の教職員定数

8

都道府県 政令市 市区町村

19.1% 35.0% 11.7%

教員の負担感の改善

○ 教員の負担感の改善には、例えば「留守番電話」や「コピー機」が効果的との調査結果がある。

○ また、市町村費負担事務職員2.6万人に相当する額が地方交付税措置されているが、学校の設置管

理者である市町村の判断により、実際には0.7万人分の配置にとどまっている。

◆教職員の多忙感解消に対する先駆的な取り組み(静岡県教育員会)

<留守番電話の導入で残業時間月13時間減少>

放課後ひっきりなしにかかってくる保護者からの電話で、集中を要する作業が進まず、持ち帰り仕事が慢性化。この対応として最も効果が高かったのは、留守番電話の導入でした。A小学校では月間の平均残業時間が前年度同月比で最大13時間減少、B中学校では持ち帰り仕事が半減しました。(教員の満足度97%)

(出典)小室淑恵著「働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社」(平成30年3月20日)

(出典)文部科学省「教育委員会における学校の業務改善のための取組状況調査」(平成30年度)

◆「保護者対応」を改善する取組みを行っている教育委員会の割合

(注)時間外における保護者の対応や外部からの問い合わせ等に備えた留守番電話の設置や、メールによる連絡対応の体制を整備している教育委員会の割合。

①留守番電話の設置と勤務時間

(出典)文部科学省「公立小・中学校教員勤務実態調査研究」報告書(平成30年3月)

② コピー機の設置と勤務時間

区分 人数

小学校 1.7万人程度

中学校 0.9万人程度

(注)基準財政需要額の単価費用等から推計

◆地方交付税交付金の算定上見込まれている人数(推計)

区分 人数

小学校4,650人

(うち常勤:2,198人)

中学校2,597人

(うち常勤:1,262人)

◆実際の配置人数

(注1)常勤は、「平成29年度学校基本調査」(注2)非常勤は、予算執行調査によるフルタイム換算

③ 市町村費負担事務職員

<事務職員の配置に関し、交付税交付金の算定上の人数を下回る理由>

「県費負担事務職員及び交付税基準未満の市区町村費負担事務職員により、学校事務に係る業務を十分こなせているため」

と回答した自治体の割合:38% 9

(人)

教員の採用について

○ 採用倍率の低下は、大量退職に伴う採用者数の拡大(ボトム時H12の約4倍)によるもの。

○ 大量退職が当面継続する中で、「新卒者採用」の拡大は、再び年齢構成のヤマをつくることになる。

○ 意欲ある優秀な人材の「中途採用」の拡大には、教員養成課程を経なければならない教員免許の取得はボトルネック。

(出典)文部科学省「公立学校教員採用選考試験の実施状況について」(平成31年4月19日)

◆小学校教員の採用状況

(出典)文部科学省「学校教員統計調査」(平成28年度)

◆公立小学校教員の年齢構成(2016年)

大量退職が当面継続

●普通免許状の授与要件学士の学位等の基礎資格を有し、かつ文部科学大臣が認定する課程において所定の単位を修得すること

※課程認定制度

◆小学校教員の免許制度

<審査内容>①学科等の目的等と免許状の相関②教育課程③教員組織④教育実習⑤施設・設備

0

3,000

6,000

9,000

12,000

15,000

22歳 25歳 28歳 31歳 34歳 37歳 40歳 43歳 46歳 49歳 52歳 55歳 58歳 61歳 64歳…

12.5倍

3.2倍

3,683

15,934

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

採用者数(右軸)

受験者数(左軸)

採用倍率(左軸)

(人)(人)(倍率)

14

12

10

8

6

4

2

16

10

教員の業務について

○ 日本の教員の授業時間数は、主要先進国の中で最も少ない。

○ 教員は、事務作業や要望対応、部活動などに負担感を有している。

◆教員の年間授業時間数(2018年) ◆教員が負担感を有している業務

小学校

1位 保護者・地域からの要望等への対応 84.0

2位 国や教育委員会からの調査対応 82.8

3位 成績一覧表・通知表の作成 79.1

4位 児童・生徒の問題行動への対応 77.9

5位 学期末の成績・統計・評定処理 75.8

中学校

1位 保護者・地域からの要望等への対応 81.8

2位 国や教育委員会からの調査対応 80.3

3位 児童・生徒の問題行動への対応 79.3

4位 クラブ活動・部活動指導 74.5

5位 成績一覧表・通知表の作成 71.3

(出典) とりもどせ!教職員の「生活時間」-日本における教職員の働き方・労働時間の実態に関する調査研究報告書- (公財)連合総合生活開発研究所(2016年12月)

小学校 中学校

(出典)Education at a Glance 2019(OECD)

(時間) (時間)

739

1,004 942

900

800

0

200

400

600

800

1,000

1,200

610

966

817

684 744

0

200

400

600

800

1,000

1,200

11

12

学校における外部人材の活用について

学校に配置される外部人材の例 配置数 区分 備考

○スクールカウンセラー 臨床心理士など 27,500人 R1予算 国庫補助(H7~)

○スクールソーシャルワーカー 社会福祉士など 10,047人 R1予算 国庫補助(H20~)

○医療的ケアのための看護師 看護師など 1,800人 R1予算 国庫補助(H29~)

○特別支援教育充実のための外部専門家 言語聴覚士、理学療法士など 348人 R1予算 国庫補助(H29~)

○学校教育活動支援員(補習支援等) 退職教員、教員志望の大学生など 7,700人 R1予算 国庫補助(H30~)

○スクール・サポート・スタッフ(教員の事務の補助) 地域の人材(卒業生の保護者など) 3,600人 R1予算 国庫補助(H30~)

○中学校における部活動指導員 専門的な知識・技能を有する人材 9,000人 R1予算 国庫補助(H30~)

○理科観察実験アシスタント 退職教員、教員志望の大学生など 3,100校 R1予算 国庫補助(H25~)

○特別支援教育支援員 日常生活動作の介助など 63,359人 R1実績 地方財政措置(H19~)

○ICT支援員 専門的な知識・技能を有する人材 2,773人 H30実績 地方財政措置(H26~)

○学校司書 専門的な知識・技能を有する人材 22,262人 H28実績 地方財政措置(H24~)

○外国語指導助手(JET-ALT) 英語の能力が高い人材など 5,234人 R1実績 地方財政措置(S62~)

○ 不登校や外国人児童生徒の増加、障害により特別な支援が必要な児童生徒の増加など、学校における諸課題も多様化・複雑化。

○ これらの諸課題に対応するため、様々な外部人材を国費又は地方財政措置により学校に配置している。

<コミュニティ・スクールとは>

● コミュニティ・スクールとは、学校運営協議会が設置された学校を指す。教育委員会から任命された保護者や地域住民などが、一定の権限と責任をもって学校運営に参画するもの。(地教行法第47条の6に基づいた仕組み。)

● 学校運営協議会の主な役割・ 学校運営基本方針の承認・ 学校運営に関する意見・ 教職員の任用に関する意見・ 学校と地域住民等との連携・協力の推進 など

コミュニティ・スクールと地域学校協働本部について

<地域学校協働本部とは>

● 地域学校協働本部とは、地域と学校が連携・協働して地域全体で未来を担う子供たちの成長を支えていく活動(地域学校協働活動)を推進する体制のこと。

● 地域学校協働活動の主なもの・ 学校支援活動・ 放課後子ども教室・ 土曜日の教育活動・ 家庭教育支援活動・ 地域社会における地域活動 など

13

コミュニティ・スクールの設置について

○ 文部科学省の調査研究によれば、学校がコミュニティ・スクール設置のきっかけとして、「教育委員会からの働きかけ」又は「学校の希望と教育委員会からの働きかけ」と回答した学校が約9割。

○ また、コミュニティ・スクールの未設置の学校において、設置について、学校の意思又は教育委員会からの働きかけがあれば、設置したいと考えている学校は約4割。

◆学校がコミュニティスクールを設置した理由、設置の意志

(出所)「総合マネジメント強化に向けたコミュニティ・スクールの在り方に関する調査研究報告書」(H27年度文科省委託調査)

85.1%

(N=1555)

35.5%

(N=1706)

14

コミュニティ・スクールの設置状況(都道府県別)

○ 各都道府県におけるコミュニティ・スクールの設置(導入)状況はグラフのとおり。

○ コミュニティ・スクールを一切設置(導入)していない都道府県もあれば、設置者及び所管学校全てに設置(導入)している都道府県もあり、その状況は様々。

(出所)文部科学省資料から作成

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

導入率(設置者)

導入率(所管校)

(注)上記のデータは平成30年4月1日現在のもの

15

16

第二条

学校は、国、地方公共団体及び私立学校法第三条に規定する学校法人のみが、これを設置することができる。

2 この法律で、国立学校とは、国の設置する学校を、公立学校とは、地方公共団体の設置する学校を、私立学校とは、学校法人の設置する学校をいう。

第五条

学校の設置者は、その設置する学校を管理し、法令に特別の定のある場合を除いては、その学校の経費を負担する。

学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)(抜粋)

学校のICT化環境整備への取組み

○ 学校ICT化に当たって、①2014~2017年度までの4年間、毎年度1,678億円(総額:6,712億円)の地方財政措置②2018~2022年度まで5か年間、毎年度1,805億円(総額:9,025億円)の地方財政措置

を行い、それぞれ教育用PCについて、①は、2017年度までに3.6人に1台②は、2022年度までに3.0人に1台

とする計画

(出所)文部科学省作成資料 17

学校ICT化の現状(整備率①)

○ 地方自治体における学校ICT整備率には地域間のバラツキがある。

(出所)文部科学省「平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(平成30年3月現在)〔速報値〕」

18

学校ICT化の現状(整備率②)

○ 地方自治体における学校ICT整備は進んでいない。

(出所)文部科学省「平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(平成30年3月現在)〔速報値〕」 19

学校ICT化の現状(整備率③)

(出所)文部科学省「平成31年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(平成31年3月現在)〔速報値〕」

○ 地方自治体における学校ICT整備は進んでいない。

20

日本 米国 イギリス フィンランド デンマーク オランダ オーストラリア シンガポール 韓国

◆基本情報

国のインターネット普及率 82.8% 84.2% 89.8% 91.5% 94.6% 94.0% 83.0% 73.0% 84.8%

◆学校ICT環境

教育用PC1台あたり児童生徒数

6.5人(2014)

3.1人(2008)

小 6.8人中 4.2人

(2012)

3.5人(2013)

2.9人(2013)

小 5.0人(2012)

小 1.7人(2014)

4.0人(2011)

4.7人(2012)

BYOD ― ○ ○ ○ ○ ○ ○ ― ―

学校のインターネット整備率 99% 98% 100% 100% 100% 100% 97% 100% 100%

無線LAN ○ ○ ○ ○ ○ ○ ― ― ―

回線速度 30Mbps-:79%

-100Mbps:34%1Gbps-:59%

小 9Mbps中 31Mbps

― 小 30-100Mbps:32%100Mbps-:20%

― ― 20Mbps 4-40Mbps-:33%50-90Mbps-:6%100Mbps-:71%

◆ICT活用

算数・数学授業の補助教材にコンピュータソフトを活用する教員割合

小 35% 小 68% 小 74% 小 69% 小 84% 小 88% 小 77% 小 80% 小 63%

中 27% 中 62% 中 76% 中 53% ― ― 中 78% 中 82% 中 69%

○科学的リテラシー 2位 25位 15位 5位 21位 17位 14位 1位 11位

○読解力 8位 24位 22位 4位 18位 15位 16位 1位 7位

○数学的リテラシー 5位 40位 27位 13位 12位 11位 25位 1位 7位

○生徒用PC整備率(1台あたり人:47ケ国)

3.96人(34位)

― 1.64人(13位)

2.28人(23位)

1.38人(8位)

2.65人(27位)

0.93人(1位)

1.37人(7位)

6.10人(43位)

海外の主要国における学校のICT化環境整備への取組み

○ 海外の主要国における教育分野のICT化環境整備の状況は下記のとおり。

(注)本調査研究時において、該当の統計データが無い又は該当項目の取組を行っていない場合は、表中「―」と記載している。(出典)教育分野における先進的なICT利活用方策に関する調査研究(平成27年3月㈱富士通総研)

(参考) 「OECD生徒の学習到達度調査(PISA2015)」

21

経済財政運営と改革の基本方針2019(令和元年6 月2 1 日閣議決定)

2.人づくり革命、働き方改革、所得向上策の推進(1)少子高齢化に対応した人づくり革命の推進② 初等中等教育改革等初等中等教育においては、児童・生徒に個別最適化された教育を効果的・効率的に実現するため、希望する全ての小・中・高等学校等で遠隔教育を活用

できるよう、SINETの活用モデルの提示をはじめとした教育の情報化を推進する。学校ICT環境の整備状況に地方自治体間でばらつきが見られる中、国としてもその是正に努めつつ、個人情報の取扱いに適切に配慮した上で、教育データのデジタル化・標準化を進める。

学校ICT化に係る閣議決定

統合イノベーション戦略2019(令和元年6 月2 1 日閣議決定)

第Ⅰ部6.初等中等教育からリカレント教育に至るまでの人材育成改革〇 最終的に、生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、ICTを十分活用することのできるハードウェア・ネットワーク等の環境整備を達成するため、目標の設定と

ロードマップの策定を行う。

第Ⅱ部第2章 知の創造 (1)大学改革等によるイノベーション・エコシステムの創出② 目標達成に向けた施策・対応策<初等中等教育>《初等中等教育におけるICTの活用》〇 全ての人が基礎学力を確実に身につけることは重要であり、そのためには、限られた授業時間を効果的に活用することが必要である。このため、ICTやEdTechを学習に最大限に活用できるよう、「パソコン1人1台環境」やSINET等による「全学校での高速ネットワーク環境」を実現するための年限を含む計画を早急に策定し、着実に実行する。

第5章 特に取組を強化すべき主要分野 (1)AI技術② 目標達成に向けた施策・対応策<教育改革>○ 最終的に、生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、ICTを十分活用することのできるハードウェア・ネットワーク等の環境整備を達成するため、目標の設定とロードマップの策定を行う。○ ICT環境の整備状況やICTの活用状況などの見える化及び確実な整備促進のための具体的な方策を検討・実施する。 22

学校ICT化に係る政府方針等

成長戦略2019(令和元年6 月2 1 日閣議決定)

9.Society 5.0時代に向けた人材育成(2)新たに講ずべき具体的施策ⅱ)初等中等教育段階における人材育成

・ 全ての児童生徒に対して、最新技術を活用した世界最先端の質の高い教育を実現するため、5年以内のできるだけ早期に、全ての小学校・中学校・高等学校でデジタル技術が活用され、その効果が最大限発現されるよう包括的な措置を講ずる。小学校、中学校、高等学校等における必要なICT環境について、最終的に、児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境を実現するため、目標の設定とロードマップ策定を2019年度中に行う。あわせて、BYOD(Bring Your Own Device)等の活用について検討を行い、具体的な活用方法等を示す。また、ICT環境について、速やかにかつできる限り費用を低減して調達できるようにするため、ICT機器等の標準仕様書例を2019年夏までに示すとともに、クラウド利活用等に向け、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の見直しを2019年夏までに行う。・ 学校ではクラウド活用を前提とすることとし、効率的・効果的なクラウド導入の方策について周知するとともに、コスト等の面から学校が導入しやすいよう、その接続方法について、公衆網を介したパブリッククラウドや「SINET」などの多様な選択肢をモデル化して例示する。また、初等中等教育における大学等の教育資源の活用や大学等の教育・学術研究における活用等も含めて、希望する全ての自治体や学校が「SINET」を利用できるように準備を進め、2020年度中に試験的な実施を行う。・ デジタル教科書は、児童生徒の学習の充実や障害等による学習上の困難の程度の低減に大きな可能性を有する新たな教材であることから、教育現場における効果的な活用を促進する。また、デジタル教科書の効果・影響について検証を実施しつつ、最適な制度の在り方について、国際競争力の観点からの調査を含む検討を行い、必要な措置を講ずる。・ 2020年度からの小学校のプログラミング教育の導入に向けて、全ての教師がプログラミング教育を実施できるよう、体験や研修などの機会を設けるとともに、ポータルサイトによる指導事例などの情報提供を充実する。また、中学校及び高等学校の教員研修に資する教材等の開発を2019年度中に行うとともに、教師の養成・研修・免許の在り方等の検討状況を踏まえつつ、高等学校において2024年度までに社会の多様な人材も含めICTに精通した人材を1校1名以上登用することを目指す。・ 学びの生産性及び質を向上させるため、AIによる効果的な学習等を実現するEdTechの開発や学習ログ等を蓄積した学びのポートフォリオが児童生徒の学びや教師の指導に活用されるよう、収集するデータの標準化や利活用に関する実践を進め、好事例を創出・収集し、全国への展開を図る。また、EdTechをはじめとする先端技術やICTを教師が使いこなすことができるよう、先端技術の活用に関する基本的な考え方を整理するとともに、「教育の情報化に関する手引」(仮称)の作成や指導事例の普及・展開等を通じて研修の充実を図る。・ 遠隔教育について、学校等が接続先のマッチング、指導面・技術面のアドバイスを得られるよう、2019年度中に協力意向を有する様々な関係団体を取りまとめて、提示を開始するとともに、中学校における弾力的実施等も含めた事例の創出・展開を進め、2023年度までに希望する全ての学校で遠隔教育を実施することができる環境を実現する。

23

24

A市 B市

廃校

学校組合を設立した統廃合

組合立学校

平成30年5月1日現在:37校

廃校

小規模(~11学級)

適正規模(12~18学級)

大規模(19学級~)

合計

S63年度

15,968 校 9,329 校 9,946 校 35,243 校

45 % 26 % 28 % 100 %

H30年度

13,568 校 8,917 校 6,527 校 29,012 校

47 % 31 % 22 % 100 %

○ 平成の間、小規模学校の割合が下がらなかったが、教育・学校運営の質の確保のためにも、学校規模の適正化(統廃合)を更に進めるべきではないか。

○ その際、学校設置者(市町村)の域内での規模の適正化だけでなく、近隣地域を含めた連携の在り方の検討を促進することが必要ではないか。

学校規模の適正化

<域外との連携による統廃合>

※現行制度で可能な取組

A市 B市

廃校

教育事務の委託

教育事務の委託による越境通学

出典: 文部科学省 「学校基本調査」(平成30年度)「平成30年度廃校施設等活用状況実態調査の結果について」

459432

482364 323

1.5 1.4 1.6

1.2 1.1

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

25年度 26年度 27年度 28年度 29年度

0

200

400

600

800廃校数

(%) (校)

注1:表中の「適正規模」とは、学校教育法施行規則第41条及び79条に基づく小中学校1校当たりの標準学級数をいう。

注2:特別支援学級は含まない。出典: 文部科学省 「学校基本調査」(平成30年度)

○ 学級数別学校数(昭和63年度、平成30年度)

○ 公立小中学校の廃校数の推移

<公立小中学校の規模別数と廃校数>

(出典)文部科学省「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」(平成27年1月27日)

①教育上・ クラス替えが全部又は一部の学年でできない。

・ クラス同士が切磋琢磨する教育活動ができない。

・ 集団学習や協働的な学習に制約が生じる。

②学校運営上・ 教職員一人当たりの校務負担や行事に関わる負担が重

くなる。

・ 経験年数、専門性等のバランスのとれた教職員配置が困難となる。

・ 課題に組織的に対応することが困難となる。

小規模校のデメリット

統合が困難な地理的等要因の有無

(出典)文部科学省「学校規模の適正化及び少子化に対応した学校教育の充実策に関する実態調査について」(平成29年3月31日)

N=1755(全市区町村)

(1学校11学級以下)

25

0.総論

1.義務教育

2.科学技術

3.高等教育

4.スポーツ・文化

26

研究力の現状

○ 科学研究活動の成果である論文について、日本は、量的指標となる論文数、質的指標となるTop10%論文数ともに、国際的な立ち位置が低下傾向。

◆被引用数(Top10%論文数)

◆論文数

(出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2019」 (令和元年8月)

論文数 シェア 順位 論文数 シェア 順位 論文数 シェア 順位

米国 196,528 29.6 1 米国 234,153 25.0 1 米国 276,638 18.8 1

日本 56,203 8.5 2 中国 73,956 7.9 2 中国 272,698 18.6 2

英国 48,036 7.2 3 日本 67,026 7.2 3 ドイツ 66,110 4.5 3

ドイツ 45,730 6.9 4 ドイツ 54,749 5.8 4 日本 63,725 4.3 4

フランス 34,698 5.2 5 英国 53,059 5.7 5 英国 61,003 4.2 5

カナダ 24,618 3.7 6 フランス 39,252 4.2 6 インド 55,707 3.8 6

ロシア 22,881 3.4 7 イタリア 32,938 3.5 7 韓国 47,642 3.2 7

イタリア 21,963 3.3 8 カナダ 31,269 3.3 8 フランス 45,520 3.1 8

中国 14,621 2.2 9 インド 25,311 2.7 9 イタリア 45,207 3.1 9

オーストラリア 14,122 2.1 10 スペイン 24,736 2.6 10 カナダ 40,108 2.7 10

2005-2007年(PY)(平均)

