12
特集/マルチレベル分析への招待 マルチレベル分析の考え方 1) 牧野 成史(Shige Makino(香港中文大学 工商管理学院 教授) マルチレベル分析は,個人,グループ,企業,産業,地域, 国など異なるレベルの現象を調査することで,個人や組織の行 動やパフォーマンスを説明する多様な原因やその影響を描き出 すのに利用される.シングル・レベルでのアプローチは,しば しば統計解析上の問題を生じさせ,また理論構築について誤っ たインプリケーションを与えることがある.本稿では,経営学 研究において,何故マルチレベル分析が伝統的なシングル・レ ベル分析に比べて有用であるかを説明すること,そして経営学 の研究者にマルチレベル分析を経営学研究に使うことを推奨 し,その価値を強調することにある. キーワード マルチレベル分析,リサーチメソドロジー,アグリゲーション・バイアス,エコロジカル・フォーラシー,脱平均値重視の発想 .はじめに 近年「マルチレベル分析」という言葉を欧米の 学会誌で見かけることが多くなった.欧米の代表 的な学会誌 6 誌において「マルチレベル:multi- level」あるいは「マルチレベル分析:multilevel analysis」という言葉がタイトルあるいは抄録に 入っている文献の件数は 1995 年の 4 件から 2010 年までの通算で 101 件に増加している 2) .アカデ ミ ー・オ ブ・マ ネ ジ メ ン ト・ジ ャ ー ナ ル Academy of Management Journal)やジャーナ ル・オブ・インターナショナル・ビジネス・スタ デ ィ ー ズ(Journal of International Business Studies)などの主要な経営学のジャーナルでは マルチレベル分析を特集した特別号が近年組まれ ている. 何故マルチレベル分析が経営学の研究で注目を 集めるようになったのであろうか. マルチレベル分析とは,ある特定の現象につい て,個人,組織,産業,国など異なるレベルの要 因の影響を分析する方法をいう.マルチレベル分 析が経営学研究で特に重要視されるようになった のは,研究の対象である個人や組織の行動やパフ ォーマンスが,個人,チーム,組織,ビジネスグ ループ,産業,国などの異なるレベルの影響を受 けているからである.このうちのひとつのレベル の要因の影響のみを研究するだけでは,観察対象 に直接あるいは間接的に影響を与えている文脈の 全体像を理解することはできない.例えば筆者の 親族の贔屓である中日ドラゴンズは去年,優勝と いう輝かしい成績を残すことができたが,野球チ ームの成績は,選手の技能など個人レベルの要 因,チームのまとまりや監督やコーチのリーダー シップなどチームレベルの要因,オーナー企業の 支援などの球団レベルの要因,中部地区のファン の支援など地域レベルの要因など,さまざまなレ ベルの要因の複合的な結果である.このうちのひ とつだけの要因で成績を説明することはできない のは自明である. 組織科学 Vol.44 No. 414-25201114

マルチレベル分析の考え方 - 組織学会それにもかかわらず,多くの研究者は研究の対 象となる現象,例えば企業や個人の行動やパフォ

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

【査読付き論文】

特集/マルチレベル分析への招待

マルチレベル分析の考え方1)

牧野 成史(Shige Makino)(香港中文大学 工商管理学院 教授)

マルチレベル分析は,個人,グループ,企業,産業,地域,

国など異なるレベルの現象を調査することで,個人や組織の行

動やパフォーマンスを説明する多様な原因やその影響を描き出

すのに利用される.シングル・レベルでのアプローチは,しば

しば統計解析上の問題を生じさせ,また理論構築について誤っ

たインプリケーションを与えることがある.本稿では,経営学

研究において,何故マルチレベル分析が伝統的なシングル・レ

ベル分析に比べて有用であるかを説明すること,そして経営学

の研究者にマルチレベル分析を経営学研究に使うことを推奨

し,その価値を強調することにある.

キーワード

マルチレベル分析,リサーチメソドロジー,アグリゲーション・バイアス,エコロジカル・フォーラシー,脱平均値重視の発想

Ⅰ.はじめに

近年「マルチレベル分析」という言葉を欧米の

学会誌で見かけることが多くなった.欧米の代表

的な学会誌 6誌において「マルチレベル:multi-

level」あるいは「マルチレベル分析:multilevel

analysis」という言葉がタイトルあるいは抄録に

入っている文献の件数は 1995年の 4 件から 2010

年までの通算で 101 件に増加している2).アカデ

ミ ー・オ ブ・マ ネ ジ メ ン ト・ジ ャ ー ナ ル

(Academy of Management Journal)やジャーナ

ル・オブ・インターナショナル・ビジネス・スタ

デ ィ ー ズ(Journal of International Business

Studies)などの主要な経営学のジャーナルでは

マルチレベル分析を特集した特別号が近年組まれ

ている.

何故マルチレベル分析が経営学の研究で注目を

集めるようになったのであろうか.

