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ユニバーサルデザインの視点を 取り入れた授業の研究
岐阜県立華陽フロンティア高等学校
（定時制課程)
★「分かる授業」の実現のために･･･
① 授業アンケートの実施（年２回）
② 校内研修
多くの生徒が「分かる授業」を望んでいる！
「 」を意識した授業
③ 公開授業の実施（全職員年２回）
教員の授業力向上！
ユニバーサルデザイン
・平成２４年度より実施 ・今年度は研究指定事業の指定校に！
１ 「ユニバーサルデザイン」を 取り入れた授業の 一般的な考え方
「ユニバーサルデザイン」とは？
1985年に公式に提唱された概念。 「できるだけ多くの人が利用可能であるようなデザイン」がコンセプト。 デザイン対象を障がい者に限定していない点が「バリアフリー」とは異なる。
どんな人でも公平に使える！
使う上で自由度が高い！
使い方が簡単！
必要な情報がすぐに分かる！
安全性が十分！
負担が少なく、弱い力でも大丈夫！
十分な大きさと空間！
ユニバーサルデザイン７原則
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
例えば･･･
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
授業にあてはめると･･･
「ユニバーサルデザイン」の概念を
①発達障がい（知的障がい、ＬＤ、ＡＤＨＤ、広汎性発達障がい等） を抱える生徒にとって「ないと困る」支援
＋ ②そうでない生徒にとっても「あると便利」な指導方法
すべての生徒にとって「分かる授業」!!
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
「ユニバーサルデザイン」を踏まえた授業とは？
障がいの 理解
Ａさんの 授業や 生活の 困難さ の理解
授業場面での 教育的配慮や 支援の実施
学級経営に 特別な支援を
必要とするＡさん を中心にして 経営を実施
Ａさんにとって 分かりやすい授業
通常教育
Ｂさん
Ｆさん
Ｅさん
Ｇさん Ｉさん
Ｄさん
Ａさん
Ｋさん
Ｈさん
Ｍさん Ｎさん
Ｊさん Ｌさん
Ｏさん 他の生徒にとっても分かりやすい授業
･学習のめあてが明確
･学習内容が明確
･発問が明確
･発問が整然と記述
･活動の流れが明確
･活動の具体が明確
(声かけ､個別指示､
活動の支援など)
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
『通常の学級担任がつくる授業のユニバーサルデザイン』（廣瀬由美子・桂 聖・坪田耕三 編著）より一部引用
私たちも感じる環境要因による困難さ
① 突然、学習を外国語で教えられたら･･･
② 終りのない行動を強いられたら･･･
③ 自分の行動をいちいち否定されたら･･･
④ 雑音の中で学習することを強いられたら･･･
⑤ いっぺんに多くの指示をされたら･･･
⑥ ものすごくしたいことが別にあったら･･･
⑦ できないことをバカにされたら･･･
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
教育における３つのＵＤ化
① 授業 のＵＤ化
② 教室環境 のＵＤ化
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
③ 人的環境のＵＤ化
① 授業の「ＵＤ化」のポイント
本時の狙いや授業内容の見通しを明確に！
１． ｢見通し｣が持てるようにする！
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
○ 授業の目標（今日やること）を明確に示す。
○ 指導は、短時間（集中できる）時間で行う。
何を、どんな順番でやり、どう取組み、どこで終わるのか を、はっきり具体的に！
○ 授業の流れを予告する。
○ 制限時間を設けるときは、時間を板書する。（例:15:30まで）
※キッチンタイマーの利用も有効！
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
① 授業の「ＵＤ化」のポイント
２． ｢視覚的｣に示す！
百聞は一見にしかず！
