オペアンプを9コ並列で出力2。6W

‘‘パラレIレワーILPアンプを作る

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ーTRの音とは別世界の喜一

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ト

パワーTRの音から逃げ出す

ために

パワー・アンプは．パワー段やド

ライバ段など　いろいろな半導体の

音が重なって独自のトーンを作り出

しています．中でもパワー・トラン

ジスタはアンプの音に大きく影響し

ます．4、億号用トランジスタと比べ

ると，パワー・トランジスタは例外

なく情報量の少ないスカスカの音が

しますが　その昔がどのパワー・ア

ンプでも支配的になっている，と感

じます，

ところで　本誌2013年3月号に

発表したオペ・パワー・アンプ1）では

当然ですが　オペアンプの音はあっ03　　　　　R4

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でもパワー・トランジスタの音はあ

りません．よくも悪くもオペアンプ

の音色をストレートに味わえる．あ

る意味で不思議な音のアンプです．

〈第2図〉本機の回路．デュアル・オペアンプNJM4580を並列に．さらに9コを並列にして4Q負荷で出力2．6Wをえる

AEDIO氏はオペ・パワー・アン

プの音（というよりも，オペアンプが並ん

だあの基板）をパラレル・ワールドだ

といいましたが　まさしく別世界，

およそパワー・アンプらしくないサ

ウンドです．

もちろんパラレル・ワールドも．

オペアンプによって音が変わりま

す．というよりも．オペアンプがそ

のまま大きくなったかのような音が

します．新日本無線MUSES02に

止めを刺しますが　MUSES8820

も結構楽しめます．緻密で　透明感

あふれるパラレル・ワールド・サウ

ンドを聴かせてくれます．

それならばもうlランク，という

か断崖絶壁，私にいわせれば“音を

殺す死のオペアンプ谷当こ落ちたく

19

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▲〈第3図〉本機の整流回路．DlとD3，D2とD4は基板上でハンダを盛るだけのジャンパー戦で持続する

