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2018年3月 インドにおける物品・サービス税(G ST) 導入後の状況 GST Journey so Far www.pwc.in

インドにおける物品・サービス税(G ST) 導入後 …...2018年3月 インドにおける物品・サービス税(G ST) 導入後の状況 GST –Journey so Far

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2018年3月

インドにおける物品・サービス税(GST)

導入後の状況

GST – Journey so Far

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目次

GST の導入後の動き1

GST の概要2

産業部門別分析3

今後の動向4

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セクション1

GST の導入後の動き

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GSTの導入後の動き

04

03

02

01経済に対する影響

• 高額紙幣廃止及びGST導入の影響は後退。輸出の増加と輸入の減少

• GST導入後の第2四半期にはGDP成長率が6.3% に上昇

政府による緩和措置

・積極的な緩和措置の実施及び明確化

・GST申告期限の延長や、電子運送証明書(E-way bill)等の延期

GST導入

• 導入から1カ月間は予想よりもスムーズに移行が進行

• 政府によるFAQの発行やTwitterなどを通

じた積極的な情報発信とコミュニケーション

• TV、ラジオやソーシャルメディアによる全国的な幅広い啓蒙活動

• 導入に際していくつかの問題が生じたものの、産業界や消費者には大きな影響はなし

今後

• 現在、最高税率28%が適用されている物品の税率の見直し

• GSTネットワークの技術的な問題の解消

• 不当利得防止条項の運用

• GSTの申告の簡素化による、更なるコンプライアンスの緩和

• GSTの予測可能性の向上を図るため、アドバンスド・ルーリングに力を入れる

2017年7月1日から施行

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セクション2

GST の概要

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概要

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GSTに置き換えられた税

商品の製造に係る物品税(国税)

セールス税(国税)、付加価値税(地方税)

サービス税

その他20種を超える国、地方の間接税

GST導入後も存置される税

基本関税

電気に係る税

飲用アルコールに係る税

石油製品に係る税

上記の税についてはGSTからの税額控除はない

何が課税されるか-

「供給(supply)の範囲

誰が課税されるか―

納税義務のある者

どこで税を納付するか-

供給地

いつ課税されるか-

供給の時点

どれだけの税を納めるか

― 評価

GSTの課税対象

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概要 –主な特徴( 1/2)

供給の概念 仕入税額控除 税の徴収 GST税率

• 物品及びサービスのそれぞれに、5%, 12%, 18%及び 28%の税率を設定

• 大多数の物品及びサービスには18%が適用される

• 特定の奢侈品には付加税(cess)が上乗せして課される

• GSTは(特定の項目を除いて)あらゆる物品及びサービス供給を対象とする。きわめて広い適用範囲を有する

• GSTの適用可能性及び種類を決定するための「供給地」の概念の導入

• 支払税額控除の利用可能範囲が拡大し、これまで生じていた税の上に税が課される重層化を除去

• いくつかの項目を除き、事業の遂行の過程で生じたほぼ全ての経費が税額控除の対象となる

• 仕入税額控除と仕入先の売上に係る税の整合をGSTのネットワーク上で行うことによるコンプライアンス強化

• 国、地方への財務的な影響を避けるための二種のGST

- 州内取引には中央GST (‘CGST’) 及び州GST(‘SGST’)

- 州間取引及び輸入には統合GST (‘IGST’)

• 特定の取引(役務の輸入、GST未登録者からの供給)についてはリバースチャージにより、買い手がGSTを納税

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概要 –主な特徴(2/2)

不当利得防止 コンプライアンス評価 輸出 非課税

• 特定の物品及びサービス(農産品、医療及び教育など)は、非課税

• 非課税の対象は、大部分が以前の税における非課税を踏襲

• オーストラリア及びマレーシアのGST法における不当利得防止条項に類似

• 税負担の減少や税額控除の恩恵を商品価格の引下げを通じて、消費者に還元することが義務付けられた

• コンプライアンスの遵守状況の監視のための不当利得防止局の新設

• 納税者にコンプライアンス評価点を付す条項が法律上含まれているが、実務的には未実施

• 評価点が高い納税者に一定のベネフィットを与える。短期間での税の還付、調査の簡素化等。納税者イメージに影響

• 物品及びサービスの輸出については0%で課税(輸出免税)

