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ヒーリング映像が不快感情緩和に及ぼす影響
2003HPO32 川島 浮
木研究の目的は、従来のリラクセーション研究では扱われていない視覚的なヒーリング刺激を提
示することで、不快感情の緩和に及ぼす影響を検討し、さらにヒーリング刺激の軽示方法によっ
てその効果に差異が認められるかどうかを検討することである。またBaddeley (1988)が提唱
した作動記憶モデルを基に、聴覚刺激と視覚刺激の相互作用について検討することを目的とした。
方法
被験者:大学生50名
材料:不快感情を喚起させる映像として「プラトーン(映画)jを用い、ヒーリング刺激として「海
~恥触anBhe~」を操作して用いた。また感情状態を測定する尺度として、全8因子からな
る、多面的感情状態尺度(寺崎・岸本・古賀, 1992)から、各因子5項目ずつ選定し、計40項目
を用いた。
手続き:被験者にプラトーンの一部を提示し、不快感情を喚起させた後、感情状態を鴻定した。
次にヒーリング刺激を操作し、視覚条件ではヒーリング刺激の映像のみを、聴覚条件ではヒーリ
ング刺激の音楽のみを、視聴覚条件で絃ヒーリング刺激の映像と音楽を同時に提示した。ヒーリ
ング刺激提示後に感情状態を再測定し、ディブリーフィングを行って実験を終了したB
結果
視覚条件、聴覚条件、視聴覚条件において、ヒーリング刺激軽示後に有意に不快感情が凄和され、
快感情が喚起された。また全般的に聴覚条件において不快感情緩和と快感情喚起の効果が低レ傾
向にあるが、特に「抑うつ・不安」 「非活動的快」因子に関して、聴覚条件よりも視聴覚条件にお
いて、有意に高い不快感情の緩和の効果が認められた。さらに「集中J因子に関して、聴覚条件
よりも視覚条件において、有意に高い不快感情緩和の効果が藩められた(Tabk 1)。
考察
実験の結果より、作動記憶のモデルにおいて、単純に視覚刺激と聴覚刺激が加算されて作用する
のではなく、どちらかの刺激が優勢に働きかける仕組みを備えていることが示唆された。本研究
では不快感情を喚起させる方法として映像を用いたが、これによって視覚条件と視聴覚条件にお
いて有意に不快感情緩和の効果が藩められたと考えられる。つまり映像という文脈で喚起された
感情は、映像という文脈でより緩和されやすいということである。したがって、作動記憶におけ
る視覚刺激の優勢的な機能は、文脈効果によってもたらされたと考えられる。
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鶴:蒙魚件 湯縱��3.86 劔wケ�h��ネ��-9.53 �2緜��
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聴覚条件 蔦R繝��2.69 劔*隕���ネ��9.12 �2經R�
観察者の存在効果における個人差研究
2003HPO46 森島 あづ咲
本研究の目的は、観察者の存在効果における個人差を検討することである。人の行動は他
者によって影響を受ける。そして、その影響を受ける度合いには個人差があると考えられ
る。本研究では、個人差を測る指標として、公的自意識と課題に対する意欲に着目し、観
察者の存在効果と公的自意識、課題に対する意欲の関連を調べる。
方法
被験者:大学生72名
手続き:被験者に、単純な計算問題を2回、 3分間ずつ行ってもらった。その後、実験状
況に関する質問紙と公的自意識、課題に対する意欲を測る質問紙に回答を求めた。
結果
観察者の有無、公的自意識の高低による正答数の分散分析を行ったところ、観察者の有
無や公的自意識の高低による正答数の有意な差は見られなかった。また、公的自意識の高
群と低群で、それぞれの群に分け、観察者の有無、課題意欲度の高低による正答数の分散
分析を行った。その結果、公的自意識の高群において、観察者の有無による主効果や課題
意欲度による主効果は見られず、観察者の有無と課題意欲度による交互作用の傾向が見ら
