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安全なトイレは どこに 2017年世界のトイレの状況

安全なトイレは どこに 2017年世界のトイレの状況 - …...WaterAid/ H&M Foundation/ GMB Akash/ Panos はじめに 下水設備がなく、ハンギングトイレから

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  • 安全なトイレはどこに2017年世界のトイレの状況

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

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    トイレの存在を、あたりまえと考えるのは普通のことです。ドアのカギを閉め、排泄後に水を流し、そして忘れます。しかしこうした私たちの日常は、世界人口の3分の1にあたる23億人にとってあたりまえのことではありません。

    適切なトイレと清潔な水が利用できないことが原因の下痢で、2分に1人、平均して毎日約800人の子供が命を落としています。

    不十分な衛生設備による健康被害が、人々を貧困に追い込み、教育を受けたり家族を支えたりすることを困難にしています。

    トイレを利用するという基本的な人権が保障されていない人々が影響を受けることは言うまでもありませんが、他の人々よりも深刻な影響を受ける人々もいます。例えば女性や女の子たち、トランスジェンダーやインターセックスの人々、高齢者、障害のある人々は、トイレの利用に関してそれぞれ固有のニーズと課題を抱えています。

    本報告書では、適切なトイレを利用できないことが、いかに世界中の女性と女の子たちの可能性を阻んでいるかということについてご紹介しています。

    ユニセフと世界保健機関(WHO)の共同モニタリングプログラムによる最新のデータをもとに、女性にとってトイレを利用するのが最も困難な国々を明らかにすると同時に、顕著な進展を見せている国々を紹介します。ウォーターエイドは、2030年までに、すべての人が適切なトイレをあたりまえに利用でき、すべての場所で女性や女の子のニーズを確実に満たすための方法を提案しています。

    WaterAid/ H&M Foundation/ GMB Akash/ Panos

    はじめに

    下水設備がなく、ハンギングトイレから排泄物が流れ出ている道路を歩く子供。(バングラデシュ、ガジプル県)

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    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    「基本的な」衛生設備とは

    すべての人がすべての場所で適切なトイレ―ユニセフと世界保健機関(WHO)が定義する、最低限の「基本的な」衛生設備―を利用する権利を持っています。

    衛生設備のはしご国際社会は、2030年までに持続可能な開発目標(SDGs)のひとつとして、野外排泄をなくし、すべての人が「安全に管理された」衛生設備を利用できるようにすることを約束しました。特に女性と女の子たちのニーズに注力していますが、これまでの進捗は十分とは言えず、今日では、女性と女の子のおよそ3人に1人が適切なトイレを利用できません。

    39%が「安全に管理された衛生設備」を利用しています。「安全に管理された衛生設備」とは、人間の排泄物が安全に処理される家庭用の衛生的なトイレを指します。29億人がこうしたトイレを利用しています。

    8%が「限定的な衛生設備」を利用しています。6億人が、基本的な衛生設備に似ていますが、複数の家庭で共同利用している「限定的な

    衛生設備」を利用しています。

    12%が「野外排泄」を習慣としています。8億9,200万人が、野原や線路、もしくは

    人の少ない離れた場所で用を足しています。

    12%が「改善されていないトイレ」を利用しています。「改善されていないトイレ」とは、蓋のない便槽や水の上に設置されたトイレのように、衛生的に人間の排泄物が隔離されていないトイレを指します。8億1100万人がこうしたトイレを利用しています。

    29%が「基本的な衛生設備」を利用しています。「基本的な衛生設備」とは、(下水道につながっていない)注水式水洗トイレのような衛生的なトイレを指します。22億人がこうしたトイレを利用していますが、その排泄物は河川に流されるか、未処理のままくみ出され、コミュニティを病気の危険にさらします。

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

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    女性と女の子への影響

    すべての人が健康と尊厳に関する権利を持っており、女性と女の子の特別なニーズにも配慮する必要があります。こうしたニーズを満たすには、水と衛生に関する意思決定の場に女性や女の子が平等かつ積極的に参加する必要があります。

    生まれてから子供時代、思春期を経て、成人し老年に至るまで、トイレを利用できないという問題は、女性の生物学的欲求において特に深刻です。

    ジェンダー差別のような社会的要因が加わり、障害のような他の問題とも交差して、適切なトイレがない生活はより厳しいものとなります。

    子供時代安全とは言えない環境に起因する感染症によって、毎分1人の新生児が命を落とし

    ています。また、不衛生な水、不適切1なトイレや衛生習慣が原因の下痢で、毎年28万9000人の5歳未満の子供が命を落としています。それを乗り越えた子供たちも、栄養を適切に吸収できず、栄養不良や発育不良の影響を受けやすくなります。5歳未満の子供の4人に1人は栄養不良であり、それによって身体的および精神的発達の阻害、免疫力の低下を引き起こします。低栄養によって、アフリカとアジアの国々は、年間のGDPの11%を損なっています。こうした問題は性別で区別されませんが、文化によっては両親が女の子よりも男の子を優先してご飯を食べさせるために、女の子の栄養不良のリスクが高ま

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    る場合もあります。このことは後にも影響をおよぼします。発育不良の女性は、妊娠合併症や低体重の赤ちゃんを出産するリスクが高まり、このサイクルは途切れることがありません。

    青年期学校や家の近くで適切なトイレを利用できない女の子は、野外排泄をするか、多

    くは男の子と共用の、安全とは言えない不衛生なトイレを使わなければなりません。健康上のリスクとは別に、不快で恥ずかしい思いをし、言葉や身体的な暴力を受ける危険にさらされています。こうした危険を避けるため、昼間に食べたり飲んだりしないようにするため、学校の勉強に集中することが難しくなります。 また学校に適切なトイレがない場合、女の子たちは月経が始まると授業を休んだり学校を中退したりする可能性が高くなります。 サハラ以南アフリカでは、10人に1人の女の子が月経期間中に学校を欠席します。

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    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    成人期職場にトイレや月経管理のための設備がないために、女性は外に働きに出ること

