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26 2 12 モバイルタイルドディスプレイの開発 大学 1231096 1 背景と目的 ・大 ディスプレイが多く られる ように り, デジタル Blu-rayDisc よう により大 ディスプレイに した コンテンツが されるように っている.またこ れらを いたマーケティング してデジタルサイネー モニターサンドイッチマン 案されている. だが大 ディスプレイ コスト から える するに 題がある ある. 題を する 一つ してタイルドディスプレ イシステムが げられる.タイルドディスプレイシステム ディスプレイを格 るこ 1 大き ディスプレイ して せる ある. をモバイルディスプレイに し, ち運びが いタイルドディスプレイを し,スマートフォンから コンテンツを するこ がら大 えるよう にする.また, を映し すこ くデジタルサイ ネージ モニターサンドイッチマン えて いる. 2 モバイルタイルドディスプレイ ,タイルドディスプレイを するために について る. 2.1 問題点 タイルドディスプレイを するにあたって がいく つか する. 1. OS から される OS ディスプ レイ みを して するため,ディスプ レイ されず, んだ えるように ってしまう.これ 映し される映 によって れ, えてしまう. 2. ズレ それ きが あまり され だが, 大きい してき 体映 題に ってしまう. 体映 ある液 シャッター ,右 り替わり,それに して しているメガネ シャッターが り替わるこ している.よって がぼ けて えたり てしまう いった 題が する. 2.2 関連技術・既存研究 ここ タイルドディスプレイを するため いくつか アプローチについて 較する. 1. GPU ハード ェアを いたタイルドディスプレイを 1 して GPU による がある. OS デスクトップを うだけ GPU USB ディスプレイアダプタ を拡 する るが, ズレ ポートしよう する GPU NVIDIA Quadro )を けれ い. マートフォン から したいため,GPU する い. 2. SAGE[1] ソフト ェアを ったタイルドディスプレイ 1 して SAGE Scalable Adaptive Graphical Enviroment)が する.こ ソフト ェア フリー されている コスト 題が い.また, ディスプレイ して をするこ き, げるディスプレイ いため,ディス プレイ れる.しかし がら,ピクセル ネットワークを じて りするために各ディスプレ れず, 体映 した じる.SAGE ソフト ェアをインストー ルするこ ネットワーク スマートフォン をリモート PC られるようにする する が,ディスプレイ ズレ い. 3. FPGA [2] FPGA Field Programmable Gate Array)を いてタイルドディスプレイを安 した.FPGA あり, コスト・ さくするこ き, たせるこ ある. に対して びそれに う拡大 ち, した し,各ディスプレイ に対して じタイミング する わっ ている. してより 拡大 に対 する いった げられてい た.モバイルタイルドディスプレイに対 するために るが, して い.

モバイルタイルドディスプレイの開発narumi.cs.uec.ac.jp/research/images/2013/yasueda_resume.pdf平成26 年2 月12 日 モバイルタイルドディスプレイの開発

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Page 1: モバイルタイルドディスプレイの開発narumi.cs.uec.ac.jp/research/images/2013/yasueda_resume.pdf平成26 年2 月12 日 モバイルタイルドディスプレイの開発

平成 26年 2月 12日

モバイルタイルドディスプレイの開発電気通信大学 情報・通信工学専攻 成見研究室

1231096 安枝 光

1 背景と目的

近年では高解像度・大画面のディスプレイが多く見られる

ようになり,地上デジタル放送や Blu-rayDisc のような大容

量記憶媒体の普及などにより大型ディスプレイに適した高解

像度映像コンテンツが提供されるようになっている.またこ

れらを用いたマーケティングの方法としてデジタルサイネー

ジや液晶モニターサンドイッチマンなどが考案されている.

だが大型ディスプレイは製造コストや市場規模の観点から考

えると,所有するには問題があるのが現状である.

この問題を解決する手法の一つとしてタイルドディスプレ

イシステムが挙げられる.タイルドディスプレイシステムと

は,複数の小さなディスプレイを格子状に並べることで 1つ

の大きなディスプレイとして見せる技術である.本研究では

この技術をモバイルディスプレイに流用し,持ち運びが容易

な軽いタイルドディスプレイを開発し,スマートフォンから

コンテンツを出力することで歩きながら大画面を使えるよう

にする.また,広告などを映し出すことで歩くデジタルサイ

ネージや液晶モニターサンドイッチマン等の応用を考えて

いる.

2 モバイルタイルドディスプレイ

本節では,タイルドディスプレイを実現するために解決す

べき問題点や既存研究について述べる.

2.1 問題点

タイルドディスプレイを実現するにあたって問題点がいく

つか存在する.

1. 画面の歪み

通常の OSから画面が出力される場合,OSはディスプ

レイの液晶部分のみを認識して出力するため,ディスプ

レイの外枠が考慮されず,歪んだ画面が見えるように

なってしまう.これは映し出される映像によっては顕著

に現れ,非常に不自然な映像に見えてしまう.

2. 同期ズレ

それ程動きがない画像だと人の目にはあまり認知されな

い程度のものだが,動きの大きい場面や近年普及してき

た立体映像を見る時に問題になってしまう.現在主流の

立体映像の提供方法である液晶シャッター方式では,右

目用と左目用の映像が切り替わり,それに同期して視聴

者が装着しているメガネのシャッターが切り替わること

で立体視を提供している.よって同期に不具合が発生す

るとその部分がぼやけて見えたり立体の凹凸が逆になっ

てしまうといった問題が発生する.

