9
ムギ類黒節病発生に関与する気象要因と生育ステージ 誌名 誌名 香川県農業試験場研究報告 ISSN ISSN 03748804 著者 著者 河田, 和利 森, 充隆 巻/号 巻/号 67号 掲載ページ 掲載ページ p. 1-8 発行年月 発行年月 2017年3月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

ムギ類黒節病発生に関与する気象要因と生育ステージ2011 905 6 20.0 1474 116 0.0 2012 908 10 13.3 805 725 0.0 2013 906 14 0.0 1490 0.0 2014 918 17 16.7 1450 。.0

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

  • ムギ類黒節病発生に関与する気象要因と生育ステージ

    誌名誌名 香川県農業試験場研究報告

    ISSNISSN 03748804

    著者著者河田, 和利森, 充隆

    巻/号巻/号 67号

    掲載ページ掲載ページ p. 1-8

    発行年月発行年月 2017年3月

    農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

  • ムギ類黒節病発生に関与する気象要因と生育ステージ

    河田和利・森 充隆

    キーワード.ムギ類黒節病,気象要因,生育ステージ,播種期

    Climatic Factors and Growth Satges Affecting the Development of Bacterial Black Node

    in Wheat and Barley

    Kazutoshi KAW AT A, Mitsutaka MORI

    Keywords: bacterial black node of wheat and barley, climatic factor. growth stage, seed disinfection

    Abstract

    1. Bacterial black node often manifested during the initial stage of internode elongation (mid-March) as symptoms

    including browning of leaf blades in years when wheat and Barley was exposed to low temperature after the

    initial stage of panicle formation.

    2. Bacterial black node manifested during the maturation stage (late-April) as symptoms including browning of

    leaf sheaths. nodes. and culms in years when humidity rose around the initial stage of internode elongation.

    3. Delayed sowing reduced the incidence of bacterial black node. This reduction was attributed to lower risk of

    sub-optimal climatic conditions and wheat and Barley development stage overlapping to create infection-prone

    periods.

