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横手市におけるコンパクトシティに向けた取組み
平成 28年 3月 7日 横手市建設部都市計画課計画係
1、 はじめに
横手市におけるコンパクトシティに向けた取組みが実質的にスタートしたのは、平成 21
年 3 月に策定された横手市都市計画マスタープランによるものとなります。平成 17年 10 月
に 8 市町村の合併により誕生した新横手市では、全市一体的なまちづくりを進めることが急
務であるとともに、人口減少、少子高齢化が一層進行するなか、地域間の連携により共生し
ていくことを目標に、市域全域を都市マスの計画エリアとして位置づけています。
以前の横手市では、人口増加を前提として市街地を拡大する都市づくりを進め、住宅地や、
工業団地、商業業務用地の供給や道路、公園、下水道など都市基盤の形成を行ってきました。
一方、市街地の一部で農業地域における開発が行われ、自動車社会の進展等による中心市街
地や商店街における空洞化などの問題が顕在化してきました。
また、今後、人口増加が期待できない状況下においては、市街地の拡大に伴う道路、下水
道などの都市基盤の維持管理は財政を圧迫し、自動車利用の増加に伴う二酸化炭素排出量の
増大も懸念されます。
横手市都市計画マスタープランでは、地球環境や地域環境に配慮しつつ、人口減少・少子
高齢化への対応も含め、環境的にも経済的にも持続可能な都市づくりを行っていくことを目
標としています。
この横手市都市計画マスタープランの策定以降、これまでの横手市におけるコンパクトシ
ティに向けた取組みを、以下に報告します。
2、 都市計画決定の見直し
合併前の8市町村では、都市計画区域有りが4市町で、4町村については都市計画区域が
ありませんでした。横手市では、東部の奥羽山脈側と、西部の出羽山地側を除く、平坦地(横
手盆地)をすべて、都市計画区域とする見直しを、平成 22年 7月に行いました。
さらに、都市計画道路について、長期未着手路線多く存在したことから、平成 24年 4月に
は都市計画道路の見直しを行い、全部廃止路線 18 路線、一部廃止 5 路線、一部変更 20 路線
について、都市計画道路の変更を行いました。
3、 特定用途制限地域
横手市では、無秩序な宅地化や沿道利用等により市街地拡大の傾向が長年に渡り見られま
した。
無秩序な市街地の拡大は、居住環境や営農環境の悪化を招き、また、道路や下水道などの
整備や除雪などに新たなコストを発生させます。人口が減少し、財政規模が縮小しても維持
できるまちをつくっていくためには、土地の利用をコントロールして、市街地の拡大や建物
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用途の混在を防止する必要があります。このため、平成 24 年 4 月より、都市計画区域のう
ち用途地域の指定のない地域に特定用途制限地域を設定し、建築物の用途の制限を定めてい
ます。
中心市街地に近く、早期の市街化が見込まれる地域については「都市近郊型地区」、国道
13号沿いですでに一定規模以上の事務所・店舗がある地域では「沿道拠点型地区」、合併
前の旧町村の中心部は「地域拠点型地区」、それ以外のところを田園居住型地区」としてい
ます。
(ha)
横手市全面積 69,304
内、都市計画区域 28,018
内、用途地域 1,684.7
特定用途制限地域 約 26,153
内、都市近郊型地区 約 61 店舗・事務所 10000 ㎡以下等。
内、沿道拠点型地区 約 42 店舗・事務所 3000 ㎡以下等。
内、地域拠点型地区 約 655 店舗・事務所 3000 ㎡以下等。
内、田園居住型地区 約 25,395 店舗 1000 ㎡以下、事務所 1500 ㎡以下等。
用 途 地 域 特 定 用 途 制 限 地 域
都市近郊型 田園居住型
3
4、 横手市デマンド交通
■デマンド交通の導入経緯
全国的に公共交通の課題となっている、負のスパイラル(利用者減少⇒事業者の経営状況
悪化⇒減便・廃止⇒利用者減少へ)による交通空白地域の拡大については、横手市でも課題
となっていました。市民としてはバスの本数が少ない、バス停が遠い、となると利用したい
時に使えず、タクシーでは経済的に負担がかかり何度も利用できない問題があり、行政とし
ても交通空白地の拡大や料金収入の低下に行政負担額の増加が問題となっています。
■デマンド交通導入の目的
①高齢化に対応したモビリティの確保
・利便性の向上と各交通機関のネットワーク化
・交通空白・不便地域における交通手段の確保
②地域間連携の強化
・各地域内における市街地と周辺部の交通網整備
・市中心部と各地域間の交通網の維持発展
③将来にわたり持続可能な公共交通の確立
・既存路線の適時見直し、新たな交通手段や代替交通手段の検討
・行政負担水準の適正化
■デマンド交通の概要
