6
u.D.C.る78.る32'32_419:d21.315.る19 テトロン布基材フェノール樹脂積層板の特性 The Properties of the Tetron-Fabric-Base Phenolic Laminate Ry6jiYokoyama 次* Satoru Saiki 学* ラジオ・テレビをはじめとする電子工業の進歩からフェノール樹脂積層板に対して高度の電気的性能 が要求されるようになった。この目的に沿うためさきにMIL規格該当ナイロン布基材フェノール樹脂 積層板を製品化したが,使用時にコールドフローを起しやすいという短所があるため使用箇所に制限が あり,これに代る製品の生産化が望まれていた。そこで筆者らほこの目的に沿うため基材として新たiこ ポリエチレソテレフクレート繊維(_テトロン桁)を選択し.これを用いてフェノール樹脂を結合材とす る簡層板を製品化した。 筆者らの開発したテトロン布基材フェノール樹脂積層板は,高度の電気的性質を有し耐湿性にすぐれ ているほか,コールドフローの性質はナイロン布墓相フェノール樹脂積層板に比べて少なく,かつ常温 れ抜加工性にすぐれているこ 1.緒 テトロン布ほ最近わが国で国産化されほじめた有機質 合成織経であって,高度の耐湿性と耐熱性を有している ため(1)-(3)これを基材とするフェノール樹脂積層板ほ 子機器の性能向上とともに早くから要望されていた積層 板である。一般に有機質繊維基材フェノール樹脂積層板 は,多湿条件下において電気的性能の低下(4)(5)がみられ るほか,耐熱区分からこれを 別するときは,A種絶縁 材料(105ロC)に区分され(6)それ以上の温度で使用するこ とについてほ保証されていない。 近年の合成繊維頸の発達に伴い,これらの矩所改善か 進み,この目的に沿うために製品化したMIL規格該当ナ イロン布基材フェノール樹脂積層板(7)(日立商品名LP- 94N)は,前者の目的をおおよそ満足しているが後者の目 的にやや難点がみられた。そこで ソ布基材フェノール樹脂積層板の この研究を行うに 者らほ新たにテトロ 品化研究を行った二 して,筆者らほとりあえずテトロ ソ布が,これまで使用している基材に比べて高性能のも のであるかどうかを種々の試験条件で検討した。その後 この布を用いてフェノール樹脂積層板(日立LP-97N) を作り電気的性能,機械的性能について検討したところ, この積層板ほあとに述べるように高度の電気的性能を有 していることが明らかとなった。 また,この積層板ほ荷重をかけたときの 形畳も少な いという長所を有しているので,これらの性能の二, を紹介し使用上の参考とした。 なお本報告で述べるテトロン布は,積層板用基材とし てほまったく斯い・、ものであるから,この布について行 った研究の過 も紹介して参考とした。 2.一 テトロン布基材フェノール樹脂積層板(テトロン基材 * 日立製作所多賀工場 72 積層板)ほ舞1表に示すようにJIS規格PL-131該当細 糸布基材積 すぐれた性質を有し,また第 2表に示すようにナイロン和英材フェノール樹脂積層板 (ナイロン基材積層板)と同様MIL規格を十分に満足 する製品である二 3.ポリエチレンテレフクレート繊維につ いてr8-'r9j 基材に使用したポリエチレンテレフタレート繊維ほ, 芳香族のジカルポン酸をエチレングリコールでエステル 化して縮重合させた高分子から成る合成繊維であって, それぞれ Terylene(イギリス),Dacron(アメリカ),Tergal (フランス),Diolen(ドイツ)等々と呼ばれ,わが国 でほこれをテトロンと称している」 ポリエチレンテレフタレート繊維ほテレフタール酸を メタノールでジメチルエステルとしエチレングリコール を加えてエステル交換反応を行わさせてノラ一ヒドロキシ ルテレフグレートとなし,高寛の真空rl-で高温加熱して 鮪重合させたのち,適当な方法で溶融紡糸したものであ って,その反応の大要は下記に示すものである.こ. H8COOC-く≡〉-COOCH3十2・HO テレファール酸ンメチ′レ エチレングリコー′し ------- / 1各種の金民酸化物 HO.CH曇.Cli2.0-C-・f~q5:-L{-0.CH2.C \=/ 0 0 β-ヒト、ロキシエチルテレフグレート >200つC,触媒 HO・C上一望・ClI2・0- 0 0 ポリエチレンテレフタレート遠敷維 \、230つC収縮開始,245~6DC溶融ノ +HO・CH2・CI-Ⅰ2・OH 4.テトロン布の特性 これまでに公表されているテトロン布の特性値ほいわ