マルチレベル分析とは,ある特定の現象につい

て,個人,組織,産業,国など異なるレベルの要

因の影響を分析する方法をいう.マルチレベル分

析が経営学研究で特に重要視されるようになった

のは,研究の対象である個人や組織の行動やパフ

ォーマンスが,個人,チーム,組織,ビジネスグ

ループ,産業,国などの異なるレベルの影響を受

けているからである.このうちのひとつのレベル

の要因の影響のみを研究するだけでは,観察対象

に直接あるいは間接的に影響を与えている文脈の

全体像を理解することはできない.例えば筆者の

親族の贔屓である中日ドラゴンズは去年,優勝と

いう輝かしい成績を残すことができたが,野球チ

ームの成績は,選手の技能など個人レベルの要

因,チームのまとまりや監督やコーチのリーダー

シップなどチームレベルの要因,オーナー企業の

支援などの球団レベルの要因,中部地区のファン

の支援など地域レベルの要因など,さまざまなレ

ベルの要因の複合的な結果である.このうちのひ

とつだけの要因で成績を説明することはできない

のは自明である.

組織科学 Vol.44 No. 4:14-25(2011)

14

それにもかかわらず,多くの研究者は研究の対

象となる現象,例えば企業や個人の行動やパフォ

ーマンスを,特定のレベルの要因のみによって説

明する傾向にある.その理由は,研究者は通常特

定のディシプリンに準拠しており,そのディシプ

リンの多くは,単一レベルの現象を説明すること

に焦点を当てているからである.例えば,個人や

グループを研究対象にする研究者は心理学に準拠

し,組織や社会・経済システムを研究対象にする

研究者は経済学や社会学などに準拠する傾向があ

る.

もし異なるディシプリンに準拠する研究者が同

じ研究対象を説明するとどうなるであろうか.ミ

ンツバーグ等(1998)の引用した盲人と象の寓

話3)にあるように,それぞれの研究者は全く異な

るレベルの要因を対象にした研究のイシューを見

つけるだろう.例えば去年盛り上がったワールド

カップを対象とした学会誌の特集号があるとする

と,チームのパフォーマンスに与える要因につい

て,例えばこんなタイトルの論文が集まるかも知

れない.

─選手への高い報酬はどれほど勝敗に影響する

のか(人的資源管理研究者)

─フラット型組織とチーム・パフォーマンス

(組織論者)

─国の競争優位:何故南米諸国は強いのか(国

際戦略研究者)

この例の示すところは,同じ研究テーマ─ここ

ではチームのパフォ─マンスの源泉の解明─を対

象にする場合でも,人的資源管理の研究者はプレ

イヤーなど個人の特性を,組織論の研究者はチー

ムの構造やプロセスなど組織の特性を,国際経営

学者は国に特有な要因など社会的文脈を主な研究

対象にする傾向にある,ということである.別の

言い方をすれば,研究者は自分の依拠するディシ

プリンが主に対象とするレベル以外の要因には,

無関心であるかあまり重要視しない傾向にあると

いうことである.ディシプリンが専門化するに従

い特定のレベルのみを対象にした分析が普及する

と,現象を俯瞰的に見るマルチレベルの視点が弱

くなり,研究者はそれこそ象の廻りに群がる盲人

のように「百家争鳴,木を見て森を見ず」の誤り

を犯すことになりかねない.

マルチレベル分析を用いた研究は近年増加する

傾向にあることは既に述べた.このひとつの理由

は,多くの研究者が,いわゆる「ミクロ」レベル

(個人やグループ)と「マクロ」レベル(組織,

産業,国など)の問題を分離することを問題視す

るようになってきたことにある.例えば,組織行

動や人的資源の研究者が関心を持つ「従業員の仕

事への満足感」も,個人のレベルを超えたより広

い文脈─たとえば同僚との人間関係などチームに

関する要因,福利厚生の充実度などの組織レベル

での要因,労働市場の流動性や景気動向,仕事に

対する価値観や社会的規範など,社会レベルでの

経済的文化的要因など─と切り離して理解するこ

とはできない.マルチレベル分析を用いることに

より,これら多様なレベルの要因を分離して分析

することができるようになる.マルチレベル分析

は,個人や組織の行動の異なるレベルにおける多

様な原因及び影響を分析するのにとても役に立つ

方法である.

とくに重要なのはマルチレベルの要因をコント

ロールすることなく単一のレベルで分析を試みる

と,分析上重要な問題が生じる場合がある点であ

る.以下に例を挙げて説明してみよう.

図 1に描かれているのは年収と 1 年当たりの労

働時間の関係を示した散布図である.ここでは

15人のサンプルを使っている.この散布図を見

て年収と労働時間との間にどのような関係がある

と推測できるであろうか.直感的には両者の間に

は正の相関があるように思われる.実際相関係数

を計算すると r=0.74となり,統計的に見ても強

い正の相関があることが確認される.つまり,よ

り多くの年収を得ている人ほどより多く(長く)

働く傾向がある,ということを示している.