論文数

国・地域名分数カウント

全分野2015-2017年(PY)(平均)

論文数

国・地域名分数カウント

全分野

国・地域名

1995-1997年(PY)(平均)

論文数

分数カウント

全分野

論文数 シェア 順位 論文数 シェア 順位 論文数 シェア 順位

米国 29,957 45.1 1 米国 34,775 37.2 1 米国 38,347 26.1 1

英国 5,556 8.4 2 英国 6,773 7.2 2 中国 28,386 19.3 2

ドイツ 4,231 6.4 3 ドイツ 5,849 6.3 3 英国 8,718 5.9 3

日本 3,939 5.9 4 中国 5,487 5.9 4 ドイツ 7,591 5.2 4

フランス 3,188 4.8 5 日本 4,506 4.8 5 イタリア 5,014 3.4 5

カナダ 2,879 4.3 6 フランス 4,028 4.3 6 フランス 4,716 3.2 6

イタリア 1,787 2.7 7 カナダ 3,592 3.8 7 オーストラリア 4,530 3.1 7

オランダ 1,655 2.5 8 イタリア 2,887 3.1 8 カナダ 4,455 3.0 8

オーストラリア 1,440 2.2 9 スペイン 2,287 2.4 9 日本 3,927 2.7 9

スウェーデン 1,194 1.8 10 オランダ 2,241 2.4 10 スペイン 3,542 2.4 10

国・地域名分数カウント

国・地域名分数カウント

国・地域名分数カウント

全分野1995-1997年(PY)(平均)

全分野2005-2007年(PY)(平均)

全分野2015-2017年(PY)(平均)

Top10%補正論文数 Top10%補正論文数 Top10%補正論文数

27

科学技術関係予算の対GDP比の伸びは主要先進国と遜色ない水準

米国

ドイツ

フランス

イギリス

日本

(出典)「科学技術指標2019」(文部科学省 科学技術・学術政策研究所)より財務省作成。

(注1)左のグラフにおいては、各国の科学技術予算の各国通貨ベースのデータを比較。(注2)上記の数値は、中央政府の科学技術関係予算であるが、ドイツは連邦及び州政府の科学技術関係予算の合計を計上。

① 各国の科学技術関係予算の推移(名目値、2000年を100) ② 各国の科学技術関係予算の推移(対GDP比、2000年を100)

米国

ドイツ

イギリス

日本

フランス

60

80

100

120

140

160

180

200

20002001200220032004200520062007200820092010201120122013201420152016201720182019

① 日本の科学技術関係予算は主要先進国に比べて、伸びていないと指摘されることがある。② しかしながら、対GDP比で見れば、主要先進国と比べて遜色ない水準で推移。

28

60

70

80

90

100

110

120

130

140

150

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

科学技術関係予算の「絶対水準」は主要先進国と遜色ない規模

○ 科学技術関係予算の総額は、研究開発減税も加え、主要先進国と比べて遜色ない規模。

0.07

0.11

0.15

0.29

0.08 0.13

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

米 日 独 英 仏 伊 加

減税規模

軍事関係

軍事以外

143

61 0

45 85

19 21

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

米 日 独 英 仏 伊 加

減税規模

軍事関係

軍事以外 0.71

0.80

0.92

0.68

0.93

0.590.64

1449

438 413

202 275

145 103

(2018) (2018) (2018) (2017) (2017) (2017) (2016) (2018) (2018) (2018) (2017) (2017) (2017) (2016)

0.640.69

0.53

0.64

0.51 0.50

(億PPP$) (%)

◆科学技術関係予算(名目値) ◆科学技術関係予算(対GDP比)

(注)減税規模については、直近のデータがないため、米2013年、英・仏2015年、その他2016年のデータを使用。(出典)OECD Main Science and Technology Indicators, R&D Tax Incentive Indicators 29

(注)減税規模については、直近のデータがないため、米2013年、英・仏2015年、その他2016年のデータを使用。(出典)OECD Main Science and Technology Indicators, R&D Tax Incentive Indicators(extracted on 7 May 2019)

30

科学技術関係予算額の規模に比してTop10%論文の数が少ない

○ 現在の科学技術関係予算の水準はドイツ並みで、英、仏よりも多いにもかかわらず、これらの国々よりTop10%論文数が少なく、研究開発の生産性が低い。

(億PPP$) ◆科学技術関係予算+減税規模(2018年)

◆Top10%論文数(2017年)

◆「科学技術関係予算+減税規模」100万ドル当たりのTop10%論文数(2017年)

(件/百万PPP$)生産性高い

生産性低い

(2017) (2017)

(注)左上図の「Top10%論文数」を左下図の「科学技術関係予算+減税規模」の数値で除したもの。

(件)

3,922

37,500

7,451 8,520

4,530

0

4,000

8,000

12,000

16,000

20,000

日 米 独 英 仏

36,000

40,000

(出典)科学技術指標2019(2019年8月、科学技術・学術政策研究所)より財務省作成

438

1,449

413

202 275

0

200

400

600

800

1,000

日 米 独 英 仏

1,300

1,500

0.09

0.26

0.18

0.42

0.16

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

日 米 独 英 仏

高等教育部門も研究開発費の規模に比してTop10%論文の数が少ない

○ 高等教育部門の研究開発費の額は、独英と比べて同程度ないしそれ以上だが、Top10%論文数などが劣る。○ したがって、研究開発費100万ドル当たりの「Top10%論文数」や「論文被引用数」、すなわち研究生産性が米

独英より低い。また、その低さは継続している。

② 研究開発費総額(高等教育部門、2017年)(億ドル)

④ 研究開発費100万ドル当たりの論文被引用数の推移(高等教育部門)(2017年10月 英・ビジネス・エネルギー・産業戦略省、エルゼビア)

31(注1)高等教育部門における研究開発費総額は、OECD「Main Science and Technology Indicator」より財務省作成。(注2)論文数は補正論文数であり、分数カウントベース。(注3)高等教育部門の論文数は、文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2019」、「第3期基本計画フォローアップ調査研究『日本と主要国のインプット・アウトプット比較分析』」に基づき、総論文数(2017年)に高等教育部門にシェア(2006年)を乗じて算出。(注4)研究開発費100万ドル当たりのTop10%論文数は、左上図の「Top10%論文数」を左下図「研究開発費総額(高等教育部門)」の2017年の数値で除したもの。

①Top10%論文数(高等教育部門、2017年)(件) ③ 研究開発費100万ドル当たりの

Top10%論文数(高等教育部門、2017年)

(件)

生産性高い

生産性低い

生産性高い

生産性低い

(出典)英・ビジネス・エネルギー・産業戦略省、エルゼビア”International Comparative Performance of the UK Research Base 2016”

2,958

31,827

5,402 7,648

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

日 米 独 英

205

708

229

117

0

200

400

600

800

日 米 独 英

0.14

0.45

0.24

0.65

0.00

0.10

0.20

0.30

0.40

0.50

0.60

0.70

日 米 独 英

若手研究者の活力向上:大学における若手教員の活用

○ 国立大学においては、平成16年の法人化以降、定年延長等に伴いシニア教員が残留するとともに、採用においてもシニアが増加し、若手が減少。結果、教員数が増加する中でも若手が減少。

○ 従来、大学は教員の業績評価を任期・雇用の判断にほとんど活用してきておらず、近年改善が見られるものの、その割合はまだ低い。

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

元 4 7 10 13 16 19 22 25 2830歳未満 30~39歳 40~49歳

50~59歳 60歳以上

(特会時代) (法人化後)

(千人)

0

1

2

3

4

5

6

7

元 4 7 10 13 16 19 22 25 2830歳未満 30~39歳 40~49歳50~59歳 60歳以上

(特会時代) (法人化後)(万人)

業績評価結果を判断材料としている主な項目

活用している割合

① 年俸制の給与 88%② 賞与 67%③ 月給制の昇降給 64%④ 任期・雇用更新等 31%⑤ 研究費等予算配分 16%

業績評価結果を判断材料としている主な項目

活用している割合

① 賞与・報奨金等 67%② 給与 58%③ 教員の基盤的研究費 18%④ 昇任 17%⑤ 雇用継続・任期延長の判断 4%

<平成26年度>

<平成29年度>

(出典)文部科学省「学校教員統計調査」文部科学省委託調査「研究者等の業績に関する評価に関する調査・分析報告書(三菱総合研究所)」(平成26年度)、文部科学省調査(平成29年度)

◆本務教員の採用数(国立大学) ◆本務教員数(国立大学) ◆教員の業績評価の活用状況

(注)「教員の業績評価の活用状況」について、平成26年度は国立大学の約95%が教員の業績評価を実施、平成29年度は全ての国立大学(86大学)において教員の業績評価を実施。

32

若手研究者の活力向上:人事・組織の硬直性・閉鎖性①

○ 大学の人事・組織の硬直性・閉鎖性が、新たな研究分野への進出、新陳代謝の妨げになっている。

○ 大学の講座制により多くの問題が生まれている。優秀であってもコネがないと能力に見合った職を得られないことが多い。若手研究者は教授に研究資金を依存しないといけない。このような不公正なシステムにより日本の大学に閉塞感が生まれている。

○ 非成果主義のシステムのために、若い科学者や優秀な研究者が地位を向上させることができず、またトップにいる人が資源を規制しているので、自由に研究できない。

○ 日本の40代、50代の研究者コミュニティはお互いの研究の批判をしないのでブラッシュアップされない。○ 大学ではボスと異なる研究を嫌がる人が多く、独創性がない。米国では他人とは違う切り口を出さないと評価されない。

文部科学省 科学技術・政策研究所「第3期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究 内外研究者へのインタビュー調査報告書」(2009)

時代は変化し、大学に対する社会的期待は変わり、それ以上に学問そのものが変化してゆく。そのような場合には、どうしても講座の組み換えが必要になる。その時、壁になるのが、この万世一系の大系である。その学問分野は歴史的使命を終えたから廃止する、だから助教授、助手はどこか別のところに活路をみつけなさないといっても、行くところがない。だから講座は増えることはあっても減ることはない。

さらに講座はそれぞれが独立王国だから、教授ポスト、助教授ポスト、助手ポストを削ることは、誰にもできない。学部長、学長といえどもできない。ここが旧国立大学が時代の変化、学問の変化についてゆくことができなかった、最大の理由だった。

潮木守一著「大学再生への具体像-大学とは何か(第二版)」東信堂(2013)

日本の大学の研究室は長年、教授-助教授-助手という上意下達型の体制だった。2007年に学校教育法が改正され、新たな職名の准教授と助教は独立して研究教育を行う権利と義務が与えられたはずだった。しかし、10年たった今、若手教員の割合は減少し、9割以上の准教授と助教が教授の支配下にとどまる。世界の常識からかけ離れた体制の変革が不可欠である。

(中略)

日本では、大学の方針でなく、教員たちの意向で伝統分野が受け継がれるために、人工知能やビッグデータ解析など、かねて発展が確実視されていた分野の人材育成が、決定的に遅れてしまった。

野依良治・科学技術振興機構研究開発戦略センター長(2017.9.12読売新聞) 33

ある教授が退職すると、同じ学科や専攻にいるたった十数人の議論で新しい教授を選ぶ。教授を選考する会合は全会一致が原則で、異質なものを入れようとする発想がないから、新しい分野への挑戦は生まれない。

橋本和仁・物質材料研究開発機構理事長(2018.1.12毎日新聞)

○ 本当に研究開発に取り組む若手等の意見は軽視され、年功序列が支配する構造は変わっていない。○(若手研究者)数は増えているように感じるが、実態は大先生のブランチ化が目立つ。○ 配分は平等主義が強く、特に各研究室のスペースは学生数に依らず同じ広さであり、閑散なところと過密状態のところの差が拡大

文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術に係る総合的意識調査(NISTEP定点調査2018)」(2019)

明治政府は、ドイツの大学の講座制を採用して日本の高等教育の構築を図った。教育と研究を一体的に進める講座制によって、新国家の学術レベルは飛躍的に向上した。

だが、この制度は講座の主である教授を頂点とする権威主義的なヒエラルキーを形成し、自由闊達な研究の足かせとなる問題をはらんでいた。そこでドイツは同じ大学・講座の助教授は、そこの教授になれない制度を取り入れていた。大学でのキャリアを求めるならば独立した研究者として新天地で羽ばたくという哲学を持っていたからだ。

ところが、日本はドイツの大学の「形」は取り入れたものの、独立した個人としての研究者を目指すという「精神」の方は置き去りにした。

日本の大学現場には旧態依然とした“家元制度”が大手を振ってまかり通ることになった。教授という権威の下で、学生や若手研究者らは全員がその徒弟であり、教授の手足となって研究し教授の共著者として論文を書く。研究は教授の下請けの域を出ず、多くは教授の業績となる。大学には東大を頂点としたヒエラルキーが存在し、大学院重点化で狭いタコツボがさらに狭く窮屈になった。徹底したタテ社会の論理である。

黒川清・政策研究大学院大学名誉教授(2018.1.15日本経済新聞)

国立大学は「時代に対する感性」があまりになさすぎる。(中略)クリエイティビティのない老教授をいつまでも置くことが、いかに効率が悪いか。若い人をどんどん入れて知を活性化しなければならない。(略)時代に対する感性だけでなく、学問領域、新陳代謝に対する感性もなさすぎる。

(中略)経営体としてマンモス過ぎる。とりわけ総合大学は、おぞましいほどいろんな組織がある。スクラップ&ビルドではなく、ビルド&ビルド。その結果、肥大化した組織になる。

小林喜光・三菱ケミカルホールディングス取締役会長(前経済同友会代表幹事)(2018.5.22読売教育ネットワーク)

若手研究者の活力向上:人事・組織の硬直性・閉鎖性②

34

若手研究者の活力向上:競争的資金における若手研究者への重点化

◆科研費等における若手研究者への重点化の主な取組

(単位:百万円)

H27 H28 H29 H30 R1

若手研究 23,327 23,327 24,558 24,582 28,910

研究活動スタート支援 2,340 2,340 2,340 2,340 3,527

(単位:百万円)

H27 H28 H29 H30 R1

さきがけ 7,800 7,509 7,562 7,702 8,177

ACT-X 0 0 0 0 117

◆ 科研費:予算額推移(若手研究者を主な対象とする種目)

◆ 戦略的創造研究推進事業:予算額推移(若手研究者を主な対象とする種目)

(注1) 「若手研究」は、平成29年度以前は、「若手研究(B)」を指す。(注2) 「研究活動スタート支援」は、令和元年度から基金化。

(注)科学技術振興機構(JST)運営費交付金中の推計額。

事業資金配分

機関概要

科研費

日本学術

振興会

(JSPS)

■「若手研究」(2~4年、500万円以下)

・「若手研究」を一本化しつつ、「基盤研究」において若手を優先

的に採択する枠組みを導入(H30)

・所属機関と連携した重点的な若手の独立支援(試行)

(H29)

■「研究活動スタート支援」(~2年、300万円以下)

■「国際共同研究」(3~6年、2,000万円以下)

・若手研究者の参画を必須とする「B枠」を新設(H30)

■「帰国発展研究」(~3年、5,000万円以下)

・若手研究者等がより幅広く応募できるよう要件緩和(H30)

戦略的創造研

究推進事業

科学技術

振興機構

(JST)

■「ACT-X」(2年半、 500~1,500万円)

・若手研究者等の独創的なアイディアをスモールスタートで支援す

るため新設(R元)(「さきがけ」等での継続支援も想定)

■「さきがけ」(3年半、3,000~4,000万円程度)

・若手研究者等の独創的で挑戦的な研究を支援

■「CREST」(5年半、1.5~5億円程度)

・チーム型研究の下、研究代表者は、雇用した若手研究員の多

様なキャリアパスの確保に向けて積極的に支援

35

若手研究者の活力向上:研究の硬直性・閉鎖性①

① 近年、世界では情報通信分野の文献数が増加している一方で、日本では当該分野の文献数の伸びが低く、研究分野のシェアが硬直化している。

② 時代の変化に柔軟と考えられる工学分野における科研費の応募状況を見ても、研究分野のシェアが硬直化している。

23%

20%

13%

11%

15%

7%

12%

22%21%

12%12%

14%

7%

13%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

(出典)日本学術振興会「科研費データ」より財務省作成

② 科研費応募数の分野別割合の変化(H19⇒H29)(工学)

世界では、情報通信分野の文献数が増加。

① 世界と日本における各領域の文献数の変化(電気電子・情報通信分野)

(出典)文部科学省 第95回情報科学技術委員会(H28.8.19)小柴研究員発表参考資料

IEEE:米国電気電子学会

H19H25

H29

36

若手研究者の活力向上:研究の硬直性・閉鎖性②

○ 研究大学において、時代の変化に柔軟と考えられる工学部の学科・専攻の学生定員シェアが長期にわたり硬直的。その背景には、教員人事の硬直性があるとみられる。

(注1)各計数は、当該年度の「学部の入学定員×4+修士課程の入学定員×2+博士課程の入学定員×3」で算出。(注2)昭和40年度の博士課程における専攻ごとの入学定員がない場合には、総定員に修士課程の入学定員のシェアを乗じて算出。(注3)学科・専攻の分類は原則以下のとおり。ただし、大くくり化により複数の分類にまたがる学科・専攻については、母体となる学科・専攻に基づき中心的な一つの分類に片寄せした上で、

母体となる学科・専攻をさかのぼって当該分類に片寄せ。機械系: 機械工学、航空宇宙工学、精密工学、原子核工学など

電気電子情報系: 電気工学、電子工学、情報工学、通信工学など化学・材料系: 応用化学、化学工学、工業化学、生命工学、材料工学、金属工学など

社会インフラ系: 土木工学、建築学、都市工学、環境工学、衛生工学、資源工学など

(出所)東京大学、京都大学、大阪大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、九州大学、東京工業大学の平成31年度募集要項、文部省「昭和40年度 全国大学一覧」、文部省「平成元年度 全国大学一覧」、文部科学省「平成15年度 全国大学一覧」を基に財務省作成。

(単位:人)

27%

機械系6,977

26%

機械系10,054

26%

機械系10,831

25%

機械系11,189

19%電気電子情報系

5,022

22%電気電子情報系

8,694

23%電気電子情報系

9,547

23%電気電子情報系

10,290

34%

化学・材料系8,958

32%

化学・材料系12,471

32%

化学・材料系13,291

32%

化学・材料系14,558

19%

社会インフラ系5,065

19%

社会インフラ系7,286

18%

社会インフラ系7,631

18%

社会インフラ系8,107

0%, その他, 96 1%, その他, 430 2%, その他, 851 3%, その他, 1,132

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

昭和40年度 平成元年度 平成15年度 平成31年度

◆工学系の学部・大学院の学生定員シェアの推移(旧7帝大+東工大)

37

若手研究者の活力向上:研究の硬直性・閉鎖性③

○ 世界では、研究の単位が個人から研究チームに移行している傾向。さらに、トップ論文を生み出す能力が国内だけで足りなければ海外の能力と連携する傾向。

○ 日本においては、国際的な開放性・連携が弱い。

◆世界の論文の平均著者数の推移

中央値 平均値

Top1%論文 5.0人 7.5人

通常論文 3.0人 4.0人

◆Top1%論文の著者数(米国・自然科学分野)

(出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学研究への若手研究者の参加と貢献-日米科学者を対象とした大規模調査を用いた実証研究-」(2013年11月)

← Top1%論文の方が共著者数が多い

◆Top10%論文における国内論文数と国際共著論文数の推移(整数カウント)

主要先進国は国際共著論文が大きく増加

(出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学研究のベンチマーキング2019」(2019年8月)

38

若手研究者の活力向上:研究の硬直性・閉鎖性④

① 2017年10月のNature論文では、論文のインパクトと相関があるのは、政府投資の規模ではなく、人材の国際流動性や国際共著の程度である、との研究結果が示されている。

② 日本の研究機関の人材国際流動性は、極めて低い。

● R&Dに対する政府支出は、論文量に相関があるが、論文のインパクトとは相関しない。

● 研究のインパクトに相関があるのは、国際共著と国際人材流動性により測られる、国の「開放性」(country’s openness)である。

● 特に日本においては、2000年以降、論文産出と引用のインパクトが横ばいになっている。科学先進国において、日本は最も国際性の「ない」国であり、このことがパフォーマンスが上がらない原因となっている可能性がある。高度人材の流動性の無さが、言語の壁も含めて、妨げになっているのかもしれない。(以上、仮訳)