テトロン布基材フェノール樹脂積層板の特性 · u.D.C.る78.る32'32_419:d21.315.る19 テトロン布基材フェノール樹脂積層板の特性 The Properties

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u.D.C.る78.る32'32_419:d21.315.る19

テトロン布基材フェノール樹脂積層板の特性The Properties of the Tetron-Fabric-Base Phenolic Laminate

横 山Ry6jiYokoyama

次* 斉 木Satoru Saiki

学*

内 容 梗 概

ラジオ・テレビをはじめとする電子工業の進歩からフェノール樹脂積層板に対して高度の電気的性能

が要求されるようになった。この目的に沿うためさきにMIL規格該当ナイロン布基材フェノール樹脂

積層板を製品化したが,使用時にコールドフローを起しやすいという短所があるため使用箇所に制限が

あり,これに代る製品の生産化が望まれていた。そこで筆者らほこの目的に沿うため基材として新たiこ

ポリエチレソテレフクレート繊維(_テトロン桁)を選択し.これを用いてフェノール樹脂を結合材とす

る簡層板を製品化した。

筆者らの開発したテトロン布基材フェノール樹脂積層板は,高度の電気的性質を有し耐湿性にすぐれ

ているほか,コールドフローの性質はナイロン布墓相フェノール樹脂積層板に比べて少なく,かつ常温

れ抜加工性にすぐれているこ

1.緒

テトロン布ほ最近わが国で国産化されほじめた有機質

合成織経であって,高度の耐湿性と耐熱性を有している

ため(1)-(3)これを基材とするフェノール樹脂積層板ほ

子機器の性能向上とともに早くから要望されていた積層

板である。一般に有機質繊維基材フェノール樹脂積層板

は,多湿条件下において電気的性能の低下(4)(5)がみられ

るほか,耐熱区分からこれを 別するときは,A種絶縁

材料(105ロC)に区分され(6)それ以上の温度で使用するこ

とについてほ保証されていない。

近年の合成繊維頸の発達に伴い,これらの矩所改善か

進み,この目的に沿うために製品化したMIL規格該当ナ

イロン布基材フェノール樹脂積層板(7)(日立商品名LP-

94N)は,前者の目的をおおよそ満足しているが後者の目

的にやや難点がみられた。そこで

ソ布基材フェノール樹脂積層板の

この研究を行うに

者らほ新たにテトロ

品化研究を行った二

して,筆者らほとりあえずテトロ

ソ布が,これまで使用している基材に比べて高性能のも

のであるかどうかを種々の試験条件で検討した。その後

この布を用いてフェノール樹脂積層板(日立LP-97N)

を作り電気的性能,機械的性能について検討したところ,

この積層板ほあとに述べるように高度の電気的性能を有

していることが明らかとなった。

また,この積層板ほ荷重をかけたときの 形畳も少な

いという長所を有しているので,これらの性能の二,

を紹介し使用上の参考とした。

なお本報告で述べるテトロン布は,積層板用基材とし

てほまったく斯い・、ものであるから,この布について行

った研究の過も紹介して参考とした。

2.一 般 特 性

テトロン布基材フェノール樹脂積層板(テトロン基材*

日立製作所多賀工場

72

積層板)ほ舞1表に示すようにJIS規格PL-131該当細

糸布基材積 すぐれた性質を有し,また第

2表に示すようにナイロン和英材フェノール樹脂積層板

(ナイロン基材積層板)と同様MIL規格を十分に満足

する製品である二

3.ポリエチレンテレフクレート繊維につ

いてr8-'r9j

基材に使用したポリエチレンテレフタレート繊維ほ,

芳香族のジカルポン酸をエチレングリコールでエステル

化して縮重合させた高分子から成る合成繊維であって,

それぞれ

Terylene(イギリス),Dacron(アメリカ),Tergal

(フランス),Diolen(ドイツ)等々と呼ばれ,わが国

でほこれをテトロンと称している」

ポリエチレンテレフタレート繊維ほテレフタール酸を

メタノールでジメチルエステルとしエチレングリコール

を加えてエステル交換反応を行わさせてノラ一ヒドロキシ

ルテレフグレートとなし,高寛の真空rl-で高温加熱して

鮪重合させたのち,適当な方法で溶融紡糸したものであ

って,その反応の大要は下記に示すものである.こ.

