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相模原市小中学校視聴覚教育研究会 平成 31 1 22 日(火) 相模原市小中学校視聴覚教育研究会理事会 プログラミング授業実践報告会 ~プログラミング授業実践力の向上を目指して~ プログラミングA班研究部会 部長 西岡 裕太 目次 ①プログラミング授業実践報告 実践数:14(☆が代表者) ②これからのプログラミング教育 ③指導講評 みんなのコード講師 竹谷 正明先生

プログラミング授業実践報告会①プログラミング授業実践報告 実践数:14(☆が代表者) ... 成果 ・児童が自分で自分の動きをプログラミングして楽しむことができていた。

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Page 1: プログラミング授業実践報告会①プログラミング授業実践報告 実践数:14(☆が代表者) ... 成果 ・児童が自分で自分の動きをプログラミングして楽しむことができていた。

相模原市小中学校視聴覚教育研究会

平成 31 年 1 月 22 日(火)

相模原市小中学校視聴覚教育研究会理事会

プログラミング授業実践報告会

~プログラミング授業実践力の向上を目指して~

プログラミングA班研究部会

部長 西岡 裕太

目次

①プログラミング授業実践報告 実践数:14(☆が代表者)

②これからのプログラミング教育

③指導講評 みんなのコード講師 竹谷 正明先生

Page 2: プログラミング授業実践報告会①プログラミング授業実践報告 実践数:14(☆が代表者) ... 成果 ・児童が自分で自分の動きをプログラミングして楽しむことができていた。

☆プログラミング授業実践 成果と課題 小山小学校 5年担任 平城 慎也

教科 単元名 算数 第5学年

百分率とグラフ「比べ方を考えよう(2)」

教科の目標 ○円グラフを作成するプログラミングを通して、円グラフの特徴や傾向に関心を

深める。

プログラミングソフ

Scratch2.0

プログラミングソフ

トを活用した利点

プログラミング教育を中心としながらも、付属的に各教科にも学習効果が

あり相乗効果を望めると思います。プログラミング教育を中心にして行うこ

とで、教科等を横断的に結びつける価値に迫れることができると考えました。

成果

(児童の様子、変化

など)

自分がつくったプログラムでコンピュータがきれいな円グラフを描き上げる様

子を見て、とても喜んでいました。「自分の手でも円グラフを描いて比べてみた

い。」との声もあがり、次の学習への動機付けになりました。自分の手で描くとき

には、項目の順番や色、数値を入れるなどの工夫を考えていました。「プログラミ

ング」と「手描き」を比較して、それぞれの良さに関する気づきも多く、算数科

としてもプログラミング教育としても一定の成果があったと思います。

課題 今回作成したプログラムには、「くり返し」の中に「くり返し」が含まれている

部分がありました。このプログラム作成で一番難しいポイントだったので、その

部分について全体で確認する時間を取りました。結果的にはちょうど良い難易度

に落ち着きましたが、難易度を調整する手立てを教師が考えておく必要があると

感じました。

また、今回はプログラミング教育として時間を確保しましたが、教科の枠で考

えると、プラス1時間ということになります。時間の確保についても、年間を見

通して、各教科等とのバランスを考えた計画が必要だと感じました。

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☆プログラミング授業実践 成果と課題 大野北小学校 5年担任 運天 克也

教科 単元名 第5学年 社会科 『工業の今と未来』

教科の目標 ・さかんな工業の種類や工業地域、大工場と中小工場それぞれの生産の

様子など、日本の工業の特色を捉えさせる。

・高い技術やアイディアを生かし、心の豊かさをもたらす工業生産が進

められていることを捉えさせるとともに、これからの工業生産につい

て考えさせる。

プログラミングソフト Scratch スクラッチ

プログラミングソフトを

活用した利点

発表のための資料作成を通して、より知識を深める機会が得られるこ

とに加え、「Scratch」を活用しての資料作成の場合、「PowerPoint」の

ような資料を作成できるだけでなく、コンピュータにどのような指示を

行えばよいのか、その中身(プログラム)を確認できることが利点では

ないかと考える。また、「PowerPoint」のような発表形態に加え、聞き

手側の操作によって反応が変化するよう作成できることも利点だと考

える。

成果

(児童の様子、変化など)