○ ｢目標｣｢ポイント｣｢まとめ」等のカードを利用する｡
○ イラストや写真などを使う。
※簡単な言葉で、注目しやすい場所に提示！
○ プロジェクターやプレゼンテーションソフトなどを活用する｡
○ 制限時間を設けるときは、時間を板書する。（例:15:30まで）
３． ｢板書｣と｢机間指導｣の工夫！
構造化された板書と意図的な机間支援！
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
① 授業の「ＵＤ化」のポイント
○ 不必要な刺激を取り除き、シンプルな黒板にする。
○ 色チョークを使い分けて、注目させる。
※机間指導は、生徒一人ひとりと触れ合うチャンス！
○ つまづいている生徒だけでなく､進んでいる生徒にも声を掛け､ 学習意欲につなげる。
○ 文字は大きく､はっきりと！
○ 行間をしっかりあける！
４． ｢話し方｣を工夫する！
話し方一つで、生徒の集中度は変わる！
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
① 授業の「ＵＤ化」のポイント
○ 指示や発問は、具体的に、分かりやすく！
曖昧な指示（きちんと､しっかり､何でもいいから）はＮＧ！
○ １文１動詞の話をする！ 「最初に○○します。次に○○します。」
○ 自身の話し方を振り返る！
声の大きさ、抑揚、スピード、間の取り方など、話し方次第 で伝わり方は異なる！
○ ｢話す時間｣と｢書く時間｣をしっかり区切る！
① 授業の「ＵＤ化」のポイント
「動き」を取り入れることで、集中力を保つことができる！
５． 合理的な｢動き｣を取り入れる！
○ プリント配布・回収のタイミングを考える。
※プリントを配る・回収するだけでも動くことができる！
○ グループワーク、ペアワークなどを取り入れる。
○ ｢音読｣を取り入れる。
※目・耳・口を同時に働かせる活動は非常に効果的！
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
① 授業の「ＵＤ化」のポイント
使い方の指示や工夫で、授業に幅ができる！
６． 「 」、「 」の工夫！
○ 板書や提示教材とノート、プリントが連動するようにする。
○ プリント教材等を工夫し、「書く」負担を減らす。
○ 授業の要点の記入欄や答えの数だけ枠が設けられているなど の分かりやすいワークシートを用意する。
ノート プリント
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
② 教室環境の「ＵＤ化」のポイント
７． ｢不必要な刺激｣を取り除く！
黒板に注目しやすい環境を意図的に作る！
○ 余分なものを黒板に貼らない。
○ 構造化された板書を心掛ける。
※カラフルで派手なのがよいというわけではない！
※黒板の上もできるだけシンプルな状態に。
○ 教室の整備をしっかりする。
机のぐらつき、机や壁の落書き、掲示場所、床のゴミ 静かな環境 etc.
教室環境の「ＵＤ化」のために･･･
□ 不必要なものが黒板に貼ってありませんか？
□ 不必要なものが黒板の上にのっていませんか？
□ 机や壁に落書きがありませんか？
□ 教室はきれいですか？
□ 教室整備はされていますか？
□ 机のすぐ傍に掲示物を貼っていませんか？
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
環境のＵＤ化の取組例
ゴミ箱だけでなく、生徒の目にとまる箇所に指標を貼り、分別しやすくしています。
前の黒板には、生徒にとって必要な情報（当日の時間割）のみ掲示しています。
また、生徒が予定を立てやすいように、翌日の日程も示すことで、生徒の自己管理を支援しています。
生徒が、自分にとって必要な情報を得やすいよう、構造化された掲示を心掛けています。
生徒の意識化を図るために、視覚情報によって分かりやすく示しています。
自分の並ぶ列が一目で分かるフロアボードを設置しています。必要に応じて生徒が情報を活用できるようにしています。
文字情報を追加することによって、どの電灯と連動しているかを分かりやすく示しています。
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
③ 人的環境の「ＵＤ化」のポイント