ここでサンプルに使った 15人について,追加

情報を検討してみよう.実はこの 15人は 5人ず

つ 3つの異なる国からサンプリングしたものであ

マルチレベル分析の考え方 15

16 組織科学 Vol. 44 No. 4

図 2 年収と労働時間

INCOME90,00080,00070,00060,00050,00040,000

WORK HOURS

2,000

1,900

1,800

1,700

1,600

1,500

COUNTRY

Country C

Country BCountry A

図 1 年収と労働時間

INCOME90,00080,00070,00060,00050,00040,000

WORK HOURS

2,000

1,900

1,800

1,700

1,600

1,500

図 3 年収と労働時間:国別平均

MEAN INCOME80,00070,00060,000

MEAN WORK HOURS

1,900

1,800

1,700

1,600

COUNTRYCountry C

Country BCountry A

る(図 2).この新情報を得た後においても年収

と労働時間の関係に正の関係があるといえるだろ

うか.

各個人の年収と労働時間の国毎に平均を取って

みると平均値の散布は正の相関を持っているよう

に見える(図 3).

しかし各国国内で両者の関係を見ると 3 つの全

ての国で両者の間に負の相関が見られるようにな

る.またこれを各国の平均値で調整する(平均値

からの偏差をとる)と負の相関はより鮮明になる

(図 4).つまり年収が多い人ほど長く働かなくな

る傾向があることを示している.これは図 2 で示

されたインプリケーションとは全く逆のことを示

している.

上記の例は,観察された変数間の「全体の分

散」が「グループ内分散」と「グループ間分散」

の結合されたものであることを示している(図

5).この例では「国」を個人のレベルの上位レベ

ルのグループとしてとらえると,年収と労働時間

の 2 つの変数は「グループ内」では負の相関をと

り,「グループ間」では正の相関をとることが示

されている.もし私たちが国レベルの違いをコン

トロールせず,あるいは国毎の平均値のみを分析

した場合,本来全ての国で負の相関が見られる 2

つの変数の関係について,両者には「正の関係が

ある」という誤った結論を出してしまうことにな

りかねない.これはアグリゲーション・バイアス

(aggregation bias)と呼ばれる単一レベルでの分

析によく見られる分析上の問題である.

マルチレベル分析は理論構築についても重要な

マルチレベル分析の考え方 17

図 5 年収と労働時間:国別平均と偏差

= f

INCOME90,00080,00070,00060,00050,00040,000

WORK HOURS

2,000

1,900

1,800

1,700

1,600

1,500

MEAN INCOME80,00070,00060,000

MEAN WORK HOURS

1,900

1,800

1,700

1,600

MEAN ADJUSTED INCOME20,00010,0000-10,000-20,000

MEAN ADJUSTED WORK HOURS

 60

 40

 20

 0

-20

-40

-60,

全分散 グループ(国)間分散 グループ(国)内分散

図 4 年収と労働時間:国別平均からの偏差

MEAN ADJUSTED INCOME20,00010,0000-10,000-20,000

MEAN ADJUSTED WORK HOURS

 60

 40

 20

 0

-20

-40

-60

COUNTRYCountry C

Country B

Country A

Total Population

インプリケーションを持っている.経営学の理論

は本来,個人や組織の行動やパフォーマンスの差

異を説明することを目的としている.上で示した

ように,これらの差異はグループ内とグループ間

の差異の合成であることを理解することが重要で

ある.別の言い方をすれば,私たち経営学の研究

者は対象となる現象を説明するのに少なくとも 2

つの理論群を必要とする.ひとつはグループ内で

の観察対象の差異を説明する理論,もうひとつは

グループ間の差異を説明する理論である.例えば

複数の学校の生徒の成績を説明する場合,生徒個

人の能力などの個人的な属性を説明する理論のほ

か,生徒が所属するグループによる影響,例えば

クラスの違いに起因する要因,学校間の違いに起

因する要因,など個人の行動に影響を与える異な

るグループ間の差異を生じさせる要因を,説明す

る理論が必要となる.

もしグループ内とグループ間の差異のどちらか

一方をのみに焦点を当てて観察対象の理論化を行

うと観察対象をとりまく文脈を過小評価あるいは

過大評価することになり,正しい全体像の理解が

理論化によってかえって困難になる場合がある.

例えば,多くの新古典派経済学で用いられている

経済モデルは,時に非現実的な仮定を置くことに

よって文脈上の影響,例えば移行経済や新興国経

済など先進国と異なる制度的構造や発展度合いを

持つ環境要因など,を過小に評価することが指摘

されることが多い.例えばノーベル経済学賞受賞

者でもあるスティグリッツ(1999)は,世界銀行

でのキーノート・スピーチで以下のように述べて

いる.

