Upload
others
View
3
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
1
アクションカードを使って避難訓練をしよう!
市立砺波総合病院 看護部 廣瀬 有希子
1.テーマの選定
人工透析センターの部署目標:患者が安心して通える透析センターを目指す ◎:3点 ○:2点 △:1点 ☆採用
表1 テーマの選定表 作成日 H26.1.14 作成者 廣瀬
2.テーマの選定理由
1) 血液透析療法は、大量の水と電気が必要である。災害で断水や停電になると透析療法は不可能となる。近年多くの災
害事例を目にするにあたり、事前の準備が無くては十分な対応は出来ないと思われる。
当院人工透析センターでは透析日以外に災害が起こった場合の避難訓練として災害伝言ダイヤル 171を利用するとい
う形で定着している。
しかし、血液透析中に災害が起きた場合の避難訓練は近年行われていないため、実施することが必要である。
また、災害対策マニュアルは既存しているが、職種別の具体的な役割行動を時系列に列挙してあるものがなく、携帯可
能なアクションカードを作成する必要があると考えた。
2) 当院は「地域災害拠点病院」に指定されているが、災害
が起きた場合、透析中の避難方法が不明確である。
そこで、アクションカードを作成することで避難方法が
明確化し、アクションカードを使用した避難訓練をシミュ
レーションすることができる。
現在、スタッフ18名中避難訓練経験者が 5名と減少
したため、スタッフ全員が避難訓練を実施しておく
必要があると考えた。
評 価 項 目
課 題 テ ー マ
院
長
方
針
看護部方針
重
要
性
実
現
性
経
済
性
緊
急
性 効
果
患
者
の為
協
力
性
関
心
合
計
点
二人開始をしよう ○ ○ ◎ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 25
CAPD外来を整えよう ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ◎ ○ ○ 21
アクションカードを使って避難訓練をしよう ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ☆27
開始後チェックを早くしよう ◎ ○ ◎ ○ ◎ ○ ○ ◎ ◎ ○ 25
ひ ろ せ ゆ き こ
表2職種別の避難訓練施行者 作成日H26.1.21 作成者 浦井
表2 職種別の避難訓練施行者 作成日H26.1.21 作成者
浦井
透析センターの
スタッフの職種
現在の
人数
避難訓練
したことが
ある人数
看護師(助手 1名を含む) 13名 3名
臨床工学技士(ME) 5名 2名
計 18名 5名
【アクションカードの定義】
アクションカードとは、行動を促し、判断を導く、活動の事前指示書のことであり、
各役割別に具体的な行動を記したカードのこと。
2
計画 実施
表3活動計画表 作成日H26.1.7 作成者 安念
3.活動計画
項 目 担 当 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6月 7月
テーマの選定理由 全 員
課題の明確化 浦井・安念
目標設定 全 員
方策の立案 丸 谷
最善策の追求と実施 廣 瀬
効果の確認 中村・南
標準化と管理の定義 全 員
反省と今後の進め方 全 員
4.課題の明確化
血液透析中に災害が起きた場合の避難方法が不明確であったため、アクションカードを使用した避難訓練を実施する
ことで避難方法を明確にし、患者を安心・安全に避難させる。
対象者 ありたい姿 現状の姿 ギャップ 攻め所の候補 期待
効果
採
否
患 者
患者全員(79名)
が定期的に避難
訓練をしている
避難訓練経験者が
79名中、6名と少な
くなった
避難訓練の未経
験者が 73名であ
る
患者全員(79名)
が定期的に避難
訓練をする
小 否
スタッフ
①透析中の災害
時に緊急離脱法
が確立している
透析中の災害時に
緊急離脱法が確立
していない
具体的な行動を
列挙したものが
ない
緊急離脱法を確
立する 大 採
②看護師と臨床
工学技師が各役
割を理解している
看護師と臨床工学
技士が各役割を理
解していない
各役割別の具体
的な行動を列挙
したものがない
看護師と臨床工
学技士が各役割
を理解する
大 採
③全員(看護師13
名、臨床工学技
士5名)が避難訓
練を実施している
避難訓練経験者は
看護師3名、臨床
工学技士3名であ
る
看護師 10名、臨
床工学技士 2名
が避難訓練を実
施していない
全員(看護師 13
名、臨床工学技
士5名)が避難訓
練を実施する
大 採
管 理
当院の「緊急・災
害マニュアル」と
当センターのスタ
ッフ用「防災の手
引き」の見直しが
されている
