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1 2019 年 6 月 20 日 博報堂金融マーケティングプロジェクトでは、変化の激しい金融分野において、市場環境や生活者の意識・行動にどのような 変化が起きているかを把握するため、生活者調査を実施しています。 今回は、多くの事業者による新たなサービスの発表や大型キャンペーンの実施に伴い、生活者の中でも急速に存在感が高 まっている「モバイル決済サービス(携帯電話を接触させたり、コードを表示したりして決済を行うサービス)」をテーマに、 2 万人を対象にモバイル決済サービスに対する意識・利用実態について調査しました。 モバイル決済に関する生活者調査のポイント 1ヶ月以内にモバイル決済サービスを利用したと答えた生活者は 20.0%にのぼり、調査対象者である 20~69 歳男女 のおよそ 5 人に 1 人がモバイル決済サービスを利用している状況が明らかになりました。 サービス種別で最も利用率が高かったのは、「QR コード決済」(9.0%)。市場の中では後発組の QR コード決済が モバイル決済市場に大きな変化をもたらしていることが推察されます。 1 ヶ月以内のモバイル決済利用率は、首都圏で 21.8%、首都圏以外で 19.3%と、首都圏の方がやや高いものの、 首都圏以外でもモバイル決済が浸透しつつある状況が明らかになりました。 モバイル決済サービスを利用していない層の利用意向率は、首都圏で 12.0%、首都圏以外で 12.2%と、利用率と同 様、大きなエリア差はなく、今後も全国的にモバイル決済サービスの普及が進むと考えられます。 モバイル決済サービスの利用理由としては、「支払いが簡単にできるから」(59.9%)、「レジでの決済が早く済むから」 (55.9%)と、“決済そのものの簡便化”に関する項目が TOP2 となっています。 「現金を持ち歩かなくてもよいから」(44.9%)、「小銭やポイントカードなど、財布の中身を減らせるから」(38.3%)、 「よく利用する店舗で利用できるから」(30.9%)など、普段の買い物に現金を持ち歩かず、極力財布の中身も減らし たいという“ミニマムウォレット化”に関する項目も上位に上がることが分かりました。 本プロジェクトでは、将来的には財布を持ち歩かなくて済む“ウォレットレス化”なども含め、決済前後の利便性向上に資する サービスをどのように提供していくかが「モバイル決済サービス」普及のカギになる可能性があると考えています。 博報堂金融マーケティングプロジェクト モバイル決済に関する生活者調査を実施 QR コード決済を中心に、約 2 割の生活者がモバイル決済サービスを利用 “決済そのものの簡便化”に加え、“ミニマムウォレット化”を求める生活者中心に普及が進む モバイル決済サービスの 利用実態 QR コード決済を中心に、約 2 割の生活者がモバイル決済サービスを利用 首都圏と首都圏以外での 利用・利用意向率比較 首都圏居住者と首都圏以外居住者で利用率や利用意向に大きな差はない ※首都圏を 1 都 3 県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)として集計を実施。 モバイル決済サービスの 利用理由 “決済そのものの簡便化”に加え、“ミニマムウォレット化”を求める利用者が多い 【本件に関するお問い合わせ】 博報堂 広報室 佐藤・江渡 TEL.03-6441-6161

モバイル決済に関する生活者調査のポイント博報堂金融マーケティングプロジェクト モバイル決済に関する生活者調査を実施 qrコード決済を中心に、約2割の生活者がモバイル決済サービスを利用

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Page 1: モバイル決済に関する生活者調査のポイント博報堂金融マーケティングプロジェクト モバイル決済に関する生活者調査を実施 qrコード決済を中心に、約2割の生活者がモバイル決済サービスを利用

