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デジタル広告キャンペーンを 成功に導く3つの “R” ニールセン デジタル
1 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
デジタル広告成功のための測定指標とは
デジタル広告の効果測定に重要な3つのR
近年、スマートフォンの普及により、私たちが生活の中でデジタルメディアに触れる機会は急速に増加した。それに伴い2015年日本のインターネット広告費は前年比110.2%の1兆1,594億円で2桁成長*となり、広告費全体をけん引する形となった。消費者のデジタルでのメディア接触時間が増えていくとともに、企業が消費者との接点をデジタル上で作ろうとすることは至極当然のことである。また、インターネットの登場以降、爆発的に情報量が増加し、自社の広告を消費者に認識してもらうことは困難になっている。企業が目的を達成するためには、広告の効果を測定し最適化することが必須となっている。
* 出典:株式会社 電通 「2015年 日本の広告費」
一般的に広告は、その時々の戦略に沿って、例えば「若年層をターゲットに商品を認知してもらう」などの目的のもと、出稿されるだろう。そして、最終的には、その結果として消費者に商品を購入してもらうなどのアクションを起こさせることがゴールとなる。では、企業はデジタル広告において何を成功と捉え、広告の効果を測定していけば良いのだろうか。ニールセンでは、広告の効果を、ターゲットへの到達率を測定する「Reach」、態度変容を測定する「Resonance」、売上への貢献度を測定する「Reaction」 と3つのRに分解し、最大化していくフレームワークを活用している。 本ホワイトペーパーでは、それぞれのRごとに、企業がデジタル広告キャンペーンを成功に導くために設定するべき指標やその測定方法、効果の考え方を紹介する。
RESONANCE キャンペーンは
共感されたか?
REACTION キャンペーンは
期待した行動を
もたらしたか?
REACH キャンペーンは
ターゲットに
リーチできたか?
2 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
目次
1.キャンペーンはターゲットにリーチできたか (Reach) • 「人」ベースで測定する重要性 • 広告は届けたい相手に届いたのか • デジタル広告の"より正確"なリーチ測定とは? • 「人」ベースの測定はどのようにして行われるべきか • ターゲットに対して適正な回数を表示していく必要性
2.キャンペーンは共感されたか (Resonance)
• デジタルのブランディング広告がもたらす態度変容を 明らかにする、ブランドリフト測定とは • 態度変容を数値で測ることで見えてくること
• ネイティブ広告の効果測定に必要なレゾナンスの視点 • 脳波でわかる態度変容
3.キャンペーンは期待した行動をもたらしたのか (Reaction)
• 最終的なゴールを最大化するために • 最適な予算配分を行うために • デジタル時代の最適なマーケティングミックスに向けて
3 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
PART Ⅰ
REACH
キャンペーンはターゲットにリーチできたか
4 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
「人」ベースで測定する重要性 デジタル広告がどれだけ露出したのかを測定する際、これまでは(現在でも)インプレッションやユニークブラウザ数をKPIとしてきた。しかし、これらのKPIは本当に広告主が知りたい広告の効果を表しているのだろうか? 広告出稿の企画段階で設定しているのは、「ターゲットユーザーのうち○割の人に新商品を認知させる」といった目標だろう。つまり本当に知りたいのは、何人に広告が表示されたのか?という結果のはずである。
ユニークブラウザ数では、同じ人がPCとスマートフォン、タブレットで同じ広告をみたとしても、3人の人が見たという結果となることがある。これでは、リーチを過大評価し、フリークエンシーを過小評価してしまうことになる。
顔の見えないリーチから、顔の見える「人」ベースのリーチへ
スマートフォンが広く普及し、利用時間が増加するのに合わせて、PCとスマートフォンの両方で広告を出稿する企業も増えてきているだろう。広告がどれだけリーチしたのかという効果を、スクリーンを横断し、重複を除いたトータルリーチで測定することの重要性はますます高まってきている。
“
”