2.2 関連技術・既存研究

ここではタイルドディスプレイを実現するためのいくつか

のアプローチについて比較する.

1. GPU

ハードウェアを用いたタイルドディスプレイを構築す

る既存技術の 1 つとして GPU による実現方法がある.

OS のデスクトップを広く使うだけなら低価格の GPU

や USBディスプレイアダプタなどで画面数を拡張する

ことが出来るが,外枠のズレの補正や動画再生までサ

ポートしようとすると高価なGPU(例えば NVIDIA社

の Quadro など)を使用しなければならない.今回はス

マートフォンなどから直接出力したいため,GPUを介

する方法は適さない.

2. SAGE[1]

ソフトウェアを使ったタイルドディスプレイの既存研

究の 1つとして SAGE(Scalable Adaptive Graphical

Enviroment)が存在する.このソフトウェアはフリー

で公開されているのでコスト面では問題がない.また,

ディスプレイの外枠を考慮して画面表示をすることがで

き,繋げるディスプレイの数に制限がないため,ディス

プレイの拡張に優れる.しかしながら,ピクセル情報を

ネットワークを通じてやりとりするために各ディスプレ

イの同期が取れず,動画や立体映像を流した場合に問題

が生じる.SAGE 以外にもソフトウェアをインストー

ルすることでネットワーク経由でスマートフォンの画面

をリモートの PCで見られるようにする技術も存在する

が,ディスプレイ間の同期ズレの問題は解決できない.

3. FPGA

細川 [2]はFPGA(Field Programmable Gate Array)を

用いてタイルドディスプレイを安価に実現した.FPGA

は製造後でも回路の書き換え可能な集積回路であり,回

路の開発コスト・期間を小さくすることができ,柔軟性

の高い機能を持たせることが可能である.縦横の両方向

に対して外枠の除去及びそれに伴う拡大機能を持ち,入

力信号を基準とした同期信号を利用し,各ディスプレイ

に対して同じタイミングで画面を出力する機能が備わっ

ている.今後の課題としてより高精度な拡大機能の実装

と高画質な入力に対応するといった点が挙げられてい

た.モバイルタイルドディスプレイに対応するためには

画面出力の回転機能が必要となるが,回転機能は有して

いない.

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図 1 システム全体図 図 2 実際の使用状況

表 1 32型テレビの性能の例(価格.com 2014年 1月 27日調べ)

製品名 REGZA 32J7 AQUOS LC-32H10 BRAVIA KDL-32W600A Smart TV 32LS3500 モバイルタイルドディスプレイメーカー シャープ SONY 東芝 LGエレクトロニクス

最安価格 35,365円 46,500円 54,800円 37,800円 約 150,000円重量 8.7kg 7.7kg 8kg 9.1kg 7.4kg

消費電力 65W 72W 81W 60W 50W

3 モバイルタイルドディスプレイシステム

本研究では細川の研究を拡張することによってモバイルタ

イルドディスプレイを実現した.タイルドディスプレイの主

な問題点である「画面の歪み」と「同期ズレ」に関しては細

川の研究で解決されているので,モバイル化するにあたって

の必要な機能を実装した.システムの全体図は図 1のように

なる.

1. 画像の回転

液晶テレビに比べてモバイルディスプレイは種類が少な

いために外枠の幅が上下左右で均一なタイプを選べない

ことが多い.今回使用したディスプレイも上,右,左,

下の順に幅が太くなっている(図 2).そのため単純に並

べただけではディスプレイの外枠による歪みが酷くなっ

てしまう.ディスプレイの外枠が太くなっている部分を

避け,細い部分を内側に集めることによって物理的に外

枠の太い部分をなくし,回転してしまった出力画面を正

常に出力するように FPGAに回転機能を実装した.

2. 音声信号の除去

スマートフォンから出力映像を HDMI 端子を使って出

力しようとした場合,音声信号が含まれるが,細川の研

究では DVI 信号を前提としているため音声信号が含ま

れることを想定していなかった.HDMI 信号の音声出

力を OFF にすることが出来れば FPGA で映像を正し

く認識できるのだがスマートフォンにはそのような制御

が出来ない.このため,FPGA 側で音声信号を除去す

る機能を実装した.

3. 解像度の固定

ディスプレイの解像度を上手く認識できずにディスプレ

イに正しい解像度で出力出来ない場合がある.PCで出

力する場合には PC 側で出力する解像度を選択するこ

とが可能だが,スマートフォンではそのような機能がな

い.そのため使用するディスプレイの解像度を出力する

ように FPGA側で解像度を固定する必要があった.今

回は使用するデバイスの関係から 1280×720(720p)の

解像度に固定して出力するようにし,解像度の固定には

EDIDを用いて行った.

4 まとめ

本研究ではモバイルディスプレイと FPGAを用いて 2×2

のモバイルタイルドディスプレイシステムの実現に成功した

(図 2).同程度の 32型テレビとの性能比較は表 1の通りで

ある.また,バッテリの持続時間は 4時間程度であった.

利便性での今後の課題としては持続時間を長くすること,

重量をもっと軽くすること,組み立てを簡単にすることと

いった課題がある.しかしこれらはデバイスに依存する部分

が大きいので,今後のデバイスの進化に期待する.

機能面での今後の課題としては,高解像度や任意の解像度

への対応,高精度拡大,90度回転といった課題が残った.

参考文献

[1] SAGE http://www.sagecommons.org/

[2] 細川大樹 『FPGA を用いたタイルドディスプレイシス

テムの開発』電気通信大学 情報工学科 成見研卒業研究

(2012)