(出典)Wagner, C, S., Jonkers Koen, “Open countries have strong science ”, October 5, 2017 Nature Vol.550

「開放性」

論文のインパクト

● 日本の研究機関の人材国際流動性は、2017年のOECDのデータによれば、OECD諸国等41か国間の比較で、39位と極めて低い。例えば17位のドイツは、論文著者のうち87%が連続する論文間で同じ国の機関に属している一方、日本はその割合が95%となっている。

(参照)OECD Science, Technology, and Industry Scoreboard 2017: The Digital Transformation

② 人材の国際流動性に関するOECD調査結果

① Nature Vol.550 “Open countries have strong science” の概要

39

(出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学における知識生産プロセス:日米の科学者に対する大規模調査からの主要な発見事実」2011年12月に基づき作成

○ 日米の論文著者に執筆動機として「基礎原理の追求を重視したか」「現実の具体的な問題解決を重視したか」注

を尋ねた結果、日本の著者はどちらでもないと答えた割合が大きい。(注)これまでは「基礎」か「応用」かのリニアモデルが多かったが、近年、「基礎原理の追求」か否かと「現実の具体的な問題解決」か否

かに着目した、ストークスの4分類が用いられることも多い。

若手研究者の活力向上:研究の動機

40

若手研究者の活力向上:新陳代謝が不十分な科研費の仕組み①

○ 科学研究費助成事業(科研費)は、研究代表者としての新規採択率が、例えば30%だとしても、① 3~5年継続で受給できることから、理論上、応募し続けているアクティブな研究者のうち60%程度が受給し得

ること、② 加えて、研究代表者としてのみならず、研究分担者としての受給もあり得ることから、実際には理論値(60%)を上回る研究者が科研費を受給していると考えられる。

②あるシニア研究者の科研費獲得状況①応募者に占める理論上の受給者割合

'07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14 '15 '16 '17 '18 '19

研究代表者

研究分担者

研究者T(~22)

基盤C 基盤B

研究者F

研究者C

研究者A 研究者A

研究者B 研究者B

研究者D

研究者C

研究者E

5課題で受給 代表者として採択されていない時も受給

(注)研究分担者の行において、研究者○とあるのは、当該研究課題の研究代表者を示している。(出典)科研費データベースより財務省作成

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

(新規採択率)

(継続者も含めた理論上の受給者割合)

(注)当該新規採択率が一定、受給期間は3年継続と仮定し、一定の研究者が応募し続けた場合の、応募者に占める「新規採択者+継続採択者」の割合の機械的試算。

41

若手研究者の活力向上:新陳代謝が不十分な科研費の仕組み②

○ 科研費のそれぞれの学問分野ごとの配分額は、それぞれの学問分野への「応募件数」と「応募総額」に比例して決まることから、既存の研究分野が温存されやすい仕組みとなっている。

○ また、科研費等の補助金を含めた公的支援の各国立大学への配分シェアは、法人化後15年が経過しても、平成16年度当時とほとんど変わっていない。

◆科研費の分野別配分額

(出典)日本学術振興会「科研費データ」より財務省作成

自然科学

35%

保健

28%

工学

23%

人文社会

14%

自然科学

31%

保健

31%

工学

24%

人文社会

14%

H19

H30

⇒ 配分が硬直化

◆国立大学に対する公的支援(運営費交付金+科研費等の補助金)のシェア

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0%

16年度と29年度の配分割合が同一

29

年度

16年度 42

若手研究者の活力向上:硬直性にメスを入れる優先順位付けがなされていない

11% 8% 6% 2%

47% 51%

26%

12%

36%40%

38%

58%

7%1%

30% 28%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

20年度 21年度 22年度 23年度

S

A

B

C

① 総合科学技術会議における優先度判定の推移(新規事業)

約9割

② 統合イノベーション戦略(H30.6.15)における「特に取組を強化すべき主要分野」AI技術、バイオテクノロジー、環境エネルギー、安全・安心、農業 等

① 総合科学技術会議による科学技術予算の「メリハリ」付け(いわゆるSABC)は、23年度予算においては「S」「A」評価で約9割を占めるなど形骸化。24年度予算以降は、SABC評価が行われていない。

② 現状は、科学技術重要施策アクションプラン、科学技術イノベーション総合戦略などにより、重点化すべき施策を特定する、いわば「ハリ」だけを強調した仕組みとなっている。

○ 研究領域の硬直性にメスを入れるためには、司令塔機能による上から下までの優先順位付けが有効と考えられる。

43

進学者,

0.8%

就職者(正規の職員等),

54.7%

就職者(正規の職員で

ない者等), 14.3%

一時的な仕事に就いた者,

5.4%

就職も進学も

していない者,

17.3%

その他,

7.5%

若手研究者の活力向上:博士課程修了者のキャリアパス①

52.6

50.9

52.3

7.4

11.0

8.8

26.1

27.7

24.7

7.7

2.1

7.9

3.5

4.0

3.3

2.8

4.3

3.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2012

(3.5年後)

2012

(1.5年後)

2015

(0.5年後)

大学等 公的研究機関 民間企業

非営利団体 個人事業主 その他・無所属

博士課程修了後の雇用先機関(セクター)博士課程修了者

(出典)文部科学省「学校基本調査」、文部科学省 科学技術・学術政策研究所「博士人材追跡調査」第2次報告書

2015年に博士課程を修了した者の0.5年後の状況並びに2012年に博士課程を修了した者の1.5年後及び3.5年後の状況

44

若手研究者の活力向上:博士課程修了者のキャリアパス②

8.8%

58.0%

17.2%

41.1%

9.1%

21.2%

12.6%

23.2%

57.2%

11.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

その他

企業の業績が不振だから

企業の研究開発の規模が小さい、もしくは縮小するから

博士課程修了者の能力について知らないから

研究開発以外の点で有益でないから

上記以外の点で研究開発に有益ではないから

専門分野以外では研究を推進できないから

特定分野の専門的知識を持つが、企業ではすぐに活用できないから

研究開発に有益な特定分野に関する専門的な知識が不足しているから

民間企業が博士課程修了者を研究開発者として採用しない理由

研究開発者の採用後の印象

7.0

9.6

6.2

5.3

86.8

85.0

85.7

89.5

6.1

5.3

8.1

5.2

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

ポスドク

博士課程修了者

修士号取得者

学士号取得者

期待を上回った ほぼ期待通り 期待を下回る

(出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「民間企業の研究活動に関する調査報告」(2012、2018)

企業内外(大学院含む)での教育・訓練によって社内の研究者の能力を高める方が、博士課程修了者を採用するよりも効果的だから

45

若手研究者の活力向上:博士課程修了者のキャリアパス③

雇用先機関(インターンシップ経験の有無別)

12.8

8.6

10.4

30.8

32.6

32.9

56.4

58.9

56.7

0 20 40 60

2012

(3.5年後)

2012

(1.5年後)

2015

(0.5年後)

アカデミア 民間企業 その他

13.8

10.6

14.7

25.7

27.2

23.5

60.6

62.2

61.8

0 20 40 60

65.2%13.6%

11.2%

6.0%2.6%

1.3%

実施した経験がない 1週間未満

1週間以上2週間未満 2週間以上1ヶ月未満

1ヶ月以上3ヶ月未満 3ヶ月以上

民間企業の研究開発者としてのインターンシップの実施状況

(出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「博士人材追跡調査」第2次報告書、「民間企業の研究活動に関する調査報告」(2018)

(%)(%)

インターンシップ経験あり

インターンシップ経験なし

2015年に博士課程を修了した者の0.5年後の状況並びに2012年に博士課程を修了した者の1.5年後及び3.5年後の状況

46

(P I)

若手研究者の活力向上:これまでの博士人材のキャリアパス多様性に関する施策の変遷

(出典)科学技術・学術審議会 第8期人材委員会「博士人材の社会の多様な場での活躍促進に向けて」

文部科学省作成資料

47

若手研究者の活力向上:これまでの博士人材のキャリアパス多様性に関する施策の変遷

(出典)科学技術・学術審議会 第8期人材委員会「博士人材の社会の多様な場での活躍促進に向けて」

文部科学省作成資料

48

研究者の事務負担の軽減:競争的資金等に係る事務手続等

(研究現場に)おカネがないというが、戦後直後のわれわれの時代もカネはなかった。カネのないことが(研究現場に元気がない)第一因だとは思わない。反対に、カネを取るための書類書きなどが忙しくなった。

益川敏英・京都産業大学教授(2018.2.10 週刊東洋経済)

○ 誰も読まないのになぜここまでと思わせる膨大な報告義務のために貴重な研究時間が奪われている

(1) プロジェクトの種類にもよるが報告書の量が半端ではない。書く方も評価する方も絶句したくなるほど膨大だが、研究成果という最も大事な部分に関する記載が相対的に少ない。そのため、実績に対する研究者側の意識も散漫になりやすい

(2) クレストの報告書では、全口頭発表がリストアップされたり、予定した時系列に沿って研究が行われなかった理由を記載する義務があったり。評価のため、全体として60ページを超える報告書が毎年五人分送られてくる。これが三億円の研究費の日本的な価値なのか? 誰も読まないばかりか、継続プログラムすら存在しないのになぜここまで?ーーと欧米の友人に驚かれた。(略)

○増え続ける申請とそれにかかわる審査、選考、最終報告、最終評価(大型のみ)のために浪費する研究者のエネルギーを重複申請制限で抑えるのは如何なものか。事前に示された評価軸に沿ってフェアで厳密な最終評価を行い、明確な成果を挙げたプロジェクトには継続を可能にする一方、成果をあげなかったプロジェクトにはなんらかのペナルティーを設けることで、自浄作用を誘導する方向が望ましい。

相田卓三・東京大学教授(2019.9.12 総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会配布資料(抜粋))

日米の研究環境を比べると、違いにがくぜんとする。グラッドストーンでは研究者は実験エリアをのんびりと歩いていたり、他分野の研究者と交流を深めたりと、余裕を持ちながら研究に取り組んでいる。一方、日本の研究者は多忙だ。研究業務に加え、書類作りなど煩雑な事務に追われる。若手は学生への実験指導や器具、試薬の管理などがあり、さらに忙しい。クリエイティブなことに集中するエネルギーを吸い取られており、この環境でいい仕事ができるのか大いに疑問だ。

山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所所長(2016.8.26 日本経済新聞)

○競争的資金に係る研究者の負担、支援状況等に関する意見(過去の調査から評価を下げた者の意見)

・「申請者の負担は軽減されたが、審査員の負担が継続している(正月は審査業務でつぶれる)」、「採択決定から研究開始に至るまでの事務手続きが非効率」、「各機関の申請フォーマットを極力統一すべき、研究者は、単なるフォーマット修正に莫大な時間を割いている」、「書類を整えるだけで多大な労力と時間を要する」、「大学事務のローカルルールが負担低減を阻んでいる」等(事務負担)

・「(個々の事業の)研究期間が短く(3~5年)、継続性の観点で課題」、「研究成果の確認、評価に至るタイムスケールが短くなり、短期的成果に向けた圧力が高くなっている」、「省庁間の異なる公募型研究費の橋渡しは不十分」、「特定の研究に省庁間で重複して支援がなされている」等(公募型研究費等の支援)

文部科学省 科学技術・学術政策研究所 「科学技術の状況に係る総合的意識調査」(令和元年4月及び平成30年4月) 49

研究者の事務負担の軽減:競争的資金に係る手続上の事務負担の例

(注)大学からの聴き取りに基づく。

50

○ 個々には細かい例かもしれないが、関係省庁・資金配分機関ごと、事業ごとに資金使途等に係る制限や記載・報告方法等が異なる例が多くあり、各事業等のマニュアルを読み込む必要があるため、それらが積み重なる結果、研究者、事務職員への負担が大きくなっている(ルールの内容の面もあるが、求められる手続の「違いの存在」が負担)、との意見がある。

研究機関における事務負担

購入とリース・レンタルの調達経費を比較し、原則、安価な方

法を採用する必要。証憑書類の添付が必要であるほか、リー

ス・レンタルが適さない場合の適さない旨及びその理由に係る書

類作成が必要。

購入とリース・レンタルの調達経費に係る比較検討を求めるが、

その選択に係る理由書等の作成は不要。

年度中の研究員の増員・交替や所属部署・役職の変更等に

ついて、実施計画変更の届出が必要。

年度末の実績報告書で参加者リスト等の更新を行えば、年

度中の手続は不要。

計上に当たり、年ごとに区切り、研究機関が付与する各年の

有給休暇取得可能日数を当該年における当該研究の雇用

期間で按分して算出した日数を上限とする必要。

当該研究の雇用期間であれば、年ごとの区切り等を行うことな

く、研究機関が付与する有給休暇取得可能日数の範囲内で

計上可。

有給休暇の経費計上

可能日数の算出

(C機関)

官庁・資金配分機関の対応

消耗品に対するリース

等検討

A省の場合、少額の消耗品であっても、購入とリース・レンタル

の比較検討結果について、各執行ごとに書類作成等が必要に

なり、事務作業が増加する。

従事研究者に係る年

度中の変更等

C・D機関の場合、届出そのものの作業に加えて、リアルタイム

で当該研究の研究体制や研究員の雇用状況を把握する必

要があり、事務作業が増加する。

C機関の場合、計上可能日数について研究者ごとに計算する

必要があり、当該研究の雇用期間が年度の途中から年を跨い

で行われる場合など、予算管理が複雑になる。(B機関)

(A省)

(C・D機関)

(E省)

(B機関)

■「応募等の手続」に関する改善

◆ 応募における電子申請システムの活用を段階的に推進(平成17年度公募から導入)し、毎年公募を行う主要種目の応募を全面電子化。 【平成30年度公募から】

◆ 交付申請や実績報告等、交付手続を原則電子化(※)するとともに、従前は電子申請を行った場合にも求めていた押印した紙媒体の提出を不要とした。【平成30年度助成から】 (※)研究代表者が死亡した場合に研究機関が行う手続等を除く

◆ 研究分担者の参画に当たって必要な研究分担者承諾書について、従前は所属長が押印した紙媒体の作成を求めていたところ、全面電子化。【平成31年度公募から(交付時の手続は令和元年度助成から全面対応)】

○ 研究計画調書(応募書類)について、研究者からの改善要望を踏まえ、様式の罫線・枠線を削除して研究者の事務負担を軽減。【平成29年3月から一部種目で試行、平成30年度公募から全面対応】

○ 研究計画調書(応募書類)について、審査において不利にならないよう、調書内に、過去に産休育休や介護休暇等で研究活動を中断していた事情を記載できることを明示。 【平成30年度公募から】

○ 研究計画調書(応募書類)について、従来の「研究業績欄」から「研究遂行能力及び研究環境欄」に改め、研究業績を網羅的に一覧記載するのではなく、研究計画の実行可能性の根拠となる主要な業績を記載する書式に変更。【平成31年度公募から】

■「研究成果等の公開」に関する改善

○ 審査委員の公表について、応募課題と担当審査委員との対応関係をより明確することで、審査委員の説明責任の意識を高めるなど審査の公正性の一層の向上を図るため、従前よりも詳細に、書面審査委員を研究種目別に公表。 【平成29年度助成から】

★ 採択課題の審査の所見について、従前より公表していた大型研究種目(特別推進研究、基盤研究(S)、新学術領域研究)に加え、「総合審査」方式の導入を契機として、「基盤研究(A)」についても新たに公表。(今後引き続き、「挑戦的研究」についても、審査の検証等を踏まえて対応。) 【令和元年度助成から】

★ 「科学研究費助成事業データベース(KAKEN)」の公表情報について、従前より交付内定後に公表していた「研究課題名」と「配分予定額」に加え、交付決定後に「研究の概要」を新たに公表。 【令和元年度助成から】

★ 研究成果報告書の記載内容について、研究者の説明責任の意識を高めるとともに、国民が科研費においてどのような研究成果を生み出されたかを容易に知ることができるよう、「研究成果の学術的意義や社会的意義」について分かりやすく記載する欄を新設。 【令和元年度提出分から】

◆印は手続の電子化に関する事項★印は令和元年度から改善する事項

■「審査」に関する改善

○ 従来の「系・分野・分科・細目表」を廃止して新たに「審査区分表」を作成し、研究種目の特性に応じた審査区分(小区分、中区分、大区分)を設定。【平成30年度公募から】

○ 比較的大型の種目(基盤研究(S)、基盤研究(A)、挑戦的研究)は、関連する幅広い分野の審査委員が、合議を含む複数段階の多角的な審査を行う「総合審査」、比較的小型で応募が数万件に及ぶ種目(基盤研究(B)、基盤研究(C)、若手研究)は、電子システムを活用した複数段階の書面審査により、負担軽減と審査の効率化を図る「二段階書面審査」を実施。 【平成30年度公募から】

○ 政府の競争的資金全体で更なる活用が求められる「researchmap」と、科研費の電子審査システムとをリンクさせて、審査委員が必要に応じて参照可能とした。【平成31年度公募から】

研究者の事務負担の軽減:科研費における最近の制度改善 文部科学省資料より財務省作成

51

年度 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

配置人数(人) 323 477 696 791 830 916 1,225

配置機関数 50 58 69 88 93 102 146

◆リサーチアドミニストレーター(URA)の人数と機関数の推移

(出典)文部科学省 「平成29年度大学等における産学連携等実施状況について」(平成31年2月)

(出典)文部科学省「リサーチ・アドミニストレーターの質保証に資する認定制度の導入に向けた論点整理」(平成30年9月)

◆リサーチアドミニストレーター(URA)を導入したことによる効果

研究者の事務負担の軽減:リサーチ・アドミニストレーターの活用

52

官民の研究開発投資総額(対GDP比、2016年)

(出典)OECD, Main Science and Technology Indicators

官民の適切な役割分担・連携:企業部門の研究開発投資

3.12.9

2.7

2.3

1.71.6

1.3

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

日本 ドイツ アメリカ フランス イギリス カナダ イタリア

(%)

企業

部門

官部門

国と民間の支援のイメージ

基礎研究 社会実装

国が負担すべき領域

民間が負担すべき領域

国が肩代わりする必要があるか?