    摘要

    l. ムギ類黒節病と気温との関係について調べた結果,

    節間伸長始期( 3月中旬)に葉身の褐変等,黒節病発

    生が確認された年は,幼穂形成始期後に低温に遭遇し

    た年が多かった。

    2. ムギ類黒節病と湿度との関係について調べた結果,

    成熟期(4月下旬)の葉鞘,節,稗の褐変等,黒節病

    発生が確認された年は,節間伸長開始期前後に高湿環

    境になる年であった。

    3. 播種期の違いによる生育の推移とムギ類黒節病発生

    との関係を調べた結果,晩播栽培により発生が減少し

    ていた。これは,気象条件および生育ステージの両要

    因により感染適期に麦が遭遇する確率が減少するため

    と考えられた。

    緒白

    香川県におけるムギ類黒節病は,長期間未発生状況が

    続いていたが, 1993年産小麦の一部生産地域に局所的発

    生が確認された。当初,採種ほ場で、拡大の懸念があった

    もののそれ以降,県下各地で発生は確認されてきたが,

    麦生産における実被害も問題になる程大きくならず経過

    し現在に至っている。

    農業試験場病害虫防除所(以下「病害虫防除所」と記

    す)による巡回調査の累年データ (1990年~2015年)を

    使用し当該期間のコムギ,ハダカムギの作付品種変遷と

    の関連性についてまとめたものが表- 1である。

    ハダカムギは, 1990年産時点では「サヌキハダカ」が

  • 2

    作付けされていたが, 1992年,奨励品種に採用された

    「イチパンボシ」に品種転換が進み, 1995年にはほぼ「イ

    チパンボシ」 1品種になった。その後, 2002年から2006

    年の5年間,「マンネンボシjが一部で栽培された以外,

    現在まで「イチパンボシjの独占状態が続いている。ハ

    ダカムギにおける黒節病の発生は,調査結果が残ってい

    る1990年から1992年までは皆無であったが, 1993年に発

    生が確認されて以降拡大し 1995, 1996年には発生ほ場

    率は6割を越えた。それ以降も年により発生程度に変動

    はあり,発生が認められなかった年以外は, 68.0~3.6%

    の幅で現在まで発生は続いている。

    コムギは, 1989年奨励品種に採用された「ダイチノミ

    ノリ」が,それまで主要品種であった「セトコムギ」に

    替わり作付けを拡大したのが1992年で,以降,徐々に面

    積は減少したものの, 1999年まで、は300ha以上を確保し

    てきた。その後,作付品種は,需要動向に応じて「チク

    ゴイズミJ,「さぬきの夢2000」,「さぬきの夢2009」へと

    品種転換が進み, 2013年産以降は,「さぬきの夢2009」

    1品種のみになり 1500ha前後で推移している。コムギ

    における黒節病の発生は,「セトコムギ」から「ダイチ

    ノミノリ」への作付転換がほぼ完了した翌年の1993年か

    ら発生し,「チクゴイズミ」の作付けが本格化する2000

    年まで続いた。それ以降の発生は,成熟期の調査では確

    認されていない。

    一方,全国的には国産麦に対する需要の高まりを背景

    に,各地の麦主産県で生産拡大,地域ブランド確立など

    に取り組む動きが拡大している。そのような生産現場に

    おいて,黒穂病,斑葉病,ムギ類黒節病等の種子伝染性

    病害の増加による収量や品質の低下が問題となる事例も

    増えている。中でも,ムギ類黒節病は,十数年前までは

    オオムギでの発生が問題となっていたが,近年,関東,

    東海を中心とした小麦産地への発生被害が拡大し根本

    的な対策実施が急務となっている。

    2013年より農林水産業・食品産業科学技術研究推進事

    業において,独立行政法人農業・食品産業技術総合研究

    機構中央農業総合研究センターが代表機関となり,種子

    伝染性病害の総合防除技術の確立を目的に全国の麦産地

    の農業試験研究機関が連携し技術対策の確立が進めら

    れてきた。

    本県もコンソーシアムに共同研究機関として参画し

    押し麦から味噌,焼酎や麦茶まで原材料として幅広く使

    用されているハダカムギ「イチパンボシ」を対象に,効

    果的な種子消毒技術の確立や種子伝染リスク低減のため

    の圃場管理技術,並びに地域に適合した総合防除技術開

    発と実証試験を行った。

    本稿では,圃場での感染や二次伝染の環境および生態

    表- 1 品種別作付面積の推移と黒節病発生ほ場率単位 ha

    ハダカムギ コムギ

    年産 キカイ サヌキ イチパ マンネ 発生ほ セトコ ダイチノ チクゴ 発生ほ

    ハダカ ハダカ ンボシ ンボシ その他 場率(%) 農林26号 ムギ ミノリ イズミ、 夢2000 夢2009 その他 場率(%)

    1990 2817 2 0.0 1 3097 59 3 。。1991 2208 2 0.0 1613 945 2 。。1992 1318 2 。。 51 2089 0.0 1993 769 34 3.1 19 1841 39.5

    1994 213 651 4 3.6 8 1062 3.3

    1995 16 936 1 68.0 5 965 1 48.6

    1996 7 966 1 65.5 3 737 25.0

    1997 5 1164 1 52.6 1 462 12 11.1

    1998 3 1267 14.8 469 10 15.4

    1999 3 lll7 45.l 322 215 38.5

    2000 3 1306 1 10.0 11 590 1 5.0

    2001 4 1515 1 6.7 2 603 23 3 。。2002 4 1498 68 0.0 613 156 6 。。2003 2 1474 74 。。 311 783 6 。。2004 6 1121 53 。。 9 1086 5 0.0 2005 1033 5 2 0.0 3 1327 0.0

    2006 945 3 8.3 1 1419 0.0

    2007 743 45.5 1350 0.0

    2008 693 0.0 1590 0.0

    2009 689 0.0 1513 7 0.0

    2010 854 3 55.6 1497 23 0.0

    2011 905 6 20.0 1474 116 0.0

    2012 908 10 13.3 805 725 0.0

    2013 906 14 0.0 1490 0.0

    2014 918 17 16.7 1450 。.02015 905 46.7 1606 0.0

    1)作付面積の推移は,香川県農業生産流通謀調べ「麦の生産に関する資料」による。2)発生ほ場率は,香川県病害虫防除の巡回調査結果(はだか麦: 4月下旬,小麦: 5月中下旬)による。

