Upload
others
View
2
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
1
チリにおける運転免許の取得について
JX金属 山之口翔平
先日大使館からご連絡がございましたが、先般在留邦人が国際免許証を携帯して車を運転中、警察
(Carabineros)に無免許運転と認定され取締りを受ける事案が発生しました。警察は「滞在査証を取得
した者は取得から 90日以内にチリの運転免許を取得しなければならない」との見解を示しており、今後
も国際免許証で運転する査証保有者について無免許運転を理由とした取締りを継続する方針とのことです。
現在国際免許証で運転されている方もこれを機会にチリの運転免許証の取得をご検討頂ければと思います。
本稿では、日本人駐在員が最も多く居住する Las Condes区の受験情報(2016年 8月現在)を中心に免
許試験の準備方法や実際の試験内容についてご紹介させて頂きます。
1.運転免許の取得方法
チリで日本の普通免許に相当するのは Class B免許です。チリで免許を取得する場合は、居住する区
(Las Condes、Vitacura、Lo Barnechea等)の免許センターに出向いて受験することが原則です。受験
の際には住居証明書類の提示が必要となり、当該提示書類に記載された住所の区以外での受験は原則認め
られません。免許取得の試験は、適正検査、学科試験(PCの画面上での選択形式)及び実技試験の 3つ
の項目で構成されており、従来は全てスペイン語でのみ受験可能でしたが、2015年以降学科試験について
は英語で受験することが可能になりました。
(1)免許取得までの流れ
①試験場に行く(詳細は Las Condes区 HP:http://www.lascondes.cl/tramites/l_extranjeros.html)
※予約は不要ですが、先着順での受験となるため朝早く行かれることをお勧めします。
②受付で受験申込み・受験料支払い、写真撮影
③適性検査、医師による問診
④学科試験の受験(不合格の場合、同日中に再受験が可能)
⑤実技試験の受験(不合格の場合、実技試験のみ後日再受験)
⑥実技試験まで合格した場合、早ければ翌営業日に免許証を受領
(2)必要書類等
カルネ
住所証明書類:受験する区に居住していることが確認できる自己名義宛の請求書、賃貸契約書等を持参
する必要があります(私は Chilectraの請求書を持参しました)。
義務教育修了証明書:事前に日本大使館領事部で申請します。申請時はパスポートが必要です。
実技試験用の車:実技試験の車は自分で持ち込みます(AT・MTどちらでも可)。実技試験の前に通
行許可証(Permiso de circulación)、車検証(Certificado Revisión técnica)及び強制保険証
(Certificado de Seguro Obligatorio de Accidentes Personales)を確認されますので忘れずに。
受験料:約 23000ペソ(居住区により異なります)
2
2.適性検査の概要
視力検査では画面に出てくるアルファベット、数字や様々な図柄(人、ウサギや自転車など)を答えて
いきます。普段メガネ orコンタクトレンズを使用されている方はお忘れなく。
聴力検査はヘッドフォンを付けて音が鳴った方向(右 or左)を答えます。
視力・聴力検査以外に反射神経や運転に必要な機器操作能力を測る検査がいくつかありますが、活字で
は説明しづらいので下の参考写真をご覧ください。いずれも試験自体は簡単ですが、ぱっと見使い方が
わかりにくいと思いますので、わからない場合は遠慮なく試験官に確認しましょう。
3.学科試験の概要と対策
(1)学科試験の概要
制限時間は 45分間、試験場に備え付けの PCを用いて行います。PCの画面上で質問に対する回答を選
択肢から選ぶ方式です。
全て三択形式で全 35問。1点問題×32問、2点問題×3問の合計 38点。33点以上で合格です。
分からない質問は一旦飛ばし、あとで回答することもできます。また、全設問を回答し終わった場合は
その旨試験官に伝えれば制限時間前に終了することも可能です。
英語での受験が可能なため、希望する場合は学科試験の試験場に入った際に係員にその旨伝えてくださ
い。何も言わないでいるとスペイン語版が用意されます。
【参考】学科試験の試験画面
画面左側に質問と選択肢、右側に制限時間と各問題の
番号(クリックすればその問題に飛びます)が表示さ