○ 我が国の企業部門の研究開発投資の規模は、主要先進国の中でトップクラスの水準にある。

53

官民の適切な役割分担・連携:民間から大学への投資をさらに呼び込む必要

① 企業の研究開発費のうち大学に投じる研究開発費の推移

企業の研究開発費(左軸)

② 企業の研究開発費のうち大学に投じる研究開発費の割合(2017年)

(出典)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2019」より財務省作成

(兆円)

(注)文部科学省 科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2019」に基づき作成。独、英は2016年、仏は2015年の数値。

(億円)

③ 大学等の産学共同研究の1件当たりの規模

(出典)文部科学省「平成29年度 大学等における産学連携等実施状況について」(2019年2月)

日本の大学等における一件あたり共同研究費の規模は約200万円

日 米 独 仏 英

0.7% 1.0% 3.7% 1.0% 1.6%

○ 企業が好業績にあり、企業の現金保有は過去最高水準にある中でも、日本企業の研究開発投資への意欲は高いとは言えない。

① 企業が大学に投じる研究開発費は伸びず、② その割合も諸外国と比べて低水準。③ さらに、1件当たりの規模も小さい。

~100万円未満47%~300万円

未満37%

~500万円未満7%

~1000万円未満5%

1000万円以上4%

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

0

2

4

6

8

10

12

14

16

うち大学に投じる分(右軸)

54

55(注1)工程表は、第2期の計画策定時のものであり、TRLや民間拠出率(民間出資等額/(SIP国費+民間出資等額))は、その時点の期待値。(注2)民間貢献額は、内閣府による積算。(出典)内閣府資料より財務省作成

◆SIP第2期の国の支援の支出状況(平成30年度)等

官民の適切な役割分担・連携:本来民間が負担すべき範囲まで国が肩代わりしていないか

○ 「戦略イノベーション創造プログラム」(SIP)の第2期では、1年目(平成30年度)の国費の約半分が民間企業に支出されている。研究開発の進捗に応じた民間企業への国費支援や民間負担の妥当性について、対外的に十分に説明することが期待される。

○ 欧州では、NASAが開発した技術成熟度レベル(TRL)等に基づき、研究の段階に応じて国の支援割合を定めている例もある。

TRL 研究の段階 レベル

1 基本原理・現象の発見

2 原理・現象の定式化

3 技術コンセプトの実験的な証明

4 研究室レベルでの技術実証

5 想定使用環境下での技術実証

6 実証・デモンストレーション

7 トップユーザーテスト

8 システムの完成及び検証

9 大量生産

基礎研究

応用研究・開発

実証

事業化

◆技術成熟度レベル(TRL: Technology Readiness Level)

(出典)科学技術振興機構「主要国における橋渡し研究基盤整備の支援」(平成28年3月)

(百万円)

支出額 機関数 支出額 機関数 支出額 機関数 支出額 機関数 TRL民間

拠出率

1ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間

基盤技術1,957 429 11 138 5 1,388 23 2 1 586 TRL3 10~40%

2 フィジカル空間デジタルデータ基盤技術 1,819 684 6 107 2 1,028 15 0 1 2,595 TRL3~5 10~20%

3IoT社会に対応したサイバー・フィジカ

ル・セキュリティ1,933 0 0 16 1 1,917 7 0 0 543 TRL4~5 25%

4 自動運転(システムとサービスの拡張) 680 87 9 16 1 577 20 0 0 3,000 TRL5~8 33%以上

5 統合型材料開発によるマテリアル革命 1,947 652 23 752 4 437 18 106 1 373 TRL1~4 -

6光・量子を活用したSociety5.0実現

化技術2,360 1,320 5 107 1 933 4 0 0 231 TRL3~5 35~50%

7 スマートバイオ産業・農業基盤技術 2,287 925 36 829 6 499 62 34 11 278 TRL3~5 5~28%

8 IoE社会のエネルギーシステム 2,104 1,257 21 22 1 825 32 0 0 314 TRL2~4 24~30%

9 国家レジリエンス(防災・減災)の強化 1,888 349 20 479 9 1,060 28 0 0 91 TRL6 15%

10AIホスピタルによる高度診断・治療シス

テム2,250 270 2 135 1 1,845 17 0 0 182 TRL5 0~20%

11 スマート物流サービス 148 0 0 0 0 148 2 0 0 - - 15~30%

12 革新的深海資源調査技術 2,830 26 1 2,503 3 301 1 0 0 32 TRL3~5 3%

合計 22,203 5,999 134 5,104 34 10,958 229 142 14 8,225

支出総額に対する比率 100.0% 27.0% - 23.0% - 49.4% - 0.6% - -

自治体 民間貢献額

(金額換算)

(内閣府)

平成30年度 工程表上の想定

(令和2年度)国費

総額

大学 国研 民間等

56

〔ドイツ〕■先端クラスター事業(2008年~)・欧州2~3位の地域クラスターを世界トップに、欧州トップを世界2~3位にすることを目指す事業。・1地域あたり約56億円の支援(5年間)。・地域側の民間資金等が連邦政府の支援額と同額以上集めることが採択要件。

■研究キャンパス事業(連邦教育研究省、2012年~)・基礎研究を担う大学を念頭に、その成果を企業が活用し、応用まで一気通貫で行うため、1つ屋根の下で大学・企業等が研究開発・学生指導を行う。

・最長15年間(途中2回の評価)、毎年約2.8億円を限度に支援。・政府支援と企業の持ち出し(金銭提供以外を含む)が1対1であることが採択要件。

〔米国〕■産学共同研究センター(I/UCRC)プログラム(米国国立科学財団(NSF)、1973年~)・産学連携の拠点(センター)を設け、大学は、企業の研究資金等の提供を受け、前競争段階の革新的研究や、企業が必要とする学生の育成を行う。企業と大学の長期的パートナーシップに対し、構築資金を政府が支援。

・各センターは、政府支援及び契約企業からの会費を元に運営。参加企業は、関心が高い研究に対し資金やノウハウを提供。

・自立運営に向け、5年間で仕切る3フェーズで政府支援を段階的に減少、同時に、契約企業数及び会費を段階的に増やすことを支援継続の要件としている。

〔英国〕■カタパルト・プログラム(英国研究・イノベーション機構(UKRI)・Innovate UK、2011年~)・特定の技術分野で英国が世界をリードすることを目的に、企業や研究者が協力して研究開発を行う拠点(センター)を構築。産業界の積極的な資金投入を通じた研究開発促進を目指す。

・政府支援はセンター運営に充てられ、研究プロジェクト実施のための資金は産業界等が用意。・2011~2014年に10の技術分野でセンターを設置。公的支援約5.28億ポンド、民間資金は約8.72億ポンド。

■大学企業ゾーン(ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS))・大学におけるビジネスや地域の新たなビジネスの成長支援(2014年~)。・大学内に産学連携に特化したゾーンを設置。スタートアップ等がオフィスを構え、大学の研究者と研究開発。

(出典)「ドイツに学ぶ科学技術政策」(永野博著、2016年1月)、「米国国立科学財団NSF - 基礎研究を支える連邦政府独立機関」(JST・CRDSセンター林幸秀編著、2018年3月)、「英国の科学技術情勢」(JST・CRDSセンター林幸秀編著、2019年3月)から財務省作成

官民の適切な役割分担・連携:海外の産学連携事業の例

フェーズ 支援期間NSF支援額

/サイト/年

契約企業会費

/サイト/年*

立ち上げ 1年 1.5万ドル

フェーズ1 5年 15万ドル15万ドル以上

(3企業以上)

フェーズ2 5年 10万ドル20万ドル以上

(4企業以上)

フェーズ3 5年 5万ドル25万ドル以上

(5企業以上)

*最低限義務付けられる基準。現物出資ではなく会費としての負担。

米国・I/UCRC

I/UCRC運営費予算総額(2017~2018年度)

I/UCRCに対するNSFの支援期間と金額

57

官民の適切な役割分担・連携:産学連携関連事業におけるマッチングファンド等の仕組み

事業 概要 民間資金活用等実施機関

・拠点開始年度

オープンイノベーション

機構の整備

企業の事業戦略に深く関わる大型共同研究を集

中的にマネジメントする大学の体制整備を通じ、国

費投入額を超える民間投資誘因を図る

・自立化に向けて、国の支援規

模を段階的に縮小(4年目

75%、5年目50%)

・民間資金に係る要件なし

・12機関 H30年度~

Society5.0実現化

研究拠点支援事業

情報科学技術を核として、大学等をSociety5.0の

実証・課題解決の先端中核拠点とし、垣根を超え

て研究成果を統合、社会実装を加速するため、大

学のマネジメント体制構築及び実証実験等の実施

に必要な研究費を支援

・5年目に国の支援金額と同規

模以上の大学等、産業界、自

治体などの関係機関による貢献

・1機関 H30年度~

産学協創プラットフォー

ム共同研究推進プロ

グラム(OPERA)

コンソーシアム型の連携により、非競争領域における

大型共同研究、若手人材育成、大学の産学連携

システム改革等を一体的に推進

・研究開発費は、2500万円~

1.5億円/年度を上限として、

民間資金と同額まで支援

・19拠点 H28年度~

地域イノベーション・エ

コシステム形成プログラ

地域大学に事業プロデュースチームを創設し、地域

の競争力の源泉となるコア技術等を核に、地域内

外の人材や技術を取り込み、地域の成長等につな

がる事業化プロジェクトを推進

・出口として民間資金の獲得を

目標(具体的な要件なし)・21機関 H28年度~

世界に誇る地域発研

究開発・実証拠点

(リサーチコンプレック

ス)推進プログラム

世界に誇るイノベーション創出を目指し、地域の産

学官金が最先端の研究開発、成果の事業化、人

材育成を一体的に展開する基盤を形成

・支援期間(5年間)で政府

支援と同規模の地域負担・3拠点

H27年度~

R1年度

センターオブイノベーショ

ンプログラム(COI)

10 年後を見通した革新的な研究開発課題を特

定した上で、基礎研究段階から実用化を目指した

産学連携による研究開発を集中的に実施

・支援期間全体で参画企業にも

リソースを求める・18拠点

H25年度~

R3年度

基金管理法人

基金事業(ImPACT)のイメージ

5年分550億円を一括で交付

プロジェクトA プロジェクトB

初年度に約450億円配分(1プロジェクト:15~40億円)

初年度に大きな額を交付したため、進捗状況の評価を反映できず

S A B C

1課題 5課題 9課題 1課題

進捗状況評価結果(4年後の30年2月)

① C評価を受けたあるプログラム26年度当初:30億円 29年度時点:30億円

⇒ C評価にも関わらず、26年度当初と同額措置。

「このままでは、産業や社会の在り方の変革に十分なインパクトを与えないことが懸念される。」(出典)非公表の評価書より抜粋

② 「脳情報の可視化と制御による活力溢れる生活の実現」

⇒ 「国の研究プロジェクトでは当たり前の中間評価がImPACTには存在しないため、‥批判を受けるような機会がなかったことが原因ではないか」

(出典)(BHQチャレンジ等に関する外部専門家ヒアリングのとりまとめ報告書」(平成30年2月)

・余剰な資金が無駄に積みあがっているのではないか。

・基金造成後の執行管理が十分になされていないのではないか。

・当初予算を小さく見せるために、粉飾気味の補正予算となっているのではないか。

(ImPACTも名指しで批判)

⇒ 「基金は、利点もある一方で、執行管理の困難さも指摘されていることから、その創設や既存基金への積み増しについては、財政規律の観点から、厳に抑制する」(骨太2014)

国会での議論(24、25年度補正において基金を

多数計上したことを受けて)

58

(参考)基金事業の執行管理

○ ImPACT(革新的研究開発推進プログラム)は、基金方式であるが故に、執行管理が十分とは言えず、効率的に執行が行われなかったと考えられる。

① 外部専門家による進捗状況評価(S~D)を4年経過するまで未実施であり、評価結果も非公表。

② BHQ問題(Brain Healthcare Quotient)(注)についても、外部専門家より、内閣府及びJSTにおける進捗管理が不十分であった、との指摘がなされている。

(注)ImPACTの研究開発プログラム「脳情報の可視化と制御による活力溢れる生活の実現」において、十分なエビデンスがない段階で、29年1月に高カカオチョコレートに関し「脳の若返り効果」がある可能性を示唆する記者会見を開催した問題。

○ 「基金」方式は、

・ 国債で賄った財源が長期滞留し非効率(不要な国債金利負担、国民貯蓄を有効活用せず機会費用発生)

・ 適切な執行管理・評価がおろそかになる

といった弊害がある点に留意する必要。

0.総論

1.義務教育

2.科学技術

3.高等教育

(1)国立大学

(2)私立大学

(3)教育費負担の軽減

4.スポーツ・文化

59

60

昨年の財政制度等審議会での主な指摘事項(1)

国立大学への公的支出の総額については、このうち国立大学運営費交付金だけを取り出して、平成16 年度の国立大学法人化以降、約1,400 億円減少したとする指摘がある。しかしながら、この指摘は、教職員の退職に応じてその都度別枠で補助してきた退職金相当額が退職者の減により減少したことなど教育研究に直接影響しない減少を含んでしまっている一方で、教育研究向けの補助金の増額を含んでいない表面的・一面的なものである。

これらを勘案した実質的な教育研究向けの公的支出の総額を見れば、法人化以降、約600 億円増加している。また、日本の国立大学への学生一人当たりの公的支出の額は、主要先進国の国公立大学の中でトップクラスの水準にある。

◆公的支出の総額(令和元年6月建議より抜粋)

各国立大学の運営については、

・各研究施設への一律の予算配分や随意契約の割合の多さなど非効率な財務運営が行われている、・トップリサーチャーには若手が多いにもかかわらず、業績評価の未活用や定年延長などによりシニア層や高職位層に偏重した人事運営が行われている、

・大学自らが設定する目標は会議数や施設整備数など教育・研究に使う「量」(インプット)であることが多いうえに、ほとんどが高評価という、必ずしも厳格でない自己評価が行われている、

・部局ごとの予算・決算状況がほとんど公表されておらず外部検証が行える仕組みとなっていない、

といった現状を見れば、法人化以降、全学的な財務・人事のマネジメント機能や自律的な改善や外部検証の仕組みが働いているとは言えない。

◆各大学の運営(令和元年6月建議より抜粋)

61

昨年の財政制度等審議会での主な指摘事項(2)

各国立大学の教育・研究の質に差があるにもかかわらず、これまで各国立大学への運営費交付金は原則前年同額でそれぞれ配分されてきたが、このままでは、一律的・硬直的な財務運営やシニア層や高職位層に偏重した人事運営など非効率な現状を改善し、教育・研究の質を向上させていくことはできないし、説明責任も果たし得ない。

(中略)

(平成30年11月の)建議に沿って、令和元年度予算から、コスト当たりトップ10%論文数、若手教員比率、教員当たり外部資金獲得額などの厳選された共通の成果指標による相対評価に基づき約7%(約700 億円)分を配分する仕組みが導入された。これに、既存の重点支援評価に基づく配分295億円を加え、1,000 億円が評価に基づき配分されたところである。

今後は、教育・研究にかかる、共通・定量的な成果指標による相対評価に基づく配分の仕組みを、より実効性あるものとするため、

・部局ごとの予算・決算や成果の公表を義務付けるとともに、・教育によって身に付けた知識や技術、能力、また、教育後の進路にかかる客観的かつ比較可能な指標を加え、・当該評価に基づく配分の対象割合及び増減率を抜本的に拡大する

ことにより、教育・研究の質の向上を促すべきである。

一人ひとりの学生や研究者でみれば教育や研究の成果が現れるには一定の時間がかかるという主張もあるが、全学としてみれば、教育をした卒業生を毎年度送り出し、また、日々グローバルにしのぎを削っている多くの研究者を抱えている。こうした過去からの努力の積み重ねとして毎年度現れてくる成果を適時適切に評価することなくして、評価やそれに基づく配分といった既得権を長期間固定してしまえば、新陳代謝や切磋琢磨を阻害し、ひいては国際競争の後れにもつながりかねない。むしろ過去からの努力の成果を毎年度適切に評価することによって、教育・研究の質の向上を促すべきである。

◆各大学への配分と今後の課題(令和元年6月建議より抜粋)

62

昨年の財政制度等審議会での主な指摘事項(3)

国立大学教員の研究環境について、若手教員の処遇改善を求める指摘がある。日本の研究生産性の向上に向けて、一定の流動性を確保することは必要であるが、仮に改善が必要な場合には、前述の運営費交付金の配分に際して、若手教員比率などの指標を盛り込むとともに、各大学において、

・入学者が減少している一方、常勤教員数を増加させてきている、・雇用や任期の判断が効果的になされていない、・単純に定年延長をし、65 歳以上教員を増加させてきている

といった現状についても、マネジメント機能を発揮して人事・給与システムを見直すことで、若手教員の処遇を改善することは可能であると考えられる。

また、個人研究費が減少している、個人の研究時間割合が減少しているといった指摘があるが、

・外部資金を含めた教員1人当たりの研究費は増加していること、・大学全体としての研究時間は主要先進国と遜色がないこと、・調査方法が異なるアンケートによるデータの単純な比較は必ずしも妥当ではないこと

に留意する必要がある。それぞれの教員の教育と研究の比重の置き方については、教員の業績評価や大学のマネジメント機能の発揮を通じて、教員個人への研究費や研究時間の配分のメリハリの中で議論すべきである。各大学内での配分の議論に資するよう、各大学において、セグメント別の予算・決算や、各学科・各教員の教育・研究成果の見える化が必要である。

さらに、博士課程への進学者数が減少しているとの指摘がある。しかしながら、博士課程在籍者数は大幅に増加したのち、高止まりしている実態がある。また、大学院の就職状況や大幅な定員割れとなっている大学院が多いこと等を踏まえれば、むしろ定員の見直しを含め、大学院教育の抜本的な改革が求められているのではないか。その際、

・大学院側は働き方の変化に応じて、修了後のキャリアパスにつながる教育内容の工夫や開発を行う、・企業側は大学院教育の成果を適切に評価する

といった出口を見据えた改革が必要ではないか。そのため、産学連携を通じて、大学院・企業の意思疎通を図ることが望ましいと考えられる。

◆国立大学の研究環境(平成30年11月建議より抜粋)

63

第3期中期目標期間(平成28年度~)

第2期中期目標期間(平成22~27年度)

法人化の長所を生かした改革を本格化

第1期中期目標期間(平成16~21年度)

新たな法人制度の「始動期」

平成28年度平成16年度 平成22年度 平成25年度

《国立大学法人化の意義》

・自律的・自主的な環境の下での

国立大学活性化

・優れた教育や特色ある研究に向

けてより積極的な取組を推進

・より個性豊かな魅力ある国立大

学を実現

国立大学経営力戦略

「社会変革のエンジン」として知の創出機能を最大化

改革加速期間・グローバル化、・イノベーション創出、・人事・給与システムの弾力化 など

国立大学改革プラン(平成25年11月)

自主的・自律的な改善・発展を促す仕組みの構築強み・特色の重点化グローバル化イノベーション創出人材養成機能の強化

ミッションの再定義

大学改革実行プラン(平成24年6月)

社会の変革のエンジンとなる大学づくり・大学の機能再構築・大学ガバナンスの充実・強化

国立大学法人スタート

《国立大学を取り巻く環境の変化》・グローバル化・少子高齢化の進展・新興国の台頭などによる競争激化

機能強化の推進・地域貢献、専門分野、卓越性等3つの重点支援枠・学長裁量経費の導入基盤的経費の確保・資産の有効活用等・平成29年度予算運営費交付金等対前年度25億円増・平成30年度予算運営費交付金等対前年度同額・学生への修学支援事業に対する国立大学への個人寄附への税額控除導入(平成28年度税制改正)・土地等の第三者貸付対象の範囲拡大(国立大学法人法改正)・寄付金等の運用対象の拡大(国立大学法人法改正)・評価性資産の寄附に係る非課税要件緩和(平成30年度税制改正)

未来の産業・社会を支えるフロンティア形成

持続的な“競争力”を持ち、高い付加価値を生み出す国立大学へ

指定国立大学法人制度を創設し、文部科学大臣が指定する国立大学法人については、世界最高水準の教育研究活動が展開されるよう、高い次元の目標設定に基づき大学を運営(国立大学法人法改正)

世界最高水準の教育力と研究力を備え、人材交流・共同研究のハブとなる卓越大学院(仮称)を形成

優れた若手研究者が安定したポストにつきながら、独立した自由な研究環境の下で活躍できるようにするため、「卓越研究員」制度を創設

国立大学法人化以後の流れ

国立大学法人への公的支援の俯瞰図

予算編成 大学間での配分 大学内での配分・使用

○ 公的支援の総額 ○ どう配分すべきか ○ 全学的なマネジメントが機能しているか

国民負担

運営費交付金

A国立大学

B国立大学

C国立大学

・・・

全国86の国立大学に配分(法人化前の配分がほぼ継続)

D国立大学 本部

A学部

B学部

C学部

○学長裁量経費○機能強化経費

・・・

各学部への配分は学内の予算編成で決定(非公表)

私学助成

奨学金

・・・

教育研究活動に使用

義務教育費国庫負担金

64

10,971

10,971

10,971

10,945

10,945

11,123

10,792

11,366

11,528

11,585

11,695

11,813

12,044

12,215

12,317

12,416

令和元年度

30年度

29年度

28年度

27年度

26年度

25年度

24年度

23年度

22年度

21年度

20年度

19年度

18年度

17年度

平成16年度▲98億円減(▲0.8%)

▲103億円減(▲0.8%)

▲171億円減(▲1.4%)

▲230億円減(▲1.9%)

▲118億円減(▲1.0%)

▲110億円減(▲0.9%)

(単位:億円)

▲58億円減(▲0.5%)

▲162億円減(▲1.4%)

▲574億円減(▲5.1%) 331億円増

(3.1%)

▲177億円減(▲1.6%)

対前年度同 額

国立大学法人運営費交付金等の予算額推移

25億円増(0.2%)

対前年度同 額

対前年度同 額

65

○ 国立大学法人化以降、国立大学の運営費交付金等が約1,400億円減少したとの指摘がある。しかしながら、このうち、・ 附属病院が黒字化したことによる「病院赤字補てん金」の解消、・ 退職者の減に伴う「退職手当」の減は、教育研究とは直接関係のないものの減少。これらの特殊要因を除くと、実質的には▲420億円(▲3.9%)の減に留まる。

○ 一方、補助金等は約950億円増加している。○ したがって、国立大学に対する教育研究向けの公的支援は実質的には約550億円増加している。

国立大学への教育研究向けの公的支援の全体額は約550億円増加

(注) 補助金等については、国立大学に対する予算額は把握できないため、各国立大学の決算報告書の「補助金等収入」に、財務諸表附属明細書の「科学研究費補助金等の直接経費及び間接経費」を加えた額を計上。

「退職手当」:「退職手当」は、法人化時点で雇用されていた教員(及びその承継教員)については、退職時に国が退職金相当額を交付することとしていたもの。退職者の増減に応じて毎年度変動。法人化当初の大量退職が落ち着くとともに漸減。

「病院運営費交付金」:「病院運営費交付金」は、本来、国立大学附属病院の診療報酬で賄うべき診療経費に係る赤字補てんに充てられていたもの。

退職手当 ①特殊要因を除いた運営費交付金

10,682億円

(対H16比▲420億円)

現時点では補助金等の決算データなし

12,182億円

12,719億円

②補助金等

(対H16比+537億円)