８． ｢肯定的に評価｣する！
注意や説教は逆効果･･･
○ 必要な時は、その場で、短く、具体的に注意する！
○ 追い詰めた質問をしない！
・｢今､何をやる時間ですか？｣ではなく､｢○○の時間です！｣ と､して欲しい行動を明確に伝える。
○ 具体的に指導する！
・「○○すればできるよ！」と助言する。
・「○○しないと遊べないよ！」ではなく、「○○が 終わると沢山遊べるよ！」と肯定的表現を使う。
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
③ 人的環境の「ＵＤ化」のポイント
８． ｢肯定的に評価｣する！
注意や説教は逆効果･･･
○ 授業内容が理解できないことを生徒のせいにしない！
○ できたことはしっかり評価する（ほめる）！
○ 評価を可視化する。
※評価表によりノート点検などを点数化し、動機付けや 達成感を！
９． ｢クラス｣を育てる！
お互いの違いを認め、やる気のでる雰囲気作りを！
③ 人的環境の「ＵＤ化」のポイント
ＵＤを取り入れた授業の一般的な考え方
○ 落ち着いて学習できる環境づくりに努める。
○ 一人ひとりが活躍できる場をつくる。
○ 個別的な関わりを多くする。（ ← 効果的な机間指導を！）
○ 教師がモデルを示す。
○ 間違いや分からなさを否定的に見ない雰囲気を作る！
→ 静けさは最大の支援
生徒の授業でのつまづきを軽減させるために
つまずきやすい部分
を
取り除く配慮ができることが
ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業
あいまいな部分
華陽フロンティア高校の 授業風景
～公開授業の記録より～
どの教科も統一して、本時のねらいや授業内容を明確に示すことで、生徒が見通しをもって授業に臨めるよう支援しています。
机間指導で、生徒一人一人に声を掛け、実態に応じた支援を行っています。個々への対応が生徒の学習意欲につながっています。
イラストを活用して視覚的に示すことで、学ぶ内容がより伝わるようにしています。視覚情報を活用する生徒には、有効な支援となっています。
どの教科も統一してポイントを黄色チョークで示すことにしています。生徒が板書の情報を整理しながら学べるように支援しています。
数学基礎 学習内容をまとまりごとに色分けすることで、情報を分かりやすく整理できるようにしています。構造化された板書により、生徒の理解や思考を深めることを支援しています。
作業的な活動等、多様な学習スタイルを取り入れています。一人一人が活動に参加できる場があることで、学びの意欲につながっています。
グループワークやペアワークを取り入れることで、一人一人の考えや意見を出しやすくなります。活動が活発化し、授業への参加意欲の高まりにつながっています。
プロジェクター等のＩＣＴ機器を活用することによって、視覚的な情報を用いながら学んでいます。一人一人の学びのスタイルに合わせて、必要な情報を得ながら理解したり、思考を深めたりすることができています。
板書に模造紙を使い、実験結果等を整理して記載できるようにしています。見やすさに加えて、情報の共有化を図り、思考を深めることの支援にもなっています。
文字情報に加えて、具体物を用いて示しています。思考の手がかりとして具体物を必要とする生徒にとっては有効な支援となっています。
プリント学習でも、必要に応じて具体物を用いています。併せて机間巡視で個別の支援を行うことによって学びの個人差への対応を行っています。
化学式を図と併せて示すことで、視覚的な手がかりを必要とする生徒の学びにも対応しています。
取組時間をあらかじめ示しています。取組時間が明確になることによって、見通しを持ったり、集中して取り組んだりすることへの支援になっています。 ※キッチンタイマーの利用 も有効です。
生徒自身が「動く」活動を取り入れることによって、授業への参加意欲も増します。また、一人一人の考えや意見を出しやすくすることで、一人一人の活動場面を増やしています。
どの教科もプリント教材を活用しています。プリント教材は、板書と連動させ、要点が分かりやすく整理できるワークシートにすることで、生徒の理解や思考を深めることの支援をしています。
一方でノート作りの指導も重要です。生徒の実態に応じて、多様な選択肢を用意しておくことが大切です。