せん．2740としても計算上の電圧　　ます．

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T〈第4図〉NJM4580オペアンプの内部等価回路

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降下は44Vとなります．もちろん，

うまく動作しません．

このRは　大きい方が音も良好で

す．Cは330〟Fに固定して2200．

100復，50露と比較しましたが　小

さくすると透明感が減り．Rを短絡

すれば　「気に平板的なザラついた

音に戻ります．しかし，出力を大き

くする点からばRは小さくした方

が有利です．オペアンプであろうと

ディスクリート・アンプであろうと．

出力電流が変化するときには電源電

流も変化します．この電流変化が電

源を介して他のアンプに影響を及ぼ

すから，と考えます．

こう記すとかならず「定離回路

を入れれば電圧が一定になるから影

響をなくせる」との反論が来ますが

空想です．電圧を一定にしたところ

で　電流は変化します．そのうえ，

せっかくの透明感に秀でたサウンド

を定離回路の音で覆うことになり

〈第5図〉オフセット電流補償回路

AUG．2014

さて，カップリング・コンデンサ

の経験からすると，ローパス・フィ

ルタのカットオフ周波数fcは1桁

にしたいところです．電源CRフィ

ルタもカップリングと同じかどうか

を語れるだけの経験はありません

が10Hzを目標とします．コンデ

ンサはニチコンのFGに決めてかか

ります．FGシl）－ズは16Vでは

470〟Fが最大です．したがって．

R≧嘉を＝ 2×3．14×470×10－

＝33．9（Q）

より，ちょっと足りませんが　33露

とします．試聴してみると，100Q

よりは物足らないですが　ないとき

とは比較になりません．ずっと良好

です．

アンプの出力は．私の部屋では

40負荷で3Wあれば十分です．オ

ペ・パワー・アンプでは　オペアン

プ7個（14並列）で2．5Wを得ていま

したので　基板には8個以上載せる

ことを目標とします．

抵抗で制限される基板の面積

ところで　基板面積をもっとも要

求するのが抵抗です．音質的には

VishayDaleNS－2Bが載るサイズ

としだいのですが　今回は，パラレ

ル・ワールド・サウンドを手軽に楽

しめる基板というコンセプトで作る

ので　抵抗はタクマン電子オーディ

オ用金属皮膜抵抗REY50サイズで

設計します．

さらに整流回路もオンボードとし

て，トランスに接続するだけで鳴ら

せるようにします（第3図）．整流ダ

イオードも．シリコン・カーバイド

のショットキー・バリア・タイオー

T，それもMUSES7001を使えば

広くてはっきりとしたパースペクテ

ィブある音が再生されますが　お値

段も高くつきます．ここも‘I手軽に”