10,274億円

10,262億円

1,149億円

696億円

708億円

2,445億円

病院赤字補てん金584億円

1,500億円

(対H16比▲408億円)

H16 12,416億円

H30 10,971億円

R元 10,971億円

(対H16比▲1,445億円)

(対H16比+945億円)

国立大学への補助金等(決算額)

公的支援合計額

(①+②)

国立大学法人運営費交付金等(予算額)

66

国公立大学への公的支援の水準は主要先進国の中でトップクラス

○ 学生一人当たりでみた国公立大学への教育研究にかかる公的支援は、主要先進国の中でトップクラスとなっている。したがって、同じ(学生)規模の国公立大学への公的支援は、平均的に見れば、主要先進国の中でトップクラス。

◆国公立大学の学生一人当たり公的支出額 ◆国公立大学の学生一人当たり公的支出額対一人当たりGDP比

0

5,000

10,000

15,000

20,000

2015

2017

2016

2016

2016

($)

(出典) OECD「Education at a glance 2018, 2019」、文部科学省 「諸外国の教育統計」に基づき作成。

0

10

20

30

40

50

2017

2015

2016

2016

2016

(%)

67

○ 運営費交付金が小さくとも、多様な財源を組み合わせて教育研究の質を確保している大学がある。運営費交付金の大きさが教育研究の質を規定するわけではない。

運営費交付金に限らず多様な財源により教育研究の質を確保

22%

10%

9%

41%

42%

11%

16%

16%

9%

14%

28%

28%

29%

29%

5%

3%

5%

5%

8%

25%

1%

1%

5%

14%

31%

42%

40%

12%

◆世界大学ランキング上位校及び東京大学の事業収入構成の比較

研究受託収入等 資産運用益学納金収入 寄附金運営費交付金 その他

(注1)事業収入構成の比較対象校については、Times Higher Education World University Rankings (2020)における上位校に加え、州立大学であるカリフォルニア大学バークレー校を東京大学と比較した。(注2)大学部門のみの収入で比較しており、病院部門を含まない。(注3)東京大学の研究受託収入等は、科学研究費補助金等の間接経費が含まれる。(出典)東京大学 平成30年度決算の概要について、University of Oxford“Financial Statements 2017/18”、University of Cambridge“Reports and Financial Statements 2018”、Stanford University“Annual Financial Report August 31, 2018 and 2017”、University of California, Berkeley “Annual Financial Report 2017-18”

オックスフォード大学(20.1億ポンド)

スタンフォード大学(58.7億ドル)

ケンブリッジ大学(18.1億ポンド)

カリフォルニア大学バークレー校

(22.0億ドル)

東京大学(1,850億円)

THEランキング順位

36位

1位

3位

4位

13位

68

科目名 内容(抜粋)

国立A教育大学「英語B」

目的:最近の社会で話題になっているトピックについて考えながら、大学入学時の英語力の維持を最低限の目標とします。主にペアワークやグループワークで基本的な語彙や表現力を身につけることを目指します。

国立B教育大学「コミュニケーション英語BⅠ」

授業の到達目標・テーマ:小学校外国語活動および外国語の指導に必要な英語力として、英検2級合格レベルの語彙および文法の力を身につける。

国立C教育大学「英語リーディングⅠ」

授業の目的:英検準2級対策。全国の都道府県の教員採用試験で、教科あるいは校種に拘わらず、英語実技の試験が課せられたり、英検2級以上を取得していると加点されるなど、学校教員は英語力が問われる時代になっている。本授業はそれに対応するものである。

国立D大学「BASIC ENGLISH」

教科書:「話すための中学英語」

国立E教育大学「外国語(英語)Ⅱ」

授業計画:TOEIC IP試験を受験し、目標スコアである450点以上を取得すること。

(注)英検準2級は高校中級程度、英検2級は高校卒業程度とされている。TOEIC450点は英検準2級相当とされている。(出典)各大学のホームページ上のシラバスを基に財務省作成

大学間で教育の質に差がある

○ 大学入学時の英語力を維持することを目標とするケースや高校レベルの内容の習得を目標とするケースなど、手厚い公費に見合った教育成果を目指しているとは考えにくい例がある。

69

○ 第1グループ(Top10%論文数のシェアが大きい)の大学の教員当たりや総事業費当たりの論文生産性は、他のグループに比べて高い。

大学間で研究生産性に差がある

2.1

0.8

0.5

0.2

0.07

0.03

0.02

0.01

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

第1グループ

第2グループ

第3グループ

第4グループ

第1グループ

12%

第1グループ

10%

第1グループ

36%

第2グループ

21%第2グループ

19%

第2グループ

28%第3グループ

20%第3グループ

18%

第3グループ

16%

第4グループ

47%第4グループ

53%

第4グループ

20%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

教員・研究者

数シェア

総事業費シェア top10%

論文数シェア(出典)科学技術政策研究所「第3期科学技術基本計画のフォローアップに係る調査研究 日本の大学に関するシステム分析 - 日英の大学の研究活動の定量的比較分析と研究環境(特に、研究時間、研究支援)の分析 -」

(2009年3月)の2005~2007年のデータを基に財務省作成

※論文数のシェアに基づく分類。シェアが高い方が第1グループ、低い方が第4グループ。

論文生産性約10倍の差

上段:教員一人当たりTop10%論文数(上軸)下段:総事業費10億円当たりTop10%論文数(下軸)

70

30

年度

○ 運営費交付金は、教育・研究の質とは無関係に、原則前年同額で配分されるため、法人化後15年が経過しても、各大学への配分シェアは当時とほぼ変わっていない。

大学間の配分は、教育・研究の質とは無関係に前年踏襲で硬直化

(注)大学別配分割合における運営費交付金等の額は、特殊要因(退職手当及び附属病院の赤字補てん)を除く予算額。

◆運営費交付金等における大学別配分割合(平成16、30年度)

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0%

16年度

16年度と30年度の配分割合が同一

基幹経費9,078億円

機能強化経費特殊要因経費1,608億円

「重点支援評価」に基づき配分(285億円)

原則、前年同額で各大学に配分

個別事情に応じて配分(退職手当等)

◆運営費交付金等の内訳(平成30年度)

10,971億円

71

○ 運営費交付金はおおむね教員数に応じて配分されており、旧帝国大学など特定の大学への集中が進んできたわけではない。

運営費交付金はおおむね教員数に応じた配分。法人化後も大きな変化は見られない

(注)国大運営費交付金配分額は、附属病院の赤字補填と退職手当を除いた計数

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

予算配分額(特殊要因除き) 常勤教員数

【H16】国大運交金配分額(単位:百万円) 【H16】常勤教員数(単位:人)

・運営費交付金の配分額は、

旧7帝国大で全体の34%・常勤教員数は、

旧7帝国大で全体の28%

16年度

【合計(86大学) : 9,791億円】

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

運交金配分額(特殊要因除き) 常勤教員数

【H30】国大運交金配分額(単位:百万円) 【H30】常勤教員数(単位:人)

・運営費交付金の配分額は、

旧7帝国大で全体の34%・常勤教員数は、

旧7帝国大で全体の30%

30年度

【合計(86大学) : 9,464億円】

72

○ 大学内での予算配分は、全学において一律の調整で配分しているケースが多い。

○ 随意契約が多く、随意契約が可能な上限も高い。非効率な予算執行が行われているのではないか。

一律・非効率な予算運営

区分 大学本部→各研究施設(全28大学)

①下部組織からの申請額を基礎として予算額の範囲内で一律調整 1大学(4%)

②下部組織からの申請額を基礎として上部組織で申請内容を審査のうえ配分 7大学(25%)

③前年度配分額を基礎として予算額の範囲内で上部組織が一律調整 22大学(79%)

④下部組織からの申請額や前年度配分額を基礎とせず、研究施設の研究成果や研究の進捗状況のみを上部組織が評価して配分

1大学(4%)

⑤その他 5大学(18%)

◆大学本部から各研究施設への予算の配分方法(28大学、90施設)(29年度) 【複数回答】

(出典)財務省「平成30年度予算執行調査」

54.6%

98.8% 100.0% 100.0%

45.4%

1.2% 0.0% 0.0%

0%

50%

100%

国立大学 理研 NIMS QST

入札実施 随契等

◆入札の実施状況

3 25

2

8

35

1

5

19

719

11 11 813

515

8

76

◆上限額300万円の大学 ◆上限額500万円の大学

国立大学は随契割合が高い 随契基準の上限額に近い価格で購入している傾向

随意契約4,996

調達差額→ ▲ 3,006

一般競争1,990

D大学(H25購入・V社型番W)

E大学(H25購入・V社型番W)

(出典)財務省「平成30年度予算執行調査」 73

50.5

51.9

54.3

58.3

61.0 61.7

62.4 62.1 62.4 62.9

62.4 62.5 61.8

61.3 61.0 60.9 60.9

53.2 53.8

55.0

56.7

58.3

59.6

60.7 60.9 60.9 60.7 61.0

61.7

62.8

64.3 64.8 64.5 64.6

9.5 9.6

9.9

10.3

10.5

10.4

10.3 10.2 10.2

10.4 10.2

10.1

9.8

9.5 9.4 9.5 9.4

8.0

8.5

9.0

9.5

10.0

10.5

11.0

11.5

12.0

50.0

52.0

54.0

56.0

58.0

60.0

62.0

64.0

66.0

平成元年 2年 4年 6年 8年 10年 12年 14年 16年 18年 20年 22年 24年 26年 28年 29年 30年

学生数(万人) 教員数(千人) 教員一人当たり学生数(人)

国立大学の学生数・教員数の推移

(教員一人当たり学生数:人)(学生数:万人)(教員数:千人)

教員数(千人)

学生数(万人)

教員一人当たり学生数(人)(右軸)

(注1)日本は令和元年度学校基本調査の国立大学の値。(注2)アメリカ、イギリスは短期を含む全高等教育段階(2017年時点)その他は、学士・修士・博士または同等レベルのもの(2017年時点)。(注3)フランスは2017年及び2016年のデータが得られないため、2015年のデータを記載。(出典)文部科学省「学校基本調査」、OECD「 Education at a glance (2019、2017)」

国立大学の学生数・教員数の推移

教員一人当たり学生数の国際比較

日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス G5平均 OECD平均

教員一人当たり学生数(人)(日本は国立大学の常勤(本務教員)

のみで算出)9 14 16 12 18 14 16

74

1.9%

9.4%

17.0%

23.6%

20.6%

10.7%

9.4%

5.4%1.4%0.5%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

○ トップリサーチャーは若手が多いにもかかわらず、教員の定年を延長している。

○ 業績評価を任期・雇用の判断にほとんど利用してこなかった。

シニア層、高職位層に偏重した人事運営①

◆教員の業績評価の活用状況

業績評価結果を判断材料としている主な項目

活用している割合

① 年俸制の給与 88%

② 賞与 67%

③ 月給制の昇降給 64%

④ 任期・雇用更新等 31%

⑤ 研究費等予算配分 16%

業績評価結果を判断材料としている主な項目

活用している割合

① 賞与・報奨金等 67%

② 給与 58%

③ 教員の基盤的研究費 18%

④ 昇任 17%

⑤雇用継続・任期延長の判断 4%

<平成26年度>

<平成29年度>

(注)「教員の業績評価の活用状況」について、平成26年度は国立大学の約95%が教員の業績評価を実施、平成29年度は全ての国立大学(86大学)において教員の業績評価を実施。

(出典)文部科学省委託調査「研究者等の業績に関する評価に関する調査・分析報告書(三菱総合研究所)」(平成26年度)、文部科学省調査(平成29年度)(出典)科学技術政策研究所「優れた成果をあげた研究活動の特性:

トップリサーチャーから見た科学技術政策の効果と研究開発水準に関する調査報告書」(2006年3月)を基に、無効回答・無回答者分を除いて算出

◆トップリサーチャー(Top10%論文の著者)

の年齢構成65歳以上

60~65歳未満

55~60歳未満

40~45歳未満

50~55歳未満

45~50歳未満

35~40歳未満

25~30歳未満

30~35歳未満50%

25歳未満

16年度 元年度

67歳 1校 1校

66歳

65歳 58校 76校

64歳

63歳 25校 9校

62歳 2校

61歳

◆教員の定年延長

(出典)文部科学省調査(令和元年度)

75

シニア層・高職位層に偏重した人事運営②

0

1

2

3

4

5

6

7

元 4 7 10 13 16 19 22 25 28

30歳未満 30~39歳 40~49歳

50~59歳 60歳以上

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

元 4 7 10 13 16 19 22 25 28

30歳未満 30~39歳 40~49歳

50~59歳 60歳以上

(特会時代) (法人化後) (特会時代) (法人化後)

◆本務教員数

(国立大学)

◆本務教員の採用数

(国立大学)

1.7 1.7 1.9

0.5 0.5 0.5

1.4 1.7 1.8

1.6

2.1

2.1

0

1

2

3

4

5

6

7

元 15 30

◆職位別の本務教員数

(国立大学)

(万人)(千人) (万人)

○ 教員採用は若手が減少、シニアが増加。その結果、教員数が増加する中でも若手が減少。

○ 教授・准教授という高職位層を増加。

(出典)文部科学省「学校教員統計調査」、文部科学省「学校基本調査」

教授

助/准教授

助教/助手

講師

76

○ 各大学の強み・特色を発揮し、機能強化の方向性に応じた取組をきめ細かく支援するため、

第3期中期目標期間(2016年度)より国立大学法人運営費交付金のなかに「3つの重点支援の枠組み」を創設

機能強化の方向性に応じた重点支援(2016~2018年度の3年間)

重点支援① 地域のニーズに応える人材育成・研究を推進(55大学)

重点支援② 分野毎の優れた教育研究拠点やネットワークの形成を推進(15大学)

重点支援③ 世界トップ大学と伍して卓越した教育研究を推進(16大学)

○ 全86国立大学が策定した296の「戦略」において、1,847項目(2018年度)の評価指標(KPI)が設定され、

PDCAサイクルの確立に向けて努力

○「戦略」の構想内容や進捗状況、評価指標(KPI)等を対象に、外部有識者からの意見を踏まえて評価を行い、運営費交付金予算の重点支援に反映

第3期中期目標期間を通じたビジョン

○ 機能強化を実現するための「ビジョン」、「戦略」及びその達成状況を把握する

ための「評価指標(KPI)」を各大学が主体的に作成

○評価の分かりやすさの確保の観点から、各大学が策定した評価指標(KPI)を約半分に精選(1847項目→944項目)し、評価指標

(KPI)の進捗状況を評価。

○教育研究の安定性・継続性に配慮しつつ、改革インセンティブの向上を図るため、本枠みの変動幅を95%~105%に設定。

(2019年度の対象経費は約300億円) ※2018年度の変動幅:77%~112%

○6年間の中期目標期間を通じた各大学の機能強化を支援するため、第3期中期目標期間中は本枠組みを継続して実施。

戦略①

評価指標

(KPI)

取組

取組

戦略②

評価指標

(KPI)

取組

取組

戦略③

評価指標

(KPI)

取組

取組

2019年度予算における改革状況

各国立大学の改革意欲を受け止め、強み・特色をさらに発揮することで、機能強化を一層加速

機能強化の方向性に応じた「3つの重点支援の枠組み」文部科学省作成資料

77

【重点支援②】 【重点支援③】

北海道教育大学 名古屋工業大学 筑波技術大学 北海道大学

室蘭工業大学 豊橋技術科学大学 東京医科歯科大学 東北大学

小樽商科大学 三重大学 東京外国語大学 筑波大学

帯広畜産大学 滋賀大学 東京学芸大学 千葉大学

旭川医科大学 滋賀医科大学 東京芸術大学 東京大学

北見工業大学 京都教育大学 東京海洋大学 東京農工大学

弘前大学 京都工芸繊維大学 お茶の水女子大学 東京工業大学

岩手大学 大阪教育大学 電気通信大学 一橋大学

宮城教育大学 兵庫教育大学 奈良女子大学 金沢大学

秋田大学 奈良教育大学 九州工業大学 名古屋大学

山形大学 和歌山大学 鹿屋体育大学 京都大学

福島大学 鳥取大学 政策研究大学院大学 大阪大学

茨城大学 島根大学 総合研究大学院大学 神戸大学

宇都宮大学 山口大学 北陸先端科学技術大学院大学 岡山大学

群馬大学 徳島大学 奈良先端科学技術大学院大学 広島大学

埼玉大学 鳴門教育大学 九州大学

横浜国立大学 香川大学 15大学 16大学

新潟大学 愛媛大学

長岡技術科学大学 高知大学

上越教育大学 福岡教育大学

富山大学 佐賀大学

福井大学 長崎大学

山梨大学 熊本大学

信州大学 大分大学

岐阜大学 宮崎大学

静岡大学 鹿児島大学

浜松医科大学 琉球大学

愛知教育大学

55大学

【重点支援①】

主として、地域に貢献する取組とともに、専門分野の特性に配

慮しつつ、強み・特色のある分野で世界・全国的な教育研究を

推進する取組を中核とする国立大学を支援

主として、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のあ

る分野で地域というより世界・全国的な教育研究を推進

する取組を中核とする国立大学を支援

主として、卓越した成果を創出している海外大学と伍して、

全学的に卓越した教育研究、社会実装を推進する取組

を中核とする国立大学を支援

国立大学法人運営費交付金における「3つの重点支援の枠組み」について文部科学省作成資料

78

〇 大学自身が設定する目標は、教育・研究の成果につながるか必ずしも明らかではない「インプット指標」となっている。加えて、おおむね「A」評価となっている。自律的な評価の仕組みになっていない。

○ 各学部ごとの予算・決算がほとんどの大学で公表されておらず、外部検証が行える仕組みになっていない。

自律的な評価や外部検証の仕組みが働いていない

評価指標 目標値 直近の実績実績の把握

目標に向けた進捗状況

自己評価の判断理由

KPIの改善状況

A大学「地域人材育成会議」の開催回数

年2回開催(29年度以降)

1回開催 A A A A

A大学混住型学生宿舎の整備

96名以上(33年度末)

80名 A A A B

B大学自学自習施設の増加状況

1,863㎡(33年度末)

1,552㎡ A A A A

C大学AO入試募集人員数

49人以上(33年度末)

4人 A A A A

D大学アンケート調査結果に基づく入試方法改善への活用状況

年1回調査実施(28年度以降)

1回 A A A A

E大学大学院における定員充足率

100%(28年度以降)

91% A B B A

E大学就職相談等の実施件数

年間7,200件以上(28年度以降)

7,613件 A A A B

F大学「先導研究推進機構」に所属する教員数の増加状況

12人(28年度末)

12人 A A A B

決算のみ

公表して

いる 2校

公表して

いない

84校

◆重点支援評価における目標の実例(30年度) ◆学部・研究科ごとの予算・決算の公表状況(29年度)

(出典)文部科学省調査(平成30年度)

令和元年5月16日財政制度等審議会資料

79

○ A教育大学は、目標として、学生が受験するTOEICの平均スコア500点(英検準2級程度)を設定している。○ しかしながら、

・ 小学校英語教員に求められる英語能力は英検準1級程度とされており、また、高校卒業程度の英語能力は英検2級程度であるが、これらを下回る目標となっている。

・ また、直近(平成28年度末)の実績値は、TOEIC445点となっており、目標設定時の実績(基準値)も目標も下回っている。

○ こうした状況であるにも拘わらず、自己評価や改善状況は「A」評価、進捗状況は「B+」評価となり、これを前提に配分等が実施されている。

国立大学の課題(大学間予算配分に用いる「重点支援評価」の現状①)

戦略名(注) 評価指標(KPI) 基準値 目標値 実績値(28年度)

地域固有の教育課題への支援 TOEICの平均スコア450点

(H28年度)500点

(H33年度)445.3点

(H28年度末)

自己評価28年実績の把握

目標に向けた進捗状況

自己評価の判断理由

KPIの改善状況戦略の改善状況

戦略の総合的な取組状況

A A B+ A A A A

A教育大学の評価結果

(注)A教育大学が掲げる3つの戦略(①実践力を身につけ、現代的課題に対応した高度な教員の養成、②地域固有の教育課題への支援、③「学び続ける教職員像」を実現するための現職教職員の再教育)のうち、「②地域固有の教育課題への支援」については、9つの評価指標を設定しており、上記はその中の一つの評価指標。

(参考) 日本英語検定協会によると、「大学上級程度:英検1級」、「小学校英語教員、大学中級程度:英検準1級」、「高校卒業程度:英検2級程度」、「高校中級程度:英検準2級」が目安とされている。TOEIC500点は、英検準2級程度(CEFR)の位置付け。

評価結果

平成30年4月17日財政制度等審議会資料

80

○ B大学は、評価指標として、「アンケート調査結果に基づく入試方法改善への活用状況」としている。○ しかしながら、

・ 目標値が、「入試方法の改善」というアウトカムではなく、「アンケート調査の実施回数」というインプットとなっている。

・ また、その目標回数でさえ、直近(平成28年度)の実績値と同数になっている。○ こうした状況であるにも拘わらず、自己評価、進捗状況や改善状況の全ての項目が「A」評価となっている。