1.キャンペーンはターゲットにリーチできたか (Reach)
5 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
広告は届けたい相手に届いたのか
女性向けの商品であれば女性に、若年層向けのサービスであれば若年層にメッセージを受け取ってもらいたいと思うのは当然だ。しかし、仮に女性向けの商品の広告の半分が男性に見られていたら、結果的に、投資したお金の半分は本来の目的とは違った形で消費されたことになってしまう。 デジタルの広告においても「伝えたい相手にメッセージを届けられているのか」を常に数値化して見ていくことが、ブランド広告の投資対効果を最大化するため第1歩となる。 以下は、アジア・パシフィック地域でのオンターゲット率(ターゲット到達率)のノーム値である。各カテゴリーで違いはあるものの、まだまだオンターゲット率には改善の余地があることがわかる。
*nielsen_digital_ad_ratings_benchmarks_report_q2_2016_APAC
自動車 ビジネス・消費者
サービス コンピューター 家電
消費財
エンターテイメント ファイナンス ショッピング・小売 旅行
47% 53% 68% 43%
60% 58% 61% 67%
広告主カテゴリーごとのオンターゲット率 ノーム (アジア・パシフィック地域)
1.キャンペーンはターゲットにリーチできたか (Reach)
6 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
デジタル広告の"より正確"なリーチ測定とは? 出稿した広告がターゲットの70%にリーチしていたという測定結果が出てきたとしよう。これで本当に目的が達成できたといえるだろうか。答えは“No”である。デジタル広告の真のリーチを考える上では、考慮すべき点が2点ある。“ボット”と“ビューアビリティ”である。
Integral Ad Science (IAS) JapanのMedia Quality Reportによると、2015年Q4(10月~12月)時点でIASが測定した日本のデジタル広告の全インプレッションのうち、ボットによる不正なインプレッションは
6%であった。広告費の6%が本来表
示すべき相手である人に支払われていなかったのである。
USのMedia Rating Council (MRC) が制定したビューアビリティの条件は、「ディスプレイ広告では、その広告の半分以上が1秒間以上、視聴可能な位置に表示されていた場合」とされる。先のIASのレポートによると、IASが測定した日本のキャンペーンのビューアビリティ
は平均で48.1%だった。広告
費の半分以上は、無駄になっていたといえる。
ソフトウェアプログラムによる ネットへのアクセス
広告が視認できる箇所に十分な時間表示されていたのかを示す基準
ボット
ビューアビリティ
1.キャンペーンはターゲットにリーチできたか (Reach)
7 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
デジタル広告のリーチを「人」ベースで測定をする場合、これまでは調査パネルを構築することが最も一般的だった。しかし、 1人の人が様々なデジタル機器を利用するようになったことや、定額制動画配信サービス (SVOD) の利用やタイムシフト視聴など人によって視聴行動が分散したことにより、従来の測定で用いられてきた代表性のあるパネルのみを用いた調査ではカバーできない部分が多くなってきている。 そこで、ニールセンでは、膨大な量のデータベースを保有している外部のパートナーと協業することで、その課題を解決している。例えばFacebookとの協業だ。Facebookは、性別、年齢といった属性情報が正しく登録されており、このデータを大きなパネルとみなすことで、デバイス間の重複を削除した「人」ベースで測定を可能にしている。 ただ、膨大な量のデータベースと言っても、一部利用者に偏りがあったり、登録情報に誤りがあったりするのも事実だ。そこで、ニールセンが従来から構築、運用してきた代表性パネルで較正(カリブレーション)することで精度の向上を図っている。 これにより従来のパネル調査のサンプル数の限界とビッグデータの偏りという両方のマイナス点を補いながら「人」ベースで測定をすることが可能となっている。
「人」ベースの測定は どのようにして行われるべきか
“
”
1.キャンペーンはターゲットにリーチできたか (Reach)
8 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
