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インドネシアの炭鉱開発と輸送インフラ整備動向調査
令和2年8月24日
④
令和元年度JOGMEC石炭開発部成果報告会海外炭開発高度化等調査
報告概要調査の目的 本調査では超高発熱量炭が賦存するカリマンタン島内陸部の石炭輸
送に関して、本邦企業のインドネシアの石炭上流投資判断に資する情報提供を行い、カリマンタン島内陸部炭鉱への投資を促進する
実施事項 カリマンタン島内陸部の石炭輸送における問題点を整理し、可能な限り問題点を定量的に調査
結果 • 東カリマンタン州の超高発熱量炭はMahakam川沿いのMelakとBarito川沿いのMuara Tewehの間の地域、及びKedang Pahu川とMahakam川の合流点付近に賦存。一部、石炭輸送用バージの大きさの制約があるものの、年中石炭輸送が可能。
• 中央カリマンタン州の超高発熱量炭はBarito川上流部に賦存、Barito川経由で輸送されている。もともと水深が浅くバージの大きさに制限があり、さらに乾季には水位が低下して年間で正味5ヶ月程度石炭輸送ができなくなる。この問題を解決するため、Mahakam川(東カリマンタン州)を経由して石炭を輸送する構想があるが、中央カリマンタン州政府がこれを認めていない。
1
カリマンタン島内陸部における超高発熱量炭の賦存状況
2
PKP2B 操 業段階
PKP2B 探 査段階
IUP 操業 段階
IUP 探査 段階
東カリマンタン州
北カリマンタン州
Belayan川 Kedang Kepala川
Kedang Pahu川Barito川
Kapuas川
0 km 100 km 200 km
超高発 熱量:> 7,100 kcal/kg 気 乾ベース (> 6,600 kcal/kg 高 位到着ベース )
高発熱 量:6,100~7,100 (5,700~6,600)
中発熱 量:5,100~6,100 ( 4,700~ 5,700)
低発熱 量:≦ 5,100 (≦ 4,700)
Samarinda
Muara Teweh
Melak
Balikpapan
州境
Borneo Prima炭 鉱
州境
州境
州境
中央カリマンタン州
Barito川最上流部
Kapuas川上流東部
東カリマンタン州・
中央カリマンタン州境
Kedang Pahu川下流
Mahakam川
州境
拡大
北カリマンタン州
東カリマンタン州
中央カリマンタン州
東カリマンタン州中央カリマンタン州境
Kedang Pahu川下流
Barito川最上流部
Kapuas川上流東部
カリマンタン島内陸部の石炭輸送はバージ輸送距離が長く、輸送コストが高い
3
Jetty ISP
積出港 中間貯炭場
輸送距離 km 140 貯炭・積込み 334 貯炭・積替え 積替え 731
輸送単価 US$/トン・km 0.1 1.75 0.03 3.39 0.01 0.3 1.64
輸送コスト US$/トン 14 1.75 10.0 3.39 2.57 0.3 1.64 33.7
本船 合計
257
トラック バージ バージ 航路浚渫
Mahakam川の石炭輸送の制約①バージの大きさ
4
Samarinda市Mel ak
Mahakam川
Kedang Kepala川 Kedang Rantau R.
