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2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 1
次世代のハロゲン・硫黄分析を目指した高速燃焼イオンクロマトシステム(CIC)
株式会社ナックテクノサービスと
システム・インスツルメンツ株式会社の共同開発
株式会社ナックテクノサービス堀田 哲男
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 2
燃焼イオンクロマトグラフィー
Combustion Ion Chromatography (CIC)
• CIC法は試料の燃焼分解により生じたガスを吸収液に吸収させ、ICにより測定する方法
• 試料中のハロゲン(F, Cl, Br, I)や硫黄は、燃焼によりハロゲン化水素またはハロゲンガス、硫黄は硫黄酸化物
となる
• 薄い過酸化水素あるいはヒドラジン溶液に吸収させることで、ハロゲンは還元、硫黄は酸化されて最終的には
ハロゲン化物および硫酸イオンの形態としてICで定量される
• ハロゲン化合物(X)→ HX, X2 → X-
• 硫黄化合物(S)→ SOx → SO42-
• 試料中に含まれる金属類は燃焼管内に残留し、有機物の燃焼に伴う窒素酸化物は吸収されにくく、炭酸ガスは
対象イオンに影響を及ぼさない位置に分離溶出
• 妨害となる共存成分の影響を受けることなく、ハロゲンと硫黄だけを測定することが可能
• 2013年改訂のイオンクロマトグラフィー通則(JIS K0127)において「有機化合物の燃焼前処理」なる項が加わ
り、従来の酸素フラスコ燃焼法、酸素ボンベ法、石英管燃焼法の3種が収載された
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 3
開発の経緯(1)
CIC法の自動化システムは20年前に株式会社ナックテクノサービス
(NAC)の長嶋社長により、世界で初めて開発された
有機微量元素分析システム →
平成24年度(2012年)日本分析化学会先端分析技術賞・JAIMA
(日本分析機器工業会)機器開発賞受賞システム
高温燃焼(MAX 1400℃)有機・無機兼用分析システム →
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 4
開発の経緯(2)平成25年度(2013年)中小企業ものづくり助成事業(経済産業省)
「環境試料用のハロゲン・硫黄自動燃焼分析システムの開発」
現行既存モデル(ヤナコ機器開発研究所製)
YHS-11 →
しかし!!!
• 燃焼分解に時間が掛かる(約15分)• 設置場所に幅2m以上必要(IC含み)• 設定や試料容器の取り扱いが面倒?• ASTM等の熱加水分解法に準拠しない?• ルックス???• (なかなか売れない!)
多元素(ハロゲン4元素と硫黄の)同時分析に関する特許も数件保有!
じゃあ!!!
お客様が本当に望んでいる画期的な新製品を開発しよう!
(そうしたら売れるだろう!)
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 5
そして、今回開発したニューモデルは
以前よりご縁があり、長年にわたり各種分析自動前処理装置等を手掛け、2009年には日本学術会議会長賞も受賞したシステム・インスツルメンツ社(SIC)に相談し共同開発することとなりました。弊社長嶋の長年の経験とノウハウをSICの優れた技術陣により製品化をすすめ、そして約2年半をかけて完成したのがこのニューモデル「Nacsic(ナックシック)」です。
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 6
Nacsicの特長⚫ 分析時間の高速化を実現ハロゲン4元素と硫黄の同時分析(特許)で10分以下のサイクル
⚫ オールインワンの省スペースモデルオートサンプラー、燃焼炉、吸収ユニット、注入ユニットを一体化
⚫ タッチパネルでの簡単操作
⚫ 35試料連続完全自動測定
⚫ 加湿清浄空気と使い捨て試料容器の採用で大幅なランニングコストの削減と効率化も実現
⚫ 有機検量線法に有効な5元素含有標準試料(特許)
⚫ 各社ICと接続可能
※特許出願中
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 7
Nacsicが実現したこと
分析時間の高速化高速カラムを使用するとヨウ素までの5元素が8分以内で測定でき、燃焼前処理装置の方も
8分以内のサイクルで吸収液をICに注入出来るため、1時間で6~7検体の高速一斉分析が
可能となった
省スペース化縦型燃焼炉を採用することで、オートサンプラー・燃焼ユニット・吸収ユニット・
注入ユニットの四つを一体化したオールインワン設計が可能となり、幅60cmと
いう省スペース化を実現した
簡便化設定と操作はタッチパネルだけで簡単に行え、アルゴンや酸素ガスを使用せず加湿清浄
空気を使用することでガスボンベが不要となり、試料容器にはCHN分析で一般的に使用
されている使い捨てのスズカプセルを利用するので、試料容器の洗浄や空焼きなど面倒な
作業も不要となった
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 8