  • 的特性など,有効な対策を検討するうえで不明な点が多

    いムギ類黒節病について,病害虫防除所が実施した調査

    結果を基に,近年の県下現地圃場における発生状況と各

    年度における気象要因との関連性について検討した。

    材料及び方法

    1 .ムギ類黒節病の発生に及ぼす低温の影響

    香川県下の黒節病発生状況は,病害虫防除所による巡

    回調査結果累年データのうち, 3月中旬調査結果のある

    1996年~2015年の20年聞を使用した。気象観測データ

    は,県下8カ所に設置されているアメダスの中でも,近

    隣地域が麦の主産地であり,冬期の最低気温が低い傾向

    にある滝宮観測点の日最低気温を使用した。

    日最低気温の動向は,低温傾向が強まる 1月~2月を

    対象期間とし,この聞における麦の生育ステージの指標

    となる11月中旬播きの幼穂形成始期前後の出現日数を調

    べた。なお,ここで各年の幼穂形成始期とした日は,農

    業試験場作況試験で11月中旬播「イチバンボシ」の試験

    圃場における調査結果によるものである。日最低気温は

    -5℃以下,-4.9℃以上 4.0℃以下,-3.9℃以上-3.0℃以

    下の3段階に分けて整理した。

    2. ムギ類黒節病の発生に夏ぼす湿度の影響

    香川県下の黒節病発生状況は,病害虫防除所による巡

    回調査結果累年データのうち, 3月中旬および4月下旬

    調査結果のある年のデータを使用した。各調査時期の発

    生程度によりパターン化し.各年次の気象要因の特徴を

    調査した。なお,気象観測データは,前出のアメダス滝

    宮では日平均湿度の観測値がないため,近隣のアメダス

    高松のデータを使用した。

    3.播種期別生育ステージとムギ類黒節病の発生動向

    晩播栽培による発病低減効果を検証するため,ハダカ

    3

    ムギ「イチパンボシjを供試して播種期を5段階に変え

    た試験を実施した。播種期は2014年11月5日, 11月14

    日, 11月288' 12月8日, 12月25日の5固とし,使用種

    子は,金属銀水和剤20倍10分間浸漬で種子消毒を実施

    し, 11月14日播では無処理区を設けた。栽培法はドリル

    播栽培で条問20cm,播種量は8kg/lOaとした。施肥は

    N成分量/lOaで基肥7.7kgとし,スーパーブレンドLP40

    (14-14-14/40日タイプのリニア型緩効性肥料40%配合)

    を使用した。 1区面積は80m2とし 2反復で設置した。

    播種期別生育ステージは,香川県農業試験場の麦類作

    況試験結果により把握した。 5段階に分けた播種期毎

    に,それぞれ幼穂形成始期,節間伸長開始期,出穏期の

    3ステージを確認した。

    結果

    1. ムギ類黒節病の発生に及ぼす低温の影響

    1996年以降の「イチパンボシ」を対象とした巡回調査

    結果のうち, 3月中旬調査で発生を確認した年は10か

    年,発生がなかった年は10か年であった。発生年におけ

    る発生圃場率は年により差があり,最も高かったのが

    1997年の66.7%,低かったのが1998年で5.6%であった。

    幼穂形成始期前の日最低気温-3℃以下の出現日数は,

    黒節病発生年に比べ無発生年の方がやや多く,最低気温

    も低くなる傾向であった。幼穂形成始期以降の低温出

    現日数は,病徴発生の有無により異なる傾向を示した。

    無発生年のうち,-4.0℃以下になる日の出現は2011,

    2013, 2014年の各 1日のみで,その他の年は-4.0℃以下

    になることはなかった。一方の黒節病発生年は, 2002,

    2004年以外は-4.0℃以下になる日が出現しており,その

    うち1996, 1997, 2008年はより冷え込みの強い-5.0℃以

    下の低温日があった。

    各年毎の幼穂形成始期と,その後に遭遇した日最低気

    温についてみたものが表- 3である。この聞の幼穂形

    表- 2 1月~2月の日最低気温-3℃以下の出現日数

    発生の有無 発生年

    生育ステージ別 日:最低気温 1996 1997 1998 1999 2000 2002 2003 2004 2005 2008

    -3.0℃以下一3.9℃以上 5 。1 2 。3 1 1 3 幼穂形成始期前 -4.0℃以下一4.9℃以上 2 。。2 。2 。。

    5.0℃以下 。。。。。。1 。。。-3.0℃以下ー3.9℃以上 2 3 3 1 3 2 2 1 。1

    幼穂形成始期後 -4.0℃以下 4.9℃以上 2 。1 1 1 。1 。 。ー5.0℃以下 1 1 。。。。。。。1

    3月中旬発生園場率 38.l 66.7 5.6 35.3 36.7 6.7 25.0 16.7 8.3 9.1

    1) 3月中旬発生圃場率は病害虫防除所の巡回調査結果による。2)日最低気温はアメダス滝宮のデータによる。3)出現日数に幼穂形成始期当日は含まない。

    無発生年

    2001 2006 2007 2009 2010 2011 2012 2013 2014 20日

    1 3 。。2 6 6 9 4 2 。2 。。2 6 4 3 4 。。。。。。。1 。。。4 1 。。2 1 1 3 2 3 。。。。。1 。1 1 。。。。。。。。。。。0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0β0.0