・デマンド交通にはタクシーを使用(市内タクシー会社10社で各2台づつの20台を委
託)しており、タクシー料金とデマンド料金の差額を市が負担。(H24 年 4 月より試行、
H25年 10月より本運行)
・乗り合い交通のため、利用の1時間前までにタクシー会社へ予約し、利用者を経由する
形で運行を行っています。
・利用料金は1人乗車と複数乗車で異なります。1人乗車のときは走行距離でデマンド料
金を設定しており、近距離が利用しやすい価格としています。複数乗車のときは旧市町
村単位で8エリアに区切り、走行エリアにより料金設定をしています。
・デマンド交通と同時に市内循環バスを運行しています。
・市内循環バスは横手駅を中心とした市内の主要施設を循環する路線となっており、デマ
ンド交通と接続する結節点を設定し、市街地は市内循環バスに乗り換えてスムーズな移
動が可能となる構想でスタートさせています。(H25 年 10月より本運行)
・デマンド交通の運行は市内全域ですが、中心部はバスゾーンを指定しており、路線バス
と競合するためデマンド交通の乗降車ができない区域として設定しています。
■デマンド交通の利用状況
・運行回数(利用回数)については、利用者に浸透してきたことで増加しています。
・利用は土日より平日の利用が多い傾向があります。
・利用者の年代は70歳以上が多く、7割以上が同一エリア(地域内)での利用となって
います。
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・今後高齢化が進み、さらに周知されることにより利用は増加していくことが予想されま
す。
・使われ方として、病院・スーパーなどの拠点への移動、各エリア内の移動でも多く使わ
れています。(日常の足として利用されています)
■デマンド交通を導入してみて
・デマンド交通は使えば使うほど行政の負担が大きくなるが、公共交通全体の再編を考慮
すると、バス路線廃止に伴うデマンド交通の利用者増加と、バスへの市の補助金負担が
減ることでバランスがとれると考えています。
・高齢者の外出機会が増えることによる地域活性化の一助になればと期待しています。(中
心市街地への誘導)
・地域交通活性化計画をたてるなど、住民、行政、交通事業者による地域協働により公共
交通再生のための取り組みにつなげていきたい。
■今後の課題
・朝・夜の便数を増やすことや、病院への利用が多いことから病院への直通便など調整し
ていく予定です。
・乗り換えポイントでデマンドからバスへの乗り換え利用が増加していないという課題が
あり、バスへの乗り継ぎの煩わしさから市内はタクシー切り替え運行するケースがみら
れます。
・デマンド交通から循環バスへ乗継をスムーズにするための検討が必要です。
・乗り換えポイントに待合所を設置していきたい。
・無駄のない配車のために集中管理システム等を検討する必要があります。
5、 地域拠点整備 – 横手駅周辺地区都市再生整備計画事業
横手地域の中心市街地は、横手市内だけでなく県南地域の中核として古くより大きな役割
を担ってきました。しかし、横手駅周辺では、駅西側の土地区画整理事業による市街化が進
む中、駅東側における平鹿総合病院の移転、空き店舗の増加や人口減少、高齢化対策などの
課題を抱えていました。そのため、市では駅を挟んだ東西の均衡ある発展と、横手駅周辺地
区を生活や交流の場として再生し、「県南の中心都市にふさわしい駅周辺を中心とした魅力と
賑わいの再生」の実現のひとつの手段として、都市再生整備計画によるまちづくりを進めま
した。(H19 年度~23 年度)
■道路
①駅前 1号線(灯りロード A区間) H20~H22 L=162m、W=19m(歩車道舗装、照明灯、シェルタ
ー等)
②寿町上横山線(灯りロード B区間) H23 L=165m、W=17.0m(歩道舗装改良、植樹枡、照明
灯)
③大町三枚橋線(灯りロード C区間) H23 L=442m、W=10.0m(車道舗装改良、歩道カラー舗装)
5
④富士見大橋地下道 H19~H21 L=181m、W=4.0m(歩道舗装改良、照明灯、防犯カメラ、融雪装
置等)
■地域生活基盤施設
⑤四日町ポケットパーク H22~H23 A=466 ㎡(インターロッキング舗装、サークルベンチ、植栽、駐車場
等)
⑥横手駅西口駅前広場 H19~H23 A=7,500 ㎡(シェルター、照明灯、植栽、シンボルツリー等)
⑦横手駅東口駅前交流広場 H21~H24 A=5,200㎡(車道舗装、シェルター、照明灯、植栽、無散
水施設等)【繰越】
⑧横手駅西口駐輪場 H22~H23 A=624㎡(平面駐車場、330 台分)
⑨地域案内板 H23 中 2基、小 10基
⑩横手駅西口駐車場 H22~23 A=1,531㎡(平面駐車場、一般車 52 台分)
■都市施設、既存建造物活用事業
⑪横手駅東西自由通路 H19~H23 A=903 ㎡
⑫横手駅都市施設 H19~H23 A=390 ㎡(東口:298㎡、西口:92㎡)