TVerやAbema TVなどの無料の動画視聴サービスがリリースされ、消費者が動画広告に接触する機会も増えてきている。動画フォーマットでメッセージを伝えることで、消費者のブランドへの共感を得やすくなった。しかし、印象が強い分、使い方を誤ると逆効果になることもある。ニールセンが2016年3月に実施した動画コンテンツに関する調査結果によると、17%の人が動画広告がきっかけでブランドを嫌いになったことがあると答えていた。嫌いになった理由の1位は「何度も表示された」 (65%) だった。
ターゲットに対して 適正な回数を表示していく必要性
1位 65%
何度も表示された
2位 57%
関心のないことだった
3位 53%
スキップできなかった
Source: Nielsen Video Contents & Ads Report 2016 Q1 ※回答者母数は「商品/ブランドを嫌いになったことがある人」
動画広告がきっかけで商品/ブランドを嫌いになった理由 TOP3
広告の最適な表示回数は、表示される媒体の特性やコンテンツとの関連性でも変わるため正解はない。しかし、表示し過ぎによるブランド毀損や、表示回数が少なかったための認知不足などに陥っては広告キャンペーンを成功に導くことはできない。そこで、最適解の仮説を立てることが重要だ。フリークエンシーごとのブランドリフト値(認知や好意度、購買意向など)を測定するなど、広告の目的やターゲットごとに適正なフリークエンシーを把握したうえで、キャンペーンを実施していくことが重要である。
9 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
OUR SOLUTION ABOUT NIELSEN DIGITAL AD RATING
「ニールセン デジタル広告視聴率」は、デジタル・キャンペーンのターゲット消費者へのリーチを詳しく知りたいと願う広告主にとって最適なソリューションです。さまざまなデジタル・メディア上で展開する広告キャンペーンに接触している消費者をより良く理解する物差しを求め続けてきた広告主、広告代理店、媒体社などは、このサービスを使うことで、広告効果をより正確に説明し他社との比較や検討ができるようになります。 「ニールセン デジタル広告視聴率」の日本でのサービス提供は、世界最大のソーシャルネットワーキング・サービス、フェイスブック社とのパートナーシップによって実現しました。日本で2,600万人の登録者数を誇るフェイスブックの巨大なユーザー・データベースをパネルと見立て、その情報とニールセンの持つ市場代表性の高いオンライン・パネルの情報とを複合的に組み合わせることにより、日本のオンライン・ユーザーで広告に接触した人々を性別、年齢層まで把握することが可能になります。 調査結果は48時間以内にオンラインのインターフェース上に表示され、顧客企業は自社の広告キャンペーンの結果をすばやく知り、必要に応じてキャンペーンの途中でもこれを改善し最適化することが可能です。
10 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
PART Ⅱ
RESONANCE
キャンペーンは 共感されたか
11 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
2.キャンペーンは共感されたか (Resonance)
デジタルのブランディング広告がもたらす態度変容を 明らかにする、ブランドリフト測定とは
デジタル媒体でもブランディング広告が盛んになってきた。ブランディング広告の目的は消費者の態度変容であるならば、クリック率やコンバージョン率、動画広告であれば完全再生率の測定、だけでは不十分でクリックされていない広告の効果を測定したり、動画を見た後の態度変容を測定しなくてはならない。ではどのようにして測定するのがよいのだろうか。 広告における態度変容の測定方法は、広告の接触者と非接触を比較し、態度変容(ブランドリフト)が起こったかどうかを検証していく方法が一般的だ。広告の接触者と非接触者の判断は、アンケートで聞く方法や、広告の接触状況を行動履歴(ログ)情報で判断する方法、キャンペーン前(非接触)と、キャンペーン後の接触者を集める方法などがある。 最近では広告バナーの中にアンケートを表示するインバナー方式の調査も行われている。バナー広告が数秒表示された後にバナー内でアンケートをとる場合と、広告を表示させずにアンケートをとる場合で、広告の接触者と非接触者を分類する。インバナー方式の調査は、結果をほぼリアルタイムで把握することができるものもあり、キャンペーン中でもブランドリフトの値がよいクリエイティブやメディアへ配信を寄せることができるといったメリットもある。