れた(F=3.29,df=1/35,p<.10)。公的自意識高群においてのみ、観察者有り状況では、課題
意欲度の低群の正答数が高群を上回り、観察者無し状況では課題意欲度の高群の正答数が
低群を上回った。一方、公的自意識の低群においては、観察者の有無による主効果や課題
意欲度による主効果、観察者の有無と課題意欲度による交互作用ともに見られなかった。
考察
公的自意識の高低による正答数の差が見られなかったことは、他者を意識することが直
接作業量の増加に結びつくわけではないことを示しているのだろう。さらに,公的自意識
の高群において、観察者有り状況では、課題意欲の低群の正答数が高群を上回り、観察者
無し状況では課題意欲の高群の正答数が低群を上回った。この結果から、他者を意識する
ものの中でも、課題への意欲が強いと他者の存在が妨害効果として表れ、課題への意欲が
弱いと他者の存在が促進効果として表れることが分かる。これは、課題への意欲が強い場
合には、他者と課題に注意が分散されるため作業量の減少、課題への意欲が弱い場合には、
他者への印象管理欲求が高まり作業量の増加につながったと考えられる。公的自意識の低
群においては、他者を意識しないため、他者存在の効果は表れなかったのだろう。
支援的ユーモアによる他者支援効果の検討
2003HPO57 小野 祥子
本研究では、他者にユーモアを言われたときに支援的な効果があるかということについて
検証することを目的とする。また、ユーモアの他者支援効果と遊戯的・攻撃的・支援的ユ
ーモアの3種のユーモア刺激との関連、そしてユーモアの他者支援効果とユーモア志向性
との関連についても分析する。
方法
被験者 大学生199名を対象に分析を行った。
質問紙内容 1)ユーモアの他者支援効果を測定する項目:ユーモアの支援効果を「心を癒
す」 「励ます」といった意味で捉え、尺度構成した。候補は10項目。予備調査により決定
した、 3種の攻撃的・遊戯的・支援的ユーモア刺激文を提示した。 2) 3種のユーモア志
向性尺度(上野, 1993;宮戸・上野, 1996):遊戯的・攻撃的・支援的ユーモア志向の 3
下位尺度(各8項目)をもつ全24項目。
結果
各ユーモア志向得点と各ユーモアの他者支援効果得点の関わりを見るために,各ユーモア
志向得点を高低に分けt検定を行った。その結果、遊戯的ユーモア志向性と遊戯的ユーモ
アの他者支援効果得点との間で5%水準、支援的ユーモアの他者支援効果得点との間で5%
水準で有意であった。また、支援的ユーモア志向性と遊戯的ユーモアの他者支援効果得点
との間で5%水準、支援的ユーモアの他者支援効果得点との間で1%水準で有意であった。
また重回帰分析により、支援的ユーモア志向性が遊戯的ユーモアの他者支援効果得点との
間と、支援的ユーモアの他者支援効果得点との間で有意であった。
考察
今回の研究では、ユーモアの他者支援効果には、支援的ユーモア志向性が関連していると
いうことが明らかになった。支援的ユーモア志向性が高い人ほど、ユーモアの他者支援効
果が高くなる。また、支援的ユーモアのみが他者支援効果をもつという仮説については、
有意差が見られず、検証することができなかった。その原因として、第一に遊戯的ユーモ
ア刺激文が遊戯的ユーモアとはいえなかったかもしれないということ、第二に支援的ユー
モアが遊戯的ユーモアととても近い関係にあるために、遊戯的にだけではなく支援的にも
捉えられたからと考えられる。今後の研究でこの問題を解決していく必要があるだろう。
態度変容に及ぼす説得効果
2003HPO71新海 さや香
本研究の目的は、今日の社会問題である飲酒運転を無くすため、効果的な説得方法を探ること
にあった。とりわけ、恐怖喚起コミュニケーションという説得技法を用いて、態度変容を試みた。
独立変数は、脅威の深刻さの高低、及び自己関連度高低の2要因、従属変数は飲酒運転に対する
態度であった。仮説は、 ①脅威の深刻さ低群の場合、自己関連度の低群よりも高群において、よ
り大きな態度変容が生じるだろう、 ②脅威の深刻さ高群の場合、自己関連度の高群よりも低群に
おいて、より大きな態度変容が生じるだろう、 ③脅威の深刻さ、自己関連度に関係なく、心理的