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2019 年 6 月 20 日

博報堂金融マーケティングプロジェクトでは、変化の激しい金融分野において、市場環境や生活者の意識・行動にどのような

変化が起きているかを把握するため、生活者調査を実施しています。

今回は、多くの事業者による新たなサービスの発表や大型キャンペーンの実施に伴い、生活者の中でも急速に存在感が高

まっている「モバイル決済サービス(携帯電話を接触させたり、コードを表示したりして決済を行うサービス)」をテーマに、

2 万人を対象にモバイル決済サービスに対する意識・利用実態について調査しました。

モバイル決済に関する生活者調査のポイント

• 1ヶ月以内にモバイル決済サービスを利用したと答えた生活者は 20.0%にのぼり、調査対象者である 20~69 歳男女

のおよそ 5 人に 1 人がモバイル決済サービスを利用している状況が明らかになりました。

• サービス種別で最も利用率が高かったのは、「QR コード決済」(9.0%)。市場の中では後発組の QR コード決済が

モバイル決済市場に大きな変化をもたらしていることが推察されます。

• 1 ヶ月以内のモバイル決済利用率は、首都圏で 21.8%、首都圏以外で 19.3%と、首都圏の方がやや高いものの、

首都圏以外でもモバイル決済が浸透しつつある状況が明らかになりました。

• モバイル決済サービスを利用していない層の利用意向率は、首都圏で 12.0%、首都圏以外で 12.2%と、利用率と同

様、大きなエリア差はなく、今後も全国的にモバイル決済サービスの普及が進むと考えられます。

• モバイル決済サービスの利用理由としては、「支払いが簡単にできるから」(59.9%)、「レジでの決済が早く済むから」

(55.9%)と、“決済そのものの簡便化”に関する項目が TOP2 となっています。

• 「現金を持ち歩かなくてもよいから」(44.9%)、「小銭やポイントカードなど、財布の中身を減らせるから」(38.3%)、

「よく利用する店舗で利用できるから」(30.9%)など、普段の買い物に現金を持ち歩かず、極力財布の中身も減らし

たいという“ミニマムウォレット化”に関する項目も上位に上がることが分かりました。

本プロジェクトでは、将来的には財布を持ち歩かなくて済む“ウォレットレス化”なども含め、決済前後の利便性向上に資する

サービスをどのように提供していくかが「モバイル決済サービス」普及のカギになる可能性があると考えています。

博報堂金融マーケティングプロジェクト モバイル決済に関する生活者調査を実施

QR コード決済を中心に、約2割の生活者がモバイル決済サービスを利用

“決済そのものの簡便化”に加え、“ミニマムウォレット化”を求める生活者中心に普及が進む

モバイル決済サービスの 利用実態

QR コード決済を中心に、約 2 割の生活者がモバイル決済サービスを利用

首都圏と首都圏以外での 利用・利用意向率比較

首都圏居住者と首都圏以外居住者で利用率や利用意向に大きな差はない

※首都圏を 1 都 3 県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)として集計を実施。

モバイル決済サービスの 利用理由 “決済そのものの簡便化”に加え、“ミニマムウォレット化”を求める利用者が多い

【本件に関するお問い合わせ】 博報堂 広報室 佐藤・江渡 TEL.03-6441-6161

Page 2: モバイル決済に関する生活者調査のポイント博報堂金融マーケティングプロジェクト モバイル決済に関する生活者調査を実施 qrコード決済を中心に、約2割の生活者がモバイル決済サービスを利用

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【主要参考データ】

• 1ヶ月以内にモバイル決済サービスを利用したと答えた生活者は 20.0%にのぼり、調査対象者である 20~69 歳男女

のおよそ 5 人に 1 人がモバイル決済サービスを利用している状況が明らかになりました。

• サービス種別でみると、QR コード決済(9.0%)、キャリア決済(7.5%)、スマホ等に設定したクレジットカード

(4.9%)の順で利用率が高くなっていることが分かりました。

• エリア別のモバイル決済サービス全体の利用率は、首都圏(21.8%)と首都圏以外(19.3%)で大きな差はない

一方、「スマホ等に設定した交通系 IC カード」の利用率は首都圏(8.1%)と首都圏以外(2.8%)で約 5.3 ポイ

ントの差があり、利用されているサービスに違いがあることが明らかになりました。

• モバイル決済サービス利用者の男女比を見ると、男性が 55.6%で全体よりもやや男性比率が高いという結果になりまし

た。また、年代別に見ると、男性 40 代(14.3%)、男性 30 代(13.7%)、女性 30 代(11.6%)の順に構成

比が高くなっていました。

• 世帯年収では、400~600 万円未満の構成比が最も高く 19.9%を占めるものの、全体と比較すると 600 万円以上

の比率が高くなっていることが明らかになりました。

モバイル決済サービス利用率

モバイル決済サービスの利用状況 ※1 ヶ月以内利用ベース

モバイル決済サービス利用者の基本属性

全体 (20,000)

モバイル決済

現利用者(4,001)

全体 (20,000)

モバイル決済

現利用者(4,001)

