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確かな学力を育てる学習指導の充実のために
秋田市教育委員会
平成22年度平成22年
授業改善のポイント年度年度 秋田市教育における
は じ め に 基礎学力調査は,本市の児童生徒の学力の実態を把握するとともに,調査結果を分析して今後の学習指導の改善に生かすことを目的として,小学校5年生と中学校2年生を対象に、平成6年度から継続して行っているものです。 今年度は,平成22年10月25日から11月5日の期間に,実施いたしました。 調査問題の作成に当たっては,「全国学力・学習状況調査」との関連を踏まえ,各教科において,基礎的・基本的な知識や技能に加え,身に付けた知識や技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等を含めて調査する内容となるよう配慮いたしました。
本冊子では,基礎学力調査の結果から,授業改善のポイントを提言しておりますが,国語および算数・数学については,今年度も,「全国学力・学習状況調査」の結果を踏まえ,本市の結果に照らした分析・考察を加えております。 また,すべての教科において「ペーパーテストでは測れない学力の状況」の項目を設け,本市児童生徒の学力の状況を総合的に分析しております。 そのほか,巻末には生活習慣や学習習慣に関する「全国学力・学習状況調査」における児童生徒質問紙調査の結果についての資料も掲載いたしました。
調査結果については,既に各校に資料を提供しておりますが,出題のねらいや評価の観点等に即して結果を分析・考察することや誤答の傾向性を把握することなどをとおして,授業における学習展開等の見直しを進めるなど,今後の学習指導の改善を図っていくという視点を大切にしていただきたいと考えております。 また,本冊子に加え,「実践事例集」や調査問題と同時に各校にお配りした「指導改善のヒント」等も併せてご活用くださるようお願いします。
本冊子により,各校において,児童生徒一人一人に応じた学習指導の一層の改善が図られることを期待しております。
終わりになりますが,本調査にご協力いただいた皆様に,深く感謝申し上げます。
平成23年3月
秋田市教育委員会教育長 芳 賀 龍 平
国 語 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1
社 会 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5
算 数 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7
理 科 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 11
国 語 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 13
社 会 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 17
数 学 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 19
理 科 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 23
英 語 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 25
平成22年度全国学力・学習状況調査における児童生徒質問紙調査の結果から ‥‥ 27
中学校
小学校
目 次
- 1-
学級における話合いの様子から,話し手の意図を考えながら話の内容を聞き取る問題は,約70%の正答率でした。一方,進行に沿った話合いにするために,友達の発言を受けた述べ方になるよう発言内容を書き換える問題では,正答率が約55%にとどまっており,ほぼ4人に1人の児童の解答が指定された書き出しに合わないなど,表現が整っていませんでした。 今後は,互いの意見の共通点や相違点を考えながら聞くことや,他の発言を受けて意見を述べることの指導を工夫することが大切です。
「電子メール」と「手紙」を比較したメモを読み,どんな点で比べたのかを示す適切な選択肢を選ぶ問題の正答率は,約90%でした。また,メモの内容を参考にしながら,理由を明確にして自分の考えを書く問題でも85%を超える正答率となっています。
示された情報をもとに必要な事柄を整理することや,立場や考えを明確にして効果的に書くことの指導が充実してきていることがうかがえます。
物語文を読み,展開に即して登場人物の心情を読み取る問題の正答率が約80%であったのに対して,例を参考に内容を要約する問題では,約50%の正答率にとどまりました。 字数の条件に合わない解答や表現が整っていない解答が約30%みられたほか,無答率が約10%となっており,目的や意図に応じて要約することに課題がみられる結果でした。 <問題例参照>
漢字の読み書きの問題は,正答率が約50~95%とばらつきがみられました。特に「身近」の読みについては,「みじか」と解答している児童が約45%に上りました。 また,文脈に沿って意味を考えながら,正しい漢字や適切な語句を選ぶ問題の正答率は約70%でした。 そのほか,示された短文の「主語」を指摘する問題では正答率が約50%と,主述の照応や修飾・被修飾の関係など,文の構成についての初歩的な理解が十分ではないことがうかがえました。
小学校
国 語1 調査結果の分析・考察
【話すこと・聞くこと】
【書くこと】
【読むこと】
【言語事項】
0
20
40
60
80
(%)
観点別正答率
聞くこと
話すこと
書くこと
読むこと
言語事項
<課題となっている問題例>
小林さんは、3の場面のあらすじを次のようにまとめました。小林さんのまとめ
方を参考に、4の前半場面を、三十字以上、五十字以内にまとめて書きましょう。
広場のモスクから、おいのりの声が流れてきます。ヤモは、すももを売りながら、
ずっと父さんの言ったことを考えていました。
ようやく、すももも全部売れました。
「さて、それじゃあ、びっくりする所に行くとするか。」
父さんは、まっすぐ広場を横切っていきます。
そこは羊の市場でした。父さんは、もうけたお金を全部使って、真っ白な子羊を
一頭買いました。ヤモのうちの初めての羊。こんなきれいな羊は、村のだれも持っ
ていません。
「さあポンパー、家へ帰ろう。羊を見たら、きっとみんなおどろくよ。」
ヤモと父さんは、もうけたお金を全部使って、羊の市場で真っ白な子羊を一頭買
った。(三十九字)
ヤモと父さんは、果物売りをひと休みして、チャイハナでおそい昼ごはんを
食べながら、バザールであったことを話した。
3
34の前半
※
正答例
100
- 2-
2 全国学力・学習状況調査と基礎学力調査との関連【書くこと】<関連する問題>
<H22 全国学力・学習状況調査「B主として活用に関する問題」2 一の(1)>
全国調査では,正答率が約 80%であったものの,「(宇宙人が)さかな(のいる星)をさがしに出かけた」ことにふれて要約できた児童は約65%にとどまっており,約15%の児童は,指定された範囲の最後の一文をそのまま書き抜くことで正答となっています。 これに対して本市調査では,正答の条件として,「誰が」「何を」「どうした」といった要素を含んだ記述を求めており,約50%の正答率となりました。 両調査の結果から,登場人物の行動や場面の移り変わりに注意しながらあらすじとして要約することについて課題があることが分かりました。 今後は,物語の展開を適切にとらえるために,中心となる登場人物の行動や心情の変化,描かれている情景の変化などを,叙述に基づいて読むことの指導を工夫することが求められます。 要約の指導に当たっては,「物語の全体の構成や展開のおもしろさをとらえるためにあらすじを書く」といった目的や必要性を明確にして指導することが大切です。また,説明文を含め,書き出しや文末表現,字数や使用する語句などの条件を示し,それらの条件に合わせて要約する学習を繰り返し経験させることが重要です。
国 語
森内さんの学級では、次の「つりずきの宇宙人」という物語を読んで、思ったこ
とや考えたことを発表し合うことになりました。これを読んで、あとの問いに答え
ましょう。
「このごろ、あんまり大ものがかからない。」と宇宙人の一人は、腕でをたた
いていった。
「おかげで、腕がなってしようがない。」
「この近所のつり場は、もうだめだ。」もう一人の宇宙人がいった。
「どうだ。ひとつ、うんと遠くまで出かけていって、大きなえもののいそうな
星をさがそうじゃないか。」
「そいつはいい。」
こうして、二人の宇宙人は、宇宙船にのって、はるか遠くの宇宙に、さかなの
いる星をさがしに出かけた。
一 森内さんは、自分の思いや考えをまとめるために登場人物の行動や全体の構成を
とらえ、発表しました。次の問いに答えましょう。
つりがすきな宇宙人たちがいて、あちこちの星でさかなをはじめみ
んなつりあげたために、近所では大きなさかなのいる星がすくなくな
ってしまった。
二人の宇宙人は、大きなさかながたくさんいそうな星をみつけ、そ
こでつりをしたが、さかなの力が強くて、つり糸が切れてしまった。
(1)森内さんは、物語を「はじめ」・「中」・「終わり」に分けて、あらすじを表
にまとめました。本文中の の部分を、四十字以上、六十字以内にまとめて、
ア の中に書きましょう。
かぞえきれないほどある、宇宙の星の中には、宇宙人のすんでいる星もたくさ
んあった。その中には、いろんな、かわった宇宙人もすんでいた。
その星の宇宙人たちは、とてもつりがすきだった。宇宙船にのって、あちこち
の、生物のいる星に出かけていき、その星にすんでいるさかなを、みんなつりあ
げてしまう。
そのため、その宇宙人たちのすんでいる星の近所では、大きなさかなのいる星
が、すくなくなってしまった。
全国調査
本市調査物語文を読み,指定された部分のあらすじを書く。
B 2 一の(1)
四の3※前頁参照
約80%
約50%
正 答 率設 問 の 概 要問 題 番 号
2
※
以後、省略
【あらすじをまとめた表】
はじめ
中
ア
終わり
〜(省略)〜
〜(省略)〜
- 3-
3 全国学力・学習状況調査の質問紙調査から
4 ペーパーテストでは測れない学力の状況