リアクタンスが強く喚起される人は、そうでない人よりも態度変容が生じにくいだろう、という
3点であった。
方法
被験者:大学生85名であった。
質問紙:説得メッセージは、飲酒運転の怖さを用い、それに対する態度変容を測定した。独立
変数について、脅威の深刻さ高低は、説得文章の一部を改変し操作した。自己関連度高低は、お
酒の好み、車の免許の所持についての質問項目に対して、関与の高い被験者を自己関連度高群と
し、それ以外を自己関連度低群とした。従属変数は飲酒運転に対する態度を、説得文章の読前、
読後の2回測定した。また、他の要因として、心理的リアクタンスについても測定した。
結果
説得メッセージに対する印象評定の値について分析した結果、有意差は認められなかった。次
に、説得前後の差得点を従属変数、脅威度高低と自己関連度高低を独立変数とし2要因分散分析
を行った結果、脅威度が低い場合に、自己関連度が高い条件が低い条件よりも、態度を変容しや
すい傾向にある、ということが示唆された。心理的リアクタンス得点について、 2要因分散分析
した結果、脅威度低群よりも高群が、あるいは、自己関連度低群よりも高群が、心理的リアクタ
ンスを強く喚起する傾向が示唆された。さらに、心理的リアクタンス得点と、説得前後の差得点
との相関を求めたところ、心理的リアクタンスが強く喚起されることと、説得されやすさに関係
があることが示唆された。
考察
印象評定値の分析結果から、恐怖喚起コミュニケーションとしての操作は必ずしも十分とは言
えないが、飲酒運転という話題性と心理的リアクタンスの結果を考慮し、操作できていたと見な
した。そして、仮説①のみが概ね支持された。よって、連日の報道は、飲酒運転の怖さを訴える
ものが多いが、逆に、飲酒運転の怖さをあまり強調しないような説得方法も有効であると言える
だろう。また、心理的リアクタンスについては、先行研究のように態度変容を妨げるのではなく、
逆に促進する傾向が高いという結果になったが、心理的リアクタンスが直接態度変容に影響して
いるのではなく、説得メッセージという要因が、媒介変数として存在している可能性を示唆する
ものになったと言える。
乱暴な言葉の使用頻度と攻撃性の関係
2003HPO73 塩川 美登子
本研究の目的は、乱暴な言葉の使用頻度が高いほどパーソナリティ特性としての攻撃性が高いかどう
かを検討することである。そして、社会における攻撃性の減少を目指す際に、貢献できるような知見
を得ることである。男女いずれにおいても、乱暴な言葉の使用頻度が高い場合は、低い場合よりも攻
撃性が高いと推測される。よって、調査対象者を男女それぞれ乱暴な言葉の使用頻度について高低で
二分し、次の2つの仮説を検証するo仮説1が「男性は女性に比べ攻撃性総得点が高いだろう」、仮説
2が「乱暴な言葉の使用頻度の高い群は低い群よりも攻撃性総得点が高いだろう」である。
方法
質問紙課題:乱暴な言葉の使用頻度の測定には、予備調査後に作成した、乱暴な言葉の使用頻度尺度
を用いたo攻撃性の測定には、敵意的攻撃イベントリー(HAl) (秦, 1990)を用いた。
調査対象者:大学生206名
結果
乱暴な言葉の使用頻度と性別の2要因を独立変数とし、攻撃性総得点を従属変数として、 2(低,高)
× 2(男性,女性)の分散分析を行った。その結果、乱暴な言葉の使用頻度と性別にそれぞれ主効果が
みられ、交互作用はみられなかった(Table 1)。その後、追加的に因子分析と相関分析を行い、ガット
マン尺度の構成を試みたo その結果、乱暴語使用頻度下位尺度と攻撃性下位尺度、各乱暴語使用有無
と攻撃性、いずれにおいても顕著な関係はみられなかった。
Table l 攻撃性における乱暴な言葉の使用頻度別および性別の平均値と分散分析
攻撃性総得点の平均値およびSD 分散分析
乱暴な言葉の使用頻度 低 高 頻度差 性差 交互作用
性別 男性 女性 男性 女性
対象者数 3 1 62 67 46
攻撃性合計得点 148.19 136.16 174.75 164.83 39.72☆☆ 6.28☆☆ BS.