ブランドリフトを測定する際の一般的なKPI例
AWARENESS 認知 ASSOCIATION/RECALL 想起
ATTITUDES 態度変容 FAVORABILITY 好意度
INTENT 意向 PREFERENCE 選好
12 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
態度変容を数値で測ることで見えてくること
以下の図表は、同じ商材において、広告接触者と非接触者で「購買意向」がどの程度リフトするかを測定した事例である。広告は、ダイレクトレスポンス目的とブランディング目的の2種類のクリエイティブやメッセージを用意し、それぞれの広告接触者を比較した。 結果、2種類の広告の接触者の購買意欲はそれぞれ116%、120%で、共に非接触者よりも購買意向が上がっている(ブランドリフトした)ことがわかった。これはデジタルのブランディング広告が態度変容に効果があったことを示している。またクリエイティブや広告メッセージによってそのブランドリフトの度合いが変わることもわかった。購入意向などの消費者の心理的要素の向上が潜在的な顧客獲得につながることを考えると、デジタルにおいてもブランディングの効果をブランドリフトという指標で測定し、その効果を最適化していくことが重要といえるだろう。
ダイレクト レスポンス
目的の広告
ブランディング目的の広告
116% 120%
接触者
広告 非接触者
非接触者
100%
Source: Nielsen Digital Brand Effect
消費財ブランド バナー広告のブランドリフト測定(購買意向)結果事例
*数値は、広告の非接触者の購買意向を100%とした時、それぞれの広告接触者の購買意向割合
2.キャンペーンは共感されたか (Resonance)
13 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会 (JIAA) は、JIAAネイティブ広告ハンドブック2017内で、ネイティブ広告の効果を検証するための手法として、ディスプレイ広告/ネイティブ広告、それぞれのブランドリフト測定を行った結果を公表した。
ネイティブ広告の効果測定に必要なレゾナンスの視点
153%
295%
ディスプレイ広告の
ブランドリフト
ネイティブ広告の
ブランドリフト
×1.9
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”
出典:JIAAネイティブ広告ハンドブック2017
*数値は、広告の非接触者の購買意向を100%とした時、それぞれの広告接触者の購買意向割合
「ブランディングに有効」と考えられるネイティブ広告にResonance(見た人に態度変容を起こさせているのか?)という視点は不可欠であると考える。
2.キャンペーンは共感されたか (Resonance)
今後、動画や様々なリッチメディア、ネイティブ広告などの手法を駆使し、デジタル上でブランディング効果を狙った広告は増加していくだろう。広告の効果を最大化させていくためには、ブランドリフトを測定しその結果を活用していくことが重要となる。
14 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
脳波でわかる態度変容
脳科学によると、人は「考える」よりも前に「感じる」と言われている。つまり考えを表現する前に意思決定プロセスははじまっているのだ。 ニューロマーケティングとは、脳の活動から無意識の反応を測定し、マーケティングに活かそうとする試みだ。何が効果的で何が効果的でないのかを、脳波を利用しその詳細を明らかにすることができる。 この測定を活かし、マーケティング素材AとBの反応の違いを比較することで、どの素材にレゾナンス(共感)が起こったのかを測定する試みが、すでに行われている。
“
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2.キャンペーンは共感されたか (Resonance)
15 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
OUR SOLUTION ABOUT NIELSEN DIGITAL BRAND EFFECT