○ 国語の学習にかかわるすべての質問について,「当てはまる」,「どちらかと言えば当てはま る」と肯定的に回答した児童の割合は,全国平均に比べ,1~12ポイント程度上回っています。○ 「国語の勉強は大切だ」,「国語の授業で学習したことは,将来,社会に出たときに役に立つ」 という質問に,「当てはまる」,「どちらかと言えば当てはまる」と肯定的に解答した児童は, 共に90%を超えており,多くの児童が国語学習の意義を理解していると言えます。○ 「読書は好きだ」という質問に,「当てはまる」,「どちらかといえば,当てはまる」と回答 した児童は,昨年度とほぼ同じ約80%で,全国平均と比べ7ポイント程度上回っています。 一斉読書,保護者やボランティアと協力しての読み聞かせの実施など,各校の実情に応じた 読書活動の成果が表れているものと考えられます。○ 授業における学習の仕方や態度に関する質問では,「授業で文章を読むとき,段落や話のま とまりごとに内容を理解しながら読んでいる」と回答した児童が昨年度よりも5ポイント程 度上回り80%を超えたほか,「授業で目的に応じて資料を読み,自分の考えを話したり書いた りしている」と答えた児童も70%を超えており,昨年度よりも8ポイント程度,また,全国 平均よりも12ポイント程度上回っています。 一方,「授業で意見などを発表するとき,うまく伝わるように,話の組み立てを工夫している」 と回答した児童は,全国平均と比べると5ポイント程度上回っているものの,約60%にとど まっており,引き続き様々な資料をもとに,自分の考えを書いたり話し合ったりする学習活 動の充実を図ることが求められます。
本調査(ペーパーテスト)では測れない学力として,学習に対する意欲や関心に加え,声に出して読む力や自分の考えを発表する力,話題に沿って話し合う力など,音声による表現力があります。 各校では,教科書の教材にとどまらず,各領域の関連を図った特色ある単元構成を工夫しており,意欲をもって積極的に学習に取り組んでいる児童が多くみられます。 また,新学習指導要領の全面実施を見すえ,親しみやすい古典など伝統的な言語文化を伝える作品や言葉の響きやリズムを楽しむ詩歌を用いた音読を重視して,声を出すことの楽しさやおもしろさを味わわせています。さらに,多様な考えを出し合うことができる話題をもとに,グループ編成を工夫しながら自分の考えを発表したり,話し合ったりする学習を工夫しています。こうした指導をとおして,児童が自信をもって考えを述べ合う姿が多くみられるようになっています。 しかし,聞き手を意識して表現や構成を工夫して話したり,目的や意図に応じて質問したりしながら話合いを進めることについては,十分とは言えない状況にあります。
肯 定 的 解 答0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
国語の勉強は好きだ
国語の勉強は大切だ
国語の授業の内容はよく分かる
読書は好きだ
国語の授業で学習したことは,将来,社会に出たときに役に立つ
国語の授業で目的に応じて資料を読み,自分の考えを話したり,書いたりしている
国語の授業で意見などを発表するとき, うまく伝わるように組み立てを工夫している
国語の授業で自分の考えを書くとき,考えの理由が分かるように気をつけて書いている
国語の授業で文章を読むとき,段落や話の まとまりごとに内容を理解しながら読んでいる
(%)
秋田市 全国
- 4-
5 授業改善のポイント
国 語
■話すこと・聞くこと■
話し方を工夫しながら,進行に沿って話し合うことができるようにするために
● 分かりやすく相手に伝えるために,考えだけでなく理由や具体例を合わせて話す指導を 工夫することが大切です。● 話合いの学習では,テーマや話題に沿って,互いの考えの共通点や相違点などを意識し て聞きながら,質問をしたり感想を述べたりする場面を意図的に設定することが効果的で す。
■書くこと■
資料から読み取ったことをもとに,考えを効果的に書くことができるようにするために
● 自分の立場と根拠を関連付けて,意図を明確に書き表す指導を工夫することが大切です。● 文章の種類に応じた「型(形式)」や記述にあたっての条件を示したうえで,自分の考 えを書く活動を設定することが効果的です。● 「読むこと」の指導のなかで,文章の構成の効果や叙述に目を向け,どのような書き方 をすれば,より相手に分かりやすいのかに気付かせることが重要です。
■読むこと■
目的や意図に応じて要約することができるようにするために
● 場面ごとの叙述に着目して読むことに加え,物語全体の構成や展開をとらえて読むこと の指導を工夫することが大切です。● 何のために要約するのかを明確にしたうえで,書き出しや文末表現,字数や使用する語 句などの条件を示し,その条件に合わせて要約する学習を繰り返すことが効果的です。
■言語事項■
語句の係り受けや照応など,初歩的な文の構成を理解することができるようにするために
● 文の中での語句の役割や語句相互の関係に注意して,文がどのように組み立てられてい るかを理解させるための指導を工夫することが大切です。● 文章を書く際には,主語と述語の関係,修飾語と被修飾語の関係に加え,「だれが」「い つ」「どこで」「なにを」「どのように」「なぜ」など,文の構成を意識させることが重要です。
- 5-
小学校
社 会1 調査結果の分析・考察
【思考・判断】
【技能・表現】
日本の農業の現状について,統計資料から情報を読み取る問題は,正答率が約95%でした。一方,地形図から土地利用の様子を読み取る問題や,水道水の循環の様子について資料の言葉を用いて説明する問題,日本や世界の食品問題について消費者の立場から考えたことを記述する問題では,正答率が約50~60%にとどまりました。また,記述式の問題では無答率が約15%となっています。 今後は,統計資料から必要な情報を読み取り,それを解釈して自分の考えをまとめたうえで,互いに交流し合う学習を一層充実させることが求められます。
技能・表現の正答率は昨年度と同様,思考・判断,知識・理解の観点に比べてやや低い傾向がみられました。このうち,日本の食料生産について,資料から必要な情報を読み取る問
題では正答率が80%を超えたものの,グラフから水道を使用する人数や水の使用量の変化を読み取る問題では,正答率が約15~50%にとどまりました。複数の要素が盛り込まれたグラフ(例:折れ線と棒で表示)から,必要な情報を読み取ることに課題がみられます。 今後は,グラフを構成する要素を踏まえた数値の読み取り方など,情報を適切に取り出す学習活動を丁寧に行うことが大切です。
地図上から秋田県の地形をとらえる問題の正答率は約80%でしたが,土地利用の特色を指摘する問題では,正答率が約30~85%とばらつきがみられました。また,地理用語としての盆地を説明する問題は正答率が 20%を下回り,無答率が15%を超えました。約35%の児童が,盆地の特徴である「山に囲まれていること」と「平らであること」のいずれか一方の指摘にとどまっています。 秋田市の土地利用については,地形図から太平山の位置を指摘する問題の正答率が約50%でした。また,市役所と県庁を表す地図記号を正しく理解している児童は約50~60%にとどまりました。 <問題例参照> 農業や漁業については,漁から食卓に届けられるまでの様子をとらえる問題の正答率は約80%だったものの,米づくりの現状や課題等に関する問題では正答率が約15~80%と,設問によってばらつきがみられました。
【知識・理解】
<課題となっている問題例> 2 ともみさんは,秋田市の土地利用の様子について調べています。 下の問題に答えましょう。
(3)田,畑
(4) ◎ :市役所 ◎:県庁
(5)位置:B 公園,施設 ・まんたらめ ・ザ・ブーン ・オーパス ・子供の広場 等
※正答例
観点別正答率
思考・判断
技能・表現
知識・理解
100
0
20
40
60
80
(%)
- 6-
社 会
3 授業改善のポイント
量の大きさについての感覚を豊かにするために
2 ペーパーテストでは測れない学力の状況 ペーパーテストでは測れない力として,課題を設定する力,資料を収集・選択する力,発表する力,話し合う力などがあります。 各校では,子どもの疑問を大切にし,生活と結び付いた学習課題を設定したり,調べ学習を効果的に取り入れたり,課題解決に向けた話合いや学び合い活動の充実を図ったりしています。それぞれの取組から,子どもの意欲の高まりを大切にした授業づくりを重視していることがうかがえます。 しかしながら,具体的な資料を提示しながら説得力のある発表をすることについては,十分に身に付いているとは言えない状況にあります。今後は,学習課題に対する自分の考えを分かりやすく伝えるための効果的な資料の生かし方について,指導を工夫することが求められます。
3 授業改善のポイント
◇ 多面的・多角的なものの見方や考え方をするためには,社会的事象に関する知識や既習 内容の定着度が大きくかかわってきます。学習の前にアンケート調査やオリエンテーショ ンを行い,社会事象に関する知識や既習内容の定着度に関する子どもの実態を把握したう えで,ねらいを明確にした学習計画をたてることが大切です。◇ グラフや統計など資料の読み取りでは,「なぜ○○が一番多いのだろう?」「どうして増 えているのだろう。今後も増え続けるのだろうか?」と一歩踏み込んで考える姿勢を身に 付ける必要があります。また,「××だから□□になるのではないか」など,根拠を明確に した意見交換をとおして,様々な見方や考え方にふれる場面を設定することが大切です。◇ 社会科で学んだことを日常の生活に生かすことができるように,また,日常の生活と関 連付けて社会科の学習ができるように,家庭や地域との連携や他教科との関連を図ること が大切です。
多面的・多角的なものの見方や考え方を高めるために
量の大きさについての感覚を豊かにするために
◇ 児童の実態に合わせて,「何を」「どのように」読み取ったらよいのかといった明確な視 点を示したうえで,統計資料の基本的な見方を繰り返し指導することが大切です。◇ 資料の読み取りにおける子どものつまずきのパターンをつかむとともに,それに合わせ た具体的な指導の手立てを工夫をしましょう。◇ ねらいに合った資料を精選し,拡大したり色付けしたりするなど,提示方法を工夫する ことが効果的です。◇ 調べたことをもとに実際にグラフや地図などを作成するなどの作業的な活動を取り入れ るとともに,資料から読み取ったことや分かったことを共有したり,自分の意見としてま とめる活動を設定したりするなど,資料活用のよさを体感させましょう。
資料を活用する力を高めるために
量の大きさについての感覚を豊かにするために
◇ 子どもたちが楽しみながら基礎的用語の理解を図ることができるよう,クイズやパズル, 学習シートなどを工夫しましょう。◇ 地形の理解を図るには,実際に立体地図をさわったり,粘土で模型を作るなど作業をと おして体感できるような場を設定することが効果的です。◇ 新聞やテレビ,インターネット等での最新の情報やニュースを授業で取り上げ,社会で 起こっている出来事と子どもたちの生活とのかかわりを実感できる学習を取り入れましょう。
