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ペーパースラッジガス化技術開発 の概要について 第1回エネルギー使用合理化高効率抄紙 技術開発等事後評価検討会 資料7-4 平成22年2月3日 経済産業省製造産業局紙業生活文化用品課 大王製紙株式会社

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ペーパースラッジガス化技術開発の概要について

第1回エネルギー使用合理化高効率抄紙技術開発等事後評価検討会

資料7-4

平成22年2月3日

経済産業省製造産業局紙業生活文化用品課

大王製紙株式会社

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目 次

1.事業の概要

2.目標

3.成果及び達成度3.成果及び達成度

4.事業化、波及効果

5.研究開発マネジメント・体制等

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1.事業の概要

概 要

実施期間 平成19年度~平成20年度

現在、主に産業廃棄物として焼却処理されているペーパースラッジ

をガス化し、エネルギー源として再利用することにより、化石エネル

ギー(重油)消費量を削減(5,084kL/年)するための技術を開発する。

※事故報告により期間延長

予算総額

実 施 者

プロジェクト

リーダー

1,383百万円(国負担額:794百万円)

大王製紙株式会社

中野 敬三 (大王製紙株式会社可児工場

動力部エネルギー企画課 部長代理)

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1.1 ガス化炉の分類

流動床式

固定床式

アップドラフト型

ダウンドラフト型

直接ガス化・直接加熱固定床ガス化炉(ダウンドラフト式)

・直接加熱流動床ガス化炉

ガス化方式 噴流床式

間接ガス化

・直接加熱噴流床ガス化炉

・間接加熱ロータリキルンガス化炉

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1.2 アップドラフト式ガス化炉の特徴

シンプルな構造シンプルな構造

回転部分が少ないため

ガス化炉設備能力アップが容易

幅広い含水率に対応幅広い含水率に対応

トラブル低減

含水率35%~50%に対応し乾燥設備が不要

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1.3 ガス化炉の構造

生成ガス(約80℃)

投入原料の水分の蒸発潜熱で高温の熱分解ガスを冷却。同時に、タール分を捕捉

バイオマス原料の熱分解反応

バイオマス原料

・ペーパースラッジ

・木質原料投入

投入されたバイオマス原料を、熱分解ガスの顕熱で乾燥

バイオマス

乾燥

炭化

冷却ゾーン (~150℃)

熱分解ゾーン(150℃~700℃)生成

ガス化剤 (水蒸気+空気 )

バイオマス原料の熱分解反応CHXOY → CH4,CO,CO2,H2,H2O,C(s),Tar,Ash(s)

熱分解により発生した固定炭素C(s)でCO2,H2Oを水素や一酸化炭素に還元C(s) + CO2 → 2COC(s) + H2O → CO + H2

部分酸化(部分燃焼)させ、ガス化反応に必要な熱を発生させるC(s)TarCHXOYH2, CO

+ O2 → CO, CO2, H2O

炉底水封部

焼却灰搬出

熱分解に伴い、バイオマス原料が炭化する

炭化物が燃焼し灰になる

バイオマス原料の流れ

チャー燃焼

還元ゾーン(800℃~1,100℃)

酸化ゾーン(1,100℃~1,300℃)

生成ガスの流れ

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1.4 ガス化設備フローシート

ガス化反応炉

湿式電気集じん機(生成ガスからタールを分離)

生成ガス冷却設備(熱交換器)

ペーパースラッジ+木屑の投入 生成ガス

高温空気

タール分

循環水

空気

蒸気

投入クレーン

原料ピット

蒸気

No2石灰焼成キルン

重質タール分離器(タールの精製)

冷却塔

空気

No1石灰焼成キルン

軽質タール(工場内処理) 重油

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2.目 標

木質チップにて実績のあるガス化技術を活用し、過去に実用例のないペーパースラッジ(PS)におけるガス化技術を開発する。実用化レベルである処理能力100t/日(国内最大規模)でのガス化を行い、発生させたバイオマス由来ガスを石灰焼成キルン用重油の代替燃料として使用するためのシステムを開発する。

目標・指標 設定理由・根拠等

ペーパースラッジ添加量

25t/日以上可 児 工 場 で は 、 ペ ー パ ー ス ラ ッ ジ が 年 間

約 80,000 トン程度発生しており、これをエネ25t/日以上 約 80,000 トン程度発生しており、これをエネルギー源として有効に利用するためには 1 日当たりの処理量が 220t級の設備が必要とされている。今回の事業では将来のスケールア