れています。
写真はタッチパネル方式のようですが、私が受験した
際は普通の PC でした。
【参考】適性検査の機械
右側の機械では、赤い円盤(くるくる回転する)の下に
ある 3 つの穴をペンで素早くつっつきます。時間にして
30 秒くらい。ちょっと空しい気持ちになります。
左側の機械では、左右の棒を操作して中心の針がうまく
コースの上をなぞっていくように動かします。若干はみ
出しても合格できました。
ちなみにこの二つに加えて「赤信号になったらブレーキ
ペダルを踏む」という反射神経の検査もありました。
3
(2)学科試験対策
学科試験は 2012年 9月に難易度が上がりました。試験の新旧比較を下に載せておりますが、2012年
以前は公開された 280問の中から出題される(過去問を丸暗記すれば合格)形式でしたが、現在は非
公開の 800問の中からランダムで出題される形式に変更されています。車関係の会社にお勤めの方は
ともかくとして、日本で運転免許をとってはや XX年…という皆さん(私も)は勉強しないと厳しい内
容となっています。もっとも過去問を見て頻出問題をつぶす+教本を読んでおけば基本的に問題ないと
思います。
①過去問(日智商工会議所 HP:http://www.camarachilejapon.cl/pdf/licencia2.pdf)
旧試験時代の過去問(日本語解説付き)です。頻出問題は現在と変わっておらず、これを読めば概ね
ポイントは押さえられますので、先にこれを読んでから教本を読むことをおすすめします。
②教本(チリ国家交通安全委員会 HP:http://www.conaset.cl/programa/prepara-examen-conducir/)
普通免許は Class B。スペイン語版と英語版両方ありますので得意な方をご参照下さい。
【参考】旧試験・新試験の制度比較
学科試験対策時に自分でメモをとっていた頻出ポイントをご参考までにご紹介します(法改正に注意、
かつ間違ってたらすいません)。
・飲んだら乗るな、乗るなら飲むな。飲むと判断力が低下し自信過剰になる。
・車の制限速度は原則として都市部で 60㎞/h、郊外は 100㎞/h。
・速度が 2倍になると衝突時の衝撃は 4倍になる(衝撃力は速度の 2乗に比例して増加)。
・後部座席も必ずシートベルト着用。
・クラッチを切ると車をコントロールしにくくなる。
・下り坂での停車時はハンドブレーキかつ前輪を路肩の方向に向ける。
・凍結した道でスリップを避けるためには減速しギアを挙げる。
・後輪がスリップしたら車のテールが向いている方向にハンドルを切る。
・交差点から 10メートル以内は駐車禁止。
・右方優先原則(日本と逆)
・対向車とすれ違うポイントは予測できない(両者の中間地点で衝突すると誤信する人が多い)。
・クラクションを使っていいのは危険の存在を知らせる場合のみ。
4
4.実技試験
実技試験は試験官が隣に乗った状態で 20~30分間車を運転させられます。
2015年前半までは試験場の外周を大きく一回りするだけで試験終了、「事故らない限り受かる」と言
われていたほど簡単な試験でしたが、2015年後半から試験形式が変更されて難化しています。
現在は渡された地図の中から自分で目的地を選択させられ、その目的地まで自分の判断で運転する形式
で試験を行います。試験官は車線変更・右左折ポイントを教えてはくれません。
日本ほど厳しくチェックされてはいませんが、制限速度、右左折時の車線選択、右方優先原則や信号の
遵守(黄色信号は必ず停止)等については厳しく見られており注意が必要です。乗車前に車の状態を確
認する、発進前に試験官のシートベルト着用を確認するといった昔々練習したあれやそれやももう一度
おさらいしてみてください。
複数の試験官のうち、どの人にあたるかによって試験の難易度は大きく異なる印象です。厳しい試験官
に当たった場合、運が悪かったと思って再試験を覚悟してください。ちなみに再試験になった場合、学
科試験は免除されるものの試験官が設定した期日に再度実技試験を受験する必要があります。平日に設
定されて仕事とバッティングする場合でも期日変更は受け付けてもらえません。
【参考】Las Condes 区の実技試験地図(青色の点から一つを選択)
以上が私の経験を基にした運転免許試験の概要ですが、しばしば試験内容にマイナーチェンジが加え
られているようですので、現状との間に相違がある場合は何卒ご容赦ください。本稿が皆さんの免許取得
に僅かでもお役に立つことができましたら幸いです。皆さんの合格をお祈り致しております。