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各 論 エネルギー・栄養素
エネルギー
基本的事項
●エネルギーの単位 ジュール(J)とカロリー(cal) 1 kcal = 4.184 kJ(MJ)
●エネルギー摂取量 食品に含まれる脂質、たんぱく質、炭水化物のそれぞれについて、 エネルギー換算係数を用いて算定したものの和。
●エネルギー消費量 基礎代謝、食後の熱産生、身体活動(運動、日常の生活活動、自発的活動) の和。
エネルギー収支バランスの基礎概念
エネルギー消費量 = エネルギー摂取量 = エネルギー必要量 つまり、どれくらいエネルギーを取らなければならないかを知るためには、エネルギー消費量がどれくらいになるか知る必要がある!!
エネルギー消費量の内訳 ①基礎代謝量 (総エネルギー消費の60%) ②食事誘発性体熱産生 (総エネルギー消費の10%) ③身体活動(運動+運動以外) (総エネルギー消費の0~35%)
①基礎代謝量(BMR; basal metabolic rate)
覚醒時で必要な最小限のエネルギー(総エネルギー消費の60%)
<測定条件>
1.約12時間以上の絶食(早朝空腹時)
2.安静仰臥位で、リラックスした状態
3.快適な室温(25℃程度)で、心身ともにストレスの少ない覚醒状態
エネルギー消費量/BMR=身体活動レベル(PAL)
安静時代謝量・・・BMRもしくは、座位安静時代謝量を指す
睡眠時代謝量・・・BMRとは別の概念になる
②食事誘発性体熱産生(DIT; diet-induced thermogenesis)
(総エネルギー消費量の6-10%)
たんぱく質(25%)
糖質(8%)
脂質(2%)
③身体活動(総エネルギー消費量の0-30%)
身体活動レベル(PAL)は、1.4程度から2.2~2.5
身体活動 運動(スポーツ)
(p.271,図10-1) 生活活動
メッツ(Mets):ある身体活動のエネルギー消費量が座位安静時の何倍になるか1メッツ = 1.05kcal/kg/h →運動強度
運動の単位: エクササイズ:Ex = メッツ・時
一昔前までは、活動係数(Af)という概念もあった。
健康づくりのための運動指針2013(エクササイズガイド2013) (1)運動指針と運動基準 (2)運動基準と運動指針策定の経緯 1988(平成元)年:運動所要量 2006(平成18)年:健康づくりのための運動指針2006 (3)策定方法 身体活動量・運動量・体力の違いと生活習慣病の発症や死亡との関連 運動だけでなく、生活活動も含めた「身体活動」全体に注目 系統的レビュー (4)身体活動と運動 身体活動 運動
生活活動
運動の単位:エクササイズ:Ex =メッツ・時
基準(18歳~64歳)として、身体活動量:23エクササイズ/週:毎日歩行60分
運動: 4エクササイズ/週:息が弾み汗をかく運動60分/週
1エクササイズ(Ex)の身体活動量に相当する体重別エネルギー消費量
消費エネルギー量(kcal) = 1.05×エクササイズ(メッツ・時)×体重
体重(kg) 40 50 60 70 80 90
エネルギー消費量(kcal) 42 53 63 74 84 95
●エネルギー消費量の推定 総エネルギー消費量(kcal) = 基礎代謝量(kcal/分)×身体活動レベル(PAL) (DITを含む) Σ(activity factor(Af)の平均値) メッツで考えた場合 総エネルギー消費量(kcal) = (基礎代謝量(kcal/分)×1.1)×メッツの1日あたりの平均値/0.9
メッツ(Mets) ある身体活動のエネルギー消費量が座位安静時の何倍になるか 1メッツ = 1.05kcal/kg/h
●推定式① Harris-Benedictの式 男性 [BEE=66.47+13.75W+5.0H-6.76A] 女性 [BEE=655.1+9.56W+1.85H-4.68A] W:体重(kg)、H:身長(cm)、A:年齢(年)
[TEE=BEE × activity factor × stress factor]