(18.39) (30.53) (33.18) (30.78)
(注) ( )内はSD, **p<.01
考察
仮説1 、仮説2がともに支持され、乱暴な言葉の使用頻度が高い場合、低い場合よりも攻撃性が高い
ことが実証された。また、その後の分析結果は、乱暴な言葉全般の使用頻度が同程度の場合に、あら
ゆるパターンが存在することを推測させた。本研究結果より、社会での攻撃性を減らすためには、乱
暴な言葉の使用頻度を減らすような、教育や指導が求められるo今後の課題は、尺度の妥当性など本
研究での欠陥を補い追試を行うことと、本研究により得られた知見をさらに検討していくことである。
対人トラブル後の親友・友人との関係維持についての研究
2003HPO81高田 友惟
本研究の目的は,親しい同性の相手との間で対人トラブルが起こった際,その関係を維持し
ていこうか否かという意思を示す関係維持志向が,相手との関係や対人トラブルが起こったき
っかけによって異なるのだろうかということを検討した。相手との関係の要因は友人関係の親
友・友人,きっかけの要因はトラブルを起こしたきっかけが自分の場合と相手の場合と設定し
た。
去迭
質問柾: 「自分の将来にひびく重要な試験を親友(あるいは友人)と一緒に受けることになっ
たが、相手が自分の分の申し込みをすることを忘れてしまった」という対人トラブル場面
を,要因ごとに計4場面設定し,各場面での関係維持志向を5件法で回答してもらった。
被調査者:大学生142名(男性61名,女性81名)
盤基
関係維持志向の尺度点数を従属変数として,相手との関係(親友・友人) ×きっかけ(自
分からの依頼,相手からの依頼)の二元配置の分散分析を行った。その結果,相手との関
係の主効果とトラブルが起こったきっかけの主効果,関係×きっかけの交互作用が見られ
た。
豊泉
関係の主効果からは,日頃から親密さを高く維持し報酬を得ることができている親友の方が,
その報酬を保つために友人よりもトラブル後の関係を維持しようとする気持ちが強くなるこ
とが考えられる。きっかけの主効果からは,きっかけが自分の場合は自分に非があるという感
情が強く生起され,きっかけが相手の場合よりも関係維持志向が高くなったと推測できる。関
係×きっかけの交互作用効果からは,トラブルが起こったきっかけが自分の場合は親友と友
人に対する関係維持志向に有意な差はないが,きっかけが相手の場合は親友の方が友人よ
りも関係維持志向が有意に高くなっていることが示されたため,相手との関係よりもトラ
ブルが起こったきっかけの方を重視して関係を維持するか否かを判断しているということ
が考えられる。
音楽の速さがガム阻噂速度に与える影響
2003HPO93 山田 隼也
本研究では、音楽の速さがガムの阻噂速度にどのような影響を与えるのかを検証することを目
的としている。これまでの研究では、音楽の速さが動作の速さに与える影響ついて明確で一貫し
た結論が得られているとは言いがたい。音楽がかつてないほど身近な時代にある現在に至っても
末だ解明されていない「音楽の速さが人の動作の速さに与える影響」を明確にする必要があるだ
ろうと考え、以下のように実験を行うこととした。本研究では、音楽の速さが動作の速さに影響
することを示したMcElrea & Standing (1992)、 Milliman (1982)の研究結果を根拠に、 「速い音
楽条件での被験者のガム岨噂回数は、遅い音楽条件での被験者のガム岨噂回数より多くなる」と
いう仮説を立て、これを検証する。
【方法】
被験者:南山大学の学生51名(男子12名、女子39名、平均年齢19.92歳)
実験計画:提示する音楽の速さ(速い・遅い)の1要因2水準の実験計画で被験者問要因とした。
従属変数は3分間のガム岨噂回数であった。
手続き:被験者を提示する音楽の速さによって2群(提示音楽の速い群、遅い群)に分け、それ
ぞれの条件の音楽を聞きながら3分間ガムを噛んでもらった。音楽は同じ曲の速さだけを変えた
ものであった。被験者がガムを噛む様子は、実験室のカメラで撮影され、ビデオテープに記録さ
れた。実験後に、記録した映像から3分間の被験者の阻噂を数えた。
【結果】