H8COOC-く≡〉-COOCH3十2・HO・CH2・CH2・OHテレファール酸ンメチ′レ エチレングリコー′し

-------

\ /

1各種の金民酸化物

HO.CH曇.Cli2.0-C-・f~q5:-L{-0.CH2.CH2・OrI十2・CH80H\=/

0 0

β-ヒト、ロキシエチルテレフグレート

>200つC,触媒

HO・C上一望・ClI2・0-

0 0

ポリエチレンテレフタレート遠敷維

\、230つC収縮開始,245~6DC溶融ノ+HO・CH2・CI-Ⅰ2・OH

4.テトロン布の特性

これまでに公表されているテトロン布の特性値ほいわ

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テト ロ ン 布 材 フ ェ ノ ー

ル樹脂蹟層板の特性

ゆる一般的の幌向を示すものであって,この布を積層板

に使用するにはきびしい条件での性能低下を

を従

め,これ

から使用している有機質繊維頸と比較検討してそ

の性能を明らかにする必要がある。比較のために用いた

基材ほカナキソ,ナイロン布で弟3表に示す性状のもの

である。表に示す引 り強さは繊維方向の値であって,

100×10±3・2mmに裁断したもの(以下すべてこの大きさのものを 験片とした。)を105ロCの気中で2時間加熱し

て脱湿したのち24時間室温デシケ一夕内に放苦したもの

第1表 一 般 特 性

を用いて求めたものである。

積層板の 気絶緑性ほ基材の吸湿性と密接な関係があ

るので,とりあえずその吸湿性を明らかにするため300C

相対温度80%の構内で処理して吸湿量を求め第l図に示

した。図iこ示すようにテトロン布はほかの有機質基材布

に比べて吸湿量ほ著しく少ないようである。

基材として要求される性台削こほ外的条件に基く機械的

強度低下の少ないことも蚕要なことであるから,いま

105DC,130DC,150OC,180OCの高温度で長時間処理した

とき,沸 留水,

項 目

該 当 規 格

貫 層 耐

沿 層 耐

沿.同 紙 績抵抗

体 積 抵 抗 率

夫 両 紙 杭 雫

誘 `一冒 正 接

曲げ強さ用封こ垂直)

衝撃強さ

11木工業

kヽγノ・■′mm

kV・ノ15nlnl

M£〕一Cm

(二IMCJ

〔IMC)

kg.・′mmヨ

(偶に垂直)kg-Cm/℃mヨ

(屑に平行)kg-Cm・・′cm2

へ き か い強さ

耐熱性試験温度

密 度

打抜加工性(1.6t)

g.′Cl「ヽ8

mg■100cIT12

LP-97N Ⅰ一P-51N

規格りIS K6706ノ

A

A

A

l〕-2.・/100

A

A

A

A ト

A

A

JIS

JIS

.丁IS

JIS

JIS

通研仕様

ASTM:

D617

AS′rM:

D617

A

A

A

A

A

E-4/100

E-0.25/′135

2~一4

9~・15

10、20

8【〉15

500、月50

140

1.25~1.30

10~25

0.20-~0.30

80

PL-131

÷・11

ニニ・25

6.5×103~6.5×10ふ

6.5×10~ 5×102

10-よ~106

104 ~10il

0.05~0.09

5\ノ 8

10~18

10 ~ 20

4 ~ 8

550~800

1∠iO

l.30ヘノ1.36

80 ~200

1.45・、1.55

第2去 フェノール樹脂ナイロン基材辟層板のMIL規格

試 験 項 目! 単 位 l 試験条件 テトロン基材積層板1 ナ~イロノ基材積層板

1%カセイソーダ,10%塩

酸巾で長 間処理したとき

の引張り強さなどの変化を

求めそれぞれ第2、7図に

示した

テトロン布ほ図に示すよ

うにこれら諸条件において

も最もすくない低~F率を示

し.ことに気中加熱のとき

にほ性能の低下がほとんと

みられないこ このような結

果ほ有機質布基材積層板に

対してもB粍絶縁材料とし

ての期待が持てるわけであ

って積層板用基材の一つの

長所ということができる二

5.電気特性

テトロン基材積層板は第

】,2表に示すように高度の

電気絶 性を有している.二

この性能が長期の使用にお

いても変化Lにくいことが

機器の材料としてほ好適で

あるところから,これまで

しばしば行ってきたような

条件を用いて積層板の性能

低下を求めて検討した。な

お比較の積層板としてはカ

ナキン基材積層板,ナイロ

ン基材積層板を用い,(前者

はH木工業規格PL-131相

当品,後者は米軍規格NP

G相当品),試料はいずれも

前歴の影響を少なくするた

め室温相対温度75~85先

の槽内に24時間以上処理L

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伸上和34隼7月 絶縁材料特集-り・第2生

雛ニi表 外和布」刷一間層板け基材の性状

:■・ ●.、

・詔り

n

叫...‥-

二ヒ帥灯瓜山車訂〓画滑〔『ぎ斥

(竺掛炬皿仰せ記=扇壷モ痘転

厘.人(竹折■J 榔朗l肌鋸掛きりⅦ.・Lt】-l

♂一ご ご・~ ご〔 7 グ

旗;冠日数(日)

し吸i昆条件 300C,80%R.ⅠⅠ..)

第1図 各 種 布 の 吸 湿

`こ竜ミミワ===ゴ====テこ

第3図130〇C気中加熱による引引三っ

強度と加熱時問との関係

Ⅶ熱唱間rズ〕

第5囲1800C気中加熱による引張り

強度と加熱時間との関係

てL両宣正∴ここ∵∵神祭∴宥こ

、‥

‥、、

日立評論別冊第31弓一

た〟-〕セノに仙廿jしたく以卜に述べるぷ駆出∴り甘・もH木ニ~i:

㌍規格【10)に 挺して行-「た.)、1

5.】沿層絶縁抵抗

常態における沿層絶縁娘抗を測定後2

ち30分間

た〔㍗

水中に浸漬する。その後これを取り出し乾

布でぬぐ・つたのち椚層絶縁抵抗を測定する.。この測定を

行ってから24時間蒸留水

(室温)に水浸するこ 二

1サイクルとし

㌍-づデー 盲モ

~t-'「」_

-ムーノ∴⊂じ叫1一柑

ー・-}「十て~ノ

⊥l

▼.心無・珂簡:f㌻

第2図105DC気中加熱による引張り

掛立と加熱時間との関係

、、

-し-T「ロン

ー」-ナイロンー・一刀ナキンーニー堰 布

′・/

つ口琴ゝ6専閤(イ1■

第4区11501C気申加熱による引張り

礁度と加熱時間との関係

表ナ票ふ芸ふだ」竪雷雲

季節時間侵

箱6図 蒸留水による煮沸時間と一j;

張り破度の関係

74

て,煮沸後の絶縁抵抗を

求めてこれを弟8匡lに

示した.コ

このような測定条件

は,機帯が吸湿,恥乱

加温,冷却を続けること

を推定して行ったもので

ある。この操作を受ける

ときには, 絶の常‥‥∴・・

料ほある程度の性能の低

下をきたすことが常識と

されている‥ テトロン基

材積桐板についても、二

の考え方は適昭される

が,囲に寺すように恍能

の低下ほきわめて少なィこ

′安定し′た仲能を~イj■して∴

この頂陸=ノま第l図に′J七

したように基材に使用し

たテトロン布の吸湿量か

少なし、ためであF)、また

弟9図に示すようにテト

ロン基材積層板それ個体

かl吸水しにくてい他県を有

ているためでもあろ

第9図は.弟2表に示

したMIL規格によって

武験した各積層板を水浸

Lておいて.その縫H変

化を調べたものであるニ

ニの結果から吸水量の少

ないものほど絶縁紙抗の

低下しに・二し-二とがわか

る_

弟10図ほ,機器か過湿

状態で連続的に依什ほれ

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テト ロ

迂こ轍餌血芯ふト〓一郎患∈監守

「ぺ)

/て

プ材基′召ン

蕪滞時間(ガ)

第7図 酸およびアルカリによる煮沸

時間と引張り濃度との関係

l-。-テトロン産材積戸釈叫

重恩き重き諒亨意崖壁警

ームー丁イロン・-イ一刀丁年:・J′

/'