    が難しくなります。バングラデシュにおける調査では、このような水・衛生サービスの欠如により、女性たちは月に最大6日間仕事を休んでいることがわかりました。職場におけるジェンダー格差をなくすことで、2025年までに世界の年間GDPは28兆ドル増加するでしょう。世界では、4億4,600万人の女性が野外排泄をする以外に選択肢がなく、不衛生で安全とは言えないトイレを利用している何百万人もの女性は、トイレに行くことが恥ずかしいと感じ、いやがらせや暴力を受けるリスクを抱えています。

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    母親への影響適切なトイレを利用できないことは、妊娠中の女性と赤ちゃんに影響を及ぼします。

    発育不良の5分の1は栄養不良の母親の子宮内で起こります。野外排泄によって広がる鉤虫は、女性の下痢や貧血、体重減少を引き起こし、また、低体重の赤ちゃんの出産や子供の発達不良とも関連しています。また不十分な衛生設備は出産中および出産後に敗血症に

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    感染するリスクを高め、世界の妊産婦死亡の11%の原因ともなっています。しかし、開発途上国の保健医療施設の38%には清潔な水が、19%には適切なトイレがないという状況であるため、感染を防ぐのは困難です。女性の衛生設備のニーズは、出産後もしばしば変化します。長時間に及ぶ難産の際には、失禁や産科瘻(出産時、尿管と産道の間など体に穴が開くこと。)を患う可能性があります。瘻孔は、発育不良の女性に多くみられます。また女性は、不衛生な水やトイレ、衛生習慣が原因で病気を患った子供たちを看病するという役目も担っています。

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    老年期高齢の女性は、洗濯のできるスペースを備えた、適切で利用しやすいトイレを必

    要とします。閉経中のホルモンの変化は、重度の出血をもたらす可能性があります。また高齢の女性は、トイレが近くなり、失禁や身体的可動域の低下、その他の障害によって苦しむ可能性が高くなります。

    世界では、女性の3人に1人は適切なトイレを利用できません。

    3 人に1人

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

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    順位 国 トイレを利用できない人の割合(%)

    トイレを利用できない人口

    1 エチオピア 92.9 92,354,960

    2 チャド 90.5 12,697,120

    3 マダガスカル 90.3 21,886,092

    4 南スーダン 89.6 11,062,628

    5 エリトリア 88.7 4,639,271

    6 ニジェール 87.1 17,324,706

    =7 ベナン 86.1 9,364,257

    =7 トーゴ 86.1 6,285,700

    9 ガーナ 85.7 23,495,896

    10 シエラレオネ 85.5 5,515,157

    1. 適切なトイレを利用 できない人口の割合が多い国 トップ10 12

    基本的な衛生設備にアクセスできない国の上位10カ国はすべて、サハラ以南アフリカです。適切なトイレを利用できる人口の割合は平均28%で、5歳未満で命を落とす子供の数は先進諸国の15倍です。

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    エチオピアは適切なトイレを利用できない人々の割合が1番多い国であり、同時に野外排泄を習慣的にする人々の数を1番多く減らすことができた国でもあります。エチオピアでは、基本的なコミュニティトイレを利用できるようにしたことで、衛生設備のはしご(3ページ参照)の最下層にいる人の数を大幅に減らすことができたのです。しかし、現在も人口の7.1%しか、基本的な衛生設備を利用することができません。

    エチオピアでは4,600万人以上の女性と女の子が安全に利用できるトイレのない環境で暮らしており、これはスペインの人口とほぼ同じです。

    2位のチャドでは、適切なトイレを利用できているのは9.5%のみです。人口の約半数が国際貧困ライン(1日1.9ドル:世界銀行)以下の生活水準で暮らしており、平均寿命は52歳です。毎年約9,150人の子供が、不衛生な水やトイレに起因する下痢症で命を落としています。

    僅差でマダガスカルが3位となりました。この大きな島国は、75%の人々が貧困下で暮らす最貧困国の1つであり、発育不良の子供の割合が世界で5番目に高い国の1つでもあります。

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    10位のシエラレオネでは、85.5%が最低限の基本的な衛生設備を利用できません。

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    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    豊富な天然鉱物、港、美しい景観で知られるシエラレオネは、貿易と観光が盛んな国であるはずです。実際は、この国は今なお10年に及んだ内戦とエボラの大流行からの復興途上にあります。

    衛生設備の普及率は、2000年には10%でしたが、2015年には15%に改善されました。しかし現在も、600万人のうち、550万人が適切なトイレを利用することができません。家庭や保健医療施設で衛生設備や清潔な水を利用できないことで、生まれてくる赤ちゃんは危険にさらされます。毎年2,000人以上の新生児が敗血症や不衛生な環境が原因の病気で命を落としおり、21人に1人の女性が敗血症により子供を失っています。17

    19%

    1,270 38%

    22%の保健医療施設には適切なトイレがありません。

    ケマ・ジェームスさんは、感染症にかかりケネマ政府病院を紹介されました。助産師は赤ちゃんに感染することを懸念していました。ケマさん

    は難産の末男の子を出産しましたが、残念なことに赤ちゃんは、5日間の集中治療の甲斐なく敗血症で亡くなりました。

    出産時、ケマさんの赤ちゃんがどのように感染したかについて確かなことは言えませんが、栄養不良による発育不良に悩まされている女性は、不衛生な水や不適切なトイレによる慢性的な下痢が原因であることが多く、そのことによって出産時を含む妊娠中の合併症を起こしやすくなります。また不衛生な環境で出産することで、母親も赤ちゃんも感染する可能性が高まります。

    WaterAid/ Monique Jaques

    シエラレオネ―新生児死亡率

    が適切なトイレを利用できません。

    が適切なトイレを利用できません。

    の5歳未満の子供たちが、下痢性疾患によって命を落としています。

    毎年の5歳未満の子供が発育不良です。

    が野外排泄を習慣としています。

    550万人

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

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    エチオピア―将来の発育不良

    アフリカで2番目に人口の多いエチオピアは、衛生に関する野心的な目標を掲げています。 そしてその目標は、政策において重点を置いたり、衛生にかかわる人材や資金を増やしたりといった進展をもたらしています。基本的な家庭へのアクセスは低いままですが、基本的な衛生設備を利用できる割合は、3.15%であった2000年に比べ倍増しています。野外排泄を習慣とする人の割合も、2000年の80%から27%へと劇的に減少しました。

