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第5回「複雑系による自己成長・修復
ネットワーキング時限研究専門委員会」
(CSBH)研究会
@早稲田大学 理工学術院
アルゴリズミック・デザインの現在
建築家
堀池秀人
2008.05.16
アルゴリズミック・デザインとは?
「形態を創りあげていく手続き(アルゴリズム)に基づいてプログラムを組み、それを実行することによって形態を創生する」
・必要な条件を基にアルゴリズムを組み、コンピュータで解析する。機能や構造、あるいは環境等についての条件を満たした解答を導き出し、さらに斬新な形態をも生み出す可能性を模索する試み。
・CADやCGによる、いわゆる「ぐにゃぐにゃの形」や一見「複雑な形」とは区別されたい。
米国の主要大学建築学部に於ける
アルゴリズミック・デザインの教育
1. UCLA建築・都市計画学部大学院に於ける
アルゴリズミック・デザイン
by 元UCLA助教授 コスタス・テルジデス
伝統的な分析や統合と異なり、アルゴリズムには、その思考パターンをコンピュータ手法に移すことを許すある程度の合理性がある。
理想的には、人間とコンピュータの基本的な統合関係といったような枠組みの中で、建築デザインの原理と方法を捜し、探査、発明、発見しようとする際、両者がそれぞれ独自の強さを発揮できることである。
2.MIT建築学部+Media Lab.
6コース ・Architecture Design / Architecture Studies / Visual Arts / Building Technology / Computation / History,Theory,and
Criticism of Architecture and Art
コンピューティング・グループ
・ウィリアム・ミッチェル 教授・理事
・テリー・ナイト 教授
・長倉威彦 助教授
・ウィリアム・ポーター 名誉教授
・ラリー・サス 助教授
・ジョージ・スタイニー 教授
コンピューテーション・グループでは、建築とデザインプロセスを探査する手段としてのコンピュータ利用とデジタル技術を検討している。デザインの手法と概念、デジタルツールの開発、デジタル技術の建築実務と教育への応用、この技術の建設環境に与えるインパクト、およびその社会的、文化的影響の探求をすすめている。この探求は、数学、コンピュータ科学、哲学、歴史芸術、認知科学を含む幅広い学問的展望と同様に、建築の職業的実践を展望するにも有益である。
科目の事例:
・コンピュータと建築の特別問題:アルゴリズミック・デザインとプログラミング
(担当 テリー・ナイト 教授+マーク・タピア研究員)
※・コースでは協働(コラボレーション)ワークショップにより学生間の相互関係を強調。
・形態文法、セルオートマトン、L-システム、遺伝的アルゴリズムといった基本的な プログラミングと実習を通じて、プログラムと形態創成の応答関係を実体験させる。
3.コロンビア大学建築学部に於けるアルゴリズミック建築
担当 ローリー・オネイル 教授、コーリー・クラーク 助教授
アルゴリズミック建築の講座では、それを通じてデザイナーの役割というものが「空間プログラミング」から「空間のプログラム化すること;すなわち建築プログラム、類型学、建築法規に本来存在する規則に基づく論理から、空間とフォルムを生成するソフトウェアとしてのプログラムが到達点」へ移行する様々な方法の追求。
(内容例)人工知能、人工生命の概念と理論
・ブーリアン論理
・チューリング・マシンと最終段階
・L-システム
・セル オートマトン
・遺伝的アルゴリズム
・カオス生成(ローレンツ曲線、マンデルブロー集合)
・フラクタル挙動と成長
・サイバネティクスと制御グループ
ハーバード大学GSDに於けるアルゴリズミック建築
担当 コスタス・テルジデス 助教授
建築がデジタル表現の新時代に突入し、幾何学理論やプロセスはツールを与えられ、試され、その限界を押し拡げてきている。最近の建築の形態論は、形態の探求と表現のコンピュータ理論に集中している。位相幾何学と超高細からブログとレイアーに向かう、いうならば形態を見出していくための手法を見出していくといった明らかな傾向が見られる。過去20年間は、設計者は形態の表現に対するコンピュータ技法の利用法に関心を寄せてきていた。これからはコンピュータと人間との対話による表現つまり形態創成が中心的主役である。
欧米の教育現場での実践
(Univ.) (Dept.) (Subject) (Instructor) (Semester)
A・A School Diploma Unit 11Jhon Frager
Christian Derix '89/'90-'95/'96
MIT
Architecture&Planning
+
Media Lab
Computation Lecture Series Neri Oxman Fall 2006
Harvard GSD Algorithmic Architecture Kostas Terzidis Fall 2006/2007
UCLA GSAUP Algorithmic Architecture Kostas Terzidis Fall 2004
Univ. of Pennsylvania Architecture Ferda KolatanUniv. of British Columbia Ferda Kolatan
RWTH Aachen Ferda KolatanRensselaer Polytechnic
InstituteFerda Kolatan