戦略名(注) 評価指標(KPI) 基準値 目標値 実績値(28年度)

教育理念や入学者受入方針(AP)に

基づく、入学志願者の資質や適性を多面的・総合的に評価・選抜する新しい入学者選抜の実施

アンケート調査結果に基づく入試方法改善への活用状況

アンケート調査の実施回数:1回(28年度入試)

アンケート調査の実施回数:1回

アンケート調査の実施回数:1回

自己評価 28年実績の把握目標に向けた進捗状況

自己評価の判断理由

KPIの改善状況戦略の改善状況

戦略の総合的な取組状況

A A A A A A A

B大学の評価結果

(注)B大学が掲げる6つの戦略のうち「教育理念や入学者受入方針(AP)に基づく、入学志願者の資質や適性を多面的・総合的に評価・選抜する新しい入学者選抜の実施」については、5つの評価指標を設定しており、上記はその中の一つの評価指標。

評価結果

国立大学の課題(大学間予算配分に用いる「重点支援評価」の現状②) 平成30年4月17日財政制度等審議会資料

81

評価結果の予算配分等への反映 執行実績の的確な把握と評価

項目 大学数

①定量的な成果指標を設定 15大学

②定性的な成果指標を設定 7大学

③取組内容により①と②を 分けて設定 21大学

○ 国立大学法人運営費交付金の基幹経費のうち、「学長裁量経費」(29年度:402億円)を区分し、学長のリーダーシップによる改革の取組に予算措置をしている。

○ しかしながら、客観的な成果指標の設定、執行実績の把握や取組の評価、評価結果の活用が適切に実施されていない状況。

国立大学の課題(大学内配分における「学長裁量経費」の現状)

各大学の学長裁量経費の取組内容(例) 執行実績(使途)

PBL型授業対応やICT化等の新たな教育ニーズに対応した教育研究環境整備 武道場屋根改修、ボイラー更新省エネ化

広報活動促進事業(学部改組に伴う大学の広報活動の充実) 人型ロボット(3年レンタル)

大学間連携による教員養成機能の高度化事業 AED発電機

教育研究環境整備事業 トイレ改修工事

学長裁量経費の執行実績(使途)

項目 大学数

①全ての取組で設定 9大学

②取組によって設定 34大学

③設定していない 43大学

成果指標の設定状況

具体的な執行実績(使途)の把握状況

項目 大学数

①把握している 59大学

②把握していない 27大学

取組の評価の実施状況

項目 大学数

①評価している 53大学

②取組によって評価 15大学

③評価していない 18大学

取組の評価結果の活用

項目 大学数

①活用している 63大学

②活用していない 5大学

P DA

P DA C

成果指標の内容

(注)各大学における学長裁量経費の配分予算額(28年度)の合計は「574億円」。

学長のビジョンに沿った執行内容学長裁量経費に係る定量的な成果指標の設定状況

(注)上記は、取組を評価していると回答(①+②)した68大学について、評価結果を次年度の予算配分等に活用しているかを確認したもの。

(注)上記は、成果指標を設定していると回答(①+②)した43大学について、成果指標の内容を確認したもの。

(注)上記は、「学長裁量経費」を他の経費と区分して、具体的な使途を含む執行実績を管理しているかを確認したも

の。

平成30年4月17日財政制度等審議会資料

82

○ 令和元年度予算から、各大学の予算配分にあたり、共通アウトカム指標による毎年度の相対評価に基づく配分を導入。

○ その際、激変緩和として、対象割合を約7%(約700億円)にとどめ、増減率も▲10%~+10%に抑制。ただし、改革工程表において、令和2年度予算以降、配分対象額・増減率を順次拡大していくこととしている。

令和元年度以降、共通アウトカム指標に基づく配分に見直し

◆新経済・財政再生計画改革工程表2018(平成30年12月20日 経済財政諮問会議)

2019年度 2020年度 2021年度

外部資金獲得実績や若手研究者比率、運営費交付金等コストあたり質の高い論文数など、成果に係る客観・共通指標により実績状況を相対的に把握し、これに基づき配分(配分対象額700億円。なお、重点支援評価は300億円。これらをあわせると1,000億円)

夏頃までに、教育研究や学問分野ごとの特性を反映した教育研究の成果に係る客観・共通指標及び評価について検討。

検討結果を教育・研究の成果に係る客観・共通指標に活用。

成果に係る指標による配分対象割合・再配分率を順次拡大。

◆令和元年度予算における国立大学法人運営費交付金の配分方法の見直し重点支援評価による配分295億円

機能強化経費特殊要因経費

1,608億円

基幹経費9,078億円 原則、前年同額

で各大学に配分

個別事情に応じて配分(退職手当等)

平成30年度10,971億円

令和元年度10,971億円(前年同)

重点支援評価に基づく配分

285億円

基幹経費9,315億円

機能強化経費特殊要因経費

1,360億円

成果指標による配分700億円(新設)

○ 「成果」「大学間共通」の指標で相対評価①会計マネジメント改革(学部ごとの予算・決算の管理等)の状況※大学のマネジメントの基本

②運営費交付金等コストあたりトップ10%論文数※「トップ10%論文数」とすることで、論文の質にも一定の配慮。「コストあたり」とすることで、小規模大学にも一定の配慮。

③若手研究者比率④教員一人当たり外部資金獲得実績・ 使途の特定された資金(共同研究等)・ 使途の自由な資金(一般寄附金等)※使途によって区別することで、共同研究等の可能性が小さい大学にも一定の配慮。

⑤人事給与・施設マネジメント改革の状況※今後、重点支援評価の方に振り替え

○ 基幹経費の内数とすることで、使途の特定のない資金とする。※人件費にも充て得る。

○ 各大学の前年度基幹経費の約7%分を上記の評価に基づき、▲10%~+10%の範囲内で増減。ただし、この増減率を2020年度以降順次拡大。

○ 配分対象割合(配分総額)を約7%(700億円)。ただし、この割合(総額)を2020年度以降順次拡大。

○ 評価による配分の対象額をまずは約1,000億円まで拡大

83

84

「共通の成果指標に基づく相対評価(約700億円)」の実施結果(詳細その1)

重点支援

①(55大学)

重点支援

②(15大学)

重点支援

③(16大学)

ⅰ)学部・研究科等セグメント開示※

0%(0/36)

11.1%(1/9)

6.3%(1/16)

ⅱ)間接経費設定の必要コスト積算

12.7%(7/55)

0%(0/15)

56.3%(9/16)

ⅲ)間接経費設定の個別対応

20.0%(11/55)

6.7%(1/15)

62.5%(10/16)

(出典)「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」(平成28年11月 イノベーション促進産学間対話会議事務局)

• 現在、企業等との共同研究における間接経費の割合については、直接経費の30%未満という大学が全体の9割超を占めているが、実際に必要となる間接経費を試算してみたところ、軒並みこの割合よりも高いものとなる可能性が大きいとの分析がなされ、今後、大型の共同研究を進めれば進めるほどに不足が高じてしまい、大学経営に悪影響を及ぼす可能性も否めない状況。

• 大学・国立研究開発法人はエビデンスに基づく適切な費用算定を各オペレーションごとに進めたうえで、「組織」対「組織」の関係の下での交渉を行い、大学・国立研究開発法人と企業の両者が納得した形で共同研究の契約を結ぶことにより、適切な費用負担を産業界に求めていくことが重要。

• 産業界からは、(中略)共同研究に携わる教員の人件費についても、当該共同研究者の共同研究に係る適切なエフォート管理等を前提として、直接経費として計上していくことも可能であるとの方向性が示されている。

• 産業界からは、(中略)間接経費の一部として戦略的産学連携経費(今後の産学官連携活動の発展に向けた将来への投資や、そうした活動に伴うリスクの補完のための経費※)を措置することも可能であるとの意見が示されている。

※大学・国立研究開発法人の産学官連携機能強化のため企画・提案関連経費や知財マネジメント関連経費、インフラ整備経費、広報関連経費等

ⅰ)学部・研究科等セグメント開示財務諸表における学部・研究科ごとのセグメント開示状況

ⅱ)間接経費設定の必要コスト積算共同研究に必要な間接コストの積算及び設定

ⅲ)間接経費設定の個別対応個別の共同研究に対応したコストの積算に基づく間接経費の設定

【主な評価結果(※取組を行っている大学)】

<指標(1):会計マネジメント改革状況>

(参考)「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」(抜粋)

※ ⅰ)学部・研究科等セグメント開示については、単一の学部(大学院大学は単一の大学院)は除外しているため、大学数と分母が異なる

(出典)文部科学省公表資料

85

「共通の成果指標に基づく相対評価(約700億円)」の実施結果(詳細その2)

<指標(2):教員一人当たり外部資金獲得実績>

教員1人当たり受入額(万円)

重点支援

①(55大学)

重点支援

②(15大学)

重点支援

③(16大学)

~50 15 6 1

50~100 25 2 2

100~150 8 3 3

150~200 5 4 4

200~300 2 0 5

300~400 0 0 1

平均(万円) 92.9 107.4 192.8

【研究教育資金獲得実績(階層別大学数)】

教員1人当たり受入額(万円)

重点支援

①(55大学)

重点支援

②(15大学)

重点支援

③(16大学)

~50 0 1 0

50~100 15 3 0

100~150 18 3 1

150~200 16 4 5

200~300 6 2 7

300~400 0 2 2

400~500 0 0 1

平均(万円) 150.8 169.9 233.0

【経営資金獲得実績(階層別大学数)】

○受託研究、共同研究、受託事業の教員1人当たり受入額(※国、独法、国大からの受入は除く)

○寄附金、雑収入の教員1人当たり受入額

(出典)文部科学省公表資料

86

「共通の成果指標に基づく相対評価(約700億円)」の実施結果(詳細その3)

<指標(3):若手研究者比率、指標(4):コスト当たりTop10%論文数>

若手研究者の比率

重点支援

①(55大学)

重点支援

②(15大学)

重点支援

③(16大学)

~10% 3 2 0

10%~15% 9 3 0

15%~20% 14 3 2

20%~25% 20 3 8

25%~30% 7 1 3

30%~ 2 3 3

平均 21.4% 22.1% 26.5%

【若手研究者比率(階層別大学数)】

15%

20%

25%

30%

35%

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

コスト当たりTop10%論文数(1億円当たりの本数)

若手研究者比率

(相関係数=0.63)

○常勤教員数に占める40歳未満の比率

(参考)コスト当たりTop10%論文数平成28年から平成30年11月現在までの被引用数がTop10%の論文の件数を平成28年度から平成29年度の運営費交付金等(特殊要因経費を除き、機能強化促進費(補助金)を含む。)及び科研費等(科学研究費補助金など研究者個人を対象とする競争的研究費)の合計額の平均で除した数値

【コスト当たりTop10%論文数】(重点支援③の大学に試行適用)

(出典)文部科学省公表資料

87

「共通の成果指標に基づく相対評価(約700億円)」の実施結果(詳細その4)

<指標(5):人事給与・施設マネジメント改革状況>

【業績評価の処遇への反映状況】

重点支援

①(55大学)

重点支援

②(15大学)

重点支援

③(16大学)

月給制適用者の昇給(降給)に反映

76.4%(42/55)

73.3%(11/15)

81.3%(13/16)

賞与に反映 83.6%(46/55)

53.3%(8/15)

75.0%(12/16)

任期・雇用更新等に反映

25.5%(14/55)

33.3%(5/15)

25.0%(4/16)

研究費等予算配分に反映

18.2%(10/55)

26.7%(4/15)

18.8%(3/16)

本人へのフィードバック(FD等)

36.4%(20/55)

26.7%(4/15)

68.8%(11/16)

【年齢構成の適正化】

重点支援

①(55大学)

重点支援

②(15大学)

重点支援

③(16大学)

人事計画の策定 16.4%(9/55)

40.0%(6/15)

37.5%(6/16)

在職期間の長期化が有利にならない仕組み

7.3%(4/55)

20.0%(3/15)

43.8%(7/16)

(出典)文部科学省公表資料

※ ・本人へのフィードバックとは、業績評価を基に研修参加を促す、面談で改善点を示すこと

・人事計画の策定とは、大学において採用計画や人件費抑制の計画を示すこと

・在職期間の長期化が有利にならない仕組みとは、業績給の採用、定年延長した教員の給与を削減すること

などをいう。

2040 年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)抜粋 平成30年11月26日中央教育審議会

5.大学の多様な「強み」の強化Ⅲ.教育の質の保証と情報公表-「学び」の質保証の再構築-(国が行う「質保証システム」の改善)

<具体的な方策>学修成果の可視化と情報公表の促進

○ 教学マネジメントの確立に当たっては、学生の学修成果に関する情報や大学全体の教育成果に関する情報を的確に把握・測定し、教育活動の見直し等に適切に活用することが求められる。また、各大学が地域社会や産業界等の大学の外部からの声や期待を意識し、積極的に説明責任を果たしていくという観点からも、大学全体の教育成果の可視化や教学に係る取組状況等の大学教育の質の向上に関する情報の把握・公表が必要である。

○ 学生の学修成果や大学全体の教育成果の可視化に関する情報、教学に係る取組状況等の大学教育の質に関する情報について、情報によっては大学に新たに義務付けしたり、取組の参考となるよう把握や活用の在り方等について教学マネジメントに係る指針の中に提示したりするなど、情報公表を促進する。

【参考①】把握・公表の義務付けが考えられる情報の例(学修成果・教育成果の可視化に関する情報)

・ 単位の取得状況、学位の取得状況、進路の決定状況等の卒業後の状況(進学率や就職率など)、学修時間、学生の成長実感・満足度、学生の学修に対する意欲等

(大学教育の質に関する情報)

・ 入学者選抜の状況、修業年限期間内に卒業する学生の割合、留年率、中途退学率、教員一人当たりの学生数、学事暦の柔軟化の状況、履修単位の登録上限設定の状況、授業の方法や内容・授業計画(シラバスの内容)、早期卒業や大学院への飛び入学の状況、FD・SD の実施状況等

【参考②】把握や活用、公表の在り方について一定の指針を示すことが考えられる情報の例(学修成果・教育成果の可視化に関する情報)・ アセスメントテストの結果、TOEIC やTOEFL 等の学外試験のスコア、資格取得や受賞、表彰歴等の状況、卒業論文・卒業研究の水準、留学率、卒業生に対する評価等

(大学教育の質に関する情報)・ ナンバリングの実施状況、履修系統図の活用状況、GPA の活用状況、IR の整備状況、教員の業績評価の状況等

○ これらの情報について、当該大学のみならず社会全体が効果的に活用することができるよう、全国的な学生調査や大学調査を通じて、整理し、比較できるよう一覧化する機能を設ける。

88

89

大学の規模の適正化

○ 「国立大学改革方針」抜粋(令和元年6月 文部科学省)

7.国立大学の適正な規模(前略)知識集約型社会における社会変革の原動力としての国立大学、また、地方創生・地域活性化に資する

国立大学という、今後、国立大学にさらに求められる役割を踏まえ、各国立大学が(中略)改革を徹底的に行いつつ、各大学が自律した経営体として、それぞれ求められる役割を果たすために必要となる教員集団や学生集団の在り方、各大学の規模の在り方等について、徹底して議論し、適正な規模を設定する

教員養成系大学・学部の高度化と、他大学との連携・集約

○ 「第十次提言」抜粋(平成30年5月 自民党教育再生実行本部)

Ⅱ.今後目指すべき高等教育の役割分担と規模2.国立大学について

国立大学には多額の国費が投入されており、国立大学全体(附属病院収益を除く)では歳出の2分の1以上を運営費交付金に依存していることから、一般的に考えれば、「経営困難」を理由に退出に追い込まれることが生じるとは考えにくい。このことを踏まえれば、国立大学の規模については、各大学が自ら適正な規模の在り方を機動的に見直していくのみならず、政府としても適正規模の検討を行うとともに連携・統合を促していくべきである。

0.総論

1.義務教育

2.科学技術

3.高等教育

(1)国立大学

(2)私立大学

(3)教育費負担の軽減

4.スポーツ・文化90

91

18歳人口が減少する中、私学定員は増加

○ 18歳人口は、平成4年(205万人)をピークに26年間で約4割、約90万人の減少。

○ この間、私立大学は、学校数で約6割、入学定員で約4割の増加。

364372

384

406425

444

478

512 542

568

589597

605 603 600 603 607

294303

356365

376

393

415424 425

440448 451 456 460

467

485 487

1,934 2,005

2,049

1,860

1,732

1,622

1,511 1,503

1,411

1,326

1,237 1,216 1,191 1,181 1,190 1,180 1,175

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

250

300

350

400

450

500

550

600

650

700

平成元年 2年 4年 6年 8年 10年 12年 14年 16年 18年 20年 22年 24年 26年 28年 30年 令和元年

学校数

入学定員(千人)

18歳人口(千人)

(入学定員:千人) (18歳人口:千人)

(学校数)

92

1

8

27

59

82

85

174

119

16

0

5

23

41

38

26

44

19

6

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180

50%未満

50%台

60%台

70%台

80%台

90%台

100%台

110%台

120%台

定員充足率

収支差がマイナスの大学

100%

定員割れ262校(私立大学全体の46%)のうち、約5割が収支差マイナス(133校)。

○ 私立大学のうち、約5割が定員割れとなっている。

○ 定員割れ大学のうち、財務状況(事業活動収支差額比率)がマイナスの大学は約5割を占める。

○ 定員充足率が低い大学であっても、定員の減少を検討している大学は一部であり、「増やす」

あるいは「現状維持」を予定しているものがほとんど。

私立大学の約5割が定員割れ

◆定員充足率ごとの中期的な入学定員の方向性◆私立大学の定員充足率(収容定員)と収支差マイナス(2018年度)

(出典)朝日新聞・河合塾「ひらく 日本の大学 2018年度調査結果報告」2018年11月

33%

25%

13%

10%

12%

29%

22%

13%

67%

63%

57%

71%

77%

63%

70%

現状維持

81%

13%

減らす方向

26%

15%

5%

1%

1%

1%

4%

2%

5%

6%

7%

未定

3%

2%

未回答

1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

50%以下

(n=3)

50%台

(n=8)

60%台

(n=23)

70%台

(n=52)

80%台

(n=57)

90%台

(n=82)

100%台

(n=191)

110%以上

(n=90)

増やす方向

(%)

(注1)「定員割れ校」は、学部生の収容定員充足率(学生数/収容定員数)が100%未満の大学(注2)「事業活動収支差額比率」(旧:帰属収支差額比率)は、学校法人の負債とならない収入である事業活動収入から

事業活動支出を差し引いた差額(基本金組入前当年度収支差額)が収入全体の何%に当たるかを見る指標。(出典)文部科学省作成資料

93

約2割の学校法人が今後資金ショートのおそれ

○ 日本私立学校振興・共済事業団の分析によれば、平成29年度時点で、今後経営の見直しを行わなかった場合に、資金ショートを起こすおそれがある経営困難な法人が126法人(前年度比+23法人)ある。

◆定量的な経営判断指標に基づく経営状態の区分(法人全体)

経営判断指標の分布(平成29年度決算ベース、短大・高専法人含む657法人を分析)

法人数 15法人 111法人 175法人 356法人

割合 2.3% 16.9% 26.6% 54.2%

(出典)日本私立学校振興・共済事業団調査

2259 2259 2259 2259 2259 2259 2259 2273 2282 2256 2256 2256 2256 2226 2206 2199 2194 2204 2168 2136 2116 2120

2812 2793 2783 2762 2711 2701 2689 2697 2712

228 262 301 343 397 475 545

603 669 695 751 815 887

327 337 344 349 372

1113 1113 1102 1102

398 394 393 422 441 451 464 457 447

645 675 720 750 737

2487 2521 2560

2602 2656

2734 2804

2876 2951 2951

3007 3071

3143 3198 3218

3263 3293 3313 3281 3249 3218 3222 3209 3188 3175 3184 3153 3153 3153 3154 3159

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

一般 特補 高度化

◆一般補助大学等の運営に不可欠な教育研究に係る経常的経費について支援

◆特別補助2020年度以降の18歳人口の急激な減少や経済社会の急激な変化を踏まえ、自らの特色を活かして改革に取り組む大学等を重層的に支援

◆私立大学教育研究高度化推進特別補助「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」等を踏まえ、競争という観点を重視しつつ、世界水準の私立大学づくりを目指す観点から、1.大学院の高度化や先端的・先導的学術研究の推進、2.大学教育の高度化の推進、3.大学の高度情報化の推進を通じて、意欲と可能性に富んだ私立大学への重点的支援を進め、私立大学における教育及び学術研究の飛躍的向上を図るための支援