• インド経済特区(SEZ)への物品及びサービスの供給も0%課税

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セクション3

産業部門別分析

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マクロレベルでの各産業への影響 –概要

• 物品とサービスの調達に係る経費が全て税額控除の対象となることによる明らかな利得–不当利得防止条項の適用

• 製造業と販売業の間には、(GST制度の観点から)は不均衡は生じない

• 文書(Form C及びForm F)による手続きの廃止によるコストの削減

販売

• 複数の間接税 (物品税や付加価値税、サービス税等) が1つの税に統一され、コンプライアンスが簡素化

• 州外への在庫移動により税額控除の機会が失われることの減少

• 物品税の観点から複数の工場を有する意味の低減

• 文書(Form C及びForm F)による手続きの廃止によるコストの削減

製造

• 多くのサービスに対して、税率が15%から18%に増加

• これまで本店のみが納税者登録していたものが、各州の拠点ごと登録の必要が生じたことによるコンプライアンスの増加

• 銀行、保険、航空分野におけるコンプライアンスコストの増加

• 物品購入に係る税額控除の機会の増加

サービス

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自動車及び自動車関連産業

商品 GST税率 付加税率

電気自動車(EV) 12% なし

ディーゼル及びガソリンエンジン搭載の自動車

28% 1% から22%*

ハイブリッドエンジン自動車 28% なし又は15%*

*自動車のサイズ及びエンジンのキャパシティーにより決定

• 税の重層化が除去されたことにより、GST導入後に価格が下落

• 不当利得防止条項の遵守により、GST導入による恩恵を消費者に還元

• 頻繁な税率の変更が生じており、それに対応した販売計画や商品価格設定の見直しという問題に直面

• 制度導入から3カ月後に増税

• 付加税及び2018年国家予算案において関税の引き上げが発表された

• 上記にもかかわらず、インドの自動車産業の成長率は上昇傾向

重要な影響

• ハイブリッド電気自動車に対する事実上の増税

(税率43%)により需要に影響

• 政府は電気自動車普及に向けた長期政策を発表

• 電気自動車には12%の低税率を適用

ハイブリッド自動車の影響

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電気製品及び日用消費財

S. No. 該当項目 GST税率

1 自動洗濯機 28%

2 冷蔵庫 28%

3 デジタルカメラ 28%

• GST導入後、税率はわずかに増減したのみ。税額控除の範囲は拡大

• ほとんどの物品に対しては適用税率が28%に設定。12%や18%の低税率の恩恵が受けられる範囲は少ない

• 18%の適用を求める陳情が行われ、政府もそれを考慮して、プリンター、カーアダプター、データ/ USBケーブル、スピーカーなどの製品については、税率が引下げられて18%が適用されることとなった

• 総じて、GSTによる業界全体への大きな影響は生じていない

重要な影響

S. No. 該当項目 GST税率

4 エアコン 28%

5 テレビ 28%

6 携帯電話 12%

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鉄道関連

• 機関車、鉄道車両及びその部品に係るGST税率は5%

• このため、仮払GSTが売上に係る仮受GSTよりも多くなるケースが生じるが、このような累積した仮払税の還付には制限が課されているため、コストの上昇につながる

• 新規契約を締結する企業は、累積した仮払税金に関する要素をコストとして加算する必要がある。また、既に進行中の契約に関しても納入先と交渉をする必要がある

• 政府は、モノレールや地下鉄車両を含む鉄道車両の製造、試運転、または設置に係るGST率を18%から12%に引き下げることで一定の緩和を図った

重要な影響

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ヘルスケア

• 認可された開業医及び臨床施設により提供される医療サービスは、以前の間接税体制下と同様に GST体制下においても免税

• 調達に係る税は控除不可であるため、コストが増加

• 医療機器販売業については、以下のような法的な問題が生じている

• 営業員が保持するデモンストレーション用機器/器具の取扱い• デモンストレーション用の機器を輸送する際の取扱い• 医療機器/器具で使用される部品のHSN分類コードに関する不明確さ。18%/ 28%が適用されるか、医療機器本体の 12%が適用されるかが不明