「典型的なアメリカの経済学の教科書は[先進

国経済を前提とした]伝統的な新古典派モデル

の視点に過剰に依存しており移行経済が直面す

る状況を的確に説明することができない.」

一方,いわゆる国家間の「比較文化」の研究

は,国の文化あるいは社会的文脈の特殊性を対象

にする一方,同じ文化あるいは社会的文脈内での

差異にはあまり注意を払わない傾向がある.例え

ばMcSweeney(2002)は,国の文化研究で有名

な Hofstedeの研究を評して次のように述べてい

る.

「Hofstedeの国の文化の分析は,国内では文化

は同質・同一であり,国家間でのみ異なるとい

う全くありえない前提に依拠している」(pp.

107-108)

マルチレベルで観察対象を分析することは,異

なるレベルに交錯する複雑なイシューを説明する

ための研究上の方法の組み立て方や理論構築に極

めて有益なアプローチであり,観察対象を説明す

る際に生じうる文脈の過大評価及び過小評価を防

ぐための有効な手段である.

そこで,筆者の最近の研究を紹介しながらマル

チレベル分析の有用性について以下で考えてみた

い.

Ⅱ.Does country matter?4)

戦略研究の重要な目的は企業の経営成果の違い

が何故そしてどのように生じるのかを明らかにす

ることである.戦略研究では 2つの主要なパース

ペクティブがこの問いかけに答えを提供してい

る.ひとつは Porterに代表される伝統的な産業

組織論の流れを汲むパースペクティブである.こ

のパースペクティブでは産業を分析単位に置き,

産業内の競争構造の程度が企業の長期的パフォー

マンスに影響を与える重要な要因であると説明す

る.もうひとつは Barney に代表されるリソー

ス・ベースド・ビューと呼ばれるパースペクティ

ブである.このパースペクティブは企業の所有す

る資源や組織能力の違いが企業の継続可能な競争

優位─したがって長期的なパフォーマンス─に影

響を与える主要因であると説明する.企業のパフ

ォーマンスの差異が産業構造や経営資源の差異に

よって生じることは過去 40 年の間に多くの実証

研究によって支持されている.過去の分散構造分

析を用いた実証研究によると産業の違いは約

18 組織科学 Vol. 44 No. 4

10%,企業の違いは約 20%程度企業のパフォー

マンスの分散を説明できることを示している.し

かしこれらの研究は主に米国企業の国内での活動

のみを焦点に当てており,企業の海外活動,とり

わけ進出先国の違いが企業のパフォーマンスにど

れほど影響を与えるかという点を明らかにしてい

ない.国際経営の分野では,国の環境─例えば国

に特殊な経済的,政治的,文化・社会的,制度的

な環境─の違いが国際経営のオペレーションやパ

フォーマンスに大きな影響を与えていることを明

らかにしているが,進出先の環境の違いが産業構

造や経営資源の違いと比べてどれほど影響がある

のかを明らかにしていない.ある要因が企業のパ

フォーマンスに影響を与えるかどうか─あるいは

意味のある程度に説明量があるかどうか─という

問いかけはその要因が他の要因と比べてどの程度

説明力があるかという問いかけと本質的に異なる

問題を対象にする.この問いかけに答えるため,

国の違いが産業や企業の違いと比較してどの程度

企業のパフォーマンスの違いを説明できるかとい

う問題をここで検討する.ここでは海外子会社を

分析単位としており,企業(親会社),産業,進

出先国はいわゆるグループ・レベルの単位を構成

する.ここではそれぞれのグループの違いがそれ

ぞれどれだけ海外子会社のパフォーマンスの分散

を説明するかを検証する.産業や企業の影響の大

きさに対して国の違いが子会社のパフォーマンス

の分散について僅かしか説明力を持たないのであ

れば,産業組織論やリソース・ベースド・ビュー

のほかに新たな理論を作る必要も無いであろう.

逆に,これが大きな説明力を持つのであれば,こ

れら 2 つの主要な理論パースペクティブのほか,

国を論理の中核に据えた理論構築の必要性が議論

されるべきであろう.

マルチレベル分析の考え方 19

推定値 %

年 0.06 0.1

子会社 20.90 31.4

親会社 7.17 10.8

進出国 3.67 5.5

産業 4.61 6.9

エラー 30.21 45.3

計 66.60 100

N 28,809

⑵ 国グループのサンプルを用いた分析

新興国

(小国)