    しかし、人口増加と都市化に対して、既存のインフラ設備が追い付かなくなっています。衛生設備の目標に向けて継続して進捗していくためには、行動変容を促す必要もあります。下痢に関連した子供の死亡と栄養不良は大きな懸念事項です。毎年、不衛生な水やトイレの不足による下痢によって、5歳未満の子供8,500人が命を落とし、580万人が発育不良となっています。

    40%

    15% 27%

    8,500

    オロミア州ユブドのウォインシェさんは、昨年、娘のキシちゃんが、適切なトイレと清潔な水を利用できないことで頻繁に病気にかかっ

    ており、昨年はもうすぐ命を落とすところだったと話します。

    「トイレがないので、茂みに用を足しに行きます。私の8歳の娘は、何を食べても下痢をし、嘔吐してしまうので、痩せていて体も弱いです。医者は、不衛生な水と衛生設備の不備のために、お腹の中に虫がいるのだと言いました。医療費は高額で、前回は180ブル支払いました。180ブルあれば、家族が1ヵ月食事をするためのトウモロコシを買うことができます。」

    WaterAid/ Behailu Shiferaw

    が適切なトイレを利用できません。

    が適切なトイレを利用できません。

    の5歳未満の子供たちが、下痢性疾患によって命を落としています。

    毎年の5歳未満の子供が発育不良です。

    が野外排泄を習慣としています。

    9,240万人

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    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    順位 国 最低限の基本的な衛生設備を利用できない人口

    最低限の基本的な衛生設備を利用できない人口の割合(%)

    1 インド 732,207,000 56

    2 中国 343,499,264 25

    3 ナイジェリア 122,802,379 67

    4 エチオピア 92,354,960 93

    5 バングラデシュ 85,449,092 53

    6 インドネシア 82,712,477 32

    =7 パキスタン 78,873,482 42

    =7 コンゴ民主共和国 62,034,676 80

    9 タンザニア 40,886,656 76

    10 ケニア 32,306,737 70

    2. 基本的な衛生設備を利用できない人口が多い国 トップ1018

    世界第2位の人口を持つインドは、基本的な衛生設備を利用できない人口が最も多い国です。

    インドでは、3 億5,500 万人以上の女性や女の子が適切なトイレを利用できず、もしトイレを利用するために列に並んだとすると、その長さは地球4 周分になると言われています。

    政府のデータによれば、インド政府が主導するクリーンインディアキャンペーン(Swacch Bharat mission)により、2014年10月から2017年11月の間に5200万の家庭用トイレが設置されました。このキャンペーンにより、野外排泄の減少率は世界10位以内に入り、基本的な衛生設備の利用は増加しました。しかし報告書が示すように、すべての人が利用できるようになるには、長い道のりが待っています。

    2位は世界一人口の多い中国で、3億4,300万人が適切なトイレを利用できません。しかし2000年には人口の40%が基本的な衛生設備を利用できなかったことを考えると、大きな進歩を遂げています。

    3位はアフリカで最も人口の多い国ナイジェリアです。10人に7人は基本的な衛生設備を利用できず、3分の2の学校には適切なトイレがないため、さらなる努力を重ねる必要があります。19

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  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

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    バングラデシュ-月経と衛生

    2017年夏のバングラデシュ北部における深刻な洪水や、南部におけるロヒンギャ難民流入は、この国の衛生設備の供給にさらなる負荷をかけました。8,500万人以上が適切なトイレを利用できていません。しかしバングラデシュは、衛生設備のはしご(3ページ参照)を登っています。特に急速に拡大するスラムの共同トイレに多額の投資を行うことで、各市内の野外排泄はほとんどなくなりました。現在5人に1人が限定的な衛生設備を利用することができます。これは健康と尊厳を改善する重要な一歩です。

    しかし、依然として取り組まなければならないことは多くあります。ウォーターエイドの調査によると、40%の女の子が、1か月に平均3日、月経期間中に学校を休んでいることが分かりました。

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    8,540万人 が適切なトイレを利用できません。

    2,220 の5歳未満の子供たちが、下痢性疾患によって命を落としています。

    毎年 人 36%の5歳未満の子供が発育不良です。

    47%の保健医療施設には適切なトイレがありません。

    40%の学校には適切なトイレがありません。

    ダッカにあるムハンマド ・シャヒドゥッラー学校には、1400人の生徒に対して数個の不衛生なトイレしかありませんでしたが、ウォーターエイドの支援によって、女の子が体を洗ったり

    「以前、月経中は家に帰り学校を休まなくてはなりませんでした。今は月経中でも、生理用品をもらえるよう先生に頼み、トイレに行くことができます。」と13歳のイシュラトさんは話します。

    月経期間中自身を清潔に保ったりするためのスペースのついた、鍵のかかる近代的なトイレが設置されました。現在生徒たちは、カリキュラムの一環で月経について学び、学校で生理用品を購入することもできます。結果として、女子生徒の出席率と成績の両方が改善されました。

    WaterAid/ Rasel Chowdhury

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    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    タンザニア-女の子たちを学校へ

    9位のタンザニアでは、人口の76%にあたる4,100万人が適切なトイレを利用できません。毎日9人の子供が予防可能な下痢性疾患によって命を落としており、3人に1人の子供が発育不良です。10分の1の学校にしか適切なトイレがなく、女の子たちは困難な状況に置かれています。月経に関するタブーや迷信が、問題を悪化させています。

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    2223

    ウォーターエイドと他のパートナーの支援のもと、2017年4月、教育省は学校における水と衛生設備、衛生習慣に関する最低限の基準を定めた国家ガイドラインを導入しました。政府は、2019年までに野外排泄をなくし、2025年までにすべての人々が確実に基本的な衛生設備を利用できるようにするための取り組みを始めました。