625 m
m
吸収瓶
燃焼炉
計量ポンプ
清浄空気生成部
流量計
吸収液、洗浄液、加湿水タンク設置部
本体基板(背面に設置)
オールインワン設計
600 x 500 x 825 mm
200 m
mオートサンプラー
オートサンプラー
タッチパネルディスプレイ
洗浄液ポンプ
加水ポンプ
注入ユニット
Nacsicの内部
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試料容器の検証とオートサンプラー
平均値(n=3)
分析値 (%) 誤差 分析値(%) 誤差
F 3.87 3.86 -0.01 3.90 0.03
Cl 7.23 7.26 0.03 7.34 0.11
Br 16.29 16.04 -0.25 16.32 0.03
S 6.54 6.69 0.15 6.67 0.13
I 25.87 26.07 0.20 25.98 0.11
アルミカプセル スズカプセル
NAC-st4 (%)
使用した容器(CHN分析用)アルミカプセル:LUDI SWISS AG製 4 x 6 mmスズカプセル:EAI製 5 x 8 mm
オートサンプラーはCHN分析装置と同様のホイールを採用
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 10
燃焼管と燃焼ガス捕集部(特許出願中)について
燃焼管と残渣回収用インサート
燃焼ガス捕集部残渣回収用インサート
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 11
驚異の省スペース化!
T社ICとの組み合わせで設置幅は僅か900mm 既存システムでは?
清浄空気を使用するため、ガスボンベも不要!(オプションで酸素供給可)
設置スペース
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 12
メイン画面 設定画面
操作タッチパネル画面
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 13
有機検量線法のメリット
• 無機検量線法とは、JIS容量分析用標準物質または各種イオン用標準を標準液にして
直接ICに段階的に注入して検量線を作成する
• 有機検量線法とは、有機標準物質または有機標準試料を段階的にはかり取り、燃焼
して得た吸収液をICに注入して検量線を作成する
• ICの電気伝導度検出による検量線は湾曲を帯びるので、検量線を広い範囲で作成す
る時は4段階以上として多次関数(一般には二次関数)とする
• 曲がる検量線を直線近似する必要がある場合は、適切な濃度の範囲で分割し、三段
階以上の濃度範囲において直線検量線を作成る
無機検量線法では段階的な標準液を得るための面倒な希釈作業等を要し、また直接ICに注入するため、燃焼させて吸収液化した測定試料と前処理条件の差異による影響が懸念さるが、有機検量線法では、一般的な有機元素分析(CHN分析)と同様に標準試料を天びんではかり取るだけで、測定試料と同一条件下での測定が可能
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 14
5元素含有標準試料(特許)NAC-st4
NAC-st4 Calcd. (%) Found (%) Dev. (%)
C
H
N
FCl
Br
I
S
29.38
1.44
2.86
3.87
7.23
16.29
25.87
6.54
29.32
1.41
2.80
3.88
7.19
16.41
25.80
6.51
-0.06
-0.03
-0.06
0.01
-0.04
0.12
-0.07
-0.03
Molecular structure
FCl
IBr SO2NH
NAC-st4 : N-(2’-fluoro-3’-chloro-4’-bromophenyl)-4-iodobenzenesulfonamide
Molecular Formula : C12H7NO2FClBrIS
Molecular Weight : 490.51
8 min
酸化・還元吸収液(特許)により、還元が必要なBrとIおよび酸化が必要なSの同時分析を可能としたので、5元素同時一斉分析を可能するための標準試料を開発した。(東京都立産業技術研究センターと共同開発)
NAC-st4 : 2148 mg
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 15
IC高速カラムの検討
二次近似式(n=6)での相関係数(R2)
shodex SI-90 TSK gel HS
F 0.9995 0.9999
Cl 0.9998 1.0000
Br 0.9999 1.0000
SO4 0.9998 1.0000
I 1.0000 1.0000
y = 0.0001x2 + 3.1113x - 15.557
R² = 1
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000
Cl
y = 4E-05x2 + 2.374x + 1.9677
R² = 0.9999
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000
F
y = 0.0001x2 + 3.1795x - 20.674