(億円)

私学助成のうち大学等経常費予算額の推移(一般会計、一般補助+特別補助)

平成元 令和元

(年度) 94

95

定員割れ大学への特別補助は、なお横ばい

154,204 160,647

139,451 135,724

149,332 153,781

136,822

22,829 26,371 27,773

32,095 37,386

26,899 29,243

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

◆定員割れ私立大学・短大等への学生一人当たり補助額

一般補助

特別補助

(単位:円)

○ 私学助成の一般補助(教職員数や学生数等に応じた補助)は、定員割れ大学向けの減額措置を平成30年度から段階導入したことから、同年度から減額となっている。

○ 他方、特別補助(各大学の特定の取組に応じた補助)は、平成28年度の水準より低下したものの、平成30年度ではおおむね横ばい。

(注) 短大等は、短期大学及び高等専門学校を指す。(出典)文部科学省作成資料

令和元年5月16日財政制度等審議会資料

96

定員充足率が低いほど、特別補助の配分は手厚い

○ 定員充足率が低い大学ほど、学生現員一人当たり特別補助額が多くなっている現状。

○ これは、①採択要件が緩やかであり、②補助単価が大学規模に関わらず定額の特別補助があることが要因と考えられる。

◆定員充足率ごとの私立大学の学生現員一人当たり補助額(2018年度)

(注)平成30年度特別補助配分実績より、短期大学、高等専門学校を除いた大学571校(うち定員割れ校262校)を財務省において分析したもの。(出典)文部科学省作成資料、日本私立学校振興・共済事業団「私立大学等経常費補助金配分基準」「私立大学等経常費補助金配分基準別記8(特別補助)」平成31年3月

事業名 概 要(抜 粋)

社会人の組織的な受入れ(正規学生としての受入れ)令和元年度:16億円

○①から③のいずれかに該当する者が正規課程に入学している大学等に補助。①学部等において、25歳以上の者。②学部等において、25歳未満で、入学時にアからウのいずれかに該当する者。③大学院研究科において、入学時に次のアからウのいずれかに該当する者。ア 職に就いている者、イ 給料、賃金、報酬、その他経常的な収入を得る

仕事から既に退職した者、ウ 主婦・主夫

地方に貢献する大学等への支援(地域社会の発展を支える実践的な語学力の習得)令和元年度:11億円※予算額は「地方に貢献する大学等への支援」

○下記いずれかの要件を満たせば補助。①外国人教員等の比率が10%以上②外国語の授業実施に際し、レベル別クラス編成を実施③外国語のみによる授業であって、ディスカッションやプレゼンテーションを交えて行う授業科目を開講 等

改革総合支援事業

タイプ1

教育の質的転換令和元年度:18億円

① 私立大学等改革総合支援事業調査票の「タイプ1」の「1.組織運営の活性化」、「2.教育内容・教育方法に関する取組」及び「3.教職員等の質的向上に関する取組」で掲げた取組内容について、当該大学等の取組状況を基に算出した点数に応じ、表1により得た額を(A)とする。② 私立大学等改革総合支援事業調査票の「タイプ1」の「4.高大接続改革の推進」で掲げた取組内容について、当該大学等の取組状況を基に算出した点数に応じ、表2により得た加算額を(B)とする。③ (A)及び(B)の合計額を増額する。

21

20

21

29

30

49

特別補助(千円)

132

132

135

130

124

137

一般補助(千円)定員充足率(%)

合計

100%以上

90%~100%未満

80%~90%未満

70%~80%未満

70%未満

学校数(校)

571

309

85

82

59

36

令和元年5月16日財政制度等審議会資料

97

5年間定員充足率が8割未満の大学にも特別補助による継続的な支援

令和元年5月16日財政制度等審議会資料

○ 平成26年度から平成30年度までの5年間にわたって、定員充足率が80%未満の大学は61校。

○ こうした大学についても、特別補助により継続的に支援されている。

17 19 24

16 20

4%4%

5%

3%

4%

0%

1%

2%

3%

4%

5%

0

5

10

15

20

25

平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成29年度 平成30年度

◆5年間にわたり、定員充足率80%未満の大学61校への特別補助総額

5年間にわたり、定員充足率80%未満の大学に対する特別補助総額(※)

特別補助全体額に占める(※)の割合

(単位:億円)

(出典)文部科学省作成資料

98

過去の財政制度等審議会での主な指摘事項

18 歳人口が平成4年のピークから4割減少する一方で、この間、私立大学は、学校数で約6割、入学定員で約4割増加してきた。その結果、私立大学の半数近くが定員割れとなっている。

こうしたなか、令和2 年度(2020 年度)から大幅に拡充される給付型奨学金や授業料減免により、私立大学あるいはその学生への公的支出の大幅な拡大が見込まれることも踏まえれば、私学助成については、定員割れ大学や経営困難大学等の救済とならないよう、

・教育の質に応じたメリハリ付け、

・一般補助については、定員割れの度合に応じた減額措置の段階導入を平成30 年度から始めたが、

その更なる減額強化、

・特別補助については、定員割れの度合が大きいにもかかわらず手厚く配分されている現状を改善するため、

特別補助の内容の見直しや採択要件の厳格化

を行うべきである。

また、特別補助の見直しに際しては、定員割れ大学や経営困難大学等に対して、安易な救済が行われることがないよう、一定期間を経過してもなお、定員の見直しや経営の健全化等が図られない場合は、特別補助等の助成対象から除外すべきである。

なお、一部の大学関係者において、公費投入における国立大学と私立大学の差を指摘する声もあるが、

・授業料設定や人事管理、予算統制、情報公開などのガバナンスの程度が全く異なっていること、

・教育・研究の比率、学部・大学院の比重も異なること

から、両者を比較すること自体が適切ではない。むしろ両者が適切に必要な役割を果たしていくべきである。

◆私学助成の在り方(令和元年6月建議より抜粋)

◆公費投入における国私間の格差(平成30年11月建議より抜粋)

99

令和元年度における私学助成のメリハリ付け(具体的な方向性)

<一般補助>

定員割れの度合が大きいにもかかわらず手厚く配分されている現状の改善

特別補助の主要なカテゴリーにおいて、定員充足率に応じた減額措置(▲5%~▲30%)を導入するとともに、大学の規模別単価(大規模>中小規模)を導入

私立大学等改革総合支援事業(一般補助及び特別補助の内数)の評価項目を見直し

⇒ 定員割れ大学の多くが対象となる評価項目の整理と見直し

一定期間を経過してもなお、定員の見直しや経営の健全化等が図られない場合は、特別補助等の助成対象から除外

高等教育無償化の対象外となる経営要件に該当する法人は特別補助の対象外とするとともに、経営要件のうち財務フロー・ストック要件に該当する法人は特別補助を▲50%減額

<特別補助>

引き続き、更なるメリハリ付けに向け、文部科学省と協議を行っていく。

教育の質に応じたメリハリ付け

定員割れの度合に応じた減額措置の強化

教育の質に係る客観的指標の評価項目を見直し

⇒ 就職率や資格取得実績等のアウトカム指標の追加、一定程度達成されている取組指標の廃止等

上記指標に基づく配分のメリハリ付けを強化

⇒ 増減率を▲5%~5%に変更(現状▲2%~2%)等

定員充足率90%未満の大学に対する調整係数を▲11%~▲50%に変更(現状▲5%~▲50%)

(※以下は、令和元年度の交付要綱策定に向け、文科省と現在議論を行っているもの)

○ 私立大学への公費負担が国立大学より少なく、不公平との指摘がある。○ しかしながら、国立大学と私立大学は、ガバナンス・予算・情報公開等の制度が全く異なる。私立大学は、国による予算統制等もされておらず、原則として独立採算を前提に、経費の増加は大学の判断でなされる。

国立大学と私立大学の違い

国立大学法人 私立大学

授業料等 文部科学省が標準額を設定(各大学は標準額の120%以内で設定可能) 各大学の判断により設定

目標・計画中期目標(6年間)を文部科学大臣が策定中期計画(6年間)を文部科学大臣が認可

各大学の判断により、学則・寄附行為に規定

予算各大学は、中期計画の中で予算を作成し、文部科学大臣が認可各年度の予算は、国の予算案とともに、各目明細書として国会に提出文部科学大臣に届け出る年度計画にも掲載

各大学の判断により、各大学が作成私学助成を受ける学校法人は、収支予算書を文部科学大臣に届出

決算の承認 財務諸表は文部科学大臣が承認私学助成を受ける学校法人は、財務諸表を文部科学大臣に届出(承認を受ける必要はない)

評価国立大学法人評価委員会による評価+認証評価総務省の独立行政法人評価制度委員会も意見・勧告

認証評価のみ

人事 学長、監事は、文部科学大臣が任命 国は関与しない

情報公開

教育研究活動等に係る情報の公開のほか、法律等に基づき以下を公開1. 組織に関する情報2. 業務に関する情報3. 財務に関する情報4. 評価・監査に関する情報5. 国立大学法人等の役員の報酬等及び職員の給与の水準6. 大学の教員等の任期

国の情報公開制度に基づく開示請求の対象

教育研究活動等に係る情報の公開のほか、財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書、監査報告書、寄附行為、役員等名簿、役員報酬基準を備付し閲覧に供することを法定。さらに、寄附行為、監査報告書、役員報酬基準、財務書類のうち省令で定める書類をホームページ等を通じて公表役員報酬等及び職員の給与の水準の公開義務はない

国の情報公開制度に基づく開示請求の対象ではない

重要財産の処分 文部科学大臣の認可 各大学の評議員会の意見聴取

残余財産の帰属 国に帰属 寄附行為で定める者に帰属

100

0.総論

1.義務教育

2.科学技術

3.高等教育

(1)国立大学

(2)私立大学

(3)教育費負担の軽減

4.スポーツ・文化101

16 18 20 21 22 25 29 31 33 33 33 36 38 39 41 42 42 43 43 41 41 41 41 42 42 41 44 47 47 48 49 52 54 55 56 57 58 59 59 59 60 60 61 60 60 60 60 61 61 61 62 61 61 61 61 62 62 63 63

4 5 6 6 6

8

11 12 13 13 13

14 14

15 16

17 17 18 18 18 18 18 18 18 18 17

21 22 22 23

24 25

25 25 24 23 22 21 19 17 14 13 12 11 11 10 9 8 8 7 7 7 6 6 6 6 6 6 5 5

15 18 18 19 20 20

22 22 21

25

27 29

31 34

35 36 36 34 34 34 33

32 31 31 31 33 34 34 33

30 28 25 25

27 26 26 27 26 27 27 27 27

200

190

197

177

140

195

249

243

236

213

195

185

174

167

162

156 154

162 158 156 158

161 164

172

168

156

185 188 188

193 201

204 205 198

186

177 173

168

162

155 151 151 150

146

141

137 133

130

124 121 122 120 119

123

118 120 119 120

118 117 117 114

112 110

106 109 109 108 107 107

105 102

98 97 101

98 96

93 91 90 88

93 96

102 99

87

116

156

160 160

150

140 136

132 133 134 133 133

140 139 138 140 142

145

152 148

137

162 165 165

170

177 180 181

176

166

159 155

150

144

136 133 133 132

128

124 120

117 115

109 107 107 106 106

109 105

107 106 107 106

57.9%

81.5%

87.9%

61.8%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

50

100

150

200

250

3536373839404142434445464748495051525354555657585960616263平元

2 3 4 5 6 7 8 9 101112131415161718192021222324252627282930令元

2 3 4 5 6 7 8 9 10111213141516171819202122

万人

進学率1(大学+短大+高専+専門学校)

収容力(大学+短大)※現役のみ

現役志願率(大学+短大)

進学率2(大学+短大)

短大入学者数(万人)

専門学校入学者数(万人)

高校等卒業者数(万人)

18歳人口(万人)

高専4年次在学者数

大学入学者数(万人)

● 18歳人口 = 3年前の中学校卒業者数及び中等教育学校前期課程修了者数● 進学率1 = 当該年度の大学・短大・専門学校の入学者、高専4年次在学者数

18歳人口● 進学率2 = 当該年度の大学・短大の入学者数

18歳人口○ 高校等卒業者数 = 高等学校卒業者数及び中等教育学校後期課程修了者数○ 現役志願率 = 当該年度の高校等卒業者数のうち大学・短大へ願書を提出した者の数

当該年度の高校等卒業者数○ 収容力(※現役のみ) = 当該年度の大学・短大進学者数(※現役のみ)

当該年度の大学・短大志願者数(※現役のみ)

18歳人口は、平成21~32年頃までほぼ横ばいで推移するが、33年頃から再び減少局面に突入し、2040年には約88万人まで減少することが予測されている。

大 学: 53.3% 短 大: 4.6% 高専4年次: 0.9%専門学校: 22.7%

大学: 57.1% 短大: 4.7%

大学: 53.3%短大: 4.6%

大学:87.1%短大: 98.1%

戦後の進学率は大幅上昇。私立大学の増加が大きな役割を果たした

○ 戦後の我が国は、子どもの数の増加と進学率上昇により、高等教育進学者数は大幅増。○ 学生の進学先として、私立大学が大きな役割を果たしてきた。

102

アクセス機会(高等教育進学率、学位保持率)はOECD諸国の中でトップクラスの水準

6960 60 60

56 54 50 49 46 46 45 45 44 44 41 40 40 40 37 36 35 35 35 30

9

0

10

20

30

40

50

60

70

80

(%)

(注)高等教育進学率:高等教育課程(2年制大学等も含む全高等教育課程)に進学したある年齢の進学者数を当該年齢人口で除した年齢別進学率の合計。なお、高等教育進学率(留学生除き)については、データのある国のみ掲載している(日本はデータなし)。

学位保持率(初回卒業率):高等教育課程(2年制大学等も含む全高等教育課程)の初回卒業率(留学生除き)。(出典)OECD「Education at a Glance 2018」、「Education at a Glance 2019」

高等教育の学位保持率(2016年)

高等教育への進学率(2017年)

OECD平均:44%

(%)

8985

82 79 79 79 77 77 76 74 7470 68 67 65 64 63 62 62 60 59

53 51 51 50 49 4743

21

61

85

6872 74 73 74

6966

70 68

54 56 54 56 5459

53 52 49 51 51 48 47 4539

170

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

(注)日本は留学生除きのデータはないが、高等教育機関に在籍する留学生割合は4%。

OECD平均:65%OECD平均(留学生除き):58%

高等教育進学率(全体)

◆高等教育進学率(留学生除き)

103

63.1

53.7 52.9 50.747.4 47.1 45.1 44.8 42.9 41.8 41.5 40.5 40.2 39.9 39.8 38.9 38.0 36.8 36.4 36.2 35.6 35.4 34.9 33.6 32.5 32.4 30.8 30.4 28.7 26.6

19.015.4

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

イギリス

スロバキア

アメリカ

スウェーデン

日本

ルクセンブルク

メキシコ

エストニア

オーストラリア

フィンランド

ラトビア

ニュージーランド

ノルウェー

ポルトガル

フランス

オランダ

ベルギー

チリ

ポーランド

スペイン

トルコ

ドイツ

オーストリア

ハンガリー

チェコ

スロベニア

イタリア

イスラエル

韓国

アイスランド

アイルランド

ギリシャ

OECD平均 38.5%

教育支出の国際比較<高等教育段階>(2015年)

43.6 43.0 42.3 40.938.9 38.6

32.7 31.9 31.8 31.5 31.0 30.2 29.3 28.827.0 26.6 26.2

24.0 23.7 23.221.3 21.1 20.9

19.0 18.6 17.7 16.2 15.8 15.3 14.011.9 11.3 10.4

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

ルクセンブルク

スウェーデン

スロバキア

スイス

フィンランド

ノルウェー

オーストリア

メキシコ

エストニア

ベルギー

フランス

ラトビア

ドイツ

ポーランド

スロベニア

トルコ

オランダ

スペイン

アイスランド

ポルトガル

チェコ

ハンガリー

ニュージーランド

イタリア

アメリカ

イスラエル

オーストラリア

イギリス

日本

アイルランド

チリ

ギリシャ

韓国

OECD平均 26.0%

在学者1人当たり公財政教育支出(対国民1人当たりGDP比)

(注1) 上記は何れも高等教育段階における国公私立教育機関への年間支出の合計である。(注2) OECD平均の値は、計数が取れず算出不能である国を除いた加盟国の平均値。(出典)OECD「Education at a Glance 2018」

在学者1人当たり教育支出( 公財政支出 + 私費負担 ) (対国民1人当たりGDP比)

(%)

(%)

104

中所得層は平均並のアクセス機会(進学率)が確保されている

○ 中所得層は平均並のアクセス機会(高等教育進学率)が確保されている。

○ 低所得層のアクセス機会(高等教育進学率)がやや低い。

31.4

43.9

49.4

54.8

62.464.7

72.776.6

81.2 80.2

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

400万円以下 600万円以下 800万円以下 1000万円以下 1000万円超

(注1)日本全国から無作為に選ばれた高校3年生4,000人とその保護者4,000人が調査対象。

(注2)両親年収は、父母それぞれの税込年収に中央値を割り当て(例:「500~700万円未満」なら600万円)、合計したもの。

(注3)無回答を除く。専門学校には各種学校を含む。

(出典)東京大学大学院教育学研究科大学経営・政策研究センター「高校生の進路追跡調査第1次報告書」(2007年9月)

◆日本の高校卒業後の予定進路(両親年収別)(%)

高等教育機関( 4年制大学+短期大学+専門学校)

うち学士課程(4年制大学)

OECD平均(高等教育機関):49%OECD平均(うち学士課程):45%

47

58

43

15

4341

29

52

42

11

42

30

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

(注1)公費負担割合(高等教育段階)については、①オーストリア93.6%、②ノルウェー93.1%、③フィンランド92.5%、④ルクセンブルク91.9%、⑤アイスランド88.6%、⑥スウェーデン84.2%

(注2)25歳未満かつ留学生除きの数値。(出典)OECD「Education at a Glance 2019」

◆公費負担割合の高い先進国における若者世代の高等教育進学率(2017年)(%)

105

授業料減免(2)

→自己収入による免除分も含めた2017年度実績:延べ19万人(409億円)

→2017年度実績:4.6万人(89億円)(※)この他、奨学費(約900億円)の支援

有利子奨学金をベースにアクセス機会を広く確保した上で、無利子奨学金により低・中所得層の格差是正

○ 「有利子奨学金」により中所得世帯の若者も含め広くアクセス機会を確保できるようにしている。

○ その上で、「無利子奨学金」により低所得世帯の若者や中所得世帯の頑張っている若者の格差是正。

○ 消費税率引上げによる、2020年度からの「給付型奨学金」の拡充により、低所得世帯の更なる格差是正を予定。

年 収0 200 400 600 800 1,000 全学生数(2018年度)

国立大学:61万人私立大学:214万人

有利子奨学金(家計基準:年収1,100~1,200万円以下)

※2019年度対象者数:76.5万人(2019年度予算額(財投):6,694億円)→2017年度実績:77.2万人

現行の低金利を反映し、貸与金利の下限を0.1%から0.01%に引下げ。

高成績基準

3.5

※2019年度対象者数:56.4万人(2019年度予算額:1,029億円)うち残存適格者の解消:2.4万人うち低所得者に係る成績基準撤廃:2.0万人

→2017年度実績:52.0万人

無利子奨学金(家計基準:年収700万円~800万円以下)

無利子・有利子奨学金について、返還者が災害、傷病、経済的理由により返還困難となっている場合、返還期限猶予制度及び 減額返還制度が利用可能。

4.32019年度対象者数:4.1万人(2019年度予算額:140億円) 消費税増収分により高等教育を負担軽減(2020年4月~)

住民税非課税世帯の子供たちに対して、(1) 給付型奨学金の給付額を大幅に拡充(国公立自宅生 約35万円、私立自宅外生 約91万円)

(2) 授業料を減免(国立大学は標準額約54万円を、私立大学は約70万円を上限に免除)

※ 住民税非課税世帯に準ずる世帯についても、上記に準じた支援を段階的に実施

(1)

国立大学2019年度対象者数:6.6万人(2019年度予算額:365億円)

私立大学2019年度対象者数:9.6万人(2019年度予算額:177億円)

所得連動返還方式選択可能2017年度進学者から、所得に応じて返還額が変動する方式を導入(返還額は月2,000円~)

高成績基準

高成績基準

給付型奨学金

高成績基準

106

【支援対象となる学校種】大学・短期大学・高等専門学校・専門学校【支援内容】①授業料等減免制度の創設 ②給付型奨学金の支給の拡充【支援対象となる学生】住民税非課税世帯 及び それに準ずる世帯の学生

((令和2年度の在学生(既入学者も含む)から対象))【財源】少子化に対処するための施策として、消費税率引上げによる財源を活用

国負担分は社会保障関係費として内閣府に予算計上、文科省で執行

授業料等減免○ 各大学等が、以下の上限額まで授業料等の減免を実施。減免に

要する費用を公費から支出

(授業料等減免の上限額(年額)(住民税非課税世帯))