「Nielsen Digital Brand Effect 」は、メディア企業、広告代理店、および広告主がデジタル広告のブランドリフト効果を測定し最適化するためのソリューションです。ブランドリフト効果の最適化支援を行う上で下記の2つの大きな特徴を有しています。 1.デジタル広告によるブランドリフト効果の向上を、認知度・好意度・態度変容・購買意向などの指標で、リアルタイムに把握することができます。これにより、キャンペーン後だけではなくキャンペーン中にもPDCAサイクルを回しながら最適化を行うことができます。 2.キャンペーン全体の非接触者と接触者間のブランドリフト効果の比較はもとより、クリエイティブごと、サイトごと、フリーケンシー(広告接触頻度)ごと、ユーザセグメント(広告接触者属性)ごとにも広告によるブランドリフト効果を比較することができるので、キャンペーン改善のための施策が立てやすくなります。 調査結果は、シンプルで分かりやすいインターフェースを提供。キャンペーンの検証をスムーズに行うことができます。
ABOUT NIELSEN NEURO
ニールセン ニューロは、脳波測定とアイトラッキングを組み合わせた、ニューロマーケティング調査です。日本においては2008年からサービスを開始し、現在世界35ヵ国以上で数多くの、さまざまな分野の大手企業が活用しています。ニールセン ニューロには以下の3つの特徴があり、マーケティングへの投資効率を最大化するための解決策を提示します。 1. 消費者のホンネを知ることができる 2. 「なぜ」いいのか、悪いのかを科学的に推測し具体的な改善点につなげる 3. 世界中の4000例を超える調査事例と比較することができる
16 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
PART Ⅲ
REACTION
キャンペーンは期待した行動をもたらしたのか
17 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
最終的なゴールを最大化するために キャンペーンには様々な手法がある。企業としてはそのキャンペーンの目的に合わせて、例えばデジタルでは、認知向上のために動画広告を活用したり、購入促進のためにリスティング広告を活用したりしているだろう。しかし、それらの最終的なゴールは同じである。商品を購入してもらうなど、消費者に期待した行動をとらせることである。購入がゴールであれば、その最終的なゴールを最大化するために、様々な施策の売上への貢献度=効果と、各施策に投資した金額をもとに、それぞれの効率性=投資対効果:ROIを把握することが重要である。
3.キャンペーンは期待した行動をもたらしたのか (Reaction)
Source: Marketing Effectiveness Norms 2012, APMEA, all categories
“
”
正しいメディアに、 投資できているのか?
Internet $1.29
Magazines $0.99
Billboards $0.81
Radio $ 0.71
TV $0.66
各メディアの1$投資あたりの平均ROI
18 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
最適な予算配分を行うために 近年特に、デジタルマーケティング施策への投資が増加し「デジタル施策にどの程度予算を割けばよいのか?」、「動画やSNS広告はどれが一番投資対効果が高いのか?」といった疑問に対して、勘ではなくデータ分析結果に基づいた回答が求められてきている。このような各マーケティング施策の効果を分析する手法として、マーケティングミックスモデリング:MMMがある。MMMは、売上に影響していると考えられる様々な施策やその他の要因に関するデータと実際の売上のデータとの関係性を統計モデルにより算出する。そして、各施策の売上への影響度やROIを把握し、予算配分を変更した際のシミュレーションなどを行い、売上を最大化するための最適な予算配分を検討する際に活用される。
MMMの分析の流れ
①売上への 貢献度の把握
売上と各施策の露出量などの関係性から貢献度を算出
②投資対効果ROIの算出
貢献度を投資額で割って、各メディアのROIを算出
③貢献度と ROIのマッピング
貢献度を横軸、ROIを縦軸としてマッピング この結果をもとに、「インターネットは投資対効果が良いので投資額を増やし、売上への貢献を大きくしよう(オレンジの矢印の方向)」といった判断を行う
④売上 シミュレーション
予算配分を変更した際の売上シミュレーションを行い、 最適な予算配分を決定していく
MMM分析イメージ
売上:100億円
TV インターネット 雑誌 店頭プロモーション Base
1.29
0.99
0.7
0.66
各メディアのROI
¥0.00
¥0.20
¥0.40
¥0.60
¥0.80
¥1.00
¥1.20
¥1.40
¥1.60
0 10 20 30 40
売上への貢献 (億円)
ROI
インターネット
雑誌 TV
店頭プロモーション