ご ノ′」

小長日雛∴日

雛91句 吸水ユ率と水浸】1数と∩関係

L青苗こ

h.沃ぐ

第11l冥1表面択抗率と煮沸絶域l′ハ敗

退しサイク′1一散との関係

∴、・、

ノー

ル樹脂積層板の桔性

こづキ」蕗有∈忙サ感想蓬

貰魔./ き′ ・tてノ「

′: ′ど 」'ご「

ヤイフル.′扱■

第8図 沿層絶縁抵抗と煮沸水浸iニュるサイ ケ′し数との関係

ー1-〒トロニノ基材露戸板--イー・一十イロニノ

ー、一十け1ニノ

.9′仰 /γフ〔 ∠√ J√

i受戒E誓文!E)

第1侶又1斡屠絶縁紙抗の300C7】く浸劣化

云ふ茎賢・mギ違反G倒忙蒜控告

ノウ

、†ト

----テトロニノ基材橋戸栴--{ナイロニ′

-Y-1+キニ・

フ ♂.√

r

"イフル(甑)

第121又l体積抵抗と煮沸乾燥の繰題

1+トイクル数との関係

ることを推定して行--た一息験であるか.図に宣すように

テトロン基材精屑板はこのエうな条件に・おいても性能サ・

低1こが少ない.,

なお,図にホすテトロン姑廿積購板ほこのような処理

条件では性能の低卜かムられず,いずれも1押Mn以卜

であったが説明の便宜から荘税で示した〔

5.2 抵 抗 率

抵抗率には袈面抵抗藩と体積紙抗率とかあり.いすれ

75

ると期待できる

5.4 耐 電

テトロンほ第4,5図にべミすよ

も製品の良杏判定に使用

されている電気的性能で

あるからそれぞれについ

て常態で抵抗を測定後2

時間 沸し,30分水洗を

行ったものを再び測定し

たのち24時間シリカゲル

のデシケータ中で乾燥す

る__ ニの操作を1サイク

ルとし煮沸水 後の抵抗

率を求めて第11,12図に

示した。

面抵抗率ほ処理サイ

クル数とともにいずれも

低下し およそ3サイク

ルーで--・定値に到達しそれ

以上の低下は見られない

ようである

体積抵抗率の変化ほ表

面抵抗率に比べて少なく

ことにテトロンを基材と

する積層板は第10図と同

様ほとんど変化がみられ

なかった.二

5.3誘電率と誘電正接

弟11図と同様の処理

策件で求めた誘電率三と

竃正接tan(;を弟13,

14図に′Jミした

図に示すようにサイク

小数が増加しても 三.tan

∂ほ受理状態に比べては

とんど変化か少ない一、こ

のような値ほ電子機錯忙

使川する積層板に刃Lて

かねてから如く要求され

ている性能であノつて、

器の性能向上に対してき

わめて有効な続開板であ

うに扁混処理を施しても

機械的強度の低下が少ないこ この什質は高1皿における電

気特・性と関辿のあるものと考えられるので.温度上昇に

伴う賞層耐電圧の変化を求めて第15図に-ホLた_ 図に

示すようにテトロン基材積層板凋これまで使用Lてきた

カナキン基材積層板に比べて耐電圧の侃~卜か少なく高温

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昭和34年7月

ノ」常態 ′

「㍉モ\竃冨町紳鴬

一、、、・--、■・、、---ヽ

一一一一一■■一~■

一一言トロニ星亨†転戸汽-【 +~†ロニ

ー・一「十丁:

{1~▲・◆・L.取

第13図 誘電率と煮沸乾燥の繰返し

サイク′し数との関係

〃=〃

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第15閲 貫層耐電『と温度との関係

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基材桔戸栢

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旨 第2集

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誹」

日立評論別冊第31号

常態/ ∠,∫

Jタ 三r J 7 ぞ ? 仰

サイクルほ丸

招14匝t 誘電正接と煮沸乾燥の繰返し

サイクル数との関係

∠T

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ノ 2J♂∫

弟16図

し一 J /′J ノす

丁こ∴・寺∫h\

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グ り - プ 特性 し17つCニー

--十.-J:ノ昼打電声価一--ハー ナ丁ロン

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ーーームP・声右1/r・〆

一一一一一

L/_∵プ♂J

巳亨 問「〝/A)

第17岡 クリ ー プ特性(30〇C) 第18図

においても比較的に安定した性能を示している。したが

って使用時機器が温度上昇Lて連続的lここの条件にさら

されるとしても安心して使用できる材料であろう.。

6.ク リ ー プ 特 性

テトロン基材積層板ほナイロン基材積層板に比べてク

リープ特性の少ないことを期待して製品化した積層板で

あるから,さき 用いたと同様の方法(11)

で荷重時間とたわみ量の関係を求めて第1る~20図に示し.

