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シーアスパラガスで塩類集積を防ぐ
京都府立桂高等学校植物クリエイト科3年 平中 淳
土壌の機能
生産能力 浸水機能 地球温暖化抑制機能
人類または地球上の生物の生存に必要不可欠な機能がたくさん詰まっている
CO₂
耕作放棄地の増加
余剰水が溜まる
持続可能な農業の営みができない
将来の世界人口約90億人に対する食糧を賄えない
地球温暖化の要因に
大気中にCO₂が溜る
①農地 ②地域住民
灌漑農業による影響
塩害農地の現状
【原因:灌漑農業での不適切な排水管理】
1990年代
約4,500万ヘクタール
2014年
約6,200万ヘクタール
1年間で約71万ヘクタール増加
塩害の被害を受けた主な地域
・アラル海流域(中央アジア)
・インダス・ガンジス川流域(インド)
・インダス川流域(パキスタン)
・黄河流域(中国)など…
乾燥または
半乾燥地域の
農地が被害を
受けている
耐塩性植物のシーアスパラガスで塩類集積を防げないか
シーアスパラガスとは…
原産地
北アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど寒帯地域に広く分布
特徴
・海辺の砂地や沼地で育ち、塩類濃度30%でも平気⇓
塩味があり、生でも食べることが可能
・耐寒温度:3℃
・耐暑温度:27℃
・連作障害がない
日本では…・北海道の厚岸湖・瀬戸内海沿岸で希少種として自生している
シーアスパラガスの種をプランターに10粒播種し、温床で生育
栽培
・10粒中1粒しか発芽しなかった
・シーアスパラガスの発芽率は10%
結果
方法
シーアスパラガスの発芽率を上げる
①塩類集積の除塩
【問題点:植物の栽培】
天気
℃5040302010010
気温 潅水や温度調節などの
技術、知識がなければ栽培しにくい
高度な技術、専門家の指導が必要
水資源が豊富な地域
・リーチング・フラッシング
①塩類集積の除塩
【問題点:塩類集積の対策方法】
・スクレーピング・ファイトレメディエーション
水資源が乏しい地域
高価な機械を使用
多額の初期費用がかる
・高度な技術がなくても誰でも育てることができる
・高価な機械よりもお金がかかりにくい
塩類集積抑制の向上につながる
①塩類集積の除塩
発芽率が高く、環境条件に左右されにくいシーアスパラガスならば…
【問題点:土壌の生産機能の低下】
②作物や野菜を育てることができない
①塩類集積になると植生が低下
②食糧問題を解決
②食糧問題を解決
シーアスパラガスで除塩ができたら…
①土壌の生産機能が向上
②他の作物や野菜などが育てられる
食が豊かになる
【問題点:土壌劣化による環境への影響】
③環境保全
耕作放棄地が増加し、CO₂が大気中にたまる
保水、浸水機能の低下により圃場に水溜まりができる
水質・汚染物質が浄化されない
①土壌劣化を抑制または改善できる
②土壌機能が向上
豊かな環境となる
改善見込みのある畑や水田に限る
③環境保全
シーアスパラガスの発芽率を上げる現在の活動
①種を70%エタノールに30秒浸漬
②濃度1%の次亜塩素酸ナトリウムに1分間浸漬
③各試験区に置床
組織培養
A区 MS培地
B区 海水
C区 水
方法
現在も実験継続中
シーアスパラガスがどのようにSDGsへ寄与するのか
SDGsへの寄与
2:飢餓をゼロに
塩類集積を防ぎ、持続可能な農業ができる
畑や水田が使用不可になる可能性を下げる
土壌本来の機能を取り戻せる可能性が高い
食糧の生産性を上げ、食生活を豊かにできる
SDGsへの寄与
11:住み続けられるまちづくりを
塩類集積による食糧衰退を防ぐことができる
住民の方が生活困難になる可能性が低くなる
地域が経済破綻になる可能性を下げる
SDGsへの寄与
13:気候変動に具体的な対策を
耕作放棄地が減少
塩類集積を防ぐ 大気中に溜まるCO₂が減少
地球温暖化の進行を抑制する
SDGsへの寄与
15:陸の豊かさも守ろう
塩類集積による土壌劣化を防ぐ
土壌の機能を取り戻す
生態系を守る
豊かな自然を取り戻す
アイデアを実現するために必要なモノ・人
モノ
【したいこと】
・塩害農地でシーアスパラガスの生育調査を行う
・塩害農地でシーアスパラガスの除塩効果の調査を行う
・シーアスパラガスの除塩で土壌にどのような変化が起こるのかを調査する
【問題点】
日本には調査を行える塩害農地が少ない
モノ
農地をお借りするためには(日本の場合)…
①47都道府県に設置されている「農地中間管理機構」から借りたい農地を探す
②選んだ農地を「農地中間管理機構」に応募する
③「農地中間管理機構」に受け手として選んでもらう
④貸主と借主で契約を結ぶとともに農地に関する法律に基づいて農業委員会の許可を得る
⑤農地を借りることができる
(遊休農地検索サービス 農地の窓口より)
モノ
①土地を借りるには契約や申請が必要
②土地の利用目的次第で土地の貸し借りが左右される
③土地契約には時間がかかる
【問題点】
・研究目的で無償に借りることができる土地がない・調査用の土地の準備に時間がかかる
【提供してもらいたいモノ】
モノ
・シーアスパラガスの生育調査
・シーアスパラガスの除塩効果の調査
・除塩による土壌の変化の調査
この3つの調査を行うための塩害農地の提供
人
【問題点】
・土壌でのシーアスパラガスの栽培方法がまだ確立されていない
・シーアスパラガスの栽培面での管理方法がわからない
【依頼したいこと】
シーアスパラガスの栽培方法、管理方法の指導協力と情報提供
人
【現時点での状況】
シーアスパラガスの通年水耕栽培に成功された種苗会社とのコンタクトに成功
【今後について】
シーアスパラガスについてのお話を種苗会社の方にお伺いする予定
今後の計画
①発芽率が最も良かった試験区のシーアスパラガスを順化する
②種子を採取する
③塩類集積の圃場に蒔き、生育調査を行う
将来像
①開発途上国でシーアスパラガスを使用した土壌改善が進められている
②開発途上国の食糧生産が向上している
③人が住みやすく、自然が豊かな国と地域が増えている
参考文献
・世界の土・日本の土は今~地球環境・異常気象・食料問題を土からみると~(2015年)
・乾燥地における塩類集積の脅威と対策鳥取大学:乾燥地研究センター・特任教授:北村義信
・土壌とSDGs ~SDGs:持続可能な開発目標~京都府立大学:矢内純太(2019年)
・アジアの乾燥地灌漑農業における塩類土壌の特徴と塩類動態に関する研究筑波大学大学院:生命環境科学研究科:大森圭裕(2018年1月)
・塩害軽減のための浅層暗渠排水:技術マニュアル国際農林水産業研究センター、フェルメル評議会(2017年9月)
ご清聴ありがとうございました