資料作成の場面、発表者(資料作成者)は、自分が大切だと思うポイ

ントを明確にし、そこがより伝わるためにどのような工夫をしたらよい

のか、また、どのようにコンピュータに指示をだしたらよいのかを試行

錯誤して考えていた。さらに、近くの友だちやグループの友だちと交流

しながら、考えを広げる姿が見られた。

発表の場面、聞き手(資料操作)は、自分の考えやペースにあわせて

資料を操作することで、一方通行で情報を受け取る発表に比べて、より

自分の考えを深めていたように感じられたことが成果として挙げられ

る。

課題 ・4年「四捨五入」、5年「偶数と奇数」でしか Scratch に触れていな

い児童達では、少し時間がかかった。他の場面で、技能の定着を図る

必要がある。

・プログラミングを活用した授業を通して、社会科で育てたい資質・能

力がよりよく育成されていたのか。

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☆プログラミング授業実践 成果と課題 鶴園小学校 4年担任 古賀啓祐

教科 単元名 第4学年 国語 「慣用句」

教科の目標 「道草を食う」や「油を売る」などのように、二つ以上の語が結びつい

て元の意味とはちがった特定の意味を表す「慣用句」を学習する。単元を

通して、長い間使われてきた慣用句の意味を知り、生活の中で使うことが

できるようになることをねらいとしている。

プログラミングソフト 「プログラミン」 文部科学省

プログラミングソフトを

活用した利点

・実際にどのような場面で使われる慣用句なのかを想像し、それを表現す

る力を身につけることができる。

・慣用句の意味を伝えるために必要な描写を実現するために、動きの組み

合わせ方などを検討していく論理的思考力も身につけることができる。

成果

(児童の様子、変化など)

まず、児童が自分でアニメーションをつ

くるので、どの児童も大変意欲的に学習に

取り組むことができた。

また、慣用句をアニメーションとして表

現することで、視覚的に慣用句の意味を捉

え、慣用句の理解が深めることができた様

子が見られた。特に、同じ慣用句でも、表

現の方法が変わることで、「どんな場面で使

われるのか、よくわかった。」という声や、

実際の生活の場面で「それは“猫をかぶっ

ている”よ。」といったように、発表された

アニメを見て覚えた慣用句をつかう様子も

見ることができた。

課題 児童はとても意欲的に活動していたが、「プログラミン」に慣れるまで

の時間が必要だった。単元の流れでは、慣用句とは何かを知るために1時

間かかり、そこから、「プログラミン」を使って慣用句が伝わるアニメー

ションを作るために、「プログラミン」の大まかな操作方法なども学ぶ時

間も必要だった。パソコンを扱う授業は、何回か行っていたが、普段から、

プログラミングソフトについて触れる機会を増やしていくことが大切だ

と感じた。

一方で、普段からプログラミングソフトに触れている児童もおり、そう

いった児童は、友だちにやり方を伝えるなど、協力して取り組んでいた。

しかし、児童同士でやり方を伝える際に、意図した動きをするための論理

的な説明があまり見られなかったので、教えてもらった児童がより考えを

深めることができるような方法が必要だと感じた。

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☆プログラミング授業実践 成果と課題 淵野辺東小学校 3年担任 吉田 耕一郎

教科 単元名 体育科 第3学年「器械運動 ~ マット運動~ 」

教科の目標 ・回転系や巧技系の基本的な技をできるようにする。【知識・技能】

・自己の能力に適した課題を見付け,技ができるようになるための活動を工夫すると

ともに,考えたことを友達に伝えることができるようにする。【思考・判断・表現】

・運動に進んで取り組み,きまりを守り誰とでも仲よく運動をしたり,友達の考えを

認めたり,場や器械・器具の安全に気を付けたりすることができるようにする。【学

びに向かう力,人間性等】

プログラミン

グソフト

アンプラグド

(ただし、Hour of Code の“古典的な迷路『Angry Bird』”を事前に行っておく。)