重要な影響

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物流

• GST導入による税率面での業界への大きな影響はない

• 適用税率は4.5% から5%へわずかに増加したが、仕入税額控除の機会が増加

• 倉庫、保管及びこれらに係るサービスの提供に対する税率は15% から18%へ増加。こちらも仕入税額控除の利用が可能

• 2018年9月30日までの、インドから海外への航空及び海上輸送は免税

• 物品の輸送に係るe-way billの導入は当面の間導入が延期されているが、いくつかの州では既にe-way billの必要がある点に注意

• 従来の税制の元では、課税対策として各州で倉庫を保有する必要が生じていたが、物流拠点にのみ倉庫を保持すればよいこととなった

重要な影響

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インフラストラクチャー

• 建設工事契約がサービス及び物品として二重に課税されるという問題には解消が図られた

• 不動産に関連する工事契約はサービスの提供とみなされる• 固定資産に関連する工事契約は、各契約の実体に応じて物品とサービスの複合供給又は一体供給としてみなされる

• 以前の税制同様に、不動産に関連する工事契約に係る仕入れ税額は控除不可

重要な影響

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インドに所在するプロジェクトオフィス(PO)が国外の本店(HQ)に提供するサービスに係るGST

• GST法の文言上は、インド国内PO又は支店がインド国外の本店に提供する役務提供にはGSTが課されるように読める

• デリー高等裁判所にこのような課税に関する請願書(writ petition)が提出され、受理された。今後ヒアリングが行われる予定

• インド政府は、本件がGST評議会において議論をされている旨を裁判所に通知。次回の評議会の開催は2018年4月13日を予定

重要な影響

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インドで製造した物品の輸出

• 輸出業者が物品を通関する際の、債券の差入れ及び銀行保証状の提出を免除

• 2018年4月1日より“e-Wallet”が導入され、輸出に係るGSTの支払いは前払金として処理がなされる

• 輸出に係るGST及び仕入に係る税額の還付を迅速に行うための詳細な手続きや方策に関するプレスリリースが政府から発表

• 政府は、輸出業者がGSTポータル上で輸出に係る税の還付手続きを行う際に遵守すべき手続きを発表

• デリー州政府は、デリー州GST法に基づき「還付承認委員会」“Refund Approval Committee”を設置。当委員会により、5,000,000ルピーを超えるGST及び付加税の還付の承認が行われる

• 国内サプライヤーから輸出のための仕入れを行う場合、調達品に対し税率0.1%のGSTを課税

重要な影響

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セクション4

今後の動向

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今後の動向

• 税負担の減少や税額控除の恩恵を商品価格の引下げを通じて消費者に還元することが義務化

• 監督に関するルールはすでに規定されているが、ガイドラインの公表が待たれる

• E-way billに関する規定の実行は当面延期されているが、政府は近い将来これを実施したい意向

• GST制度になってから行われたすべての取引及び関連するポジションに関するレビューが重要

• 明確化されていない法的な事項について、アドバンスルーリングの利用

• 政府は輸出に係る税の払戻し及び未利用の仕入税額の迅速な還付のための対応を決定済み

• 輸出業であれば、還付申請を提出

還付申請

不当利得防止

E-way Bill

ヘルスチェック

アドバンスルーリング

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MA/February 2018-11991

ありがとうございました

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古賀 昌晴

PwCインド(PricewaterhouseCoopers Pvt. Ltd.)日系企業部ディレクター

Office : +91 (0)124 3306531

Mobile : +91 (0)9650388830

E-mail : [email protected]

国税庁、東京国税局等での勤務の後、福岡国税局小倉税務署副署長を最後に退官し、2016年9月からPwCインドで勤務。

国税庁においては、調査課、国際業務課及び相互協議室において、移転価格及び相互協議事務運営指針の改正、OECD

租税委員会の作業部会への参加、米国・欧州各国(英国、スイス、フランス、イタリア、ドイツ)及び韓国、インドとの相互協議の実施、オランダ、香港、米国等との仲裁実施取決の協議等多岐にわたる国際関係事務に従事。

また、OECDの移転価格ユニットでの勤務経験を有し、相互協議等、租税条約上の紛争解決手続に係るプロジェクトを担当したほか、OECD移転価格ガイドラインの改正作業、PE帰属所得ルールであるOECD承認アプローチ(AOA)のドラフト作成及び発展途上国への知的支援に貢献した。

さらに、国際調査専門官として、移転価格その他の国際取引調査や事前確認事務に従事し、国際課税実務にも精通するほか、長年にわたる各種協議を通じて培った各国の国際課税担当者との幅広い信頼関係を構築している。

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