7.9

9.9

9.9

13.7

11.6

14.3

9.6

10.5

11.0

7.2

7.6

10.9

9.7

11.6

11.4

10.1

9.7

7.1

11.6

4.7

0% 50% 100%

男性20代 男性30代 男性40代 男性50代 男性60代

女性20代 女性30代 女性40代 女性50代 女性60代

7.6

5.5

20.0

17.4

20.0

19.9

13.0

14.9

7.4

9.3

3.6

4.9

2.1

2.9

1.4

10.8

8.1

13.9

14.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

200万円未満 200~400万円未満 400~600万円未満

600~800万円未満 800~1000万円未満 1000~1200万円未満

1200~1500万円未満 1500~2000万円未満 2000万円以上

わからない 無回答

男性55.6% 女性44.4%

n=

モバイル

決済計

QRコード

決済

キャリア

決済

スマホ等に

設定した

クレジット

カード

スマホ等に

設定した

交通系IC

カード

スマホ等に

設定した

流通系IC

カード

スマホ等に

設定した

その他IC

カード

スマホ等に

設定した

デビット

カード

(20,000) 20.0 9.0 7.5 4.9 4.3 2.7 1.7 0.8

首都圏(一都三県) (5,576) 21.8 10.1 6.9 5.5 8.1 3.1 1.9 0.9

首都圏以外 (14,424) 19.3 8.6 7.7 4.6 2.8 2.5 1.6 0.8

全体

0%

5%

10%

15%

20%

25%

全体 首都圏以外 首都圏(一都三県)

性年代別 世帯年収別

Page 3: モバイル決済に関する生活者調査のポイント博報堂金融マーケティングプロジェクト モバイル決済に関する生活者調査を実施 qrコード決済を中心に、約2割の生活者がモバイル決済サービスを利用

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• モバイル決済サービスの利用頻度では、1 日に 1 回以上利用する層が 18.6%、平均すると週 3.3 回程度利用されて

いることが分かりました。

• エリア別に比較すると、首都圏では平均週 4.5 回程度利用されているのに対し、首都圏以外では週 2.8 回程度となっ

ており、首都圏の方が利用頻度が高いことが明らかになりました。

• モバイル決済サービスの利用理由は、「支払いが簡単にできるから」(59.9%)、「レジでの決済が早く済むから」

(55.9%)と、“決済の簡便化”に関する項目が TOP2 となっています。

• 「現金を持ち歩かなくてもよいから」(44.9%)、「小銭やポイントカードなど、財布の中身を減らせるから」(38.3%)、

「よく利用する店舗で利用できるから」(30.9%)など普段の買い物に現金を持ち歩かず、財布の中身も減らしたいとい

う“ミニマムウォレット化”に関する項目も上位となりました。

• エリア別に見ると、首都圏が「オートチャージだから」(16.8%)と首都圏以外と比較し約 7.4 ポイント高いなど、傾向差

があることが見えてきました。その要因として、モバイル決済サービスの利用状況における首都圏の「スマホ等に設定した交

通系 IC カード」の利用率(8.1%)の高さ(首都圏以外=2.8%より約 5.3 ポイント差)が考えられます。

モバイル決済サービスの利用頻度 ※1 ヶ月以内利用者ベース

モバイル決済サービスを利用している理由

n=

使

使

(1,040) 59.9 55.9 44.9 38.3 30.9 26.0 25.6 18.1 15.4 11.5 10.0 8.8 7.0 5.3 5.3 4.3 2.8

首都圏(一都三県) (308) 61.7 58.0 49.3 37.2 33.3 30.1 27.3 19.2 18.4 16.8 11.9 6.3 6.8 3.9 5.7 3.9 2.7

首都圏以外 (732) 59.1 55.1 43.2 38.7 30.0 24.3 24.9 17.7 14.2 9.4 9.2 9.8 7.0 5.8 5.1 4.5 2.9

2.5 2.8 6.1 -1.5 3.3 5.8 2.4 1.5 4.2 7.4 2.7 -3.5 -0.2 -2.0 0.6 -0.7 -0.2

モバイル決済現利用者全体

差分(首都圏ー首都圏以外)

n=308

1日に3回以上

5.5%1日に2回程度

10.0%

1日に1回程度

10.7%

週に4~5回程度

10.4%

週に2~3回程度

18.4%

週に1回程度

13.2%

月に2~3回程度

13.4%

月に1回程度

7.9%

それ以下の頻度

10.2%

n=1,040

1日に3回以上

3.1%1日に2回程度

5.4%

1日に1回程度

10.0%

週に4~5回程度

8.2%

週に2~3回程度

19.2%

週に1回程度

18.1%

月に2~3回程度

13.8%

月に1回程度

9.5%

それ以下の頻度

12.6%

n=732

1日に3回以上

2.2% 1日に2回程度

3.6%

1日に1回程度

9.7%

週に4~5回程度

7.3%

週に2~3回程度

19.6%

週に1回程度

20.0%

月に2~3回程度

13.9%

月に1回程度

10.2%

それ以下の頻度

13.6%

首都圏 首都圏以外

平均(週)