学習意欲を高め,基礎的用語の理解を図るために
思考・判断
技能・表現
知識・理解
- 7-
小学校
算 数1 調査結果の分析・考察
【数と計算】
【量と測定】
【事象を的確にとらえる力】
【情報を分類整理し,選択する力】
【筋道を立てて考える力】
【図 形】
小数の乗法や小数と整数の除法の問題の正答率は約85%でした。既習の内容を根拠にして,意味を理解する活動を重視し,計算のしかたを考えさせる指導が,計算技能の定着につながっていると考えられます。
身の回りにある物の重さや面積の感覚を問う問題の正答率は共に約45%でした。昨年度に引き続き,長さについての感覚は身に付いているものの,重さや面積の感覚が十分身に付いていないことがうかがえます。ランドセルの重さについては,約40%の児童が 「500g」と誤答しており,昨年度の本調査の同様の問題よりも約20ポイント下回る結果となりました。
四角形のうち,「ひし形」の名前を問う問題の正答率は約90%でした。しかし,その理由を記述する問題では正答率が約35%にとどまっており,図形の定義や性質の理解が不十分であることがうかがえる結果でした。今後は,定義や性質に着目して形を予想し,なぜその図形となるのかを説明する活動の充実を図ることが大切です。
二次元表から目的に応じて情報を読み取る問題の正答率は約85%でした。昨年度の本調査での同様の問題と比較して,約20ポイント上回る結果となっています。横の項目と縦の項目に着目して,表に示された数の意味を読み取る力が身に付いてきていることがうかがえます。
階段から図形を見いだし,示された部分の長さを求めるために必要な情報を選択する問題の正答率は約65%でした。身の回りの事象を観察して図形を見いだすなど,日常の事象を数理的にとらえることに課題があります。
棒グラフと折れ線グラフから目的に応じて情報を選択し,変化の様子をとらえる問題の正答率は約75%でした。今後も,複数の資料を比較・検討する活動を一層充実させ,統合的に考える経験を豊かにしていくことが大切です。
買い物の場面において,所持金と金額,買いたい個数の関係を筋道を立てて説明する問題の正答率は約80%を超えており,昨年度の本調査における言葉や式を使って筋道立てて考える問題と比較して,約15ポイント上回る結果となっています。言葉や式を使って,自分の考えを説明する取組が充実してきていることがうかがえます。
【数量関係】
1 「主として知識に関する問題」について
2 「主として活用に関する問題」について
0
20
40
60
80
100 (%)
正 答 率
数と計算
量と測定
図 形
数量関係
0
20
40
60
80
100 (%)
正 答 率
自分の考えを
数学的に表現する力
筋道を立てて
考える力
情報を分類整理し、
選択する力
事象を的確に
とらえる力
- 8-
水の使用量と人口の推移の二つのグラフの変化の様子から、予想される事柄の根拠となる数値をグラフから読み取り,その理由を説明する問題の正答率は30%を下回りました。
<問題例参照> 水の使用量がほとんど増加していないことは指摘しているものの,人口の増加にふれていないために誤答となった割合が約45%に上っており,複数の情報を統合的にとらえ,グラフから読み取った事柄を根拠として説明することが課題となっています。
2 全国学力・学習状況調査と基礎学力調査との関連
【自分の考えを数学的に表現する力】
【数と計算】領域全体の正答率は約85%でした。しかし,整数と小数の減法の計算においては,全国調査の正答率は約85%だったものの,本調査では約75%と,まだ十分身に付いているとはいえない状況にあります。 【量と測定】では,重さや面積についての感覚を問う問題の正答率はともに約45%でした。全国調査(H20)で同様の設定で出題された問題の正答率は,重さが約70%で,面積が約30%となっており,引き続き課題となっています。 【図形】では,図形の定義や性質を理解しているかどうかを問う問題の正答率は,全国調査では約90%であったものの,本調査では約35%にとどまり,図形の性質を根拠にして言葉で説明することに課題が残りました。 【数量関係】では,二次元表を活用して,全体の人数をもとに該当する人数を求める問題の正答率が,本市調査,全国調査(H21)とも80%を超えています。
【筋道を立てて考える力】では,買い物の場面において,所持金と金額,買いたい個数の関係を筋道を立てて説明する問題の正答率は約80%を超えており,全国調査(H21)における同様の設定での問題の正答率を約35 ポイント上回る結果でした。
算 数
1 「主として知識に関する問題」について
2 「主として活用に関する問題」について
<課題となっている問題例>
8 かなさんたちは,A市の水の使用量と人口の移り変わりについて調べ,それぞれグラ フに表しました。
1995年から2005年までの間も,人口は増え続けているのに,水の使用量はそれまでの年にくらべてあまり増えていない。
(2)1995年と2005年の グラフをくらべて,ひろ きさんは次のように考え ました。ひろきさんの考 えのつづきをグラフから わかることばや数字を使 って書きましょう。
<ひろきさんの考え> 人口がふえるのにともなって,水の使用量もふえつづけてきたけれど,もしかしたら,水を節約する取り組みが始められたのかもしれません。 なぜなら,( )ということが,グラフから分かるからです。
※正答例
A市の1日の水の使用量 A市の人口のうつりかわり
1965
6543210
250
200
150
100
50
01975 1985 1995 2005
(億リットル)
(万人)
(年)
1965 1975 1985 1995 2005(年)
79
124154
176198
- 9-
3 全国学力・学習状況調査の質問紙調査から
4 ペーパーテストでは測れない学力の状況
○ 教科学習にかかわるすべての質問について,「当てはまる」,「どちらかといえば当てはまる」 と肯定的に回答した児童の割合は,全国平均に比べ3~10ポイント程度上回っています。また, すべての項目で昨年度より1~6ポイント程度向上しています。○ 昨年度同様,「算数の勉強は大切だと思う」,「算数の授業で学習したことは将来社会に出た ときに役に立つ」と回答した児童は90%を超えており,多くの児童が算数を学習することの 必要性や意義を感じていることがうかがえます。○ 「算数の授業で学習したことを普段の生活の中で活用できないか考える」と回答した児童が 約75%で,全国平均と比較して約10ポイント高い結果となっています。本市の特徴として, 普段の生活と深く関連付けながら算数の学習がすすめられていることがうかがえます。○ 「算数の授業で公式やきまりを習うとき,そのわけを理解するようにしている」,「算数の授 業で問題の解き方や考え方が分かるようにノートに書いている」と回答した児童は約85%で, 全国平均に比べ約5ポイント上回っています。思考力や表現力等を育成するための各校の取 組の成果と考えられます。
本調査(ペーパーテスト)では測れない学力として,「学ぶ意欲」などの興味・関心にかかわることや「説明する力」「聞き取る力」などのコミュニケーション能力に関することなどがあります。 各校では,作業的・体験的な活動を重視しており,児童は,具体物を使ってはしたの長さを分数で表したり,水のかさの単位を導いたりするとともに,ブロックなどを使った操作活動をとおして,単に計算の仕方を覚えるのではなく,なぜそうなるのかといった計算の意味も理解しながら学習に取り組んでいます。また,「はじめに」「次に」などの順序を表す言葉を使いながら発表したり,思考過程をノートに書いたりする活動の充実を図っており,自分の考えをまとめ,説明する力が向上しつつあります。 しかし,相手の反応を見ながら説明したり,発言の意図をくみ取って話し合うことなどについては,十分とは言えない状況にあります。
肯 定 的 解 答
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
算数の勉強は好きだ
算数の勉強は大切だ
算数の授業の内容はよく分かる
算数の授業で新しい問題に出合ったとき, それを解いてみたい
算数の問題の解き方が分からないときは, あきらめずにいろいろな方法を考える
算数の授業で学習したことを普段の生活の中で活用できないか考える
算数の授業で学習したことは,将来, 社会に出たときに役に立つ
算数の授業で問題を解くとき,もっと簡単に解く方法がないか考える
算数の授業で公式やきまりを習うとき, そのわけを理解するようにしている
算数の授業で問題の解き方や考え方が 分かるようにノートに書いている
(%)
秋田市 全国
- 10 -
5 授業改善のポイント
量の大きさについての感覚を豊かにするために
◇ 身の回りにある具体物の広さや重さを調 べる活動とともに,それらの数量に近いも のを身の回りから探す活動を取り入れ,基 本的な量の大きさの感覚を身に付けること が大切です。
◇ 基本的な量の大きさの感覚をもとに,様 々な場面でいろいろな量の大きさを見当付 ける活動を取り入れることが有効です。
算 数
量と測定
図形の定義や性質を理解して活用するために
◇ 辺や角に印を付けたり,色を付けたりす るなどして,図形をずらしたり回したり裏 返したりしても,等しい辺の長さや角の大 きさを視覚的にとらえさせることが大切で す。
◇ 辺を表す言葉や長さ,角の大きさ,図形 の名称など,図形を言葉で表現し伝え合う 活動を取り入れ,図形の定義や性質につい て,算数の用語を用いて的確に表現できて いるか確認することが大切です。
図 形
<ポイント>
・1㎏の重さの具体物を手で持ち上げる活動・1c㎡の大きさの正方形をかく活動・およそ1㎡の大きさのものを身の回りから 見つける活動・はがきや折り紙,机,新聞紙,教室など, 身の回りのものの面積を調べる活動・十円硬貨の重さや千円札の面積などの見当 を付ける活動
<活動の例>
根拠を明確にして説明する力を高められるようにするために
◇ 説明する際には話す順序を意識し,「理 由・根拠」,「結論」をはっきり伝える習慣 を身に付けさせましょう。◇ 根拠となる事柄を明らかにして論理的に 説明できるようにするために,不十分な説 明をもとに,不足している部分を考えたり, 何を補って説明すればよいかを話し合った りする活動を取り入れることが有効です。◇ 話し手の表現力を育てるには,聞き手を 育てることが大切です。友達の説明のよさ を認め合ったり,より分かりやすい説明を つくるためのアドバイスをし合ったりする 場面を設定しましょう。
自分の考えを数学的に表現する力
■図形に印を付けよう
■図形を言葉で伝えよう
長さが等しいのはどこかな?