    89%

    3,390

    93%

    35%

    WaterAid/ Priya Sippy

    ダルエスサラームにあるムチャンガニ小学校の女の子たちは、ウォーターエイドの支援により適切なトイレが導入されるまで、他の学校と共同のトイレを利用していました。プライバシーは

    14歳のナイマさんは話します。「それまで、月経期間中は生理用品を変えるために家に帰っていたので、多くの授業を欠席し、勉強で遅れをとってしまっていました。トイレはとても汚く、すぐに病気が広まっていました。多くの生徒はたびたび下痢になっていましたし、コレラにかかることもありました。私もよくお腹が痛くなっていましたが、もう大丈夫です。今は試験にも合格できて幸せです。大きくなったら、医者になりたいと思っています。」

    ほぼなく、施設も衛生的ではありませんでした。

    の5歳未満の子供たちが、下痢性疾患によって命を落としています。

    毎年 人の5歳未満の子供が発育不良です。

    4,090万人が適切なトイレを利用できません。

    の保健医療施設には適切なトイレがありません。

    の学校には適切なトイレがありません。

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

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    順位 国 増加率(%)

    2000年に野外排泄していた人口の割合(%)

    2015年に野外排泄していた人口の割合(%)

    2015年に野外排泄していた人数

    1 ジブチ 7.2 15.6 22.8 202,680

    2 マダガスカル 6.2 37.8 43.9 10,645,915

    3 カーボベルデ 4.8 23.3 28.1 146,177

    4 赤道ギニア 4.4 0 4.4 37,363

    5 グレナダ 3.5 0 3.5 3,783

    6 ナイジェリア 2.9 22.6 25.5 46,529,909

    7 スリランカ 2.6 0 2.7 548,572

    8 コンゴ民主共和国 1.9 10.2 12.1 9,332,090

    =9 ナウル 1.7 0.9 2.6 265

    =9 タンザニア 1.7 9.6 11.3 6,021,264

    3. 野外排泄を習慣とする人の割合が最も多い国 トップ10 24

    2000年から2015年の間に、世界で野外排泄を習慣とする人は、12億人(世界人口の20%)から8億9200万人(12%)に減少しました。

    しかし、野外排泄は依然として非常に大きな問題で、現在でも、毎秒7つのバスタブをいっぱいにするだけの排泄物が垂れ流されています!

    サハラ以南アフリカとオセアニアを除くすべての地域で、野外排泄を習慣とする人口は減少しています。例外となった地域では、改善の成果が人口の増加に追い付いていません。

    スエズ運河の玄関口に位置する小国ジブチは、イエメンの紛争から逃れる難民が多く流入しています。この国では、野外排泄の割合が5年間で7.2%増加しており、現在人口の約4分の1が野外排泄をしている状態です。

    マダガスカルは、近年、政情不安により援助政策から取り残されており、適切なトイレを利用できない人口の割合が世界で3番目に多く、野外排泄の増加率でも2位となりました。

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    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    ナイジェリア-恐怖とリスク

    ナイジェリアは、サハラ以南アフリカで、最も人口が多く最も経済規模が大きい国です。しかし野外排泄を習慣とする人の割合は、2000年の22.6%から2015年の25.5%に増加しました。基本的な衛生設備を利用できない人の割合も増えています。

    Iウォーターエイドの調査によると、健康と尊厳に与える影響に加え、ラゴスの女性の5人に1人が、用を足しに行く道中で、言葉のハラスメントや脅しを受けたり、物理的に脅されたり襲われた経験があることがわかりました。コミュニティでの事例を見ると、問題はもっと深刻かもしれません。

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    67% 25.5%

    59,600 33%

    WaterAid/ Simi Vijay

    20歳のラハブさんは、ボルノ州での暴力から逃れ、アブジャにある国内避難民キャンプで生活しています。ここには、適切なトイレはありません。

    ラハブさんは話します。「私は草むらで用を足します。そこでは病原菌が蔓延していますし、蛇がいる危険もあります。男の子から襲われたこともあったり、早朝や夜であっても誰かに会う可能性があったり、安全とは言えません。彼らはお酒を飲んでいて、嫌がっても無理矢理触れてくるでしょう。私は、トイレに行くときに男性を見たら、家に引き返してトイレを我慢します。」

    1億2,280万人が適切なトイレを利用できません。

    の5歳未満の子供たちが、下痢性疾患によって命を落としています。

    毎年 人の5歳未満の子供が発育不良です。

    の保健医療施設には適切なトイレがありません。

    の学校には適切なトイレがありません。

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

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    マダガスカル-さまざまな場所へ行く

    マダガスカルにおける適切なトイレを利用できる人を増やそうとする試みは、深刻な財政難により後退しています。

    世界銀行は、2030年までにマダガスカルの野外排泄をなくすためには1年に1,000万ドル、基本的なトイレを利用できるようにするには1年に9,000万ドル必要であると予想しています。最も支援が必要な国の1つにも関わらず、マダガスカルが2015年に水と衛生設備、衛生教育のプロジェクトのために受けた支援は、1,250万ドルのみでした。この中から、100万ドルが衛生設備のために、630万ドルが水と衛生設備両方のプロジェクトに割り振られました。

    結果として、いまだに10人に9人の女性が適切なトイレを利用できていません。障害のある人は、されに困難な状況に置かれています。

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    27

    90%

    49%

    43.9%

    3,870

    WaterAid/ Ernest Randriarimalala

    アラオトラマンゴロ県アンボヒマラザ村のイリーネ・ラベロアリソアさん(41歳)は、幼いころにポリオにかかり、自力では歩けません。村にトイレがなかったとき、イリーネさんは特に大変でした。

    イリーネさんは話します。「私は学校が大好きでしたが、トイレがなかったので、退学せざるを得ませんでした。家族が家に私が利用できるトイレを建ててくれたのですが、ウォーターエイドが私たちの村を支援してくれるまでは、村にはトイレがなく、友達を訪ねたり、外を出歩いたりすることができませんでした。尿瓶を持ち歩く私を想像してみてください!現在はすべての家庭にトイレがあるので、外出することができます。私にとってトイレはとても意味のあるものです。」