3.3回

平均(週)

4.5回

平均(週)

2.8回

1日に1回以上

18.6%

1日に1回以上

26.3%

1日に1回以上

15.5%

モバイル決済サービスの利用頻度

モバイル決済サービスを利用している理由 ※1 ヶ月以内利用者ベース

Page 4: モバイル決済に関する生活者調査のポイント博報堂金融マーケティングプロジェクト モバイル決済に関する生活者調査を実施 qrコード決済を中心に、約2割の生活者がモバイル決済サービスを利用

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• モバイル決済サービスを利用しはじめたきっかけは、「キャンペーンをやっていたから」(34.2%)、「ポイントやマイルが貯ま

りやすいから」(30.1%)、「特典が受けられるから(割引・キャッシュバックなど)」(23.9%)が上位となりました。

• モバイル決済サービスを利用する際の決済額について、PSM 分析(商品・サービスの適正価格帯を算出する分析手法)

を実施したところ、安すぎず、高すぎない最も受け入れられやすい理想価格は 1,413 円、高すぎると感じずに利用できる

上限価格は 9,942 円、安すぎて利用しづらい下限価格は、111 円であることが分かりました。

モバイル決済サービスを利用しはじめたきっかけ

モバイル決済サービスを利用しはじめたきっかけ ※1 ヶ月以内利用者ベース

モバイル決済サービスでの決済額

モバイル決済サービスでの決済額についての PSM 分析 ※1 ヶ月以内利用者ベース

モバイル決済利用者全体

(n=1,040)

首都圏(一都三県)

(n=308)

首都圏以外

(n=732)

キャンペーンをやっていたから

(34.2%)

キャンペーンをやっていたから

(34.5%)

ポイントやマイルが貯まりやすいから

(37.0%)

ポイントやマイルが貯まりやすいから

(30.1%)

ポイントやマイルが貯まりやすいから

(32.0%)

キャンペーンをやっていたから

(36.8%)

特典が受けられるから

(割引・キャッシュバックなど)

(23.9%)

特典が受けられるから

(割引・キャッシュバックなど)

(25.8%)

特典が受けられるから

(割引・キャッシュバックなど)

(27.9%)

よく利用する店舗で利用できるから

(18.4%)

使い方が分かりやすいから

(19.7%)

よく利用する店舗で利用できるから

(23.2%)

使い方が分かりやすいから

(14.7%)

よく利用する店舗で利用できるから

(19.1%)

使い方が分かりやすいから

(16.3%)

Page 5: モバイル決済に関する生活者調査のポイント博報堂金融マーケティングプロジェクト モバイル決済に関する生活者調査を実施 qrコード決済を中心に、約2割の生活者がモバイル決済サービスを利用

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<博報堂金融マーケティングプロジェクトとは>

大きく変化している金融サービスの生活者への浸透と、金融サービス提供者の競争力を高めるために設立された博報堂グルー

プの専門プロジェクト。金融機関サービス提供者の中長期的なマーケティング戦略やビジネス刷新に向けたソリューションの提供

を行っていきます。

具体的な活動内容(例)

① 金融カテゴリーにおけるアクチュアルデータを活用した顧客分析スキームの開発

② One to One マーケティング実践に向けたデータ基盤構築

③ テクノロジーの進化に合わせた顧客体験設計

④ お金にまつわる生活者の意識・行動変化を捉えたテーマ型調査の実施

【調査概要】

調査期間 : 【スクリーニング調査】 2019 年 2 月 28 日(木) ~ 2019 年 3 月 4 日(月)

【本調査】 2019 年 3 月 1 日(金) ~ 2019 年 3 月 2 日(土)

調査手法 : インターネットパネルを利用した定量調査

調査対象者 : 20~69 歳の男女

調査対象者数: 【スクリーニング調査】 20,000 サンプル

【本調査】 3,120 サンプル

※エリア別のモバイル決済サービス利用者の性年代構成比でウエイトバックして集計・分析

※エリア別のモバイル決済サービス利用者の性年代構成比でウエイトバック

※エリア別のモバイル決済サービス利用者の性年代構成比でウエイトバック