プログラミン

グソフトを活

用した利点

・アンプラグドでのマット運動の授業を行う前に

Hour of Code の“古典的な迷路『Angry Bird』”を

学んでおくことで、プログラミング的思考を自然に

学ぶことができる。

・あらかじめプログラミング的思考を学んでおくことで、マット運動で自分が習得し

た技を連続で行うことを自分自身でプログラミングし、体験をすることができる。

成果

(児童の様子、

変化など)

・児童が自分で自分の動きをプログラミングして楽しむことができていた。

・自己の能力に適した課題を、プログラミングを通して客観的に考えを持つことがで

き、連続技に挑戦しようと頑張る姿が見られた。【思考・判断・表現】

・マット運動に進んで取り組み、友だちのプログラミングから刺激を受けたり、認め

たりすることができていた。【学びに向かう力,人間性等】

・PC の中のプログラミングされたキャラクターはいつまでも疲れることなく、動く

ことができるが、人間が同じことをすると当然疲れるということに気づくことがで

きた。(プログラミングの利点を感じることができた。)

課題 ・3 年生はマット運動の技と初めて出会う。(低学年では、マットを使った運動遊び)

そのため、基本的な技を一つ一つ丁寧に教えていく必要がある。プログラミングを

使った連続技等の発展的な学習を進めるには余裕のある時数確保が必要となる。(事

前に 1 時間 Hour of Code の“古典的な迷路『Angry Bird』”を行う時間をとり、

体育でのマット運動は計 8 時間だったが最後の 2時間をプログラミング学習と絡め

た学習の時間とした。)

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☆プログラミング授業実践 成果と課題 南大野小学校 2年担任 西岡 裕太

教科 単元名 第2学年 国語科 物語文「スイミー」

教科の目標 物語文「スイミー」の続きを書いた文を基にアニメーションで作り、自分

の作品に対する感想を持ち、さらに友だちと感想を伝え合うことができる。

プログラミングソフト Viscuit(ビスケット)

プログラミングソフトを

活用した利点

・絵を動かして命令を出すことができる。

・低学年に適している。

成果

(児童の様子、変化など)

・物語の続きをアニメーションにすることで、自分の考えたことを表現す

ることができ、子どもたちは、意欲的に活動することができた。

・自分の文章に合うようにすることを意識させることで、絵を描いて動か

したり、組み合わせたりするなど、試行錯誤しながら取り組めた。

・困ったときに友だちに操作方法を聞くなど自然な学び合いをしていた。

・友だちのアニメーションを見て、感想を伝え合うことで、様々な文章表

現を学び合うことができた。

・違う物語でもやってみたい意欲が高まった。

課題 ・感想を交流する際に、国語のねらいを達成するた

めのワークシートの工夫が必要だった。

・振り返りで、国語のねらいを達成することやプロ

グラミング、PCに関することが出てきた。振り

返りの視点を明確にする工夫が必要だった。

・前時でお気に入りの場面をアニメーションで表

現して感想を伝え合う活動に取り組んでいた

から、プログラミングソフト Viscuit の操作が

できた。その前にPCのマウス操作になれる学

習活動を取り入れた。PC操作に慣れる時間が必要不可欠である。

Viscuit(ビスケット)を

活用したその他の実践

①国語「カンジー博士の大発明」…合体漢字を作り、紹介し合う活動

②国語「お話の作者になろう」…自作の話をアニメーションで作り、感想

を伝え合う活動

児童が考えた物語文と、物語文を基に作成したアニメーションとプログラム

物語文とアニメーシ

ョンを紹介する様子

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☆プログラミング教育実践授業 成果と課題 南大野小学校 2年担任 西岡 裕太

教科 単元名 第2学年 生活科「あったらいいな こんなおもちゃ」

(手作りおもちゃと、国語「あったらいいな こんなもの」合科学習)

教科の目標 自分の願いを込めた電子おもちゃを作る活動を通して、試行錯誤の

力を身に付け、何気なく使っているスイッチを押すと光や音が出たり

動いたりする物の仕組みに気づくことができる。

プログラミングソフト アーテックブロック「Studuino」(スタディーノ)

準備物 アーテック社のロボットカーセット

プログラミングソフトを

活用した利点

・低学年に適したひらがな表示が可能。

・ロボットカーセットには、モーターやLED、ブザー等が入っている。

プログラミングした命令により、スイッチを押すと動いたり、光や音が

出たりするので、身近な電子おもちゃや物の仕組みに気づきやすい。

成果

(児童の様子、変化など)