○○なので,
ひし形です。
<ポイント>
<説明例>(はじめに) ○○は□□になっています。 ◇◇は△△になっています。 「事実」(つぎに)~ということは…ということです。 「根拠」(したがって) ☆☆と言えます。 「結論」
なぜこの式になるのか,式の意味を言葉で説明してみよう。
「はじめに」「つぎに」など順序を表す言葉を使い,根拠をはっきりさせてから結論を述べよう。
○○さんの説明は,根拠がはっきりしていてとてもいいね。
どの説明にも◇◇という言葉が出てきているね。今の説明に必要なキーワードなんだね。
- 11 -
小学校
理 科1 調査結果の分析・考察
【A区分:生物とその環境】 メダカの卵の育ち方に関する問題の正答率は85%を超えました。一方,顕微鏡の操作に関する問題では,昨年度と同様,正答率が約50%にとどまりました。対物レンズをプレパラートに近づけたあとに、ピントを合わせるなど,適切な操作手順の理解に課題が残りました。顕微鏡の操作は観察の基本技能であることから,確実な習得が求められます。 インゲンマメの成長に伴う種子の中のデンプン量の変化に関する問題では,デンプン量が最も少ない時期を指摘する問
題の正答率は85%を超えましたが,その理由の記述については約65%にとどまりました。発芽の際にデンプンが養分として使われることが十分には理解されていないことがうかがえます。
電気で走る車の回路を条件に合ったつなぎ方で組み立て、図示する問題の正答率は 80%を超えました。実験をとおして,豆電球の明るさやモーターの回転と,直列つなぎ,並列つなぎの特徴をとらえる活動が充実してきていることがうかがえます。 一方,電気を通すものを選択する問題の正答率は約40%,磁石につくものを選択する問題の正答率は約65%でした。一つの物体の中で材質が異なる部分がある場合は,それぞれの部分について調べることが大切です。その際,表や図に記録したうえで比較する活動が効果的です。 空気と水の温まり方に関する問題のうち,水が最も早く温まる熱源の位置を指摘する問題と,部屋の空気の温まり方を図示する問題の正答率は,共に約70%でした。一方,空気と水,金属との温まり方の比較から空気の温まり方との共通点を見いだす問題の正答率は約85%でした。水全体の温まり方の規則性を見つけさせることや,温められた空気の流れを目に見えるように工夫して提示することなどが適切に行われていることがうかがえます。
水を熱したときに発生する泡が水蒸気であることを指摘する問題の正答率は,昨年度よりも約25ポイント高く,70%を超えました。空気と水蒸気の性質の相違点を押さえ,目に見えない水蒸気の存在を推論する学習が充実してきていることがうかがえます。 一方,水から氷への体積変化に関する問題では正答率が約45%でした。実験をとおして体積の変化を確認させたうえで,実生活の現象と結び付け,認識させることが大切です。 また,太陽の方位と月の動きに関する問題では,正答率が約35%にとどまりました。時間の経過に伴う月の動きについて,理解が不十分であることが分かりました。月の観察の仕方や記録の取り方を十分に指導したうえで,データから一般化を図り,結果を他の事象と関連付けて考察させることが大切です。 <問題例参照>
【B区分:物質とエネルギー】
【C区分:地球と宇宙】
<課題となっている問題例>
0 20 40 60 80 100
科学的思考 技能・表現 知識・理解
A区分
B区分
C区分
区分別・観点別正答率
(1) 西 (2) オ※正答
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2 ペーパーテストでは測れない学力の状況 ペーパーテストでは測れない学力として,器具や装置を適切に使い,安全に観察,実験を行う技能や,予想や仮説,実験方法などを相手に分かりやすく伝えたり話し合ったりする力などがあります。各校では,子どもの疑問や思考をゆさぶる事象などを生かして学習課題を練り上げ,見通しをもたせ,観察,実験に取り組ませているほか,根拠に基づく予想の発表や観察,実験の結果を基にした話合いを設定するなど,子ども同士のかかわりを大切にした授業を展開しています。 しかしながら,話合いの場面において,発表内容についての妥当性を検証すること等が十分に行われていない状況も見られることから,今後は,発表に対して,自分の考えと比較したり,観察結果や実験データなどの事実を基に自分の考えを述べるなど,お互いの考えを検討し合う場面を十分に保障することが大切です。
3 授業改善のポイント
◆顕微鏡操作の技能習得を図るために,反射鏡の扱い方やピントの合わせ方など,顕微鏡 の種類に応じた注意点を踏まえながら指導することで,操作の技能を身に付けさせてい くことが大切です。◆2人に顕微鏡1台での観察の場合,観察していない子どもは,チェックリストを活用して, 観察者の操作手順を確認するようにし,2人がかかわり合いながら操作手順を学ぶこと が有効です。
理 科
【A区分】顕微鏡の操作 《基本的技能の習得》
◆電気を通すものを調べる実験では,はさみの持 つ部分(プラスチック)と切る部分(金属)の ように,同じ製品でも調べる部分の材質が異な ることにより,実験結果が違い,定着に影響す ることがあります。次のような点に留意しまし ょう。 ・各部分の材質を区別して調べ,表にまとめる。 ・製品の部分的な写真や図を活用する。 ・共通点や差異点に着目した考察をさせる。◆身の回りにある電気を通さないものにも視点をあてた幅広い体験活動が有効です。その 際,豆電球と乾電池の回路を使い,豆電球の明かりがつくかつかないかなど,視覚的に とらえて見極めさせることが大切です。
【B区分】明かりをつけよう 《実験方法の工夫》
◆月の観察の仕方については,実際の観察方法を工夫することが大切です。 (1) 満月や半月の観察 ・家庭で記録することが多いため,観察の方法を具体的に指導し,十分な練習が必要です。 ・年月日・時刻・形・方位や目印・高度など,記録の仕方のポイントを押さえることが有効です。 ・高度の大まかな測り方→ 水平線と天頂の間を4等分する方法 腕を伸ばしたときの握りこぶし一つ分を約10度とする方法 (2) 新月前後1週間ほどの月の観察 ・日中,太陽付近での観察が可能な場合は,一日に数回観察し,時刻ごとの位置を記録し ます。その際,月と太陽の間隔が一定であることや,月と太陽の動きには類似性がある ことに気付かせることが大切です。◆観察結果を基に話し合い,一般化を図る場面を設定することが大切です。写真や映像,天 文シミュレーションソフトなどを活用し,時間の経過に伴う月の動きを確認することも効 果的であると考えられます。
【C区分】月の動き 《観測方法の工夫》
プラス
チック
金 属
はさみの持つところ
ドライバーの持つところ
スプーン
はさみの切るところ
ドライバーのねじを回すところ
スプーン
調 べ る も の
【まとめの表の例】
予 想 結 果
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中学校
国 語1 調査結果の分析・考察
【話すこと・聞くこと】
【書くこと】
外来語について考える授業の様子から,外来語の二つの問題点を聞き取る問題は,正答率が約65%でした。約25%の生徒が片方だけの指摘にとどまっています。目的に応じて内容を聞き取り,情報を整理することに課題がみられる結果でした。 一方,聞き取った内容から,話し手の工夫をとらえることや,聞き取った内容を生かして適切に言い換える問題の正答率は,共に約 75%でした。 今後は,全体と部分,事実と意見との関係などに注意して,要点を聞き取る指導を工夫することが大切です。
調べたことを発表するために作成した資料について,提示の仕方を工夫し,その方法について具体的に説明する問題の正答
率は,約60%にとどまりました。誤答のうち約15%が,示された条件に合っていませんでした。また,無答率が15%を超えています。 今後は,聞き手にとって分かりやすい構成の仕方や聞き手の理解を促す資料の作成の仕方など,目的や意図に応じ,より相手意識を明確にした発表について考える学習を工夫することが大切です。 <問題例参照>
文学的文章を読み,文脈の中における語句の意味を正確にとらえる問題の正答率は約75%,登場人物の関係をとらえる問題では,約70%の正答率でした。 これに対して,表現の特徴に注意して登場人物の心情を読み取る問題は,正答率が約50%にとどまっており,無答率が約15%でした。 今後は,文章の表現に着目し,その特徴や工夫について考えたことを交流し合う学習を工夫することが大切です。
漢字の読み書きの問題は,読みが約95%の正答率であったのに対して,書きは約60~95%とばらつきがみられました。また,正しい部首名を指摘する問題では,正答率が約50%にとどまりました。
【読むこと】
【言語事項】
(%) 観点別正答率
聞くこと
話すこと
書くこと
読むこと
言語事項
<課題となっている問題例> 渡辺さんは、調べたことをまとめて発表する学習に取り組んでいます。次は、渡辺さんがまとめた
【ノート】と、発表の際に【提示する資料】です。これらを読んで、あとの問いに答えなさい。
渡辺さんは、外開きのドアが日本人の生活様式に適していることを中心に発表しようと思い、
【提示する資料】を修正することにしました。あなたならどのように修正しますか。〈修正の方法〉
から次のA、Bのうち、どちらか一つ選びなさい。
その上で、〈修正の具体的なやり方とその理由〉をあとの条件1と条件2にしたがって書きなさい。
なお、読み返して文章を直したいときは、二本線で消したり行間に書き加えたりしてかまいません。
〈修正の方法〉
A
【提示する資料】1のタイトル「玄関扉について」を変える。
B
【提示する資料】2から5のうちの何枚かを使わないことにする。
条件1
【提示する資料】の中にある言葉を使って書くこと。
条件2
六十字以上、九十字以内で書くこと。
二
1
2
3
4
5
※
正答例
0
20
40
60
80
100
【ノート】
【提示する資料】
玄関ドアについて
1
はじめに
※
以下省略
省略
玄関ドアについて
内開きの利点
内開きの欠点
外開きの利点
日本人の生活様式に適した設計
3
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2 全国学力・学習状況調査と基礎学力調査との関連【書くこと】<関連する問題>