    2,190万人が適切なトイレを利用できません。

    の5歳未満の子供たちが、下痢性疾患によって命を落としています。

    毎年 人の5歳未満の子供が発育不良です。

    の保健医療施設には適切なトイレがありません。

    の学校には適切なトイレがありません。

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    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    エチオピアは、適切なトイレを利用できる人口の割合が最も少ない国ではありますが、衛生設備のはしご(3ページ参照)の一番下の段で、大きな進歩を生んできました。野外排泄を習慣とする人の割合は80%から27%まで減少しました。しかし、依然として4人に1人の女性が野外排泄を習慣としており、健康や安全に関するリスクを抱えています。

    カンボジアは、長年の内戦を経て、アジアで最も経済が急成長している

    国のひとつになりました。野外排泄を減らすことでも大きな成果を生んでおり、380万人が新たにトイレを利用できるようになりました。

    カンボジアの北側に隣接するラオスも、野外排泄を3分の2減らし、ネパールがその後に続いています。リストの真ん中はインドです。インドは、クリーンインディアキャンペーンのもと、野外排泄をする人の割合を40%まで減らしました。つまり、およそ1億人が、野外排泄をやめたのです。

    順位 国 減少率(%)

    2000年に野外排泄していた人口の割合(%)

    2015年に野外排泄していた人口の割合(%)

    2015年に野外排泄していた人口

    1 エチオピア 52.7 79.8 27.2 26,997,570

    2 カンボジア 42.2 82.7 40.6 6,319,829

    3 ラオス 39.9 62 22.1 1,501,104

    4 ネパール 34.8 64.6 29.8 8,504,753

    5 パキスタン 29.9 41.5 11.5 21,813,413

    6 インド 26.1 66 39.8 522,261,058

    7 スーダン 24.3 50.9 26.7 10,728,934

    8 ブルキナファソ 23.4 71.4 48 8,686,380

    9 ソロモン諸島 22 63 41.1 239,588

    10 サントメ・プリンシペ

    20.8 70.6 49.8 94,775

    4. 野外排泄をする人の割合が減った国トップ10

    28

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    16

    インド- 母親の健康

    インドに住むおよそ12億8000万人全員に基本的なサービスを提供するのはかなり大きな挑戦ですが、変化は起きています。インド政府は、2019年末までに野外排泄をなくすという目標をたてています。そのため、トイレへの関心はとても高いです。ウォーターエイドも昨年、クリーンインディアキャンペーンと協働で、117万人が適切なトイレを利用できるよう支援を行いました。29

    しかしトイレの需要は、家庭から、学校、病院まで広がっており、やるべきことは多くあります。世界保健機関(WHO)によると、5分の2の病院で基本的な衛生設備が不足しており、患者や医療従事者が感染のリスクにさらされています。

    30

    56% 39%

    40%60,700

    WaterAid/ Tejaswi Balasundaram

    カルナータカ州ライチュール地区のマヘシュワリさん(25歳)は、妊娠中に野外で排泄する困難を経験しました。「私たちには、トイレを買う余裕もな

    ければ、設置するスペースもありません。妊娠中、道が安全ではないので、排泄をする場所まで歩いていくのは大変でした。一人でしゃがんだり立ち上がったりすることが困難だったので、義理の母が付き添ってくれました。」

    ライチュール地区では、45%の出産が農村部にある公共の保健医療施設で行われますが、安全な環境とは言えず、母親や赤ちゃんは感染のリスクにさらされています。マヘシュワリさんが出産した施設は、保健医療施設として適切ではなく、赤ちゃんはとても体重が軽い状態で生まれてきました。「その施設では水が利用できず、トイレも臭くて、不衛生でした。」

    7億3,200万人が適切なトイレを利用できません。

    が適切なトイレを利用できません。

    の5歳未満の子供たちが、下痢性疾患によって命を落としています。

    毎年 人

    の5歳未満の子供が発育不良です。

    が野外排泄を習慣としています。

  • 17

    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    ネパール- 新しい世代を助ける

    ネパールでは起伏の激しい地形のために、都市から離れた地域に住む人々が適切なトイレや衛生習慣の啓発に触れる機会が多くありません。しかしネパールは、2000年から2015年の5年間で野外排泄の割合を半減させました。

    この進歩は、バングラデシュから導入されたコミュニティ主導型衛生管理(community-led total sanitation)の成果の一部です。ネパールにおける進展の多くは人口の大半が住む農村部で起こっており、そこでは、野外排泄をなくすにあたっての課題が多く残っています。

    子供たちの定期的な予防接種の際に、母親たちに衛生設備や衛生習慣についての授業を行うというウォーターエイドのパイロットプロジェクトは成功を収めました。

    54% 30%

    730 41%

    WaterAid/ Mani Karmacharya

    ジャージャルコート郡に住む22歳のマンダリさんは、赤ちゃんの予防接種時に、健康にとってトイレがどれだけ重要なのかを学び、トイレを利用するようになりました。

    マンダリさんは話します。「私たちは、いたるところで野外排泄し、赤ちゃんのうんちもあちこちに捨てていました。しかし、衛生設備について学び、こうした行動は変わりました。最近では、手を洗い、うんちをトイレに捨て、トイレの近くに石けんも置いています。子供の健康状態も良いです。1人目の子供は、しばしば体調を崩していましたが、2人目の子供は、病気になっていません。」

    1,540万人が適切なトイレを利用できません。

    が適切なトイレを利用できません。

    の5歳未満の子供たちが、下痢性疾患によって命を落としています。

    毎年 人の5歳未満の子供が発育不良です。

    が野外排泄を習慣としています。

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    18

    順位 国 最低限の基本的な衛生設備を利用できる人口の増加率(%)(2000-2015年)

    最低限の基本的な衛生設備を利用できない人口の割合(%)(2000年)

    最低限の基本的な衛生設備を利用できない人口の割合(%)(2015年)