※円の大きさは投資額
3.キャンペーンは期待した行動をもたらしたのか (Reaction)
19 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
デジタル時代の
最適なマーケティングミックスに向けて
“
” MTA分析イメージ
様々なデジタルデバイスやプラットフォームが出てきたことで、企業が消費者とコミュニケーションをとることのできるタッチポイントは多様になってきた。また、それらは急速に変化している。デジタルを活用したキャンペーンを実施する上では、多様なタッチポイントを活用し、それぞれの結果をリアルタイムで把握し、改善していくことが求められる。こうした中で、近年マルチタッチアトリビューション:MTAという手法が注目されている。MTAは、様々なタッチポイントでのマーケティング施策への接触状況を個々人に把握し、各タッチポイントの効果を測定する分析手法である。CRMデータベースなどにサイトへの訪問履歴や広告接触情報を取り込み、消費者のカスタマージャーニーを把握し、各施策の改善を行う。これからのマーケティング活動で成功していくには、データを収集・蓄積し各施策の売上への貢献度とROIを明らかにし、最適なメディアミックスを考えていくことが重要である。
$30 $60
$9 $51
$93 $57
各タッチポイントの貢献度 リアルタイムで分析
Em
ail
$88
$134
$48
$0
$64
ターゲット顧客
バナー
広告
動画
広告
SN
S
検索
ブランド
サイト
EC
サイト
実店舗
購入額
20 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
OUR SOLUTION ABOUT MARKETING ROI
Nielsen Marketing ROIソリューションは、マーケティングミックスモデリング:MMMとマルチタッチアトリビューション:MTAにより、過去の売上データとマーケティング活動データをもとに、マーケティング戦略の将来の効果を予測するための詳細な統計分析を行います。マーケティング活動ごとの売り上げへのインパクトを分析し、それぞれの活動のROIを把握することで、お客様が次のマーケティング投資をする際に、よりスマートな意思決定を行えるようにします。
ニールセンのマーケティングミックスモデリングは、広告、プロモーション、トレードの予算配分を決める際の、非常に有用な指針となりました。 また、次回はどこに投資すべきかを決めるのにもとても役立ちます。
ユニリーバ VP, Marketing to Shoppers KATHY O’BRIEN氏
“ ”
21 Nielsen Digital Ad Measurement White paper 2016
ABOUT NIELSEN ニールセン株式会社は、ニールセンの消費者視聴行動分析部門の日本法人として、視聴者分析と広告分析のソリューションを通じて、お客様のビジネスにおける重要な意思決定を支援するデータ、分析、インサイトを提供しています。製品やサービス、および分析結果のインサイトについては、広告主企業、メディア運営企業、Eコマース企業、広告会社より高い評価をいただいています。ニールセン株式会社のサービス概要、および会社概要はwww.netratings.co.jp でご覧いただけます。 ニールセンの消費者購買行動分析部門は、ニールセン・カンパニー合同会社です。消費者調査、ショッパー調査、メディカルリサーチ、販売予測、マーケティングROI分析、コンシューマーニューロサイエンス分析、海外市場情報提供などを行っています。詳細はwww.nielsen.com/jpでご覧いただけます。 ニールセン ホールディングス PLC.(NYSE: NLSN)は、世界的な調査会社として消費者の視聴行動、購買行動の分析を行っています。視聴行動分析部門は、メディア・広告企業向けに各種デバイス上での動画・音声・テキストコンテンツ消費動向を把握するトータルオーディエンス測定を提供しています。購買行動分析部門は、消費財メーカーや小売企業を対象に業界で他に類を見ない世界規模のリテールパフォーマンス分析を提供しています。視聴行動分析、購買行動分析を他のデータと組み合わせた世界レベルの測定・分析により、ニールセンはクライアントのパフォーマンス向上を支援します。S&P 500企業として、世界人口の90%を網羅する100カ国以上に拠点を有しています。詳細は当社ウェブサイトをご覧ください:www.nielsen.com
本ホワイトペーパーはニールセンが発刊する、ウェブマガジン「ニールセン・インサイト~メディア~」の内容を 編集し一部を再掲載をしています。