全国調査では,全国平均を5ポイント程度上回っているものの,正答率が約50%にとどまっており,約20%の解答が「なぜそのような修正の方法を選んだのか,理由が適切に書かれていない」ために誤答となっています。また,無答率が全国平均とほぼ同じく約10%でした。 本市調査においても正答率は約60%となっており,両調査の結果から,収集した情報を資料の形式に合わせて適切に加工することや,聞き手に分かりやすく説明するために,作成した資料を効果的に活用することなどに課題があることが分かりました。 今後の指導に当たっては,目的や意図に応じて,話の中心と付加的な部分を整理し,聞き手にとって分かりやすい構成や聞き手の理解を促す資料の作成について考える学習を工夫することが大切です。その際,相手や目的を明確にするとともに,発表の場や時間,使用する機器などの条件を示したうえで,話の構成や資料の作成を工夫させることが重要です。 また,リハーサルを互いに見合ったり,映像に記録して見直したりしながら,聞き手の立場に立って,話の構成や作成した資料を修正させる活動を工夫することが効果的です。
今後は,漢字を正しく読むことや書くことに加え,漢和辞典を活用して,部首のもつ本来の意味について理解させることなどの指導を工夫することが大切です。 そのほか,前後の文脈から適切な接続詞を選ぶ問題の正答率は約80%,文節と文節の関係のうち,「補助の関係」や「並立の関係」となっている例文を選ぶ問題では約60~70%でした。
国 語
<H22 全国学力・学習状況調査「B主として活用に関する問題」2の三>
全国調査
本市調査 資料の提示の仕方を工夫し,その方法について具体的に説明する(書く)。
約50%
約60%
正 答 率設 問 の 概 要問 題 番 号
B 2 の三
二の3※前頁参照
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3 全国学力・学習状況調査の質問紙調査から
4 ペーパーテストでは測れない学力の状況
○ 国語の学習にかかわる質問のうち,「国語の勉強は大切だ」を除き,「当てはまる」,「どち らかと言えば当てはまる」と肯定的に回答した生徒の割合は,全国平均に比べ,2~13ポイ ント程度上回っています。○ 「国語の勉強は大切だ」,「国語の授業で学習したことは,将来,社会に出たときに役に立つ」 という質問に,「当てはまる」,「どちらかと言えば当てはまる」と肯定的に解答した生徒は, 共に80%を超えており,多くの生徒が国語学習の意義を理解していると言えます。○ 「読書は好きだ」という質問に,「当てはまる」,「どちらかといえば,当てはまる」と回答 した生徒は,昨年度とほぼ同じ約80%で,全国平均と比べ10ポイント程度上回っています。 小学校と同様に,一斉読書など各校の実情に応じた読書活動の成果が表れているものと考え られます。○ 授業における学習の仕方や態度に関する質問では,「授業で文章を読むとき,段落や話のま とまりごとに内容を理解しながら読んでいる」と回答した生徒が全国平均と比べて6ポイン ト程度上回り,約70%でした。また,「授業で目的に応じて資料を読み,自分の考えを話した り書いたりしている」と答えた生徒も70%を超えており,昨年度よりも2ポイント程度,また, 全国平均よりも12ポイント程度上回っています。 一方,「授業で目的に応じて資料を読み,自分の考えを話したり,書いたりしている」,「授 業で意見を発表するとき,うまく伝わるように組み立てを工夫している」,「授業で自分の考 えを書くとき,考えの理由が分かるように気をつけて書いている」と回答した生徒は,全国 平均と比べると7~13ポイント程度上回っているものの,約50~65%にとどまっており,引 き続き様々な資料をもとに,理由や根拠を明確にして自分の考えを書いたり話し合ったりす る学習活動の充実を図ることが求められます。
本調査(ペーパーテスト)では測れない学力として,学習に対する意欲や関心に加え,音読・朗読する力や自分の考えを発表する力,話題に沿って話し合う力など,音声による表現力があります。各校では,教科書以外からも広く教材を取り上げ,ねらいを明確にした単元構成を工夫しており,意欲をもって積極的に学習に取り組んでいる生徒が多くみられます。 また,古典や詩歌の学習では,言葉の響きやリズムを楽しむ音読や朗読を重視して,声を出すことの楽しさを味わわせています。さらに,多様な考えを出し合うことができる話題をもとに,グループ編成を工夫しながら自分の考えを発表したり,話し合ったりする学習を工夫しています。こうした指導をとおして,生徒が自信をもって考えを述べ合う姿が多くみられるようになっています。
肯 定 的 解 答0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
国語の勉強は好きだ
国語の勉強は大切だ
国語の授業の内容はよく分かる
読書は好きだ
国語の授業で学習したことは,将来,社会に出たときに役に立つ
国語の授業で目的に応じて資料を読み,自分の考えを話したり,書いたりしている
国語の授業で意見などを発表するとき, うまく伝わるように組み立てを工夫している
国語の授業で自分の考えを書くとき,考えの理由が分かるように気をつけて書いている
国語の授業で文章を読むとき,段落や話の まとまりごとに内容を理解しながら読んでいる
(%)
秋田市 全国
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5 授業改善のポイント
国 語
■話すこと・聞くこと■
目的に応じて内容を聞き取り,情報を整理することができるようにようにするために
● 「事実と意見を聞き分ける」,「主張と根拠の関係をとらえる」など,観点を明確にした うえでメモの取り方を具体的に指導し,他教科等の学習に活用する意識を高めることが大 切です。● 「電話の内容をメモに取り家族に伝言する」,「校内放送を正確に聞き取る」など,実際 の生活場面を設定し,目的を明確にした学習活動を工夫することが効果的です。
■書くこと■
聞き手の理解を促す資料を作成し,効果的に活用できるようにするために
● 目的や意図に応じて,話の中心と付加的な部分を整理し,聞き手にとって分かりやす い構成や聞き手の理解を促す資料の作成について考える学習を工夫することが大切です。● 相手や目的を明確にするとともに,発表の場や時間,使用する機器などの条件を示し たうえで話の構成や資料の作成を工夫させることが効果的です。
■読むこと■
表現の特徴に注意して,登場人物の心情を読み取ることができるようにするために
● 文学的文章の表現の仕方や工夫を取り上げ,読んで考えたことについて交流し合う学習 を取り入れることが大切です。● 気付かせたい表現の工夫やその効果などについて明確にしたうえで,それを読み取るた めの発問や課題を工夫し,根拠をもとに自分の考えを記述させることが効果的です。
■言語事項■
文節と文節の関係を理解し,文の構成をとらえることができるようにするために
● 実際の文章や表現をもとに,文の成分などの言葉のきまりを身に付けることの必要感や 重要性を意識させる指導を工夫することが大切です。● 「補助の関係」については「形式形容詞」と「形容詞」の違いから,「並立の関係」につ いては,「主語・述語の関係」や「修飾・被修飾の関係」との関連から理解させることが 効果的です。
しかし,相手の意見を尊重しながら,話題に沿って話合いを深めることや,具体的な資料を効果的に提示したり,客観的な根拠を示したりしながら,自分の考えに説得力をもたせることなどについては,十分とは言えない状況にあります。
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地理的分野は,昨年度を8ポイント程度上回る約65%の正答率でした。特に,農業や工業,人口動態などの統計資料から秋田県の特色を考察する問題では約75%となっており,資料の読み取りをもとに生徒が考えたり判断したりする機会が充実してきていることがうかがえます。 歴史的分野では昨年度よりも12ポイント程度低い約50%の正答率にとどまりました。このうち,国風文化の特色や参勤交代の目的を説明する問題は,昨年度よりも15ポイント程度向上して約55%となりましたが,古代の政治のしくみと関連付けて秋田城が置かれた時期を指摘する問題では,15%に満たない正答率でした。また,無答率が20%を超える問題もみられました。 <問題例参照> 今後は,文化の特色や制度を社会の動きと関連付けて多面的に考察することや,小学校での既習事項を生かして地域の歴史的な事象をとらえる学習を一層充実していくことが求められます。
地理的分野の正答率は昨年度を15ポイント程度上回り,約65%でした。中でも,昨年度20%に満たなかった正距方位図法で示された世界地図の読み取りは,約60%となりました。今後も大陸名や海洋名などを取り扱う際には,正距方位図法を活用しながら,日本との距離や方位を確かめる作業的な学習を工夫することが大切です。 歴史的分野では正答率が昨年度を5ポイント上回り,約65%でした。特に,刀狩りを行った人物を答える問題や,出島の位置を指摘する問題では,共に約75%となっています。
地理的分野の正答率は昨年度よりも13ポイント程度低下し,約60%でした。主な国の国名や特色,地図上の位置などを指摘する問題は90%近い正答率だったものの,地図記号をもとに地形図を読み取る問題では約50%にとどまっており,特に,土地の傾斜や川の流れる方向は水準点を活用して説明することができることを指摘できた生徒は,40%に満たない結果となりました。今後は,身近な地域の地形図などを活用しながら,作業的な学習を工夫することで,土地利用にかかわる知識・技能の定着を図ることが大切です。 歴史的分野の正答率は昨年度とほぼ同じ約55%でした。資料から参勤交代を指摘する問題や平安時代の政治の特色をとらえる問題では約70~75%だったものの,鎌倉幕府と武士の関係のうち,「奉公」を指摘する問題では,正答率が約25%にとどまりました。「御恩」と混同している解答が数多くみられたほか,誤字による誤答が約10%ありました。
中学校
社 会1 調査結果の分析・考察
【思考・判断】
【技能・表現】
【知識・理解】
68.7
6 浩太さんは歴史の学習内容を整理す るために年表をつくりました。 これを見て次の各問いに答えなさい。
<課題となっている問題例>
(2)次の文は浩太さんが調べた秋田ので きごとを示しています。これを年表に 加えるとしたらどの時期が適切ですか。 年表中のA~Dの時代から1つ選び, 記号で答えなさい。
出羽柵が現在の秋田市高清水に移し置かれ,秋田城とよばれるようになった。秋田城は行政的な役割と軍事的な役割をもつ役所だったと考えられている。
※正答 B
0
20
40
60
80
(%)
観点別・分野別正答率
思考・判断
技能・表現
知識・理解
100 地理 歴史
年表時代 世紀
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
A
B
C
D
江戸
戦国
平安
飛鳥
大和政権の統一が進む
大化の改新がはじまる