    2015年に基本的な衛生設備を利用できなかった人口

    1 ラオス 44.6 72 27.4 1,864,143

    =2 レソト 36.6 92.8 56.2 1,200,072

    =2 カンボジア 36.6 87.7 51.2 7,971,920

    4 カーボベルデ 27.7 62.5 34.8 181,098

    5 ネパール 26.9 80.8 53.9 15,361,302

    6 パキスタン 26.6 68.4 41.7 78,873,482

    7 ベトナム 24.8 46.6 21.8 20,336,583

    8 アゼルバイジャン 23.7 34.4 10.7 1,038,887

    9 インドネシア 23.6 55.8 30.1 82,712,477

    10 インド 22.5 78.3 55.8 732,207,000

    5. 基本的な衛生設備を利用できる人口の割合が最も増加した国 トップ10

    31

    ラオスは、東南アジアで最も貧しい国の一つです。4人に1人が、貧困ライン以下で暮らしています。しかしラオスは、適切なトイレを利用できない人の割合を減らすことに関して、他国をリードしています。これは、急成長する経済と、貧困削減や発展に関する政府の政策によるものです。

    32

    レソトは、大半の村が支援の届きにくい高山地域にあるにも関わらず、衛生設備へのアクセスの改善で、2位につけています。アフリカからはランクインした2か国のうちの1つです。2011年から2014年の間に、農村地域で衛生設備普及のための取り組みを行い、基礎的

    な衛生設備を利用する割合が4.5%から43.1%まで向上しました。しかし改善はされているものの、現在も56%の人々が適切なトイレを利用することができず、平均寿命も50歳に留まっています。33

    カンボジアも同様に2位となりました。カンボジアでは、2000年から衛生設備の普及率は3倍以上に改善されました。この劇的な進歩は、援助による資金と発展するトイレ市場、2025年までにすべての人が水と衛生にアクセスできるようにするという政府のアクションプランに支えられたものです。

  • 19

    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    カンボジアー技術の挑戦

    カンボジアは著しい発展を遂げていますが、水上村にどのように衛生設備を届けるかなど、多くの課題が残されています。

    10万人以上が暮らすトンレサップ湖は、魚釣りや洗濯に利用される一方、地域の人々が排泄する場所になっています。その結果、下痢症が流行するようになりました。子供たちが排泄の際に湖で溺れたり、高齢者や障害者が数多くの困難に直面したりしています。

    ウォーターエイドは、現地パートナーWetlands Work!とともに、「ハンディポッド」という家庭用の水上トイレを導入しました。これは湖に排泄物を流す前に、排泄物を分解し、病原菌を取り除きます。ハンディポッドのような発明は、カンボジアや、トイレの利用が最も困難なコミュニティにとって有益です。

    51.2% 41%

    270 32%

    WaterAid/ Laura Summerton

    51歳のスオン・ニーさんは、トンレサップ湖の周辺で暮らしています。スオンさんの家は、乾期の間は陸地にありますが、雨期になると水上に浮かぶようになります。

    「私たち家族はみんな、家の裏の畑で排泄します。家が水に浮かぶようになると、遠くまで行くか、ボートに乗って行かなければなりません。蛇や昆虫が怖いですし、誰かに会う恐れもあり、トイレに行くのは困難です。恥ずかしさも感じます。その点、ハンディポッドは利用しやすく、健康のためにもよいです。」とスオンさんは話します。

    800万人が適切なトイレを利用できません。

    が適切なトイレを利用できません。

    の5歳未満の子供たちが、下痢性疾患によって命を落としています。

    毎年 人の5歳未満の子供が発育不良です。

    が野外排泄を習慣としています。

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    20

    パキスタン― 高齢者の尊厳

    パキスタンは世界で6番目に人口が多い国で、急激な都市化が進んでいるために、すべての人が基本的なサービスを利用できるようにすることが非常に困難です。この国の人々は、他の南アジア諸国と比べて急速に都市に移動しており、すでに限定的なサービスは飽和状態にあります。また、自然災害は衛生設備サービスの発展や持続性に対する障害となっています。

    一方でパキスタンは、衛生設備において大きな進展を遂げています。適切なトイレの普及率は27%向上し、世界で6位になりました。このことにより国連ミレニアム開発目標(MDGs)の目標が達成され、数十万人の生活を変える結果となりました。

    41.7% 11.5%

    19,500 45%

    WaterAid/ Sibtain Haider

    60歳になるサルワール・マイさんは、パンジャブ州にあるカチャナシールワラ村で暮らしています。彼女は自宅にトイレがなかった時、野外排泄によって尊厳を傷つけられていました。

    「私たちは近隣の畑で野外排泄をしていました。特に私のような年配の女性にとって、野外排泄はとても困難です。疲れていたり、体調が悪かったりする時もあります。トイレを建設したことによって尊厳が守られ、生活しやすくなりました。」と話します。

    ウォーターエイドは村で衛生委員会を立ち上げ、適切なトイレの重要性についての啓発を行い、トイレの建設のための基金を立ち上げました。

    が適切なトイレを利用できません。

    が適切なトイレを利用できません。

    の5歳未満の子供たちが、下痢性疾患によって命を落としています。

    毎年の5歳未満の子供が発育不良です。

    が野外排泄を習慣としています。

    7,900万人

  • 21

    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    まとめ

    2000年以降、世界は貧困下で暮らす人口を減らすことに関して大きな成果をあげました。しかし、数億人が適切なトイレを利用できず、女性や女の子の潜在的な能力が制されていては、極度の貧困をなくし、公平で健康的で、より持続可能な世界をつくるための持続可能な開発目標(SDGs)の達成は限定的なものになるでしょう。

    資金を拡大し、適切な利用を政府と援助供与国・機関は、衛生設備を長期的投資として考えなくてはなりません。1ドルの投資は、4ドルの生産活動の向上につながります。より多くの援助は、それを本当に必要としている国やコミュニティに向けられなければならず、それが「誰も取り残さない」ことにつながります。援助資金はより透明かつ効果的に使われなくてはなりません。女性や女の子のニーズにより注目し、彼女たちを資金の使途に関する政策決定のプロセスに巻き込むことが重要です。