・身近な電子おもちゃに対する疑問を解決するために、プログラミングを

取り入れることで、児童が主体的に学び、身近な物の仕組みに気づくこ

とができた。

・電池パックや部品を組み立てる活動をすることで、モノづくりへの関心

を持ち、製作者の思いや苦労を想像することができた。

・「あったらいいなこんなおもちゃ」と題して、国語科と合科的に行うこ

とで、「回す・飛ぶ」など想像力豊かなおもちゃを考えることができた。

新たな課題発見と課題解決方法を見出す気づきを得ることができた。

・部品から組み立てる活動とプログラミングを取り入れたことで、より試

行錯誤して課題解決に取り組むことができた。

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南大野小学校2年生は4学級です。学年でプログラミング授業実践しました。授業は次の通りです。

国語「スイミー」「カンジー博士の大発明」「お話の作者になろう」

生活科「あったらいいな こんなおもちゃ」

実践後の学年の先生に感想を聞いてみました。

【実践した学年の先生の声】

○良さ

学習意欲が高まる。PC操作に慣れる。目的を達成させるための試行錯誤ができる

自分の思いが形になって動く感動を味わえる。アニメーションにできる喜び。実際に物が動く喜び。

●不安

プログラミングに慣れていない。授業実践が少ない。

どの授業で取り組めば良いか分からない。→校内研修、プログラミング専科がいてほしい

コンピュータが使えなくなったときにどうしたらいいか→PCアドバイザーがいないと対処できない

担任一人でやるのは不安→指導書があればできるかも

【点滅する命令】 【自分が作ったおもちゃにLEDを取りつける様子】

【自分の願いを込めた電子おもちゃを全体で発表する様子】

課題 ・ロボットカーセットが3・4人に1台だったので、2人に1台の方が活

動の幅が広がる。

・アーテック社が作成しているのは漢字が使われている説明書だったが、

図を見て児童は読みとることができた。しかし、ひらがな付きの説明書

であると、もっと読みやすい。

・ページ数が多かったので、説明書がA4用紙1枚にまとまっていると、

児童は見やすく、教師側が印刷しやすい。

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プログラミング授業実践 成果と課題 新磯小学校 4年担任 山口 慶吾

教科 単元名 第 4 学年 算数 「計算のきまり」

教科の目標 四則に関して成り立つ性質を用いて計算を簡単に行う工夫について考え、表現するこ

とができる。

プログラミング

ソフト

SCRATCH

プログラミング

ソフトを

活用した利点

SCRATCH を活用することで、計算が簡単に行えるため四則の性質に焦点化するこ

とができるという利点があると考えている。

成果

(児童の様子、

変化など)

本時では、プログラミングをツールとして活用することを主として授業を展開する

ことで、学習の深まりがあると考えた。SCRATCH を活用し、ある式に対し正答でな

い場合、その過程のどこで、どのように間違えたかを考えることで、ただ計算する技

能を高めるだけでなくその仕組みについての学習の定着がはかれたように感じたこ

とは成果としてあげられる。

課題 実際に授業を行ってみて、教科書やプリントでも代用できる内容であったと考えられ

る。そのため、プログラミングを用いたことで、児童がいつもよりも意欲的に取り組

めたことは、成果として考えられるが、プログラミングが必ず必要な単元であったか

どうかという点に疑問が残る授業だったと感じた。また、前時までの学習内容の定着

度により、定着の差が大きく開いてしまった。前時までの学習の定着が不十分な児童

に対する手立てを取りにくい展開になってしまったことは課題であると考えられる。

プログラミングに慣れている児童と、そうでない児童で、学習の定着に差が付いてし

まったことも考えられる。本来であれば、できる児童が、プログラミングを活用した

ことで難しく考えてしまう児童も中にはいて、逆効果になってしまったこともあっ

た。まず土台として、最低限のプログラミングへの慣れや操作の技能を全自動に定着

させる必要性を感じた。またそれに伴い、その技能の定着をどの時間で行うかも課題

として挙げられるのではないかと考えている。

⇐計算式の数字を変えたり、式の

四則演算の順番を変えたりする。

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プログラミング教育実践授業 成果と課題 鹿島台小学校 6年担任 井手 哲