  • 4

    幼穂形成始期と日最低気温

    発生の有無 発生年 無発生年

    1996 1997 1998 1999 2000 2002 2003 2004 2005 2008 2001 2006 2007 2009 2010 20ll 2012 2013 2014 2015

    1月25日 ー3.4 3.1 ー2 1.8 1.3 ー1.1 -19 0.9 4.4 2 2.4 3.1 0.1 -0.9 -19 1.6 -1.3 0.9 -1.5 0.3 -2.l 2 1.4 -0.2 0.5 2.7 0.2 2.6 -1.1 3.4 4.6 2.8 -2.1 品u ー1.9 -0.4 -2.1 -1 1.5 2.6 ロ豆5.7 0.1 -2.l -3.l 5.4 6.1 -2.6 -3.5 2.5 0.7 4.2 1.5 μ議& 0.6 -3.5 -39 一帯 5.1

    -3.2 5.4 l 場造 ~1 2.7 0.7 亙夏 -0.1 医霊 2.7 2.3 2.9 2.7 5.6 -2.3 -1.2 -1.6 よ誕4 -2.1

    3.2

    一主主

    ー2 -1.5 0.9 ー3.7 ー1.1 0.1 -1.2 一説 -0.1 0.3 2.9 三蕊 -2.8 -3.4 -1.1 -3.4 0.4 -3.9 ー2.9 -0.1 o.s両 自 1.5 -1.7 3.7 4.5

    • :合ぷ2.8 -~ 6.8 4 -3.1 ー2.4 -0.5 1.7

    。31 0.3 -2.1 0.6 -1.6 -1.3 ー2.2 0.9 -1.5 1.3 0.7 7 5.7 4.6 ← .. n 『 45 2.4 1 。

    2月1日 -0.3 -1.9 -2.4 0.6

    ~ -2.1 ー1.4 -2.6 rn 0.2 3.6 6.2 0.7 1.2 u: 1.8 -3.9 1.3 -1 己盈j-2 1 -3.7 1.2 1.7 -:n-5.5 0.1 -2,3 1.1 -0.7 -2.8 2.8 三%. ー3.5 6.2 6.1 3.1 一l 0.3 -2.1 ー26 0.4 1.2 1 0.1 ー2.8 -0.6 -2.6 -0.9 0.9 -2.2 長誠 0.9 4.7 1.3

    3.4 0.5 -1.8 「司穿 2.1 2 -27 0.1 1 2.1 0 -3.6 。0.6 -1.9 -1 7 -1.4 4.5 ー1.5 ー35 -3 1.6 ャ.... -3.8 榊 4J 0.6 0.2 -18 0.5 1.1 2.9 -1.3 -2.3 ー16 0.3 -2.5 -2.5 2.4 ー2.4 1.8

    -』~司: 0.1 2.5 -2.7 3.9 0.2 ー2 1.5 1 -0.2 4.4 -1.2 1.5 -0.6 -1.3 -3.3 2.9 2.6 -3.3) 1.5

    ー1.5 -1.5 1.9 1.6 0.6 -3.4 3.3 ー2.6 0.9 4.6 3.6 2.6 -2.9 -3.2 0.3 3 1.6 -0.1 -2.8

    1.8 ー0.5 1 0.4 2.7 -0.5 2.8 2.7 -2.4 2.9 0.8 0.4 -0.7 ー0.4 -1.9 -1.3 -2.8 -1.1 -1.2

    -0.1 -1.5 -2 0.8 0.4 2.1 2.6 1.6 1.5 1 0.8 2.3 7.5 2.5 1.5 0.6 -0.8 三蕊 -2.8 -1.6 10 -0.7 ー2.3 -1.3 3.7 -2.6 1.9 ー0.2 -2.2 4.3 0.1 -1.2 2.1 6.9 1.3 7.7 -24 -2.4 ー32 -0.6 0.6

    二説 0.8 -3.8 2.2 -1.8 -0.2 7 -1.9 2.7 -1.4 -3.5 】~ 2.7 1.5 4.1 議選 ー3.7 -18 -3.4 2.2