中央カリマンタン州
東カリマンタン州
62
140
155
140
38
Harindo Wahana Jetty
2018年実績平均
通年5,275t
雨季最大船型 300ft(7,500t)
乾季最小船型 270 ft(5,300t)
Kedap Sayaaq Jetty 2018年実績
Belayan川
0 km 100 km 200 km
通年3,500t
Trubaindo Coal Jetty 2018年実績
通年320ft(9,200t)
Bangun Olah Sarana Sukses
Jetty 2018年実績
最 上流
上 流
Kedang Pahu川
中流
下 流
デルタ 地帯
州境
州境
東カリマンタン州
中央カリマンタン州
Mahakam川の石炭輸送の制約②Samarinda市近郊の橋の下の通過
Mahkota橋下流で潮待ちする空荷バージ群
パイロット強制区間 1)の3橋の通行可能時間2)
Hulu Mahakam橋上流で潮待ちする荷有りバージ群 5
1 ~ 2 8:00 ~ 12:00 4時間 13:00 ~ 17:00 4時間
3 ~ 4 9:00 ~ 13:00 4時間 14:00 ~ 18:00 4時間
5 ~ 6 13:00 ~ 17:00 4時間 7:00 ~ 12:00 5時間
14:00 ~ 18:00 4時間 7:00 ~ 12:00 5時間
8 ~ 13 6:00 ~ 10:00 4時間 11:00 ~ 15:00 4時間
14 ~ 15 7:00 ~ 11:00 4時間 12:00 ~ 17:00 5時間
16 ~ 17 8:00 ~ 12:00 4時間 13:00 ~ 18:00 5時間
18 ~ 19 11:00 ~ 15:00 4時間 6:00 ~ 10:00 4時間
20 ~ 21 14:00 ~ 18:00 4時間 7:00 ~ 12:00 5時間
6:00 ~ 10:00 4時間 11:00 ~ 16:00 5時間
23 ~ 29 6:00 ~ 10:00 4時間 11:00 ~ 15:00 4時間
7
22
荷有りバージ 下流へ 空荷バージ上流へ日付
注:2020年2月のデータ注1):通航に熟練パイロット、アシストボートのサポートが必要な区間注2):流れと同一方向のバージ運行は姿勢制御が困難なため、流れに逆行する時間帯のみ通行可能
【 Samarinda市街】
Tenggarong 橋
Hulu Mahakam 橋
Mahakam 橋(新・ 旧)
Mahkota橋
橋 脚 間 隔
Hulu Mahakam橋
旧Mahakam橋
Mahkota橋
パイロット強制区間の3橋
タグボート
アシストボート
バージ
100秒
300秒
旧Mahakam
橋
Mahakam川の石炭輸送の制約②
旧Mahakam橋の下を通行可能なバージ数【実測】・タグボート、バージ、アシストボートが橋の下を通過するのに要する時間:100秒/隻・バージの間隔:300秒/1隻
【推計】・バージの接触を避けるために確保すべきバージ間の間隔:200秒/隻・橋の下の通行可能隻数:4時間/日÷200秒×30.5日/月=2,196隻/月
Samarinda市近郊の橋の下の通過
パイロット強制区間の運行体制
6
Mahakam川の石炭輸送の制約②
区域別石炭輸送量とバージ数(2018年10月)
Samarinda市近郊の橋の下の通過
旧Mahakam橋下の輸送能力利用率1,433隻/2,196隻=65%石炭輸送:1,308隻石炭以外: 125隻
Mahakam川の石炭輸送能力1,998隻/月×6,700トン/隻+282.1万トン/月=1,620.8万トン/月
全バージ数の内、石炭輸送バージ数2,196隻/月×91%=1,998隻/月
平均石炭積載重量:6,700トン/隻
旧Mahakam橋より下流からの石炭出荷量:282.1万トン/月
Melakパイロット強制区間の3橋の位置
Jetty区域
7
Barito川の石炭輸送の制約①超高発熱量炭賦存地域とBarito川の位置
8
超高発熱量:> 7,100 kcal/kg 気乾ベース(> 6,600 kcal/kg 高位到着ベース )
高発熱量:6,100~7,100 (5,700~6,600)
中発熱量:5,100~6,100 (4,700~5,700)
低発熱量:≦ 5,100 (≦ 4,700)
PKP2B 操業段階
PKP2B 探査段階
IUP 操業段階
IUP 探査段階
東カリマンタン州
Barito川
Kapuas川
0 km 100 km 200 km
州境Borneo Prima炭 鉱
中央カリマンタン州
Barito川最上流部
Kapuas川上流東部
東カリマンタン州・
中央カリマンタン州境
Mahakam川
州境
東カリマンタン州中央カリマンタン州境
Barito川最上流部
Kapuas川上流東部
Barito川の石炭輸送の制約①Barito川上流の水深
(km)
Puruk Cahu 0
Laung Tuhup 145
Talio 344
Barito川河口 609
数値はPuruk Cahuからの距離(km)
120ft
(1,000トン)
雨季
通年
230ft
(4,000トン)
乾季(水位条件が整った時だけ通航)
Taboneo
(洋上積替点)630
Bangkuang 373
地点
延べ
距離
積替
330ft
(10,000トン)
就航可能バージ
9
PurukCahu
MuaraTeweh
Buntok
Bangkuang
Marabahan
Banjarmasin
Kandagan
Rantau
Banjarbaru
Martapura
Barabai
Amumtai
KualaKapuas
PalangkaRaya
Barito川.
Barito川Kapuas川.
KahayanR.
TanjungKelanis
Negara川
PataiR.