SCI Arc Karl S.Chu Fall 2005Univ. of Technology
ViennaKarl S.Chu Fall 2001
Princeton Jesse ReiserUniv. of East London Christian Derix
Fall 2002
Fall 2003
Fall 2005
Fall 2006
COLUMBIA
ArchitectureArchitecture
Algorithmic Architecture
Digital Fabrication: Assemblages
Studio 5:Advanced Architecture Studio
Rory O'NeillCory Clarks
John Christopher White law
Non Linear Design Organization
線形のロジックで構成され、作動するもの
コンピュータ応答関係を
構築すること
非線形のロジック(複雑系科学)と線形のロジック(複雑適応系科学)の複合思考で捕らえられるもの
=人間・社会
コンピュータと複雑系
複雑系科学のシステム論(複雑適応系科学)
サンタフェ研究所(ニューメキシコ州)の活動が中心
<4つの柱>・カオスと人工生命・ファジィ工学・ソリトン波動理論
・シナジェティックス(シナジーとインテグレーション)
Prof. Murray Gell-Mann
「Quark」の名づけ親
cal-tech素粒子物理学
CAS(Complex Adaptive System)
<複雑適応系>を創始
「スキーマ」の概念
:「環境からの情報をスキーマに 蓄積するシステム」
=複雑適応系
Prof. John H Holland コンピュータの最初の博士号
クラシファイアー遺伝的アルゴリズム
↓
人工生命研究Prof. Christopher G Langton
と共に:多数の適応的エージェント(Adaptive Agent)から構成されるシステム
↓
複雑適応系
複雑系科学のシステム論(複雑適応系科学)
・ フラクタル(コッホ曲線、カントール集合、ペアノ曲線、ギャスケットフラクタル幾何学等)
・ 自己組織的臨界状態・ カオス(ロジスティック写像、分岐図等)・ カオスの縁(セル・オートマトン、クラス分類、入パラメータ等)・ シナジェティクス(協働現象学、シナジェテック幾何学、テトラスクロール、ジオデシック構造、テンセグリティ構造、オクテッドトラス構造等)
・ 複雑適応系(適応的エージェント、クラシファイアーシステム等)・ 進化と遺伝的アルゴリズム(適応度地形等)・ カウフマンネットワーク(自己組織化、ブーリアンネットワーク、非 線形性等)・ ニューラルネットワーク(マカロックーピッツモデル、パーセプトロ ン、多層パーセプトロン、等)
複雑適応系
複雑性の現象と複雑系
アルゴリズミック・デザインへの流れの鳥瞰図
'85 ミッチェル
ハーバードの
ディーンに就任
この年からHRKがUCLAの客員講師となり構築手伝い
CAD/CG ブーム 西海岸から東海岸へと伝搬
日本へは諸外国の中でいち早く伝搬
欧州(殊に英国)~豪州へ
西海岸/日本 ~ アジア諸国へ
'82年 UCLA GASUP にCADのstudio構築
W.ミッチェル教授(UCLA)
“Computer Aided Architectural Design” '77出版
'82改正版
全米の大学のCAD教育のバイブルとなっていった。
'84
サンタフェ研究所
'85
MIT
メディアラボ
ミッチェルとHRK、デジタル・インフラ
の重要性を強調
'90 ミッチェル
MITの
ディーンに就任
複雑系
研究の
メッカ
複雑系
研究ブーム
'90頃
ハーバードに
CDI登場
協同作業
(コラボレーション)
光ファイバー ネットワーク論
インターネット
「ぐにゃぐにゃ建築」 「一風変わった形の建築」の流行
最適化
応答関係
・人工知能
・人工生命
・地球環境問題
創発
創成
(a)発生・発達モデル(b)進化的プログラム(c)適応的システム
建築や都市(社会)を人工生命体として捉える
ファン・ノイマン
マレー・ゲルマン(サンタフェ創立者)
ジョン・ホランド
クリストファー・ラングトン
(a) 発生・発達モデル:セルオートマトン(CA) (Cellular Automata) ’30年代 フォン・ノイマン、ステファン・ウォルフラム
停滞
成長
死 ライフゲーム ’60年代 J・コンウェイ
(b)進化的プログラミング:遺伝的アルゴリズム(GA) (Genetic Algorithms)
選択
交又
突然変異
(c) 適応的システム:クラシファイア・システム(CA) (Classifier System)
(Adaptive System)if <condition> then <action>
<classifier> = <condition> : <action>
1011001001011 = 101100 : 100101
入力インターフェース
ルールリスト 入力インターフェース
クラシファイアストア
報酬分配システム
環境
インプット・メッセージ アウトプット・メッセージ
GA
報酬
レ・アール国際設計競技案
伊東豊雄
台中メトロポリタン
オペラハウス
伊東豊雄
証大(ぜんだい)
ヒマラヤ芸術センター
磯崎新
都営地下鉄大江戸線
飯田橋駅 WEB FRAME
渡辺 誠
都営地下鉄大江戸線
飯田橋駅 換気塔(WING)
渡辺 誠
慶応大学本館
納品検収センター
池田 靖史
fresh H2O eXPO
NOX
2008年北京五輪メイン・スタジアム
ヘルツォーグ&ド・ムーロン
fin
©HIDETO HORIIKE +URTOPIA INC.