た。

たわみ~箭はカナキン基材積層板に比べれば大きく,ナ

グ り

76

時 間しノフ′・ノーフ

ー プ 特性(60ロじr

イロン基材積層板に比べ

れば小さい。

この関係ほ策21図に

示す曲げ弾性率からみて

も同様であって,テトロ

板は明らかに

ナイロン基材積 板に比

ベてコールドフローを起

しにくい性質を有してい

る.。

7.機械的性質と

耐摩耗性

テトロン基材積 板は

弟2表に示すようにナイ

ロソ基材積層板と同じく

MIL規格を十分満足す

る機械的強度を有してい

るとともにきびしい処理

をうけても怜能低Fの少

ないことが予想される材

料である.

通常位用している積層

板は曲げ強さ,へき開強

さなどで製品の良不判定

が可能であるから,

らもこれらについて煮沸

およぴ150〇C気中加熱に

よるへき開強さの変化,

120DC24時間処理後12時

間煮沸することによる曲

げ漬さの変化などを求め

これを変化率で わして

第4表に示した。

テトロン基材積層板ほ

カナキン基材積層板と同

様表に示す条件ではほとんど変化が認められなかった。

なお,このような機械的強度のほか最近の機掛こ使用

する積層板に対してほ耐摩耗性がしばしば要求されるご

この耐摩耗性に関しては筆者の一人が先に報告を行って

いるので(12),これと同じようにしノて,第22図に示すよ

うな試験片を第5表にホす試験条件で,テトロソ基材,

ナイロン基材,カナキン基材積層板について を行い

その結果を弟る表に示したご

真に示すように,テトロン基材積層板の摩耗減量はは

かの基材の積層板に比べて少ないご

筆者らの経験によれば.二の性質はいわゆる積層板の

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テト ロ ン布基材フ ェ ノー

ル樹脂積層板の特性

打抜加工性を支配する一つの要因とも考えられるので,

弟7表に示す混皮条件で打撲加工を行ったところいずれ

の温度においても打抜加工点数はよく,良好な常温打抜

加工性を石していることが明らかとなった。

8.緒 言

テトロン基材積層板ほ高耐湿,高絶縁性を有する積層

板であるほか,加熱による

工性もすぐれているというように程々の

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第19巨〈1クリープ特性(900C)

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第21図 曲げ弾性率と温度との聞係

また機械加

所を有してい

∴ 子機器用材料とLて今後その似用が十分に期待

できるものである。

なお,この積層板ほ本文でも述べたように高温におけ

る電気的性能の変化が少なくないはか,機械的強度変化

も少ないのでB唾絶 またほ高温のところで使用する構

造材料としての川途も開けていくものと考えられるの

で,性能の詳紳についてはさらに検討を進め別報で報告

する予定である。

参芳文献

第4表 曲げ鼓さとへきかい強さ

第20[蛋1クリ ープ特性(120〇C)

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∫ノ∫1

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第22国 庫 耗 試 験 片

第5表 摩 耗 試 験 条 件

(1)吉田:高分子 8′25

(1959)

(2)~吉田:高分子 8′77

(1959)

(3)水谷:ナイロンとテ

トロン(産業図書K.K.)

(4) 日月:化学と工業

1し 62(1958)

(5)松井:日立評論 別

冊13号 63(1956)

(6) 日月:日立評論3d,

1397(1954)

(7)班山:通信機化工材

料研究会にて試供

(1957)

(8) 岡村:ポリエステル

級維(高分子化学刊

行会)

(9)C.E.Schildknecht:Polymer Processes

(1956)

(10)日本工業規格:JIS-

K6707(1952)

(11)債山,横野:日立評

論39′ 371(1957)

(12)横山,沢:日立評論

別冊29′53(1959)

第6表 摩耗量 と 重量変 化率

第7表 各種積層板の打抜点数と打抜条件

ただし,板厚ほいずれも1.6mmの積層板を使用し,式扱はASTM

D617-44によった。