東大寺に大仏がつくられる平安京に都を移す
遣唐使が停止される
武家政治がはじまる
南北朝の内乱がはじまる
応仁の乱後, 戦乱の世になる
全国が統一される
幕府と藩による政治がはじまる
おもなできごと 人 物
①
聖徳太子
徳川家康
②
源頼朝
③
④
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社 会
2 ペーパーテストでは測れない学力の状況
3 授業改善のポイント
基礎的な歴史用語については,羅列的な取扱いにとどまることなく,人物や前後の出来事,時代背景などと関連付けて,必要な知識として確実な定着を図ることが重要です。
各校では,子どもの疑問や興味・関心をもとに学習課題を設定し,思考を深めるための提示資料を吟味したり,課題解決に向けた話合いの形態を工夫したりして,資料を活用しながら分かりやすく説明する力の育成を図っています。こうした取組により,グループでの話合いが活発化し,理由や根拠を明らかにして発表する力も高まってきています。 しかしながら,グループで話し合った内容を全体での話合いの中で深めることについては,十分とは言えない状況にあります。今後は,学習形態に応じた指導のねらいを一層明確にするとともに,他者の意見と自分の考えを比較関連付けて発表するなど,課題解決を図るための話合いの充実が求められます。
・メルカトル図法,モルワイデ図法,正 距方位図法を比較し,その特色に気付 く。・それぞれの地図上のオーストラリアや グリーンランド,インドに色を塗り, 大きさを比較したうえで,地図帳で実 際の面積を調べ,面積の正しい地図を 選択する。・東京とロサンゼルス,東京とローマを 結ぶ直線を書き入れ,地図上で見える 方位と実際の方位を地球儀を用いて確 認し,方位の正しい地図を選択する。・世界の略地図をかく。
技能の習得をめざす学習では,体験的手法が有効です。具体的な到達目標を確認し,スモールステップで学習を進めることが大切です。※世界地図の活用例
作業的な学習をとおして
・秋田城跡の学習をとおして考える 古代の政治・文化・湊安東氏の学習をとおして考える 戦国大名・佐竹氏の学習をとおして考える 幕府の大名統制・土崎空襲の学習をとおして考える 太平洋戦争
歴史を多面的に考察させるためには,地域から歴史的事象を考察することが有効です。地域素材を教材化し,授業で取り扱うことによって,地域から中央・日本全体を見る見方や考え方を育てることができます。
※活用例
地域の歴史をとおして
・徒歩や自動車等,目的地までの移動手 段に応じた地図の選択とその根拠を説 明する。・地図情報や生活経験をもとに,来訪者 へ地域の特色を説明する。・中学校区の新旧の地図や写真を比較し, 変化の様子を調べる
地図を読み取る力を高めるためには,地域の地図を活用し,地形の変化やランドマークを知っていることなど,子どもたちの直接経験を生かして理解を深めることが有効です。※学習活動例
直接経験を生かして
・ 「貴族」「かな文字」「遣唐使の停止」な どを関連付けて「国風文化」を説明する。・ 「御恩と奉公」「守護と地頭」などを関連 付けて「鎌倉幕府のしくみ」を説明する。・人物や事象を中心に,関連事項に広がる イメージマップを作る。
基礎的な歴史用語の理解については,各時代のキーワードとしてとらえさせ,人物,出来事,文化などと関連づけて理解させることが大切です。※学習活動例
関連付けて
地理的分野(知識・理解)「地図の読み取り」
歴史的分野(知識・理解)「基礎用語の理解」
地理的分野(技能・表現)「地図・地形図等の活用」
歴史的分野(思考・判断)「地域素材の活用」
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分数を含む文字式の計算問題の正答率は,昨年度の本調査における同様の問題と比較して4ポイント上回っているものの約45%であり,引き続き課題となっています。また,約1割の生徒が通分後の分配法則を正しく活用できていないことから,計算の手順を再確認する必要があります。 また,不等式の立式の問題の正答率は約50%にとどまっており,問題文から数量関係を読み取ることが十分ではないことがうかがえます。
おうぎ形の面積を求める問題の正答率は約50%でした。おうぎ形を円の一部としてとらえ,面積が中心角の
大きさに比例することを理解させることが大切です。また,円の接線の作図の正答率は約55%で,昨年度の本調査における同様の問題と比べ約20ポイント向上しています。引き続き課題ではありますが,接線の性質と垂線の作図を関連付けながら,課題解決の場面で生徒が作図方法を考えるなど,主体的な学習の成果が徐々に表れてきています。
一次関数の式にあてはまる座標を選択する問題やグラフを利用してyの変域を求める問題の正答率は,共に50%を下回っており,課題となっています。また,2点を通る1次関数の式を求める問題の正答率は約40%でした。切片は正解しているものの,傾きを間違えている解答が約30%となっており,傾きや変化の割合の意味の理解が不十分であることがうかがえます。
与えられた情報から必要な情報を正しくとらえ,題意に適する数値を求める問題の正答率は約55%でした。今後の指導としては,実生活にかかわる課題を積極的に取り入れ,必要な情報を目的に応じて取捨選択する場面を設定することが考えられます。
資料を分類整理し,統計的処理をすることで資料の特徴をとらえ表現する問題の正答率は30%を下回りました。今後の指導としては,表やグラフに整理する必要性を実感させ,どのように資料を処理したら,全体の傾向や特徴がとらえやすくなるかを説明する活動を取り入れることが有効です。
3種類の硬貨の枚数の求め方を筋道を立てて説明する問題の正答率は約60%でした。今後の指導としては,いくつかの条件から限定される事実を整理し,問題場面を明確にする活動を取り入れることが大切です。
中学校
数 学1 調査結果の分析・考察
【数と式】
【図 形】
【事象を的確にとらえる力】
【情報を分類整理し,選択する力】
【筋道を立てて考える力】
【数量関係】
1 「主として知識に関する問題」について
2 「主として活用に関する問題」について
0
20
40
60
80
100 (%)
正 答 率
数
と
式
図 形
数量関係
0
20
40
60
80
100
(%)正 答 率
自分の考えを
数学的に表現する力
筋道を立てて
考える力
情報を分類整理し、
選択する力
事象を的確に
とらえる力
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AプランとBプランの電話の使用料が等しくなる時間を求める方法を説明する問題の正答率は約35%で,無回答率が約35%に上っており,題意を読み取ったうえで,自分の考えを表現することに課題がみられます。 <問題例参照> 今後の指導としては,日常的な事象をグラフに表したり事象をグラフから数学的に解釈したりする活動や,表や式,グラフなどを活用しながら自分の考えを記述したり説明したりする活動を多く取り入れ,数学的に表現する力をはぐくむことが求められます。
2 全国学力・学習状況調査と基礎学力調査との関連
【自分の考えを数学的に表現する力】
【数と式】では,目的に応じて等式を変形する問題の本市調査の正答率は約55%であったものの,全国調査では,移項だけを使って変形する問題であったこともあり,正答率は約75%でした。また,全国調査では,等式を立式する問題の正答率が約75%であったのに対して,本市調査の不等式を立式する問題では,正答率が約50%にとどまりました。題意を読み取ったうえで,数量関係を式で表すことが課題となっています。 【図形】では,半径と中心角が示されたおうぎ形の面積を求める問題の正答率が約50%でした。全国調査でも,円柱の体積を求める問題の正答率は約45%にとどまり,底面積を算出する際,直径×円周率または半径×円周率の式を用いた誤答の割合が約10%でした。引き続き円の面積を求めることに課題が残る結果となっています。 【数量関係】では,一次関数の式にあてはまる座標を選択する問題やグラフを利用してyの変域を求める問題の正答率が共に50%を下回りました。全国調査でも同様の問題の正答率が約50%となっており,課題となっています。
本市調査におけるAプランとBプランの電話の使用料が等しくなる時間を求める方法を説明する問題と全国調査のTシャツのプリント料金が最も安い店をグラフから判断する方法を説明する問題の正答率は共に約35%にとどまりました。 今後は,グラフを用いるよさを実感できるように,課題や発問を吟味し,問題解決の方法や手順を,数学の用語を使って説明する場面を設定することが大切です。
数 学
1 「主として知識に関する問題」について
2 「主として活用に関する問題」について
※正答例
8000
7000
6000
5000
4000
3000
2000
1000
0 40 80 120 160 200 240
y(円)
(分)x
AプランとBプランについて,使用時間と電話の使用料の関係をそれぞれグラフに表して,その交点の 座標から使用時間の値をよむ。x
<課題となっている問題例>
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3 全国学力・学習状況調査の質問紙調査から
4 ペーパーテストでは測れない学力の状況
○ 教科学習にかかわる質問について,「当てはまる」,「どちらかといえば当てはまる」と肯定 的に回答した生徒の割合は,「数学の授業の内容はよく分かる」,「数学の問題の解き方が分か らないとき,あきらめずにいろいろな方法を考える」が全国平均に比べ,約1ポイント低い ものの,その他の項目は1~5ポイント程度上回っています。○ 「数学ができるようになりたい」と回答した生徒は約95%で,教科の必要性が高く認識され ていることがうかがわれます。○ 「数学の授業で公式やきまりを習うとき,その根拠を理解するようにしている」と回答した 生徒は約75%となっており,全国平均に比べて約5ポイント,昨年度の本市の結果と比較し ても約3ポイント上回りました。○ 「数学の授業で学習したことを普段の生活の中で活用できないか考える」と回答した生徒は, 昨年度より約3ポイント上回ったものの約40%にとどまっており,学習内容を日常生活に生 かそうとする態度について課題が残ります。
本調査(ペーパーテスト)では測れない学力として,「学ぶ意欲」などの興味・関心にかかわることや「説明する力」「聞き取る力」などのコミュニケーション能力に関することなどがあります。 本市においては,ひたむきに課題解決に取り組もうとする姿勢が身に付いている生徒が多く,おおむね落ち着いた態度で学習に取り組んでいます。各校では,課題を解決する過程を重視しており,生徒同士が多様な考えを出し合い,互いに共有しながら考えを深めていく場面が見られます。 ただ,積極的に自分の考えを表現できる生徒がいる中で,自信をもって相手に自分の考えを伝えることに抵抗感をもっている生徒もおり,互いに意見を出し合い比較や検討をすることについては,十分とは言えない状況にあります。