⑬地域交流センター H22 A=921㎡(Y2ぷらざ内)
⑭横手駅東口駐輪場 H19~H20 A=2,268 ㎡(まごころ駐車場を改修、駐輪台数 759 台)
■地域創造支援事業
⑮地域交流センター H22 A=348㎡(健康の駅トレーニングセンター)
⑯横手駅橋上駅舎 H19~H23 A=482 ㎡(共用部分)
地域交流センター(愛称:Y2ぷらざ)は、ほぼ同時期に施工された「横手駅東口第一地区
第一種市街地再開発事業(2.1ha)」(組合施行)区域内に設置され、同区域内に整備された
バスターミナルや近接するJR横手駅へのアクセスが至便なこともあり、高齢者から高校生、
お子様連れなど、幅広い市民の交流の場として活用されており、中心市街地でのにぎわい創
出に役立っています。
6、 地域拠点整備 – 増田地区景観重点地区における街並み環境整備
事業
■重要伝統的建造物群保存地区の選定、景観重点地区の指定
・増田地区の中心部、中七日町通りに残る明治のはじめから戦前にかけて建てられた主屋
が軒を連ねる街なみは、今後の地域活性化に重要な役割を果たす歴史・文化系資源とし
てその保全やまちづくりへの活用が期待されています。この市街地のうち 10.6haは、
平成 25年 12月、文化財保護法に基づく「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されま
した。
さらに、重伝建地区とその外周部分 46.6haを、横手市景観計画(平成 24年 9年策定)
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に基づく「景観重点地区」に平成 27 年 4月に指定し、増田地区の市街地全体で景観のま
ちづくりを進めています。
■住民主体のまちづくり
・重伝建地区指定の動きに合わせ、地域住民の方にまちづくりに興味を持っていただくと
ともに、まちづくりを考える場として、平成 24 年度から年に 4~5 回のペースで「景観・
まちなみを考えるつどい(ワークショップ)」を開催しています。このつどいは、弘前大
学にご協力をお願いし、北原先生にもご参加いただいております。今年度は、地区中学
校の総合学習で景観まちそだてについて北原先生からご講演などしていただき、将来の
担い手世代がまちづくりを考える機会を作っていただきました。今月 18 日には、生徒
の皆さんによるまちづくりの発表会も予定しています。
・また、地区内では町内会より選出された委員により構成される「増田地区景観まちづく
り委員会」が組織され、住みよい住環境や美しい街なみ、住民主体のまちづくりを進め
るため、市と委員会で「増田地区まちづくり協定」を締結しました。
更に、地区内での望ましい建築等を行う指針として「景観ガイドライン」を定めるとと
もに、市へ協定やガイドラインに基づいたまちづくりの提案がありました。
市ではこの提案を重要と受け止め、平成 27 年 4 月からこの地域を景観計画に基づく「景
観重点地区」に指定し、景観を活かしたまちづくりを進めております。
※まちづくりのため、建築物の新築・増改築、樹木の伐採をする際には、基準を
遵守していただきつつ、市への届出をしていただいております。
この動きに合わせ、市では住民主体のまちづくりを支援するため、景観づくり委員会の
活動や、地区内での建物の新築、増改築などといった修景行為における助成支援を実施
しています。
※H27 小規模な修景補助…4 件 大規模な修景補助…1 件
■住環境の整備
・住民主体のまちづくりに連動し、歴史的な街なみの魅力を更に向上させるため、公共施
設の再整備を進めております。
具体的には、地区内を流れる水路の改修、メインストリートの無電柱化、街なみにあっ
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た街灯整備、公園改修、来街者にわかりやすい案内看板、駐車場・休憩場の整備などで
す。また、本地区は横手市の中でも有数も豪雪地帯ですが、地区内の克雪対策として流
雪溝の改修についても秋田県と協力して取り組むことで協議を重ねています。
項 目 25 26 27 28 29 30 31 事業費
基
幹
事
業
小公園及び緑地等整備(トイレ含) 43,100 千円
下排水工事 102,130 千円
生活環境施設整備(木 2階 293㎡) 147,612 千円
水路修景(154m) 34,102 千円
電線類無柱化(2 路線 600m) 630,000 千円
修景施設整備(修景補助金 30件) 38,704 千円
効
果
駐車場整備(2箇所) 61,406 千円
コミュニティラウンジ改修(184㎡) 44,368 千円
旧杏華堂座敷蔵改修(120㎡) 28,528 千円
その他(設計、街灯、看板、道路整備) 404,050 千円
計 1,534,000 千円
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