教科 単元名 第6学年 算数「速さの表し方を考えよう」

教科の目標 速さについて理解するとともに、求めることができるようにし、生

活や学習に活用する能力を伸ばす。

プログラミングソフト Scratch

プログラミングソフトを

活用した利点

「速い、おそいってどんなこと?」という速さの概念について考え

る導入で活用した。

①同じきょりを、ゆっくりと歩いたときと、急ぎ足で歩いたときに

かかる時間を比べる。

②同じ時間で、ゆっくりと歩いたときと、急ぎ足で歩いたときに進

む距離を比べる。

という課題を設定した。①については、生活経験上(50m走など)

から児童は理解しやすい概念と判断した。

②についてコンピュータ上でシミュレーションするためにプログラ

ムを使って考えることにした。

数値を自分で変更できるため、いろいろなパターンについて何度も

検証できることが大きな利点だった。

成果

(児童の様子、変化など)

何度も数値を変えて、2つのキャラクターを競争させていた。競争

しながら、速さの概念に迫ることができている子が多かった。

反復するプログラムを読むことができるようになった子が増えた。

課題 Scratch に数値を入れる際に、半角でないと入力を受け付けない部

分で混乱があった。

ファイルをアップロードする方法で戸惑う児童もいた。(互いに教え

合うことでスムーズに取り組むことはできた。)

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プログラミング授業実践 成果と課題 相原小学校 2年生 吉村 正浩

教科 単元名 第2学年 音楽 みんなの音楽時計をつくろう

教科の目標 ・拍の流れにのって、音型の組み合わせを工夫して重ね、音楽をつく

って楽しむ。

・自分たちのつくった音楽と共通するところを見つけながら鑑賞す

る。

プログラミングソフト アンプラグド

プログラミングソフトを

活用した利点

・リズムとパート譜を対応して覚えること

で、並べ替えたり音を合わせることを行

いやすくなる。

・一小節のパート譜を並べ替えるだけなの

で、音楽を構成する活動が行いやすい。

・繰り返し、強弱といった記号を使うこと

で、曲作りの幅を広げることができる。

成果

(児童の様子、変化など)

・リズム遊びから初めて少しずつパート譜

や記号を増やしていくことで、遊び感覚

で単元を進めることができた。

・どの児童も苦手意識を持つことなく音楽

を構成する活動を行うことができた。

・横に並べることで、別パートとの音の重

なりも視覚的にとらえることができ、工夫し

ながら活動していた。

・鑑賞しながらパート譜で覚えたリズムを見

つけることができていた。

課題 ・今回使った記号が必ずしも音楽に使われているものと同じではな

いため、読譜の技能は別に扱わなければならない。

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プログラミング教育実践授業 成果と課題 清新小学校 5年担任 小野寺 明彦

教科 単元名 第 5 学年 社会科 「工業の今と未来」

教科の目標 プログラミングの「デバッグ」を体験し、工業生産を支えるプログラマーの役

割を知るとともに、工業生産を支えている重要な役割であることを理解す

る。

プログラミングソフト Micro:bit(マイクロビット)

プログラミングソフトを

活用した利点

実際に自分がプログラムしたものが手元で動

くことで、喜びや達成感、試行錯誤する苦労

などが味わえる。

成果

(児童の様子、変化など)

研究授業の視点①②

① 社会科のねらいに迫れていたか。

・生産者の立場に立ち、消費者のことを考えてプログラムを考えていた。

(例:高齢者でも安全に渡れるように、信号の表示時間を変更する。

目の不自由な人のために音を鳴らせるようにしようと考える。など)