肯 定 的 解 答
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
数学の勉強は好きだ
数学の勉強は大切だ
数学の授業の内容はよく分かる
数学ができるようになりたい
数学の問題の解き方が分からないときは, あきらめずにいろいろな方法を考える
数学の授業で学習したことを普段の生活の中で活用できないか考える
数学の授業で学習したことは,将来, 社会に出たときに役に立つ
数学の授業で問題を解くとき,もっと簡単に解く方法がないか考える
数学の授業で公式やきまりを習うとき, その根拠を理解するようにしている
数学の授業で問題の解き方や考え方が 分かるようにノートに書いている
(%)
秋田市 全国
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5 授業改善のポイント
変化の割合や傾きの意味が理解できるようにするために
◇ 一次関数の式の意味を理解し,グラフから式を求めたり,変化の割合をもとにして表に示 されていない値を求めたりするなど,表,式,グラフを関連付けて考察する場面を設定する ことが大切です。◇ 複数のグラフを比較させながら,傾きについて理解できるようにすることが大切です。
数 学
数量関係
代表値や相対度数などの必要性を実感できるようにするために
◇ 例えば,体育の授業等の記録を用いて「リレーの勝敗を予想する」など,資料の傾向をと らえる目的が明確な学習課題を設定することが大切です。また,代表値や相対度数などを求 めることだけでなく,それらを活用する必要性を実感できるように,単元構成を工夫したり, 発問を吟味したりすることが必要です。
<活動の例> 右の度数分布表を使って,A中学校とB中学校の走り幅跳びの記録を比較しようと思います。 内の区間では,どちらが多いといえますか。
<活動の例>
情報を分類・整理し,選択する力
事象と表やグラフを対応して考えられるようにするために
◇ 日常的な場面や他教科の学習の場面における,事象や実際のデータの特徴を的確にとらえ るために,数量の関係を理想化したり,実際のデータを単純化したりして,表やグラフに表 現する活動場面を設定することが大切です。また,表やグラフを用いて解決するだけでなく, 表やグラフで「何が分かるのか」,「何が予想されるのか」などを考え,説明する活動を取り 入れることも重要です。
→ 電球(蛍光灯,白熱電球,LED電球),印刷機(枚数,速度)など→ 水道料金,電気料金,ガス料金,電話の通話料金,宅配便の料金の比較など→ 二酸化炭素濃度の推移,ゴミの量,絶滅危惧種の個体数など→ 温度の変化,滑車の速さなど→ 値段と販売方法,値段とサービスなど
・家電製品の性能・各種使用料金・環 境 問 題・理 科 の 実 験・店や商品の違い
事象を的確にとらえる力
<実生活の事象の題材例>
200~230230~260260~290290~320320~350350~380380~410410~440440~470
024610 832035
13916211085275計
距離(cm)人数
A中学校 B中学校 合計人数が違うから、各区間の人数で比較することは適当でないと思うわ。
それぞれの式を求めてみるとわかるんじゃないかな?
ホントだ!aの値によって,グラフの傾き方が決まるんだね。
そうだね。では、どのようにすれば比較しやすくなるかな。
それぞれの人数の合計人数に対する割合になおして比較するといいと思います。
x y
… 0 1 …
… b …
a
+1
y = ax + b
関連付ける
ab
y
x10
y
x0
グラフの傾きは何によって決まりますか?
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中学校
1 調査結果の分析・考察【物理領域】 力の大きさやふれあう面積と物体の変形の仕方との関係をとらえる問題は約85%の正答率でしたが,単位面積から2つの圧力の関係を考える問題は10%,圧力の値を求める問題は25%に満たない正答率でした。圧力と力,面積との関連付けを図る実験では,板の面積が簡単な整数倍になるようにするなどの工夫が大切です。また,表に力,面積,沈む深さ,圧力の値を整理し,関係を見いださせることが効果的です。さらに,圧力の算出方法を指導する際は,単位の変換などに注意させることが重要です。
モノコードの音を大きくした場合の波形を書く問題の正答率は,約45%にとどまりました。音の波形を適切に表すことができるようにするためには,振幅や振動数を変えた波形を比較して,違いを話し合ったり,音の高さや大きさの違う波形を比較してその変化を説明したりする場を設定することが大切です。
食塩の結晶を図示する問題は約60%,エタノールの燃焼時に水が発生することを指摘する問題は約75%の正答率でしたが,昨年度よりそれぞれ約20ポイント,約45ポイントの向上が見られました。 一方,ロウの状態変化と密度との関係を考える問題の正答率は40%を下回る結果でした。ロウの状態変化の実験では,液体,固体のときの質量,体積を測定し,密度の算出をとおして関連付けを図ることが大切です。また,冷えて固まったロウを水に沈め,増加分でロウの体積を測るなど測定の方法を工夫することが有効です。
茎の道管を指摘する問題は正答率が約60%と,昨年度よりも約10ポイント向上しています。顕微鏡観察の問題では,置く場所,高倍率時の視野の範囲に関する問題の正答率は80%を越えましたが,視野の明るさに関しては約65%の正答率にとどまりました。顕微鏡観察の基本的な技能は,高倍率時の観察を含め,実際の視野を映像提示装置等で示しながら確認することや,パフォーマンステストを活用することなどをとおして身に付けさせることが大切です。
しゅう曲の特徴,成因の正答率はそれぞれ約20%にとどまり,無答率が20%を超えています。また,地層の重なりの様子から大地の変化の過程を推測する問題での正答率は約45%でした。そのほか,示準化石の生物の生息範囲とその期間については,共に正答率は約20%,無答率が約30~35%となっています。実際の露頭の写真,しゅう曲や断層のある地層の写真を資料として活用し,地層の特徴や成因等を考察させ,発表し合う活動を取り入れるなど,指導を工夫することが求められます。 <問題例参照>
【化学領域】
【生物領域】
【地学領域】
理 科
<課題となっている問題例>
0 20 40 60 80 100
科学的思考 技能・表現 知識・理解
物 理
化 学
生 物
地 学
領域別・観点別正答率
(1)①しゅう曲 ②押しちぢめる方向の力(2)①示準化石 ②範囲:広い範囲に住んでいた 期間:短い期間栄えた(3)ア→イ→ウ→エ
※正答
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2 ペーパーテストでは測れない学力の状況 ペーパーテストでは測れない学力として,器具や装置を適切に使い,安全に観察,実験を行う技能や,予想や仮説,実験方法などを相手に分かりやすく伝えたり話し合ったりする力などがあります。各校では,生徒の疑問や思考をゆさぶる事象などを生かして学習課題を提示し,目的意識をもたせたうえで観察や実験に取り組ませているほか,考察の場面では,積極的に班などでの話合い活動や説明する場などを取り入れるなど,伝える力,話し合う力を育てる授業を展開しています。 しかしながら,話合いの場面において,発表内容についての妥当性を検証すること等が十分に行われていない状況も見られることから,今後は,発表に対して観察結果や実験データなどの事実を基に,適切な判断をし,自分の考えを述べる力を高める指導を工夫をすることが大切です。
3 授業改善のポイント
◆音の大小と振幅,音の高低と振動数の関係を見いださせるには,オシロスコープやコンピ ュータを活用して音の波形を表示するなど,見えないものを視覚化して比較する活動を工 夫することが大切です。さらに,次のような活動を取り入れることで確実な定着が期待で きます。 ○振幅や振動数を変えた波形のグラフを準備 → 比較 → 差異点の話し合い ○基本の波形を示す → 音の高さや大きさが変化した場合の波形を推定する → 波形を図に表す
理 科
【物理領域】音の波形の観察 《授業展開の工夫》
◆密度の学習では,密度の概念を確実に理解させたうえで,質量が変わらず,体積が減少 すると単位体積あたりの質量が大きくなることに気付かせるような指導を工夫すること が大切です。
① 実験結果と物質の密度に関する復習 ② 発問:「固体のロウは液体のロウに浮くか」等 ③ 既習事項を活用しての予想(根拠) ④ 話合いの場の設定 ⑤ 確認のための簡単な実験の実施
【科学領域】密 度 《授業展開の工夫》
◆基本的技能を伸ばすために,日常的に操作方法や技能を確認できる環境づくりが必要です。 ① 理科室掲示の工夫 → 各部名称,操作方法,実際に観察した顕微鏡の写真などを掲 示する。 ② 観察コーナーの設置 → 双眼顕微鏡,顕微鏡の設置により観察機会を増やす。
◆生徒の観察技能向上につながるような指導を工夫することが大切です。
【生物領域】顕微鏡の操作 《基本的技能の習得》
◆しゅう曲や断層等,大地の変化をとらえさせる実験や実習を工夫することが大切です。 ① 粘土を重ね,地層状にしたモデルを活用した実験 → 実際の力の加わり方を理解する活動 ② 露頭の模式図への書き込み → 実際の地層の様子と変化の過程を結び付けてまとめる活動
◆示相化石,示準化石の分類と特徴を把握させるための工夫が必要です。 ○ 化石標本やレプリカなどの活用 → 示相化石,示準化石の仲間分け 生息条件を考えさせ,まとめる活動
【地学領域】大地の変化・化石 《実験・実習の工夫》
【指導の流れ】
● 理科室に手順を掲示し,常に確認できる 環境を整える。● 視野の変化等,全体の場で映像を活用し て確認する。
① プレパラートの作り方 ② 視野における観察対象物の探し方③ 高倍率での観察手順の確認
→
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絵の説明として適切な英文を聞き取る問題のうち,ものの位置関係については約85%の正答率でしたが,手に持っているものについては約45%でした。文章の肯定と否定を聞き分ける力が十分には身に付いていないことがうかがえます。 また,英文の要点を聞き取る問題では,正答率が約30~80%とばらつきがみられました。今後は,要点を聞き取ることや,情報を組み合わせて推測することができるよう,メモを取りながら聞き取る活動を工夫することが大切です。