新興国

(大国)NIEs 先進国

推定値 % 推定値 % 推定値 % 推定値 %

年 0.09 0.2 0.07 0.1 0.07 0.1 0.05 0.1

子会社 13.26 23.1 13.05 24.1 13.81 25.2 15.41 28.2

親会社 2.75 4.8 4.51 8.3 6.22 11.3 7.34 13.4

進出国 4.43 7.7 3.38 6.2 2.39 4.4 1.97 3.6

産業 5.07 8.8 4.11 7.6 3.67 6.7 2.99 5.5

エラー 31.78 55.4 29.14 53.7 28.62 52.3 26.88 49.2

計 57.38 100 54.26 100 54.78 100 54.64 100

N 1,496 3,095 10,297 13,921

表 1 分散構造分析の結果:国レベル

⑴ 全てのサンプルを用いた分析

本研究では過去約 5,000社の日系子会社のパネ

ル・データを用いて分散構造分析を行った.サン

プルに用いたデータは,160産業,80カ国におい

て 10 年(1996-2005 年)間存続した子会社のパ

フォーマンス情報である.パフォーマンスの測定

には売上高利益率を用いた.分析の結果(表 1)

は,子会社間の違いの説明力が 31%と一番高く,

親会社,産業,そして進出国の違いと続いた.進

出国の違いはパフォーマンスの約 5.5%を説明す

ることが確認された.また国を新興国と先進国に

分けて分析した場合,いくつか異なるパターンが

発見された.例えば,新興国のグループでは,国

の影響が企業(親会社)の影響よりも強くなる

が,先進国のグループでは逆になる.また新興国

のグループでは国の影響が産業の影響の強さとほ

とんど変わらないのに対し,先進国のグループで

は国よりも産業の影響の方が強くなる.

これらの発見は,国の違いが産業や企業の要因

に加えて企業パフォーマンスへ重要な影響を与え

ていることを示しており,産業組織論やリソー

ス・ベースド・ビューなど産業や企業を分析単位

として組み立てられている理論的基盤に,更に国

を分析単位とした戦略理論の必要性が示されてい

るといえる.とくに新興国については,近年経済

の発展が著しく多くの海外企業が進出している

が,新興国のグループでは国家間の違いが企業の

パフォーマンスの差異に大きな影響を与えている

ことを考えると,新興国への進出戦略の成果を説

明する国をベースにした戦略理論の早急な構築が

望まれるところであるといえよう.

Ⅲ.Does sub-national region matter?5)

筆者の 2 つ目の研究は,1 つ目の研究を国内地

域に応用したものである.この研究では,国内地

域(以下地域)の違いが日系企業の海外子会社の

パフォーマンスの分散をどの程度説明するかを検

証した.同じ国内であっても地域によって企業の

経済活動や集積の程度に大きく違いが出ること

は,経済地理学者や一部の国際経営学者などの研

究によって既によく知られている事実である.し

かし地域間によって企業のパフォーマンスに違い

が出るのか,もし出るとすれば産業や企業の違い

と比べてどの程度パフォーマンスの違いを説明す

るのか,というごく素朴な疑問に答える包括的な

研究は筆者の知る限り存在しない.新興諸国の勃

興により多くの企業が立地上の優位性を考慮する

ことが重要になってきているが,いわゆる

BRICs(ブラジル,ロシア,インド,中国)と呼

ばれる国は,広大な領土と膨大な人口を持ち,経

済的発展度,資源やインフラあるいは労働力など

の地域間格差が存在し,多くの種族や言語が存在

する多民族多文化国家であり,また法や社会規範

などの制度や政策のあり方が地方政府によって大

きく異なるという一般的な特徴を共有している.

これらの国では,国内であればどの地域であって

も同質な経営環境が存在すると自動的に考えるに

は無理がある.本研究では「地域」を産業,企

業,国に続く新たなグループ・レベルとしてとら

え,地域間の差異がどの程度海外企業のパフォー

マンスの違いを説明できるのかを検証する.この

研究ではとくにアメリカと中国の地域を対象とし

た.どちらの国も比較的独立した地方政府を持つ

行政上の地域単位(市,省,州,自治区など)を

数多く持っているのが共通の特徴である.またア

メリカは世界最大の先進国であり中国は世界最大

の新興国であるため,先進国と新興国における地

域の影響の違いを検討することが可能となる.一

つ目の研究と同様,海外子会社,企業(親会社),

産業,そして新たに加わった地域の違いがどれだ

けパフォーマンスの分散を説明できるかを分散構

造分析で検討した.

前掲の研究で用いたものと同じデータを使った

分析では,地域差は少なくとも統計的に子会社の

パフォーマンスの差異を説明する要因になりうる

ことが発見された(表 2).ただしアメリカと中

国の両国共に,他のレベル(産業,企業)よりも

その影響度は低かった.特記すべきは地域の違い

がパフォーマンスに与える影響を両国間で比較す

ると,その影響の度合い(地域差がパフォーマン

スの差異を説明できる割合)は,アメリカで 1.4

%,中国ではその約 5 倍にあたる 6.7%となっ

20 組織科学 Vol. 44 No. 4

た.今後の追加分析を待たねばならないが,中国

は地域(市,省,自治区)間でより断絶的・多様

な環境が存在し,アメリカでは逆に比較的強く統

合された同質的な環境が地域(市,州)間に存在

することが推察される.このことは,海外企業が

新興諸国に進出する際には,先進国に進出する場

合と比べて,より一層「地域に特有な」経営環境

を理解する必要があることを示しているともいえ

る.今後の研究はそのような「地域に特有な」要

因を詳細に分析し,企業がそれらからどのような

影響を受けまた対応しているかを説明することが

求められるであろう.