    -29 0.2 1.6 1.4 -1.2 ー11 2.6 2.8 -2 1.8 -0.3 ー1.7 -0.2 2.9 2 1.3 同話£ -2.8 -0.8 1.3 2.9 -13 7.9 -0.9 1.1 -0.7 2.9 -19 -1.7 ー1.3 2.1 -3.8 -0.3 3.8 -1.9 -2.9 -0.5 1.5 0.8

    3.9 ー3 6.7 -1.6 2.2 -1.8 -0.7 -16 ー2.6 ー2 0.4 -2.8 5.1 7 -0.2 -2.l 3.4 l:盃 -0.2 0.5 15 2.1 1.7 0.7 -1.8 0.6 -3.1 -2.6 3.4 2.9 -2 ー3.3 7.7 2.3 3.2 4.1 -1.5 2.6 0.1 0.7 0.9

    0.8 3.3 -2.4 -27 -0.6 -3.8 2.6 1.7 5.5 1.1 -1.5 7.4 ー0.8 1.3 l目当込 0.4 -2.4 -0.9 1.1 0.2 1.7 1.5 -1.2 -3.8 -0.2 -0.2 -2.9 5.9 -1.3 -3.8 -0.3 1.3 -1.8 -2.3 3.6 -0.7 己iiー2.6 4.5

    ー0.1 0.7 -2.4 2.9 -01 1.9 -1.1 4.7 -3.9] -1.6 -2.9 6.2 -1.9 ー3 ー1.3 -1.5 2.9 0.2 3.8 -1.7 0.8 ー11 1 -0.8 2.4 0.6 0.9 4.7 4.0] 2.2 1.1 0.8 1.7 -0.3] ー3.9 -3.9 -1.1 0.4 1.5

    20 -0.8 0.1 9.9 -0.5 0.5 0.4 2.6 ー0.8 -02 0.7 -1.2 2.1 ー1.5 4.4 -2.1 ”現 ー2.4 -2.8 -1.4 -1.4 。2.7 1.4 1.1 -1.7 ー0.5 0.4 -2 2.5 -0.9 1.8 -0.5 1.3 -1.8 ー25 -3.3 」A -3.2

    ー守!-3.4 0.3 -2.7 一2.6 7.6 0.8 5.4 !三室主 -1.7 3.5 1.4 -0.1 -2.5 2.8 3.2 -1.8 -3 5.3 ー2.4伝説 4.8 0.3 ー24 2.5 5.5 0.9 -1.4 1 2.8 2.1 6.3 6.7 。5.8 2.8 -2.9 4.8 -3 ー38 7.3 2.4 -1.8 2.4 3 -1.9 -0.9

    .常玄5.9 ー11 -0.2 5.9 4.7 0.4 0.8 -31 1.6

    25 0.2 -0.7 7.6 2.5 -3.7 -1.9 1.2 4 0.7 0.8 0.4 -1.3 6.9 4.8 4.6 3.2 -1.2 1

    0.6 6.9 4.2 1 -2.1 1.6 -0.3 2.7 -0.5 2 -2 8 1.5 3.5 -0.9 -1.9 -3.2 ー0.3 5.2

    3.1 1.9 1.8 3.4 ー15 7 1.4 ー1.4 1.3 -3 2.3 2.9 4.5 -0.l -3.9 3.7 5.8 -0.3

    -2 0.2 2.6 0.1 -1.9 8.5 -3.2 0 2.2 2.1 1.9 。0.9 8.1 ー2 0.8 8.3 -2.5 29 -3 -3 6.7 1.7 。

    表-3

    1) 日最低気温はアメダス滝宮のデータによる。

    2)外枠網掛け太罫線は。幼穂形成始期。3)網掛けは日最低気温-4℃以下

    黒節病発生パターンと節間伸長開始期を基準とした高湿・微風の出現日数

    1少発生

    可i

    1

    i

    一AU

    高湿 ・微風の出現日数

    節問伸長開始期後

    6~10日 In~15日

    2 し」是 Z

    2:

    :! ・2

    ≫:

    。たみJ

    門口F

    勺↓苦

    2目

    1一1

    Z烹2

    O

    I

    l

    -00

    lze一分

    ト一

    F

    -hH,

    ||寸lad--ー斗l1Ill11144吋1111」11411叫||↓ー」よ

    口M

    E

    園田

    一一,,

    寸一

    5

    E

    Z一o

    l

    l

    vs一141一l一宮一o一l一軒

    前一

    I{

    一一

    一一場

    期丁ム111J一

    喝J

    7-

    1LrI一一ほ

    始一日一

    -一

    山田

    関一

    O一-}-l一一

    一国

    Ih)一)

    aIL

    --一

    }一

    町一寸一

    1

    0一2一ー一3一。一

    0

    0

    0

    z

    z一。一

    嶋除,-ro-

    E

    nv

    Lltrirhlri

    一一旬

    節一日

    一l

    一下

    一RU

    --

    田一聞

    一日川

    一寸一

    z一1

    0

    一0

    0

    一4一z一l

    o

    T

    3

    2

    3一o一4

    -喝BA

    T

    一l一-4

    11111Hii

    h

    一fri-

    ||

    lJIlli--「111111jill

    昔i

    一I

    l

    i

    --

    ー}

    卜一日

    0

    0

    0

    一げ山口一

    o一3

    0満丸

    11

    1

    ー一6

    8

    工一l

    一(

    ふ未い

    4一

    査タ

    初期

    一0

    0

    0

    一旧日日一げ

    U

    H一0

    0

    0

    一o一調

    一速始

    一(

    一袋政変一

    6

    8

    9

    一(

    一回デ風開

    3一

    一所高日計

    閉山印日一郎貯

    M町一飽閃

    mm一mM閣内川一日一除スは集す

    mmm一制御捌一抑制加一如一防ダ風で示

    sa

    --

    一一一イ

    一一;;;-;

    :;-

    ;一虫メ微隔を

    一筈ア’間数

    一病は上日日

    一県速以

    5現

    一川風%の出

    ー一香均

    ω後の

    ベ一’平度前上

    AV

    一は日湿期以

    一ン’均始日

    一一度平開

    3

    一タ混日長は

    一パ均は伸け

    -二一生平湿閥掛

    剣一発日高節網

    未一

    12345

    年次別黒節病発生状況

    年次(産)

    30%以上→40%以上

    表-4

    0→40%以上

    10%未→O

    0→15%未

    発生パターン

    多発生

  • 5

    表- 5 発生圃場率と節間伸長開始期前後の気象要因との関係

    年産4月下旬 日平均湿度% 日平均風速m/s 日照時間hr

    発生園場率 伸長前 伸長後 伸長前 伸長後 伸長前 伸長後

    2007 45.5 62.2 55.5 2.6 2.8 6.8 6.7

    2010 55.6 64.8 68.9 1.9 2.5 5.2 3.5

    2015 46.7 61.9 69.2 2.8 2.6 5.4 3.9

    1996 65.5 56.3 63.4 3.2 2.9 6.7 4.3

    1997 52.6 59.7 66.1 2.4 2.1 6.9 6.1

    1999 45.1 65.3 70.2 2.8 2.5 6.0 4.9

    2002 。 62.5 54.3 2.3 3.2 7.0 8.0 2005 。 58.9 61.9 2.9 3.0 5.6 5.6 2008 。 55.4 60.9 3.0 2.5 6.3 9.2 2001 6.7 67.9 57.0 2.7 2.9 6.0 6.9

    2006 8.3 66.5 58.5 2.6 3.0 6.3 6.3

    2012 13.3 67.3 58.4 2.6 3.5 3.6 6.6

    相関係数 0.14 0.63* 0.11 一0.52 0.12 -0.73事*

    1)日平均湿度,日平均風速,日照時間はアメダス高松のデータによる。2)節間伸長前は15日間平均,節間伸長後は20日間平均とした。3) • ..本はそれぞれ5%. 1 %水準で有意。

    表- 6 播種期別黒節病発生茎数(率)

    播種期発生茎数 穂数(本/rri) (本/rri)