・消費者のニーズに合わせ、生産者がどのような工夫をしているか考え

ることができた。

② 工業生産を支える人々の喜びや苦労に気づかせるための有効な手立

てとなっていたか。

・コンピュータでプログラムを組み、実

際にモノで確かめることができる。プ

ログラムが動く喜びを感じやすい。

・試行錯誤できるのがよい。工夫しよう

と意欲的に取り組む姿が見られた。

課題 研究授業の視点①②

① 社会科のねらいに迫れていたか。

・工業生産を支える人々の思いや工夫、気付いたことを確認する場をも

う少し取った方が、より教科のねらいに迫れたのではないか。

喜び→プログラムを完成させ、味わうことができたか。

苦労→デバッグできなかった児童は、生産者の苦労を考えることがで

きたか。など

② 工業生産を支える人々の喜びや苦労に気づかせるための有効な手立

てとなっていたか。

・課題の持たせ方やプログラマーの設定状況など、もう少し明確にしな

いと遊び始めてしまう可能性がある。

・マイクロビットの基本的な操作(保存の仕方など)を身につけておく

とよい。そうすれば、より教科のねらいに迫る手立てとなり得る。

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プログラミング授業実践 成果と課題 九沢小学校 2年担任 小柳 和也

教科 単元名 第2学年 生活科

教科の目標 ・自分でプログラムしたものが動くことを楽しむ。

・身の回りにプログラムによって動いているものがあることに気づ

く。

プログラミングソフト レゴ

プログラミングソフトを

活用した利点

・児童の興味をぐっとひくことができる。

・タブレットを使うことで、プログラムの入れ替えや検証が簡単に

できる。

・低学年でも操作がしやすい。

・新たな活躍の場を見つけた児童がいた。

・またやりたいという意欲に繋がっている。

成果

(児童の様子、変化など)

・子どもたち同士で会話しながら試行錯誤を繰り返し、解決しよう

としていた。

・得意な児童にとっては、新たな活躍の場となり、自信に繋がって

いた。

・実際にプログラムしたものが動くことで、喜びを味わい、他には

どのようなものはあるのか、興味をもつようになった。

・普段使っているものにもプログラムがあるのではないかといった

課題をもつことができた。

・プログラムの順番が大切ということが理解できた。

・プログラム作りを楽しむことができた。

課題 ・授業中にタブレットが自動更新していまい、使えなくなってしま

った。

→事前に設定をしておく必要があった。

・プログラミングを体験することを目的に授業を行ったが、生活科

としてよかったのか。

・低学年なので、組み立てや片付けに時間がかかってしまった。

・タブレットとレゴの接続がうまくいかないことがあった。原因は

わからなかった。

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プログラミング授業実践 成果と課題 谷口小学校 4年担任 旭岡義如

教科 単元名 第4学年 算数 単元名 「計算のやくそくを調べよう」

教科の目標 計算の順序に関わるきまりについて理解するとともに、四則に関し

て成り立つ性質について理解を深め、必要に応じて活用できるよう

にする。

プログラミングソフト 【情報教育支援ツール】 ウェブブラウザで使える関数電卓

(https://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/mnaka/ut/funccalc.html)

プログラミングソフトを

活用した利点

関数電卓を使うことで、( )のある計算

式が立てられる利点や、今回活用した仕様

のものは計算履歴も残せるため、児童に

とって毎回計算式を一から打ち込む負担が

少ない利点がある。

成果

(児童の様子、変化など)

( )の位置を変えることで、計算結果が

大きく変わってしまうことが感覚的に体験

できた。

教科書にも同じような体験ができる解決課

題があるが、特に計算がやノートに書き込

むのが苦手な児童にはやや苦痛を感じさせ

てしまうことが懸念されるが、本学習では

そういった児童でも積極的に取り組む様子

が見られた。

課題 スクラッチのようなプログラミングソフト

を使ったものではないため、児童にとって

は「プログラムを組む」実感が乏しい学習

になってしまった。またパソコンを使用し

たブラウザ型の関数電卓とはいえ、「電卓

の延長線という印象があり、「命令を出す」

→「コンピュータがその命令を忠実に実行

する」といった経験が感じづらいものであ

った。

学習の目標は達成できたと感じるが、わざ

わざコンピュータを使う必要性も薄かった。

より、プログラミングを体験的に学べる内

容精査する必要を感じた。

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プログラミング授業実践 成果と課題 麻溝小学校 4年担任 八木 翔平