Ⅳ.Subsidiary Performance around the

World

我々の 3 つ目の研究は各国における企業のパフ

ォーマンスの分布のパターンを調べたものであ

る.マルチレベル分析では,グループ内とグルー

プ間の影響を分析する際の有用な方法であること

は既に述べたが,本研究では少し趣向を変え,進

出先の国間で日系企業の海外子会社のパフォーマ

ンスの分布形状がどのように変化するか(あるい

はしないか)を検討した.通常の社会科学系のモ

デルは対象とする社会的現象間のエッセンシャル

な関係─例えば,研究開発と長期的パフォーマン

スの関係─を示すものであるが,これは基本的に

「平均値」の発想をベースにしている.平均値の

発想とは,ある特定のグループで観察される現象

が常に平均値を中心に釣鐘上の分布をし,平均値

がそのグループの特徴を最も端的に代表している

と仮定する考えである.モデルで予測される関係

は観察対象の平均的な傾向を示すにとどまり,そ

れに整合しないものはエッセンシャルではないと

考えられる.回帰分析など標準的な統計学の実務

でも平均値から大きく乖離した観測値は「アウト

ライヤー」と呼ばれ,実際,統計の本の中にはフ

ィットスタティスティックの数値を改善するため

にそれらをデータから取り除くように勧めている

ものもある.しかし実際多くの経営問題の分析に

ついて私たちが知りたいと思うのは企業行動やパ

フォーマンスの「平均的」な傾向ではない.たと

えば,教員としてMBAのクラスで用いるケース

の事例はどれも成功か失敗した経営決定の話で,

言ってみればアウトライヤーを対象とした話であ

る.また経営者の多くは他社と比べて如何に差別

化できるかということに関心を持つのであり,平

均的な企業になることを最終的な目的にする経営

者はいないであろう.この意味で社会科学の理論

モデルや回帰分析などの実証結果はパフォーマン

スにおいて他を圧倒すよるアウトライヤーでいる

ことを願う実務家に対してあまり有効な情報を提

供するものではない6).また個別のデータの傾向

をグループの平均値で代替させることはエコロジ

カル・フォーラシー(ecological fallacy)という

重要な統計解析上の問題を生む場合がある.エコ

ロジカル・フォーラシーとは,ある特定のグルー

プにおける全ての観察対象(個人,組織など)が

マルチレベル分析の考え方 21

表 2 分散構造分析の結果:地域レベル

米国 中国

推定値 % 推定値 %

年 0.36 0.3 4.29 2.2

子会社 24.73 17.5 30.61 15.8

親会社 27.14 19.2 40.37 20.8

産業 19.23 13.6 20.31 10.5

地域(市,省,自治区,州) 1.94 1.4 12.94 6.7

エラー 68.01 48.1 85.51 44.1

計 141.40 100 194.04 100

N 16,277 13,051

グループ平均と整合的に行動するという誤った仮

定を設定することである7).平均的な日本人の妻

が料理上手で優しい,ということから「全て」の

日本人妻がそうであると誤った結論を導くのはそ

の一例である8).

本研究ではこのような問題意識の下,海外子会

社のパフォーマンスの「平均値」の比較ではな

く,パフォーマンスの分布の形状そのものを比較

するものである.パフォーマンスの分布を見るこ

とにより,実際の企業のパフォーマンスの平均値

や分散のなどがグループ間でどのように異なるの

かを調べることができるだけでなく,「分布の形

状」そのものの比較が可能となる.近年の研究に

よれば必ずしも全ての観察現象が正規分布に従う

とは限らないことが明らかにされている9).しか

し企業の経営成果の分布を包括的に検証した研究

22 組織科学 Vol. 44 No. 4

図 6 海外子会社のパフォーマンスの分布:先進国

.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0ROS(%)

-20-19-18-17-16-15-14-13-12-11-10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

New ZealandUAEBelgiumSwedenAustriaGermanyItaly

図 7 海外子会社のパフォーマンスの分布:移行経済諸国

.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

-20-19-18-17-16-15-14-13-12-11-10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

IrlandSwissPolandHungaryPortgal

ROS(%)

はあまり存在しない.「国」という観察レベルが

平均や分散だけでなく「分布の形状」そのものに

どのような影響を及ぼしているかを検証するの

が,この研究の主要テーマである.

ここでは,27カ国に進出している約 20,000社

の日系子会社の 13 年分の売上高利益率の分布を

分析した.分析の結果,日系企業の子会社のパフ

ォーマンスの形状は進出国によって顕著な違いが

あることが明らかになった.今回の分析では,分

布の形状によって日系企業の進出国を大きく 4 つ

のグループに分けることができた.