    11.5 2.94 358.0

    11.14 2.70 389.6

    11.28 0.21 313.0

    12.8 0.00 274.7

    12.25 0.00 208.1

    1)各区毎の調査は1.8×7m. 6反復平均とした。2)播種年は2014年。

    成始期は,概ね1月下旬から2月上旬にかけて迎えてい

    るが,黒節病無発生年は2月中旬頃になる年が5か年あ

    り,発生年には見られない特徴を示している。発生年に

    おける発病の契機になったと予想される低温は,概ね幼

    穂形成始期後の2月上旬に出現している。例外として,

    1997, 2005, 2008年の3か年は幼穂形成始期から少し期

    間を置いた2月下旬に低温が出現している。

    2. ムギ類黒節病の発生に及ぼす湿度の影響

    4月下旬調査による発生ほ場率の高低により多発生

    年,無~少発生年に分類した。また,多発生年,無~少

    発生年それぞれは, 3月中旬調査時点での発生の有無に

    より分け, 4つの発生パターン毎に該当する 3か年を対

    象とし参考に調査期間中唯一,両調査時点とも無発生

    であった2013年を加えた。以上該当する13か年の節間伸

    長開始期前後の高湿微風の出現日を半旬毎にまとめて比

    較した。なおここでの高湿微風日の判断基準は,日平均

    湿度60%以上かつ日平均風速2.0m/s未満とした。

    発病茎率生育ステージ聞の日数

    (%) 幼穂形成始期~ 節問伸長始期~節問伸長始期 出穂期

    0.82 33 31

    0.69 28 30

    0.07 9 24

    0.00 9 20

    0.00 8 21

    多発生年と無~少発生年では,節間伸長開始期以降の

    高湿微風日の出現頻度に大きな差があり,無~少発生年

    はその出現頻度がかなり低かった。また, 3月中旬調査

    で無発生であった6か年のうち, 4月下旬時点での発生

    程度の多少によっても高湿微風日の出現頻度に異なる傾

    向が見られた。 4月下旬多発生年は,節間伸長開始期直

    前の半旬期間に高湿微風日の出現が高まるのに対し,少

    発生年はそれより以前の節間伸長開始期から2~3半旬

    前頃に高湿微風日の出現が高まった。

    3月中旬に少発生であったものの4月下旬調査で発生

    が確認されなかった年,および両時点とも無発生であっ

    た年は, 2002年を除き節間伸長開始期前に高湿微風日の

    出現が続かなかった。

    なお,年次発生パターンの対象とした12か年の節間伸

    長開始期前後の気象要因別平均値を基に,黒節病発生圃

    場率との相関を見たものが表- 5である。日平均湿度,

    日平均風速はいずれも高湿微風の出現日数と同傾向を示

    しており,節間伸長開始期後の湿度は正の相関,風速は

  • 6

    負の相関が高くなった。また,日照時間の平均値でも風

    速と同様,節間伸長開始期後に負の相闘が高くなった。

    3.播種期別生育ステージとムギ類黒節病の発生動向

    2014年播麦は, 11月上中旬までの播種は順調であった

    が, 11月下旬播き以降,降雨の影響により,土壌の過湿

    状態が続く中での播種であった。また, 11月下旬播き以

    降は, 12月が平年に比べ低温で推移したため,出芽不良

    となり,その結果,初期生育が大幅に遅れ,その後も生

    育期間を通じて生育不良の状態が続いた。

    播種期別の黒節病発生茎率は, 11月上旬播き0.82%.