    34

    ジェンダーに配慮したトイレの設置を推進政府は、学校や保健医療施設、職場、公共の場において、すべてのトイレが安全、かつ誰もが利用でき、ジェンダー差別がないようにするために協働しなくてはなりません。これは、電灯、しっかりとした扉、鍵に加え、月経衛生のためのスペースがあり、プライバシーや安全が守られるトイレであるべきです。このようなトイレの設置には、トランスジェンダーやインターセックスの人々のニーズに対応できるよう調整していくこともできます。

    女性による女性のための衛生の価値向上 ジェンダーの平等や女性のエンパワーメントにおいて、安全な衛生設備は不可欠です。女性を伝統的な役割ではなく、水や衛生に関する仕事でリーダーとして巻き込むことで、女性や女の子が直面する課題に対応する改善策を見出すことができるでしょう。有害な慣習を乗り越えるために、女性や衛生設備に付きまとう汚名やタブーを打ち破らなくてはなりません。女性たちのスキルや自信の向上によって、女性がコミュニティに変化をもたらすという明白な役割を担うことができるようになるでしょう。

    水や衛生に関わる作業を再分配するための努力をサポート水くみは、主に女性や女の子の仕事とされています。より多くのトイレが作られると、より多くの水が必要になるため、衛生設備を増やしたり改善したりする取り組みに、水くみ労働の軽減や役割の再分配を組み込むことが重要です。女性特有の衛生設備に関するニーズを満たすことによって、健康や教育、ジェンダーの平等に波及効果が生まれ、ひいてはコミュニティや国がより良くなり、生活の向上にもつながります。

    ウォーターエイドの提案

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

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    新しく建設された学校のトイレを清掃する14 歳のシャロンさん(ウガンダ、ナマル)

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    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    WaterAid/ Eliza Powell

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

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    Country, area or territory

    % of people without at least basic sanitation

    No. people without access to at least basic sanitation

    Afghanistan 61 19769503Albania 2 66894Algeria 13 4963199American Samoa 38 20975Andorra 0 0Angola 61 15155954Anguilla 3 450Antigua and Barbuda

    12 11473

    Argentina 5 2240356Armenia 8 254008Aruba 2 2552Australia 0 0Austria 0 2275Azerbaijan 11 1038887Bahamas 8 30998Bahrain 0 0Bangladesh 53 85449092Barbados 4 10072Belarus 6 545632Belgium 1 58071Belize 13 46143Benin 86 9364257Bermuda 0 60Bhutan 37 287690Bolivia (Plurinational State of)

    47 5082006

    Bosnia and Herzegovina

    5 198824

    Botswana 40 905992Brazil 14 28790308British Virgin Islands

    3 946

    Brunei Darussalam 4 15529Bulgaria 14 1002321Burkina Faso 77 14026008Burundi 50 5538002

    Country, area or territory

    % of people without at least basic sanitation

    No. people without access to at least basic sanitation

    Cabo Verde 35 181098Cambodia 51 7971920Cameroon 61 14278471Canada 2 539099Cayman Islands 4 2669Central African Republic

    75 3670942

    Chad 90 12697120Channel Islands 2 2455Chile 0 20064China 25 343499264China, Hong Kong SAR

    4 269655

    Colombia 16 7504774Comoros 66 519084Congo 85 3926849Cook Islands 2 494Costa Rica 3 137093Côte d'Ivoire 70 15906563Croatia 3 107444Cuba 9 1045732Curaçao 1 1857Cyprus 1 7345Czech Republic 1 91076Democratic People's Republic of Korea

    23 5751851

    Democratic Republic of the Congo

    80 62034676

    Denmark 0 22833Djibouti 49 431695Dominica 22 16068Dominican Republic 17 1821729Ecuador 14 2237897Egypt 7 6250478El Salvador 9 543730Equatorial Guinea 25 215170

    付録世界の基本的な衛生設備の利用状況 35

  • 25

    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    Country, area or territory

    % of people without at least basic sanitation

    No. people without access to at least basic sanitation

    Eritrea 89 4639271Estonia 0 5134Ethiopia 93 92354960Falkland Islands (Malvinas)

    0 0

    Faroe Islands 9 4394Fiji 4 38567Finland 1 30383France 1 868047French Guiana 10 26494French Polynesia 3 8894Gabon 59 1019123Gambia 58 1160833Georgia 15 604903Germany 1 630077Ghana 86 23495896Greece 1 113494Greenland 1 373Grenada 22 23179Guadeloupe 1 5683Guam 10 16393Guatemala 33 5333844Guinea 78 9840718Guinea-Bissau 79 1448422Guyana 14 106133Haiti 69 7439501Honduras 20 1633064Hungary 2 198132Iceland 1 4027India 56 732207000Indonesia 32 82712477Iran (Islamic Republic of)

    12 9263837

    Iraq 14 5223370Ireland 8 366734Israel 0 0Italy 1 429680Jamaica 15 408561Japan 0 0Jordan 3 250008Kazakhstan 2 386819Kenya 70 32306737Kiribati 60 67709Kuwait 0 0

    Country, area or territory

    % of people without at least basic sanitation

    No. people without access to at least basic sanitation

    Kyrgyzstan 3 202786Lao People's Democratic Republic

    27 1864143

    Latvia 7 140615Lebanon 5 271512Lesotho 56 1200072Liberia 83 3742831Libya 0 18835Liechtenstein 0 19Lithuania 6 183589Luxembourg 2 13548Madagascar 90 21886092Malawi 56 9721509Malaysia 0 129208Maldives 4 15023Mali 69 12096563Malta 0 162Marshall Islands 13 6946Martinique 1 2475Mauritania 55 2252592Mauritius 7 87226Mayotte 23 55499Mexico 11 13694498Monaco 0 0Mongolia 41 1206690Montenegro 4 25603Montserrat 11 576Morocco 17 5683954Mozambique 76 21386074Myanmar 35 19027596Namibia 66 1626841Nauru 34 3517Nepal 54 15361302Netherlands 2 384709New Caledonia 0 0New Zealand 0 0Nicaragua 24 1438450Niger 87 17324706Nigeria 67 122802379Niue 3 52Northern Mariana Islands