図 6は先進国(イタリア,オーストラリア,ド

イツ,スウェーデン,ニュージーランドなど)に

おける海外子会社の売上高利益率の分布を示した

ヒストグラムである.パフォーマンスの分布は,

平均値付近で高いピークを持ちほぼ左右対称なか

たちを持つ釣鐘状の形状を示している.

図 7 は旧社会主義諸国を中心とした移行経済

マルチレベル分析の考え方 23

図 8 海外子会社のパフォーマンスの分布:アジア新興国

.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

-20 -19-18-17-16-15-14-13-12-11-10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

IndiaKoreaThaiChinaIndonesiaTaiwanMalaysiaPhilippines

ROS(%)

図 9 海外子会社のパフォーマンスの分布:その他新興国

.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

-20-19-18-17-16-15-14-13-12-11-10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

VietnamSouth AfricaBrazilTurkeyCzechMexicoRussiaChiliArgentina

ROS(%)

(ポーランド,ハンガリー,ポルトガル)におけ

る海外子会社の売上高利益率の分布を示したヒス

トグラムである.ここでのパフォーマンスの分布

の特徴は,ひとつの高いピークを持つ先進国での

分布と異なり,2 つ以上の低いピークを持つ点で

ある.

図 8 はアジアの新興諸国(インド,中国,タ

イ,台湾,マレーシア,フィリピン,インドネシ

ア)における海外子会社の売上高利益率の分布を

示したヒストグラムである.パフォーマンスの分

布の特徴は,低いピークを持ち,分布が左側に大

きく偏っていることにある.

図 9 はその他の新興諸国(ベトナム,ブラジ

ル,トルコ,ロシア,チリ,アルゼンチン,メキ

シコ,南アフリカ)における海外子会社の売上高

利益率の分布を示したヒストグラムである.他の

国のものと比べ分布の形状が明確な釣鐘上の形状

を持っていないことがわかる.

何故異なる進出国の違いによってパフォーマン

スの分布の形状に違いが現れてくるのであろう

か.これを明らかにすることが現在の筆者らの研

究グループの課題である.筆者らの現段階での当

座の見解は,おそらくパフォーマンスの形状は進

出先国の「制度環境」─例えば,法,社会的慣

習,市場取引のインターメディアリーの存在な

ど─がより外資の活動に望ましい状態に開発され

るにしたがって,より釣鐘状,あるいは正規分布

に近い形に分布が収束して行くのではないかとい

うものである.現在この説明の妥当性を解明して

いるところである.

Ⅳ.結語

マルチレベル分析は複雑な現象を解明する方法

として次第に重要性を増してきている.上で述べ

たように,マルチレベル分析の手法を用いること

により,アグリゲーション・バイアスやエコロジ

カル・フォーラシー(ecological fallacy)といっ

た統計上の問題を取り扱うことができるようにな

る10).また,マルチレベルの考え方を発展させる

ことで,個人や組織の行動やパフォーマンスを説

明する新しい理論の地平を開拓することができ

る.例えば以上で紹介した筆者の研究での分析結

果を見ると日系企業の海外子会社のパフォーマン

スは進出先の国や地域によって大きく異なるこ

と,そして進出先でのパフォーマンスの国内での

分布状態が,先進国,移行経済,新興国のグルー

プ間で大きく異なることが明らかになった.産業

や企業を焦点に当てた産業組織論やリソース・ベ

ースド・ビューなど現存する戦略論に加えて「国

や地域」のレベルに焦点を当てることで,第三の

戦略理論を作り出すことが可能となるかもしれな

いことが示唆された11).また OBや HRMのよう

な分野でも個人の行動はグループ,組織,社会レ

ベルのさまざまな文脈で理解する必要があるた

め,単一レベルの理論だけで正しく個人の行動を

理解することは困難である.さまざまな文脈のレ

ベルの理論を結び付ける「マルチレベルの発想」

が今後ますます重要になってくるものと思われ

る.このようにマルチレベル分析は,統計解析上

の手法であると同時に,理論構築への道筋に視座

を与えるものであるという点で重要である.

本稿ではマルチレベル分析を利用することの利

点についてごく簡単に触れただけであるが,今後

マルチレベル分析を用いた多くの研究が本稿を読

まれた方々から発表されることを願いたい.

1) 本稿は 2010 年 8 月アカデミー・オブ・マネジメントの年

次総会においてアジア・アカデミーオブ・マネジメントの

協賛のもと Association of Japanese Business Studies

(AJBS)と組織学会の共同主催のセッションで発表した

�Multilevel Thinking�というタイトルのプレゼンテーシ

ョンの日本語訳に若干の加筆修正を施したものである.本

稿で紹介されている研究は慶應義塾大学の磯辺剛彦氏と香

港大学の Christine Chan 氏との共同研究をベースにしてお

り,研究の概要は,磯辺・牧野・チャン(2010)を参照さ

れたい.また本稿の内容については,Bruce Kogut,張世

進(Sea-Jin Chang),淺羽茂各氏から有益なコメントをい

ただいた.ここにお礼申し上げたい.なお,本稿は香港大

学教育資助委員会の General Research Fundから賛助を受

けている(登録番号CUHK451010).