というコンセプトから．シljコンの

ショットキー・バリア・ダイオード

を使います．

ケミコンもネジ端子を使用したい

のですか基板に載せるためリード・

タイプでガマンします．

オフセット電圧補償回路を

つける

MUSES02も8820もNJM4580

もすべて，入力は第4図4）のように

PNPトランジスタの差動回路です．

したがって，入力端子からはバイア

ス電流が流れ出します．このバイア

ス電流が入力抵抗に流れるとプラス

のオフセット電圧となります．この

ためオペ・パワー・アンプでは　高

抵抗を用いてオフセット電流をマイ

ナス電源にシャン下していました

21

ところが　マイナス電源（プラスに

も）にはリプル電圧があります．ご

くわずかですが「詣流の変化となり，

ハム・ノイズの原因となっていまし

た　気分的にはよくありません．そ

こで第5図のオフセット電流補償回

路を作りました．定電流ダイオード

を用いたシャント回路です．

入力バイアス電流は　MUSES02

も8820もNJM4580もすべて標準

品名 メーカー 型式 個数 購入店

ケース タカチ電機 UC26－7－20D D 1 マルツ

シャーシ タカチ電機 UCC26－20 1 マルツ

固定金具 タカチ電機 UCK－p42 1 マルツ

スイッチ iD EC LBeM J AIT64PW 1 lDEC

プレーカ IDEC NRFll0－1A 1 IDEC

ACインレット エコー電子 AC－POICFOl 1 マルツ

ACケーブル 秋月電子 C－01701 1 秋月電子

RCAジャック アムトランス AJ－320（赤、白） 2 アムトランス

スピーカ端子 アムトランス SP－10（赤、白） 4 アムトランス

スペーサ 広杉計器 858－3082 8 広杉計器

ネジ 広杉計器 8－0308 10 広杉計線

ナット 広杉地織 BNT O3－3 20 広杉計器

圧着端子 日本圧基端子 Rl．25－3 1 日本庄着端子

トランス ノグチトランス PM －1205 4 ノグチトランス

電線 協和ハーモネット UL3265－24 L2×7 1 秋月電子

▲〈第2表〉

基板以外に使用するパーツ一覧

〈第1表〉ト基板に装着するパーツの一覧

22

入

1〈第7図〉春機の全回路図．基板に電源を持続するだけで完成する

▼〈第6図〉

入力に並列にCR直列回路を入れて高域をカット

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T c21

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で100nA．最大で500nAです．

基板面積から，搭載するオペアンプ

数は9個とし，それぞれが2回路，

合計18回路ですので　入力バイア

ス電流は標準で1．81JA，最大で9〟

Aとなります．

SEMITEC（旧石塚電子）社の定電流

ダイオードのうち，電流最小のもの

はE－101で50－2101JAです6）．

最悪のケースでは約4：lに分流し

なければなりませんので　2．2MQ

部品名 部品番号 メーカ 型式 個数 購 入店

パラレルワール ド基板 A E D Io 1 A E D l o

金属皮膜抵抗 （lW ） R l タクマン R E Y 7 5 10 k fI 1 千石電商

金属皮膜抵抗 （1／4 W ）R 2 タクマン R E Y 2 5 2．2 M n 1 海神無線

多国語半田定 抵抗 R 3 B o u n s 3 2 9 6 W 5 0 0 k Q 1 秋月電子

金属皮膜抵抗 （1／2 W ）R 4，5．12，13，2 0．2 1，2 8 ，2 9，3 6，3 7 4 4 ，

4 5．5 2．5 3 ．6 0．6 1．6 8．6 9タクマン R E Y 5 0 3 3 Il 18 海神無線

金属皮膜抵抗 （1／2 W ）R 6 ，9，14．17 2 2 ，2 5．3 0，3 3，3 8，4 1，4 6，

4 9 ．5 4．5 7 6 2 ．6 5．7 0 ．7 3タクマン R E Y 5 0 10 0 n 18 海神無線

金属皮膜抵抗 （1／2 W ）R 7 10，15 ．18，2 3 ，2 6 ，3 13 4 ，3 9 ，4 2，4 7，

5 0 ．5 5．5 8 ．6 3 ．6 6．7 1．74タクマン R E Y 5 0 2 k Q 18 海神無線

金属皮膜抵抗 （1／2 W ）R8 ，11，16 ，19，2 4，2 7，3 2，3 5 ，4 0，4 3 ，4 8，

5 1．5 6 ．5 9．6 4 ．6 7．7 2 ．7 5タクマン 申 Y5 0 2．2 （l 18 海神無線

金属皮膜抵抗 （1／2 W ）R7 6 タクマン R E Y 5 0 3 3 億 1 海神無線

ケミコン c l．C 2 ニチコン FG 16V 2 20 0 uF 2 海神無線

ケミコンC 3．C 4．C 5，C 6，C 7，C 8，C 9．c lO，C ll．C 12，

C 13．C 14．C 15．C 16．C 17 c 18．c 19．c 20ニチコン FG 16 V 4 7 0 u F 18 海神無線

フイルムコン C 2 1 A S C X 3 6 3 0．0 1u F 1 海相無線

ダイオード D l．D 2．D 3．D 4 ． 富士電機 E R C 8 1－0 0 4 4 若松通商

ダイオード D 5 S E M T E C E －1 0 1 1 秋月電子

iC ソケット iC l．lC 2．IC 3．IC 4．iC 5．lc 6．ic 7．ic 8．lc 9 P re c iD io R llO＿8 71s P 9 1

ラ　ジオ技術

抽さ窯莞測器的霊生業警嘉嵩鵬臓器、中仙

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負荷抵抗（0 ）

最大出力（W ）

2 0 H z 1 k H z

2 1．4 1 ．4

4 2 ．3 2 ．6

8 6 ．0 6 ．4

〈第3表〉負荷対出力特性

チでは，ランプは24V用となりま

すが　明るすぎるので12V供給と

しています．

第8図にフロント・パネル，リア・

パネル，シャーシ加工図を示します．

タカチUC26－7－20DDにシャーシ

UCC26－20を載せて組み込みまし

た　これに入出力端子とパラレル・

ワールド基板を酉粥！すればパワー・

アンプができあがります．基板の組

立ては．イーデイオ社のマニュアル7）

を参都こしてください．

なお．基板の裏側のジャンパー接

続を忘れないようにしてください．

シャーシのGNDは左右の入力ジ

ャックのGNDからシャーシに1点

で接続します．

特性－出力は2．6W4Q

AC電圧102．8V時にDC電源電

圧が±14．4Vでした　しかし，最

大出力時には±12．2Vまで下がる

ため，雄〕負荷で2．6Wと目標を若

干下回りました（第3表）．CRフィル

タによる低い周波数での出力減少が

ないかを確認するため，20Hzでも

測定しましたがlkHz時とほぼ同

じとなりました．

第9図に周波数特性を示します．

0．3VとlV出力でのカットオフ周

波数は約250kHz．2．8V出力では

100kHzと下がりますが　これはオ

ペアンプのスルー・iレートによる制

約です．

第10－12図にひずみ特性を示

します．80，4Q，2Qと，負荷が

重たくなるにつれてひずみも増加し

ています．いずれも10kHz，20

24

（＞）出騨尺遍

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周波数（Hz）

〈第9図〉出力別の周波数特性．最大出力でカットオフは100kHz

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0

　