当院の「緊急・災害
マニュアル」と当セ
ンターのスタッフ用
「防災の手引き」の
見直しがされてい
ない
当院の「緊急・災
害マニュアル」と
当センターのスタ
ッフ用「防災の手
引き」が制定後、
改定されてない
当院の「緊急・災
害マニュアル」と
当センターのスタ
ッフ用「防災の手
引き」の見直しを
する
大 採
表4 課題の明確化 作成日H26.2.18 作成者 浦井
5.目標設定
誰が 透析センターのスタッフ 18名、全員が
どのように アクションカードを使って
どうする 避難訓練をする
表5 目標設定 作成日 H26.2.25 作成者 廣瀬
<目標設定の根拠>
①最大患者数31名の透析中に対し、最小勤務スタッフ数7
名となる現状下で、避難訓練をしたことがあるスタッフが18
名中5名と減少した。そのため、患者を安心・安全に避難す
るにはスタッフ全員が避難訓練を実施する必要がある。
②「透析センター防災の手引き」の見直しがされていない。
また、他職種が勤務しているが、災害時の各役割が理解で
きていない。そのため、各役割を理解し、連携した避難方法
を明確にする必要がある。
3
7.実施した対策
①患者環境の整備:ベッド柵に履物ボックスの設置
図1方策の立案 作成 H26.4.16 作成者 丸谷 (評価点 ◎:3点 ○:2点 △:1点 ×:0点)
実現性総合点取り組み易さ 協力性効果的経済的
患者のためか
安
心
・
安
全
に
避
難
誘
導
す
る
に
は
避難訓練を実施
防災の手引きの見直しをする
落差回収・抜針法・回路切断法のデモンストレーションで知識を深める
ベッド周囲
の環境を整
える
回答率・正答率を調べ、低い患者について個別訓練を実施
アクションカードを作成し、避難時の役割を明確にする
独歩患者のみの参加型の避難訓練をする
災害に対する患
者の知識と意識
の定着
内履き入れを設置
患
者
一人暮らし・身体の不自由な患者の振るい分け
荷物かけフックの設置
災害伝言ダイアル解答用紙の見直し
透析条件カードを見直し、更新日を決定
患者との連絡方
法を検討
患者の振り分け(171訓練参加・不参加者)
透析条件カードを常に携帯するよう声かけし、意識づけをする
緊急時連絡先・避難場所記入用紙の改定と更新日決定
救急・災害マニュアルの見直し・改訂
ス
タ
ッ
フ
○ ○ ○○ ○ ○ 12
○ △ ○○ ○ ○ 11
○ △ ○○ ○ ○ 11
○ ○ ○○ ○ ○ 12
○ △ ○○ ○ △ 10
○ ○ ○○ ○ ○ 12
○ △ ○○ ○ △ 10
◎ △ ×◎ ◎ ◎ 13
○ ○ ○◎ ◎ ○ 14
◎ △ ×◎ ◎ ◎ 13
△ △ ○○ ○ ○ 10
○ ○ ○◎ ◎ ○ 14
○ ○ ○◎ ◎ ○ 14
○ ○ ○◎ ◎ ○ 14
6.方策の立案
4
②災害時のトリアージの明確化:透析機器に救護区分カードの設置
③マニュアルの見直しと緊急離脱法の検討:緊急離脱法のマニュアル化とデモストレーションの見学
④アクションカードの作成
5
8.効果の確認
≪有形効果≫ 訓練風景(打ち合わせ)
透析センタースタッフがアクションカードを使用して、避難誘導の
訓練を実施した。
期日:平成26年6月1日~6月 30日
対象:対象スタッフ 18名
【看護師(助手1名を含む):13名、臨床工学技士(ME):5名 】
方法:場所(透析センター)
設定(土曜日の午前の透析中、患者数 31名、スタッフ数7名、
震度6以上の地震発生、停電あり、火災発生なし、
落差回収法・回路切断法で離脱)
9.標準化と管理の定着
項 目 なぜ 何を 誰が いつまでに どこで どのように
標準化 避難訓練内
容の標準化
改訂避難訓練
マニュアル
廣瀬
丸谷 7月31日 透析センター
避難訓練
マニュアル作成
教 育 全員に周知
徹底する
改訂避難訓練
マニュアルを基
に
主任 2月28日 透析センター
新任者に、改訂避難
訓練マニュアルを基
に教育
管 理
改訂避難訓
練実施状況
の把握
改訂避難訓練
の実施状況 師長
3月の
毎週月曜日 透析センター スタッフに確認する
10.反省と今後の進め方
スタッフ全員が避難訓練を実施したが、患者参加型の訓練には至らなかった。
今後は、患者参加型の避難訓練が課題である。
0
1
2
3
4
5チームワーク
災害意識
災害知識
発言力
実行力
充実感
実施前
実施後 ≪無形効果≫
透析スタッフ 18名全員が、アクションカードを
使用して、避難訓練を実施した。
図2 無形効果 作成日H26.6.3 作成者 南
表6 標準化と管理の定着 作成日H26.7.10 作成者 浦井
課題達成
≪波及効果≫
・救護道具の不足に気づいて、準備すること
ができた。
・通常の透析で透析終了後、患者が履物をボ
ックスから取り出すことで、頭を下げること
なく起立できて安全性が増した。
・スタッフの動線に履物が邪魔になることな
く、業務にできた。