2) Academy of Management Journal, Academy of Management

Review, Strategic Management Journal, Administrative

Science Quarterly, Journal of International Business

Studies, Organization Scienceによる.

24 組織科学 Vol. 44 No. 4

3) 6人の盲人が,象の鼻,耳,胴体,尾などの全く異なる部

分を触り,それぞれの盲人が全く異なる象の姿かたちを想

像するという話.

4) Makino, Isobe, and Chan(2004)に収録.

5) Chan, Makino, Isobe(2010)に収録.

6) この点については既に多くの研究者が指摘している.例え

ば Andriani and McKelvey (2008), Baum and McKelvey

(2006).

7) ecological fallacyの先駆的な研究では Robinson(1950)が

有名.Robinson は識字率と生誕地(国内か海外)及び人

種の関係を調べ,グループ(州や地域)の平均値を用いた

相関と個人レベルのデータの相関が異なることを示した.

これによりグループ・レベルの集合(アグリゲート)デー

タを用いて個人の行動を研究することはできないと結論を

出している.

8) 筆者の友人で日本人妻をもつ米国人研究者によって示され

た例.

9) Power Law(パレート分布)や Log-Normal 分布といわれ

るものが例として挙げられる.詳しくは Andriani and

McKelvey(2008)を参照のこと.

10) マルチレベル分析のための解説書では Snijders and Bosker

(1999)や Raudenbush and Bryk(2002)の入門書が参考

になる.マルチレベル分析専用の統計ソフト(HLM)も

市販されている.15日間の無料トライアルが可能である

他,学生版のソフトは無料でダウンロードが可能である

(http://www.ssicentral.com/hlm/).

11) 近年,「地域」や「国」の違いを制度の観点から説明する

「制度理論」が注目を集めるようになっている.詳しくは

Chan, Isobe, and Makino(2008)参照のこと.

参考文献

Andriani, Pierpaolo and Bill McKelvey (2008) “Beyond Gaussian

Averages: Redirecting International Business and

Management Research toward Extreme Events and Power

laws,” Journal of International Business Studies, Vol. 38, No.

7, pp. 1212-1230.

Baum, Joel A. C. and BillMcKelvey (2006) “Analysis of Extremes

in Management Studies,” in David Ketchen and Don Bergh

(eds.), Research Methodology in Strategy and Management,

Vol. 3, Emerald Group Publishing Limited. pp. 123-196.

Chan, Christine M., Takehiko Isobe, and Shige Makino (2008)

“Which Country Matters? Institutional Development and

Foreign Affiliate Performance,” Strategic Management

Journal, Vol. 29, No. 11, pp. 1179-1205.

Chan, Christine M., Shige Makino, and Takehiko Isobe (2010)

“Does Sub-National Region Matter? Foreign Affiliate

Performance in the U. S. and China,” Strategic Management

Journal, Vol. 31, No. 11, pp. 1226-1243.

磯辺剛彦・牧野成史・クリスティーヌ・チャン(2010)『国境と

企業』東洋経済新報社.

McSweeney, Brendan (2002) “Hofstedeʼs Model of National

Culture: A Triumph of Faith, a Failure of Analysis,” Human

Relations, Vol. 55, pp. 89-118.

Makino, Shige, Takehiko Isobe, and Christine M. Chan (2004)

“Does Country Matter?” Strategic Management Journal, Vol.

25, No. 10, pp. 1027-1043.

Mintzberg, Henry, Bruce Ahlstrand, and Joseph J. Lampel (1998)

Strategy Safari: The Complete Guide Through the Wilds of

Strategic Management, London: FT Prentice Hall(斎藤嘉

則・奥沢朋美・木村充・山口あけも訳(1999)『戦略サファ

リ─戦略マネジメント・ガイドブック』東洋経済新報社).

Raudenbush, Stephen and Anthony Bryk (2002) Hierarchical

Linear Models, 2nd ed., Thousand Oaks: Sage Publications.

Robinson, W. S. (1950) “Ecological Correlations and the Behavior

of Individuals,” American Sociological Review, Vol. 15, No. 3,

pp. 351-357.

Snijders, Tom A. B. and Roel J. Bosker (1999)Multilevel Analysis:

An Introduction to Basic and Advanced Multilevel Modeling,

Thousand Oaks: Sage Publications.

Stiglitz, Joseph E. (1999) “Whither Reform?: Ten Years of the

Transition,” Keynote Address in the World Bank Annual

Bank Conference on Development Economics, April,

Washington D. C.

マルチレベル分析の考え方 25