ップも考慮し、試験設備として有意な規模で

ある 25t /日程度とする。

重 油 削 減 量 5 ,084kL /年以上

ペーパースラッジ 25t /日、木質原料 75t /日の原料にて発生可能なガス燃料及びタール燃

料の重油換算値 5,084kL /年を目標設定とする。

ガス転換率 950kca l/N m 3

以上

木くずと同等の転換率とする。

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3.成果及び達成度

要素技術 目標・指標 成果 達成度

重油削減量 5,084kL/年以上 5,182kL/年達成

PS添加量 PS 添加量を 25t/日以上とする。

PS 添加量 25t/日が可能であった。 達成

PSガス化ガス熱量

木屑と同等のガス転換率

である950kcal/Nm3以上

とする。

1,882kcal/Nm3のガス転

換率を得た。 達成

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3.1.バイオマスガス化設備外観

ガス化原料貯留建家

ガス化炉本体

原料投入コンベヤ

電気集塵機

生成ガス冷却器

原料投入コンベヤ

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3.2.ペーパースラッジ形状

ガス化炉内で乾燥すると微細な繊維が飛散し、安定操業を阻害する

微細繊維の飛散を抑制し、安定したガス化が可能

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3.3.木くず原料(解体材チップ)

建設廃材をパルプ原料用にサイズを調整したもの

(今回の開発に使用)

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スラッジをペレット化することでスラッジの微細繊維の飛散を抑制し、安定したガス化が可能となる。

3.4.バイオマスガス生成量

2,500

3,000

3,500

4,000

 Nm3/h

スラッジ(ペレット化)+解体材

スラッジ(粉状)+解体材

解体材のみ

0

500

1,000

1,500

2,000

0 10 20 30 40

時間

ガス生成量 N

粉状スラッジを木屑と混合した場合、スラッジの微細繊維がガス化炉後段のガス冷却器の閉塞を生じ安定操業を阻害する。

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3.5.重油削減効果

計画値 試験値生産量

100%時の補正値

計画値との差異

ガス化炉負荷率 % 100 70 100 0

ガス(タール熱量含む)

木質発生熱量 GJ/年 203,789 144,776 202,685 ▲ 1104 ①

PS発生熱量 GJ/年 23,593 20,546 28,764 5,171 ②PS発生熱量 GJ/年 23,593 20,546 28,764 5,171 ②

GJ/年 43,785 43,785 61,299 17,514 ③

使用電力(熱量換算) GJ/年 ▲1,418 ▲1,418 ▲1,418 0 ④

発生熱量 GJ/年 269,749 207,689 291,330 21,581 ①+②+③+④

重油削減量 kl/年 5,084 3,625 5,182 98

計画に対する補正後の達成率 102%

ペーパースラッジ焼却時に要する助燃熱量

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3.6.研究開発における問題点と研究の継続

ガス化反応炉

生成ガス冷却設備(熱交換器)

<問題点>

ガス化反応炉から生成したガスにペーパースラッジや解体材のダスト分が同伴し、生成ガス冷却器を閉塞させ連続安定運転を阻害

<解決策>

閉塞する生成ガス冷却器上部よりシャワー水を噴霧して、ダスト分を洗い流し、連続運転を継続

シャワーノズル本体

シャワーノズル設置状況

シャワーノズル本体

シャワー噴霧テスト

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4.事業化

本研究開発では、大王製紙㈱可児工場に実証設備を設置し、実証試験を行ったが、短期での目標性能が得られることは確認したが、長期の安定運転の実施が課題として残された。

このため、研究開発期間終了後の現在においても、引き続き実施者において研究開発が継続されており、引き続き実施者において研究開発が継続されており、今後、長期安定運転技術の確立に取り組み、安定運転達成後にペーパースラッジの混合率アップや解体材チップより安価な建設廃材の使用を評価し、営業運転を通して事業化のための見極めを行うこととしている。

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4.1.波及効果

・排水処理設備脱水汚泥の混合ガス化製紙スラッジと同様に含水率の高い、排水処理設備脱水汚泥の混合ガス化が考えられる。但し、汚泥中の組成ガス化反応やガス性状にどのように影響を与えるか、又その混合比率について十分に考慮する必要がある。

・多様な燃料が使用可能なことによる他の工業炉への適用拡大化石燃料の一部代替として、建築廃材・製紙スラッジを含めた多様な材を利用できる可能性を見出せたことにより、使用時の燃料ニーズ(燃料単価・入手の容易さ)にフレキシブルな対応が可能である。そのため、他の工業炉(セメントキルン炉等)の化石燃料代替として積極的な展開が期待できる。

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5.研究開発マネジメント・体制等

大王製紙株式会社

三島工場 可児工場

エネルギー企画部 動力部

エネルギー企画課 動力課

ガス化に関する技術開発石灰焼成キルンでの燃焼に関する技術開発の纏め及び工事施工

ガス化設備、石灰焼成キルンの技術開発及び実証運転

エネルギー企画課

技術開発支援アドバイス