    11月中旬播き0.69%, 11月下旬播き0.07%で, 12月上旬,

    下旬播きでは発生が認められなかった。

    考 察

    1. ムギ類黒節病の発生と低温の影響

    幼穂形成始期以前の最低気温の出現状況から推測する

    と黒節病発生年は無発生年に比べ低温にならない,つ

    まり暖冬年で経過する傾向であった。これは,麦黒節病

    の発生環境として一般に考えられてきた,「暖冬で初期

    生育が進んだ後に,氷点下の気温に遭遇することが発

    生を助長する傾向4I」という考えと一致する。一方,幼

    穂形成始期以降の最低気温の出現は発生の有無により異

    なった傾向を示しており, 3月中旬調査における無発生

    年は,-4℃以下の低温になったのは10か年中, 3か年

    のみで,一方の黒節病発生年は大半の8か年で- 4℃以

    下の低温となり対照的な傾向であった。

    森ら(2001)21によると,人工気象室内におけるムギ

    類黒節病菌の噴霧接種による病徴発現のための条件抽出

    試験では,異なる生育ステージのムギに接種を行った場

    合,幼穂形成期以前のステージのムギでは病徴の発現

    頻度が極端に低くなるとともに,-5℃の最低気温遭遇

    による病徴の再現を確認している。現場圃場の麦が遭遇

    する株面温度と,今回使用したアメダス観測データの差

    を推測すると,アメダス滝宮で-4℃を計測した時刻に,

    地形その他の影響により-5℃以下の低温になった麦生

    産圃場も十分考えられる。 3月中旬調査で発生が確認さ

    れた年の病徴は,幼穂形成始期以降に遭遇した-5℃程

    度の低温に起因することが予想される。それらの推定

    は,森ら(2001)の報告と見解が概ね一致する。

    また,発病の原因となる低温は,幼穂形成始期直後の

    2月上旬頃に多く出現するが, 1997年, 2005年, 2008年

    のように2月中下旬に出現する場合もあり,幼穂形成始

    期から節間伸長開始期までの幅広い期間の低温が契機に

    なると思われる。

    2. ムギ類黒節病の発生と湿度の影響

    細菌の感染と湿度との関係は,高湿は細菌の増殖・侵

    入を促進し乾燥は発病を抑制する方向に作用すると考

    えられている九気象環境要因の一つである風は,湿度

    の変化と関連が深く,無風に近い状態では,湿度の変化

    も少なくなか高湿の場合その状態は長く続く。一方,

    やや強い風がある場合は,植物体表面の露の蒸散や,節

    間伸長後の麦作圃場群落内においても乾燥を促し湿度低

    下に作用すると思われる。同様に日照時聞が長くなるこ

    とは,湿度の低下を促進するため,発病抑制に作用する

    ことが推測される。

    巡回調査の結果による黒節病の発生状況は, 3月中旬

    に発生を確認していなかった年も,成熟期に近づく 4月

    下旬に多発生を確認する場合もあり,各調査時点での発

    生する症状は,感染や発症時期が異なるものと考えられ

    る。 3月中旬の発生については,幼穂形成始期後の低温

    遭遇が契機となることが予想されるが,節間伸長開始期

    以降,成熟期にかけて発現する症状は湿度,風速に大き

    く影響すると思われる。特に節間伸長開始期前後の高湿

    微風の出現頻度と病徴発生程度には高い関連傾向が伺わ

    れ,ハダカムギの黒節病菌に対する感受性もこの時期高

    まってくるものと予想される。

    それらの傾向は,節間伸長開始期に症状が確認されな

    かった年で,その後成熟期にかけて発生した年の発生程

    度を比較することにより明らかとなる。 3月中旬に発生

    のなかった6年間のその後4月下旬調査の結果では,時

    期が異なるがいずれも節間伸長始期前に高湿微風期間

    が出現しており,この期間に感染が促進されたものと

    思われる。その後の発症程度の違いは,多発生となっ

    た2007,2010, 2015年に比べ,少発生であった2001,

    2006, 2012年は,節関伸長開始期後の高湿・微風日の出

    現が極めて少なく,それに伴い発病の程度が高まらな

    かったものと思われる。

    節間伸長開始期以降,節聞が伸長してくるにつれ,麦

    作ほ場では,群落内の風に対する影響が小さくなる。そ

    のような環境条件の中,降雨等による湿度上昇に伴い,

    日照時聞が少なく微風(無風)状態が続くと,局所的に

    湿度の高まる状態が持続され,それに伴って発症が促進

    されることが予想される。

    3.播種期別生育ステージとムギ類黒節病の発生動向

    香川県麦生産改善対策指導指針11では,「イチパンボ

    シJの播種適期は11月15日~25日,その前後で播種早限

  • 7

    播種期 11上皇 1 1皇室立 込王盆 12上盈 12王盆l月

    1/29 I 01織形成金台期 l

    2月

    2/12 :1:1 ( :1:1) l幼穣形成始期 l

    3月3/2 27(28) l幼穣形成始期 l

    4

    3/5

    3/10 3/11

    3/17

    3/20

    3/24

    3/29 3/30

    4/3

    4/6

    4/8

    4/15

    2:1(:11)

    E歪亙

    l宮町閉伸長開始期l

    ト国蓋亙

    l)矢印聞の数字は生育ステーγ問の日数。

    17

  • 8

    謝辞

    本研究は, 2013年度から2015年度にかけて実施された

    農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業「麦類で増

    加する黒節病などの種子伝染性病害を防ぐ総合管理技術

    の開発Jにより行われた。

    また,本研究の遂行にあたり研究推進事業代表機関で

    ある,独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構中

    央農業総合研究センターには多くのご指導ご協力をいた

    だいた。ここに厚く感謝申し上げる。

    引用文献

    1)香川県(2015):麦の生産に関する資料, 9.

    2)森充隆ら(2001):オオムギ黒節病の病徴発現に

    関する温度と植物体の生育ステージ,日本植物病理学

    会報,第67巻,第2号: 207-208.

    3)仙波俊男ら (1994):関西病虫研報(36)短報, 63-

    64

    4)社団法人日本植物防疫協会(1991):作物の細菌病

    一診断と防除一, 54~149.