天気についての表現は概ね身に付いており,約95%の正答率でしたが,現在進行形を用いて人物を描写する問題は,正答率が約50%にとどまり,be動詞の欠落,現在分詞の不使用といった誤答が多く見られました。また,第三者の様
子について答える問題では,have, has の用法など,三人称単数形の理解が不十分な誤答が多くみられました。 今後は,一問一答のQ&Aだけでなく,隣の生徒について答えたり,さらに一文情報を加えて答えるなど,内容を発展させた英問英答の練習の機会を多く設け,スパイラルな指導を積み重ねることが大切です。
まとまった英文の内容について,記号で答える問題は80%の正答率だったのに対して,本文の内容についての問いに英文で答える問題では,約45%の正答率にとどまりました。また,結末の理由について日本語で説明する問題では,正答率,無答率ともに約20%という結果になっており,まとまった英文から必要な部分を見つけ,設問に正しく答えることに課題がみられました。 <問題例参照>
自分の名前を伝える表現については概ね身に付いており,約90%の正答率でしたが,誕生日や自分の好きなことを伝える問題では,birthday という単語や月の名前,不定詞を使った表現などを正確に書くことができなかったための誤答が多く,正答率は約40%にとどまりました。また,自分で質問を考えたり,文脈から判断して英文を書いたりする問題の正答率は約15%と,創造的に英文を作ることに課題がみられました。 日常の学習の中で,相手に尋ねたいことや自分の考えや意見などについて,まとまりのある英文を正確に書く指導を継続して行うことが大切です。
中学校
英 語1 調査結果の分析・考察
【聞くこと】
【話すこと】
【書くこと】
【読むこと】
2 ペーパーテストでは測れない学力の状況 ペーパーテストでは測れない学力としてあげられる,言語の背景にある文化の理解や積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度などは,外国語を学習するうえでのモチベーションにつながる重要な要素です。各校では授業において,教科書で扱っている題材の文化的な背景
0
20
40
60
80
100 (%)
領域別正答率
聞 く
読 む
話 す
書 く
<課題となっている問題例>
日 本 語【彼らは幸せそうに見える。】その理由【もともとは野良犬だったが,今は(自分たちの) 住みかも仕事もあるから。】
※正答例
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にふれたり,ALTが自国の文化に関連させた活動を行うなど,他国の文化に対する子どもたちの興味関心を高めるための工夫がみられます。今後は,アイコンタクトや声量,理解できなかった時の聞き返しや,表現できなかった時の別の表現での言い換えなど,コミュニケーションを持続するための手段を身に付けることができるよう指導の充実を図ることが大切です。
英 語
■聞くこと■
■ 数字や時刻,月日,曜日など基礎的な語句を聞き取ることについては,音読や対話練習 を含め,授業の中で繰り返し経験させることが大切です。■ 要点を聞き取り,情報を組み合わせて推測する力を付けていくためには,クイズ形式の 活動や,複数の情報を整理しながらメモを取る活動を取り入れることが効果的です。■ 聞き取った内容だけでなく,それについての意見を書くなど,主体的に話し手の意図を とらえる聞き方を身に付けさせましょう。
■話すこと■
■ 帯単元などで行う対話形式の活動では,様々な既習事項をおり混ぜながら,正しい尋ね 方・答え方を毎回整理させることが大切です。その際,主語の変化に対応して適切に答える 練習や,一問一答で終わらずさらにもう一文加えたやりとりを行うなど,対話を発展させる 活動を工夫しましょう。■ ALTを効果的に活用したり,グループやペアでの活動を工夫するなど,生徒が英語を 口にする場面を,授業の中でなるべく多く設定することが大切です。■ 英文を書く活動と話す活動とを関連させ,自分の意見や考えをまとめ添削したものを,他 の生徒の前で発表する機会をもつなどして,発話に対する自信をもたせることが重要です。
■読むこと■
■ 1年生の時から,文構造や文章の構成を意識させた読み取りの指導や,文脈から推測し てわからない語句や表現を読み解いていく練習を段階的に積み重ねることで,まとまった 英文を読むことへの苦手意識を取り除くことが大切です。■ 教科書の Let's Read を扱う際は,その物語の背景等,プラスαの情報を十分に与え,表 面的に「英文を読む」だけにとどまらず,題材が深く心に響くような読ませ方を工夫しま しょう。新たな英文を読んでみようとするモチベーションを高めることが期待できます。■ 読む力をつけるためには,何より「多読」が効果的です。未習語を恐れず英文を読もう とする態度を育てるために,生徒が「読みたい」と思えるような魅力的な教材の開発と, その蓄積を心がけましょう。インターネットや英字新聞,ALTの自作資料などと併せて, 高校の初級の教科書を活用することも効果的です。
■書くこと■
■ 表現活動に必要な語彙や語句,基本表現を定着させるために,復習として新出語句や基 本表現を使って,自分で英文を書くことを習慣化させましょう。 また,一斉指導の中で,モデルとなる英文をもとに文構造や文章構成について確認し合 う学習を行うことで,まとまった英文を書くときのポイントについて気付かせることが効 果的です。■ 自分の考えや体験についてエッセイ,English Journal,英語日記など,まとまった英文 を書く機会を計画的に設定しましょう。また,英文の添削などでは,ALTを効果的に活 用しましょう。■ 書いた英文をもとに発表やQ&Aを行ったり,友達同士で読み合って感想を書かせるな ど,書く活動と他の言語活動を関連させた指導をとおして,相手意識をもって表現する力 を育てることが重要です。
2 授業改善のポイント
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生活習慣に関する多くの質問について,小・中学生ともに肯定的な回答の割合が,年々高くなっています。 「朝食を食べる」ことは,小・中学生ともに95%以上の子どもが「毎日食べる」と回答しており,全国平均と比べると約2~3ポイント上回っています。 起床時刻については,「毎日,同じくらいの時刻に起きる」子どもが小・中学生ともに90%を超えており,全国平均と比べると,約2ポイント上回っています。 就寝時刻については,「毎日,同じくらいの時刻に寝ている」子どもが小学生で約80%,中学生では約75%となっており,全国平均と比べると約4~5ポイント上回っています。 また,「学校に持っていくものを,前日か,その日の朝に確かめる」子どもは小・中学生ともに90%を超えており,全国平均より約4~6ポイント上回っています。
「学習塾(家庭教師を含む)に通っている」子どもの割合は小学生で約25%,中学生で約45%となっており,全国平均と比べると,小・中学生ともに約20ポイント下回っています。 「家で自分で計画を立てて勉強している」子どもの割合は小学生が75%を超え,全国平均と比べると約19ポイント上回っています。一方,中学生は全国平均を約5ポイント上回っているものの,約45%にとどまっています。 家庭での学習の内容としては,「授業の復習をしている」子どもの割合が小学生で85%を超え,中学生でも約65%となっており,全国平均と比べると小学生で約36ポイント,中学生で約23ポイント上回っています。 また,「家で苦手な教科の勉強をしている」子どもの割合は小学生で約70%,中学生で約60%となっており,全国平均と比べると,約18~20ポイント上回る結果となっています。
平成22年度全国学力・学習状況調査における 児童生徒質問紙調査の結果から
● 生活習慣について●
● 学習習慣について ●
0 20 40 60 80 100
小学生
中学生
朝食を毎日食べている子どもの割合(%)
0 20 40 60 80 100
小学生
中学生
0 20 40 60 80 100
小学生
中学生
学校に持っていくものを,前日か,その日の朝に 確かめる子どもの割合(%)
家で学校の授業の復習をしている子どもの割合(%)
0 20 40 60 80 100
小学生
中学生
家で苦手な教科の勉強をしている子どもの割合(%)
秋田市 全国
秋田市 全国
秋田市 全国
- 28 -
「ものごとを最後までやりとげて,うれしかったことがある」と回答した子どもの割合は,小・中学生ともに約95%でした。 「人の気持ちが分かる人間になりたい」,「人の役に立つ人間になりたい」と回答した子どもは,小学生で約95%,中学生でも90%を超えています。 また,「将来の夢や目標をもっている」と回答した子どもは小学生で約90%,中学生では約75%となっており,全国平均よりも約1~2ポイント上回っています。 そのほか,「難しいことでも,失敗をおそれないで挑戦している」と回答した子どもは,小学生で80%を超え,中学生でも約65%となっており,全国平均と比べると,約1~7ポイント上回っています。
「友達との約束を守る」,「いじめはどんな理由があってもいけないことだと思う」と回答した子どもの割合は,小・中学生ともに,いずれも90%を超えています。 また,「学校のきまりを守っている」と回答した子どもの割合は,小・中学生ともに90%を超えており,全国平均と比べると,約1~3ポイント上回っています。 一方,「近所の人に出合ったとき,あいさつをする」と答えた子どもの割合は,小学生が90%を超えているのに対して,中学生は全国平均を約9ポイント下回り,約 75%にとどまりました。 今後も,子どもたちが地域の方々とコミュニケーションを深める機会の充実に努めていくことが重要であると考えられます。
● 自分自身について ●
● 人とのかかわりについて ●
0 20 40 60 80 100
小学生
中学生
ものごとを最後までやりとげて, うれしかったことがある子どもの割合(%)
0 20 40 60 80 100
小学生
中学生
0 20 40 60 80 100
小学生
中学生
将来の夢や目標をもっている子どもの割合(%)
学校のきまりを守っている子どもの割合(%)
0 20 40 60 80 100
小学生
中学生
近所の人に出合ったとき, あいさつをしている子どもの割合(%)
秋田市 全国
秋田市 全国
秋田市 全国
秋田市 全国
平成22年度秋田市教育における
平成23年3月発行編集 秋田市教育研究所発行 秋田市教育委員会
授業改善のポイント
平成22年度秋田市教育における 授業改善のポイント