南カリマンタン州
東カリマンタン州
中央カリマンタン州
Merdeka橋
HasanBasri橋
Kalahien橋
Rumpiang橋
Barito橋
1
2
3
4
26
24
1923
11
168
27
1817
14
9
21
12
7
156,29
5
10
1325
22
2820
LaungTuhup(MGMJetty)
Tarusan
(浅瀬)
330ft (10,000t)
通年
230ft (4,000t)雨季のみ(水位条件が整えば乾季の一時運行可)
120ft(1,000t)雨季のみ(水位条件が整えば乾季の一時運行可)
Tanjung
196
AGM
AGM
210
214
239
206
209
239
245
223
207
ISP群
176
4
253
177
Batanjung
0km
100km
200km
Taboneo
JangkangJetty
ISP
浚渫水路
15km
RanggaIlung
Talio
南カリマンタン州
州境
州境州境
州境
州境
Barito川.
中央カリマンタン州側は水深が浅いため、南カリマンタン州側を通航する
Barito川の石炭輸送の制約②乾季のバージ輸送
Barito川の水位(Muara Tewehの水位計で計測)
Muara Tewehの水位計
1年の内バージが航行できる日数Muara Teweh:6割Puruk Cahu:3~4割
Barito川
10
カリマンタン島内陸部の超高発熱量炭輸送の制約条件まとめ
超高発熱量炭の賦存地域
東カリマンタン州Mahakam川
中央カリマンタン州Barito川
東カリマンタン州中央カリマンタン州の州境
Kedang Pahu川周辺
水深 Melakより上流で通年5,275トン/隻のバージを使用するJettyがある
3,500トン/隻積載 Puruk Cahuより下流では4,000トン/隻、上流では1,000トン/隻
乾季の影響 雨季に7,500トン/隻のバージが使えるJettyで乾季に5,300トン/隻のバージを利用している事例を確認
なし Muara Tewehでは1年の内6割が通航可能Puruk Cahuでは1年の内約3~4割が通航可能
橋の下のバージの通航
Samarinda市郊外の橋の下の通航は4時間/日に制限されている
なし
11
Barito川最上流部の炭鉱の石炭輸送
12
Mahakam 川
Puruk Cahu
Melak
169
170
173175
175
176
182
182
184
190
170
140
62
PKP2B 操業段階
PKP2B 探査段階
IUP 操業段階
IUP 探査段階
0 km 100 km 200 km
Borneo Prima
Juloi
Kalteng
Ratah
PariSumber Barito
Maruwai
Lahai
Marunda Graha Mineral
Gunung Bara Utama州境
州境
東カリマンタン州
東カリマンタン州
中央カリマンタン州
Barito 川
拡大
中央カリマンタン最上流部の炭鉱のMahakam川/Barito川経由石炭輸送コスト比較
Borneo
Prima炭鉱
Muara Bumban Jetty
Barito
ISP
8,000~
10,000t積
浚渫
Muara BerauTaboneo
Teluk Timbau ISP
Melak Jetty
187km(300-400t積み)
140km(30t積み)
Mahakam
2,500~
4,000t積
8,000~
10,000t積
334km
443km591km
257km
ⅰ Barito川使用 140 334 貯炭・積替 731km
ⅱ Mahakam川使用 187 630km
輸送コスト ⅰ Barito川使用 14.0 1.75 10.0 3.39 2.6 0.3 1.64 33.7US$/トン
US$/トン ⅱ Mahakam川使用 18.7 1.75 1.64 26.5US$/トン
※1:計画ではⅰは30t積み、ⅱは300~400t積みメガトラックであるが、比較のため15t積みトラックに統一 ※4:Barito川河口のみ
※2:ⅰは2,500~4,000tの小型バージ、ⅱは8,000~10,000tの大型バージ使用
※3:両者とも8,000~10,000tの大型バージ使用
4.4
積替
本船ISP
3.39US$
/トン
443
257
0.01US$
/トン・km 1.64US$
/トン
0.3US$
/トン
0.03US$
/トン・km
0.01US$/トン・km
トラック
※1
バージ
※2
バージ
※3
浚渫航路
※4合計Jetty
輸送距離
(km)
輸送単価0.1US$
/トン・km
貯炭・積込
1.75US$
/トン
ⅰ Barito川使用
ⅱ Mahakam川使用
Mahakam川を経由した方が7.2 US$/トン安い。
13