両群における3分間の阻噂回数についてt検定を実施した。その結果、有意な差は認められな
かった。そこで、ガムを噛む時間や被験者の岨噂による疲れ具合によって音楽の速さが岨噂回数
に与える影響の現れ方が変化する可能性もあると考え、被験者が阻曝した3分間を3分割し、開
始0分~1分、 1-2分、 2-3分の間のそれぞれの岨噂回数についてもt検定を実施した。し
かし、やはり有意な差は認められなかった。よって、本実験の仮説「速い音楽条件での被験者の
ガム阻曝回数は、遅い音楽条件での被験者のガム岨噂回数より多くなる」は否定された。
【考察】
仮説が否定された原因には以下のような可能性が考えられる。
1)音楽に向けられた意識の高さが「音楽の速さが阻噂速度に与える影響」を抑制したこと
2)小さな音量の音楽が被験者の岨噂に影響を与えるほどの刺激にはならなかったこと
3) 2群間の提示音楽の速さの差が小さすぎた結果、阻噂-の影響に差が見られなかったこと
4)ガム岨噂時に発生する音(が他人に聞かれているという意識)が被験者のガム阻噂回数に影
響を与えたこと
今後は、ガムを噛む音が聞かれているという意識を被験者から取り除き、速度差を開いた2種
類の音楽を十分な音量で提示したときに果たしてどのような結果になるのか検証することが必要
だろう。また、音楽に向けられた意識の高さが、 「動作の速さ」や「音楽の速さが動作の速さに与
える影響の大きさ」にどんな影響を与えるのかを明らかにすることは、今後の研究課題といえる
だろう。
親の養育態度が子どもの親との接し方に与える影響について
2003HPIO8 村田有抄
本研究の同約措、 「子どもであって子どもでない、大入であって大人でない」という、大人とも
子どもともつかない中途半端な立場で眉己責任を求められる高校生の時期を対象に、親との接し
方に影響があるかを検討することであった。親子関係は、手どもの人格形成に大きな影響を及ぼ
すものと考えられている。パーソナリティの発達にとって、衰育者に関する要因が重要な役軸を
果たすことは様々な側面から明らかにされてきた(Born8tein, 1995;戸軌1996;久保田, 1996
など)。しかし、親の養育態度が子どもの親への接し方についての研究はあまりされていない。そ
こで、親-の直接的な接し方に焦点をあて、日常に起こりうる場面を想定し調査したo仮説とし
ては、子どもの接し方は親の養育態度の程度により変化すると考えられるoそのため、 4つの仮
説を立てた。 ①受容も厳格の程度も高い親を持つ子どもは、親に自分のことについてほとんど正
直に話すだろう。 ②受容の程度が高く、厳格の程度が低い親を持つ子どもは、親に自分のことを
ある程度は正直に話すだろう。 ③受容の程度が低く、厳格の軽度が高い親を持つ子どもは、親に
自分のことについてごまかしたり、嘘をつくだろう。 ㊨受容も厳格も低い親を持つ子どもは、親
に月分のことを姥とんど何も-話さないだろう。
.方怯
調査協力者-・ -・ -・大学生151名(男性48名、女性1・03名)、平均年齢20:66歳、 SD-1.210
調査内容-・ -・ -・ ①大学生の基本的対人態度と両親の養育態度との関連(橋本-・高木, 2005)よ-り受
容・厳格カテゴリーの計J27項召を使用したo
②勉強、友人関係、進路、学校でめ出来事∴欲しい物めも場面を用いて高校生
の時にどのように親と接してきたかを質問したo
結果
親の養育態度を受容尺度・厳格尺度にわけ、それぞれの平均値を基準に高低にタイプわけをし
た。そして、そのタイプごとに質問耗②の親-の接し方との関連をカイ2乗検定を行った。す
ると、勉強場面は有意差は見られなかった。友人・進路・欲しい物の場面においては、 1%で有
意差が見られた。学校での出来事の場面は有意差は見られなかったが、 10%の傾向は見られた。
考察
勉強場面以外は、親の養育態度により、子どもの親-の接し方に差が生じることが明らかにな
ったo Lかし、親-の壊t/方の場面の河谷ごとにより-詳しく見ていくと、各場面の中で有意差が
見られるところと見られないところがあった-o どの場面においても、質問紙の回答に偏りが見ら
れたため、今後は、場面や回答の検討をし直す必要があーる。