activity factor:寝たきり:1.0 、歩行可:1.2、労働:1.4~1.8 stress factor:術後3日間 軽 度:1.2→ 胆嚢・総胆管切除、乳房切除 中等度:1.4→ 胃亜全摘、大腸切除 高 度:1.6→ 胃全摘、胆管切除 超高度:1.8→ 膵頭十二指腸切除、肝切除、食道切除 臓器障害 → 1.2+1臓器につき0.2ずつup(4臓器以上は2.0) 熱 傷 → 熱傷範囲10%毎に0.2ずつup(Maxは2.0) 体 温 → 1.0℃上昇→0.2ずつup(37℃:1.2、38℃:1.4、39℃:1.6、40℃以上:1.8)
●推定式② 国立健康・栄養研究所の式(Ganpule et al., EJCN, 2007) 基礎代謝量(kcal/日) =(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138 ×年齢-0.5473×(男:1, 女:2)+0.1238)×1000/4.186
・この式は、軽度のやせやBMIが30 kg/m2程度の肥満でも推定誤差が少ない。ただし、筋肉質でBMIが大きい人では、誤差がやや大きくなる。
●エネルギー消費量測定法 a.直接法 代謝チャンバー内で生活→発生熱量を水の温度上昇で測定 b.間接法 CO2の産生とO2の消費との関係から算出する。 CO2/O2 = 呼吸商(respiratory quotient; RQ)
●呼吸商 糖質:C6H12O6 + 6O2 → 6CO2 + 6H2O + 673kcal RQ=1 O2 1Lあたりの熱量は、673/6/22.4L =5.01kcal/L 脂質:CH3(CH2)14COOH + 23O2 → 16CO2 + 16H2O + 2,398kcal (パルミチン酸) RQ=0.696 脂肪酸平均:RQ=0.707 O2 1Lあたりの熱量は、2,398/23/22.4L =4.65kcal/L たんぱく質: 利用されたタンパク質=尿中窒素量/0.16=尿中窒素量×6.25 RQ=0.835 ●呼吸商からのEE (energy expenditure)を求める式
EE(kcal) = 3.941×O2摂取量 + 1.106×CO2産生量 - 2.17×尿中窒素排泄量
EE(kcal) = 3.9×O2消費量 + 1.1×CO2産生
●エネルギー消費量測定法(間接法)
二重標識水法(DLW法) 2H, 18Oの水(非常に高額)を飲み普通に生活 尿を採取、活動を記録、食事調査
CO2の産生量を推定
エネルギー消費量算出
心拍数法:O2とエネルギー消費量とに正の相関がある 加速度計法:3次元加速度計 生活活動記録に基づく要因加算法
H2O CO2
H2O
エネルギー収支バランスの基礎概念
エネルギー消費量 = エネルギー摂取量 = エネルギー必要量 このバランスが取れている = よいことなのか? 健康につながるのか?
体重管理の考え方 健康な体重・体型は? 死亡率が最も低いBMI = 健康とする
p.50
p.52
性別 男性 女性
年齢 基礎代謝基準値 (kcal/kg体重/日)
基準体重 (kg)
基礎代謝量 (kcal/日)
基礎代謝基準値 (kcal/kg体重/日)
基準体重 (kg)
基礎代謝量 (kcal/日)
1~2(歳) 61.0 11.7 710 59.7 11.0 660
3~5(歳) 54.8 16.2 890 52.2 16.2 850
6~7(歳) 44.3 22.0 980 41.9 22.0 920
8~9(歳) 40.8 27.5 1,120 38.3 27.2 1,040
10~11(歳) 37.4 35.5 1,330 34.8 34.5 1,200
12~14(歳) 31.0 48.0 1,490 29.6 46.0 1,360
15~17(歳) 27.0 58.4 1,580 25.3 50.6 1,280
18~29(歳) 24.0 63.0 1,510 22.1 50.6 1,120
30~49(歳) 22.3 68.5 1,530 21.7 53.0 1,150
50~69(歳) 21.5 65.0 1,400 20.7 53.6 1,110
70以上 21.5 59.7 1,280 20.7 49.0 1,010
基礎代謝基準値と基礎代謝量