R² = 1
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000
Br
y = 0.0003x2 + 6.5639x - 62.781
R² = 1
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
30,000
35,000
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000
SO4
y = 9E-05x2 + 3.1404x - 11.816
R² = 1
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000
I
TSK gel SuperIC-Anion HSの場合
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 16
Shodex SI-90-4E TSK gel SuperIC-Anion HS
標準試料(NAC-st4)1.524 mg のクロマトグラム
10 min 10 min
汎用カラムを高速化 市販の高速カラム
8分サイクルで1時間に6~7検体分析可能
IC高速カラムの検討
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 17
y = 117.51x + 3.1588
R² = 0.9989
400.0
600.0
800.0
1,000.0
1,200.0
1,400.0
2.000 4.000 6.000 8.000 10.000 12.000
F量(μg)
ピーク面積
Fの検量線(直線)
y = 121.15x - 22.734
R² = 0.9998
400.0
600.0
800.0
1,000.0
1,200.0
1,400.0
2.000 4.000 6.000 8.000 10.000 12.000
F量(μg)
ピーク面積
Fの検量線(直線)
F:22.38%
SP58 x :ピーク面積 y : F量
(μg) (x/1000) (μg)
0 0.000 0.0
2,415 4.607 540.5
2,975 5.728 665.8
4,332 8.214 969.5
4,975 9.356 1,113.4
5,943 11.161 1,330.0
F:13.56%
SP25 x :ピーク面積 y : F量
(μg) (x/1000) (μg)
0 0.000 0.0
3,953 4.495 536.0
5,074 5.895 688.0
6,113 7.056 828.9
7,077 8.057 959.6
8,017 9.251 1,087.1
標準試料:(SP-58) フェニルチオ尿素標準試料:(SP-25) 4-フルオロ安息香酸
高濃度フッ素含有試料の測定例(検量線作成)
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 18
SP-58 5.943 mgのクロマトグラム
フッ素樹脂(ETFE) 1.522 mgのクロマトグラム
SP-25 8.017 mgのクロマトグラム
カラムはIon Pac AS 22
試料容器:スズカプセル
フッ素含有率:64%
高濃度フッ素含有試料の測定例(クロマトグラム)
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 19
仕様
試料導入方式 オートサンプラーによる自動落下方式
試料容器 スズカプセルやアルミニウムカプセル等
試料設置数 最大35検体
燃焼法 縦型燃焼炉、清浄空気吸引法
燃焼管 高純度石英製(燃焼残渣回収用内管有り)
燃焼温度 ~1100 ℃
供給ガス 清浄空気(オプションで酸素ガス導入可)
燃焼ガス流量 1.5 L/min
加湿(加水) 有り(設定により有り無しの変更可)
吸収瓶容量 100 mL
吸収液量 10 mL~50 mL(1 mLステップで設定可)
処理時間 10 分以下
外部出力信号 ICデータ処理のスタート信号
電源 AC 100 V 50/60 Hz 10A
寸法・重量 600(W)×500(D)×825(H) 約60Kg
その他機能 測定後自動シャットダウン機能有り(設定により選択可)
※外観や仕様等は改良のため変更される場合があります。
〒263-8522 千葉市稲毛区弥生町1-33千葉大学西千葉キャンパス内千葉ヨウ素資源イノベーションセンター(CIRIC)202号室TEL:043-216-5453 FAX:043-216-5494
株式会社ナックテクノサービス
〒192-0031 東京都八王子市小宮町776-2TEL.042-646-3555 FAX.042-646-8228
製造元
共同開発・アプリケーション
仕様
技術サービス・販売元
〒264-0034 千葉市若葉区原町929-8 テクノサイエンス内TEL:043-441-4263 FAX:043-206-0188Mail: [email protected] URL: https://www.nacsic.co.jp
ナシック株式会社
2019/9/6JASIS 2019 新技術説明会 20
システム・インスツルメンツ社 実機展示ブース
5ホール
5A-603
是非お立ち寄りくささい!
お待ちしております。