    21 11654

    Norway 2 101167Oman 1 30622

  • Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

    26

    Country, area or territory

    % of people without at least basic sanitation

    No. people without access to at least basic sanitation

    Pakistan 42 78873482Palau 0 0Panama 23 908927Papua New Guinea 81 6201810Paraguay 9 582767Peru 23 7274516Philippines 25 25198106Poland 2 720993Portugal 1 57737Puerto Rico 3 104704Qatar 0 0Republic of Korea 0 56561Republic of Moldova

    22 878925

    Réunion 1 8827Romania 18 3548579Russian Federation 11 16086257Rwanda 38 4371292Saint Helena 0 4Saint Lucia 9 16820Saint Vincent and the Grenadines

    13 14028

    Samoa 3 6531San Marino 0 0Sao Tome and Principe

    60 114011

    Saudi Arabia 0 0Senegal 52 7813039Serbia 5 474157Seychelles 0 0Sierra Leone 85 5515157Singapore 0 0Sint Maarten (Dutch part)

    1 496

    Slovakia 1 58160Slovenia 1 18457Solomon Islands 69 401119Somalia 84 9040519South Africa 27 14642213South Sudan 90 11062628Spain 0 44111Sri Lanka 6 1200088Sudan 65 26319204Suriname 21 112835Swaziland 42 540195

    Country, area or territory

    % of people without at least basic sanitation

    No. people without access to at least basic sanitation

    Sweden 1 68110Switzerland 0 9042Syrian Arab Republic

    7 1304947

    Tajikistan 5 382350Thailand 5 3390290The former Yugoslav Republic of Macedonia

    9 188906

    Timor-Leste 56 663337Togo 86 6285700Tokelau 7 87Tonga 7 6935Trinidad and Tobago

    8 106814

    Tunisia 7 773364Turkey 4 2853451Turkmenistan 3 184468Turks and Caicos Islands

    12 4125

    Tuvalu 9 852Uganda 81 31557309Ukraine 4 1820812United Arab Emirates

    0 2088

    United Kingdom 1 574217United Republic of Tanzania

    76 40886656

    United States of America

    0 97977

    United States Virgin Islands

    2 2552

    Uruguay 4 148418Uzbekistan 0 0Vanuatu 47 123147Venezuela (Bolivarian Republic of)

    5 1575814

    Viet Nam 22 20336583Wallis and Futuna Islands

    1 115

    West Bank and Gaza Strip

    4 188996

    Yemen 40 10818030Zambia 69 11167993Zimbabwe 61 9581865

  • 27

    Out of Order ‒ The State of the World’s Toilets 2017

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    24 www.washwatch.org25 www.wateraid.org/ng/global/home/news/news/take-action-to-support-the-1-in-3-women-without-a-toilet26 Hutton G and Varughese M (2016) The costs of meeting the 2030 Sustainable Development Goal targets on drinking water, sanitation, and

    hygiene. World Bank.27 OECD Creditor Reporting System. Accessed 1 November 2017.28 www.washwatch.org29 WaterAid (2017) Annual report 2016-17. Available at: https://www.wateraid.org/uk/uk/the-wonderful-things-you-did-annual-report-2016-17 30 WHO (2015) Water, sanitation and hygiene in health care facilities: Status in low- and middle-income countries and way forward.

    Available at: http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/154588/1/9789241508476_eng.pdf?ua=131 www.washwatch.org32 World Bank Global Poverty Working Group. Available at: www.worldbank.org/en/topic/poverty33 World Bank World Development Indicators. Available at: https://data.worldbank.org/indicator/SP.DYN.LE00.IN34 World Health Organization (2012) n interventions to reach the MDG target and

    universal coverage. Available at: www.who.int/water_sanitation_health/publications/2012/globalcosts.pdf35 World Health Organization / Unicef (2017) Joint Monitoring Programme. Available at: https://washdata.org

  • 世界では、3人に1人が適切なトイレを利用できず、そのために、コミュニティは貧困の悪循環から抜け出すことができません。女性や女の子は、世界中で衛生設備の危機に直面しています。この基本的な人権が保障されていないことによって、健康や教育を脅かし、暴力のリスクにさらされています。

    ウォーターエイドが発表した報告書「安全なトイレはどこに」では、どの国が、女性にとってトイレの利用が最も困難なのかを明らかにしました。本報告書は、2030年までにすべての人にとって適切なトイレを利用できる生活をあたりまえにしたり、すべての場所で女性や女の子のニーズを満たすために必要なサービスを保障したりするための提案をご紹介しています。

    Written by Laura Crowley with support from Carolynne Wheeler, Fiona Callister, Andrés Hueso, Louisa Gosling, Amy Keegan, Stuart Kempster, Richard Steele, Laura Summerton, Sam James, Pragya Gupta, Oluseyi Abdulmalik, Blessing Sani, Priya Sippy, and WaterAid’s Voices from the Field team.

    November 2017

    www.wateraid.org #StateOfToilets #OutOfOrder

    WaterAid is a registered charity: Australia: ABN 99 700 687 141 . Canada: 119288934 RR0001. India: U85100DL2010NPL200169. Sweden: Org.nr: 802426-1268, PG: 90 01 62-9, BG: 900-1629. UK: 288701 (England and Wales) and SC039479 (Scotland). US: Wat erAid America is a 501(c) (3) non-profit organization

    For more information or to arrange interviews, please contact WaterAid’s global media team:

    Global/UK: Laura Crowley, [email protected]; Carolynne Wheeler, [email protected]; Fiona Callister, [email protected]

    Australia: Kirrily Johns, [email protected]

    Canada: Christine LaRocque, [email protected]

    India: Pragya Gupta, [email protected]

    Sweden: Magdalena Olsson, [email protected]; Petter Gustafsson, [email protected]

    USA: Emily Haile, [email protected]

    Cover:Ladi Mathias, 36, in a camp for displaced people in Abuja, Nigeria, stands by public toilets that are out of order, meaning she has to defecate in the bush.

    WaterAid/ Simi Vijay