教科 単元名 4年社会 わたしたちの県

教科の目標 【知識・理解】

日本の47都道府県の名称と位置を覚え、地理的な位置と関連させなが

ら特産物があることを理解している。

プログラミングソフト スクラッチ

~ブロックを組み合わせて47都道府県を見付けよう~

プログラミングソフトを

活用した利点

都道府県の特徴を組み合わせて、

(条件設定をして)都道府県を特

定する活動を試行錯誤しながら

行う事ができる点。

成果

(児童の様子、変化など)

今まで学習してきた内容を振り返りなが

ら都道府県を特定する活動ができた。

例:新潟県

中部地方 雪が多い 米の生産が多い

青森県

東北地方 りんご 海に面している

県の特徴を新しい視点で持つことができた。

となり合う都道府県の数が○

リアス式海岸

人口が多い など

授業後も都道府県の特徴を自主学習で取り

組む児童が見られた。

課題 授業前の課題

プログラムが複雑である。→出来ているものを探す手間がかかる。

スクラッチに何度か触れていないと難しい。

授業での課題

プログラムが難しく組まれているせいか

動作が重く、フリーズしたパソコンが何台かあった。

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プログラミング授業実践 成果と課題 宮上小学校 6年担任 江成勝太

教科 単元名 6年 理科 発電と電気の利用(電気の変かんと利用)

教科の目標 電気はつくり出したり蓄えたりすることができることを知り、その電気

をさまざまな器具に流すことによって、電気は、光、音、熱などに変え

ることができるという考えをもつことができるようにする。電気の効率

的な利用について、プログラミングを体験しながらとらえられるように

する。

プログラミングソフト MESH(ソニー)

手回し発電機で貯めた電気を

使って自動でLED点灯させる

方法を考える

という学習を行った

プログラミングソフトを

活用した利点

作りたいものを再現するための体験を通して

センサの種類が豊富で、「こんなふうに動かしたい」「こんなものがあ

ったら便利だな」と考えたものを簡単な操作でプログラミング体験をす

ることができるのが MESHの利点だ。

実際に近い形で電気製品の仕組みを再現して学習することができる

ことで、児童が発想する電気を利用した製品や、技術の幅が広がるよう

に授業を設定した。

グループで話し合いながら活動していく中で、うまくいかない所を修

正したり、新たに工夫したりするなど、子どもたちの思考を大きく広げ

ることができる。

成果

(児童の様子、変化など)

○MESH でモーターや LED 以外のものも動かしてみたい。新しい機械は

どう便利なのか、なぜこの機械を作ったのか、作る側の人に目線で考

えることができた。

○どうしたら自分が考えたものが、その通りに動くのか考えることが実

際にできて良かった。思った通りに LEDがついたり消えたりするのか

を考えるのが楽しかった。

○GPIO を初めて使って、色々なことに活用できることを知った。やっ

たことのない実験をやってみて、別の電気を変かんする実験をやって

みたい。

課題

有効活用=おもしろいもの という発想に向かっていかないようにし

なければいけない。センサを使うことで、「人の暮らしが便利になる」

ということや、「エネルギーの節約、エコになる」というように視点を

明確に示すことで、学習課題を確実に押さえることができる。

Page 17: プログラミング授業実践報告会①プログラミング授業実践報告 実践数:14(☆が代表者) ... 成果 ・児童が自分で自分の動きをプログラミングして楽しむことができていた。

これからのプログラミング教育

* 小学校プログラミング教育の手引(第2版)

まず楽しさや面白さ、達成感を味合わせることによ

って、プログラムのよさ等への気づきを促し、コンピ

ュータ等を「もっと活用したい」「上手に活用したい」

といった意欲を喚起することができます。

児童がプログラミングを「体験」し、自ら意図する

動きを表現するために試行錯誤することが極めて重要

となります。

プログラミングは楽しい

自分の思いを表現したい意欲

試行錯誤

意識して授業づくりをすると

安心して実践できますよ

Page 18: プログラミング授業実践報告会①プログラミング授業実践報告 実践数:14(☆が代表者) ... 成果 ・児童が自分で自分の動きをプログラミングして楽しむことができていた。

* 私たちの実践がみなさまの日々の授業

に参考にしていただけたらと思います。

* ぜひ、各学校で楽しいプログラミング

の実践に取り組んでみてください。

楽しいプログラミング教育を

各学校に広めていきましょう!

ご清聴、

ありがとうございました