国公立 私立

入学金 授業料 入学金 授業料

大学 約28万円 約54万円 約26万円 約70万円

短期大学 約17万円 約39万円 約25万円 約62万円

高等専門学校 約8万円 約23万円 約13万円 約70万円

専門学校 約7万円 約17万円 約16万円 約59万円

給付型奨学金○ 日本学生支援機構が各学生に支給○ 学生が学業に専念するため、学生生活を送るのに必要な学生生活費を

賄えるよう措置

(給付型奨学金の給付額(年額)(住民税非課税世帯))

国公立 大学・短期大学・専門学校 自宅生 約35万円、自宅外生 約80万円

国公立 高等専門学校 自宅生 約21万円、自宅外生 約41万円

私立 大学・短期大学・専門学校 自宅生 約46万円、自宅外生 約91万円

私立 高等専門学校 自宅生 約32万円、自宅外生 約52万円

支援対象者の要件○ 進学前は成績だけで否定的な判断をせず、レポート等で本人の学修意欲を確認

○ 大学等への進学後の学修状況に厳しい要件

大学等の要件:国又は自治体による要件確認を受けた大学等が対象○ 学問追究と実践的教育のバランスが取れた大学等○ 経営に課題のある法人の設置する大学等は対象外

所要額(試算)

国:約7,100億円 地方:約500億円

約7,600億円

当面のスケジュール令和元年 6月 予約採用の手続開始

9月20日頃 対象大学等の公表令和2年 4月以降 学生への支援開始

授業料等減免

2/3

1/3

2/3

1/3

約270万円〔非課税〕

約300万円 約380万円年収目安

(両親・本人・中学生の家族4人世帯の場合の目安。基準を満たす世帯年収は

家族構成により異なる)

給付型奨学金

住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生

住民税非課税世帯の学生の2/3又は1/3を支援し、支援額の段差を滑らかに

高等教育の修学支援新制度について (実施時期:令和2年4月1日/通常国会で法成立:令和元年5月10日)

※支援対象となる低所得世帯の生徒の高等教育進学率が全世帯平均(約80%)まで上昇した場合の試算

【幼児教育・高等教育無償化の制度の具体化に向けた方針(平成30年12月28日関係閣僚合意)より】

※詳細は、文部科学省ホームページ「高等教育の修学支援新制度」参照(http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm)

*政省令:令和元年6月28日公布

107

0 100 200 300 400 500 600

学生に対する個別の学修指導

奨学金や授業料免除対象者の選定基準

GPAに応じた履修上限単位数の設定

大学院入試の選抜基準

退学勧告の基準

早期卒業や大学院への早期入学の基準

各教員間、もしくは各授業科目間の成績評価基準の平準化

進級判定の基準

授業科目の履修者に求められる成績基準

卒業判定の基準

国立

公立

私立

0 200 400 600 800

授業における学修の到達目標

各回の授業の詳細な内容

準備学修に関する具体的な指示

授業期間を通して課される課題(試験やレポート等)の内容

人材養成の目的もしくは学位授与の方針と当該授業科目の関連

当該授業科目の教育課程内の位置づけや水準を表す数字や記号(ナンバリングを含む)

準備学修に必要な学修時間の目安

課題(試験やレポート等)に対するフィードバックを行うこと

国立

公立

私立

(出典)文部科学省「平成28年度の大学における教育内容等の改革状況について」(令和元年5月28日)

99.6%

98.4%

84.2%

58.8%

40.5%

34.6%

34.0%

23.2%

◆シラバス(授業計画)の記載項目の状況(2016年度)

(校)

◆GPA制度の具体的な運用方法(2016年度)

75.3%

70.7%

33.6%

18.5%

16.4%

14.0%

9.9%

9.8%

8.6%

6.4%

(校)

基本的な教育の質を保証できていない大学がある

○ シラバス(授業計画)において、学修に必要な指示・課題・時間の目安などが示されておらず、事前に教育内容が明らかにされていない。

○ GPAを適正な成績管理として活用できておらず、教育の質の保証につなげられていない。(注)GPA制度:授業科目ごとの成績評価を、例えば5段階(A、B、C、D、E)で評価し、それぞれに対して、4、3、2、1、0のように数値(グレード・ポイント:GP)を付与し、

この単位あたりの平均(グレード・ポイント・アベレージ:GPA)を出して、その一定水準を卒業等の要件とする制度。

108

○ 大学生の学習時間は、小学生よりも短い。また、授業外の学習時間が1日1時間未満の学生は全体の6割以上。

大学生の学習時間は、小学生よりも短い

5.9

7.16.8

4.4

0

1

2

3

4

5

6

7

8

小学 中学 高校 大学

学業 学習・自己啓発・訓練(学業以外)

(出典)総務省「平成28年社会生活基本調査」、東京大学 大学経営政策研究センター「全国大学生調査2007年」等

(h)

9.7

0.3

57.1

15.3

18.4

26.0

14.8

58.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

日本

アメリカ

0時間 1-5時間 6-10時間 11時間以上

◆学校段階別の学習時間(1日当たり) ◆大学生の授業外の学習時間の日米比較(1週間当たり)

1日当たり1時間未満は2割以下

1日当たり1時間未満が6割以上

109

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A A AABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZ

○ 例えば、薬剤師を目指す6年制薬学部において、6年間で国家試験に合格した学生の割合が25%から99%まで大きな差がある。

(注)入学時に6年制・4年制課程を区別していない場合は、2013年度入学者で2017年度に5年次であった者を母数として算出。(出典)文部科学省「2019年(平成31年・令和元年)度の入学試験・6年制学科生の修学状況」

6年間で卒業した者

6年間で卒業できなかった者

(中途退学者も含む)

国家試験の合格率に大きな差がある

(横軸:大学) 国立■ 公立■ 私立■

ABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUVWXYZB B B B B B B B B B B B B B B B B B B B B BABCDEFGHIJKLMNOPQRSTUV

そのうち国試に合格した者

◆2013年度に6年制薬学部に入学した学生の2019年度の状況

110

○ オーストラリアのHECS制度(Higher Education Contribution Scheme)は、高所得世帯を含めた全世帯の学生の高等教育の授業料相当額を後払いする制度。

オーストラリアのHECS制度(仕組み)

HECSのスキーム

(在学中)

(卒業後)

学生 大学 政府

学生

①授業料無料

納税者番号登録

①「学生拠出分」支払い

学生拠出分を所得に応じて源泉徴収により徴収

②「政府拠出分」を補助

履修コース 学生拠出金

法学、歯学、医学、獣医学、会計学、経営学、経済学、商学 91万円

数学、統計学、科学、情報工学、環境構築学、衛生学、医療衛生学、工学、測量学、農学 78万円

人文科学、行動科学、社会学、教育学、臨床心理学、外国語学、芸術学、看護学 54万円

履修コース 政府拠出金

法学、会計学、経営学、経済学、商学 18万円

人文科学 50万円

数学、統計学、行動科学、社会学、情報工学、環境構築学、衛生学 88万円

教育学 92万円

臨床心理学、医療衛生学、外国語学、芸術学 109万円

看護学 121万円

工学、科学、測量学 154万円

医学、歯学、獣医学、農学 196万円

① 高所得世帯を含め、全学生が・ 在学中は授業料を納付せず(自発的納付は可)、

・ 卒業後、所得が一定以上の場合、税務当局に「学生拠出分」を納付(HELP(Higher Education Loan Program)を活用)。在学中は、政府が「学生拠出分」を大学

に支払い。② このほか、政府は「政府拠出分」を大学

に補助。(注)非大学型の私立高等教育機関に対

しては「政府拠出分」の補助はない。

年度 運営費交付金

令和元 10,971億円

履修コース 授業料

全学部 53.6万円

【オーストラリア】 (2019年、1$=83円)

授業料

政府拠出分

【日本】

学生拠出分

政府負担

111

○ オーストラリアのHECS制度は、以下の点に留意する必要。① オーストラリアの大学型の高等教育機関は、国公立大学がほとんどであること(国公立37大学、私立3大学)。② それまで授業料を徴収していなかった状態から、財源確保のために授業料を徴収する政策へと転換する中でとられた制度で

あること。

③ HELPローンの未回収率は2割程度とされ、大きな財政負担となっていること。

④ 個人の債務が物価でスライドして増加することとなっており、実質的な利子負担があること。

オーストラリアのHECS制度(留意点)

25年度 26年度 27年度 28年度 29年度

物価スライド

2.0% 2.6% 2.1% 1.5% 1.5%

25年度 26年度 27年度 28年度 29年度

利息 なし なし なし なし なし

保証料 0.693% 0.693% 0.693% 0.693% 0.589%

【オーストラリア(HECS)】 【日本(所得連動返済型無利子奨学金)】

日本の国立大学の収入構造(2017年)

オーストラリアの政府支援枠対象大学の収入構造

(2017年)

運営費交付金 補助金収入 授業料等 産業連携等研究収入等

雑収入

寄附金

政府補助金(「政府拠出金」含む)政府によるHELP支払金(学生拠出金相当)

52% 10% 15%

【HELPに起因する純債務】 【利払い費に占める割合】

0

10,000

20,000

30,000

40,000

2010–11 2011–12 2012–13 2013–14 2014–15 2015–16 2016–17 2017–18 2018–19 2019–20 2020–21 2021–22 2022–23 2023–24 2024–25 2025–26

平均約3,000億円/年の増加(億円)

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

2010–11 2011–12 2012–13 2013–14 2014–15 2015–16 2016–17 2017–18 2018–19 2019–20 2020–21 2021–22 2022–23 2023–24 2024–25 2025–26

(億円)

46%(約10,600億円)16%

(注1)上記の額は日本円換算したもの(1$=82.33円)。(注2)2017年に、政府は大学に対する補助金を削減する改革を行うと同時に、大学に対して授業料設定の裁量を与える予定であるため、大学は補助金の削減分を賄うべく、授業料引き上げを行うと仮定。2018年度からは、大学が毎年2%授業料の値上げを行うと仮定。(出典)Parliament of Australia Parliamentary Budget Office, 2016, “Higher Education Loan Program; Impact on the Budget”

(注)日本の国立大学の収入は病院収入を除く。(出典)国立大学法人決算報告書、Finance 2017-Financial Reports of Higher Education Providers(Australia) 日本の国立大学の公費負担は、すでにオーストラリアの

公費負担とHELP支払金を合計した程度に達している。

HELPに起因する利払い費

36% 2% 17% 2%

自治体からの補助金

留学生等の授業料等 その他自己収入

29%

投資収入コンサル収入

「学生拠出金」の前払い

112

オーストラリア型HECS制度(課題)

現行(所得連動返還型奨学金)

オーストラリア型HECS

所得, 50

所得, 100貸与額,20

0

50

100

低所得世帯 高所得世帯

所得, 50

所得, 100貸与額,20

貸与額,20

0

50

100

低所得世帯 高所得世帯

課題1: 高所得世帯に追加的に便益を与えることになり、せっかく縮めようとしている格差をかえって拡大(左図)

課題2: 私大関係者などが目的としている「親負担主義からの脱却」は、(この目的の妥当性は別にして、)現行でも

・ 低所得世帯は、子供が所得連動返還型奨学金を返済することになるし、

・ 高所得世帯は、家庭内の約束で子供が親に返すようにすることは可能

したがって、現行でも親が負担しないようにすることは可能=目的に対して合理的でない

課題3: 卒業後に返済しきれない分を誰が(大学が?)負担するのか不明

課題4: 運営・執行上のコストが増加、実現可能性も不明

格差30

格差50

○ 大学関係者などにおいて、オーストラリア型のHECS制度(高所得世帯も含めた授業料後払い制度)を導入すべきとの意見がある。しかしながら、以下のように課題が多い。

113

0.総論

1.義務教育

2.科学技術

3.高等教育

4.スポーツ・文化

114

115

○ スポーツ予算は、東京大会招致決定(H25.9)、スポーツ庁設立(H27.10)等を経ながら増加を続けており、令和元年度予算は、平成20年度の1.8倍まで拡大(190億円→350億円)。その間、スポーツの成長産業化など新たな施策を展開しつつ、東京大会に向けて、競技力向上事業を重点的に強化。

○ 令和2年度は、56年ぶりのオリンピック・パラリンピック大会国内開催という1つの節目を通過する年度。

(億円) (億円)

第1期基本計画

(H24~H28)

第2期基本計画

(H29~R3)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

元年

2年

3年

4年

5年

6年

7年

8年

9年

10年

11年

12年

13年

14年

15年

16年

17年

18年

19年

20年

21年

22年

23年

24年

25年

26年

27年

28年

29年

30年

R1年

競技スポーツ関連 競技力向上事業 当初予算 補正予算

(注)競技力向上事業(青字)及び補正予算は、平成20年度以降のみ記載。競技力向上事業の括弧の数字は、予算全体に占める割合。

289.8

350.3

323.6

339.9333.9

243.3255.3

227.4227.9

235.4

225.3

190.0

0

154.7

122.4129.1

168.2164.0

168.0

187.2

170.1

142.9146.5

143.1

111.2102.7

112.5

105.6110.6

107.3112.3

110.1

172.0

3.3

142.6

208.1

130.2

5.1

205.8

314.2

60.4

14.5

スポーツ基本法施行(H23.8)

東京大会招致決定(H25.9)

スポーツ庁設置(H27.10)

スポーツ振興基金設置(H2)

スポーツ振興投票法施行(H10.11)

国立スポーツ科学センター(JISS)設置(H13.10)

NTC設置(H20.1)

新国立競技場、NTC拡充棟竣工

(R1)

スポーツ予算の推移

H24ロンドン

H28リオデジャネイロ

R2東京

74.0(25.5%)

48.5(19.0%)

32.5(13.4%)

34.2(14.4%)

96.0(28.2%)

91.5(27.4%)

100.5(28.7%)

31.8(14.0%)

24.3(12.8%)

87.0(26.9%)

29.3(12.9%)

26.9(11.9%)

(参考)スポーツ関連予算(国費以外を含む)の推移

(※当初予算ベース) 665

190 225 227 228 235 243 255

290 324 334 340 350 9

5786

128159 143

142

163

214167

214

296

6

9

11

14

13 9 10

9

12

13

19

19

0

100

200

300

400

500

600

700

20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 令和元

スポーツ振興基金助成額

スポーツ振興くじ助成額

スポーツ関係予算額

(億円)

116

117

【概要】スポーツ・インテグリティの確保に向けたアクションプラン(平成30年12月20日 スポーツ庁)

1.スポーツ団体における適正なガバナンスの確保

2.スポーツを行う者の権利利益の保護

(1)「スポーツ団体ガバナンスコード」の制定、スポーツ審議会における審議・スポーツ審議会において検討を行い、2019年春頃を目途にスポーツ団体ガバナンスコードを制定

(2)スポーツ団体によるコードの遵守に係る「自己説明-公表」の促進・「自己説明-公表」を促進するための方策について検討し、2019年度中に結論

(3)中央競技団体に対するコードに基づく適合性審査に係る助言・2019年度中の審査基準の策定や試行的な実施、2020年度からの適合性審査の実施に向けた準備が円滑に進むよう、JSPO、JOC及びJPSAに対して必要な助言

(4)「スポーツ政策推進に関する円卓会議」の設置・スポーツ庁、JSC、JSPO、JOC及びJPSAによる円卓会議の設置

(5)中央競技団体に対するモニタリングの実施・2019年度以降、円卓会議と連携し、モニタリングの実施及びモニタリング結果の共有等 <JSC>

(6)ガバナンス問題に係る第三者調査支援制度の創設・「スポーツ団体ガバナンス調査支援パネル(仮称)」を設置し、中央競技団体からの求めに応じ、必要な調査支援等を行う仕組みを2019年度中に創設し、2020年度以降、本格実施 <JSC>

(7)中央競技団体の経営基盤の強化・2019年度中に「中長期事業計画の策定に係る手引き」の作成公表、先進モデル形成支援・2019年度に中央競技団体における新たな外部人材確保の先進モデル形成支援・2019年度に全ての中央競技団体の公益法人化の実現可能性について必要な調査の実施

(8)スポーツ団体への公的支援と適合性審査との連携・中央競技団体に対する競技力向上事業助成金やそれ以外の公的支援における適合性審査の活用の在り方等について検討し、2019年度中に結論

(1)指導者等の資質・能力の向上及び教育・啓発活動の促進・2019年度からアクティブラーニング形態の講習会等の実施、インテグリティ教育及び啓発活動支援

(2)相談窓口の設置及び活用の促進・相談に関する守秘義務の遵守や、相談者に対する不利益な取扱いの禁止等を徹底・2019年度から利用対象者の拡大及びSNS相談窓口の本格導入 <JSC>

(3)スポーツ仲裁自動応諾条項の採択促進及び仲裁に係る人材育成・日本スポーツ仲裁機構と連携した研修の実施、諸外国の仲裁機関への人材派遣による仲裁活動の中核的人材の育成

スポーツ庁資料

118

〈中央競技団体向け〉 令和元年6月10日策定

原則1 基本計画の策定・公表

原則2 役員等の体制整備

✔外部理事の目標割合(25%以上)、女性理事の目標割合

(40%以上)の設定とその達成のための具体的方策

✔理事の在任期間の制限(原則10年以内)

原則3 必要な規程の整備

原則4 コンプライアンス委員会の設置

原則5 コンプライアンス教育の実施

原則6 法務・会計等の体制の構築

原則7 適切な情報開示の実施

原則8 利益相反の適切な管理

原則9 通報制度の構築

原則10 懲罰制度の構築

原則11 紛争の迅速かつ適正な解決

原則12 危機管理・不祥事対応体制の構築

原則13 地方組織等への指導・助言・支援

〈一般スポーツ団体向け〉令和元年8月27日策定

原則1 適切な団体運営・事業運営

原則2 基本方針の策定・公表

原則3 コンプライアンス意識の徹底

原則4 公正かつ適切な会計処理

原則5 適切な情報開示の実施

原則6 中央競技団体向けガバナンスコードの

個別規定の自主的な適用

スポーツ団体ガバナンスコードの概要

【備考】

○中央競技団体

✔令和2年度から年1回のガバナンスコードに基づく自己説明及び公表を

行う。

✔4年に一度、統括団体※から適合性審査を受ける。

※日本スポーツ協会(JSPO)、日本オリンピック委員会(JOC)、

日本障がい者スポーツ協会(JPSA)

○一般スポーツ団体(中央競技団体以外のスポーツ団体)

✔令和2年秋以降、JSCウェブサイト※を活用し、セルフチェックシート

に基づく自己説明及び公表を自主的に行う。

※令和2年度概算要求中

✔令和3年度事業から、スポーツ振興助成事業等に係る申請に当たって、

JSCウェブサイトを活用した自己説明及び公表が必要。

スポーツ庁資料

21 27 35 45 39 37 45 56

30 39 81

231 177 209 227 223 227

302

402

443 420 453 490 473

132

171

301

284 382

334 315 315

5100

409 539

819

1,003 1,018 1,033 1,082

1,167

H元 5 10 15 20 25 30 R元

0

200

400

600

800

1,000

1,200

(単位:億円、%)

文化庁予算の推移

国際観光旅客税充当事業国立文化施設関係文化財保護の充実芸術文化の振興その他

(注1)予算の分類については、次のとおり予算書の(項)ごとに整理。なお、項の名称に「独立行政法人」を含む場合には省略。芸術文化の振興 :文化振興費(H20-30には、国際文化交流推進費を含む。)文化財保護の充実:文化庁施設費、文化財保存事業費、文化財保存施設整備費国立文化施設関係:国立美術館運営費、国立美術館施設整備費、日本芸術文化振興会運営費、日本芸術文化振興会施設整備費、国立文化財機構運営費、国立文化財機構施

設整備費、国立科学博物館運営費、国立科学博物館施設整備費。なお、H30に文化庁に移管された国立科学博物館への運営費・整備費は、H25以前の予算額には含まれない。

そ の 他 :文化庁共通費、日本芸術院、文化振興基盤整備費

※ H19以前は予算書の項の名称が異なることから、文化庁(項の名称。以下同じ。)を文化庁共通費、国立美術館を国立美術館運営費、国立美術館施設費を国立美術館施設整備費、国立博物館及び文化庁研究所を国立文化財機構運営費、国立博物館施設費及び文化庁研究所施設費を国立文化財機構施設整備費として集計。更に、H15年度以前は日本芸術文化振興会が特殊法人であったことから、その補助・出資に必要な経費を「その他」ではなく「国立文化施設関係」に含めている。

(注2)単位未満を各々四捨五入しているため、合計額が一致しない場合がある。

令和元年度の文化庁予算(1,167億円)は、平成元年度の約2.9倍にまで増加。

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