　

　

…

（ざ）柑おも日出幅低利

0．1

出力電力（W）

〈第10図〉負荷8Qでの周波数別の雑音ひずみ率特性

10

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0．01　　　　　　　　　　0．1　　　　　　　　　　1出力電力（W）

〈第11図〉負荷4露での周波数別の雑音ひずみ寧特性

ラ　ジオ技術

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〈第12図〉負荷2露での周波数別の雑音ひずみ率特性

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オペアンプ敵

kHzが大きくなっていますが　出力

段のドライブ電流が不足しているた

めと考えられます．前作オペ・パワ

ー・アンプよりもひずみが増加して

いますが　これはパラレル数が少な

いために，オペアンプ1つあたりの

負荷が重くなっているからでしょ

う．いずれにしても，オペアンプに

とっては想定外の低負荷抵抗値です

が聴感上まったく問題ありません．

本機の例ではありませんが　パラ

レル・ワー）レド基板を±15．0Vの

定離電源で駆動したときの，並列

接続枚数による出力変化を第13図

に示します．この場合，1枚の基板

で3．1W出力（4Q負荷）となります．

また，パラレル・ワールド基板は

入出力を並列に接続できます．2枚

3枚と並列数を増やすと40負荷で

AUG．　2014

30　　　　40

〈第13図〉オペアンプの数と出力の関係．40m負荷でも12コ並列くらいが最適

は8．8W，12．6Wと出力は増加し

ます．これ以上は出力電圧の限界と

なりますので　4枚に増やしても

13．4W止まりです．出力増加を狙

うのであれば　3枚並列が妥当でし

ょう．

もちろん，電源トランスはそれぞ

れの基板に十一の2個を用意します．

電源CRフィルタは聴感上効果あり

ますが　電源トランスの分離はそれ

以上の効果をもたらします．

オペ・パワー・アンプよりも

透明感のある音

前作のオペ・パワー・アンプより

も，さらに透明感のある音です．ひ

ずみが増えているのに音がよくなる

はすかない，などと数字信奉者から

批判されそうですが　私は自分の聴

感を信じます．パラレル・ワールド

基板のオペアンプ数を変えればク

リップさせない限り，同一条件で

ひずみ率変化による音の差が体験で

きます．が「数字信奉者にもひずみ

の増減は聴こえない」と断言します．

音が変ったのには．トロイダル・

トランスからEIコア・トランスに

変更したことも効いています．さら

に．電源CRフィルタの効果が大で

す．多数をパラレル接続すると，よ

くいえばにぎやかに，悪くいえば騒

がしさが生じるのですが　派手さが

抑えられます．電源フィルタのRを

シャントすればCRフィルタをなく

せますが　透明度が違いますので

省略できません．

あるかたの評価．「DACのすぐ後

にヘッドホンをつないで聴いたのと

同じ情報量が　ちゃんとスピーカか

ら出ている不思議なアンプ」は　ま

さにそのとおり，と感じます．よけ

いな音のしないパワー・アンプです．

いろいろ妥協していますが　まだま

だ可能性のある方式と思います．

パラレル・ワールド基板は　イー

デイオ（info＠aedio．co．jp）より販売し

ています．ぜひお試しください．

【参考質料】

①別府俊幸「オペ・パワー・アンプ

を作る／ラジオ技術」2013－3，

pp．50－55

②MUSESO2　③MUSES8820

④NJM4580データシート，2009（以

上新日本無線）

⑤CRDデータシートSEMITEC，

2011http：／／www．semitec．co．jp／

2011／03／02／products／led＿de－

Vice／crd＿113I＿alL．pdf

⑥パラレル・ワールド基板組立て説

明書，AEDIO．http：／／www．ae－

dio．cojp／beppu／RG／PW－P2Manu一

山p揖

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